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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1005609
審判番号 審判1998-12018  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-08-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-07-30 
確定日 1999-11-12 
事件の表示 平成9年特許願第69654号「製品情報処理システム」拒絶査定に対する審判事件(平成9年8月19日出願公開、特開平9-218904)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、本願発明
本願は、昭和62年12月4日に出願された特願昭62-306998号の特許出願の一部を特許法第44条第1項の規定により分割して新たな特許出願として平成9年3月24日に出願されたものであって、その発明の要旨(以下、「本願発明」という。)は、平成10年8月24日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの
「データセンターに配置され且つ製品画像データ及び製品情報データを多数対応させて記憶させる製品データベース処理装置と、
製品画像データ及び製品の寸法を含む製品情報データを前記製品データベース処理装置に対して入出力する製品情報入出力装置と、
前記製品データベース処理装置から製品情報を取り出す製品情報取出装置とを備える製品情報処理システムであって、
前記製品情報取出装置は、前記データセンターから離れたユーザー側に配置され且つ前記データセンターの前記製品データベース処理装置に伝送手段を介して接続されていると共に、顧客を撮影するテレビカメラ及び表示装置を備え、
更に、前記製品情報取出装置は、ユーザー側から離れた場所に配置された前記製品データベース処理装置から製品画像を前記伝送手段を介して選択的に取り出して、この取り出した製品画像と前記テレビカメラで撮影された顧客の画像とが合成された画像を前記表示装置に表示させることを特徴とする製品情報処理システム。」
にあるものと認める。
また、明細書および図面の記載からみて、本願発明の効果は、製品を展示するスペースを必要とせずに、どのユーザーも多数の製品の選択を迅速且つ簡易に行え、メーカ側で開発された新製品の画像や製品情報データを簡易にデータベース処理装置の画像データベースメモリに追加入力して、データベースの内容を最新のものに迅速に更新でき、どのユーザーも最新の多数の製品の選択を迅速且つ簡易に行なうことができ、この際、顧客は製品情報データの寸法を基に自己の寸法に適したサイズのものを迅速に選択でき、製品情報入力装置やユーザーの製品情報取出装置には製品画像データや製品情報等を蓄積する必要がなく、製品情報入力装置や製品情報取出装置を安価な構成とすることができ、ユーザー側では安価なコンピュータを製品情報取出装置に用いることができると共に、安価なコンピュータを製品情報取出装置に用いたとしても、製品画像を高速で検索して選択的に取り出し、この取り出した製品画像を顧客の画像に迅速且つ簡易に合成できることであると認められる。
2.引用例
原査定における拒絶の理由に引用された特開昭61-80222号公報(昭和61年4月23日発行。以下「引用例」という。)には、以下の記載がある。
「このコンピュータ装置(19)は、前述のデコーダ(21)とAD変換器(22)とからなる画像読み取りインターフェース(12)、画像記憶RAM(13)、VTRリモートコントロールインターフェース(23)、キー入カインターフェース(27)の外、CPU(15)、作業用、プログラム保存用等のRAM(16)、メガネフレームデータあるいは、プログラムを入れたフロッピーディスク(26)、色テーブル(25)とビデオ信号作成インターフェース(24)とからなる画像送り出しインターフェース(14)とからなり、画像記憶RAM(13)のメガネフレームを人物像に合成したデータを画像送り出しインターフェース(14)がDMAしてデータを取り出し、色テーブルに従ってアナログRGB信号を作成する。このビデオ信号で表示装置(18)にメガネをかけた人物像を表示する。
なお、切り換えスイッチ(28)は、最初ビデオカメラで人物像を撮像する際に顔の位置を特定の位置にする間VTR信号と位置合わせマークを表示し、ビデオカメラで撮像した人物像をモニターしながら位置合わせをし、その後画像記憶RAM中のデータを表示する場合には画像送り出しインタフェース側のみにするものであり、この例では手動とした例を示したが、CPUバスに切換えスイッチ制御インターフェースを設けて自動制御してもよい。」(引用例第5頁左下欄第10行〜右下欄第14行)
「次に、メガネフレームを表示装置を見ながら又はカタログを見ながら選択し(38)、メガネフレームのデータをフロッピーディスクから読み込み画像記憶RAMに書き込み、人物像のデータと合成する。この場合、メガネフレームのデータの合成される領域の画像データは、別のRAM又はフロッピーディスクに退避しておく。
