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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1005115
異議申立番号 異議1998-70913  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-12-04 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-02-27 
確定日 1999-10-25 
異議申立件数
事件の表示 特許第2646821号「半導体製造装置」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2646821号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 I. 本件各特許発明
本件特許第2646821号(平成2年9月10日国内優先出願(原出願日平成2年2月17日)、平成9年5月9日設定登録)の請求項1ないし請求項4に係る各特許発明(以下、これらをそれぞれ「第1特許発明」ないし「第4特許発明」のように表示する。)の要旨は、「特許請求の範囲」の欄に記載された次のとおりのものである。
「1)複数のウエーハが装填された大気中にあるキャリアカセットとロードロック室との間のウエーハの受渡しを行う大気搬送装置が配置された大気搬送部と;ウエーハに薄膜加工処理を行う反応室と;該反応室と前記大気搬送部との間に位置し、送り込まれたウエーハを次工程への移動まで待機させる,前記大気搬送部側にゲートバルブを備えた第1のロードロック室と、該第1のロードロック室と反応室との間に位置し該第1のロードロック室と反応室との間のウエーハ受渡しを真空雰囲気中で行う真空ロボットを内蔵する,反応室側に反応室と結合されるゲートバルブを備えた第2のロードロック室とをゲートバルブを介して結合してなり、反応室へ向かう処理前のウエーハと大気側へ向かう処理後のウエーハとが通過する往復搬送2重ロードロック方式の真空搬送部と;を備えてなる半導体製造装置において、前記第1のロードロック室内に、大気側から処理前のウエーハを受け取るローディングウエーハステージと,反応室から真空搬送ロボットによりアンローディングされたウエーハを受け取るアンローディングウエーハステージとが、一平面内にかつ前記大気搬送装置と反応室とを結ぶ直線にほぼ直角の方向に該直線を挟んで配されていることを特徴とする半導体製造装置。」、
「2)複数のウエーハが装填された大気中にあるキャリアカセットとロードロック室との間のウエーハの受渡しを行う大気搬送装置が配置された大気搬送部と;ウエーハに薄膜加工処理を行う反応室と;該反応室と前記大気搬送部との間に位置し、送り込まれたウエーハを次工程への移動まで待機させる,前記大気搬送部側にゲートバルブを備えた第1のロードロック室と、該第1のロードロック室と反応室との間に位置し該第1のロードロック室と反応室との間のウエーハ受渡しを真空雰囲気中で行う真空ロボットを内蔵する,反応室側に反応室と結合されるゲートバルブを備えた第2のロードロック室とをゲートバルブを介して結合してなり、反応室へ向かう処理前のウエーハと大気側へ向かう処理後のウエーハとが通過する往復搬送2重ロードロック方式の真空搬送部と;を備えてなる半導体製造装置において、前記第1のロードロック室内に、大気側から処理前のウエーハを受け取るローディングウエーハステージを上段に,反応室から真空搬送ロボットによりアンローディングされた処理後のウエーハを受け取るアンローディングウエーハステージを下段に配した2層構造のウエーハステージが配置されていることを特徴とする半導体製造装置。」、
「3)請求項第2項に記載の半導体製造装置において、ウエーハステージに載置されるウエーハのあるべき中心を重心位置とする,ウエーハの搬送方向の2辺の間隔がウエーハの直径よりも大きく搬送方向と直角方向の2辺の間隔がウエーハの直径よりも小さい,ウエーハ面と同方向の長方形の各頂点位置に移動片が配され、ウエーハの搬送方向に並ぶそれぞれ2個の移動片がそれぞれ搬送方向の配列と間隔とを維持しつつウエーハの搬送方向と直角方向にかつ互いに同時に等量近接するように移動して移動片がウエーハの周縁に当り、移動片の移動が停止するまでウエーハを面内で移動させるセンタリング機構が第1のロードロック室に設けられていることを特徴とする半導体製造装置。」、
「4)請求項第1項または第2項に記載の半導体製造装置において、ローディングウエーハステージおよびアンローディングウエーハステージがそれぞれ、ウエーハが載置される上面側に、周方向に間隔をおいて複数、上面もしくは上辺がウエーハステージの内側下方へ傾いた支持片を備え、ウエーハが該支持片の傾いた上面もしくは上辺により周縁で支持されることを特徴とする半導体製造装置。」。
