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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 E04H |
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管理番号 | 1007257 |
異議申立番号 | 異議1998-72541 |
総通号数 | 7 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1995-07-11 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-05-22 |
確定日 | 1999-11-15 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2682957号「引戸の下枠構造」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2682957号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
一 手続きの経緯 本件特許第2682957号発明は、平成6年8月17日(優先権主張平成5年11月8日)に特許出願され、平成9年8月8日にその特許の設定登録がなされ、その後、立山アルミニウム工業株式会社及び三協アルミニウム工業株式会社より特許異議の申立てがなされ、次いで、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年9月22日に訂正請求がなされたものである。なお、平成11年1月11日付けの訂正請求は、取り下げられている。 二 訂正の適否についての判断 1 訂正請求の概要 上記訂正請求の趣旨は、特許第2682957号の明細書(以下、特許明細書という)を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めることである。 訂正の要旨は以下のとおりである。 (a)訂正事項1 特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1の記載を、 「浴室および更衣室の各床面はほぼ一平面に沿って延び、浴室および更衣室間には、複数枚の障子と、この障子を開閉自在に保持する枠体とが設けられ、この枠体の下枠が各床面間に配置され、前記下枠の表面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する引戸の下枠構造であって、前記下枠は、下枠本体と、この下枠本体に着脱自在に連結される少なくとも1つの下枠補助部材とを有し、各障子の下部には、下戸車と、下戸車よりも浴室側で下戸車よりも下方に立下がる立下がり部とがそれぞれ設けられ、各立下がり部は、下枠補助部材にそれぞれ嵌まり込んで案内され、下枠補助部材には、その下枠補助部材の最上面が、前記一平面に沿って形成され、この最上面が、下戸車を案内して支持する案内レールとなっており、下枠補助部材には、前記一平面に沿って、案内レールよりも更衣室側に、障子の開閉方向に延びる滑り防止部材が粗面を上方に臨ませて取付けられ、滑り防止部材は、可撓性および弾発性を有し、前記粗面は、前記開閉方向に沿って延びる複数の凸部および前記凸部間に形成される複数の凹溝が、前記開閉方向と垂直な方向に交互に設けられて、形成され、前記下枠本体は、上部が前記一平面よりも下方に設けられる基部と、この基部の更衣室寄りの一側部から上方に屈曲して連なり、最上面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する立上がり部とを有し、前記下枠補助部材は、前記下枠本体の基部の上部に前記浴室側で装着される下フランジと、この下フランジにほぼ直角に連なり、水抜き孔が形成されるウェブと、このウェブにほぼ直角に連なり、前記最上面を形成する上フランジとを有し、下枠補助部材が、更衣室側から浴室側に配置され、下フランジには、更衣室側に延びる第1係合片が形成され、基部には、浴室側から第1係合片が基部の上部との間で嵌まり込む第2係合片が形成され、各障子の立下がり部は、下枠補助部材に嵌まり込むだけでなく、さらに、前記立上がり部と最も更衣室側の下枠補助部材との間に、嵌まり込んで案内され、前記立上がり部の最上面にも、下戸車を案内して支持する案内レールが形成されることを特徴とする引戸の下枠構造。」 と訂正する。 (b)訂正事項2 特許請求の範囲において、請求項2を削除し、もとの請求項3の項番を繰り上げ請求項2とするとともに、特許請求の範囲の減縮を目的として、その記載を、 「前記下枠本体の立上がり部の前記最上面の案内レールよりも更衣室側にも、前記一平面に沿って、前記障子の開閉方向に延びるもう1つの滑り防止部材が粗面を上方に臨ませて取付けられていることを特徴とする請求項1記載の引戸の下枠構造。」 と訂正する。 (c)訂正事項3 上記訂正事項1及び2による特許請求の範囲の減縮に伴い生じる、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との不整合を回避するために、明りょうでない記載の釈明を目的として、 ▲1▼明細書段落【0006】の記載を、「【課題を解決するための手段】本発明は、浴室および更衣室の各床面はほぼ一平面に沿って延び、浴室および更衣室間には、複数枚の障子と、この障子を開閉自在に保持する枠体とが設けられ、この枠体の下枠が各床面間に配置され、前記下枠の表面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する引戸の下枠構造であって、前記下枠は、下枠本体と、この下枠本体に着脱自在に連結される少なくとも1つの下枠補助部材とを有し、各障子の下部には、下戸車と、下戸車よりも浴室側で下戸車よりも下方に立下がる立下がり部とがそれぞれ設けられ、各立下がり部は、下枠補助部材にそれぞれ嵌まり込んで案内され、下枠補助部材には、その下枠補助部材の最上面が、前記一平面に沿って形成され、この最上面が、下戸車を案内して支持する案内レールとなっており、下枠補助部材には、前記一平面に沿って、案内レールよりも更衣室側に、障子の開閉方向に延びる滑り防止部材が粗面を上方に臨ませて取付けられ、滑り防止部材は、可撓性および弾発性を有し、前記粗面は、前記開閉方向に沿って延びる複数の凸部および前記凸部間に形成される複数の凹溝が、前記開閉方向と垂直な方向に交互に設けられて、形成され、前記下枠本体は、上部が前記一平面よりも下方に設けられる基部と、この基部の更衣室寄りの一側部から上方に屈曲して連なり、最上面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する立上がり部とを有し、前記下枠補助部材は、前記下枠本体の基部の上部に前記浴室側で装着される下フランジと、この下フランジにほぼ直角に連なり、水抜き孔が形成されるウェブと、このウェブにほぼ直角に連なり、前記最上面を形成する上フランジとを有し、下枠補助部材が、更衣室側から浴室側に配置され、下フランジには、更衣室側に延びる第1係合片が形成され、基部には、浴室側から第1係合片が基部の上部との間で嵌まり込む第2係合片が形成され、各障子の立下がり部は、下枠補助部材に嵌まり込むだけでなく、さらに、前記立上がり部と最も更衣室側の下枠補助部材との間に、嵌まり込んで案内され、前記立上がり部の最上面にも、下戸車を案内して支持する案内レールが形成されることを特徴とする引戸の下枠構造である。また本発明は、前記下枠本体の立上がり部の前記最上面の案内レールよりも更衣室側にも、前記一平面に沿って、前記障子の開閉方向に延びるもう1つの滑り防止部材が粗面を上方に臨ませて取付けられていることを特徴とする。」と、 ▲2▼同段落【0011】(特許公報第5欄第13行)において、「本発明の一実施例の」との記載を、「本発明の前提となる」と、 ▲3▼同段落【0026】(同第8欄第46行)の「本発明の他の実施例」との記載を、「本発明の他の前提となる構成」と、 ▲4▼同【図面の簡単な説明】の項目の【図1】の記載を、「本発明の前提となる下枠3付近を拡大して示す鉛直断面図である。」と、 ▲5▼同【図面の簡単な説明】の項目の【図6】の記載を、「本発明の他の前提となる下枠3a付近を拡大して示す鉛直断面図である。」