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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  G01C
管理番号 1003914
異議申立番号 異議1998-72046  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-01-14 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-04-28 
確定日 1999-07-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2670460号「受光装置」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2670460号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 [I.手続の経緯]
本件特許は、平成2年4月26日に特許出願された特願平2-114600号が、特許第2670460号として設定登録がなされ、その後、オリンパス光学工業株式会社より特許異議の申立てがなされ、平成11年2月26日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内に訂正請求がなされたものである。
[II.訂正の適否についての判断]
〔1.訂正明細書の請求項1及び2に記載された発明〕
訂正明細書の請求項1及び2に記載された発明は、次のとおりのものである。
【請求項1】物体からの光を受光するための第1の受光手段と、前記第1の受光手段が物体からの光を受光できる距離範囲のうち遠距離側の一部距離範囲に物体が存在する場合に該一部距離範囲に存在する物体からの光を受光し該一部距離範囲外に存在する物体からの光を受光しない前記第1の受光手段の受光部の面積よりも狭い受光部の面積を有する第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段からの信号を選択的に積分する積分手段とを有し、前記第1、第2の受光手段からのそれぞれの信号に対する前記積分手段の積分信号に基づいて前記物体までの距離に関連した信号を形成することを特徴とする受光装置。
【請求項2】物体からの光を受光するための第1の受光手段と、前記物体の距離が変化することにより変位する前記第1の受光手段の前記物体からの光の受光位置の変位方向とは異なる位置に設けられ、前記第1の受光手段が物体からの光を受光できる距離範囲のうちの一部距離範囲に物体が存在する場合に該一部距離範囲に存在する物体からの光を受光し該一部距離範囲外に存在する物体からの光を受光しない前記第1の受光手段の受光部の面積よりも狭い受光部の面積を有する第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段からの信号を選択的に積分する積分手段とを有し、前記第1、第2の受光手段からのそれぞれの信号に対する前記積分手段の積分信号に基づいて前記物体までの距離に関連した信号を形成することを特徴とする受光装置。
〔2.訂正の目的の適否及び拡張・変更の存否〕
前記訂正のうち、請求項1及び2の訂正は、訂正前の請求項1及び2に記載された第2の受光手段の形態を限定するもので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、この訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、前記訂正のうち、発明の詳細な説明の訂正は、前記請求項1及び2の訂正に対応させるものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。また、この訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
〔3.独立特許要件の判断〕
(ア.取消理由の概要)
取消理由の内容は、本件請求項1及び2に記載された発明は、本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開昭63-167211号公報(以下、刊行物1という)及び特開平1-307711号公報(以下、刊行物2という)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明できたものであるから、本件請求項1及び2に記載された発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであって取り消されるべきである、というものである。
(イ.前記刊行物1及び2に記載された事項)
前記刊行物1の第3頁左上欄第10行〜第4頁右上欄第11行には、次のことが記載されている。「従って、被写体距離に応じて、使用する電極の組合せを変えることによって遠距離方向での測距精度を悪化させることなく、測距範囲の至近を近づけることが可能となる。
