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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01F
管理番号 1006025
異議申立番号 異議1998-73155  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-06-23 
確定日 1999-07-23 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2694092号「マグネットローラ、該マグネット口ーラの製造方法,、該マグネットローラの製造装置、現像ユニットおよび該現像ユニットを備えた複写装置」の請求項1、8ないし9に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2694092号の請求項7ないし9に係る特許を取り消す。 同請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 (1)手続の経緯
特許2694092号の請求項1乃至9に係る発明についての出願は、平成4年7月27日に特許出願され、平成9年9月5日にその特許の設定登録がなされ、その後、押谷泰紀より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年11月17日に訂正請求がなされた後、再度の取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年4月20日に訂正請求がなされたものである。
(2)訂正請求の適否についての判断
ア.訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のa、bのとおりである。
a 請求項1,8,9を削除し、請求項2〜7をそれぞれ請求項1〜6に繰上げる。
b 特許請求の範囲の訂正に伴い、発明の名称及び発明の詳細な説明を訂正する。
イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正aは、特許請求の範囲の減縮に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、訂正後の特許請求の範囲に記載された発明が出願の際独立して特許を受けることができるものである。
上記訂正事項bは、不明瞭な記載の釈明に該当する。
ウ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2ー4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
(3)特許異議の申立てについての判断
請求項1, 8. 9に係る発明は、訂正の結果実質的に削除され、特許異議の申立ての対象は、実質的に存在しないこととなった。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
マグネットローラの製造方法および該マグネットローラの製造装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 成形すべきマグネットローラの外形状と合致する内形状を有する非磁性金属製の筒体と、配向用磁力線の起磁極と終磁極からなる磁極対をそれぞれキャビティの周囲位置に配置した、固定型部材と可動型部材とがらなる型とを準備し、
前記型を閉じて前記キャビティ内に前記筒体を装着する工程と、
前記筒体内に、磁性粉を含有した溶融樹脂を射出してローラ状樹脂磁石を成形するとともに、前記ローラ状樹脂磁石に複数の磁極対を形成するために、前記筒体の外側から前記ローラ状樹脂磁石の内側に向けて、前記ローラ状樹脂磁石内の磁性粉に前記配向用磁力線を印加する工程と、
前記配向用磁力線の印加を継続させつつ前記ローラ状樹脂磁石が完全に固化する前に前記型を開き、前記ローラ状樹脂磁石の磁極対の少なくとも1対を前記固定型部材から遠ざける工程と、
を有することを特徴とするマグネットローラの製造方法。
【請求項2】 請求項1に記載のマグネットローラの製造方法において、少なくとも前記型が開く工程のときに、前記筒体が残る型部材の温度を他の型部材の温度より高い温度に維持するマグネットローラの製潰方法。
【請求項3】 請求項1に記載のマグネットローラの製造方法において、前記型が開く工程の前における、各型部材の温度をほぼ等しい温度に保ち、型開きが開始した後に、筒体の、型部材により保持されていない外表面を、冷却媒体により冷却するマグネットローラの製造方法。
【請求項4】 配向用磁力線の起磁極と終磁極からなる磁極対をキャビティの周囲位置にそれぞれ配置した、固定型部材と可動型部材とからなる型と、
成形すべきマグネットローラの外形状と合致する内形状を有する中空体であって、かつ前記マグネットローラの少なくとも一方の軸部に対応する端部位が分離可能であるとともに、型のキャビティ内に装着されたときその中空部と型の樹脂通路とを連通する切欠が形成された筒体と、
該筒体内に樹脂磁石材料を射出するための射出手段とから構成されたマグネットローラの製造装置。
【請求項5】 請求項4に記載のマグネットローラの製造装置において、固定型部材および可動型部材のそれぞれの温度を設定するための調温機を備えているマグネットローラの製造装置。
【請求項6】 請求項4に記載のマグネットローラの製造装置において、筒体の、型部材により保持されていない外表面に、冷却媒体を当てるための筒体冷却装置を備えているマグネットローラの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、樹脂磁石材料で形成された、複写機やレーザービームプリンタ等の複写装置の磁気ブラシ現像ローラとして使用され、かつ少なくとも1つの磁極対の表面磁束密度が他のものと異なる複数の磁極対を有するマグネットローラの製
造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のマグネットローラの製造方法は、磁極対をそれぞれ有する複数の扇形状のローラ片を、少なくとも1つの磁極対の磁束密度が他の磁極対の磁束密度と異なるものを予め形成しておき、これらのローラ片を接着剤等によって互いに連結することにより、少なくとも1つの磁極対の表面磁束密度が他の磁極対の表面磁束密度と異なる複数の磁極対を有するマグネットローラを得るものである。
