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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する F02D |
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管理番号 | 1007148 |
審判番号 | 審判1999-39062 |
総通号数 | 7 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-09-24 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 1999-07-28 |
確定日 | 1999-12-01 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2747157号発明「内燃機関の絞り弁制御装置」に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第2747157号発明の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.請求の要旨 本件審判の請求の要旨は、特許第2747157号発明(平成4年3月10日特許出願、平成10年2月13日設定登録)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記(1)及び(2)のとおり訂正することを求めるものである。 (1)【特許請求の範囲】の【請求項1】における「絞り弁の全開位置」の記載(特許公報の【請求項1】において、右欄の上から6行目)を、『絞り弁の全閉位置』と訂正する。 (2)【発明の詳細な説明】の【0009】における「絞り弁の全開位置」の記載(特許公報の【0009】において、下から3行目)を、『絞り弁の全閉位置』と訂正する。 2.当審の判断 そこで、これらの訂正事項(1)及び(2)について検討する。 願書に最初に添付した明細書を参照すると、【特許請求の範囲】の【請求項1】及び【発明の詳細な説明】の【0009】の上記訂正事項(1)及び(2)に対応する個所には、「絞り弁の全開位置」ではなく、『絞り弁の全閉位置』と記載されている。そして、【発明の詳細な説明】の【0005】,【0006】,【0008】,【0010】,【0011】,【0029】〜【0034】,【0039】等の記載をみても、「絞り弁の全開位置」ではなく、『絞り弁の全閉位置』を対象とする従来技術の問題点、及び発明の作用・実施例・効果が記載されている。 ところで、願書に最初に添付した明細書の【特許請求の範囲】の【請求項1】及び【発明の詳細な説明】の【0009】における『絞り弁の全閉位置』の記載が、「絞り弁の全開位置」と補正されたのは、平成9年11月27日付けの手続補正書によってであり、このとき、上記【発明の詳細な説明】の【0005】,【0006】,【0008】,【0010】,【0011】,【0029】〜【0034】,【0039】等の記載は、補正されていない。 以上のとおり、願書に最初に添付した明細書には、『絞り弁の全閉位置』を対象とする記載事項は認められるが、「絞り弁の全開位置」を対象とする記載事項は認められないから、平成9年11月27日付けの手続補正書で『絞り弁の全閉位置』を「絞り弁の全開位置」と補正したことは、当該補正をするに当たっての誤記と認められ、したがって、上記訂正事項(1)及び(2)は、誤記の訂正を目的とするものである。 そして、上記訂正事項(1)及び(2)は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 また、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明でもない。 3.