第4図は、上記PSD50を用いた距離検出回路の一実施例である。・・・(中略)・・・
距離信号出力回路15は上記和信号発生回路14と差信号発生回路13とに接続され、上記差出力と和出力との比、すなわち距離に対応した信号を出力するようになっている。比較回路16は前記距離信号出力回路15の出力と比較電圧V2とを入力され両入力の大小関係を判別して出力する。この比較電圧V2は検出精度、至近撮影距離等の要素を適宜考慮して定められる一定電圧である。・・・(中略)・・・
次に上記実施例の動作を説明する。
初期状態で、制御回路23の制御端子24からはLレベルの信号が出力されている。このときアナログスイッチ21はoffとなり、アナログスイッチ20がon状態となる。従って、電流ー電圧変換回路を形成するOPアンプ7の反転端子にはPSD50の中間電極d3が接続され、PSD50の電極d1はオープン状態となっている。・・・(中略)・・・
一方、上記距離信号出力回路15よりの出力Vが比較電圧V2より大のときはコンパレータ16の出力がLとなり、制御回路23は制御端子24の出力をHにして再度発光体1をパルス状に点灯させる。このときアナログスイッチ20はoffとなり、アナログスイッチ21がonしてOPアンプ7の反転端子には前記PSD50の信号電極d1が接続され、中間電極d3はオープン状態となる。・・・(中略)・・・
従って、第1回目の測距時に距離信号出力回路15の出力が比較電圧V2より低くなるような被写体距離、すなわちコンパレータ16の出力がHとなるときは第1回目の測距結果をそのまま被写体の距離信号として用い、V2以上となる被写体距離、すなわちコンパレータ16の出力がLのときは、第2回目の測距結果を適宜換算して用いて距離信号とすることによって、V2以下となるような被写体距離までは、測距精度を劣化させることなく、測距範囲をより至近に近づけることができる。」
前記刊行物2の第6頁右下欄第9行〜第8頁右下欄第4行には、次のことが記載されている。
「次に、前記第7図中のAF測距部22について詳しく説明する。・・・(中略)・・・
本実施例カメラのAF測距部22においては、基本的には、第10図に示す構成の赤外光アクティブ式三角測距方式が採用されている。
・・・(中略)・・・
第11図において、3個のIRED41a、41b、41cに対して3個のPSD44a、44b、44cが用いられていて、3個のIRED41a、41b、41cからの各測距用赤外ビーム47a、47b、47cは投光レンズ42により被写体に向かい、被写体から戻った各ビームは受光レンズ43により3個のPSD44a、44b、44cのうちの対応するPSDに入射するようになっている。・・・(中略)・・・
また、この3個のPSD44a、44b、44cに関するそれぞれの回路は、切換回路67a、67b、67cにデコーダ68からの切換信号が送られて選択的に切換制御される。・・・(中略)・・・ つまり、三角測距時のAFシーケンスは、共通のICで測距演算を行うために時分割で行われるようになっており、IRED41aの発光時はPSD44aの出力のみが処理され、IRED41bの発光時はPSD44bの出力のみが処理され、IRED41cの発光時はPSD44cの出力のみが処理されるようになっている。・・・(中略)・・・
積分スイッチ57はBPF56のフィルタ出力を積分タイミングパルス回路70からの信号に同期して積分器58に供給する。
・・・(中略)・・・ また、プリセットカウンタ等で構成される全積分回数カウンタ63は、同期積分の全回数、即ち、積分タイミングパルス回路70からのタイミングパルスをカウントし、設定回数に達するとAF処理を終了する終了回路64に、終了信号を供給する。」
(ウ.本件訂正明細書の請求項1及び2に記載された発明と前記刊行物1及び2に記載された発明との対比、判断)
まず、本件訂正明細書の請求項1に記載された発明と前記刊行物1及び2に記載された発明とを対比する。前記刊行物1及び2に記載された発明は、本件訂正明細書の請求項1に記載された発明の「第1の受光手段が物体からの光を受光できる距離範囲のうち遠距離側の一部距離範囲に物体が存在する場合に該一部距離範囲に存在する物体からの光を受光し該一部距離範囲外に存在する物体からの光を受光しない前記第1の受光手段の受光部の面積よりも狭い受光部の面積を有する第2の受光手段」(以下、相違点1に係る構成という)を有していない。また、前記刊行物1及び2には、前記相違点1に係る構成を示唆する記載すら存在しない。しかも、前記相違点1に関する構成に起因する効果も、訂正明細書の発明の効果の欄に記載されているように期待し得ることである。故に、本件訂正明細書の請求項1に記載された発明は、前記刊行物1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明できたものであるとすることはできない。