【0003】
このマグネットローラは、通常の現像ユニットにおいてトナーを周囲に配する現像リング(スリーブ)の中に設けられて使用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のマグネットローラは、予め互いに個別の複数個のローラ片を連結して得られたものなので、寸法精度や形状精度が低く、また、磁極のリップルに起因して、結果的に磁気特性が悪くなるという問題点がある。
【0005】
また、このマグネットローラの製造方法は、その工程が複雑なため、生産効率が低いという問題点がある。
【0006】
このマグネットローラを組み込んだ現像ユニット(現像機)では、トナー層の厚みひいては現像像の濃度を規定範囲内に制御できず、現像像の品位が低いという問題点があり、この現像機を組み込んだ複写機では、画質の低下を招くという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、一体成形することにより、寸法精度や形状精度が高く、結果的に磁気特性の良好なマグネットローラを、簡単かつ高い生産効率で製造するマグネットローラの製造方法およびその製造装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のマグネットローラの製造方法は、
成形すべきマグネットローラの外形状と合致する内形状を有する非磁性金属製の筒体と、配向用磁力線の起磁極と終磁極からなる磁極対をキャビティの周囲位置にそれぞれ配置した、固定型部材と可動型部材とからなる型とを準備し、
前記型を閉じて前記キャビティ内に前記筒体を装着する工程と、
前記筒体内に、磁性粉を含有した溶融樹脂を射出してローラ状樹脂磁石を成形するとともに、前記ローラ状樹脂.磁石に複数の磁極対を形成するために、前記筒体の外側から前記ローラ状樹脂磁石の内側に向けて、前記ローラ状樹脂磁石内の磁性粉に前記配向用磁力線を印加する工程と、
前記配向用磁力線の印加を継続させつつ前記ローラ状樹脂磁石が完全に固化する前に前記型を開き、前記ローラ状樹脂磁石の磁極対の少なくとも1対を前記固定型部材から遠ざける工程と、
を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記マグネットローラの製造方法において、少なくとも前記型が開く工程のときに、前記筒体が残る型部材の温度を他の型部材の温度より高い温度に維持したり、前記型が開く工程の前における、各型部材の温度をほぼ等しい温度に保ち、型開きが開始した後に、筒体の、型部材により保持されていない外表面を、冷却媒体により冷却すると効果的である。
【0010】
本発明のマグネットローラの製造装置は、配向用磁力線の起磁極と終磁極からなる磁極対をキャビティの周囲位置にそれぞれ配置した、固定型部材と可動型部材とからなる型と、
形成すべきマグネットローラの外形状と合致する内形状を有する中空体であって、かつ前記マグネットローラの少なくとも一方の軸部に対応する端部位が分離可能であるとともに、型のキャビティ内に装着されたときその中空部と型の樹脂通路とを連通する切欠が形成された筒体と、
該筒体内に樹脂磁石材料を射出するための射出手段とから構成されている。
【0011】
さらに、上記マグネットローラの製造装置において、固定型部材および可動型部材のそれぞれの温度を設定するための調温機や、筒体の、型部材により保持されていない外表面に、冷却媒体を当てるための筒体冷却装置を備えている。
【0012】
【作用】
本発明のマグネットローラの製造方法は、請求項1に記載したとおり、予め、成形すべきマグネットローラの外形状と合致する内形状を有する非磁性金属製の筒体と、配向用磁力線の起磁極と終磁極からなる磁極対をキャビティの周囲位置にそれぞれ配置した、固定型部材と可動型部材とからなる型とを準備しておく。
【0013】
そして、型開きした型内に筒体を収納し、型締め後、磁性粉を含有した溶融樹脂を筒体内に射出してローラ状樹脂磁石を成形する。この際、固定型部材および可動型部材の各磁極対による配向用磁力線が、筒体の外側からローラ状樹脂磁石の内側に向けて印加されていることにより、ローラ状樹脂磁石に複数の磁極対が形成される。
【0014】
さらに、前記印加を継続させつつ、ローラ状樹脂磁石が完全に固化する前に型を開き、可動型部材の磁極対を固定型部材の磁極対より遠ざける。この際、固定型部材の磁極対間の配向用磁力線はローラ状樹脂磁石から相対的に遠ざかるとともに、可動型部材の磁極と固定型部材の磁極とを結びかつローラ状樹脂磁石中を通る配向用磁力線の磁束密度は、可動型部材側ほど大きくなり、筒体内を通過する配向用磁束の分布が弯化する。これにより、ローラ状樹脂磁石に形成される、可動型部材側の磁極対の磁束密度は、固定型部材側の磁極対の磁束密度よりも大きくなる。
【0015】
請求項2および3にそれぞれ記載の発明では、型が開く工程のときに、ローラ状樹脂磁石の温度は、固定型部材側よりも可動型部材側の方が高くなるため、ローラ状樹脂磁石の溶融度も、固定型部材側よりも可動型部材側の方が大きくなる。これにより、ローラ状樹脂磁石に形成される、可動型部材側の磁極対の磁束密度と固定型部材側の磁極対の磁束密度との差は大きくなる。
【0016】
【実施例】
次に、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【0017】
マグネットローラは図7および図9の(A)に示すように、芯金3と樹脂磁石材料からなるローラ部24が一体成形された成形品であり、該成形品の図示左側の周面位置に、磁力線の起磁極としての磁極N131と終磁極としての磁極S132からなる磁極対が設けられており、また、成形品の図示右側の周面位置にも、磁極N233と磁極S234からなる磁極対が設けられている。一方の磁極N131および磁極S132の磁束密度は980G(ガウス)で、他方の磁極N233および磁極S234の磁束密度は820Gである。
【0018】