と、 訂正する。 (d)訂正事項4 誤記の訂正を目的として、 ▲1▼明細書段落【0024】(特許公報第7欄第48行)の「浴室4側」との記載を、「更衣室5側」と、 ▲2▼同段落【0028】(同第9欄第32行)の「室外105」との記載を、「室内105」と、 ▲3▼同段落【0030】(同第9欄第45及び46行)の「室外105」との記載を、「室内105」と、 ▲4▼同段落【0032】(同第10欄第31行)の「室外105」との記載を、「室外104」と、訂正する。 2 訂正の目的の適否、及び新規事項・拡張・変更の存否 上記訂正事項1は、請求項1に記載の「第1室」及び「第2室」をその下位概念である「浴室」及び「更衣室」に限定するとともに、「障子」、「下枠本体」、「下枠補助部材」及び「滑り防止部材」の構成を限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当し、 上記訂正事項2は、特許請求の範囲において、請求項2を削除し、もとの請求項3の項番を繰り上げ請求項2とするとともに、その記載の「滑り防止部材」の構成を限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当し、 上記訂正事項3は、上記訂正事項1による特許請求の範囲の減縮に伴い生じる、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との不整合を回避するために行う、明りょうでない記載の釈明に該当し、 上記訂正事項4は、誤記の訂正に該当するものということができる。 そして、上記訂正により請求項1及び2に追加された事項の、「浴室」及び「更衣室」は、特許明細書段落【0007】に、「障子」に関する構成は、同段落【0008】、【0011】、【0020】及び【0038】に、「下枠本体」に関する構成は、同段落【0015】〜【0018】に、「下枠補助部材」に関する構成は、同段落【0015】及び【0022】に、「滑り防止部材」に関する構成は、同段落【0038】にそれぞれ記載されているから、訂正事項1〜4で訂正した事項は、願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、また、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 3 独立特許要件の判断 (1)訂正後の発明 訂正後の請求項1及び2に係る発明は、上記訂正請求により提出された全文訂正明細書(以下、「訂正明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次のとおりのものと認められる。 【請求項1】 「浴室および更衣室の各床面はほぼ一平面に沿って延び、浴室および更衣室間には、複数枚の障子と、この障子を開閉自在に保持する枠体とが設けられ、この枠体の下枠が各床面間に配置され、前記下枠の表面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する引戸の下枠構造であって、前記下枠は、下枠本体と、この下枠本体に着脱自在に連結される少なくとも1つの下枠補助部材とを有し、各障子の下部には、下戸車と、下戸車よりも浴室側で下戸車よりも下方に立下がる立下がり部とがそれぞれ設けられ、各立下がり部は、下枠補助部材にそれぞれ嵌まり込んで案内され、下枠補助部材には、その下枠補助部材の最上面が、前記一平面に沿って形成され、この最上面が、下戸車を案内して支持する案内レールとなっており、下枠補助部材には、前記一平面に沿って、案内レールよりも更衣室側に、障子の開閉方向に延びる滑り防止部材が粗面を上方に臨ませて取付けられ、滑り防止部材は、可撓性および弾発性を有し、前記粗面は、前記開閉方向に沿って延びる複数の凸部および前記凸部間に形成される複数の凹溝が、前記開閉方向と垂直な方向に交互に設けられて、形成され、前記下枠本体は、上部が前記一平面よりも下方に設けられる基部と、この基部の更衣室寄りの一側部から上方に屈曲して連なり、最上面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する立上がり部とを有し、前記下枠補助部材は、前記下枠本体の基部の上部に前記浴室側で装着される下フランジと、この下フランジにほぼ直角に連なり、水抜き孔が形成されるウェブと、このウェブにほぼ直角に連なり、前記最上面を形成する上フランジとを有し、下枠補助部材が、更衣室側から浴室側に配置され、下フランジには、更衣室側に延びる第1係合片が形成され、基部には、浴室側から第1係合片が基部の上部との間で嵌まり込む第2係合片が形成され、各障子の立下がり部は、下枠補助部材に嵌まり込むだけでなく、さらに、前記立上がり部と最も更衣室側の下枠補助部材との間に、嵌まり込んで案内され、前記立上がり部の最上面にも、下戸車を案内して支持する案内レールが形成されることを特徴とする引戸の下枠構造。」(以下、「本件発明1」という。) 【請求項2】 「前記下枠本体の立上がり部の前記最上面の案内レールよりも更衣室側にも、前記一平面に沿って、前記障子の開閉方向に延びるもう1つの滑り防止部材が粗面を上方に臨ませて取付けられていることを特徴とする請求項1記載の引戸の下枠構造。」(以下、「本件発明2」という。) (2)刊行物記載の発明 〈刊行物1〉 当審が通知した取消理由で引用した、本件特許発明の出願前に頒布された刊行物1(実願平1-152955号(実開平3-90778号)のマイクロフィルム)には、明細書「実用新案登録請求の範囲」欄及び第4頁第8行〜第12頁第9行並びに第3図の記載からみて、 「浴室及び更衣室の各床面はほぼ一平面に沿って延び、浴室及び更衣室間には、障子と、この障子を開閉自在に保持する枠体とが設けられ、この枠体の下枠が各床面間に配設され、前記下枠の表面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する引戸の下枠構造であって、前記下枠は、下枠本体と、この下枠本体に着脱自在な補助部材とを有し、各障子の下部には、下戸車と、下戸車よりも浴室側に立下がり部がそれぞれ設けられ、前記下枠本体は、上部が前記一平面より下方に設けられる基部50は底板54、連結部分65及び突出部分67からなり、上記連結部分65の更衣室寄りの一側部から上方に屈曲して連なり、最上部が前記一平面とほぼ同一平面を形成する基部50の側板55及び上板53とを有し、前記補助部材は、前記下枠本体の突出部分67の上部に前記更衣室側で装着される平坦部分80と、この平坦部分80にほぼ直角に連なる立上り部79と、この立上り部79にほぼ直角に連なり、最上面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する上面77とを有し、前記基部50の上板53の最上面および前記補助部材の上面77の最上面が前記障子を支持する引戸の下枠構造。」 の発明が記載されているものと認められる。 また、刊行物1には、明細書第23頁第1〜3行及び第14図の記載からみて、他の実施例として、「補助部材152及び下枠本体150の立上り部分に、水抜き孔156,157,158を形成した」構成が記載されているものと認められる。 〈刊行物2〉 当審が通知した取消理由で引用した、本件特許発明の出願前に頒布された刊行物2(実願昭62-147345号(実開昭64-53365号)のマイクロフィルム)には、明細書第5頁第12行〜第6頁第9行及び第2図の記載からみて、「下枠の上面に滑り止め材を取付けた浴室出入口の敷居部。」 が記載されているものと認められる。 〈刊行物3〉 当審が通知した取消理由で引用した、本件特許発明の出願前に頒布された刊行物3(特開平4-235886号公報)には、第2頁第2欄第29〜43行及び第1〜3図の記載からみて、 「敷居部に設けられる、表面が凹凸形状をした合成樹脂製のすべり止め。」 が記載されているものと認められる。 (3)対比・判断 〈請求項1に係る発明について〉 上記刊行物1には、本件発明1の下枠構造と同様な構成である、「浴室および更衣室の各床面はほぼ一平面に沿って延び、浴室および更衣室間には、複数枚の障子と、この障子を開閉自在に保持する枠体とが設けられ、この枠体の下枠が各床面間に配置され、前記下枠の表面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する引戸の下枠構造であって、前記下枠は、下枠本体と、この下枠本体に着脱自在な補助部材とを有する下枠構造」が記載されているが、その具体的構成である「下枠補助部材が、更衣室側から浴室側に配置され、(下枠補助部材の)下フランジには、更衣室側に延びる第1係合片が形成され、(下枠本体の)基部には、浴室側から第1係合片が基部の上部との間で嵌まり込む第2係合片が形成され」る構成が記載されておらず、その示唆するところもない。また、刊行物1には、「滑り防止部材」が記載されておらず、その示唆するところもない。 また、上記刊行物2には、浴室出入口の敷居部の下枠の上面に、滑り止め材(本件発明1の「滑り防止部材」に相当する。)を取付けることが記載されているが、上記下枠構造の具体的構成が記載されておらず、その示唆するところもない。 さらに、上記刊行物3には、表面が凹凸形状をした合成樹脂製のすべり止め(本件発明1の「滑り防止部材」に相当する。)が記載されているが、上記下枠構造の具体的構成が記載されておらず、その示唆するところもない。 そして、本件発明1は、上記構成を有することにより、「下枠補助部材の取付作業を容易にすることができる。」(平成11年9月22日付け特許異議意見書第3頁第23及び24行を参照)という格別顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件発明1は、上記刊行物1〜3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、他に本件発明1が独立して特許を受けることができない理由を発見しない。 よって、本件発明1は特許出願の際独立して特許を受けることができる発明ということができる。 〈請求項2に係る発明について〉 本件訂正後の請求項2に係る発明は、同請求項1に係る発明を引用しているものであるから、上記〈請求項1に係る発明について〉でしたと同様の対比、判断により、訂正後の請求項2に係る発明は、上記刊行物1〜3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、他に訂正後の請求項2に係る発明が独立して特許を受けることができない理由を発見しない。 よって、訂正後の請求項2に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができる発明ということができる。 4 むすび 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2〜4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 三 特許異議の申立てについての判断 1 本件発明 本件の訂正後の請求項1及び2に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された上記のとおりのもの(上記「二 訂正の適否についての判断 3 独立特許要件の判断 (1)訂正後の発明」の項を参照。)と認められる。 2 異議申立ての理由の概要 異議申立人の立山アルミニウム工業株式会社及び三協アルミニウム工業株式会社は、 特許明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に係る発明は、本件特許発明の出願前に頒布された甲第1号証(特開平4-360982号公報)、甲第2号証(実願平1-152955号(実開平3-90778号)のマイクロフィルム、上記刊行物1)、甲第3号証(実願昭62-147345号(実開昭64-53365号)のマイクロフィルム、上記刊行物2)、及び甲第4号証(特開平4-336191号公報)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許を取り消すべき旨を主張している。 3 甲各号証記載の発明 (1)甲第1号証 甲第1号証には、公報第2頁第2欄第31行〜第3頁第3欄24行、及び第1〜4図の記載からみて、 「脱衣室及び浴室の各床面はほぼ一平面に沿って延び、脱衣室及び浴室間には、吊り戸と、この吊り戸を開閉自在に保持する枠体とが設けられ、この枠体の敷居部が各床面間に配設され、前記敷居部の表面が前記一平面とほぼ同一平面を形成するフラット床出入口構造であって、前記敷居部は、すのこ受台と、このすのこ受台に着脱自在なすのこレール部材とを有し、レール部材の頂部を粗面として滑り止め機能を持たせたフラット床出入口構造。」 の発明が記載されているものと認められる。 (2)甲第2号証(刊行物1) 甲第2号証(刊行物1)には、上記「二 訂正の適否についての判断 3 独立特許要件の判断 (2)刊行物記載の発明」の項に記載された発明が記載されている。 (3)甲第3号証(刊行物2) 甲第3号証(刊行物2)には、上記「二 訂正の適否についての判断 3 独立特許要件の判断 (2)刊行物記載の発明」の項に記載された発明が記載されている。 (4)甲第4号証 甲第4号証には、公報第2頁第1欄第49行〜第2欄24行、及び第2頁第2欄第34〜43行、並びに第1〜6図の記載からみて、 「脱衣室及び浴室の各床面はほぼ一平面に沿って延び、脱衣室及び浴室間には、引戸と、この引戸を開閉自在に保持する枠体とが設けられ、この枠体の敷居部が各床面間に配設され、前記敷居部の表面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する浴室出入口部構造であって、前記敷居部は、取付部材上にすのこレール部材を載置固定して構成し、すのこレール部材には合成ゴム等の防音部を有する、浴室出入口部構造。」 の発明が記載されているものと認められる。 4 当審の判断 (1)請求項1に係る発明について 上記甲第1号証には、請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)の下枠構造と似たような構成である、「脱衣室(本件発明1の「更衣室」に相当する。)及び浴室の各床面はほぼ一平面に沿って延び、脱衣室及び浴室間には、吊り戸と、この吊り戸を開閉自在に保持する枠体とが設けられ、この枠体の敷居部(同「下枠」に相当する。)が各床面間に配設され、前記敷居部の表面が前記一平面とほぼ同一平面を形成するフラット床出入口構造であって、前記敷居部は、すのこ受台(同「下枠本体」に相当する。)と、このすのこ受台に着脱自在なすのこレール部材(同「下枠補助部材」に相当する。)とを有し、レール部材の頂部を粗面として滑り止め機能を持たせたフラット床出入口構造。」が記載されているが、その具体的構成が異なり、とくに「下枠補助部材が、更衣室側から浴室側に配置され、(下枠補助部材の)下フランジには、更衣室側に延びる第1係合片が形成され、(下枠本体の)基部には、浴室側から第1係合片が基部の上部との間で嵌まり込む第2係合片が形成され」る構成が記載されておらず、その示唆するところもない。 また、上記甲第2〜4号証にも、上記下枠補助部材の具体的構成が記載されておらず、その示唆するところもない。 そして、本件発明1は、上記構成を有することにより、「下枠補助部材の取付作業を容易にすることができる。」