この画像の合成を行ったデータに基づいて表示信号を作成して、表示装置に画像を送り出す(39)。これにより、人物がメガネをかけた状態が表示される。」(引用例第6頁右上欄第3行〜第13行)
以上の記載から、引用例には、「メガネフレームデータ」を記憶させる「フロッピーディスク(26)」と、「フロッピーディスク(26)」から「メガネフレームデータ」を取り出す「コンピュータ装置(19)」とを備える「メガネ合せ装置」であって、前記「コンピュータ装置(19)」は、バスに接続された前記「フロッピーディスク(26)」を備えていると共に、「人物像」を撮影する「ビデオカメラ(11)」及び「表示装置(18)」を備え、更に、前記「コンピュータ装置(19)」は、「フロッピーディスク(26)」から「メガネフレームデータ」を選択的に取り出して、この取り出した「メガネフレームデータ」と前記「ビデオカメラ(11)」で撮影された「人物像」の画像とが合成された画像を前記「表示装置(18)」に表示させる「メガネ合せ装置」が開示されている。
3.対比
そこで、本願発明(以下「前者」と言う。)と引用例に開示された発明(以下「後者」と言う。)とを対比する。
(1)後者の「コンピュータ装置(19)」、「人物像」、「ビデオカメラ(11)」、「表示装置(18)」は、それぞれ前者における「製品情報取出装置」、「顧客」、「テレビカメラ」、「表示装置」に相当するものと認められる。
(2)また、後者の「メガネフレームデータ」、「フロッピーディスク(19)」、「メガネ合せ装置」は、前者の「製品画像データ」、「製品データベース処理装置」、「製品情報処理システム」に包摂されるものと認められる。
以上の点を考慮すると、本願発明と引用例に開示された発明は以下の点で一致する。
「製品画像データを記憶させる製品データベース処理装置と、前記製品データベース処理装置から製品画像データを取り出す製品情報取出装置とを備える製品情報処理システムであって、前記製品情報取出装置は、前記製品データベース処理装置に接続されていると共に、顧客を撮影するテレビカメラ及び表示装置を備え、更に、前記製品情報取出装置は、前記製品データベース処理装置から製品画像を選択的に取り出して、この取り出した製品画像と前記テレビカメラで撮影された顧客の画像とが合成された画像を前記表示装置に表示させることを特徴とする製品情報処理システム。」
そして、以下の点で両者は相違するものと認められる。
(1)前者では、製品データベース処理装置に製品画像データ及び製品の寸法を含む製品情報データが記憶されているのに対して、後者では、フロッピーディスク(26)にメガネフレームデータが記憶されている点。
(2)前者では、製品データベース処理装置がユーザー側から離れたデータセンターに配置されて伝送手段を介して製品情報取出装置に接続されているのに対して、後者では、フロッピーディスク(26)がコンピュータ装置(19)に置かれ、バスに接続されている点。
(3)前者では、製品画像データ及び製品の寸法を含む製品情報データを前記製品データベース処理装置に対して入出力する製品情報入出力装置が存在するのに対して、引用例には、この点について開示されていない点。
4.当審の判断
(イ)相違点(1)について
記憶装置に、どのような情報を記憶させておくかは、小売店、ユーザー等の要求を考慮して当業者が設計段階で適宜決定すべき事項である。したがって、引用例開示の発明において、メガネフレームデータに加えて、メガネの寸法を含む情報をも記憶せしめるようにして、本願発明のように構成することは容易になし得たことである。
(ロ)相違点(2)について
記憶装置を何れの位置に設置せしめるかは、単なる設計的事項である。したがって、引用例開示の発明においても、データベースを構成する記憶媒体であるフロッピーディスク(26)をコンピュータ装置(19)から離れた位置に設置し、伝送手段を介して相互に接続し、本願発明のように構成することは、当業者が小売店数、情報量等を等を考慮して容易になし得たことである。
(ハ)相違点(3)について
データベースを作成するためのデータ入力装置は、例を示すまでもなく、当業者に周知の技術である。したがって、引用例開示の発明において、メガネに関する情報をフロッピーディスク(26)に入力せしめる装置を接続し、本願発明のように構成することは容易になし得たことである。
(ニ)効果に関して
前記本願発明の効果についても、引用例に開示された発明から容易に予測し得る程度のものであって、格別のものとは認めることができない。
5.結び
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例に開示された発明および上記周知の技術から当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論の通り審決する。
 
審理終結日 1999-09-06 
結審通知日 1999-09-17 
審決日 1999-09-20 
出願番号 特願平9-69654
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉田 耕一平井 聡子  
特許庁審判長 森田 信一
特許庁審判官 鶴谷 裕二
久保田 健
発明の名称 製品情報処理システム  
代理人 西脇 民雄  

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