また、図9の(B)は、一方の磁極N131aおよび磁極S132aの磁束密度が1150Gに設定され、他方の磁極N233aおよび磁極S234aの磁束密度が670Gに設定されたマグネットローラを示し、図9の(C)は、一方の磁極N13lbおよび磁極S132bの磁束密度が1350Gに設定され、他方の磁極N233bおよび磁極S234bの磁束密度が500Gに設定されたマグネットローラを示している。
【0019】
次に、本発明のマグネットローラの製造方法の実施例について、図面を参照して説明する。
(第1実施例)
先ず、本発明のマグネットローラの製造方法の第1実施例の実施に使用する、金型や中空体等からなる製造装置について説明する。
【0020】
図1および図2に示すように、金型を構成する可動型1は図示しない射出手段としての射出成形機の可動盤に取付けられており、固定型2は図示しない固定盤に取付けられている。前記可動盤を固定盤側へ移動させることにより、金型が型閉じされ、型閉じされた金型の可動型1と固定型2とにより円柱形状のキャビティ8が形成され、該キャビティ8には、樹脂通路としてのランナ7が連通されている。
【0021]
前記可動型1には、磁極対としての2つの磁性体16,17が埋設されている上、該2つの磁性体16,17間にはキャビティ8側より非磁性体14および永久磁石12が順次埋設されている。これら2つの磁性体16,17および非磁性体14はキャビティ8の周囲位置に位置している。これと同様に、固定型2にも、磁極対としての2つの磁性体18,19が埋設されている上、該2つの磁性体18,19間にはキャビティ8側より非磁性体15および永久磁石13が順次埋設されている。2つの永久磁石12,13の極性は互いに反対になっており、それらの磁極はそれぞれ2つの磁性体16,17および2つの磁性体18,19に対向している。また、2つの永久磁石12,13は希土類磁石(サマリウム・コバルト磁石やネオジ鉄磁石)で、その表面磁束密度は8KG程度である。これらの構成により、2つの磁性体16,19および2つの磁性体17,18はそれぞれ配向用磁力線の起磁極、終磁極となっている。
【0022】
非磁性金属製の筒体としての中空体10は、円柱形状を有するパイプ4と、該パイプ4の両端に支持可能な端部位5,6と、後述する棒状の芯金3とから構成され、その外形状はキャビティ8の形状と合致する円柱形状となっている。
【0023】
中空体10の内面は種々の表面硬化処理が施され、その内形状は成形すべきマグネットローラの外形状と合致するものであり、前記端部位5,6はマグネットローラの両軸部にそれぞれ対応する部位となっている。また、2つの端部位5,6の中央部には、芯金3の両端部が嵌挿される穴がそれぞれ形成され、中空体10をキャビティ8内に装着した状態において、芯金3の中心軸線がキャビティ8の中心軸線と一致するように構成されている。なお、この芯金3は必ずしも必要でない。下方の端部位6には孔11が形成されており、中空体10をキャビティ8内に装着した状態において、ランナ7と中空体10の中空部とは前記孔11によって連通し、射出成形機(不図示)からランナ7および孔11を順次介して樹脂磁石材料を中空体10内に注入できるように構成されている。
【0024】
次に、本実施例のマグネットローラの製造方法について説明する。
【0025】
この製造方法は、図8に示す成形タイミング▲1▼に基づいて、成形品を射出成形するものである。
【0026】
図1および図2に示したように、室内雰囲気温度の変化を5℃以下とし、先ず、金型を閉じることにより、予め加熱しておいた中空体10をキャビティ8内に装着した後、金型を型締する。強磁性体粉末とバインダーからなる予め溶融した樹脂磁石材料を、図示しない射出成形機のノズルよりランナ7および孔11を順次介して中空体10内に射出注入して、中空体10内を樹脂磁石材料で充満させ、ローラ状樹脂磁石9を成形する。この際、ローラ状樹脂磁石9中の強磁性体粉末は、各磁性体16,17,18,19の配向用磁力線によって配向され、4つの磁極対が形成される(図8の成形タイミング▲1▼のA)。
【0027】
樹脂磁石材料として、ストロンチウムフェライトを90wt%だけ混合したプラスチックマグネット材料を用い、主要な条件としては、可動型および固定型の温度が110℃、成形温度が300℃、射出圧力が900kgf/cm2等挙げられる。
【0028】
射出注入後、約10秒間の保圧工程を行い、前記射出注入したローラ状樹脂磁石9が完全に冷却固化される以前で、かつ射出注入開始から第1の時間H1(図8参照、本実施例では12秒)経過後すなわち保圧完了直後金型を開き、可動型1の磁極対を固定型2の磁極対より離間させる。図3に示す型開き途中状態(図8の成形タイミング▲1▼のB)を経る際、中空体10は、固定型2に設けたばね付勢される押し圧部材7Xにより可動型1とともに矢印X方向に移動され、固定型2の磁性体18,19間の配向用磁力線はローラ状樹脂磁石9から相対的に遠ざか
るとともに、可動型1の磁性体16,17と固定型2の磁性体18,19とを結びかつローラ状樹脂磁石9中を通る配向用磁力線の磁束密度は、可動型1側ほど大きくなり、中空体10内を通過する配向用磁束が変化する。これにより、ローラ状樹脂磁石9に形成される2つの磁極対において、可動型1側の磁極対の磁束密度は、固定型2側の磁極対の磁束密度よりも大きくなる。図4に示すように、金型の型開き完了状態(図8の成形タイミング▲1▼のC)を第1の時間h1(本実施例では2秒)だけ保持した後、中空体10を金型より取り出す(図5の状態)。
【0029】
図6に示すように、中空体10内のローラ状樹脂磁石9の冷却が進行し、該ローラ状樹脂磁石9の冷却収縮により、成形品とパイプ4との間に隙間21が生じる。中空体10を金型より取り出してから約5分経過後、ランナ部20(図5参照)を切除し、さらに、中空体10の2つの端部位5,6をパイプ4より分離し、成形品をパイプ4より引き抜いて取り出す。最後に、成形品のゲート部22を切除し、該切除した部位に研削加工を施すと、図7および図9の(A)に示すような、芯金3と樹脂磁石材料で形成されたローラ部24とが一体で、外径20mm、長さ200mmのマグネットローラ23が得られる。このマグネットローラ23の表面磁束密度の分布は図9の(A)中破線で示すようになっている。
(第2実施例)
次に、本発明のマグネットローラの製造方法の第2実施例について説明する。
【0030】
先ず、この製造方法9実施に使用する、金型や中空体等からなる製造装置について説明する。
