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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E04B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  E04B
管理番号 1007273
異議申立番号 異議1999-71272  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-03-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-04-06 
確定日 1999-10-23 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2807957号「建具の防火構造」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2807957号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第2807957号に係る出願は、平成5年9月17日の出願であって、平成10年7月31日に特許の設定登録がなされ、その後、ワイケイケイアーキテクチュラルプロダクツと三協アルミニウム工業株式会社(外3名)から特許異議の申立がなされ、取消理由通知が通知され、その指定期間内である平成11年8月31日に訂正請求がなされたものである。
II.訂正の要旨
訂正事項a:特許請求の範囲の【請求項1】及び【請求項2】を、特許請求の範囲の減縮を目的として、次のように訂正する。
「【請求項1】室内外の金属製の形材を断熱性ブリッジ材により結合し、これらの内外の形材間にガラスパネルを装着し、前記室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されており、ガラスパネルを囲んだ4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具を取付けた建具の防火構造であって、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にあることを特徴とする建具の防火構造。
【請求項2】室外側の金属製形材と室内側の樹脂製または木材製形材とを組み合わせて両形材間にガラスパネルを装着し、前記室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されており、ガラスパネルを囲んだ4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の金属製形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具を取付けた建具の防火構造であって、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にあることを特徴とする建具の防火構造。」
訂正事項b:明細書の段落【0005】の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のように訂正する。
「本発明は、上記の問題点に鑑み、外見が良好で、部品点数や行程が減少でき、また、ブリッジ材により内外の形材を結合した建具に適用した場合には、断熱効果を損なうことのない構造の建具の防火構造を提供すると共に、建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されたガラスパネルを囲む少なくとも上下2辺の室外の金属製の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具を取付けると共に、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にすることによりガラスパネルの屋外又は屋内への落下を防止することを第1の目的とする。また、本発明は、金属製形材と樹脂製形材とを組み合わせたものでも採用可能な防火構造を提供することを第2の目的とする。」
訂正事項c:明細書の段落【0006】の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のように訂正する。
「【課題を解決するための手段】本発明は、上記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の通り、室内外の金属製の形材を断熱性ブリッジ材により結合し、これらの内外の形材間にガラスパネルを装着し、前記室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されており、ガラスパネルを囲んだ4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具を取付けた建具の防火構造であって、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にあることを特徴とする。」
訂正事項d:明細書の段落【0007】の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のように訂正する。
「また、本発明は、上記第2の目的を達成するため、請求項2に記載の通り、室外側の金属製形材と室内側の樹脂製または木材製形材とを組み合わせて両形材間にガラスパネルを装着し、前記室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されており、ガラスパネルを囲んだ4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の金属製形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具を取付けた建具の防火構造であって、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にあることを特徴とする。」