次に、本件訂正明細書の請求項2に記載された発明と前記刊行物1及び2に記載された発明とを対比する。前記刊行物1及び2に記載された発明は、本件訂正明細書の請求項2に記載された発明の「物体の距離が変化することにより変位する前記第1の受光手段の前記物体からの光の受光位置の変位方向とは異なる位置に設けられ、前記第1の受光手段が物体からの光を受光できる距離範囲のうちの一部距離範囲に物体が存在する場合に該一部距離範囲に存在する物体からの光を受光し該一部距離範囲外に存在する物体からの光を受光しない前記第1の受光手段の受光部の面積よりも狭い受光部の面積を有する第2の受光手段」(以下、相違点2に係る構成という)を有していない。また、前記刊行物1及び2には、前記相違点2に係る構成を示唆する記載すら存在しない。しかも、前記相違点2に関する構成に起因する効果も、訂正明細書の発明の効果の欄に記載されているように期待し得ることである。故に、本件訂正明細書の請求項2に記載された発明は、前記刊行物1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明できたものであるとすることはできない。
(エ.まとめ)
本件訂正明細書の請求項1及び2に記載された発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とすることはできない。
〔4.むすび〕
以上のとおりであるから、前記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2、3、4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
[III.特許異議の申立てについての判断]
申立人オリンパス光学工業株式会社は、当審が採用した前記取消理由、と同趣旨の主張をしており、これについての判断は、前記[II]〔3〕(ウ)の欄に記したとおりであって、この特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては、本件訂正明細書の請求項1及び2に記載された発明に係る特許を取り消すことはできない。
[IV.結言]
他に本件訂正明細書の請求項1及び2に記載された発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
受光装置
(57)【特許請求の範囲】
(1)物体からの光を受光するための第1の受光手段と、前記第1の受光手段が物体からの光を受光できる距離範囲のうち遠距離側の一部距離範囲に物体が存在する場合に該一部距離範囲に存在する物体からの光を受光し該一部距離範囲外に存在する物体からの光を受光しない前期第1の受光手段の受光部の面積よりも狭い受光部の面積を有する第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段からの信号を選択的に積分する積分手段とを有し、前記第1、第2の受光手段からのそれぞれの信号に対する前記積分手段の積分信号に基づいて前記物体までの距離に関連した信号を形成することを特徴とする受光装置。
(2)物体からの光を受光するための第1の受光手段と、前記物体の距離が変化することにより変位する前記第1の受光手段の前記物体からの光の受光位置の変位方向とは異なる位置に設けられ、前記第1の受光手段が物体からの光を受光できる距離範囲のうちの一部距離範囲に物体が存在する場合に該一部距離範囲に存在する物体からの光を受光し該一部距離範囲外に存在する物体からの光を受光しない前記第1の受光手段の受光部の面積よりも狭い受光部の面積を有する第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段からの信号を選択的に積分する積分手段とを有し、前記第1、第2の受光手段からのそれぞれの信号に対する前記積分手段の積分信号に基づいて前記物体までの距離に関連した信号を形成することを特徴とする受光装置。
(3)物体からの光を受光し、該光の受光位置に応じて前記物体までの距離に相応した信号を出力する第1の受光手段と、物体からの光を受光し、該光の受光位置に応じて前記物体までの距離に相応した信号を出力する、前記第1の受光手段とは異なる特性の第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段からの信号を選択的に積分する積分手段とを有し、前記第1、第2の受光手段からのそれぞれの信号に対する前記積分手段の積分信号に基づいて前記物体までの距離に関連した信号を形成することを特徴とする受光装置。
(4)物体からの光を受光し、該光の受光位置に応じて前記物体までの距離に相応した信号を出力する第1の受光手段と、前記第1の受光手段が物体からの光を受光できる距離の遠距離側に物体が存在する場合に該物体からの光を受光する、前記第1の受光手段とは異なる特性の第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段からの信号を選択的に積分する積分手段とを有し、前記第1、第2の受光手段からのそれぞれの信号に対する前記積分手段の積分信号に基づいて前記物体までの距離に関連した信号を形成することを特徴とする受光装置。