II. 特許異議申立ての理由の概要
特許異議申立人吉川喜一郎は、
(1)第1特許発明は、甲第1号証に記載された「半導体ウエーハ処理装置」に甲第2号証に記載された「一対の対向して配設されたロードロック室(3,3)」又は甲第3号証に記載された「ウエーハ搬送装置」を単に寄せ集めることにより、当業者が容易に想到し得たものである、
(2)第2特許発明は、甲第1号証に記載された発明に甲第4号証に記載された「保管エレベータ組立体(50)を備えた複数の装填ロックチャンバ(14〔A〕)」を組み合せることにより、当業者が容易に想到し得たものである、
(3)甲第5号証には、「可動の位置決め部材(3〜6)」が記載されており、第3特許発明は、甲第1号証、甲第4号証及び甲第5号証に記載されたものを単に寄せ集めることにより、当業者が容易に想到し得たものである、
(4)甲第6号証には、「傾斜状の支持面(5a,5b,5c)をもつ支持突起(4a,4b、4c)を有する治具本体(3)」が記載されており、第4特許発明は、甲第1号証、甲第2号証及び甲第6号証に記載されたものを単に寄せ集めることにより、当業者が容易に想到し得たものである、
から、本件特許の各特許発明については特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができなかったものであり、よって、本件特許は、特許法第113条第1項第2号に掲げる特許に該当するから、同条同項の規定により取り消されるべきものであると主張している。
III. 甲第1号証ないし甲第4号証の記載事実
1.甲第1号証の記載事実
特許異議申立人が甲第1号証として提出した特開平1-135015号公報には、
▲1▼「この発明は、半導体ウエハのプロセス処理として、ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマを用いてプラズマCVD、ないしエッチング等の処理を行う半導体ウエハ処理装置に関する。」(第2頁左上欄第6〜9行)、
▲2▼「第1図において、プロセス反応室1の側方には第1ロック室15と第2ロック室16とが直列に連接配備されている。また各ロック室は個々に真空排気系17,18を装備し、かつプロセス反応室1と第1ロック室15との間,第1ロック室15と第2ロック室16との間,および第2ロック室16と室外大気側との間にはそれぞれの通路を個別に仕切る真空仕切弁19,20,21を備えている。 さらに第2ロック室16には室外より搬入されたウエハを一時的に受容保持する中継受け渡し機構22が配備されている。この中継受け渡し機構22はウエハ14の処理面を保護するようにウエハの外周マージン部を坦持するウエハ保持具を室外の駆動部で上下移動操作するようにしたものである。一方、第1ロック室15にはプロセス反応室1のウエハ保持機構11との間,および前記した第2ロック室内の中継受け渡し機構22との間でウエハを移送、受け渡し操作するハンドリング機構23が装備されている。このハンドリング機構23は従来より使用されているフロッグアーム方式のメカニカルパンタグラフ型ロボットであり、その先端に取付けてウエハの外周マージン部を担持するハンド部を室外の駆動部で水平、上下移動操作するようにしたものである。また第2ロック室16に対向して室外大気側にはカセット13と第2ロック室内の中継受け渡し機構22との間でウエハ14の移送,受け渡しを行うハンドリング機構24が配備されている。このハンドリング機構24は処理面を上向けにしてカセット13内に収容されているウエハを一枚宛取り出した後に、ウエハを表裏を逆転して第2ロック室内の中継受け渡し機構22に受け渡すようにした,いわゆるフェイスダウン搬送方式のロボットであり、……このハンドリング機構24は周囲の作業空間を清浄化するクリーンベンチ27等のクリーンルーム機器内据付けられている。」(第4頁右上欄第5行〜右下欄第3行)、
▲3▼「次に上記構成によるウエハの搬送,処理操作に付いて順を追って説明する。まずプロセス反応室1.および第1ロック室15は常時真空排気系9,17により所定の真空圧に保持されている。ここで未処理ウエハを収容したカセット13をクリーンベンチ27内の所定位置にセットし、真空仕切弁21を開いて第2ロック室16を大気側に開放した状態でハンドリング機構24の操作でカセット13より一枚のウエハ14を取り出し、……ウエハ14を第2ロック室内の中継受け渡し機構22に受け渡してここに受容保持させる。」(第4頁右下欄第4〜16行)、
▲4▼「ここでウエハのプロセス処理が終了すると、前記したウエハの搬入操作と逆な順序で処理済みのウエハ14がプロセス反応室1より第1ロック室15,第2ロック室16を経て室外配備のハンドリング機構24に受け渡され、ここでハンドリング機構24は待機中のカセット13へ…ウエハ14を…収容する。これで一枚のウエハに付いての一連の工程が終了し、続いて次のウエハを前記と同様な操作でプロセス反応室内に搬入して所定の処理を行う。」(第5頁右上欄第15行〜左下欄第5行)、