訂正事項e:明細書の段落【0008】の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のように訂正する。
「【作用】本発明は、上述のように、請求項1によれば、室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されると共に、ガラスパネルを囲む4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の形材に、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にある落下防止金具を取付けたので、室外の形材自体が落下しにくく、かつ、ブリッジ材により室内外の形材が結合された障子のブリッジ材が軟化あるいは焼失することによって室内の形材が離脱しても、ガラスパネルを囲む少なくとも上下2辺の室外側の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具のパネル係止片によって係止されるので、ガラスパネルの屋外側への落下が防止される。また、落下防止金具はボルトの場合と異なり、接着、嵌合、係止等によって室外側または室内側から見えない取付け構造が採用でき、外観を損なうことがない。また、ボルトによって室内外の形材をボルトによって結合する場合に比較して部品点数が減少する上、組立工程数が減少する。請求項2によれば、室外側の金属製形材に組合わされた室内側の樹脂製あるいは木製の形材が焼失しても、金属製形材に取付けられた落下防止金具のパネル係止片によりガラスパネルを囲む少なくとも上下2辺の室外側の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具のパネル係止片によって係止されるので、パネルの屋外側への落下が防止できる。」
訂正事項f:明細書の段落【0015】の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のように訂正する。
「このように、建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されたガラスパネル9を囲む4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の金属製形材7a、8aに、下辺の室外の形材8aに取付けた落下防止金具10のガラスパネル係止片10cの上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナ11の上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材7aに取付けた落下防止金具10の係止片10cの突出長Cは、ガラスパネル9の上端と落下防止金具10の水平部10aとの間隔Dと、ガラスライナ11の厚みEとが、C>D+Eの関係にある落下防止金具10を設けることにより、図3に屋外側障子3について代表させて示すように、前記ブリッジ材7c、8cが焼失して室内側形材7b、8bが脱離しても、上枠1,下枠2に支持された障子の室外側形材7a、8aに固定された落下防止金具10によってパネル9が落下することが防止される。従って、火炎の吹き込み、吹き出しによる延焼が防止される。落下防止金具10は前記室内側垂直部d、hの存在によって取付け部12,13から離脱することはない。また、落下防止金具10は室内側形材7b、8bに接触しないため、断熱効果を損なわない。」
訂正事項g:明細書の段落【0028】の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のように訂正する。
「【発明の効果】請求項1によれば、室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されると共に、ガラスパネルを囲む4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の形材に、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にある落下防止金具を取付けたので、室外の形材自体が落下しにくく、かつ、ブリッジ材により室内外の形材が結合された障子のブリッジ材が軟化あるいは焼失することによって室内の形材が離脱しても、ガラスパネルを囲む少なくとも上下2辺の室外側の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具のパネル係止片によって係止されるので、パネルの屋外側への落下が防止される。また、落下防止金具はボルトの場合と異なり、接着、嵌合、係止等によって室外側または室内側から見えない取付け構造が採用でき、外観を損なうことがない。また、ボルトによって室内外の形材をボルトによって結合する場合に比較して部品点数が減少する上、組立工程数が減少する。」
訂正事項h:明細書の段落【0029】の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のように訂正する。
「請求項2によれば、室外側の金属製形材に組合わされた室内側の樹脂製あるいは木製の形材が焼失しても、金属製形材に取付けられた落下防止金具のパネル係止片によりパネルを囲む少なくとも上下2辺の室外側の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具のパネル係止片によって係止されるので、パネルの屋外側への落下が防止できる。」
