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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06K
審判 全部申し立て 4項(5項) 請求の範囲の記載不備  G06K
管理番号 1007222
異議申立番号 異議1998-71850  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-05-06 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-04-20 
確定日 1999-07-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2664890号「磁気カード及びその処理方法」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2664890号の特許請求の範囲第1項ないし第2項に記載された発明についての特許を維持する。 
理由 I.手続きの経緯
本件特許第2664890号発明は、昭和56年1月29日に実用新案登録出願された実願昭56-11244号から平成2年10月26日に分割出願された実願平2-112544号から平成5年10月12日にさらに分割出願された実願平5-55055号を平成8年9月4日に出願変更し(特願平8-234278号)、平成9年6月20日にその特許の設定登録がなされ、その後、武正正二より特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年10月30日に訂正請求がなされた。これに対し、訂正拒絶理由を通知したところ、平成11年3月31日付で訂正請求書の補正がなされた。
II.訂正の適否
1.補正の適否
本補正は、訂正明細書の特許請求の範囲における一部の構成要件をより具体的に特定することにより、不明瞭な点を明瞭にすると共に、発明の詳細な説明中の不明瞭な点を明瞭にするものであり、特許法第120条の4第3項において準用する同法第131条第2項の規定に適合するので当該補正を認める。
2.訂正の内容
・訂正事項a
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2にそれぞれ記載されている「値が異なる零を含む複数個の数字を、値の小さい順に桁数の異なる所定の値まで前記カードの一方の面に長手方向に目視可能に表示し、かつ、前記複数個の数字のうち、桁数の少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるような部分を有するようにそれぞれの値を設定して成る前記残存価値の概要を表示するための数値列」を「値が全て異なる零を含む複数個の数字を、値の小さい順に桁数の異なる所定の値まで前記カードの一方の面に長手方向に目視可能に表示し、かつ、前記複数個の数字のうち、桁数を同じとする数字同士の隣り合う数値間の差分を当該桁数の取り得る最小の正整数値以上になるようにして、桁数が少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるようにそれぞれの値を設定して成る前記残存価値の概数を表示するための数値列からなる表示部」にそれぞれ訂正する。
・訂正事項b
特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0009】
「【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明は、残存価値を示す価値情報を磁気的に記録するためカードに設けられた磁気記録部と、値が異なる零を含む複数個の数字を、値の小さい順に桁数の異なる所定の値まで前記カードの一方の面に長手方向に目視可能に表示し、かつ、前記複数個の数字のうち、桁数の少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるような部分を有するようにそれぞれの値を設定して成る前記残存価値の概数を表示するための数値列とを備えた磁気カードを使用するので、磁気カードの限られたスペース内に桁数の大きな数値から桁数の小さな数値まで効果的に表示でき、同一寸法のカードにより、高額のカードも比較的低額のカードも数値の印字を適宜変えるだけで発行でき、経済的である。」を、
「【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明は、残存価値を示す価値情報を磁気的に記録するためカードに設けられた磁気記録部と、値が全て異なる零を含む複数個の数字を、値の小さい順に桁数の異なる所定の値まで前記カードの一方の面に長手方向に目視可能に表示し、かつ、前記複数個の数字のうち、桁数を同じとする数字同士の隣り合う数値間の差分を当該桁数の取り得る最小の正整数値以上になるようにして、桁数が少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるようにそれぞれの値を設定して成る前記残存価値の概数を表示するための数値列からなる表示部とを備えた磁気カードを使用するので、磁気カードの限られたスペース内に桁数の大きな数値から桁数の小さな数値まで効果的に表示でき、同一寸法のカードにより、高額のカードも比較的低額のカードも数値の印字を適宜変えるだけで発行でき、経済的である。」に訂正する。