むすび したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第2項ないし第4項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 内燃機関の絞り弁制御装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 絞り弁開閉位置を制御するアクチュエータと、絞り弁の開閉駆動部材と上記アクチュエータの駆動力出力部材の間に設置した駆動力結合切離手段と、アクセルペダルの操作に応じて変位する部材と上記絞り弁の開閉駆動部材を結合する撓み駆動力伝達機構とを備え、上記アクチュエータにより制御される絞り弁の開度と上記アクセルペダルの操作により絞り弁に与えられようとする開度との差が上記撓み駆動力伝達機構により吸収され、上記駆動力結合切離手段により上記アクチュエータが上記絞り弁の開閉駆動部材から切り離されたときには、上記アクセルペダルの操作により上記絞り弁の開閉操作が行えるようにした内燃機関の絞り弁制御装置において、 上記撓み駆動力伝達機構が、 相互に反対方向の変位を受けるように配置され、且つ、それぞれ予応力が与えられている2個のスプリングを有し、これら2個のスプリングの相互に反対方向に現われる変位によって上記開度の差を吸収するようにしたスプリング駆動力伝達機構で構成され、 上記絞り弁の開閉駆動部材による上記絞り弁の全閉位置が、 上記アクセルペダの操作に応じて変位する部材の最大戻し位置の手前にくるように構成されているとを特徴とする内燃機関の絞り弁制御装置。 【請求項2】 請求項1の発明において、 上記駆動力結合切離手段が、電磁作動方式のクラッチ機構で構成されていることを特徴とする内燃機関の絞り弁制御装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、絞り弁開閉操作用のアクチュエータを備え、通常時は、このアクチュエータにより絞り弁の開度を制御し、異常時には、このアクチュエータを絞り弁から切り離し、アクセルペダルの操作により絞り弁の開度が制御出来るようにしてフェイルセイフ機能をもたせるようにした車載用の内燃機関における絞り弁制御装置に係り、特に自動車用のエンジンに好適な内燃機関の絞り弁制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、例えば自動車など、車両用内燃機関の絞り弁(スロットルバルブ)の制御方式として、従来のアクセルペダル操作による直接的な絞り弁の操作に代えて、アクセルペダルの操作量をセンサにより電気信号として取り込み、所定の演算処理を施してから電動機などからなるアクチュエータに供給し、このアクチュエータにより絞り弁を開閉制御する、いわゆる電子スロットル方式の絞り弁制御装置が注目されるようになり、エンジンの高出力化など自動車の高性能化に際して有効なトラクションコントロールなどの各種のエンジン制御に適用されるようになっている。 【0003】 ところで、このような電子スロットル方式の絞り弁制御装置では、そこに使用されているアクチュエータや、その制御装置などでの異常に際しても、常に充分な安全性が確保されるようにする、いわゆるフェイルセイフ機能の付与が不可欠である。 【0004】 そこで、例えば、特開平2-30933号公報の開示に代表される従来技術では、絞り弁のアクチュエータ側とアクセルペダル側の両方に、それぞれ電磁クラッチを設け、正常時には、アクチュエータ側の電磁クラッチをつないでアクチュエータによる絞り弁の電子制御、つまり電子スロットルモードでの動作を可能とし、アクチュエータ系が故障等の異常状態となったときには、アクセルペダル側の電磁クラッチにつなぎ代え、アクセルペダルによる直接的な絞り弁の制御を可能にし、異常発生にもかかわらず、とにかく自動車の自力での運行継続を可能にして、修理工場などへの自動車の持込ができるようにした、いわば、“異常時補助走行”とでも言うべきモードが得られるようにしていた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 従来技術は、アクセルペダルの操作により絞り弁に与えられるであろう開度よりも、アクチュエータによる絞り弁開度が開方向へ制御されている状態が存在する点について配慮がされておらず、このような状態にあるとき、アクチュエータ系に異常が発生したとすると、アクセルペダルを完全に戻しても絞り弁を全閉位置に戻すことが出来ず、充分なフェイルセイフ機能の付与が出来ないという問題点があった。 【0006】 すなわち、従来技術では、アクチュエータ系に異常が発生すると、これによりアクチュエータ側の電磁クラッチは切り離され、代ってアクセルペダル側の電磁クラッチが接続され、これによってアクセルペダルによる“異常時補助走行”機構が得られるが、このとき、上記の状態にあったとすると、アクセルペダルの操作位置に対応した開度よりも大きな開度にある絞り弁が、そのままアクセルペダルにつながってしまうので、アクセルペダルを戻しても絞り弁は全閉しないこととなってしまい、暴走といった重大な事故につながる可能性を生じ、完全なフェイルセイフ条件が成立しないという問題が生じてしまうのである。 