【0031】
図10および図11に示すように、可動型1aには、上下方向に延びる2本の熱媒パイプ37a,37bが貫通しており、この2本の熱媒パイプ37a,37bの上端はバイパスホース39によって互いに連通されている。また、一方の熱媒パイプ37aの下端は流出ホース41aを介して後述する可動型調温機35の出口部35aに接続され、他方の熱媒レくイプ37bの下端は流入ホース41bを介して可動型調温機35の入口部35bに接続されている。可動型調温機35の出口部35aからは油や水などの熱媒体が流出し、該流出した熱媒体は、流出ホース41a、一方の熱媒パイプ37a、バイパスホース39、他方の熱媒パイプ37bおよび流入ホース41bを順次介して再び可動型調温機35に流入する。これにより、可動型1aの温度を所望の温度に設定することができる。
【0032】
固定型2aにも、上下方向に延びる2本の熱媒パイプ38a,38bが貫通しており、この2本の熱媒パイプ38a,38bの上端はバイパスホース40によって互いに連通されている。また、一方の熱媒パイプ38aの下端は流出ホース42aを介して後述する固定型調温機36の出口部36aに接続され、他方の熱媒パイプ38bの下端は流入ホース42bを介して固定型調温機36の入口部36bに接続されている。固定型調温機36の出口部36aからは油や水などの熱媒体が流出し、該流出した熱媒体は、流出ホース42a、一方の熱媒パイプ38a、バイパスホース40、他方の熱媒パイプ38bおよび流入ホース42bを順次介して再び固定型調温機36に流入する。これにより、固定型2aの温度を可動型1aの温度に依存することなく所望の温度に設定することができる。
【0033】
その他の構成は、第1実施例の製造装置と同一である。
【0034】
次に、本実施例のマグネットローラの製造方法について説明する。
【0035】
この製造方法は、図8に示す成形タイミング▲2▼に基づいて、成形品を射出成形するものであり、また、図14に示すように、2つの調温機35,36によって、固定型2aの温度を可動型1aの温度よりも低く設定し、中空体10aの取出し時の少し前に、中空体10aの固定型側部位と可動型側部位の温度が同一になるように、型開き、取出タイミングおよび前記型温の温度差を決定する。
【0036】
まず、図10および図11に示したように、金型を閉じることにより、予め加熱しておいた中空体10aをキャビティ8a内に装着した後、金型を型締する。このとき、図14に示すように、可動型1aおよび固定型2aの温度はそれぞれ120℃、80℃に設定されている。この可動型1aと固定型2aの温度差の制御により、可動型1aの型開き後の後述するローラ状樹脂磁石9aの冷去作用の際に中空体取出し時点の少し前から中空体10a内のローラ状樹脂磁石9aの温度がほぼ均一に保たれ、これにより、ローラ状樹脂磁石9aの軸方向のソリ返りや曲りを防ぐことができる。強磁性体粉末とバインダーからなる予め溶融した樹脂磁石材料を、図示しない射出成形機のノズルよりランナ7aおよび孔11aを順次介して中空体10a内に射出注入して、中空体10a内を樹脂磁石材料で充満させ、ローラ状樹脂磁石9aを成形する。この際、ローラ状樹脂磁石9a中の強磁性体粉末は、各磁性体16a,17a,18a,19aの配向用磁力線によって配向され、2つの磁極対が形成される(図8の成形タイミング▲2▼のA)。
【0037】
射出注入後、約10秒間の保圧工程を行い、前記射出注入したローラ状樹脂磁石9aが完全に冷却固化される以前で、かつ射出注入開始から第2の時間H2(図8参照、本実施例では17秒)経過後金型を開き、可動型1aの磁極体16a,17aを固定型2aの磁極体18a,19aより離間させる。図12に示す型開き途中状態(図8の成形タイミング▲2▼のB)を経る際、中空体10aは可動型1aとともに矢印X方向に移動され、固定型2aの磁性体18a,19a間の配向用磁力線はローラ状樹脂磁石9aから相対的に遠ざかるとともに、可動型1aの磁性体16a,17aと固定型2aの磁性体18a,19aとを結びローラ状樹脂磁石9a中を通る配向用磁力線の磁束密度は、可動型la側ほど大きくなり、中空体10a内を通過する配向用磁束が変化する。これにより、ローラ状樹脂磁石9aに形成される2つの磁極対において、可動型1a側の磁極対の磁束密度は、固定型2a側の,磁極対の磁束密度よりも大きくなる。しかも、本実施例では、少なくとも型開き工程のときに、ロ-ラ状樹脂磁石9aの温度は固定型2a側よりも可動型1a側の方が高いため、ローラ状樹脂磁石9aの溶融度も固定型2a側よりも可動型1a側の方が大きくなる。これにより、ローラ状樹脂磁石9aに形成される、可動型1a側の磁極対の磁束密度と固定型2a側の磁極対の磁束密度との差は、第1実施例のものと比較してより大きくなる。
【0038】
図13に示すように、金型の型開き完了状態(図8の成形タイミング▲2▼のC)を第1の時間h1(本実施例では2秒)だけ保持した後、中空体10aを金型より取り出す。
【0039】
中空体10a内のローラ状樹脂磁石9aの冷却が進行し、該ローラ状樹脂磁石9aの冷却収縮により、成形品とパイプ4aとの間に隙間が生じる。中空体10aを金型より取り出してから約5分経過後、ランナ部を切除し、さらに、中空体10aの2つの端部位5a,6aをパイプ4aより分離し、成形品をパイプ4aより引き抜いて取り出す。最後に、成形品のゲート部を切除し、該切除した部位に研削加工を施すと、図7および図9の(B)に示すような、芯金3aと樹脂磁石材料で形成されたローラ部24とが一体で、外径20mm、長さ200mmのマグネットローラ25が得られる。このマグネットローラ25の表面磁束密度の分布は図9の(B)中破線で示すようになっている。
(第3実施例)
次に、本発明のマグネットローラの製造方法の第3実施例について説明する。
【0040】
先ず、この製造方法の実施に使用する、金型や中空体等からなる製造装置について説明する。
【0041】
図15に示すように、中空体冷却装置は、温水槽42と、この温水槽42にそれぞれホース44a,44bを介して接続された噴出ノズル43a,43bとから構成されている。図16に示すように、型開き工程中に、2つの噴出ノズル43a,43bから拡散噴出された冷却媒体としての温水は、中空体10bの、可動型1bに保持されていない部位の外表面に当たり、これにより、この部位の温度を、他の部位の温度より低く設定できる。その他の構成は第1実施例で説明した製造装置と同一である。