III.訂正の適否
1.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aに係る訂正は、特許請求の範囲の減縮に該当し、願書に添付した明細書の記載の範囲内のものであり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
また、訂正事項b〜hに係る訂正は、訂正事項aに関連してなされた明瞭でない記載の釈明に該当し、願書に添付した明細書の記載の範囲内のものであり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
2.独立特許要件の判断
訂正明細書の請求項1及び2に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものであり(以下、「訂正後発明1」及び「訂正後発明2」という。)、これに対して、当審が先に通知した取消理由で引用した、実公昭64-1426号公報(以下、「引用例」という。)には、実用新案登録請求の範囲、第1頁第2欄第10〜15行、同第2欄第25行から第2頁第3欄第2行、第2頁第3欄43行から同第4欄第7行及び第1〜3図の記載を参照すると、窓枠は建物の躯体に取付けられることは当然であるから、火災で断熱材が燃えて屋外側框と室内側框との連絡が断たれてもガラスが落下しないようにすべく、建物の躯体に取付けられた窓枠内に位置する屋外側框と室内側框とを断熱材で連結し、これらの間にガラスを装着し、屋外側框か室内側框かのいずれか一方のヒンジ支持側の框を窓枠に連結し、少なくともガラス上縁、下縁近傍に、ガラスを係合支持する係合部と框に取付けられる基板部からなる断面L字状の保持具を配置し且つヒンジ支持側の框に保持具を取付けると共に他方框側に係合部を位置させた断熱窓の構造及び、屋外側框と室内側框とをアルミ合金製形材とすることが記載されている。
本件訂正後発明1及び2と上記引用例に記載された発明とを比較すると、引用例に記載された発明の「窓枠」、「アルミ合金製形材の屋外側框」、「室内側框」、「断熱材」、「ガラス」、「基板部」、「係合部」、「保持具」及び「断熱窓の構造」は、それぞれの機能に照らし、各々、本件訂正後発明1及び2の「建具の枠」、「金属製の室外の形材」、「室内の形材」、「断熱性ブリッジ材」、「ガラスパネル」、「水平部」、「パネル係止片」、「落下防止金具」及び「建具の防火構造」に相当し、引用例に記載された発明において、ヒンジ支持側の框は屋外側框か室内側框かのいずれか一方としており、これを屋外側框とすることは当業者が適宜なしうることであり、また、ヒンジ支持側の框を屋外側框とすると、引用例に記載された発明においても、室外の形材に、室内側にパネル係止片を有する落下防止金具を取付けることとなり、さらに、室内側の形材を金属製や合成樹脂製または木材製とすることは、当該技術分野において周知技術(金属製の形材については引用例等、合成樹脂製の形材については、実公平4-47349号公報、実願昭55-60463号(実開昭56-161089号)のマイクロフィルム、実願昭55-172440号(実開昭57-93576号)のマイクロフィルム等、木材製の形材のついては、特開平5-195673号公報、特開平5-179864号公報等参照)にすぎないが、引用例には、本件訂正後発明1及び2を構成する事項である、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にあるという事項を備えておらず、又、示唆するところもなく、そして、本件訂正後発明1及び2は、当該事項によって明細書記載の作用効果を奏するものであり、本件訂正後発明1及び2が上記引用例に記載された発明と同一であるとも、あるいは当該発明と上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
また、他に本件訂正後発明1及び2が独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
したがって、本件訂正後発明1及び2は、特許出願の際、独立して特許を受けることができるものである。
3.訂正の適否のむすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項及び第3項でさらに準用する特許法第126条第2〜4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
IV.異議の申立てについての判断
1.申立ての理由の概要
申立人ワイ ケイ ケイ アーキテクチュラル プロダクツ株式会社は、証拠として甲第1乃至3号証を提出して、本件請求項1に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、また、本件請求項2に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明及び従来周知の事項(例えば、甲第2号証、甲第3号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件の特許を取り消すべきであると主張している。
また、申立人三協アルミニウム工業株式会社外3名は、証拠として甲第1乃至4号証を提出して、本件請求項1に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明であるかもしくは甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得た発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定もしくは特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、また、本件請求項2に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証乃至甲第4号証に記載の如き周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件の特許を取り消すべきであると主張している。