【0007】 また、上記従来技術は、コストの低減についての配慮が充分にされておらず、電磁クラッチを2個必要とするため、非常にコスト高となり望ましくないという問題もあった。 【0008】 本発明の目的は、コスト的に優位な構成で、且つ、万一、アクチュエータ駆動系が故障等の異常状態になったときでも、フェイルセイフによりアクセルペダル操作での“異常時補助走行”が可能で、このとき、暴走等の重大事故が発生する虞れを充分になくすことができる内燃機関の絞り弁制御装置を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】 上記目的は、絞り弁開閉位置を制御するアクチュエータと、絞り弁の開閉駆動部材と上記アクチュエータの駆動力出力部材の間に設置した駆動力結合切離手段と、アクセルペダルの操作に応じて変位する部材と上記絞り弁の開閉駆動部材を結合する撓み駆動力伝達機構とを備え、上記アクチュエータにより制御される絞り弁の開度と上記アクセルペダルの操作によリ絞り弁に与えられようとする開度との差が上記撓み駆動力伝達機構により吸収され、上記駆動力結合切離手段により上記アクチュエータが上記絞り弁の開閉駆動部材から切り離されたときには、上記アクセルペダルの操作により上記絞り弁の開閉操作が行えるようにした内燃機関の絞り弁制御装置において、上記撓み駆動力伝達機構が、相互に反対方向の変位を受けるように配置され、且つ、それぞれ予応力が与えられている2個のスプリングを有し、これら2個のスプリングの相互に反対方向に現われる変位によって上記開度の差を吸収するようにしたスプリング駆動力伝達機構で構成され、上記絞り弁の開閉駆動部材による上記絞り弁の全閉位置が、上記アクセルペダルの操作に応じて変位する部材の最大戻し位置の手前にくるようにして達成される。 【0010】 【作用】 撓み駆動力伝達機構は、アクチュエータによる絞り弁の動きを吸収してアクセルペダルの操作位置による影響を打消し、アクチュエータが駆動力結合切離手段より絞り弁から切り離されたときには、アクセルペダルによる開度に絞り弁の開度が一致した状態で、アクセルペダルによる絞り弁の開閉操作を可能にするように働き、さらに、このとき、上記アクセルペダルの操作に応じて変位する部材の最大戻し位置の手前に上記絞り弁の開閉駆動部材による上記絞り弁の全閉位置がくるようにしてあるので、撓み駆動力伝達機構により、絞り弁を全閉位置に弾性的に位置決めするカが働く。 【0011】 従って、万一、アクチュエー夕駆動系が故障等の異常状態になったときには、アクセルペダルによる絞り弁の操作が可能になるので、“異常時補助走行”機能が与えられ、且つ、このときには撓み駆動力伝達機構を構成するスプリングのバランスが意図的に崩されるので、絞り弁はアクセルペダル操作位置まで戻された上で所定の弾性力をもって全閉位置に保持されるので、絞り弁に吸気負圧などによる外力が作用しても、全閉位置から戻される虞れがなくなり、“異常時補助走行”状態での暴走等の重大事故発生は確実に抑えられ、完全なフェイルセイフ機能と高信頼性を達成することができる。 【0012】 また、このとき、駆動力結合切離手段となる電磁クラッチなどは1個で済み、この結果、コスト的に優位な構成とすることができる。 【0013】 【実施例】 以下、本発明による内燃機関の絞り弁制御装置について、図示の実施例により詳細に説明する。 図1は、本発明の一実施例で、図において、1は絞り弁で、この絞り弁1は、支持体(スロットルボディ)2に回動自在に支承されている絞り弁軸3に固定されている。 4はコントロールユニット、6は絞り弁開度制御用のアクチュエータとなるモータで、コントロールユニット4には、エンジンの運転状態を示す種々の情報に基づいて設定された目標開度5が入力され、それにより、モータ6へ駆動信号7を伝送する。 【0014】 次に、8は電磁クラッチで、コントロールユニット4からの励磁信号9により動作し、絞り弁軸3とモータ6の間での駆動力の伝達切離しを制御する駆動力結合切離手段を構成する。 