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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B |
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管理番号 | 1005613 |
審判番号 | 審判1998-13487 |
総通号数 | 6 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1992-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-08-28 |
確定日 | 1999-11-17 |
事件の表示 | 平成2年特許願第133568号「映像信号記録および/または再生装置」拒絶査定に対する審判事件(平成4年1月30日出願公開、特開平4-28075)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.経過・本件発明 本件出願は、平成2年5月23日の出願であって、平成10年5月29日、平成10年9月28日に補正された明細書および図面の記載からみて、本件請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、指示された時点において特定の状態を適正にとらせることを目的とし、その請求項1に記載されたとおりの下記の映像信号記録および/または再生装置にある。 「映像信号を記録媒体に記録する記録動作系もしくは記録媒体から映像信号を再生する再生動作系の動作モード状態の切換制御を行う動作制御手段と、外部機器からの制御データを通信線路を通じて受ける通信手段と、該通信手段により受けられた制御データが上記記録動作系もしくは再生動作系についての予約指示を行う予約動作制御データであるか否かを判別する判別手段と、該判別手段により上記制御データが上記予約動作制御データであると判別されたとき、該予約動作制御データにおける所定のデータビット部分が指定する上記記録動作系もしくは再生動作系についての特定の動作モード状態へ他の動作モード状態から遷移するに要される動作状態遷移時間を設定する動作状態遷移時間設定手段と、上記予約動作制御データにおける所定のデータビット部分が指示する上記特定の動作モード状態をとるべき時点までの時間から上記動作状態遷移時間を減じて待ち時間を算出する待ち時間算出手段と、上記通信手段により上記予約動作制御データが受けられた後上記待ち時間算出手段により算出された待ち時間が経過したとき、上記動作制御手段に、上記記録動作系もしくは再生動作系に対する上記特定の動作モード状態への切換制御を開始させる動作状態切換開始設定手段と、を備えることを特徴とする映像信号記録および/または再生装置。」 2.刊行物記載発明 原査定の拒絶の理由で引用された実願昭62-168986号(実開平1-75325号)のマイクロフイルムには、 従来の録画・録音機器においては、録画・録音機器の電気回路や機械駆動部が正常動作状態になるまでには一定の始動時間が必要であったことから、録画・録音機器に用いられる従来のタイマでは、設定して録画・録音動作の開始時点での電源投入から、その実際の動作開始までに時間差があった旨の事項に着目し、タイマにおいて、録画・録音機器の実際の録画・録音動作を正確に始動できるようにすることを目的とし、 「録画・録音機器の電源投入時刻とこの録画・録音機器の録画・録音動作開始時刻との設定時間差値をあらかじめ格納しておく遅延時間レジスタと、録画・録音開始時刻を設定するタイマ設定操作部と、前記遅延時間レジスタにあらかじめ設定格納されている時間差値を、前記タイマ設定操作部で設定された録画・録音開始時刻から減算する遅延減算回路と、この遅延減算回路での減算結果を格納し、必要に応じて録画・録音機器に送出するタイマ設定情報記憶部とを具備する・・タイマ動作遅延補正回路」(実用新案登録請求の範囲)、 「遅延時間レジスタ11には、・・録画・録音機器の電源投入時刻から録画・録音動作開始時刻までの時間差値12をあらかじめ設定格納しておく。次に、タイマ設定操作部13には、・・実際の録画・録音開始時刻設定情報14が設定される。・・遅延減算回路15は、この設定情報14から、・・時間差値12を減算する。そして、その結果の設定信号16をタイマ設定情報記憶部17に格納する。この格納情報18は・・録画・録音装置に送出され、その始動に供する。」(4頁3〜17行)、とする発明(以下、「引用例記載発明」という。)が記載されている。 3.対比・判断 本件発明と上記引用例記載発明とを対比するに、上記引用例記載発明における「録画・録音機器の電源投入時刻から録画・録音動作開始時刻までの時間差12」は本件発明の「記録動作系についての特定の動作モード状態への他の動作モード状態から遷移するに要される動作状態遷移時間」に相当し、上記引用例記載発明における「遅延時間レジスタ11」は本件発明の「動作状態遷移時間設定手段」に相当し、上記引用例記載発明における「録画・録音装置の実際の録画・録音開始時刻設定情報14」は本件発明の「特定の動作モード状態をとるべき時点」に相当し、上記引用例記載発明における「設定信号16」は本件発明の「待ち時間」に相当し、上記引用例記載発明における「遅延減算回路15」は本件発明の「待ち時間算出手段」に相当する。