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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  E02D
管理番号 1007270
異議申立番号 異議1999-70802  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-12-17 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-03-05 
確定日 1999-11-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2796702号「液状化防止地盤構造及び液状化防止地盤構造の形成方法」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 本件特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許出願 平成7年6月8日
特許権設定登録 平成10年7月3日
(特許第2796702号)
特許異議の申立て(異議申立人鹿島建設株式会社)
平成11年3月5日
取消理由通知 平成11年6月11日
意見書及び訂正請求 平成11年8月24日
第2 訂正請求について
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
I 特許請求の範囲の欄
▲1▼ 訂正事項a 明細書中の特許請求の範囲の「請求項1」を特許請求の範囲の減縮を目的として削除する。
▲3▼ 訂正事項c 明細書中の特許請求の範囲の「請求項2」を特許請求の範囲の滅縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項1」と訂正する。
▲4▼ 訂正事項d 明細書中の特許請求の範囲の「請求項3」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項2」と訂正する。
▲5▼ 訂正事項e 明細書中の特許請求の範囲の「請求項3」の1行目「請求項2記載の・・・」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、[請求項1記載の・・・」と訂正する。
▲6▼ 訂正事項f 明細書中の特許請求の範囲の「請求項4」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項3」と訂正する。
▲7▼ 訂正事項g 明細書中の特許請求の範囲の「請求項4」の1行目「請求項2,3いずれか・・・」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、請求項1,2いずれか・・・」と訂正する。
▲8▼ 訂正事項h 明細書中の特許請求の範囲の「請求項5」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項4」と訂正する。
▲9▼ 訂正事項i 明細書中の特許請求の範囲の「請求項5」の1行目「請求項2,3,4いずれか・・・」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項1〜3いずれか・・・」と訂正する。
II 発明の詳細な説明の欄
▲2▼ 訂正事項b 明細書中の発明の名称「液状化防止地盤構造及び液状化防止地盤構造の形成方法」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「液状化防止地盤構造の形成方法」と訂正する。
▲10▼ 訂正事項j 明細書中の段落番号【0001】の1行目〜2行目「・・・防止する液状化防止地盤構造及び液状化・・・」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「・・・防止する液状化・・・」と訂正する。
▲11▼ 訂正事項k 明細書中の段落番号【0007】を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、削除する。
▲12▼ 訂正事項1 明細書中の段落番号【0009】の1行目「請求項2記載の・・・」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項1記載の・・・」と訂正する。
▲13▼ 訂正事項m 明細書中の段落番号【00010】の1行目「請求項2,3いずれか・・・」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項1,2いずれか・・・」と訂正する。
▲14▼ 訂正事項n 明細書中の段落番号【0011】の1行目「請求項2,3,4いずれか・・・」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項1〜3いずれか・・・」と訂正する。
第3 訂正の適否について
I 訂正事項▲1▼について
この訂正事項▲1▼の訂正は、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至5のうち、請求項1を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、この訂正は、明らかに、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
又、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
さらに、訂正後の本件請求項1乃至4に係る発明は、本件特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とすることはできない。
II 訂正事項▲2▼乃至▲14▼について
この訂正事項▲2▼乃至▲14▼の訂正は、特許請求の範囲の訂正に伴う訂正であって、明りょうでない記載の釈明にあたり、そして、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