この電磁クラッチ8のロー夕8aは絞り弁軸3に取付けられ、その入力側のギア8bは、絞り弁軸3に対して回動自在に構成されている。そして、このギア8bに噛み合っている減速機10を介してモータ6から駆動力が伝達されるようになっている。 【0015】 次に、11はスプリング駆動力伝達機構で、絞り弁軸3に取付けられた制御レバー11aと、アクセルワイヤ15を介してアクセルペダル14に連結されたスロットルレバー11b、それに2個のロストモーション用のスプリング11c、11dで構成されている。そして、スロットルレバー11bと制御レバー11aは、これら2個のロストモーション用のスプリング11c、11dにより係合されている。 一方、スロットルレバー11bには、リターンスプリング12が設けてあり、これにより、絞り弁1を閉じ方向に付勢されている。 【0016】 次に、18はスロットルポジションセンサで、絞り弁1の実開度を検出する検出手段となり、19はアクセルポジションセンサで、スロットルレバー11bの操作位置を検出する検出手段となる。 また、20はアジャストレバーで、これは絞り弁軸3に固定されており、全開ストッパ16、全閉ストッパ17と係合して絞り弁1の回動範囲を規定する働きをする。なお、この図1では、全開ストッパ16は表われていない。 【0017】 次に、21、22はスプリング受けで、樹脂材のような摩擦係数の小さい材料で作られ、ロストモーション用のスプリング11c、11dをこれらのスプリング受け21、22上に設けることにより、これらの摺動抵抗を少なくする働きをする。 また、23はアクセルポジションセンサ軸で、これは、センサハウジング25に回動自在に挿入保持され、これにレバー24が取付けられている。そして、このレバー24は、スロットルレバー11bと、接合ピン24aにより係合されているので、スロットルレバー11bの回動に伴って一緒に回動し、スロットルレバー11bの回動をアクセルポジションセンサ19へ伝えることができる。そして、このとき、このアクセルポジションセンサ軸23には、比較的弱い復帰力のリターンスプリング13が設けてあり、これにより、回動伝達系に存在する遊びを無くすようになっている。 【0018】 このスロットルポジションセンサ18の出力電圧26は、コントロールユニット4に入力され、絞り弁1の実開度を表わす出力電圧値26と目標開度5との比較判断により駆動信号7がモータ6に伝送され、これにより絞り弁1のフィードバック制御が成立している。 【0019】 そして、モータ6による制御が中断しているときは、基本的には、スロットルポジションセンサ18の出力電圧26とアクセルポジションセンサ19の出力電圧27との間には、ある一定の相関があり、これらをコントロールユニット4に取り込み、比較判断して正常の動作をしているか否かのフェイルセイフ制御が成立している。 但し、ここで説明したフェイルセイフ制御ロジックは一例にすぎず、これに限られるものではない。 【0020】 図2は、スプリング駆動力伝達機構11を図1のP方向から見た図で、絞り弁1は絞り弁軸3に固定され、制御レバー11aも絞り弁軸3に固定されており、従って、絞り弁1と一体となって回動する。 一方、スロットルレバー11bは絞り弁軸3に対して回動自在に支承されており、ロストモーション用のスプリング11c、11dは、スプリング受け21、22上に、互いに逆方向の付勢力をもたせて組付けられており、これにより、これらのスプリング11c、11dは、スロットルレバー11bに対して相互に反対方向の変位を受けるように配置され、且つそれぞれ予応力が与えられるように構成されていることになる。 【0021】 また、アクセルワイヤ15はスロットルレバー11bのワイヤガイド溝15aを通って、玉掛け部11eでスロットルレバー11bに固定され、アクセルペダル14の操作により、リターンスプリング12の付勢力に抗して、絞り弁1を矢印θA方向に回動させることができるように構成されている。 【0022】 次に、これら図1、図2に示した実施例の動作について、以下、図3の構成概念図により説明する。 この図3は、理解を容易にするため、図1の実施例における回転動作を左右方向の直線移動で表わし、図1と同じ部分、もしくは同等の部分には同じ符号を付したものである。 【0023】 図3において、いま、運転者が、図示してないキースイッチをONにすると、これと同時に励磁信号9が電磁クラッチ8に伝送され、電磁クラッチ8はON状態となり、これで通常制御状態での準備完了となり、コントロールユニット4からモータ6へ駆動信号7が伝送されて、絞り弁1が開閉制御されることになる。 