3.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、特許請求の範囲に記載中の表示部についての記載を、より下位概念として表示すると共に、不明瞭な点を明確にするものであり、特許請求の範囲の減縮、明瞭でない記載の釈明に該当する。
訂正事項bは、特許請求の範囲の訂正に伴って明瞭でなくなった事項を明瞭にする訂正であり、明瞭でない記載の釈明に該当する。
また、上記各訂正事項は、願書に添付した明細書又は図面に記載された範囲内においてなされたものであり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
4.独立特許要件について
(1).本件特許発明
本件特許発明は、訂正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載された次のとおりのものと認める。
1).残存価値を示す価値情報を磁気的に記録するためカードに設けられた磁気記録部と、値が全て異なる零を含む複数個の数字を、値の小さい順に桁数の異なる所定の値まで前記カードの一方の面に長手方向に目視可能に表示し、かつ、前記複数個の数字のうち、桁数を同じとする数字同士の隣り合う数値間の差分を当該桁数の取り得る最小の正整数値以上になるようにして、桁数が少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるようにそれぞれの値を設定して成る前記残存価値の概数を表示するための数値列からなる表示部とを備えたことを特徴とする磁気カード。(以下「本件訂正発明1」という。)
2).残存価値を示す価値情報を磁気的に記録するためカードに設けられた磁気記録部と、値が全て異なる零を含む複数個の数字を、値の小さい順に桁数の異なる所定の値まで前記カードの一方の面に長手方向に目視可能に表示し、かつ、前記複数個の数字のうち、桁数を同じとする数字同士の隣り合う数値間の差分を当該桁数の取り得る最小の正整数値以上になるようにして、桁数が少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるようにそれぞれの値を設定して成る前記残存価値の概数を表示するための数値列からなる表示部とを備えた磁気カードの処理方法であって、
使用の度に、前記磁気カードの磁気記録部の前記価値情報を読み取って使用量に応じて価値を減じて該価値情報を残存価値に対応した値に書換え、使用後の磁気カードの残存価値が前記表示部の数値列中のいずれかの数値以下になったときには、該数値の近傍にパンチ孔をあけるようにして、残存価値を目視可能にしてから当該磁気カードを返却することを特徴とする磁気カード処理方法。(以下「本件訂正発明2」という。)
(2).取消理由通知の概要
当審で通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
理由1:本件発明の特許は、明細書における記載不備を看過し、特許法第36条第4項の規定に違反してなされたものである。
理由2:本件特許の出願は不適法な変更出願であり、出願日は現実の出願日である平成8年9月4日であるとし、特許明細書における特許請求の範囲の請求項1、2に係る発明は、実公平1-40699号公報に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであり、本件請求項1、2に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。そして、本件特許の出願が変更出願の要件を欠いている理由として、残存価値の概数を表示するための数値列に関して、「桁数の少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるような部分を有するようにそれぞれの値を設定して成る」という事項は、原出願としている実願平5-55055号の出願当初の明細書又は図面に記載も示唆もなく、自明なものでもないというものである。
(3).本件特許の出願日について
