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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1007250
異議申立番号 異議1999-72582  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-07-11 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-07-06 
確定日 1999-10-25 
異議申立件数
事件の表示 特許第2844163号「パチンコ機」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2844163号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 (1)本件発明
特許第2844163号(平成5年12月20日出願、平成10年10月30日設定登録。)の請求項1ないし3に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 予め定められた種々の図柄を変動表示する図柄表示器によって構成され、球検知装置を備えた始動口を遊技球が通過すると、球検知装置からの球検知信号に基づいて各図柄表示器の表示図柄が循環変動を開始し、停止して種々の組合わせの図柄を表示する図柄組合わせ表示装置を備えたものにおいて、最後に停止する図柄表示器を除いて図柄が揃った状態のときに、最後に停止する図柄表示器で実行される図柄循環変動を、図柄変動速度を段階的に高速化した後に停止させるようにした加速的図柄変動態様となるように制御する制御手段を具備したことを特徴とするパチンコ機。」
「【請求項2】 最後に停止する図柄表示器を除いて図柄が揃った状態のときに、乱数列から抽選された場合にのみ、前記加速的図柄変動態様を実行するようにした制御手段を具備したことを特徴とする請求項1記載のパチンコ機。」
「【請求項3】 最終速度の異なる複数の加速的図柄変動態様を有し、最終速度が高くなるほど、当り易くなるように制御する制御手段を具備したことを特徴とする請求項1記載のパチンコ機。」
(2)申立ての理由の概要
申立人町田彬は、
請求項1に係る発明に対して、証拠として甲第1号証(特開平3-251278号公報)、甲第2号証(特開平2-299679号公報)を提出し、請求項1に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、
請求項2に係る発明に対して、証拠として甲第1号証(特開平3-251278号公報)、甲第2号証(特開平2-299679号公報)、甲第3号証(特開平1-136680号公報)を提出し、請求項2に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、
請求項3に係る発明に対して、証拠として甲第1号証(特開平3-251278号公報)、甲第2号証(特開平2-299679号公報)、甲第3号証(特開平1-136680号公報)、甲第4号証(特開平5-177042号公報)を提出し、請求項3に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、請求項1ないし3に係る発明の特許を取り消すべき旨主張している。
(3)申立人が提出した甲各号証の記載の発明
甲第1号証には、
「(1)始動入賞部への入賞に基づいて所定時間表示を変化させてから順に停止させる可変表示ゲームを行なう複数の可変表示部と、前記複数の可変表示部の表示の変化の停止結果が特定の表示の組合せ態様となったときに当りとして多くの賞球獲得のチャンスを与える変動入賞部と、外部操作によって前記可変表示部の表示の変化を停止させる可変表示停止操作手段と、前記可変表示部のうちの最後に停止する可変表示部の表示如何によって当りを発生させるリーチ状態となっているか否かを判定する当り発生可能性判別手段、および該判別手段によって前記リーチ状態が生じていると判定されたときに限って前記可変表示停止操作手段による停止操作を可能にさせる可変表示停止操作制限手段を有する制御手段とを備えたパチンコ遊技機。
(2)前記当り発生可能性判別手段によって前記リーチ状態が生じていると判定されたときに、その最後に停止する前記可変表示部の表示の変化速度を前記当りが発生するごとに変化させるようにした表示変化速度変更手段を前記制御手段が有していることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のパチンコ遊技機。
(3)前記当りを大当りに制御したことを特徴とする特許請求の範囲第1項又は第2項記載のパチンコ遊技機。」(第1頁左欄第5行〜右欄第10行)、
「上記リーチ状態が生じていると判定された後の最後に停止する可変表示部の表示の変化速度を一定にすることも可能であるが当りが発生するごとに表示変化速度変更手段によって変化させるようにしてもよい。また、前記当りを大当りに制限してもよい。」(第2頁左下欄第6行〜第11行)、
「始動入賞口への入賞に基づいて行なわれる可変表示ゲームは通常時においては遊技者に停止表示態様の選択が不能な通常の可変表示ゲームとして行なわれ、可変表示ゲーム中、最後に停止する可変表示部の停止する表示の内容如何によって当り発生の可能性が生じたときに限り、その最後に停止する可変表示当り発生の有無が遊技者の停止操作技術に委ねられるようになり、パチンコ遊技に対する興趣が増加される。また、前記リーチ状態が生じているときに最後に停止する前記可変表示部の表示の変化速度を前記当りが発生するごとに変化させるようにすれば,遊技に当りを狙える状態と狙えない状態とが適宜ミックスされて、遊技者と遊技店双方の利益バランスがより保たれ易くなると共に、表示変化の停止上の技術介入の余地が生じ、パチンコ遊技に対する興趣がよる増加されるものとなる。」(第2頁左下欄第13行〜右下欄第11行)、
「2つの可変表示部A,Bの表示の変化が停止した時点でその停止状態が「7,7」となった場合(リーチ状態となった場合)には、その後(最後)に停止すべき可変表示部Cの表示の変化が通常のときよりも遅い速度(変化を肉眼で表示の変化を追える程度の速度)となるとともに、操作可能状態表示ランプ111が点灯してその可変表示部Cの表示の変化を前記変動時間短縮ボタン(ストップスイッチ)110の操作で狙いをつけて停止させられるようになるので、通常の可変表示ゲームと比べて”大当り”発生の確率が高くなる。」(第5頁右上欄第15行〜左下欄第6行)、