と記載されている。
2.甲第2号証の記載事実
特許異議申立人が甲第2号証として提出した特開平1-251734号公報には、
「以下、本発明をマルチチャンバ型CVD装置に適用した一実施例について図を参照して説明する。 中央部に配置されたウエハ搬送室1の一方には、これを挟んで両側に夫々ウエハキャリア2を収容するロードロック室3が配設されており、また、ウエハ搬送室1の他方には、ウエハ搬送室1を中心としてほぼ90゜の角度間隔をおいて3つのチャンバ4a、4b、4cが同心円上に配設されている。 ウエハ搬送室1内には、各ロードロック室3内のウエハキャリア2とウエハ搬送室1間で、半導体ウエハ5の搬送を行うためのロードロック室側搬送機構6と、このロードロック室側搬送機構6により搬送室1に搬送された半導体ウエハ5を各処理室4a、4b、4cの所定の処理室へと搬送するための処理室側搬送機構7、そして、これら両搬送機構6、7の間に設けられ、両搬送機構6、7により搬送された半導体ウエハ5を一時収容するためのバッファ棚8が設けられている。 このようなCVD装置における半導体ウエハの処理は、まず、ロードロック室側搬送機構6のウエハ保持部例えば搬送アーム6a等により、ウエハキャリア2から所定の半導体ウエハ5を取出して、これを搬送室1内のバッファ棚8へ移送する。そして、処理室側搬送機構7のウエハ保持部例えば搬送アーム7aにより、このバッファ棚8から所定の半導体ウエハを取出し、所定のチャンバヘと搬送し、一連の処理を行う。処理終了後の半導体ウエハは、上記動作と逆の動作で搬送して所定のウエハキャリアへ収容する。」と記載されている(第2頁右上欄第18行〜右下欄第8行)。
そして、図面第1図には、ロードロック室3,3内に、それぞれウエハキャリア2,2が収容されている様子が示されている。
3.甲第3号証の記載事実
特許異議申立人が甲第3号証として提出した特開平1-238135号公報には、
第1図ないし第2図に関し、「30A〜30Dはそれぞれサイズの異なるウエハ1A〜1Dを水平かつ等間隔に複数枚収納したウエハカセットで、各々のウエハカセット30A〜30Dと第1のハンドリング機構23の旋回中心である図中の0点との間の距離がすべて等しくなるように同一円周上に固定配置されている。…… 31はサイズの異なるウエハ1A〜1Dのそれぞれに適合する円形状の凹溝32a〜32dが段状に形成されるとともに支持台26のウエハ支持部26aが進入できるように切り欠き33が形成された搭載台で、上述のウエハカセット30A〜30Dと同一の円周上に固定配置されている。そして、この搭載台31とウエハカセット30A〜30Dとから未処理ウエハを待機させておくウエハ供給ステーション34が構成されている。なお、他のステーションで処理されたウエハは再びこのウエハ供給ステーション34にもどる。」と記載されており(第4頁左上欄第13行〜右上欄第12行)、
また、第5図に関して、「第5図は防塵対策を施した本発明に係るウエハ搬送装置を示すもので、第1図及び第2図に示したウエハ搬送装置と相違する点は、第1のハンドリング機構23と中継受け渡し機構38との間、中継受け渡し機構38と第2のハンドリング機構42との間、及び第2のハンドリング機構42と処理ステーション58との間にそれぞれ真空仕切弁59a,59b,59cを設け、中縦受け渡し機構38、第2のハンドリング機構42、及び処理ステーション58をそれぞれ第1の真空準備室60、第2の真空準備室61、及び真空処理室62内に収納した点にある。すなわち、室外大気側に配置されたウエハ供給ステーション34に待機しているウエハを、通常は真空圧に保持されその内部に収納された中継受け渡し機構38が室外の第1のハンドリング機構23との間でウエハの受け渡しを行う時にのみ大気圧に開放される第1の真空準備室60と常時真空圧に保持されている第2の真空準備室62〔「61」の誤記と認められる。〕とを経由して、真空処理室62内に収納された処理ステーション58へ搬送する構成とした」と記載されている(第6頁右上欄第12行〜左下欄第12行)。
4.甲第4号証の記載事実
特許異議申立人が甲第4号証として提出した特開昭63-252439号公報には、
▲1▼「第1図及び第2図を参照すれば、本発明の多チャンバ総合処理システム10(「多チャンバシステム」とも称する)は、包囲された一般に五角形のメインフレーム即ちハウジング12を含んでいる。このハウジング12は、包囲された真空装填ロックエンクロージャ即ちチャンバ14を形成する5つの側壁13-13を備えている。 ここに示す例ではチャンバ16、18、20及び22である多数の真空処理炉(即ちチャンバ)が、装填ロックハウジングの関連する側壁に各々1つづつ取り付けられている。」(第7頁右下欄第20行〜第8頁左上欄第10行)、
▲2▼「外部のカセットエレベータ24は、ここに示す例ではカセット26及び28である多数のカセットを、ウェハ15-15が水平になるように垂直位置に保持する。」(第8頁左上欄第11〜14行)、