(平成11年9月22日付け特許異議意見書第3頁第23及び24行を参照)という格別顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件発明1は、甲第1〜4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (2)請求項2に係る発明について 本件訂正後の請求項2に係る発明は、同請求項1に係る発明を引用しているものであるから、上記「(1)請求項1に係る発明について」の項でしたと同様の対比、判断により、訂正後の請求項2に係る発明は、上記甲第1〜4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 四 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件訂正後の請求項1及び2に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に上記本件訂正後の請求項1及び2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 引戸の下枠構造 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】浴室および更衣室の各床面はほぼ一平面に沿って延び、浴室および更衣室間には、複数枚の障子と、この障子を開閉自在に保持する枠体とが設けられ、この枠体の下枠が各床面間に配置され、前記下枠の表面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する引戸の下枠構造であって、 前記下枠は、下枠本体と、この下枠本体に着脱自在に連結される少なくとも1つの下枠補助部材とを有し、 各障子の下部には、下戸車と、下戸車よりも浴室側で下戸車よりも下方に立下がる立下がり部とがそれぞれ設けられ、 各立下がり部は、下枠補助部材にそれぞれ嵌まり込んで案内され、 下枠補助部材には、その下枠補助部材の最上面が、前記一平面に沿って形成され、 この最上面が、下戸車を案内して支持する案内レールとなっており、 下枠補助部材には、前記一平面に沿って、案内レールよりも更衣室側に、障子の開閉方向に延びる滑り防止部材が粗面を上方に臨ませて取付けられ、 滑り防止部材は、可撓性および弾発性を有し、 前記粗面は、前記開閉方向に沿って延びる複数の凸部および前記凸部間に形成される複数の凹溝が、前記開閉方向と垂直な方向に交互に設けられて、形成され、 前記下枠本体は、上部が前記一平面よりも下方に設けられる基部と、この基部の更衣室寄りの一側部から上方に屈曲して連なり、最上面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する立上がり部とを有し、 前記下枠補助部材は、 前記下枠本体の基部の上部に前記浴室側で装着される下フランジと、この下フランジにほぼ直角に連なり、水抜き孔が形成されるウェブと、このウェブにほぼ直角に連なり、前記最上面を形成する上フランジとを有し、 下枠補助部材が、更衣室側から浴室側に配置され、 下フランジには、更衣室側に延びる第1係合片が形成され、 基部には、浴室側から第1係合片が基部の上部との間で嵌まり込む第2係合片が形成され、 各障子の立下がり部は、 下枠補助部材に嵌まり込むだけでなく、さらに、 前記立上がり部と最も更衣室側の下枠補助部材との間に、嵌まり込んで案内され、 前記立上がり部の最上面にも、下戸車を案内して支持する案内レールが形成されることを特徴とする引戸の下枠構造。 【請求項2】前記下枠本体の立上がり部の前記最上面の案内レールよりも更衣室側にも、前記一平面に沿って、前記障子の開閉方向に延びるもう1つの滑り防止部材が粗面を上方に臨ませて取付けられていることを特徴とする請求項1記載の引戸の下枠構造。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、片引戸および引違い戸などの引戸の下枠構造に関する。 【0002】 【従来の技術】 たとえば浴室と更衣室との間には、仕切り壁が設けられ、この仕切り壁には複数の障子と、これらの障子を保持する枠体とによって構成される連動引戸が設けられる。前記枠体に建込まれた複数の障子のうち、浴室側または更衣室側に配置される1枚の障子を開閉動作させることによって残余の障子を連動させて大きな間口で開口する通路を形成して、身体障害者および老人などが容易にかつ安全に浴室と更衣室との間を通過し得るように構成されており、このような先行技術は、たとえば実開平3-90778に開示されている。 【0003】 この先行技術では、身体障害者および老人などが更衣室から浴室へ通過するとき、および浴室から更衣室へ通過するときに、前記枠体の一部を構成する下枠につまずいたり、車椅子などの通行の妨げになったりすることを防止するために、前記下枠の上面をほぼ平坦状に形成している。また枠体への各障子の組立て作業を容易化するために、前記下枠を、下枠本体と、この下枠本体に着脱可能な補助部材とによって構成し、この補助部材を下枠本体から外した状態で各障子を枠体に建込むことができるように構成している。 【0004】 このような先行技術では、各障子を開いた状態でなるべく大きな開口を得るために3枚を超える多数枚の障子を設ける場合には、多数枚の障子を保持する枠体の構成を障子の枚数に応じて変えなければならず、部材の種類が多くなってしまうという問題がある。しかも1つの補助部材によって複数の障子が支持されていると、下枠の掃除などを行うために一度に前記複数の障子を外さなければならなくなり、複数の作業者によって各障子を支えておく必要がある。またこのようにして外した複数の障子を再び建込む際にも複数の作業者を必要とし、1人の作業者によって障子の着脱作業を行うことが困難であるという問題がある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 したがって本発明の目的は、簡単な構成で、障子の取付けおよび取外し作業が容易であり、第1室および第2室間を円滑にかつ安全に通行することができる引戸の下枠構造を提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】 本発明は、浴室および更衣室の各床面はほぼ一平面に沿って延び、浴室および更衣室間には、複数枚の障子と、この障子を開閉自在に保持する枠体とが設けられ、この枠体の下枠が各床面間に配置され、前記下枠の表面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する引戸の下枠構造であって、 前記下枠は、下枠本体と、この下枠本体に着脱自在に連結される少なくとも1つの下枠補助部材とを有し、 各障子の下部には、下戸車と、下戸車よりも浴室側で下戸車よりも下方に立下がる立下がり部とがそれぞれ設けられ、 各立下がり部は、下枠補助部材にそれぞれ嵌まり込んで案内され、 下枠補助部材には、その下枠補助部材の最上面が、前記一平面に沿って形成され、 この最上面が、下戸車を案内して支持する案内レールとなっており、 下枠補助部材には、前記一平面に沿って、案内レールよりも更衣室側に、障子の開閉方向に延びる滑り防止部材が粗面を上方に臨ませて取付けられ、 滑り防止部材は、可擁撓性および弾発性を有し、 前記粗面は、前記開閉方向に沿って延びる複数の凸部および前記凸部間に形成される複数の凹溝が、前記開閉方向と垂直な方向に交互に設けられて、形成され、 前記下枠本体は、上部が前記一平面よりも下方に設けられる基部と、この基部の更衣室寄りの一側部から上方に屈曲して連なり、最上面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する立上がり部とを有し、 前記下枠補助部材は、 前記下枠本体の基部の上部に前記浴室側で装着される下フランジと、この下フランジにほぼ直角に連なり、水抜き孔が形成されるウェブと、このウェブにほぼ直角に連なり、前記最上面を形成する上フランジとを有し、 下枠補助部材が、更衣室側から浴室側に配置され、 下フランジには、更衣室側に延びる第1係合片が形成され、 基部には、浴室側から第1係合片が基部の上部との間で嵌まり込む第2係合片が形成され、 各障子の立下がり部は、 下枠補助部材に嵌まり込むだけでなく、さらに、 前記立上がり部と最も更衣室側の下枠補助部材との間に、嵌まり込んで案内され、 前記立上がり部の最上面にも、下戸車を案内して支持する案内レールが形成されることを特徴とする引戸の下枠構造である。 また本発明は、前記下枠本体の立上がり部の前記最上面の案内レールよりも更衣室側にも、前記一平面に沿って、前記障子の開閉方向に延びるもう1つの滑り防止部材が粗面を上方に臨ませて取付けられていることを特徴とする。 【0007】 【作用】 本発明に従えば、たとえば浴室などである第1室と、たとえば更衣室などである第2室との間には枠体が設けられ、この枠体には障子が開閉自在に設けられる。第1室から第2室に向かって飛散する水は、枠体および障子によって遮断される。前記下枠は下枠本体に下枠補助部材が着脱自在に連結される。前記下枠の表面は第1室および第2室の各床面を結ぶ一平面とほぼ同一平面を形成している。これによって、身体障害者や老人などが通過する際に、つまづきなどを生じることを防ぎ、円滑かつ安全に通過することが可能である。また、前記下枠補助部材には、前記一平面に沿って、前記障子の開閉方向に沿って延びる粗面状の滑り防止部材が上方に臨んで取付けられる。