訂正後の明細書の特許請求の範囲は、残存価値の概数を表示する表示部について、「値が全て異なる零を含む複数個の数字を、値の小さい順に桁数の異なる所定の値まで前記カードの一方の面に長手方向に目視可能に表示し、かつ、前記複数個の数字のうち、桁数を同じとする数字同士の隣り合う数値間の差分を当該桁数の取り得る最小の正整数値以上になるようにして、桁数が少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるようにそれぞれの値を設定して成る前記残存価値の概数を表示するための数値列からなる表示部」と記載されている。表示についてのこれらの内容は、本件特許の出願の変更前の出願である実願平5-55055号の出願時に添付された明細書の考案の詳細な説明の段落【0007】における、「図2は本考案をカード式公衆電話機用カードを例として示す一実施例の平面図であり、…22は度数表示欄である。このカード20は1000度数用のカードであり、度数表示欄22には500から0までの残度数が予め印刷されている。…本考案の度数表示欄22は、図示のように、大きな残度数は粗い間隔で表示され、小さな残度数は密な間隔で表示される。」という記載、及び図2の度数表示欄(22)に示されている“0 1 2 5 10 20 50 100 200 500”の数値列からみて、実願平5-55055号の出願時に添付された明細書又は図面には、残存価値の概数を表示する表示部が、0から500までの桁数が少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きく、桁数を同じとする数字同士の隣り合う数値間の差分が当該桁数の取り得る最小の正整数値以上となっている数値列からなっていものが記載されていたといえる。
また、訂正後の本件特許の出願は、出願変更のその他の要件も満たしているので、適法な変更出願であると認める。
また、実願平5-55055号は実願平2-112544号の一部を分割した分割出願であり、実願平2-112544号は実願昭56-11244号の一部を分割した分割出願であるが、実願平5-55055号については、その分割時の実願平2-112544号の明細書の実用新案登録請求の範囲には「残存価値を示す価値情報を記録する磁気記録部と、前記残存価値が所定の値以下になったとき、当該所定の値を順次列状に印字する表示欄とを設け、前記列状に印字される数値は、前記残存価値が大きいときに隣り合って印字される数値間の差分より、前記残存価値が小さくなるにしたがって隣り合って印字される数値間の差分の方が小さくなるように表示されることを特徴とする磁気カード。」と記載されており、“前記残存価値が所定の値以下になったときに当該所定の値を順次列状に印字する”など経時的要素を含んでいることから磁気カードの構成としては必ずしも明確ではないが、少なくとも、▲1▼『残存価値の概数を表示するための数値列が予め表示部に設けられている』ものではない点で本件訂正発明1、2と同一ではなく、また、実願平2-112544号については、その分割時の実願昭56-11244号の明細書の実用新案登録請求の範囲の記載は「カード式公衆電話機用カードにおいて、使用するにしたがい変化する度数情報を記録する磁気記録部と、前記度数情報の所定の数値以下または該数値以上になったときに前記所定の数値の表示箇所近傍にパンチ孔をあけることで、前記度数情報を概数として特定する数値列を表示した度数表示欄とを設け、前記数値列を、前記度数情報に対応する残存価値が大きいときは隣り合う数値間の差分を大きくとって表示し、前記残存価値が小さくなるにしたがい前記差分が小さくなるように表示したことを特徴とするカード式公衆電話機用カード。」となっており、度数情報を概数として特定する数値列は、残存価値が大きいときは隣り合う数値間の差分を大きくとって表示するようになっている考案であるから、▲2▼「桁数を同じとする数字同士の隣り合う数値間の差分を当該桁数の取り得る最小の正整数値以上になるようにして、桁数が少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるようにそれぞれの値を設定して成る」ことを必須の構成要件としている本件訂正発明1、2は、実願昭56-11244号の考案と同一ではない。また、上記▲1▼、▲2▼の事項は、実願平2-112544号及び実願昭56-11244号の出願当初の明細書又は図面にいずれも記載されていたものである。
したがって、実願平2-112544号及び実願平5-55055号の各出願は、いずれも適法な分割出願であると認める。
以上のとおりであるから、本件特許の出願日は実願昭56-11244号の出願日である昭和56年1月29日に遡及する。
(4).取消理由通知について
上記取消理由通知における理由2は、本件特許の出願日が遡及することにより同理由に引用した上記文献が本件特許の出願の時点において未刊行となるため解消することになる。また、同取消理由通知における理由1も上記訂正により解消している。
5.訂正の適否についての結論
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項の規定及び同条第3項で準用する第126条第2項〜第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III.特許異議申立について
異議申立人は、本件特許の出願は、その特許請求の範囲の請求項1又は2に係る発明と、実願平2-112544号の考案、実願昭56-11244号の考案と実質的に同一であるから分割要件を満たしておらず、その出願日は現実の平成8年9月4日であり、その結果、本件特許の発明は、実公平1-40699号(甲第4号証)に記載されたものと同一であり、発明の新規性の要件を欠いているので、この特許は特許法第29条第1項の規定に違反してなされたものである旨主張している。