▲3▼「処理チャンバ16-22と、それに関連するメインフレーム壁13-13も、装填ロックスーリット36と類似或いは同一の連通スリット36-36を備えている。これらのアクセススリット36をシールするためにドア即ちスリットバルブ38が設けられている。」(第8頁右上欄第14〜19行)、
▲4▼「装填ロックチャンバは、内部の保管エレベータ組立体50を備えており、このエレベータ組立体50は、ここに示す例では8つまでである多数のウェハ15-15を水平支持プレート54に保持する。このエレベータ50は、後述するように装填ロックロボットブレード組立体84によってウェハの装填及び取外しを行なうためにウェハを垂直位置56に配置するようにウェハを垂直にインデックスさせる。 典型的に、内部の保管エレベータカセット組立体50は、ベースプレート58とスロット付きの垂直フロントプレート59とを備えており、この垂直フロントプレート59には水平のウェハ支持プレート54-54が取り付けられている。」(第8頁左下欄第6〜19行)、
▲5▼「ロボット式ウェハ移送システム80は、ウェハ15-15を外部エレベータ24と内部エレベータ50との間と、内部エレベータ50と各処理チャンバ16-22との間と、各処理チャンバ16-22間とに移送するために、装填ロックチャンバ12〔「14」の誤記と認められる。〕内に取り付けられている。ロボット80は、同心シャフト回転駆動システム82を含んでおり、この駆動システム82は、二重の4バーリング機構86を通じて、ブレード組立体64〔「84」の誤記と認められる。〕へ可逆的なR-θ運動を与えて、カセット-エレベータ、エレベータ-チャンバ及びチャンバ-チャンバの希望のウェハの移送を行う。」(第8頁右下欄第16行〜第9頁左上欄第71行)、
と記載されている。
また、▲6▼「第20図を参照すれば、外部のエレベータ24が使用されていないことを除いてはシステム10と本質的に同一ものである別のシステム(実際には、2つのシステム)の1つの例が示されている。」(第15頁左下欄第3〜7行)、
▲7▼「ここに示すシステム10Aは、装填ロック機構14Aとロボット80A(これらは、基礎システム10の対応する素子と本質的に同一のものとすることができる)を使用してウェハ15-15を保管エレベータ50Aとそれに関連するチャンバ16A-22Aとの間に移送することができる。メインの基礎システムの装填ロック機構14とロボット80は、ウェハを追加システム10Aの保管エレベータ50Aと基礎システムとの間で移送するために使用される。」(第15頁右下欄第2〜12行)、
とも記載されている。
IV. 対比・判断
1.第1特許発明及び第2特許発明は、甲第1号証に記載された発明ないし甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとの点について
(1)甲第1号証ないし甲第4号証にそれぞれ記載された発明は、第1特許発明と第2特許発明に共通の構成要件である、
「送り込まれたウエーハを次工程への移動まで待機させる、前記大気搬送部側にゲートバルブを備えた第1のロードロック室」、「第1のロードロック室」と「第2のロードロック室」とを介して結合する「ゲートバルブ」及び「前記第1のロードロック室内に、大気側から処理前のウエーハを受け取るローディングウエーハステージ」と「反応室から真空搬送ロボットによりアンローディングされた〔処理後の〕ウエーハを受け取るアンローディングウエーハステージ」
の構成を備えていない。
(2)甲第2号証に記載された発明は「ロードロック室3、3」と「各チャンバないし処理室4a、4b、4c」との間に「バッファ棚8」を介在させるものであるから、同発明における「ロードロック室3、3」は、甲第1号証に記載された発明における、「第2ロック室」内の「中継受け渡し機構22」(甲第2号証に記載された発明における「バッファ棚8」に対応すると解される。)との間で「ウエハ14」の移送・受け渡しを行う「クリーンベンチ27」に対応するものと解される。そうである以上、甲第2号証にロードロック室が2つ記載されているからといって、甲第1号証に記載された発明における「第2ロック室16」に、2つの中継受け渡し機構を配し、これらの一方をローディングウエーハステージに、他方をアンローディングウエーハステージとすることが、甲第1号証及び甲第2号証それぞれの記載から示唆されるとは言えない。
また、甲第3号証に記載された発明における「ウエハ供給ステーション34」は、甲第1号証に記載された発明における「クリーンベンチ27」に対応するものと解される。そうである以上、甲第3号証に「ウエハ供給ステーション34」内に「ウエハカセット30A〜30D」と「搭載台31」が配置されているからといって、甲第1号証に記載された発明における「第2ロック室16」に、2つの中継受け渡し機構を配し、これらの一方をローディングウエーハステージに、他方をアンローディングウエーハステージとすることが、甲第1号証及び甲第3号証それぞれの記載から示唆されるとは言えない。