これによって、第1室と第2室との出入りの際に、足を滑らせることを防止することができ、かつ滑り防止部材が、前記一平面上に取付けられることによって、滑り防止部材に足を引掛けることを防止することができる。 【0008】 また本発明に従えば、下枠本体には第1室および第2室の各床面を結ぶ一平面よりも下方に設けられる基部と、この基部の第2室寄りの一側部から上方に屈曲して連なる立上がり部とが形成される。立上がり部の最上面は前記一平面とほぼ同一平面を成す。前記下枠補助部材は、下フランジとウエブと上フランジとを有し、前記下フランジは下枠本体の基部に連結される。各上フランジの最上面は前記一平面とほぼ同一平面を成し、したがって下枠の上方の表面は全体として第1室および第2室の各床面に沿って前記平担状に形成される。したがって、障子の枚数が多数枚であっても、その数に応じて下枠本体の基部を幅方向に長くし、かつ障子の数だけ同一形状の下枠補助部材を設ければよいので、下枠本体だけを障子の枚数に応じた形状のものを製造すればよい。これによって障子の枚数の増加に伴う構成の複雑化および部品点数の増加を少なくすることができる。しかも各障子の取付けおよび取外し作業を、第1室側から下枠補助部材を順次的に取付けまたは取外すことによって障子毎に個別に行うことができるので、障子を支えておくために複数の作業者を必要とすることなく、容易に作業を行うことができる。 【0009】 【0010】 さらに本発明に従えば、滑り防止部材は、下枠本体の立上がり部および下枠補助部材における案内レールの片側に設けられているので、引戸を開閉する際にこの滑り防止部材が引戸に作用することはない。 【0011】 【実施例】 図1は、本発明の前提となる連動引戸1の下枠3付近を拡大して示す鉛直断面図である。たとえば病院および養護施設において、第1室である浴室4と第2室である更衣室5とは連動引戸1によって仕切られる。この連動引戸1は、アルミニウム製の形材から成る枠体6と、枠体6内に開閉自在に嵌まり込む3枚の障子7a,7b,7cとを有する。各障子7a,7b,7cは、各下端部から下方に部分的に突出する各一対の下戸車8a,8b,8cをそれぞれ備え、最も浴室4側に配置される障子7aまたは最も更衣室5側に配置される障子7cを移動させることによって、中間の障子7bが追従して同一方向に移動し、図1の紙面に垂直方向に開閉することができるように構成される。 【0012】 浴室4側には、繊維強化プラスチック(略称FRP)から成る防水パン9が敷設され、この防水パン9上には金属またはプラスチックから成る簀子10が載置される。前記防止パン9の周縁部9aは、下枠3の下方を超えて更衣室5側に立上がって延び、浴室4から更衣室5に向けて飛散する水を浴室4側に導くように、更衣室5から浴室4寄りになるにつれて下方となる排水勾配を有する。 【0013】 また更衣室5側には、合板などによって実現される床板11が設けられ、この床板11の床面としての上面13と前記簀子10の床面としての上面14とはほぼ一平面を成す。この一平面から下方に、前記下枠3が設けられる。 【0014】 前記下枠3は、中空で略L字状の下枠本体15と、この下枠本体15に着脱自在に連結される複数(本実施例では2)の下枠補助部材16a,16bとを有する。下枠本体15は、前記一平面よりも下方に設けられる基部18と、基部18の更衣室5寄りの一側部から上方に屈曲して連なり、最も更衣室5寄りに配置される障子7cを支持する最上面としての第1の支持面19が前記一平面とほぼ同一平面を成して形成される立上がり部20とを有する。 【0015】 各下枠補助部材16a,16bは、下枠本体15の基部18に浴室4側で連結される下フランジ21a,21bと、下フランジ21a,21bにほぼ直角に連なり水抜き孔23a,23bが形成されるウエブ24a,24bと、ウエブ24a,24bに直角に連なり前記3枚の障子7a,7b,7cのうち最も更衣室5寄りに配置される障子7cを除く残余の障子7a,7bを支持する最上面である第2の支持面25a,25bが前記一平面とほぼ同一平面を成して形成される上フランジ26a,26bとを有し、大略的にI字状に形成される。 【0016】 各下フランジ21a,21bは、下枠本体15の基部18に着脱自在に連結するために、皿小ねじ27a,27bとナット28,28bとが用いられる。 【0017】 下フランジ21a,21bには、その下面から立下がって更衣室5側に屈曲した略L字状の2本の第1係合片29a,29bと、下フランジ21a,21bの最も浴室4側の一側部付近の壁に形成される突起30a,30bとが一体的に形成される。また前記下枠本体15の基部18には、各第1係合片29a,29bが嵌まり込む各2本の略L字状の第2係合片31a,31bと、基部18の最も浴室4寄りの一側部に設けられ、一方の突起30aを係止する略L字状の第3係合片33とが一体的に形成される。 【0018】 これらの下枠補助部材16a,16bを下枠本体15へ取付けるにあたっては、更衣室5寄りの下枠補助部材16bの第1係合片29bを下枠本体15の係合片31bに係合させた後、突起30bを更衣室5側の第2係合片31bに嵌め込み、皿小ねじ27bとナット28bとによって固定する。その後、浴室4寄りの下枠補助部材16aの第1係合片29aを下枠本体15の第2係合片31aに係合させ、第3係合片33に突起30aを嵌め込み、皿小ねじ27aをナット28aに螺合して固定する。 【0019】 このようにして複数の下枠補助部材16a,16bを更衣室5側から浴室4側に順次的に取付けることができるので、下枠補助部材16a,16bに対応して各障子7a,7bを個別的に建込むことができ、これによって同時に2以上の障子を作業者が支えておく必要がなくなり、1人の作業者によって連動引戸1の組立作業を行うことが可能となる。また各下枠補助部材16a,16bは同一形状であるので、下枠本体15は、障子の枚数に応じて幅(図1の左右方向)の異なる複数の種類、すなわち図1に示される3枚の他に4枚用、5枚用…が必要であるけれども、下枠補助部材の金型は1種類でよく、必要に応じて障子の枚数に応じた長さに切断すればよい。 【0020】 次に各障子7a〜7cの開閉動作を円滑に案内するための構成について説明する。各障子7a〜7cの各下部の浴室4側の内壁は、各下戸車8a,8b,8cよりもさらに下方、すなわち前記一平面よりも下方に立下がる立下がり部としてのスカート部分34a,34b,34cを有し、各スカート部分34a〜34cの更衣室5側には、案内係止片35a,35b,35cがそれぞれ設けられる。各案内係止片35a〜35cは、各障子7a,7bのスカート部分34a〜34cに連なる各内壁の内側にビスなどによって上下に変位自在に取付けられる略L字状のブラケット36a,36b,36cによって支持される。 【0021】 下枠本体15の立上がり部20には、前記案内係止片35cが嵌まり込んで案内される案内溝37cを構成する逆L字状の案内レール38cとを含み、案内レール38cの更衣室5側には、床板11の上面13上に乗載され、ビス39によって固定される上方に開口した大略的にC字状の支持部40が一体的に形成される。このような支持部40は床板11の上面13よりも上方にわずかに突出しているため、老人あるいは身体障害者が通過する際に、つまずき易く、そのため支持部40にはアルミニウム製のカバー体41が嵌着される。 【0022】 また各下枠補助部材16a,16bの上フランジ26a,26bは、前記案内レール38cと同様な案内レール38a,38bと、各案内レール38a,38bとは反対側、すなわち更衣室5側に延び、先端部に障子7b,7cのスカート部分34b,34cに摺接するパッキン43a,43bが嵌着されるカバー部44a,44bとを有する。前記支持面25a,25bは、これらの案内レール38a,38bおよびカバー部44a,44bにわたって形成されている。各案内レール38b,38cと各パッキン43a,43bとの隙間L1,L2は第1および第2支持面19,25a,25bの幅L3,L4,L5よりも小さく選ばれており、これによって通過時に間隔L1,L2内へ部分的に嵌まり込んだり車椅子で通過したときに、大きな振動を生じることを防ぐことができる。 【0023】 また前記スカート部分34a〜34cを設けることによって、浴室4から更衣室5に向けて飛散した水が、このスカート部34a〜34cによって下方に案内され、前記一平面よりも下方に導かれる。