III 訂正請求の適否についてのまとめ
上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する特許法第126条第2項、第3項及び第4項の規定に適合するので、本件訂正請求による訂正を認める。
第4 特許異議申立てについて
本件請求項1に係る発明は、訂正により削除されたので、特許異議の申立ての対象が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
液状化防止地盤構造の形成方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 砂地盤中の所定位置において固化材を噴射する固化材噴射体を地表から地中所定深さまで斜め方向に挿入し、続いて、固化材噴射体を引き抜く際、該固化材噴射体から固化材を噴射せしめて柱状の固化材充填体を形成する固化材噴射工程を完了し、続いて、この固化材噴射工程を繰り返して複数の柱状の固化材充填体を連設形成することで斜め方向に延設される面状の固化層を設け、前記同様な固化材噴射工程により上記面状の固化層と交差状態に新たに斜め方向に延設される面状の固化層を設けて該面状の固化層と直交する方向における垂直面で切ったと想定した際の切り面Yに当該面状の固化層がX字状に現出するようにしたことを特徴とする液状化防止地盤構造の形成方法。
【請求項2】 請求項1記載の液状化防止地盤構造の形成方法において、斜め方向に延設される面状の固化層を複数設けることで該面状の固化層と直交する方向における垂直面で切ったと想定した際の切り面Yに当該面状の固化層が複数のX字状に現出するようにしたことを特徴とする液状化防止地盤構造の形成方法。
【請求項3】 請求項1,2いずれか1項に記載の液状化防止地盤構造の形成方法において、固化材噴射体を挿入する際においても固化材を噴射せしめるようにしたことを特徴とする液状化防止地盤構造の形成方法。
【請求項4】 請求項1〜3いずれか1項に記載の液状化防止地盤構造の形成方法において、固化材噴射体に周囲の砂地盤を撹拝拌する撹拌部を設け、この撹拌部を該固化材噴射体が降下並びに上昇する際に作動せしめるようにしたことを特徴とする液状化防止地盤構造の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は地震等による砂地盤の液状化を防止する液状化防止地盤構造の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
砂地盤においては地震の際、液状化現象が生じることが確認されている。
【0003】
現時点において、液状化現象がなぜ生じるかは種々の学説があり、未だその原因は明確に解っていない。
【0004】
例えば、砂地盤を適宜な手段により拘束し、揺れを抑制すれば液状化は防止できるという考え方に基づく技術も提案されているが、実効性があるか否か明確な結論は出ていない。
【0005】
本発明は、上記考え方とは全く別個の、液状化は砂地盤の砂粒子及び土中水が鉛直方向へ移動することを阻止するとともに地震動の地表方向への伝播を阻止すれば防止される、という考え方を基にしてなされた発明である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
砂地盤4中の所定位置において固化材を噴射する固化材噴射体2を地表から地中所定深さまで斜め方向に挿入し、続いて、固化材噴射体2を引き抜く際、該固化材噴射体2から固化材を噴射せしめて柱状の固化材充填体3を形成する固化材噴射工程を完了し、続いて、この固化材噴射工程を繰り返して複数の柱状の固化材充填体3を連設形成することで斜め方向に延設される面状の固化層1を設け、前記同様な固化材噴射工程により上記面状の固化層1と交差状態に新たに斜め方向に延設される面状の固化層1’を設けて該面状の固化層1・1’と直交する方向における垂直面で切ったと想定した際の切り面Yに当該面状の固化層1・1’がX字状に現出するようにしたことを特徴とする液状化防止地盤構造の形成方法に係るものである。
【0008】
請求項1記載の液状化防止地盤構造の形成方法において、斜め方向に延設される面状の固化層1・1’を複数設けることで該面状の固化層1・1’と直交する方向における垂直面で切ったと想定した際の切り面Yに当該面状の固化層1・1’が複数のX字状に現出するようにしたことを特徴とする液状化防止地盤構造の形成方法に係るものである。
【0009】
請求項1,2いずれか1項に記載の液状化防止地盤構造の形成方法において、固化材噴射体2を挿入する際においても固化材を噴射せしめるようにしたことを特徴とする液状化防止地盤構造の形成方法に係るものである。
【0010】
請求項1〜3いずれか1項に記載の液状化防止地盤構造の形成方法において、固化材噴射体2に周囲の砂地盤4を撹拌する撹拌部を設け、この撹拌部を該固化材噴射体2が降下並びに上昇する際に作動せしめるようにしたことを特徴とする液状化防止地盤構造の形成方法に係るものである。
【0011】
【作用】
砂地盤中に斜め方向に延設される面状の固化層が交差状態で存する為、砂粒子及び土中水の鉛直方向への移動は阻止され、また、地震動の地表方向への伝播は阻止される。
【0012】
【実施例】
図1,2は本発明の一実施例を図示したもので、以下に説明する。
【0013】
固化材噴射体2を用意する。この固化材噴射体2は下端に周囲の砂地盤4を撹拌する撹拌部が設けられ、また、該下端には固化材(例えばセメントミルク)をエアーと共に高圧噴射せしめる噴射部が設けられている。
【0014】
この撹拌部は固化材を砂地盤4に良好に浸透させる為に有効となる。
【0015】
この固化材噴射体2を砂地盤4の所定位置にセットし、撹拌部で周囲の砂地盤4を撹拌しながら地中所定深さT点まで斜め方向に挿入降下する(図2(a),(b)参照)。
【0016】
続いて、T点まで固化材噴射体2が到達したことを確認し、固化材噴射体2の撹拌部を作動させながらエアーと固化材とを噴射させて該固化材噴射体2を地上まで引き抜く(図2(c),(d)参照)。
【0017】
このようにして柱状の固化材充填体3を形成する固化材噴射工程を完了する。
【0018】