【0024】 このとき、絞り弁軸3に取付られている制御レバー11aは、モータ6の回転により、絞り弁1と一体になって、図中に破線で示すように移動(回動)するが、この制御レバー11aの移動(回動)により発生するスロットルレバー11bとの相対変位は、ロストモーション用のスプリング11c、11dの一方の伸びと他方の縮み(図1では、一方の巻き緩みと、他方の巻き締まりとなる)により吸収され、この結果、アクセルペダル14の踏み込み量に応じて与えられているスロットルレバー11bの操作位置にかかわらず、これと独立に、モータ6による絞り弁1の開閉制御が可能になり、電子スロットルモードとしての動作が得られることになる。 【0025】 次に、いま、何らかの理由により、モータ駆動系に故障等の異常が発生したとする。 そうすると、コントロールユニット4に内蔵されている異常判断機能の働きにより、まず、電磁クラッチ8の励磁が停止され、この電磁クラッチ8がOFF状態にされる。 そうすると、絞り弁軸3はモータ6から切1り離され、フリーになる。 【0026】 しかして、このとき、スロットルレバー11bと制御レバー11aとの間に相対変位が生じていたとすると、ロストモーション用のスプリング11cとロストモーション用のスプリング11dの付勢荷重に差が生じているので、この付勢荷重の差がバランスする位置、つまり相対変位差をゼロとする位置まで、これらのスプリング11c、11dの働きにより制御レバー11aが移動(回動)され、この結果、絞り弁1もアクセルペダル14の操作位置に適合した開度に移動(回動)させられてしまうことになる。 【0027】 そして、この結果、絞り弁軸3は、制御レバー11aとロストモーション用のスプリング11c、11d、それにスロットルレバー11bを介してアクセルペダル14にだけ結合された状態になり、ここでアクセルペダル14の操作で絞り弁1を駆動させるための準備が完了されることになる。 【0028】 そこで、このあとは、アクセルペダル14を踏み込むことにより、リターンスプリング12、13の復帰力に抗してスロットルレバー11bは回動され、このスロットルレバー11bの移動(回動)に応じて、制御レバー11aにはロストモーション用のスプリング11c、11dの荷重がバランスするようなカが作用するので、制御レバー11aはスロットルレバー11bに追従して、それと同位相での移動(回動)を行ない、絞り弁1の開度制御が得られ、“異常時補助走行”機能を達成することができるのである。 【0029】 ところで、図3において、一点鎖線X-X’で示してあるスロットルレバー11bの位置は、ロストモーション用のスプリング11c、11dの荷重がバランスしている状態、すなわち、中立位置にあるときでの絞り弁1の全閉開度、すなわち、アイドル開度に対応した位置を表わしている。 【0030】 一方、この実施例では、全閉ストッパ17によるアクセルペダル14を戻したときのスロットルレバー11bの全閉位置は、上記一点鎖線X-X’による位置よりも、さらに所定の角度αだけ戻し方向になるように構成されている。 【0031】 この結果、この実施例では、アクセルペダル14をストロークがゼロの位置に戻すと、リターンスプリング12、13の弾性力により、スロットルレバー11bは絞り弁1の全閉開度(アイドル開度)を越えて更に全閉ストッパ1定まる全閉位置にまで戻り、この結果、ロストモーション用のスプリング11c、11dには、それらの中立位置から角度αに対応した変位が与えられ、この変位に対応した弾性力を発生し、これによりしっかりと全閉開度(アイドル開度)に押しつけられるので、エンジンの吸気負圧などにより絞り弁1が開いてしまうという虞れを確実に防止し、“異常時補助走行”状態での暴走等の重大事故発生は確実に抑えられ、完全なフェイルセイフ機能と高信頼性を達成することができる。 【0032】 図4は、この実施例における制御可能領域を示したもので、モータ6による絞り弁1の開度制御領域は、この図4から明らかなように、全域にわたっての開閉制御が可能である。また、“異常時補助走行”モード時でも、従来技術と同様であり、角度α以上ではアクセルペダル操作にそのまま追従した制御になることが判る。 【0033】 次に、図5により、“異常時補助走行”状態での絞り弁1の動きとアクセルレバー11bの動きの関係について説明する。 