しかし、本件特許の出願日は、上記II.4.(3)で述べたように、実願昭56-11244号の出願日である昭和56年1月29日に遡及することから、本件訂正発明1及び2は特許法第29条第1項の規定に該当しない。
したがって、異議申立人の上記主張は採用できない。
3.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては本件訂正発明1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に上記発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
磁気カード及びその処理方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】残存価値を示す価値情報を磁気的に記録するためカードに設けられた磁気記録部と、
値が全て異なる零を含む複数個の数字を、値の小さい順に桁数の異なる所定の値まで前記カードの一方の面に長手方向に目視可能に表示し、かつ、前記複数個の数字のうち、桁数を同じとする数字同士の隣り合う数値間の差分を当該桁数の取り得る最小の正整数値以上になるようにして、桁数が少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるようにそれぞれの値を設定して成る前記残存価値の概数を表示するための数値列からなる表示部と
を備えたことを特徴とする磁気カード。
【請求項2】残存価値を示す価値情報を磁気的に記録するためカードに設けられた磁気記録部と、値が全て異なる零を含む複数個の数字を、値の小さい順に桁数の異なる所定の値まで前記カードの一方の面に長手方向に目視可能に表示し、かつ、前記複数個の数字のうち、桁数を同じとする数字同士の隣り合う数値間の差分を当該桁数の取り得る最小の正整数値以上になるようにして、桁数が少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるようにそれぞれの値を設定して成る前記残存価値の概数を表示するための数値列からなる表示部とを備えた磁気カードの処理方法であって、
使用の度に、前記磁気カードの磁気記録部の前記価値情報を読み取って使用量に応じて価値を減じて該価値情報を残存価値に対応した値に書換え、使用後の磁気カードの残存価値が前記表示部の数値列中のいずれかの数値以下になったときには、該数値の近傍にパンチ孔をあけるようにして、残存価値を目視可能にしてから当該磁気カードを返却することを特徴とする磁気カード処理方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、限られたスペースに広範囲の度数を表示することができる、実用的なカード式公衆電話機用カード等の磁気カードとその処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に回数券型式の磁気カード式公衆電話機やバス乗車券装置等に用いるカードは、これまでに使用した度数や回数等の価値又は残存価値を目視できるようにするため、磁気記録部の情報を印字やパンチにより表示する度数表示欄が設けられている。
【0003】
従来、この種表示欄は、例えば図1のカード10のように、磁気記録部11に記録されている累積使用度数や残度数を0,1,2,3・・・のように表示欄12に等間隔で表示し使用のつど該当の数値をパンチして返却していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、磁気記録部11には極めて大きな度数を記録させることができるにも拘わらず、表示欄12にはそのスペースの制限から大きな度数を表示することは極めて困難であった。このため、大きな度数のカードを発行しないことにするか、そうでない場合には表示間隔を例えば10度数ごとのように粗くすることが必要であった。表示間隔を粗くした場合、残度数が間隔以下の小さな値には正確な残度数が全く不明のため、使用者は通話中に残度数がゼロになり通話が中断するのではないかという不安を抱くことになる。
【0005】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、限られたスペースに大きな度数を表示でき、しかも表示間隔が粗いため使用者が不安感を抱くことのないような、極めて実用的な磁気カードとその処理方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】
上述のような目的を解決するため、本発明は、価値情報を磁気記録するとともに、カードの残存価値を示唆する数値から残存価値が無いことを示唆する零までの桁数の異なる数値が数値列としてカード面に適宜間隔をおいて表示される磁気カードを用意し、また、この磁気カードの使用によって残存価値が数値列を構成するいずれかの数値以下となったときには、当該数値の近傍にパンチ孔をあけるようにして、当該磁気カードの残存価値を目視可能として返却することを特徴とする。
