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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 産業上利用性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1004688
審判番号 審判1997-21288  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-12-18 
確定日 1999-10-20 
事件の表示 平成3年特許願第206259号「所定期間内の生産計画用データ管理方法」拒絶査定に対する審判事件(平成5年9月24日出願公開、特開平5-246514)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I 本願は、平成3年7月23日の出願であって、その請求項1及び2に係る発明は、平成10年1月19日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】生産計画に対応した、所定期間にわたる資材調達計画および資材在庫に関するデータを情報処理装置により管理する生産計画用データ管理方法において、
前記生産計画、前記資材調達計画および前記資材在庫の初期設定データと、単位期間あたりの前記資材在庫の許容範囲とを記憶し、
前記生産計画の変更データを入力し、
前記所定期間内の次の管理時日における、その時点に続く所定の前記単位期間ごとの、前記変更データに基づく新たな資材在庫データを算出して前記初期設定データに反映させ、
当該算出値が前記許容範囲に入っていない前記単位期間については、そこでの前記資材調達計画データの設定値を変更するとともに、これに対応して資材在庫データを修正する、
といった一連の処理を繰り返すことを特徴とする所定期間内の生産計画用データ管理方法。
【請求項2】 前記所定期間を資材単位で設定したことを特徴とする請求項1記載の所定期間内の生産計画用データ管理方法。」
II.これに対して、原審において通知された拒絶の理由1の概要は、次のとおりのものである。
「必要資材を調達する場合において、在庫量の許容範囲を設定し、算出した日々の資材在庫量との比較に基づいて資材調達を策定することは、生産活動または営業活動上の条件や考察に基づいた一種の取り決めまたは計画であって、自然法則を利用した技術的思想の創作には該当しない。
そうすると、各請求項に規定されたものは、自然法則を利用した技術的思想の創作ということはできず、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。」というものである。
III.そこで、上記理由につき検討すると、
審判請求人は、上記拒絶の理由に対し原審においては、指定期間内に意見書を提出しておらず、審判請求理由補充書において初めて、次のように主張している。
「本願発明は、上述のように、所定期間にわたる資材調達計画および資材在庫に関するデータを情報処理装置により管理することを前提とし、また、その課題は、生産計画の変動が生じたときの、その後の日々(単位期間)の資材調達計画の修正対象を最小限度に抑え、かつ、必要な修正に対して迅速に対応することです。
そして、この課題の解決手段は、上述のように、
▲1▼生産計画、資材調達計画および資材在庫の初期設定データと、単位期間あたりの当該資材在庫の許容範囲とを記憶し、
▲2▼前記生産計画の変更データを入力し、
▲3▼前記所定期間内の次の管理時日における、その時点に続く所定の前記単位期間ごとの、前記変更データに基づく新たな資材在庫データを算出して前記初期設定データに反映させ、
▲4▼当該算出値が前記許容範囲に入っていない前記単位期間については、そこでの前記資材調達計画データの設定値を変更するとともに、これに対応して資材在庫データを修正する、
といった、情報処理装置のハードウェア資源を用いた一連の処理です。
この解決手段はコンピュータのハードウェア資源がどのように用いられて処理されるかを直接的に示す具体的な事項であり、本願発明が、生産活動または営業活動上の条件や考察に基づいた一種の取り決めまたは計画などではなく、自然法則を利用した技術的思想の創作に相当する、すなわち特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たすことは明らかです。」
しかしながら、上記▲1▼の「生産計画、資材調達計画および資材在庫の初期設定データと、単位期間あたりの当該資材在庫の許容範囲とを記憶し」、上記▲2▼の「前記生産計画の変更データを入力し」、及び上記▲3▼の「前記所定期間内の次の管理時日における、その時点に続く所定の前記単位期間ごとの、前記変更データに基づく新たな資材在庫データを算出して前記初期設定データに反映させ」とのことは、本願の発明の課題である「生産計画に対応の所定期間にわたる資材調達計画データを初期設定し、当該所定期間内の任意の時点で、例えばそれ以降の毎日の、生産計画変動に基づく新たな資材在庫を算出し、それが許容範囲値を超える日についてのみ資材調達計画データを変更することにより、生産計画の初期設定後にその変動が生じたときの資材調達計画の修正を最小限度に抑え、かつ、必要な修正に対しては迅速に対応できるようにすることを目的とする。」の提示に必然的に伴う一連の仕事の処理手順に、単に、ハードウェア資源の入力手段、記憶手段を用いるということを明示しているにすぎず、本願発明の課題の解決手段とみることはできない、また、上記▲4▼の「当該算出値が前記許容範囲に入っていない前記単位期間については、そこでの前記資材調達計画データの設定値を変更するとともに、これに対応して資材在庫データを修正する」とのことは、人為的な取決めのみを利用したものである。
そうすると、本願の請求項1に係る発明において、自然法則を利用した課題の解決手段は、「情報処理装置(コンピュータ)のハードウエア資源を用いた所定期間内の生産計画用データ管理方法」であり、しかも、本願の請求項1には、情報処理装置(コンピュータ)のハードウエア資源がどのように用いられて所定期間内の生産計画用データ管理の処理がなされるかを直接的又は間接的に示す具体的な事項が記載されていなから、本願の請求項1に係る発明において、自然法則を利用した課題の解決手段は「情報処理装置(コンピュータ)を用いて処理すること」のみである。
したがって、本願の請求項1に係る発明は、単に、コンピュータのハードウェア資源を用いて処理するのみであるので、特許法第2条に定義された「発明」に該当しない。
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、「前記所定期間を資材単位で設定したこと」との限定を付加するものであるから、本願の請求項2に係る発明も、請求項1に係る発明の場合と同様の理由により、特許法第2条に定義された「発明」に該当しない。
IV.以上のように、本願の請求項1及び2に係る発明は、特許法第2条に定義された「発明」に該当せず、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-07-28 
結審通知日 1999-08-10 
審決日 1999-08-19 
出願番号 特願平3-206259
審決分類 P 1 8・ 14- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 161- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 相田 義明氏家 康宏  
特許庁審判長 森田 信一
特許庁審判官 久保田 健
斉藤 操
発明の名称 所定期間内の生産計画用データ管理方法  
代理人 田中 治幸  

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