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、物体までの距離に関連した信号を形成するための受光装置の改良に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、カメラ等に於いて、複写体に向けて信号光を投射し、その信号光の反射光を受光することにより、三角測量の原理に基づいて上記被写体までの距離を検出する所謂アクティブ方式の測距装置が広く知られている。
更に近年、この種のアクティブタイプの測距装置に於いて、上記反射光を受光する受光手段として半導体位置検出器(PSD)を用いることで可動部なしに測距できる測距位置も広く用いられる様になってきた。
このPSDは、受光スポット光の重心位置に応じた信号を出力する為、投光像の均一性は要求されないし、測距レンジも広くとれるが、欠点として、PSDは抵抗層を有する為に、抵抗ノイズが発生し、特に、反射光の光量が低下する遠距離被写体に対しては、S/N比が劣化し、測距精度が悪くなるという問題があった。更に、近年遠距離撮影を可能にするズームカメラが登場するなか、この遠距離に対する測距精度の低下は非常に大きな問題となっていた。
尚、この問題を解決する方法として2分割された一対のシリコンホトルセル(SPC)を用い、その出力比により反射光の受光位置の検出する方法も考えられるが、近距離から遠距離迄の全測距範囲をこのPSC対でカバーしようとすると、基線長を長くすることが出来なくなり、全体的な測距精度の低下を招く等のデメリットが生じてくる。
〔発明の目的〕
本発明は、以上の事情に鑑み為されたもので、物体迄の距離に関連した信号を形成する装置の精度の向上を図ろうとするものである。
上記目的を達成するために本発明は、物体からの光を受光するための第1の受光手段と、前記第1の受光手段が物体からの光を受光できる距離範囲のうち遠距離側の一部距離範囲に物体が存在する場合に該一部距離範囲に存在する物体からの光を受光し該一部距離範囲外に存在する物体からの光を受光しない前期第1の受光手段の受光部の面積よりも狭い受光部の面積を有する第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段からの信号を選択的に積分する積分手段とを有し、前記第1、第2の受光手段からのそれぞれの信号に対する前記積分手段の積分信号に基づいて前記物体までの距離に関連した信号を形成することを特徴とする受光装置とするものである。
また、本発明は、物体からの光を受光するための第1の受光手段と、前記物体の距離が変化することにより変位する前記第1の受光手段の前記物体からの光の受光位置の変位方向とは異なる位置に設けられ、前記第1の受光手段が物体からの光を受光できる距離範囲のうちの一部距離範囲に物体が存在する場合に該一部距離範囲に存在する物体からの光を受光し該一部距離範囲外に存在する物体からの光を受光しない前記第1の受光手段の受光部の面積よりも狭い受光部の面積を有する第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段からの信号を選択的に積分する積分手段とを有し、前記第1、第2の受光手段からのそれぞれの信号に対する前記積分手段の積分信号に基づいて前記物体までの距離に関連した信号を形成することを特徴とする受光装置。
また、本発明は、物体からの光を受光し、該光の受光位置に応じて前記物体までの距離に相応した信号を出力する第1の受光手段と、物体からの光を受光し、該光の受光位置に応じて前記物体までの距離に相応した信号を出力する、前記第1の受光手段とは異なる特性の第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段からの信号を選択的に積分する積分手段とを有し、前記第1、第2の受光手段からのそれぞれの信号に対する前記積分手段の積分信号に基づいて前記物体までの距離に関連した信号を形成する受光装置とするものである。
また、本発明は、物体からの光を受光し、該光の受光位置に応じて前記物体までの距離に相応した信号を出力する第1の受光手段と、前記第1の受光手段が物体からの光を受光できる距離の遠距離側に物体が存在する場合に該物体からの光を受光する、前記第1の受光手段とは異なる特性の第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段からの信号を選択的に積分する積分手段とを有し、前記第1、第2の受光手段からのそれぞれの信号に対する前記積分手段の積分信号に基づいて前記物体までの距離に関連した信号を形成する受光装置とするものである。