【0042】
次に、本実施例のマグネットローラの製造方法について説明する。
【0043】
この製造方法は、図8に示す成形タイミング▲3▼に基づいて、成形品を射出成形するものである。
【0044】
先ず、図16に示したように、金型を閉じることにより、予め加熱しておいた中空体10bをキャビティ8b内に装着した後、金型を型締する。強磁性体粉末とバインダーからなる予め溶融した樹脂磁石材料を、図示しない射出成形機のノズルより中空体10b内に射出注入ビて、中空体10b内を樹脂磁石材料で充満させ、ローラ状樹脂磁石9bを成形する。この際、ローラ状樹脂磁石9b中の強磁性体粉末は、各磁性体16b,17b,18b,19bの配向用磁力線によって配向され、2つの磁極対が形成される(図8の成形タイミング▲3▼のA)。可動
型1aおよび固定型2aの温度は、130℃である。
【0045】
射出注入後、約10秒間の保圧工程を行い、前記射出注入したローラ状樹脂磁石9bが完全に冷却固化される以前で、かつ射出注入開始から第1の時間H1(図8参照、本実施例では12秒)経過後、金型を開き、可動型1bの磁極体16b,17bを固定型2bの磁極体18b,19bから遠ざける。
【0046】
図16に示す型開き途中状態(図8の成形タイミング▲3▼のB)を経る際、中空体10bは可動型1bとともに矢印X方向に移動され、固定型2bの磁性体18b,19bの配向用磁力線はローラ状樹脂磁石9bから相対的に遠ざかるとともに、可動型1bの磁性体16b,17bと固定型2bの磁性体18b,19bとを結びローラ状樹脂磁石9b中を通る配向用磁力線の磁束密度は、可動型lb側ほど大きくなり、中空体10b内を通過する配向用磁力線が変化する。これにより、ローラ状樹脂磁石9bに形成される磁極対において、可動型lb側の磁極対
の磁束密度は、固定型2b側の磁極対の磁束密度よりも大きくなる。しかも、第1実施例と同様に、型開き工程前では、各型1b,2bの温度は同一であるが、型開き工程のときに、2つの噴出ノズル43a,43bから温水を拡散噴出し、この温水を、中空体10bの、可動型1bに保持されていない部位の外表面に当て、該外表面を冷却することにより、ローラ状樹脂磁石9aの溶融度は固定型2b側よりも可動型lb側の方が大きくなる。これにより、ローラ状樹脂磁石9bに形成される、可動型lb側の磁極対の磁束密度と固定型2b側の磁極対の磁束密度との差は、第1実施例のものと比較してより大きくなる。
【0047】
図17に示すように、金型の型開き完了状態(図8の成形タイミング▲3▼のC)を第2の時間h2(本実施例では5秒)だけ保持した後、中空体10bを金型より取り出す。
【0048】
中空体10b内のローラ状樹脂磁石9bの冷却が進行し、該ローラ状樹脂磁石9bの冷却収縮により、成形品とパイプ4bとの間に隙間が生じる。中空体10bを金型より取り出してから約5分経過後、ランナ部を切除し、さらに、中空体10bの2つの端部位5b,6bをパイプ4bより分離し、成形品をパイプ4bより引き抜いて取り出す。最後に、成形品のゲート部を切除し、該切除した部位に研削加工を施すと、図7および図9の(C)に示すような、芯金3bと樹脂磁石材料で形成されたローラ部24とが一体で、外径20mm、長さ200mmのマグネットローラ26が得られる。このマグネットローラ26の表面磁束密度の分布は図9の(C)中破線で示すようになっている。
【0049】
本実施例では、冷却媒体としての温水を中空体に噴き付けて中空体を冷却するものを示したが、これに限られず、冷却媒体としての風を噴き付けてもよい。
【0050】
上述した各実施例で得られるマグネットローラは、そのまま使用するか、あるいは公知の手段により脱磁した後、再着磁して使用する。
【0051】
また、図18に示すように、中空体31Xとして、金型の起磁極としての磁性体16X,19Xおよび終磁極としての磁性体17X,18Xにそれぞれ対向する外周部位に磁性棒27X,30Xおよび磁性棒28X,29Xをそれぞれ埋設し、かつ肉厚の厚い、ひいては強度の大きい中空体を用いることにより、配向用磁力の低下が伴わず、良質の成形品を成形することができる。
【0052】
中空体31Xの各磁性棒27X,28X,29X,30Xが設けられていない内周部位の肉厚寸法は、上述の各実施例で使用した中空部の肉厚と等しくなっており、磁気特性の観点から約2mm以下が好ましい。また、各磁性棒27X,28X,29X,30Xの断面形状を円形状に限らず、矩形状や台形状としてもよい。
【0053】
上記各実施例では、2つの磁極対(4つの磁極)を有するマグネットローラの製造について説明したが、3つ以上の磁極対をマグネットローラに形成してもよい。
【0054】
図19は本発明のマグネットローラの製造装置の他の実施例を示し、マグネットローラに形成すべき磁極の数が6極の場合の成形用金型の要部断面図である。図19に示すように、この成形用金型の可動型1Yには、3つの磁性体16Y,16Z,17Yと、2つの永久磁石12Y,12Zと、2つの非磁性体14Y,14Zとが埋設され、固定型2Yにも、3つの磁性体18Y,18Z,19Yと、2つの永久磁石13Y,13Zと、2つの非磁性体15Y,15Zとが埋設され、その他の構造は、第1,第2および第3実施例のものと同一である。
【0055】
図20は、図19に示した成形用金型で成形されたマグネットローラの表面磁束密度の分布を示すグ之フである。図20の(A)は、図19に示した成形用金型を用いて第1実施例と同様な方法で成形したマグネットローラ26Xを示し、磁極S132Xおよび磁極N131Xのそれぞれの磁束密度は910G,770Gである。図20の(B)は第2実施例と同様な方法で成形したマグネットローラ26Yを示し、磁極S132Yおよび磁極N131Yのそれぞれの磁束密度は1090G,620Gである。図20の(C)は第3実施例と同様な方法で成形したマグネットローラ26Zを示し、磁極S132Zおよび磁極N131Zのそれぞれの磁束密度は1300G,470Gである。
【0056】
次に、現像ユニット(現像器)について説明する。
【0057】