【0007】
【実施例】
図2は本発明をカード式公衆電話機用カードを例として示す一実施例の平面図であり、20はカード式公衆電話機用カード、21は磁気記録部、22は度数表示欄である。このカード10は1000度数用のカードであり、度数表示欄22には桁数の異なる500から0までの残度数が予め印刷されている。何回かの使用に伴って残度数が減少し、予め表示してある数値以下となった場合には、通話終了等に伴うカード返却時に、公衆電話機に内蔵されているパンチ機構により該当の数値の箇所にパンチが行われる。本発明の度数表示欄22は、図示のように、桁数の大きな残度数は粗い間隔で表示され、桁数の小さな残度数は密な間隔で表示される。このため、限られたスペースに大きな残度数を容易に表示でき、しかも残度数が小さくなった場合でもその値が明確に表示されるので使用者が通話中断の不安を抱くことがない。また、度数は数値を順次2乗する表示形式や2のn乗(n=0,1,2・・・)の表示形式あるいはそれらに近似した値の表示形式を採用することもできる。
【0008】
また、度数表示欄22に残度数を表示する例を説明したが、これに代えて累積使用度数、例えば図2の度数表示欄22に表示されている数値を1000から差引いた数値を表示する構成としてもよい。
また、度数表示欄22に予め度数を印刷しておき、該当数値の箇所をパンチする例を説明したが、これに代えて磁気記録部21に記録されている残度数が、500,200,100…等の所定数値以下になったときに、その数値を印刷する構成としてもよい。
【0009】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明は、残存価値を示す価値情報を磁気的に記録するためカードに設けられた磁気記録部と、値が全て異なる零を含む複数個の数字を、値の小さい順に桁数の異なる所定の値まで前記カードの一方の面に長手方向に目視可能に表示し、かつ、前記複数個の数字のうち、桁数を同じとする数字同士の隣り合う数値間の差分を当該桁数の取り得る最小の正整数値以上になるようにして、桁数が少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるようにそれぞれの値を設定して成る前記残存価値の概数を表示するための数値列からなる表示部とを備えた磁気カードを使用するので、磁気カードの限られたスペース内に桁数の大きな数値から桁数の小さな数値まで効果的に表示でき、同一寸法のカードにより、高額のカードも比較的低額のカードも数値の印字を適宜変えるだけで発行でき、経済的である。
【0010】
また、磁気カードの残存価値が零になったとき零の近傍にパンチ孔をあけるようにしたので、カード使用による残存価値の有無が、零近傍のパンチ孔の有無で一目瞭然に判り、残存価値があるのに捨ててしまうなどの使用者の不測の損害を与える恐れがない。
さらに、パンチ孔は、磁気カードの使用後に、残存価値が表示された数値列中の零以外のいずれかの数値以下になったときにも当該数値の近傍に穿孔されるので、1回当たりの使用量が多くても少なくても一度の穿孔でよく、穿孔のための時間も短時間で済み、多数回使用されたカードでもパンチ孔によって外観を損ねることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
従来例の平面図である。
【図2】
本発明の一実施例の平面図である。
【符号の説明】
10,20カード式公衆電話機用カード
11,21磁気記録部
12,22度数表示欄
 
訂正の要旨 (3)訂正の要旨
▲1▼ 訂正事項a
特許明細書の特許請求の範囲の第1項、第2項に係る記載
「1.残存価値を示す価値情報を磁気的に記録するためカードに設けられた磁気記録部と、値が異なる零を含む複数個の数字を、値の小さい順に桁数の異なる所定の値まで前記カードの一方の面に長手方向に目視可能に表示し、かつ、前記複数個の数字のうち、桁数の少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるような部分を有するようにそれぞれの値を設定して成る前記残存価値の概数を表示するための数値列とを備えたことを特徴とする磁気カード。
2.残存価値を示す価値情報を磁気的に記録するためカードに設けられた磁気記録部と、値が異なる零を含む複数個の数字を、値の小さい順に桁数の異なる所定の値まで前記カードの一方の面に長手方向に目視可能に表示し、かつ、前記複数個の数字のうち、桁数の少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるような部分を有するようにそれぞれの値を設定して成る前記残存価値の概数を表示するための数値列とを備えた磁気カードの処理方法であって、