これによって前記飛散した水が となり浸入することを防止し、下枠3の上面19,25a,25bおよび更衣室5の床面としての上面13に水が溜まることを防止することができ、滑りやすくなることを防止することができる。またこのように飛散した水を案内するスカート部分34a〜34cが、障子7a〜7bに設けられることによって、前記一平面から上方に突出する部分、すなわち浴室4と更衣室5との出入りの際の障害物をなくすことができ、足を引掛けたりすることを防止することができる。 【0024】 図2は連動引戸1の全体の構成を示す鉛直断面図であり、図3は連動引戸1の水平断面図であり、図4は連動引戸1を更衣室5側から見た正面図である。前記枠体6は、上述の下枠3と、下枠3の長手方向両端部に直角に連結される一対の竪枠45,46と、各竪枠45,46の上端部に直角に連結される上枠47とを有する。障子7aは、一対の竪框48a,49aと、各竪框48a,49aの長手方向両端部に直角にそれぞれ連結される上権50aおよび下框51aとを有する。各竪框48a,49a、上框50aおよび下框51aの各内周部には、板ガラス53aがパッキン54aによって水密な状態で保持されている。上框50aには、上枠47aの下面55aに弾発的に当接する各一対の上戸車56aが設けられる。この上戸車56aを上枠47に弾発的に当接するように取付けるための構成については、たとえば実開平3-90778および実開平3-90786に開示される構成と同様であり、重複を避けて説明は省略する。残余の障子7b,7cは、前述の障子7aと同様な構成を有し、対応する部分には同一の数字に添字b,cを付す。 【0025】 各障子7a,7b,7cの召合わせ部分、すなわち各障子7a,7b,7cを閉じた状態で浴室4および更衣室5間の方向(図2および図3の左右方向)に重なる各一方の竪框48a,48b,49b,49cの各対向部分には、ゴムなどの可撓性および弾発性を有する材料から成る当接片57a,57b1,57b2,57cがそれぞれ設けられる。また最も浴室4寄りに配置される障子7aおよび最も更衣室5寄りに配置される障子7cの各竪框49a,48cには、前述した実開平3-90786および実開平3-90778に示されるような引手58,59,60,61がそれぞれ設けられる。このように内障子に相当する障子7aおよび外障子に相当する7cの両方に引手58〜61を設けるようにしたので、たとえば更衣室5から浴室4に入る場合には、図5(1)の閉じた状態から左手によって引手59を矢符B1方向に引いて、障子7a,7bを図5(2)に示されるように開くことができる。また浴室4から更衣室5へ出るときには、同様に左手によって引手61を把持し、矢符B2方向に引くことによって図5(3)に示されるように開くことができる。さらに図5(4)に示されるように、障子7b,7cが開かれた状態から更衣室5側から閉じる際には、引手60を把持して矢符B1方向へ移動させればよく、浴室4および更衣室5のいずれからでも左右を問わず開閉操作することができる。このとき、前述したように各障子7a,7b,7cの上戸車56a,56b,56cは上枠47に弾発的に当接しているので、開閉時に「ガタガタ」などと音を発生しながら振動するいわゆる踊りと呼ばれる現象が生じることを防ぐことができ、円滑に開閉動作を行うことが可能となる。 【0026】 本発明の他の前提となる構成として、図6に示されるように、排水孔50,51,52が形成される下方に開放した下枠3aを、前記下枠3に代えて用いるようにしてもよい。これらの排水孔50,51,52によって下枠内の水を防水パン9上に直接落下させて排水することができ、これによって排水性を格段に向上することができる。このような下枠3aに関してもまた、本発明を好適に実施することができる。 【0027】 図7は本発明の他の実施例の連動引戸101の下枠103付近を拡大して示す鉛直断面図である。連動引戸101は、連動引戸1と類似しており同様の構成を有する部分には、同一の参照符を付して説明は省略する。たとえば病院および養護施設において、室外104と室内105とは、連動引戸101によって仕切られる。この連動引戸101は、アルミニウム製の形材から成る枠体6と、枠体6内に開閉自在に嵌まり込む3枚の障子7a,7b,7cとを有する。各障子7a,7b,7cは、各下端部から下方に部分的に突出する各一対の下戸車8a,8b,8cをそれぞれ備え、最も室外104側に配置される障子7aまたは最も室内105側に配置される障子7cを移動させることによって、中間の障子7bが追従して同一方向に移動し、図7の紙面に垂直な方向に開閉することができるように構成される。また連動引戸101の室外104側には、グレーチング110が設けられる。 【0028】 室外104側には、繊維強化プラスチック(略称FRP)から成る防水パン109が敷設される。この防水パン109には、室外104側に排水溝156が設けられる。この防水パン109の排水溝156には、その室外104側に、水平に設けられる載置段109bが形成される。この載置段109bと室外側を載置するようにして、排水溝156上に金属またはプラスチックから成るグレーチング110が載置される。前記防水パン109の周縁部109aは、下枠103の下方を越えて室内105側に立上がって延び、室外104から室内105に向けて飛散する雨水などの水を室外104側に導くように室内105から室外104寄りになるにつれて下方となる排水勾配を有する。 【0029】 また室内105側には、合板などによって実現される床板11が設けられる。この床板11の床面としての上面13は、前記グレーチング110の上面114とはほぼ一平両を成す。この一平面から下方に前記下枠3が設けられる。 【0030】 前記下枠3は、中空で略L字状の下枠本体115と、この下枠本体115に着脱自在に連結される複数(本実施例では2)の第1下枠補助部材116a,116bと、第1下枠補助部材116a,116bを固定する第2下枠補助部材151とを有する。下枠本体115は、前記一平面よりも下方に設けられる基部118と、基部118の室内105寄りの一側部から上方に屈曲して連なり、最も室内105寄りに配置される障子7aを支持する最上面としての第1の支持面119が前記一平面とほぼ同一平面を成して形成される立上がり部120とを有する。前記基部118には、前記防水パン109に臨んで開口する第1排水孔118a、第2排水孔118b、第3排水孔118c、第4排水孔118dが形成される。 【0031】 各第1下枠補助部材116a,116bは、下枠本体115の基部118に室外104側で連結され、第5排水孔150a,150bが形成される下フランジ121a,121bと、下フランジ121a,121bにほぼ直角に連なり水抜き孔123a,123bが形成されるウエブ124a,124bと、ウエブ124a,124bに直角に連なり前記3枚の障子7a,7b,7cのうち最も室内105寄りに配置される障子7cを除く残余の障子7a,7bを支持する最上面である第2の支持面125a,125bが前記一平面とほぼ同一平面を成して形成される上フランジ126a,126bとを有し、大略的にI字状に形成される。 【0032】 下フランジ121a,121bには、その下面から立下がって室内105側に屈曲した略L字状の2本の第1係合片129a,129bが一体的に形成される。また前記下枠本体115の基部118には、各第1係合片129a,129bが嵌まり込む各2本の略L字状の第2係合片131a,131bが一体的に形成される。前記第5排水孔150a,150bは、第1または第2排水孔118a,118bと連通する。これによって、雨水などの水を下方に導き、排水溝156に排水することができる。前記第2下枠補助部材151は、室外104側へ延びる支持部157と、支持部157から垂直に立上がり、その上面158が前記一平面と同一平面上に形成される第2立上がり部159とを有し、大略的に逆L字状に形成される。前記第2立上がり部159には、第1下枠補助部材116a,116bと同様の水抜き孔150が形成され、たとえば雨水など室外104側から室内105側へ飛散した水を室外104へ導く。この第2下枠補助部材151は、第1下枠補助部材116a,116bの室外104側に設けられる。 【0033】 前記第1下枠補助部材116a,116bを下枠本体115へ取付けるにあたっては、まず第1下枠補助部材116a,116bの各第1係合片129a,129bを下枠本体115の各第2係合片131a,131bに係合する。