図21に示すように、現像容器45の上部は、トナー49を収容するホッパー部50となっており、現像容器45の下部には、現像剤支持体としての回転駆動されるスリーブ46が設けられている。このスリーブ46には本発明のマグネットローラ23(25,26)が内装固定されている。マグネットローラ23(25,26)の1つの磁極N131に対向する位置には、磁性体より成るブレード47が設けられている。電源48はスリーブ46と感光ドラム51との間に交番電圧を印加するためのものである。
【0058】
ここで、現像ユニットの動作について説明する。
【0059】
トナー49はホッパー部50に貯蔵されており、マグネットローラ(磁石ローラ)23(25,26)の磁力によってスリーブ46上へと引き寄せられる。スリーブ46上のトナーは、スリーブ46の回転によるスリーブ46との摩擦によって電荷を与えられる。そして、トナー中に含まれる添加制御剤によってトナーは安定した電荷を持つに至る。トナーは回転するスリーブ46によって搬送されてブレード47部に達する。ブレード47の対向位置には磁極N131が配置されている。トナーはブレード47と磁極N131との間に生ずる磁界と、ブレード47とスリーブ46との間隙によりある一定の厚みに規制される。ブレード47で厚みを規制された際に残ったトナーは、ブレード47の手前側である大きさの対流状態を形成する。
【0060】
スリーブ46は更に回転して感光ドラム51と対向する。感光ドラム51と対向したトナー層は現像磁極S1の磁力によって穂立ちし、感光ドラム51上の静電潜像とスリーブ46との間に印加される低周波交番電界の作用によって往復動して、潜像電荷のあるところにだけに付着する。現像残りのスリーブ46上のトナーは更にスリーブ46の回転、搬送磁極N2,S2の磁力によって現像容器45内へと搬送される。
【0061】
次に、複写装置について、複写機を例に挙げて説明する。ここでは、複写機を例に挙げて説明するが、現像ユニットをプリンタに組み込んでもよい。
【0062】
図22に示すように、複写機は、転写部材100にトナー像を転写するための上記現像ユニット75を有する転写部70と、転写部70に転写部材100を供給するための給紙ユニット60と、転写部材100にトナー像を転写した後の感光体表面をクリーニングするためのクリーニングユニット80と、転写部材100に転写されたトナー像を転写部材100に定着させるための定着ユニット90とで構成される。
【0063】
給紙ユニット60は、図示矢印方向に回転自在に軸支された給紙ローラ64と、多数枚のシート状の転写部材100を積載する給紙カセット61とを有し、給紙カセット61上に積載された転写部材100の図示右端部は、ばねにより上方に付勢される分離パッド62によって、給紙ローラ64に押圧されている。また、分離パッド62の図示右方には、ばねにより給紙ローラ64に押圧される分離パッド63が設けられており、給紙ローラ64を回転させることで、分離パッド62との協働により転写部材100のうち最上位置の転写部材が他の転写部材から分離されて、転写部70に1枚ずつ給紙される。給紙ローラ64は、このように転写部材100に圧接されて転写部材100との摩擦により転写部材100を搬送するので、転写部材100の紙しわを防止するために逆クラウン形に形成されたものであり、その弾性層はポリフルボルネンからなる。ポリノルボルネンの硬さは、SRIS(日本ゴム協会規格)に基づくアスカーCスケールで40度である。
【0064】
転写部70には、電荷を保持し、光照射を受けた部位のみ電気が流れ電位がなくなるような光半導電性を有する、像担持体としての感光ドラム51が回転自在に軸支されており、不図示の電源に接続された導電性の帯電ローラ71が、感光ドラム51の表面に圧接されて設けられている。これら電源および帯電ローラ71で帯電ユニットが構成されており、電源により帯電口ーラ71に所定の電圧を印加しつつ、感光ドラム51を回転させることで、感光ドラム51の表面が一様に帯電される。このため帯電ローラ71は、感光ドラム51に均一なニップ幅で接していることが望ましく、クラウン形に形成されている。またその弾性層は、厚さが約3mmのEPDMからなり、EPDMの、JIS K 6301に基づく硬さは60〜70度の範囲である。さらに、EPDMの表面にはヒドリンゴムが約200μmの厚さでコーティングされるとともに、さらにその上に約10μmの厚さでドレジンコーティングが施され、帯電ローラ71の導電性を維持しつつ、帯電ローラ71の表面の汚れを防止するとともに帯電ローラ71の内部からの不純物のしみ出しを防止している。表面が一様に帯電された感光ドラム51には、光源56の光が原稿台58に反射して照射される。このとき、感光ドラム51の表面には、原稿台58上に載置された不図示の原稿の文字や画像パターンに合わせて光が照射されてその部位の電位がなくなり、感光ドラム51の表面に潜像が形成される。
【0065】
感光ドラム51の、光源56からの反射光が照射された部位の、感光ドラム51の回転方向に対して下流側には現像器75が設けられており、潜像が形成された感光ドラム51の表面には、現像器75によりトナーが付着され、トナー像が形成される。現像器75には、感光ドラム51と同極性に帯電されたトナーを有し、トナーは、感光ドラム51のうち、電位のない潜像のところに付着する。トナー像が形成された感光ドラム51には、給紙ユニット60により搬送された転写部材100が接触される。このとき、転写部材100は転写帯電器52によりトナーと逆極性に帯電されており、感光ドラム51上のトナーは転写部材100に吸引され、、転写部材100にトナー像が転写される。トナー像が転写された転写部材100は、除電針53により除電される。一方、転写部材100へのトナー像の転写において、転写部材100への100%の転写は難しく、感光ドラム51にはトナーの残像が残っている。このため、クリーニングユニット80によって、感光ドラム51上に残っている残像トナーを除去しなければならない。
【0066】