続いて、この柱状の固化材充填体3に隣接させて同様に固化材噴射工程を完了させ、これを繰り返して複数の固化材充填体3が連設形成された斜め方向に延設される面状の固化層1を形成する。
【0019】
次に、この面状の固化層1に平行な斜め方向に延設される面状の固化層1を複数同様にして形成する。
【0020】
続いて、この互いに平行状態に形成されている複数の面状の固化層1の夫々に対して交差状態で同様に固化材噴射工程を行い新たに複数の斜め方向に延設される面状の固化層1’を形成し、砂地盤4中に、固化層1・1’と直交する方向における垂直面で切ったと想定した際の切り面Yに該固化層1・1’が複数のX字状に現出する固化層1・1’を形成する。
【0021】
上記工程により形成された砂地盤4はX字状の固化層1・1’により砂粒子及び土中水の鉛直方向への移動が確実に阻止されるとともに、地震動の地表方向への伝播も確実に阻止され、よって、液状化が確実に防止される砂地盤4となる。
【0022】
また、本実施例に係る固化層1・1’は上記工程により形成される為、非常に簡易に該固化層1・1’を有する砂地盤4を得ることができることになる。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、上述のようにしたから、砂粒子及び土中水の鉛直方向への移動を阻止し得るとともに、地震動の地表方向への伝播も阻止でき、よって、液状化を確実に防止し得る地盤構造を簡易に形成し得ることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本実施例の斜視図である。
【図2】
本実施例の施工説明図である。
【符号の説明】
1 固化層
1’固化層
2 固化材噴射体
3 固化材充填体
4 砂地盤
 
訂正の要旨 本件訂正は、特許請求の範囲の減縮、及び明りょうでない記載の釈明を目的として、願書に添付された明細書の記載をI.及びII.のように訂正するものである。
I.特許請求の範囲の減縮を目的として、原特許請求の範囲の請求項1乃至5のうち、請求項1を、下記▲1▼のように訂正する。
▲1▼ 明細書中の特許請求の範囲の「請求項1」を特許請求の範囲の減縮を目的として削除する。
II.明りょうでない記載の釈明を目的として、下記▲2▼乃至▲14▼のように訂正する。
▲2▼ 明細書中の発明の名称「液状化防止地盤構造及び液状化防止地盤構造の形成方法」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「液状化防止地盤構造の形成方法」と訂正する。
▲3▼ 明細書中の特許請求の範囲の「請求項2」を特許請求の範囲の滅縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項1」と訂正する。
▲4▼ 明細書中の特許請求の範囲の「請求項3」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項2」と訂正する。
▲5▼ 明細書中の特許請求の範囲の「請求項3」の1行目「請求項2記載の・・・」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項1記載の・・・」と訂正する。
▲6▼ 明細書中の特許請求の範囲の「請求項4」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項3」と訂正する。
▲7▼ 明細書中の特許請求の範囲の「請求項4」の1行目「請求項2,3いずれか・・・」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項1,2いずれか・・・」と訂正する。
▲8▼ 明細書中の特許請求の範囲の「請求項5」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項4」と訂正する。
▲9▼ 明細書中の特許請求の範囲の「請求項5」の1行目「請求項2,3,4いずれか・・・」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項1〜3いずれか・・・」と訂正する。
▲10▼ 明細書中の段落番号【0001】の1行目〜2行目「・・・防止する液状化防止地盤構造及び液状化・・・」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「・・・防止する液状化・・・」と訂正する。
▲11▼ 明細書中の段落番号【0007】を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、削除する。
▲12▼ 明細書中の段落番号【0009】の1行目「請求項2記載の・・・」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項1記載の・・・」と訂正する。
▲13▼ 明細書中の段落番号【0010】の1行目「請求項2,3いずれか・・・」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項1,2いずれか・・・」と訂正する。
▲14▼ 明細書中の段落番号【0011】の1行目「請求項2,3,4いずれか・・・」を特許請求の範囲の減縮に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「請求項1〜3いずれか・・・」と訂正する。
異議決定日 1999-10-07 
出願番号 特願平7-141668
審決分類 P 1 652・ 113- XA (E02D)
最終処分 決定却下  
前審関与審査官 吉川 康史  
特許庁審判長 幸長 保次郎
特許庁審判官 藤枝 洋
斉藤 利久
登録日 1998-07-03 
登録番号 特許第2796702号(P2796702)
権利者 株式会社福田組
発明の名称 液状化防止地盤構造の形成方法  
代理人 吉井 雅栄  
代理人 吉井 剛  
代理人 熊田 武司  
代理人 吉井 雅栄  
代理人 吉井 剛  

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