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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G06F |
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管理番号 | 1003817 |
異議申立番号 | 異議1998-72627 |
総通号数 | 4 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1993-04-02 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-05-26 |
確定日 | 1999-06-11 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第2682570号「文書レイアウト方法」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2682570号の特許請求の範囲第1項ないし第2項に記載された発明についての特許を取り消す。 |
理由 |
(A)手続きの経緯 本件特許2682570号発明は、特願昭61-72161(出願日 昭和61年3月29日)の分割出願として特許出願され、平成9年8月8日に特許登録がなされ、その後、相原光政より特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされた。 (B)本件の請求項1及び2に係る特許は明細書の特許請求の範囲に記載された以下のとおりのものと認められる。 「(請求項1) 入力される文書データから見出しとなる文とこの見出し文に続く文とを判別し、 文の種類と展開開始位置を関係付けるための予め記憶された規則に従って複数の見出し文の展開開始位置を揃えるとともにこれら見出し文に続く文の展開開始位置を対応する見出し文のそれと異ならせた位置で揃えるように処理し、 この処理の施された文書データを出力手段に展開することを特徴とする文書レイアウト方法。 (請求項2) 入力される文書データから見出しとなる文とこの見出し文に続く文とを判別し、 見出し文であると判別された文の階層レベルを解析し、 文の種類と展開開始位置とを関係付けるための予め記憶された規則に従って同一の階層レベルを有する複数の見出し文の展開開始位置を異なる階層レベルを有する他の見出し文の展開開始位置とは異なる位置で揃えるとともに前記複数の見出し文に続く文2の展開開始位置を対応する見出し文のそれと異ならせた位置で揃えるように処理し、 この処理の施された文書データを出力手段に展開することを特徴とする文書レイアウト方法。」 (C)申立て理由の概要 申立人相原光政は、甲第1号証(特開昭60-24622号公報)、甲第2号証(特開昭60-176137号公報)を提出し、請求項1、2に係る発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされ、さらに、甲第3号証(特願昭59-243920号(特開昭61-121165号公報))を提出し、本願各請求項に係る発明は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであるから、特許を取り消すべきである旨主張した。 (D)取消理由通知の要旨 本願請求項1及び2に係る特許は、引用刊行物1及び2に記載された発明から容易に発明できたものであるから特許法第29条第2項に該当する。よって、本件特許は特許法113条第1項第2号 のに該当し取り消されるべきものである。 引用刊行物1.特開昭60-24622号公報 引用刊行物2.特開昭60-176137号公報 (他は略) (E)対比・判断 引用刊行物1には、第2頁右下欄第16行〜第18行には、「この例では「1」なる数字の前後に「第」「章」なる助辞が存在することから、これを「第*章」とする章・節の見出しであると解析する。」との記載がある。 また、第2頁右下欄第19行〜第3頁左下欄第2行には、「これらの抽出された情報「第*章」を、その位置情報、即ち「行頭から」、および「章の後に1字分の空白」等の情報と共にテーブルに登録する。しかるのち、次の行の解析が行われる。この場合、行頭が1文字分空白であることからその章の内容を示す文章情報の書出し点(改行部)であると判定する。そして、その行においても、章・節候補の存在を判定する。以下、これを各行に亘って順に繰返して実行し、1つの章としてのまとまりを文構造として抽出する。しかして、或る行の解析に到達すると、そこでは「第二章」なる情報が抽出される。そして、この情報も先の例と同様にテーブルに登録される、しかして、文章修正部4は、このようにしてテ-ブルに求められた文章の構造的特徴のリストに従って、例えば最初に入力された章だての構造に各章のフォーマットを統一化するべく、例えば頂番の漢数字「二」を算用数字「2」に修正し、また章見出しの位置の前後空白部分との関係等を修正する。