クリーニングユニット80にはクリーニングブレード81が、その自由端の一つのエッジが感光ドラム51に圧接して設けられている。クリーニングブレード81の、感光ドラム51の回転方向に対する上流側には、クリーニングローラ82が、感光ドラム51に圧接して設けられている。クリーニングユニット80に到達した感光ドラム51の表面の残留トナーや紙粉等の異物は、まずクリーニングローラ82によって摺擦除去され、クリーニングローラ82上に保持される。このためクリーニングローラ82は、感光ドラム51に均一なニップ幅で接する必要があるのでクラウン形に形成されており、その弾性層は、アスカーCスケールによる硬さが34±4度のシリコーンゴムからなる内層と、ウレタンゴムからなる外層とで構成される。クリーニングローラ82によって除去されなかったトナーは、クリーニングブレード81によってかき落され、クリーニングローラ82上に保持される。そして、クリーニングローラ82上に保持された異物はスクレーパ83によってかき落されてトナー貯留部に蓄積され、搬送スクリュ84によってクリーニングユニット80の外部に排出される。
【0067】
他方、トナー像が転写された転写部材100は、搬送ベルト54により定着ユニット90に搬送される。定着ユニット90には、内部にローラ加熱手段としてのヒータ92が設けられた定着ローラ91が回転自在に軸支されている。定着ローラ91には加圧ローラ94が対向圧接されており、加圧ローラ94は、定着ローラ91の回転に伴って従動される。定着ユニット90に搬送された転写部材100は、紙ガイド95により定着ローラ91および加圧ローラ94間にガイドされ、両ローラ91、94に挟持される。このとき、定着ローラ91はヒータ92によって加熱されているので、転写部材100に転写されたトナーは定着ローラ91と加圧ローラ94との間で加圧融解され、転写部材100に定着する。これら定着ローラ91および加圧ローラ94は、それぞれ転写部材100の紙しわを防止するために逆クラウン形に形成されたものである。定着ローラ91の構成としては、中空部にヒータ92が挿入されたアルミニウム製の中空パイプ(芯金部材)に、200〜300μmの厚さでHTV(高温硬化型)シリコーンゴム(JIS K 6301に基づく硬さが60〜70度の範囲)からなる弾性層を形成し、さらにその上にフッ素樹脂をコーティングしたものである。加圧ローラ94の構成としては、芯金部材に、1〜10μmの厚さでLTV(低温硬化型)シリコーンゴム(JIS K 6301に基づく硬さが20〜50度の範囲)からなる弾性層を形成したものであり、その詳細については後述する。この定着過程において、定着ローラ91には転写部材100に転写されたトナーが付着する場合があるが、このトナーは、定着ローラ91に当接されたクリーニングパッド93によって定着ローラ91から取り除かれ、定着ローラ91の表面はきれいな状態に保たれる。
【0068】
定着が終了した転写部材100は、排紙ローラ55によって複写機の外部に排出され、排紙トレイ上に積載される。
【0069】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したとおり構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。
【0070】
請求項1に記載の発明は、樹脂磁石材料を一体成形したものなので、寸法精度や形状精度が高く、磁気特性の優れたマグネットローラを簡単な製造工程で効率良く生産できる。また、型開き開始直後、固定型部材の磁極対間で発生する配向用磁力線がローラ状樹脂磁石中の磁性粉の配向に強く影響を及ぼすので、型開き速度によって磁力波形のコントロールが可能である。
【0071】
請求項2および3に記載の発明は、請求項1の効果の他、マグネットローラに形成される複数の磁極対間の磁束密度の差は大きくなる。
【0072】
請求項4,5および6にそれぞれ記載の発明は、上記各製造方法の実施を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明のマグネットローラの製造方法の第1実施例の実施に使用する金型や中
空体等からなる製造装置の要部断面図であり、金型が型閉じされている状態を示
している。
【図2】
図1の横断面図である。
【図3】
図2と同様な図で、金型の型開き途中の状態を示している。
【図4】
図2と同様な図で、金型の型開き完了の状態を示している。
【図5】
図4に示した中空体を金型より取り外した状態を示す図である。
【図6】
図5に示した中空体を分離して成形品を取り外す状態を示す縦断面図である。
【図7】
図6に示した成形品の正面図である。
【図8】
本発明のマグネットローラの製造方法における成形タイミングを示す図である

【図9】
図8に示した3つの成形タイミングにより得られたマグネットローラの表面磁束密度の分布を示すグラフであり(A)は成形タイミング▲1▼に、(B)は成形タイミング▲2▼に、(C)は成形タイミング▲3▼にそれぞれ基づいて成形された成形品を示すものである。
【図10】
本発明のマグネットローラの製造方法の第2実施例の実施に使用する製造装置の縦断面図であり、金型が型閉じされている状態を示している。
【図11】
図10の横断面図である。
【図12】
図11と同様な図で、金型の型開き途中の状態を示している。
【図13】
図11と同様な図で、金型の型開き完了の状態を示している。
【図14】
第2実施例におけるパイプ4aの温度変化を示すグラフである。
【図15】
本発明のマグネットローラの製造方法の第3実施例の実施に使用する製造装置
の横断面図であり、金型が型閉じされている状態を示している。
【図16】
図15と同様な図で、金型の型開き途中の状態を示している。
【図17】
図15と同様な図で、金型の型開き完了の状態を示している。
【図18】
マグネットローラの製造装置の変形例を示す図である。
【図19】
マグネットローラの製造装置の他の変形例を示す図である。
【図20】
図19示した製造装置で成形されたマグネットローラの表面磁束密度の分布
を示すグラフである。
【図21】
現像ユニットの断面図である。
【図22】
複写装置としての複写機の構成図である。
【符号の説明】
1,1a,1b,1X,1Y 可動型
2,2a,2b,2X,2Y 固定型
3,3a,3b,3X 芯金
4,4a,4b,4X,4Y パイプ
5,5a,6,6a 端部位
7 7a ランナ
7X 抑圧部材
8,8a,8b キャビティ
9,9a,9b,9X,9Y ローラ状樹脂磁石
10,10a,10b,10X 中空体(筒体)
11,11a 孔
12,12a,12b,12X,12Y,12Z,13,13a,13b,1
3X,13Y,13Z 永久磁石