2.判断
上記申立人ワイ ケイ ケイ アーキテクチュラル プロダクツ株式会社及び申立人三協アルミニウム工業株式会社外3名の提出した甲第1号証刊行物は、取消理由に引用した引用例と同じであり、さらに、取消理由に引用した周知例は、申立人ワイ ケイ ケイ アーキテクチュラル プロダクツ株式会社の提出した甲第3号証刊行物及び申立人三協アルミニウム工業株式会社外3名の提出した甲第2乃至4号証及び参考資料1に該当するが、これらの刊行物及び申立人ワイ ケイ ケイ アーキテクチュラル プロダクツ株式会社が他に提出した甲第2号証、参考資料1乃至3刊行物さらに、申立人三協アルミニウム工業株式会社外3名が他に提出した参考資料2刊行物のいずれにも、本件訂正後発明1及び2を構成する事項である、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にあるという事項は記載されておらず、示唆する記載もないから、前記III.2.独立特許要件の判断で示したように、本件訂正後発明1及び2は、申立人ワイ ケイ ケイ アーキテクチュラル プロダクツ株式会社が提出した甲第1乃至3号証及び参考資料1乃至3刊行物に記載された発明さらには、申立人三協アルミニウム工業株式会社外3名が提出した甲第1乃至4号証及び参考資料1、2刊行物に記載された発明と同一であるとも、これらに記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
V.むすび
以上のとおりであるから、異議申立ての理由及び証拠によっては、本件の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
建具の防火構造
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内外の金属製の形材を断熱性ブリッジ材により結合し、これらの内外の形材間にガラスパネルを装着し、前記室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されており、ガラスパネルを囲んだ4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具を取付けた建具の防火構造であって、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にあることを特徴とする建具の防火構造。
【請求項2】
室外側の金属製形材と室内側の樹脂製または木材製形材とを組合わせて両形材間にガラスパネルを装着し、前記室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されており、ガラスパネルを囲んだ4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の金属製形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具を取付けた建具の防火構造であって、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にあることを特徴とする建具の防火構造。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、室内外2重の形材間を断熱性ブリッジ材により結合するか、あるいはは室内外2重の形材の一方を樹脂または木製材料で構成し、室内外形材間にガラスパネルを装着した建具において、火災によってパネルが落下することを防止して延焼を防止する構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
障子の室内外の形材をアルミニウム合金により作製し、これらの形材間をゴムあるいは樹脂性のブリッジ材により結合し、これら内外の形材間にパネルを組み込んでなる断熱構造の障子が知られている。このような断熱構造の障子を有する建具は、室内外の断熱以外に結露防止の面でも有効である。このような断熱構造の障子は、一方の形材を枠に戸車を介して移動自在に支持させる(引き違い戸の場合)か、あるいは回動支点を中心に回動自在に支持し(開き戸の場合)、他方の形材はブリッジ材を介して前記一方の形材に支持させるが、火災の際に障子に熱が加わると、前記ブリッジ材が軟化あるいは燃焼するため、枠に支持されていない側前記他方の形材が自重により落下し、これによりパネルも落下してしまい、外部の炎が室内に侵入して延焼するか、あるいは室内の炎が外部に出て外部の建物あるいは他室を延焼させることになる。
【0003】
このような延焼を防止するため、実公昭60-18536号公報においては、ブリッジ材で結合された室内外の形材を断熱材で被覆したボルトによって結合し、ブリッジ材が軟化あるいは燃焼しても室内外の形材どうしが分離しない構造にした例が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような公知の構造は、室内外の形材を結合するボルトの頭部が室外側または室内側から見えるため、外観が悪いという問題点がある。また、重量のあるパネルや形材をボルト結合によって支持するには、かなり多くの本数のボルトを用いなければならず、部品点数が多くなる上、組立工程数が多くなるという問題点がある。また、ボルトの先端のねじ部において一方の形材にボルトが金属接触により結合する上、頭部側は薄く被覆された断熱材を介して他方の形材の孔に接触しているので、断熱作用を劣化させるという問題点がある。