この図から明らかなように、この実施例では、アクセルペダル14の操作初期時、つまりアクセルレバー11bの回転角がα゜以下の場合においては、制御レバー11aの動き、すなわち、絞り弁1の開度に不感帯が与えられた形になる。 この不感帯は、絞り弁1に、全閉開度での保持力を与えたことによるもので、これにより暴走等の事故が発生することがなく、完全なフェイルセイフ機能と高信頼性を達成できることが判る。 そして、また、アクセルペダル14の操作に、この不感帯が現われることにより、自動車の運転者は、“異常時補助走行”状態に移行したことを感じ取ることができる。 【0034】 従って、この実施例によれば、異常発生時には、モータ6が絞り弁軸3から切り離されてアクセルペダルによる開度制御下に自動的に移行すると共に、絞り弁1の開度も、自動的にアクセルペダル14の操作位置に対応した状態でアクセルペダルによる開度制御下に置かれることになり、“異常時補助走行”機能が与えられると共に、アクセルペダル14を完全に戻したときには、絞り弁1は所定の弾性力で全閉開度に押しつけられて保持されるので、“異常時補助走行”状態での暴走等の重大事故発生は確実に抑えられ、完全なフェイルセイフ機能と高信頼性を達成することができる。 【0035】 次に、図6は、この実施例におけるスプリング駆動力伝達機構11の、モータ6による制御時と、アクセルペダル14の操作による制御時での動作を示す概略図で、横軸は絞り弁1の開度TVOを、縦軸はロストモーション用スプリング11c、11dの付勢トルクTを示している。 図6中で、点Oは、中立(初期)状態を表わし、ここはアクセルペダルの操作位置に一致した絞り弁開度TVOにあるものとする。 【0036】 まず、モータ6により、絞り弁1を角度θMdegだけ、開き方向に制御している状態を考えると、一方のロストモーション用スプリング11cは巻き込まれる方向に偏角し、他方のロストモーション用スプリング11dは、緩む方向に偏角することになり、従って、この図6に示すO-A″特性がスプリング11cの付勢トルクT特性を示し、O-B″特性がスプリング11dの付勢トルクT特性を示すことになる。そして、ここで、A″-B″の絶対値が、モータ6が発生すべき必要トルクを表すこととなる。 なお、これは、絞り弁1を開き方向に制御している場合についての説明であるが、閉じ方向に制御している場合も同様である。 【0037】 次に、この図6において、O点からスプリング駆動力伝達機構11による“異常時補助走行”機構が作動した場合を考える。 アクセルペダル14の操作により、スロットルレバー11bが角度θAdegだけ開き方向に回動したとすると、スプリング11c、11dの付勢トルクTは、それぞれがバランスする方向に相対移動させられる。この結果、制御レバー11aはスロットルレバー11bの回動に伴って同一方向に追従し、図6上では、O点→O′点に移動することになり、絞り弁1は、同じ角度θAdeg、開き方向に回動し、この結果、モータ6を含む駆動系に異常が発生した場合でも、確実に“異常時補助走行”機構が成立することになる。 【0038】 通常、この実施例のように、アクセルペダル14側にクラッチなどを設けないと、モータ6などのアクチュエータにより絞り弁1の制御がなされたとき、アクセルペダル14にキックバック現象が現われる。 然し乍ら、この実施例では、ロストモーション用のスプリングとして、2個のスプリング11c、11dを用い、これらの付勢トルクが反対になるようにして組立てあり、この結果、この実施例によれば、これらのスプリング11c、11dの絞り弁軸3に対する付勢トルク定数を同一にとることにより、各々の合成トルクをフラット化し、図5の特性O-Cを得ることができ、従って、この実施例によれば、キックバック現象を無くすことが出来るという効果がある。 【0039】 【発明の効果】 本発明によればコスト的に優位な構成で、且つ、万一、駆動系が故障等の異常状態になった時でも、フェイルセイフによりアクセルペダル操作での“異常時補助走行”が可能で、また、暴走等の重大事故が発生することのない完全なフェイルセイフ機構と高信頼性を達成した内燃機関の絞り弁制御装置を容易に提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明による内燃機関の絞り弁制御装置の一実施例を示す断面展開図である。 【図2】 図1の実施例の一部を示す側断面図である。 