〔実施例〕
以下本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
第1図は本発明に係るアクティブ型測距装置に於ける信号光の反射光を受光する受光手段としての受光センサの構造を示す外形図である。第1図(a)はそのセンサ構造の第1の実施例を示し、図中10及び11はSPCで、第2の受信手段としての1対のSPCセンサを構成している。12及び13は、各々SPC10及び11からの出力リード線である。14は第1の受信手段としてのPSDで、15及び16は、その2出力リード線である。
17は投光素子(IRED)より投射された信号光が遠距離側にて反射された場合の反射光の受光スポット像、IRED17より投射された信号光が近距離側にて反射された場合の反射光の受光スポット像である。そして遠距離側では、受光スポット像17によるSPC10及び11の出力電流を後述する電気回路により演算し、測距情報を得るものである。又、近距離側では、受光スポット像18によるPSD14からの出力電流により同様の回路演算を行い測距情報を得るものである。第1図(b)は受光センサの構造の第2の実施例を示すもので、第1図(a)との相異点は、SPC10′及び11′が三角形の形状をしている点にある。この目的は、2受光素子10′及び11′に測距可能範囲を拡大する点にある。
以上のSPC及びPSDは単一シリコンチップ上に構成されてもよいし、別チップ上に作られハイブリッド状にアセンプリされてもかまわない。尚、第1図中FSPC及びNSPCは各々遠側及び近側のSPC出力を表わし、FPSD及びNPSDは各々遠側及び近側のPSD出力を表わしている。
第2図は第1図の受光センサの出力を入力する電気回路の実施例を示す回路図である。第2図中19は前述のアクティブ方式の測距を行う為に測距方向に信号光を投射する信号投射手段としてのIRED120はIRED19を駆動する駆動回路、21は前記受光センサを構成するPSD及びSPCの遠距離(FAR)側信号増巾用のOPアンプ、22はその負帰還抵抗、23及び24はアナログスイッチで、SPC出力とPSD出力の選択を行う。25は前記受光センサを構成するPSD及びSPCの近距離(NEAR)側信号増巾用のOPアンプ、26はその負帰還抵抗、27及び28はアナログスイッチで、SPC出力とPSD出力の選択を行う。29及び30はハイパスフィルターを構成するコンデンサ、35は反転増巾器を構成するOPアンプである。31、32及び36は抵抗で加算器を構成する。33、34、37及び38はアナログスイッチで、そのオン-オフにより前記受光センサのFAR側の信号とNEAR側の信号を、加算したり、一方の信号のみを増巾したりする選択を行う。41はOPアンプで抵抗39及び40で、増巾度1の反転増巾器を構成する。46は積分器を構成するOPアンプで、47はその負帰還路に設けられた積分用のコンデンサ、48はコンデンサ47をリセットする為のアナログスイッチ、42及び43は積分電流を決定する抵抗、44及び45はアナログスイッチでIRED19の点滅周期と同期してオン-オフし、IRED19から投射される信号光の反射光を同期検波するものである。49はコンパレータ、61、62、63はインバータ、50は以上の各アナログスイッチのオン、オフや、IRED19の駆動を制御したり、測距演算等を行う為のマイクロコンピュータ等で構成される制御回路である。
以上の様に構成された本回路は公知の二重積分動作により測距情報を得るものであるが、二重積分により測距情報を得る方式そのものはUSP4720723等で公知であるのでここでは詳述はしない。
次に第2図の回路の動作を制御回路50の動作を示す第4図のフローチャートに従って説明する。
不図示のシャッタレリーズ釦の第1ストロークに応答して制御回路50はアナログスイッチ23及び28をオンし、アナログスイッチ24及び27をオフして、PSDモードを選択する。この状態では、OPアンプ21及び25の出力には第1図のPSD14のFAR側及びNEAR側の出力電流に対応した電圧が発生する。次に制御回路50より駆動回路20へ信号が送られ、IRED19の点滅駆動が開始される。そして、制御回路50はアナログスイッチ33及び38をオンにし、アナログスイッチ34及び37をオフにすると、抵抗32とアナログスイッチ38の接続点の電位はVcになる為、OPアンプ25のNEAR側の出力は、加算されず、OPアンプ35の出力には、OPアンプ21のFAR側出力のみが増巾されて出力されることになる。この出力とOPアンプ41の反転出力とアナログスイッチ44及び45の周期検波作用により、積分用コンデンサ47は第3図に示す如く、T期間(一定)下降積分されていくことになる。T期間が終了すると、アナログスイッチ33及び37がオンし、アナログスイッチ34及び38はオフして、OPアンプ21のFAR側出力及びOPアンプ25のNEAR側出力ともOPアンプ35で加算され、該OPアンプ35の出力は(FAR+NEAR)の信号に対応することになる。この出力とOPアンプ41の反転出力と、アナログスイッチ44及び45の周期検波作用により、積分用コンデンサー47は第3図に示す如く、今度は上昇積分されていくことになる。この積分出力がVcレベルに達すること、コンパレータ49の出力CPはHレベルに反転し、積分動作を終了する。そして制御回路50はこの上昇積分時間tにより被写体距離情報を算出する。