14,14a,14b,14X,14Y,14Z,15,15a,15b,1
5X 15Y 15Z 非磁性体
16,16a,16b,16X,16Y,16Z,17,17a,17b,1
7X,17Y,18,18a,18b,18X,18Y,18Z,19,19a
,19b,19X,19Y 磁性体(磁極)
20 ランナ部
21 隙間
22 ゲート部
23,25,26,26X,26Y,26Z マグネットローラ(成形品)
24 ローラ部
27X,28X,29X,30X 磁性棒
31 31a,31b,31Z,31Y,31Z 磁極N1
32,32a,32b,32X,32Y,32Z 磁極S1
33 33a,33b 磁極N2
34,34a,34b 磁極S2
35 可動型調温機
35a 出口部
35b 入口部
36 固定型調温機
36a 出口部
36a 入口部
37a,37b,38a,38b 熱媒パイプ
39,40 バイパスホース
41a,42a 流出ホース
4lb,42b 流入ホース
42 温水槽
43a,43b 噴出ノズル
44a,44b ホース
45 現像容器
46 スリーブ
47 ブレード
48 電源
49 トナー
50 ホッパ一部
51 感光ドラム
52 転写帯電器
53 除電針
54 搬送ベルト
55 排紙ローラ
56 光源
58 原稿台
59 排紙トレイ
60 給紙ユニット
61 給紙カセット
62,63 分離パッド
64 給紙ローラ
70 転写部
71 帯電ローラ
75 現像ユニット
80 クリーニングユニット
81 クリーニングブレード
82 クリーニングローラ
83 スクレーパ
84 搬送スクリュ
90 定着ユニット
91 定着ローラ
92 ヒータ
93 クリーニングパッド
94 加圧ローラ
95 紙ガイド
100 転写部材
 
訂正の要旨 訂正の要旨
訂正事項a
特許明細書中の特許請求の範囲を、特許請求の範囲の減縮を目的として以下のとおり訂正する。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 成形すべきマグネットローラの外形状と合致する内形状を有する非磁性金属製の筒体と、配向用磁力線の起磁極と終磁極からなる磁極対をそれぞれキャビティの周囲位置に配置した、固定型部材と可動型部材とからなる型とを準備し、
前記型を閉じて前記キャビティ内に前記筒体を装着する工程と、
前記筒体内に、磁性粉を含有した溶融樹脂を射出してローラ状樹脂磁石を成形するとともに、前記ローラ状樹脂磁石に複数の磁極対を形成するために、前記筒体の外側から前記ローラ状樹脂磁石の内側に向けて、前記ローラ状樹脂磁石内の磁性粉に前記配向用磁力線を印加する工程と、
前記配向用磁力線の印加を継続させつつ前記ローラ状樹脂磁石が完全に固化する前に前記型を開き、前記ローラ状樹脂磁石の磁極対の少なくとも1対を前記固定型部材から遠ざける工程と、
を有することを特徴とするマグネットローラの製造方法。
【請求項2】 請求項1に記載のマグネットローラの製造方法において、少なくとも前記型が開く工程のときに、前記筒体が残る型部材の温度を他の型部材の温度より高い温度に維持するマグネットローラの製造方法。
【請求項3] 請求項1に記載のマグネットローラの製造方法において、前
記型が開く工程の前における、各型部材の温度をほぼ等しい温度に保ち、型開き
が開始した後に、筒体の、型部材により保持されていない外表面を、冷却媒体に
より冷却するマグネットロージの製造方法。
【請求項4】 配向用磁力線の起磁極と終磁極からなる磁極対をキャビティの周囲位置にそれぞれ配置した、固定型部材と可動型部材とがらなる型と、
成形すべきマグネットローラの外形状と合致する内形状を有する中空体であって、かつ前記マグネットローラの少なくとも一方の軸部に対応する端部位が分離可能であるとともに、型のキャビティ内に装着されたときその中空部と型の樹脂通路とを連通する切欠が形成された筒体と、
該筒体内に樹脂磁石材料を射出するための射出手段とがら構成されたマグネットローラの製造装置。
【請求項5】 請求項4に記載のマグネットローラの製造装置において、固定型部材および可動型部材のそれぞれの温度を設定するための調温機を備えているマグネットローラの製造装置。
【請求項6】 請求項4に記載のマグネットローラの製造装置において、筒体の、型部材により保持されていない外表面に、冷却媒体を当てるための筒体冷却装置を備えているマグネットローラの製造装置。」
訂正事項b
特許請求の範囲に記載された発明との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書の【発明の名称】を「マグネットローラの製造方法および該マグネットローラの製造装置」と訂正し、明細書の第3ページ第4〜5行の「マグネットローラと、その製造方法」を「マグネットローラの製造方法」と訂正し、明細書の【0002】段落を削除し、明細書の【課題を解決するための手段】の欄、【作用】の欄及び【発明の効果】の欄をそれぞれ特許請求の範囲の記載と対応するように訂正するとともに、明細書の【0026】段落の「本発明のマグネットローラ」、【0065】段落の「本発明の現像ユニット」、【0070】段落の「本発明の複写装置」及び「本発明の現像ユニット」、【図面の簡単な説明】の【図21】及び【図22】の記載から、それぞれ「本発明の」という記載を削除する。
異議決定日 1999-06-11 
出願番号 特願平4-199973
審決分類 P 1 651・ 121- ZD (H01F)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 植松 伸二  
特許庁審判長 鈴木 伸夫
特許庁審判官 岩本 正義
川上 益喜
登録日 1997-09-05 
登録番号 特許第2694092号(P2694092)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 マグネットローラの製造方法および該マグネットローラの製造装置  
代理人 伊藤 克博  
代理人 若林 忠  
代理人 金田 暢之  
代理人 渡辺 勝  
代理人 渡辺 勝  
代理人 伊藤 克博  
代理人 金田 暢之  
代理人 石橋 政幸  
代理人 若林 忠  
代理人 石橋 政幸  

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