【図3】 図1の実施例の動作原理を説明するための構成概念図である。 【図4】 本発明の一実施例における制御可能領域を表わす特性図である。 【図5】 本発明の一実施例における絞り弁とスロットルレバーの特性図である。 【図6】 本発明の一実施例におけるスプリング駆動力伝達機構の特性図である。 1 絞り弁 2 支持体(スロットルボディ) 3 絞り弁軸 4 コントロールユニット 5 目標開度信号 6 モータ 7 駆動信号 8 電磁クラッチ 8a 電磁クラッチのロータ 8b 電磁クラッチのギア 9 励磁信号 10 減速機 11 スプリング駆動力伝達機構 11a 制御レバー 11b スロットルレバー 11c、11d ロストモーション用のスプリング 11e 玉掛け部 12、13 リターンスプリング 14 アクセルペダル 15 アクセルワイヤ 16 全開ストッパ 17 全閉ストッパ 18 スロットルポジションセンサ 19 アクセルポジションセンサ 20 アジャストレバー 21、22 スプリング受け 23 アクセルポジションセンサ軸 24 レバー 24a 接合ピン 25 センサハウジング 26、27 出力電圧 |
訂正の要旨 |
i.特許請求の範囲の請求項1を次の通りに訂正する。 【特許請求の範囲】 【請求項1】 絞り弁開閉位置を制御するアクチュエータと、絞り弁の開閉駆動部材と上記アクチュエータの駆動力出力部材の間に設置した駆動力結合切離手段と、アクセルペダルの操作に応じて変位する部材と上記絞り弁の開閉駆動部材を結合する僥み駆動力伝達機構とを備え、上記アクチュエータにより制御される絞り弁の開度と上記アクセルペダルの操作により絞り弁に与えられようとする開度との差が上記撓み駆動力伝達機構により吸収され、上記駆動力結合切離手段により上記アクチュエータが上記絞り弁の開閉駆動部材から切り離されたときには、上記アクセルペダルの操作により上記絞り弁の開閉操作が行えるようにした内燃機関の絞り弁制御装置において、 上記撓み駆動力伝達機構が、 相互に反対方向の変位を受けるように配置され、且つ、それぞれ予応力が与えられている2個のスプリングを有し、これら2個のスプリングの相互に反対方向に現われる変位によって上記開度の差を吸収するようにしたスプリング駆動力伝達機構で構成され、 上記絞り弁の開閉駆動部材による上記絞り弁の全閉位置が、 上記アクセルペダルの操作に応じて変位する部材の最大戻し位置の手前にくるように構成されていることを特徴とする内燃機関の絞り弁制御装置。 ii.明細書の段落番号【0009】を次の通りに訂正する。 【0009】 【課題を解決するための手段】 上記目的は、絞り弁開閉位置を制御するアクチュエータと、絞り弁の開閉駆動部材と上記アクチュエータの駆動力出力部材の間に設置した駆動力結合切離手段と、アクセルペダルの操作に応じて変位する部材と上記絞り弁の開閉駆動部材を結合する撓み駆動力伝達機構とを備え、上記アクチュエータにより制御される絞り弁の開度と上記アクセルペダルの操作により絞り弁に与えられようとする開度との差が上記撓み駆動力伝達機構により吸収され、上記駆動力結合切離手段により上記アクチュエータが上記絞り弁の開閉駆動部材から切り離されたときには、上記アクセルペダルの操作により上記絞り弁の開閉操作が行えるようにした内燃機関の絞り弁制御装置において、上記撓み駆動力伝達機構が、相互に反対方向の変位を受けるように配置され、且つ、それぞれ予応力が与えられている2個のスプリングを有し、これら2個のスプリングの相互に反対方向に現われる変位によって上記開度の差を吸収するようにしたスプリング駆動力伝達機構で構成され、上記絞り弁の開閉駆動部材による上記絞り弁の全閉位置が、上記アクセルペダルの操作に応じて変位する部材の最大戻し位置の手前にくるようにして達成される。 |
審決日 | 1999-10-29 |
出願番号 | 特願平4-51678 |
審決分類 |
P
1
41・
852-
Y
(F02D)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 関 義彦 |
特許庁審判長 |
西野 健二 |
特許庁審判官 |
蓑輪 安夫 清田 栄章 |
登録日 | 1998-02-13 |
登録番号 | 特許第2747157号(P2747157) |
発明の名称 | 内燃機関の絞り弁制御装置 |
代理人 | 武 顕次郎 |
代理人 | 武 顕次郎 |