その後、第2下枠補助部材151を第1下枠補助部材116aに当接させた状態で、第2下枠補助部材151がその支持部157において、ボルト161およびナット162によって、下枠本体115に固定される。これによって、第1下枠補助部材116a,116bの室外104への移動が阻止され、第1下枠補助部材116a,116bが固定される。すなわち前記ボルト161およびナット162を用いることによって、第2下枠補助部材151のみならず、第1下枠補助部材116a,116bを下枠本体115に着脱自在に連結することができる。 【0034】 このようにして複数の第1下枠補助部材116a,116bの室内105側から室外104側へ順次的に取付け、最後に第2下枠補助部材151によって固定することができるので、第1下枠補助部材116a,116bに対応して、各障子7a,7bを個別的に建込むことができ、これによって同時に2以上の障子を作業者が支えておく必要がなくなり、1人の作業者によって連動引戸101の組立作業を行うことが可能となる。また第1下枠補助部材116a,116bは同一形状であるので、下枠本体115は障子の枚数に応じて幅(図7の左右方向)の異なる複数の種類、すなわち図7に示される3枚用の他に4枚用、5枚用、…が必要であるけれども、第1下枠補助部材の金型は1種類でよく、必要に応じて障子の枚数に応じた長さに切断すればよい。 【0035】 また第2下枠補助部材151のみをボルト161およびナット162によって固定することによって、第1下枠補助部材116a,116bをも固定することができるので、組立作業の容易化、簡略化を図ることができる。すなわち作業性が向上される。 【0036】 前記グレーチング110は、連動引戸101の開閉方向(図7の紙面に垂直な方向)に延び、前記開閉方向と垂直な方向に間隔L10をあけて設けられる複数(本実施例において3)縦部材170と前記開閉方向に垂直な方向に延び、前記開閉方向に平行な方向に間隔をあけて設けられる複数の横部材171とを有する。前記縦部材170は、大略的にI字状に形成される。この縦部材170は、ほぼ水平に設けられ、その上面114が前記一平面と同一平面上に設けられる第2上フランジ172と、第2上フランジと平行に設けられる第2下フランジ173と、第2上フランジ172および第2下フランジ173とほぼ直角を成して設けられ、第2上フランジ172および第2下フランジ173を連結する連結部174とを有する。前記横部材171は、鉛直な平面上に設けられる板状であり、縦部材170の連結部174において隣接する縦部材170を連結する。 【0037】 このようなグレーチング110は、室外104側(図7の左側)が、前記排水溝156の室外104側に設けられる前記載置段109bに載置され、室内105側が前記第2下枠補助部材151の支持部157に載置され、排水溝156上に設けられる。これによって、排水溝156を上方から覆うことができる。 【0038】 また、前記下枠本体の立上がり部120の案内レール38cの室内105側には第1滑り防止部材180cが設けられ、各第1下枠補助部材116a,116bの上フランジ126a,126bの案内レール38a,38bの室内105側には、第2滑り防止部材180a,180bが設けられ、第2下枠補助部材151の立上がり部の上端部には、第3滑り防止部材180dが設けられる。さらに、グレーチングの第2上フランジ172には、第4滑り防止部材180e,180f,180gが設けられる。これらの滑り防止部材180a〜180gには、上方に向けて突出し、前記開閉方向に沿って延びる複数の凸部181および前記凸部181間に形成される複数の凹溝182が前記開閉方向と垂直な方向に交互に設けられ、各滑り防止部材180a〜180gの上方側が凹凸状の粗面に形成される。これらの滑り防止部材180a〜180gは、たとえば合成樹脂や合成ゴムなどの可撓性および弾発性を有する材料から成り、その凹凸状に形成される上方側の粗面が、前記一平面よりわずかに上方に突出し、配置されるように取付けられる。すなわち各滑り防止部材180a〜180gが取付けられた状態においても、前記上面13,114,158、第1の支持面119および第2の支持面125a,125bが、前記一平面上に存在する。このような滑り防止部材180a〜180gによって、室内外の出入りの際に足を滑らせることを防止し、かつ滑り防止部材180a〜180gが、前記一平面よりも上方に突出していないように設けられることによって、足をとられ引掛かることを防止することができ、転倒することを防止することができる。 【0039】 下枠本体115の立上がり部120には、前記案内係止片35cが嵌まり込んで案内される案内溝37cを構成する逆L字状の案内レール38cとを含み、案内レール38cの室内105側には、床板11の上面13上に乗載され、ビス139によって固定される取付部140が一体的に形成される。この取付部140は床板11の上面13よりも上方に僅かに突出しているため、室内外の出入りの際に、つまずきやすい。そのため、取付部140の室内側(図7の右側)には、床面に向けてなだらかに傾斜する傾斜部140aが設けられる。 【0040】 上述の実施例では、3枚の障子7a,7b,7cによって構成される連動引戸ついて説明したけれども、本発明の他の実施例として、3以上、たとえば4枚あるいは5枚以上の障子に関しても、好適に実施することができる。 【0041】 また上述の実施例では、連動引戸1によって浴室4と更衣室5とを仕切るようにしたけれども、本発明の他の実施例として、第1室から第2室へ向けて水が飛散するような環境、たとえばベランダと室内とを遮断するためにも本発明を有利に実施することができる。 【0042】 本発明によれば、たとえば浴室などである第1室と、たとえば更衣室などである第2室との間には枠体が設けられ、この枠体には障子が開閉自在に設けられる。第1室から第2室に向かって飛散する水は、枠体および障子によって遮断される。前記下枠は下枠本体に下枠補助部材が着脱自在に連結される。前記下枠の表面は第1室および第2室の各床面を結ぶ一平面とほぼ同一平面を形成している。これによって、身体障害者や老人などが通過する際に、つまづきなどを生じることを防ぎ、円滑かつ安全に通過することが可能である。また、前記下枠補助部材には、前記一平面に沿って、前記障子の開閉方向に沿って延びる粗面状の滑り防止部材が上方に臨んで取付けられる。これによって、第1室と第2室との出入りの際に、足を滑らせることを防止することができ、かつ滑り防止部材が、前記一平面上に取付けられることによって、滑り防止部材に足を引掛けることを防止することができる。 【0043】 また本発明によれば、下枠本体には第1室および第2室の各床面を結ぶ一平面よりも下方に設けられる基部と、この基部の第2室寄りの一側部から上方に屈曲して連なる立上がり部とが形成される。立上がり部の最上面は前記一平面とほぼ同一平面を成す。前記下枠補助部材は、下フランジとウエブと上フランジとを有し、前記下フランジは下枠本体の基部に連結される。各上フランジの最上面は前記一平面とほぼ同一平面を成し、したがって下枠の上方の表面は全体として第1室および第2室の各床面に沿って前記平担状に形成される。したがって、障子の枚数が多数枚であっても、その数に応じて下枠本体の基部を幅方向に長くし、かつ障子の数だけ同一形状の下枠補助部材を設ければよいので、下枠本体だけを障子の枚数に応じた形状のものを製造すればよい。これによって障子の枚数の増加に伴う構成の複雑化および部品点数の増加を少なくすることができる。しかも各障子の取付けおよび取外し作業を、第1室側から下枠補助部材を順次的に取付けまたは取外すことによって障子毎に個別に行うことができるので、障子を支えておくために複数の作業者を必要とすることなく、容易に作業を行うことができる。 【0044】 さらに本発明に従えば、滑り防止部材は、下枠本体の立上がり部および下枠補助部材における案内レールの片側に設けられているので、引戸を開閉する際にこの滑り防止部材が引戸に作用することはない。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の前提となる下枠3付近を拡大して示す鉛直断面図である。 【図2】 連動引戸1の全体の構成を示す鉛直断面図である。 【図3】 連動引戸1の水平断面図である。 【図4】 連動引戸1を浴室4側から見た正面図である。 【図5】 連動引戸1の各障子7a,7b,7cの開閉動作を説明するための図である。 【図6】 本発明の他の前提となる下枠3a付近を拡大して示す鉛直断面図である。 【図7】 本発明の一実施例の下枠103付近を拡大して示す鉛直断面図である。 【符号の説明】 1,101 連動引戸 3,3a,103 下枠 4 浴室 5 更衣室 6 枠体 7a,7b,7c 障子 8a,8b,8c 下戸車 10 簀子 11 床板 13,14 上面 15,115 下枠本体 16a,16b 下枠補助部材 18,118 基部 19 第1の支持面 20,120 立上がり部 25a,25b 第2の支持面 56a,56b,56c 上戸車 58〜61 引手 104 室外 105 室内 110 グレーチング 116a,116b 第1下枠補助部材 151 第2下枠補助部材 |