次にこの距離情報が遠距離と判定された時は、アナログスイッチ24及び27をオン、アナログスイッチ23及び28をオフにしてSPCモードを選択する。このモードで更に再度、前述の様な二重積分動作を行い、測距情報を出し直す。尚、前記距離情報が近距離と判定された時は、この再測距動作は行わない。
以上の様に、この実施例ではまずPSDモードで測距動作を行い、その結果が遠距離の場合は再度SPCモードで測距を行うことにより、遠距離側での測距精度向上を計っているものである。
次に、本発明の他の実施例を示す。
本実施例ではまずSPCを選択して、遠側の測距動作を行い、このSPCから出力電流が発生しない場合は、PSDを選択して近距離側の測距動作を行わせる様にしたものである。
第5図は第2図の受光センサの出力を入力する本実施例の電気回路である。本回路は第2図の回路とほとんど同じであるが、後述するSMALL1レベル及びSMALL2レベルを作る為に、抵抗51、52及び56、アナログスイッチ53、54及び55が付加されている。尚、第5図中第2図と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。SMALL1レベル判定の時はアナログスイッチ55がオン、アナログスイッチ53及び54がオフして、抵抗52と56の分圧点の電圧レベルが、コンパレータ49の参照レベルになる。SMALL2レベル判定の時はアナログスイッチ54がオン、アナログスイッチ53及び54がオフして抵抗51と52の分圧点の電圧レベルがコンパレーター49の参照レベルになる。アナログスイッチ53がオンでアナログスイッチ54及び55がオフの時はVcが参照レベルになり、通常の上昇積分の打切り判定に使われる。
次に、第5図の回路の動作を第6図のフローチャートに従って説明すると、まず、アナログスイッチ24及び27をオンし、アナログスイッチ23及び28をオフしてSPCを選択し、IRED19の点滅駆動を行う。次に、第2図の実施例で説明したのと同様にFAR側の信号で下降積分をT時間(一定)を行う。この積分レベル(INT)がSMALL1レベル以下となった時は、被写体が遠距離側にあるということで次に(FAR側+NEAR側)の信号で上昇積分を行い、tの時間より測距情報を演算する。一方上記FAR側の下降積分値がSMALL1レベルに達しない場合は、この積分値をアナログスイッチ48によりリセットし、PSDに切換える。次にPSDのFAR側の信号で下降積分をT時間行う。この積分レベル(INT)がSMALL2レベル以下となった時は、被写体がPSDの測距可能範囲内にあるということで、次に(FAR側+NEAR側)の信号で上昇積分を行いtの時間より測距情報を演算する。一方、上記FAR側の下降積分値がSMALL2レベルに達していない場合は、SPCからもPSDからも出力信号がないいうことになるので測距情報は無限遠と判定される。
次に、本発明の更に他の実施例を第7図に示す。第7図はアクティブ型多点測距用の受光センサ構造を示すものである。図中56及び57は画面の中心部測距用のSPC対、58は画面の中心部測距用のPSD159及び60は画面の両側周辺部測距用のPSDである。
PSD58、59及び60のFAR側の出力端子は全て共通に接続されFPSD端子として出力される。又、NEAR側の出力端子も全て共通に接続されNPSD端子として出力される。SPC対56、57のFAR側の出力端子及びNEAR側の出力端子は、各々FSPC端子及びNSPC端子として出力される。
測距方式は、最初、画面の中心部に対して信号光を投射し、その反射光を中心部測距用のSPC対56、57及びPSD、58で受光し、前記実施例と同様に測距し、その後画面の両側周辺部に対して順次信号光を投射し、その反射光を周辺部測距用のPSD59及び60で受光し、前記実施例と同様に測距すればよい。
尚、上記信号光を投射する投光手段は3連のIREDを用いればよい。又、周辺部測距でSPCを用いていないのは、周辺部は中心部に比べて、それ程測距精度が要求されないからである。
(発明と実施例の対応)
以上の実施例に於いて、PSD14又はPSD58が本発明の第1の受光手段に、SPC10、11又は、SPC10′11′又は、SPC56、57が本発明の第2の受光手段に、OPアンプ46、積分用コンデンサ47が本発明の積分手段に、それぞれ相当する。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、物体迄の距離に関連した信号を形成する装置の精度の向上が図れるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る実施例の受光センサの構造を示す外形図で、