使用の度に、前記磁気カードの磁気記録部の前記価値情報を読み取って使用量に応じて価値を減じて該価値情報を残存価値に対応した値に書換え、使用後の磁気カードの残存価値が前記表示された数値列中のいずれかの数値以下になったときには、該数値の近傍にパンチ孔をあけるようにして、残存価値を目視可能にしてから当該磁気カードを返却することを特徴とする磁気カード処理方法。」
を、
「1.残存価値を示す価値情報を磁気的に記録するためカードに設けられた磁気記録部と、値が全て異なる零を含む複数個の数字を、値の小さい順に桁数の異なる所定の値まで前記カードの一方の面に長手方向に目視可能に表示し、かつ、前記複数個の数字のうち、桁数を同じとする数字同士の隣り合う数値間の差分を当該桁数の取り得る最小の正整数値以上になるようにして、桁数が少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるようにそれぞれの値を設定して成る前記残存価値の概数を表示するための数値列からなる表示部とを備えたことを特徴とする磁気カード。
2.残存価値を示す価値情報を磁気的に記録するためカードに設けられた磁気記録部と、値が全て異なる零を含む複数個の数字を、値の小さい順に桁数の異なる所定の値まで前記カードの一方の面に長手方向に目視可能に表示し、かつ、前記複数個の数字のうち、桁数を同じとする数字同士の隣り合う数値間の差分を当該桁数の取り得る最小の正整数値以上になるようにして、桁数が少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるようにそれぞれの値を設定して成る前記残存価値の概数を表示するための数値列からなる表示部とを備えた磁気カードの処理方法であって、
使用の度に、前記磁気カードの磁気記録部の前記価値情報を読み取って使用量に応じて価値を減じて該価値情報を残存価値に対応した値に書換え、使用後の磁気カードの残存価値が前記表示部の数値列中のいずれかの数値以下になったときには、該数値の近傍にパンチ孔をあけるようにして、残存価値を目視可能にしてから当該磁気カードを返却することを特徴とする磁気カード処理方法。」
と訂正する。
▲2▼ 訂正事項b
特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0009】
「【0009】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明は、残存価値を示す価値情報を磁気的に記録するためカードに設けられた磁気記録部と、値が異なる零を含む複数個の数字を、値の小さい順に桁数の異なる所定の値まで前記カードの一方の面に長手方向に目視可能に表示し、かつ、前記複数個の数字のうち、桁数の少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるような部分を有するようにそれぞれの値を設定して成る前記残存価値の概数を表示するための数値列とを備えた磁気カードを使用するので、磁気カードの限られたスペース内に桁数の大きな数値から桁数の小さな数値まで効果的に表示でき、同一寸法のカードにより、高額のカードも比較的低額のカードも数値の印字を適宜変えるだけで発行でき、経済的である。」
を、
「【0009】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明は、残存価値を示す価値情報を磁気的に記録するためカードに設けられた磁気記録部と、値が全て異なる零を含む複数個の数字を、値の小さい順に桁数の異なる所定の値まで前記カードの一方の面に長手方向に目視可能に表示し、かつ、前記複数個の数字のうち、桁数を同じとする数字同士の隣り合う数値間の差分を当該桁数の取り得る最小の正整数値以上になるようにして、桁数が少ない数字の隣り合う数値間の差分より、桁数の多い数字の隣り合う数値間の差分が大きくなるようにそれぞれの値を設定して成る前記残存価値の概数を表示するための数値列からなる表示部とを備えた磁気カードを使用するので、磁気カードの限られたスペース内に桁数の大きな数値から桁数の小さな数値まで効果的に表示でき、同一寸法のカードにより、高額のカードも比較的低額のカードも数値の印字を適宜変えるだけで発行でき、経済的である。」
と訂正する。
異議決定日 1999-06-24 
出願番号 特願平8-234278
審決分類 P 1 651・ 121- YA (G06K)
P 1 651・ 532- YA (G06K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高松 猛藤井 靖子川崎 好昭外山 邦昭  
特許庁審判長 麻野 耕一
特許庁審判官 西村 仁志
治田 義孝
登録日 1997-06-20 
登録番号 特許第2664890号(P2664890)
権利者 株式会社田村電機製作所 アンリツ株式会社 日本電信電話株式会社
発明の名称 磁気カード及びその処理方法  
代理人 澤井 敬史  
代理人 澤井 敬史  

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