そして、両者は指示された時点において特定の状態を適正にとらせることを実質的な目的としている。 してみれば、両者は、 「「記録動作系についての特定の動作モード状態への他の動作モード状態から遷移するに要される動作状態遷移時間」を設定する「動作状態遷移時間設定手段」と、「特定の動作モード状態をとるべき時点」までの時間から上記「動作状態遷移時間」を減じて「待ち時間」を算出する「待ち時間算出手段」とを備えた記録装置」で一致し、 ▲1▼本件発明が「映像信号を記録媒体に記録する記録動作系もしくは記録媒体から映像信号を再生する再生動作系の動作モード状態の切換制御を行う動作制御手段」を備えるのに対し、引用例記載発明はそのような構成について不明である点、 ▲2▼本件発明が「外部機器からの制御データを通信線路を通じて受ける通信手段と、該通信手段により受けられた制御データが上記記録動作系もしくは再生動作系についての予約指示を行う予約動作制御データであるか否かを判別する判別手段と、該判別手段により上記制御データが上記予約動作制御データであると判別されたとき、該予約動作制御データにおける所定のデータビット部分が「記録動作系もしくは再生動作系についての動作モード状態の遷移を」指定する」手段を、備えるのに対し、引用例記載発明はそのような構成を備えていない点、 ▲3▼本件発明が「通信手段により上記予約動作制御データが受けられた後上記待ち時間算出手段により算出された待ち時間が経過したとき、上記動作制御手段に、上記記録動作系もしくは再生動作系に対する上記特定の動作モード状態への切換制御を開始させる動作状態切換開始設定手段」を備えているのに対し、引用例記載発明はそのような構成について不明である点、 のそれぞれで相違する。 相違点▲1▼について審究する: 引用例記載発明は、録画・録音装置であってみれば、実質的に本件発明の「映像信号を記録媒体に記録する記録動作系」を備える「映像信号」「記録装置」を意味し、また、引用例記載発明は「格納情報18は、・・録画・録音装置に送出され、その始動に供する。」ものであってみれば、記録動作系の動作モード状態の切換制御を行う動作制御手段の存在を示唆するものと云える。 してみれば、上記相違点▲1▼は引用例記載発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 相違点▲2▼について審究する: 当該分野において通信線路を備えた通信手段である遠隔制御装置により録画・録音装置を制御することは周知であってみれば、「外部機器からの制御データを通信線路を通じて受ける通信手段」を録画・録音装置に設けることは単なる周知事項の適用にすぎず、また、当該分野において遠隔制御装置により録画・録音装置の記録動作系についての予約指示を予約動作制御データによって行うことは周知であり、予約指示を判別手段によって判別する、即ち、予約動作制御データであるか否か判別することも周知であり、また、予約動作制御データにおいて所定のデータビット部分に動作モード状態の遷移を含む予約指示のための必要なデータを組み込むことも周知である。 してみれば、上記相違点▲2▼は周知事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 相違点▲3▼について審究する: 引用例記載発明は、「設定情報14を受けた遅延減算回路15は、この設定情報14から、上記の遅延時間レジスタ11にあらかじめ設定してある時間差値12を減算する。そして、その結果の設定信号16をタイマ設定情報記憶部17に格納する。この格納情報18は必要に応じて図示しない、当面使用する録画・録音装置に送出され、その始動に供する。」(4頁10〜17行)ものであってみれば、この構成は、換言すると、一方の予約動作制御信号である設定情報が受けられた後待ち時間算出手段により算出された待ち時間が経過したとき、映像信号を記録媒体に記録する記録動作系の動作モード状態の切換制御を行う動作制御手段に、記録動作系に対する特定の動作モード状態への切換制御を開始させる動作状態切換開始設定手段を備える映像信号装置、を示唆するものといえる。 してみれば、上記相違点▲3▼は引用例記載発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 4.まとめ 以上のとおりであるから、本件発明は、引用例記載発明および周知事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-09-06 |
結審通知日 | 1999-09-17 |
審決日 | 1999-09-27 |
出願番号 | 特願平2-133568 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G11B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 西山 昇 |
特許庁審判長 |
及川 泰嘉 |
特許庁審判官 |
田良島 潔 藤井 浩 |
発明の名称 | 映像信号記録および/または再生装置 |
代理人 | 神原 貞昭 |