第1図(a)はその第1の例、第1図(b)はその第2の例、
第2図は第1図の受光センサの出力を入力する電気回路の実施例を示す回路図、
第3図は第2図の回路の積分波形図、
第4図は第2図の回路の動作を示すフローチャート、
第5図は第1図の受光センサの出力を入力する他の実施例の電気回路を示す回路図、
第6図は第5図の回路の動作を示すフローチャート、
第7図は本発明の更に他の実施例を説明する受光センサの外形図である。
10、11……SPC
14……PSD
17、18……受光スポット像
46……OPアンプ
47……積分用コンデンサ
56、57……SPC
58、59、60……PSD
 
訂正の要旨 (1)特許第2670460号発明の明細書中、請求項1において、「物体からの光を受光するための第1の受光手段と、前記第1の受光手段が物体からの光を受光できる距離範囲のうち遠距離側の一部距離範囲に物体が存在する場合に該物体からの光を受光する第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段からの信号を選択的に積分する積分手段とを有し、前記第1、第2の受光手段からのそれぞれの信号に対する前記積分手段の積分信号に基づいて前記物体までの距離に関連した信号を形成することを特徴とする受光装置。」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として「物体からの光を受光するための第1の受光手段と、前記第1の受光手段が物体からの光を受光できる距離範囲のうち遠距離側の一部距離範囲に物体が存在する場合に該一部距離範囲に存在する物体からの光を受光し該一部距離範囲外に存在する物体からの光を受光しない前記第1の受光手段の受光部の面積よりも狭い受光部の面積を有する第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段からの信号を選択的に積分する積分手段とを有し、前記第1、第2の受光手段からのそれぞれの信号に対する前記積分手段の積分信号に基づいて前記物体までの距離に関連した信号を形成することを特徴とする受光装置。」と訂正する。
(2)特許第2670460号発明の明細書中、請求項2において、「物体からの光を受光するための第1の受光手段と、前記物体の距離が変化することにより変位する前記第1の受光手段の前記物体からの光の受光位置の変位方向とは異なる位置に設けられ、前記第1の受光手段が物体からの光を受光できる距離範囲のうちの一部距離範囲に物体が存在する場合に該物体からの光を受光する第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段からの信号を選択的に積分する積分手段とを有し、前記第1、第2の受光手段からのそれぞれの信号に対する前記積分手段の積分信号に基づいて前記物体までの距離に関連した信号を形成することを特徴とする受光装置。」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として「物体からの光を受光するための第1の受光手段と、前記物体の距離が変化することにより変位する前記第1の受光手段の前記物体からの光の受光位置の変位方向とは異なる位置に設けられ、前記第1の受光手段が物体からの光を受光できる距離範囲のうちの一部距離範囲に物体が存在する場合に該一部距離範囲に存在する物体からの光を受光し該一部距離範囲外に存在する物体からの光を受光しない前記第1の受光手段の受光部の面積よりも狭い受光部の面積を有する第2の受光手段と、前記第1、第2の受光手段からの信号を選択的に積分する積分手段とを有し、前記第1、第2の受光手段からのそれぞれの信号に対する前記積分手段の積分信号に基づいて前記物体までの距離に関連した信号を形成することを特徴とする受光装置。」と訂正する。
(3)特許第2670460号発明の明細書において、明りょうでない記載の釈明を目的として、発明の詳細な説明を前記(1)、(2)に対応させるべく訂正する。
異議決定日 1999-06-22 
出願番号 特願平2-114600
審決分類 P 1 652・ 121- YA (G01C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 居島 一仁  
特許庁審判長 高瀬 浩一
特許庁審判官 森 雅之
島田 信一
登録日 1997-07-04 
登録番号 特許第2670460号(P2670460)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 受光装置  
代理人 丸島 儀一  
代理人 伊藤 進  
代理人 丸島 儀一  

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