更に、甲第4号証に記載された発明は、1つの「装填ロックチャンバ14」内に「保管エレベータ組立体ないし内部エレベータ50」(甲第1号証に記載された発明における「中継受け渡し機構22」に対応すると解される。)及び「ロボット式ウェハ移送システムないしロボット80」(甲第1号証に記載された発明における「ハンドリング機構23」に対応すると解される。)を備えたものであるが、甲第1号証に記載された発明は、「中継受け渡し機構22」と「ハンドリング機構23」を互いに「真空仕切弁20」で仕切られた「第2ロック室16」と「第1ロック室15」とにそれぞれ配置し、ウエーハの1枚毎の搬送の度に上記「真空仕切弁20」を開閉するものである。そうすると、甲第1号証に記載された発明と甲第4号証に記載された発明は、異なる型式に係るものである。したがって、甲第1号証に記載された発明に甲第4号証に記載された発明を適用することが当業者にとって容易であるとすることはできない。
なお、特許異議申立人は、甲第4号証の第20図に示されている「装填ロックチャンバ14」及び「装填ロックチャンバ14A」が、それぞれ、第1特許発明及び第2特許発明における「第1のロードロック室」及び「第2のロードロック室」に相当すると主張しているが、上記「装填ロックチャンバ14」及び「装填ロックチャンバ14A」は、いずれも第1特許発明及び第2特許発明における「第1のロードロック室」の機能と「第2のロードロック室」の機能を兼ね備えているものであるから、甲第4号証に記載された発明の「装填ロックチャンバ14」及び「装填ロックチャンバ14A」が、それぞれ、甲第1号証に記載された発明における「第2ロック室16」及び「第1ロック室15」に対応するものでないことは明らかである。
(3)以上のとおりであるから、第1特許発明及び第2特許発明は、甲第1号証に記載された発明ないし甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
2.第3特許発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第4号証に記載された発明及び甲第5号証に記載され発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、第4特許発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとの点について
(1)第3特許発明は、第2特許発明の構成要件を全て備えた上で、更にこの構成要件に限定を加えたものであるから、この限定された構成要件が甲第5号証に記載されていたとしても、第2特許発明が上記「1.」で述べたとおり、甲第1号証に記載された発明ないし甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができなかったものである以上、上記甲第1号証に記載された発明、上記甲第4号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。
(2)第4特許発明は、第1特許発明又は第2特許発明の構成要件を全て備えた上で、更にこれらの構成要件に限定を加えたものであるから、これらの限定された構成要件が甲第6号証に記載されていたとしても、第1特許発明及び第2特許発明が上記「1.」で述べたとおり、それぞれ、甲第1号証に記載された発明ないし甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができなかったものである以上、上記甲第1号証に記載された発明、上記甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。
V.結び
以上のとおりであるから、本件特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件各特許発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件各特許発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 1999-09-27 
出願番号 特願平2-239315
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小田 裕  
特許庁審判長 小林 武
特許庁審判官 石川 正幸
橋本 武
登録日 1997-05-09 
登録番号 特許第2646821号(P2646821)
権利者 富士電機株式会社
発明の名称 半導体製造装置  
代理人 篠部 正治  

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