また、このような公知の構造では、室内外の外観に違いを持たせたり、結露防止のために、金属製形材と樹脂製形材とを内外に組合わせた障子には採用できないという問題点がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、外観が良好で、部品点数や工程が減少でき、また、ブリッジ材により内外の形材を結合した建具に適用した場合には、断熱効果を損なうことのない構造の建具の防火構造を提供すると共に、建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されたガラスパネルを囲む少なくとも上下2辺の室外の金属製の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具を取付けると共に、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にすることによりガラスパネルの室外又は室内への落下を防止すること第1の目的とする。また、本発明は、金属製形材と樹脂製形材とを内外に組合わせたものでも採用可能な建具の防火構造を提供することを第2の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の通り、室内外の金属製の形材を断熱性ブリッジ材により結合し、これらの内外の形材間にガラスパネルを装着し、前記室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されており、ガラスパネルを囲んだ4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具を取付けた建具の防火構造であって、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にあることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記第2の目的を達成するため、請求項2に記載の通り、室外側の金属製形材と室内側の樹脂製または木材製形材とを組合わせて両形材間にガラスパネルを装着し、前記室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されており、ガラスパネルを囲んだ4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の金属製形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具を取付けた建具の防火構造であって、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にあることを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明は、上述のように、請求項1によれば、室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されると共に、ガラスパネルを囲む4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の金属製形材に、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にある落下防止金具を取付けたので、室外の形材自体が落下しにくく、かつ、ブリッジ材により室内外の形材が結合された障子のブリッジ材が軟化あるいは焼失することによって室内の形材が離脱しても、ガラスパネルを囲む少なくとも上下2辺の室外側の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具のパネル係止片によって係止されるので、ガラスパネルの屋外側への落下が防止される。また、落下防止金具はボルトの場合と異なり、接着、嵌合、係止等によって室外側または室内側から見えない取付け構造が採用でき、外観を損なうことがない。また、ボルトによって室内外の形材をボルトによって結合する場合に比較して部品点数が減少する上、組立工程数が減少する。請求項2によれば、室外側の金属製形材に組合わされた室内側の樹脂製あるいは木製の形材が焼失しても、金属製形材に取付けられた落下防止金具のパネル係止片によりガラスパネルを囲む少なくとも上下2辺の室外側の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具のパネル係止片によって係止されるので、パネルの屋外側への落下が防止できる。
【0009】
【実施例】
図1は本発明による建具の一実施例を示す縦断面図であり、本実施例は引き違い障子に本発明の構造を適用した例を示す。1、2はそれぞれ建物の躯体に釘やねじにより固定される上枠、下枠であり、これらはアルミニウム合金製押出形材からなる室外側形材1a、2aと、同じ材質でなる室内側形材1b、2bとを、断熱製のゴムまたは樹脂製のブリッジ材1c、2cによって結合した断熱構造を有するもので、これらは同様な断熱構造の縦枠(図示せず)に結合される。
【0010】
3、4はそれぞれ上枠1、下枠2に設けた上レール5a、5bと下レール6a、6bに沿って移動自在に装着(下レール6a、6bに対して図示しない戸車を介して載置される)された障子である。これらの障子3、4の上桟7、下桟8も、アルミニウム合金製室外側押出形材7a、8aと、同じ材質でなる室内側押出形材7b、8bとを、ゴムまたは樹脂製のブリッジ材7c、8cによって結合した断熱構造を有するもので、これらは同様の断熱構造の左右の縦桟(図示せず)に結合され、必要に応じてさらに任意本数の中縦桟またはおよび中横桟が結合される場合もある。
【0011】
9は内外2重構造により断熱性を高めたガラスパネルであり、該パネル9は前記室外側形材7a、8aと室内側形材7b、8bとの間にガスケット14、15を介して収容される。