訂正の要旨 |
(訂正の要旨) 1.訂正事項1 特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1の記載を、 「浴室および更衣室の各床面はほぼ一平面に沿って延び、浴室および更衣室間には、複数枚の障子と、この障子を開閉自在に保持する枠体とが設けられ、この枠体の下枠が各床面間に配置され、前記下枠の表面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する引戸の下枠構造であって、前記下枠は、下枠本体と、この下枠本体に着脱自在に連結される少なくとも1つの下枠補助部材とを有し、各障子の下部には、下戸車と、下戸車よりも浴室側で下戸車よりも下方に立下がる立下がり部とがそれぞれ設けられ、各立下がり部は、下枠補助部材にそれぞれ嵌まり込んで案内され、下枠補助部材には、その下枠補助部材の最上面が、前記一平面に沿って形成され、この最上面が、下戸車を案内して支持する案内レールとなっており、下枠補助部材には、前記一平面に沿って、案内レールよりも更衣室側に、障子の開閉方向に延びる滑り防止部材が粗面を上方に臨ませて取付けられ、滑り防止部材は、可撓性および弾発性を有し、前記粗面は、前記開閉方向に沿って延びる複数の凸部および前記凸部間に形成される複数の凹溝が、前記開閉方向と垂直な方向に交互に設けられて、形成され、前記下枠本体は、上部が前記一平面よりも下方に設けられる基部と、この基部の更衣室寄りの一側部から上方に屈曲して連なり、最上面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する立上がり部とを有し、前記下枠補助部材は、前記下枠本体の基部の上部に前記浴室側で装着される下フランジと、この下フランジにほぼ直角に連なり、水抜き孔が形成されるウェブと、このウェブにほぼ直角に連なり、前記最上面を形成する上フランジとを有し、下枠補助部材が、更衣室側から浴室側に配置され、下フランジには、更衣室側に延びる第1係合片が形成され、基部には、浴室側から第1係合片が基部の上部との間で嵌まり込む第2係合片が形成され、各障子の立下がり部は、下枠補助部材に嵌まり込むだけでなく、さらに、前記立上がり部と最も更衣室側の下枠補助部材との間に、嵌まり込んで案内され、前記立上がり部の最上面にも、下戸車を案内して支持する案内レールが形成されることを特徴とする引戸の下枠構造。」 と訂正する。 2.訂正事項2 特許請求の範囲において、請求項2を削除し、もとの請求項3の項番を繰り上げ請求項2とするとともに、特許請求の範囲の減縮を目的として、その記載を、 「前記下枠本体の立上がり部の前記最上面の案内レールよりも更衣室側にも、前記一平面に沿って、前記障子の開閉方向に延びるもう1つの滑り防止部材が粗面を上方に臨ませて取付けられていることを特徴とする請求項1記載の引戸の下枠構造。」 と訂正する。 3.訂正事項3 上記訂正事項1による特許請求の範囲の減縮に伴い生じる、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との不整合を回避するために、明りょうでない記載の釈明を目的として、 ▲1▼明細書段落【0006】の記載を、「【課題を解決するための手段】本発明は、浴室および更衣室の各床面はほぼ一平面に沿って延び、浴室および更衣室間には、複数枚の障子と、この障子を開閉自在に保持する枠体とが設けられ、この枠体の下枠が各床面間に配置され、前記下枠の表面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する引戸の下枠構造であって、前記下枠は、下枠本体と、この下枠本体に着脱自在に連結される少なくとも1つの下枠補助部材とを有し、各障子の下部には、下戸車と、下戸車よりも浴室側で下戸車よりも下方に立下がる立下がり部とがそれぞれ設けられ、各立下がり部は、下枠補助部材にそれぞれ嵌まり込んで案内され、下枠補助部材には、その下枠補助部材の最上面が、前記一平面に沿って形成され、この最上面が、下戸車を案内して支持する案内レールとなっており、下枠補助部材には、前記一平面に沿って、案内レールよりも更衣室側に、障子の開閉方向に延びる滑り防止部材が粗面を上方に臨ませて取付けられ、滑り防止部材は、可撓性および弾発性を有し、前記粗面は、前記開閉方向に沿って延びる複数の凸部および前記凸部間に形成される複数の凹溝が、前記開閉方向と垂直な方向に交互に設けられて、形成され、前記下枠本体は、上部が前記一平面よりも下方に設けられる基部と、この基部の更衣室寄りの一側部から上方に屈曲して連なり、最上面が前記一平面とほぼ同一平面を形成する立上がり部とを有し、前記下枠補助部材は、前記下枠本体の基部の上部に前記浴室側で装着される下フランジと、この下フランジにほぼ直角に連なり、水抜き孔が形成されるウェブと、このウェブにほぼ直角に連なり、前記最上面を形成する上フランジとを有し、下枠補助部材が、更衣室側から浴室側に配置され、下フランジには、更衣室側に延びる第1係合片が形成され、基部には、浴室側から第1係合片が基部の上部との間で嵌まり込む第2係合片が形成され、各障子の立下がり部は、下枠補助部材に嵌まり込むだけでなく、さらに、前記立上がり部と最も更衣室側の下枠補助部材との間に、嵌まり込んで案内され、前記立上がり部の最上面にも、下戸車を案内して支持する案内レールが形成されることを特徴とする引戸の下枠構造である。また本発明は、前記下枠本体の立上がり部の前記最上面の案内レールよりも更衣室側にも、前記一平面に沿って、前記障子の開閉方向に延びるもう1つの滑り防止部材が粗面を上方に臨ませて取付けられていることを特徴とする。」と、 ▲2▼同段落【0011】(特許公報第5欄第13行)において、「本発明の一実施例の」との記載を、「本発明の前提となる」と、 ▲3▼同段落【0026】(同第8欄第46行)の「本発明の他の実施例」との記載を、「本発明の他の前提となる構成」と、 ▲4▼同【図面の簡単な説明】の項目の【図1】の記載を、「本発明の前提となる下枠3付近を拡大して示す鉛直断面図である。」と、 ▲5▼同【図面の簡単な説明】の項目の【図6】の記載を、「本発明の他の前提となる下枠3a付近を拡大して示す鉛直断面図である。」と、 訂正する。 4.訂正事項4 誤記の訂正を目的として、 ▲1▼明細書段落【0024】(特許公報第7欄第48行)の「浴室4側」との記載を、「更衣室5側」と、 ▲2▼同段落【0028】(同第9欄第32行)の「室外105」との記載を、「室内105」と、 ▲3▼同段落【0030】(同第9欄第45及び46行)の「室外105」との記載を、「室内105」と、 ▲4▼同段落【0032】(同第10欄第31行)の「室外105」との記載を、「室外104」と、 訂正する。 |
異議決定日 | 1999-10-26 |
出願番号 | 特願平6-193276 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(E04H)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小林 俊久 |
特許庁審判長 |
幸長 保次郎 |
特許庁審判官 |
藤枝 洋 小野 忠悦 |
登録日 | 1997-08-08 |
登録番号 | 特許第2682957号(P2682957) |
権利者 | 株式会社日本アルミ |
発明の名称 | 引戸の下枠構造 |
代理人 | 西教 圭一郎 |
代理人 | 西教 圭一郎 |
代理人 | 湯田 浩一 |