この結果、第4図中Cに示すように「第2章 0000」の如く、章だてのフォーマットが修正・統一化される。このような処理が、各章毎に順に行われる。」との記載がある。 さらに、第2頁右上欄第16行〜左下欄第4行には、「文章構造抽出部3は、第2図に示すように、上記記憶部2に記憶された文章情報の文章構造を分析(解析)し、その文章を構成する章・節・図・表・行数等の構造的特徴を抽出するもので、これらの構造的特徴をその対応関係と共にテーブル化して記憶するものである。この抽出部2における文章構造解析による構造的特徴の抽出は、入力された文章情報の全てに亘って行われる。との記載がある。 以上の記載より、引用刊行物1には、以下のものが記載されていることとなる。 「入力される文書データから見出しとなる文とこの見出し文に続く文とを判別し、文の種類と展開開始位置を関係付けるための予め記憶された規則に従って複数の見出し文の展開開始位置を揃えるとともにこれら見出し文に続く文の展開開始位置を揃えるように処理しこの処理の施された文書データを出力手段に展開することを特徴とする文書レイアウト方法。」 本件請求項1記載の発明と引用刊行物1記載のものを比較すると、見出し文に続く文の展開開始位置を、前者では「見出し文に続く文の展開開始位置を対応する見出し文のそれと異ならせた位置で揃え」ているのに対して、後者では見出し文に続く文の展開は見出し行に続く行の先頭位置に揃える点で相違し、その余に実質的な差異は認められない。 上記相違点を検討するに、引用刊行物2には、見出しを見易くすめため、文字情報の中の見出しの如き情報を残りの文字情報と比較して目を引くような印字(記録)を与えることが記載されている。また、文書のレイアウトとして、見出し分(表題)を一行の中央部分に位置させる、或いは、見出し文と本文とで、用紙の端からの距離(マージン)を変える等、見出し文と本文の展開位置を異ならせることは広く行われていることである。してみれば、引用刊行物1記載のもののおいて、見出しを見易くすめため、見出し文に続く文の展開開始位置を対応する見出し文のそれと異ならせた位置で揃える構成とすることに格別の技術力を要するとは認められない。 本件請求項2記載の発明と引用刊行物1記載のものを比較すると、以下の2点で相違しその余に実質的な差異は認められない。 相違点1.前者では、見出し文であると判別された文の階層レベルを解析し、同一の階層レベルを有する複数の見出し文の展開開始位置を異なる階層レベルを有する他の見出し文の展開開始位置とは異なる位置で揃える構成を有しているのに対して、後者では見出しの階層は考慮していない点。 相違点2.見出し文に続く文の展開開始位置を前者では「見出し文に続く文の展開開始位置を対応する見出し文のそれと異ならせた位置で揃え」ているのに対して、後者では見出し文に続く文の展開は見出し行に続く行の先頭位置に揃える点 上記各相違点を検討する。 相違点1に関して、文章の構成を階層構成とし、かつ各階層の見出し文の展開位置を異ならせることは広く行われていることである(例えば、特開昭60-254366号公報、特開昭59-43432号公報参照)。してみれは、文書の表示において、見出し文であると判別された文の階層レベルを解析し、同一の階層レベルを有する複数の見出し文の展開開始位置を異なる階層レベルを有する他の見出し文の展開開始位置とは異なる位置で揃える構成とすることは当業者にとって軽微な設計変更的事項にすぎないものと認められる。 相違点2に関して、引用刊行物2には、見出しを見易くすめため、文字情報の中の見出しの如き情報を残りの文字情報と比較して目を引くような印字(記録)を与えることが記載されている。また、文書のレイアウトとして、見出し分(表題)を一行の中央部分に位置させる、或いは、見出し分と本文とで、用紙の端からの距離(マージン)を変える等、見出し文と本文の展開位置を異ならせることは広く行われていることである。してみれば、引用刊行物1記載のもののおいて、見出しを見易くすめため、見出し文に続く文の展開開始位置を対応する見出し文のそれと異ならせた位置で揃える構成とすることに格別の技術力を要するとは認められない。 (F)むすび 以上のとおり、本件請求項1および2に係る発明は、上記引用刊行物1、2および周知の技術から、当業者が容易に発明できたものとであるから、本件請求項1および2に係る発明は特許法第29条第2項に違反してなされたものでけあり、同法113条第1項第2号のに該当する。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1999-04-05 |
出願番号 | 特願平4-66951 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 坂庭 剛史 |
特許庁審判長 |
祖父江 栄一 |
特許庁審判官 |
武井 袈裟彦 川名 幹夫 |
登録日 | 1997-08-08 |
登録番号 | 特許第2682570号(P2682570) |
権利者 | 株式会社東芝 |
発明の名称 | 文書レイアウト方法 |
代理人 | 外川 英明 |