【0012】
10は例えばアルミニウム合金や鉄等の金属でなる落下防止金具であり、該落下防止金具10は、図2(A)に示すように略コ字形をなす。本例においては、図2(B)に示すように、該落下防止金具10はパネル9の下辺に対面する部分に2箇所、上辺に対面する部分に2箇所設ける。そして、パネル9の下辺に対面する部分に設けるものについては、ゴムまたは樹脂製のガラスライナ11を一体成形あるいは接着により固定し、その上にパネル9を載置する。パネル9の上辺に対面する部分に設けるものにはかラスライナ11は設けない。
【0013】
これらの落下防止金具10のうち、上桟7に固定されるものは、室外側形材7aのパネル収容部すなわち、パネル9の上面が対面する水平部aと、室外側垂直部bと、下辺水平部cと、該下辺水平部cから垂直に立ち上がらせて形成した室内側垂直部dとにより形成した金具取付け部12に、落下防止金具10の水平部10aを上側水平部aに当て、基部10bを前記室外側垂直部bに当て、基部10bの先端を下辺水平部cに当接させて取付ける。また、落下防止金具10のうち、下桟8に固定されるものは、該落下防止金具10の向きが上下を反転させて、パネル9の下面が対面する水平部eと、室外側垂直部fと、上辺水平部gと、該上辺水平部gから垂直に垂下させて形成した室内側垂直部hとにより形成した金具取付け部13に、落下防止金具10の水平部10aを水平部eに当て、基部10bを前記室外側垂直部fに当て、基部10bの先端を上辺水平部gに当接させて取付ける。室内側垂直部d、hと水平部a、eとの間隔Aは、落下防止金具10の基部10bの高さBより小さくすることにより、落下防止金具10が火災により剥離しても、取付け部12、13より脱離しないようにする。また、落下防止金具10の室外側形材7a、8aへの取付けは、接着、ねじ止め、溶接またはかしめ等の方法によってもよい。また、これらの落下防止金具10は室内側形材7b、8bには接触しない構造で取付ける。
【0014】
パネル9は、落下防止金具10の先端の係止片10cと基部10bとの間にパネル9の上下端が囲まれるように装着される。また、図2(C)に示すように、火災によりガラスライナ11が焼失してパネル9が2点鎖線で示すように降下しても金具の係止片10cから脱離しないように、係止片10cの突出長C、パネル9の上端とパネル10の水平部10aとの間隔D、ガラスライナの厚みEとの寸法関係が、C>D+Eとなるように設定する。
【0015】
このように、建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されたガラスパネル9を囲む4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の金属製形材7a、8aに、下辺の室外の形材8aに取付けた落下防止金具10のガラスパネル係止片10cの上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナ11の上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材7aに取付けた落下防止金具10の係止片10cの突出長Cは、ガラスパネル9の上端と落下防止金具10の水平部10aとの間隔Dと、ガラスライナ11の厚みEとが、C>D+Eの関係にある落下防止金具10を設けることにより、図3に室外側障子3について代表させて示すように、前記ブリッジ材7c、8cが焼失して室内側形材7b、8bが脱離しても、上枠1、下枠2に支持された障子の室外側形材7a、8aに固定された落下防止金具10によってパネル9が落下することが防止される。従って、火炎の吹き込み、吹き出しによる延焼が防止される。落下防止金具10は前記室内側垂直部d、hの存在によって取付け部12、13から離脱することはない。また、落下防止金具10は室内側形材7b、8bに接触しないため、断熱効果を損なわない。
【0016】
図4は本発明を開き戸に適用した実施例を示す横断面図である。20、21は建物の躯体に固定される左右の縦枠であり、これらはアルミニウム合金製押出形材からなる室外側部材20a、21aと、同じ材質でなる室内側部材20b、21bとを、ゴムまたは樹脂製のブリッジ材20c、21cによって結合した断熱構造を有するもので、これらは同様な断熱構造の上下枠(図示せず)に結合される。
【0017】
22は開き戸の障子であり、該障子22は蝶番23により一方の縦桟24が縦枠20に回動自在に取付けられ、他方の縦桟25に取付た回動錠26の爪26aを縦枠21に取付けた錠の受け金具27に係止することにより施錠される構造を有する。障子22の左右の縦桟24、25も、アルミニウム合金製室外側押出形材24a、25aと、同じ材質でなる室内側押出形材24b、25bとを、ゴムまたは樹脂性のブリッジ材24c、25cによって結合した断熱構造を有するもので、これらは同様な断熱構造の上下桟(図示せず)に結合される。
【0018】
本例においては、図4(B)に示すように、パネル9の左右の側辺と下辺に対面する室外側形材24a、25a、すなわち蝶番23を介して枠に支持された形材24a、25aに設けた溝状取付け部28、29に前記落下防止金具10の基部10bを嵌合することにより取付け、パネル9の周囲の室内の面に落下防止金具10の係止片10cを係止させる。また、図4(C)に示すように、パネル9を左右の縦桟24、25の中央にセットした時のパネル端面と落下防止金具10との間隔をF、係止片10cの突出長をCとして、C<2Fとすることにより、左右けんどん落し込みによるパネル9の組み込みを可能とする。
【0019】
本実施例においても、縦桟の形材24a、25aに取付けた落下防止金具10がパネル9の室内側への倒れを防止すると共に、前記実施例と同様に構成される下桟部(図示せず)においても、図3で説明したものと同様の構成で落下防止金具10によりパネル9の降下を防止するため、パネル9の落下が防止される。
