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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G11B |
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管理番号 | 1006862 |
審判番号 | 審判1999-3378 |
総通号数 | 7 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1988-08-03 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-03-11 |
確定日 | 1999-12-13 |
事件の表示 | 昭和62年特許願第18715号「カード状記録媒体へのデ-タ記録方法」拒絶査定に対する審判事件〔(平成8年3月21日出願公告、特公平8-28046)、特許請求の範囲に記載された発明の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許をすべきものとする。 |
理由 |
I.手続の経緯 本件審判の請求に係る特許願(以下、「本願」という。)は、昭和62年1月30日の出願であって、原審において平成8年3月21日に出願公告されたところ、山下鐸夫から特許異議の申立があり、その異議申立が理由があるものと決定され、その決定の理由によって拒絶査定されたものである。 II.本願発明の要旨 本願の特許請求の範囲に記載された発明は、出願公告後の平成11年10月14日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。(以下「本願発明」という。) 「複数のトラックを有するカード状記録媒体と記録ヘッドとを相対的に往復移動させながら該記録媒体のトラックにデータを記録するにあたり、 前記往復移動を行う駆動部、あるいはその制御部からの記録方向指示情報を用いて前記往動および復動を判断し、 前記往動および復動のいずれかの移動であると判断した第1の場合には、データを所定の方向から第1の変調規則に従ってトラックに記録し、 前記第1の場合とは異なるもう一方の移動であると判断した第2の場合には、当該記録すべきデータを、前記第1の場合において所定の方向から第1の変調規則に従って記録する場合と同じデータの方向および変調結果となるような第2の変調規則に従ってトラックに記録することを特徴とするカード状記録媒体へのデータ記録方法。」 III.引用刊行物及びその記載 これに対して、原査定の拒絶の理由となった特許異議の決定に引用された特開昭60-69836号公報(以下「刊行物」という。)には、以下の記載がある。 「このエンコーダ(3)は、A/D変換回路、パラレル/シリアル変換回路、変調回路等を含み、記録情報SIには夫々の処理がなされる。このエンコーダ(3)からの出力データ(以下記録データという)はRAM(4)に供給されて順次書き込まれる。」(第2頁上左欄第17行〜上右欄第2行) 「また、記録ヘッド(6)は、ヘッド移動手段(7)によりc方向とは直角方向のa方向(再生方向と同方向)及びb方向(再生方向とは逆方向)に、1トラック記録する毎に交互に走査されるようにされ、記録媒体(5)上に隣接トラックが順次平行となるように記録トラックが形成される。」(第2頁上右欄第9行〜第15行) 「記録ヘッド(6)には、RAMに予め書き込まれている記録データが1トラック分ずつ順次読み出されて供給される。 また、RAM(4)より読み出された記録データは検出回路(8)に供給され、記録データの1トラック分の終端毎に付加されたデータが検出される。そして、この検出回路(8)によりRAM(4)の読み出しが制御され、1トラック分毎にその読み出し順序が逆となるようにされる。また、この検出回路(8)により記録媒体(5)の移動、記録ヘッド(6)の移動が制御される。……(途中略)……この場合、▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼・・・の各記録トラックにおいては、a方向に記録データが記録されることとなる。」(第2頁上右欄第16行〜下右欄第12行) これらの記載を総合して整理すると、刊行物には、以下のとおりの発明が記載されているものと認める。 「複数のトラックを有するカード状記録媒体と記録ヘッドとを相対的に往復移動させながら該記録媒体のトラックにデータを記録するにあたり、 該記録すべきデータを変調回路を含むエンコーダを介してRAMに順次書き込み、その際1トラック分の終端毎に適当なデータを付加し、 前記付加したデータから往動および復動のいずれかの移動であると判断した第1の場合には、前記RAMから記録すべきデータを所定の順序に読み出してトラックに記録し、 前記第1の場合とは異なるもう一方の移動であると判断した第2の場合には、当該記録すべきデータを、前記第1の場合において所定の方向から記録する場合と同じデータの方向および変調結果となるような順序に前記RAMから読み出してトラックに記録することを特徴とするカード状記録媒体へのデータ記録方法。」 IV.対比、判断 そこで、本願発明と刊行物に記載された発明とを対比すると、本願発明と刊行物記載の発明は、「複数のトラックを有するカード状記録媒体と記録ヘッドとを相対的に往復移動させながら該記録媒体のトラックにデータを記録するにあたり、 往動および復動のいずれかの移動であると判断した第1の場合には、データを所定の順序でトラックに記録し、 前記第1の場合とは異なるもう一方の移動であると判断した第2の場合には、当該記録すべきデータを、前記第1の場合において所定の方向から記録する場合と同じデータの方向および変調結果となるような順序に従ってトラックに記録することを特徴とするカード状記録媒体へのデータ記録方法。」 である点で一致している。 しかしながら、本願発明特有の構成である「往動および復動のいずれかの移動であると判断した第1の場合には、データを所定の方向から第1の変調規則に従ってトラックに記録し、前記第1の場合とは異なるもう一方の移動であると判断した第2の場合には、当該記録すべきデータを、前記第1の場合において所定の方向から第1の変調規則に従って記録する場合と同じデータの方向および変調結果となるような第2の変調規則に従ってトラックに記録ずる」構成を、刊行物記載の発明は有していない。 すなわち、記録する方向に関係なくデータを1方向の向きにするために、本願発明では、記録すべきデータを第1の場合には第1の変調規則、第2の場合には第2の変調規則を用いて記録するようにしているのに対し、刊行物記載の発明では、記録すべきデータをRAMに予め書き込んでおき、第1の場合のRAMからの読み出し順序と第2の場合のRAMからの読み出し順序を変えることにより記録するようにしており、両者はその構成が明らかに相違している。そして刊行物には、本願発明の当該構成を示唆する記載もない。 また、本願発明の当該構成は、特許異議決定の理由中に「往復移動を行う駆動部、あるいはその制御部からの記録方向指示情報を用いて前記往動および復動を判断する」ことが周知であることを示した参考資料1(特開昭54-15724号公報)及び参考資料2(特開昭61-240408号公報)にも記載されておらず、示唆もない。 したがって、他の相違点について、検討するまでもなく、刊行物記載の発明と参考資料1及び参考資料2記載の発明をいかように組み合わせたとしても、本願発明の構成を導出することは不可能であるといわざるを得ない。 V.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、上記刊行物に記載された発明及び参考資料1及び参考資料2記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとすることができない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 1999-11-08 |
出願番号 | 特願昭62-18715 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G11B)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小松 正 |
特許庁審判長 |
高瀬 博明 |
特許庁審判官 |
藤井 浩 田良島 潔 |
発明の名称 | カード状記録媒体へのデータ記録方法 |
代理人 | 梅本 政夫 |
代理人 | 杉村 純子 |
代理人 | 杉村 興作 |
代理人 | 青木 純雄 |
代理人 | 高見 和明 |
代理人 | 徳永 博 |
代理人 | 中谷 光夫 |
代理人 | 杉村 暁秀 |
代理人 | 藤谷 史朗 |