「なお、上記実施例では、可変表示ゲーム中にリーチ状態が生じた後(最後)に停止する可変表示部Cの表示の変化速度を、大当りが発生するごとに高速状態(通常状態)と低速状態とに交互に変化させることによって、”大当り”を狙えない通常確率大当り発生遊技状態と”大当り”を狙い易い高確率大当り発生遊技状態とを交互に作るようにしたが、それに限定せず、リーチ状態が生じた後(最後)に停止する可変表示部Cの表示変化速度を常に高速状態(通常状態)にしてもよいし、比較的狙い易い中速状態にするようにしてもよい。また、”大当り”が発生するごとに、そのリーチ状態が生じた後(最後)に停止する可変表示部Cの変化速度を段階的に変化させるようにしてもよい。」(第21頁右上欄第13行〜左下欄第7行)と、記載されている。
甲第2号証には、
「▲5▼上記実施例では、大当りになる可能性がある場合に、最後の停止する識別情報表示部の可変表示の速さを遅くするようにしたが、その速度を変化させなくてもよいし、あるいは速く変化するようにしてもよい。」(第14頁右上欄第13行〜17行)と、記載されている。
甲第3号証には、その第3頁右下欄第10行以下には、乱数を用いる技術が記載されている。
甲第4号証には、
「図柄変動停止時図柄停止入力を前提とした図柄変動停止については、左列、右列、中列の順に停止される。即ち、左列の変動開始時から設定時間後に図柄停止入力されることの前提において、左列は、その入力時から設定時間後に高速変動から減速変動されて所定時間後に停止される。これに対し、右列は、左列の停止時から所要時間後に減速変動されて所定時間後に停止され、また、中列は右列の停止後から所要時間後に減速変動されるが、その停止までの時間は、前記「外れ」、「リーチ外れ」、「当り」の場合とで異なるように設定される。まず、「外れ」の場合には、相対的に短い時間後に停止される。
なお、左列、右列、及び外れのときの中列の減速変動においては、4段階の変動速度時間帯で変速されるようになっていると共に、前記高速変動時において、互いに異なる図柄合わせ時間分を含んでいる。」(【0025】・第8欄第20行〜第35行)、
「一方、左列と右列の有効表示図柄とが一致(同種揃い)とされる前記「リーチ外れ」及び「当り」時においては、中列の減速変動時間が相対的に長い時間に変更され、リフレッシュカウンターの0ビットの値が「1」の場合と「0」の場合とでそれぞれ異なる時間が設定されるようになっている。即ち、リーチ状態時においては、2種類の長さの変動時間が設定されていることになる。なお、このリーチ状態時では、高速変動において「外れ」時と異なる図柄合わせ時間を含むと共に、その減速変動においては、6段階の変動速度時間帯で変速されるようになっている。」(【0026】・第8欄第36行〜第46行)と、記載されている。
(4)対比・判断
(請求項1に係る発明について)
請求項1に係る発明と甲第1及び第2号証に記載の発明とを比較すると、甲第1及び第2号証に記載の発明は「最後に停止する図柄表示器で実行される図柄循環変動を、図柄変動速度を段階的に高速化させた後に停止させる」手段を備えておらず、また甲第1及び第2号証には上記手段を示唆する記載もないから、請求項1に係る発明は、甲第1及び第2号証に記載の発明から当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
異議申立人は、甲第1号証の「上記実施例では、可変表示ゲーム中にリーチ状態が生じた後(最後)に停止する可変表示部Cの表示の変化速度を、大当りが発生するごとに高速状態(通常状態)と低速状態とに交互に変化させることによって、”大当り”を狙えない通常確率大当り発生遊技状態と”大当り”を狙い易い高確率大当り発生遊技状態とを交互に作るようにしたが、それに限定せず、リーチ状態が生じた後(最後)に停止する可変表示部Cの表示変化速度を常に高速状態(通常状態)にしてもよいし、比較的狙い易い中速状態にするようにしてもよい。また、”大当り”が発生するごとに、そのリーチ状態が生じた後(最後)に停止する可変表示部Cの変化速度を段階的に変化させるようにしてもよい。」との記載に基づいて、甲第1号証に記載の発明においても、「最後に停止する図柄表示器で実行される図柄循環変動を、図柄変動速度を段階的に変化させた後に停止させる」手段が記載されていると主張している。
しかしながら、当該記載は最後に停止する図柄表示器で実行される図柄循環変動の図柄変動速度を大当りが発生するごとに高速と低速との交互に切り換えること、常に高速にすること、常に中速にすること、さらに、(大当たりが発生するごとに)段階的に変化させることを示すのみであり、ある特定の回における大当たりの中での最後の図柄変動速度を変化させることを示しているものではない。
したがって、甲第1号証に記載の発明が「最後に停止する図柄表示器で実行される図柄循環変動を、図柄変動速度を段階的に変化した後に停止させる」手段を備えているとは認められない。 (請求項2及び3に係る発明ついて)
請求項2及び3に係る発明は、いずれも請求項1に係る発明の構成要件である「最後に停止する図柄表示器で実行される図柄循環変動を、図柄変動速度を段階的に高速化した後に停止させる」手段を備え、さらに限定したものであるから、甲第3及び4号証を加えて判断したとしても、上記請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により、上記甲第1〜4号証に記載の発明から当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(5)むすび
以上のことから、請求項1ないし3に係る発明は、特許異議申立人が提出した甲第1〜4号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
また、他に請求項1ないし3に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 1999-10-12 
出願番号 特願平5-345267
審決分類 P 1 651・ 121- Y (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 吉村 尚
新井 重雄
登録日 1998-10-30 
登録番号 特許第2844163号(P2844163)
権利者 マルホン工業株式会社
発明の名称 パチンコ機  
代理人 松浦 喜多男  

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