【0020】
図5は本発明を辷り出し窓に適用した実施例を示す横断面図であり、31、32は建物の躯体に釘やねじにより図1の実施例と同様に固定される上枠下枠であり、これらはアルミニウム合金製押出形材からなる室外側形材31a、32aと、同じ材質でなる室内側形材31b、32bとを、ゴムまたは樹脂製のブリッジ材31c、32cによって結合した断熱構造を有するもので、これらは同様な断熱構造の縦枠(図示せず)に結合される。
【0021】
33、34は上枠31、下枠32に取付けたステー等の支持部品、35、38はこれらの支持部品33、34に障子37を回動自在に結合した接続金具である。障子37の上桟40、下桟41も、アルミニウム合金製室外側押出形材40a、41aと、同じ材質でなる室内側押出形材40b、41bとを、ゴムまたは樹脂製のブリッジ材40c、41cによって結合した断熱構造を有する。室外側形材40a、41aは前記支持部品33、34を介して上枠31、下枠32に支持される。
【0022】
本実施例においては、上桟40、下桟41の室外側形材40a、41aの室外側垂直部b、fと室内側垂直部d、hとの間の溝状取付け部37、38に落下防止金具10の基部10bを嵌合することによって取付けた例を示す。本例によっても図1の場合と同様に、ブリッジ材40c、41cの軟化あるいは焼失によって室内側形材40b、41bが離脱しても、上枠31、下枠32に支持された室外側形材40a、41aに取付けられた落下防止金具10にパネル9が係止されその落下が防止される。
【0023】
図6は本発明を嵌め殺し窓に適用した実施例を示す横断面図である。45、46は左右の縦枠であり、これらの縦枠45、46は、躯体に固定される室外側形材45a、46aと、躯体に固定される室内側第1形材45b、46bと、該第1形材45b、46bに係合により組合わされる室内側第2形材45c、46cと、第1形材45b、46bと室外側形材45a、46aとの問を結合するブリッジ材45d、46dとからなる。
【0024】
本例においても、落下防止金具10の基部10bを図5と同様に溝状取付け部47、48に嵌合することによって取付けており、係止片10cをパネル9の室内側の縁に係止させることにより、室内側第2形材45c、46cがブリッジ材45d、46dと共に離脱してもパネル9の落下が防止される。
【0025】
図1の実施例においては、下枠に取付けるガラスライナ11を落下防止金具10と一体に設けたが、図7(A)に示すように、ガラスライナ11と落下防止金具10とを別体に設けてもよい。図中Hはパネル9と落下防止金具10との問のクリアランスである。また、ガラスライナ11は必ずしも落下防止金具10とパネル9との間に設ける必要はなく、図7(B)に示すように、ガラスライナ11が落下防止金具10を覆う構造でもよく、図7(C)に示すように、ガラスライナ11を落下防止金具10より桟の長手方向に広幅に形成してもよい。また、落下防止金具10の配置箇所としては、図7(D)に示すように、パネル9の両側辺の上下2箇所に対面する箇所としたり、図7(E)に示すように、パネル9の両側辺の下方の2箇所と上辺1箇所でそれぞれ対面するようにしてもよい。
【0026】
また、上記実施例においては、室内外の押出形材間をブリッジ材により結合したものについて説明したが、本発明は、枠に支持されたアルミニウム合金製室外側形材50に、図8(A)に示すように、樹脂製の室内側形材51を組合わせるか、あるいは図8(B)に示すように、木製の室内側形材52を組合わせることにより、桟を形成したものにも適用できる。すなわち、枠に支持されたアルミニウム合金製形材50に落下防止金具10を、その基部10bを取付け部53への嵌合、あるいは接着もしくは係止によって取付け、該落下防止金具10の係止片10cによりパネル9を係止することにより、樹脂製形材51や木製形材52が焼失してもパネル9が落下防止金具10によって係止され、前記実施例と同様の延焼防止効果を上げることができる。
【0027】
本発明は、上記した実施例に示した各種建具以外に、室内外の遮断を行うブリッジ材を用いた断熱構造の他の建具や、一方が金属形材、他方が樹脂あるいは木製形材でなる各種の建具に適用でき、また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、形材、パネル、落下防止金具の構造や組合せについて種々の変更、付加が可能である。
【0028】
【発明の効果】
請求項1によれば、室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されると共に、ガラスパネルを囲む少なくとも上下2辺の前記室外の金属製形材に、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の室内側に設けたガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の室内側に設けた係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にある落下防止金具を取付けたので、室外の形材自体が落下しにくく、かつ、ブリッジ材により室内外の形材が結合された障子において、ブリッジ材が軟化あるいは焼失することによって室内の形材が離脱しても、ガラスパネルを囲む少なくとも上下2辺の室外側の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具のパネル係止片によって係止されるので、パネルの屋外側への落下が防止される。また、落下防止金具はボルトの場合と異なり、接着、嵌合、係止等によって室外側または室内側から見えない取付け構造が採用でき、外観を損なうことがない。また、ボルトによって室内外の形材をボルトによって結合する場合に比較して部品点数が滅少する上、組立工程数が減少する。
【0029】
請求項2によれば、室外側の金属製形材に組合わされた室内側の樹脂製あるいは木製の形材が焼失しても、金属製形材に取付けられた落下防止金具のパネル係止片によりパネルを囲む少なくとも上下2辺の室外側の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具のパネル係止片によって係止されるので、パネルの屋外側への落下が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す引き違い戸の縦断面図である。
【図2】(A)は本施例の落下防止金具を示す斜視図、(B)は落下防止金具の配置図、(C)は本実施例における上下の落下防止金具とパネルとガラスライナとの上下寸法関係図である。
【図3】本実施例におけるブリッジ材焼失後の状態を示す引き違い戸の縦断面図である。
【図4】(A)は本発明を開き戸に適用した実施例を示す横断面図、(B)はその落下防止金具の配置図、(C)は本実施例における落下防止金具とパネルとの左右の方向の寸法関係図である。
【図5】本発明を辷り出し窓に適用した実施例を示す横断面図である。
【図6】本発明を嵌め殺し窓に適用した実施例を示す横断面図である。
【図7】(A)は本発明における落下防止金具とガラスライナとの分離配置を示す図、(B)、(C)はそれぞれ本発明による落下防止金具とガラスライナとの組合わせ構造の他の例を示す断面図および斜視図、(D)、(E)は本発明における落下防止金具の他の配置例を示す図である。
【図8】(A)、(B)はそれぞれ本発明の他の実施例を示す横断面図である。
【符号の説明】
1 上枠
2 下枠
3、4 障子
7 上桟
7a、8a 室外側形材
7b、8b 室内側形材
7c、8c ブリッジ材
8 下桟
9 パネル
10 落下防止金具
50 金属製形材
51 樹脂製形材
52 木製形材
 
訂正の要旨 訂正の要旨
訂正事項a:特許請求の範囲の【請求項1】及び【請求項2】を、特許請求の範囲の減縮を目的として、次のように訂正する。
「【請求項1】室内外の金属製の形材を断熱性ブリッジ材により結合し、これらの内外の形材間にガラスパネルを装着し、前記室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されており、ガラスパネルを囲んだ4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具を取付けた建具の防火構造であって、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にあることを特徴とする建具の防火構造。
【請求項2】室外側の金属製形材と室内側の樹脂製または木材製形材とを組み合わせて両形材間にガラスパネルを装着し、前記室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されており、ガラスパネルを囲んだ4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の金属製形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具を取付けた建具の防火構造であって、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にあることを特徴とする建具の防火構造。」
訂正事項b:明細書の段落【0005】の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のように訂正する。
「本発明は、上記の問題点に鑑み、外見が良好で、部品点数や行程が減少でき、また、ブリッジ材により内外の形材を結合した建具に適用した場合には、断熱効果を損なうことのない構造の建具の防火構造を提供すると共に、建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されたガラスパネルを囲む少なくとも上下2辺の室外の金属製の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具を取付けると共に、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にすることによりガラスパネルの屋外又は屋内への落下を防止することを第1の目的とする。また、本発明は、金属製形材と樹脂製形材とを組み合わせたものでも採用可能な防火構造を提供することを第2の目的とする。」
訂正事項c:明細書の段落【0006】の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のように訂正する。
「【課題を解決するための手段】本発明は、上記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の通り、室内外の金属製の形材を断熱性ブリッジ材により結合し、これらの内外の形材間にガラスパネルを装着し、前記室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されており、ガラスパネルを囲んだ4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具を取付けた建具の防火構造であって、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にあることを特徴とする。」
訂正事項d:明細書の段落【0007】の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のように訂正する。
「また、本発明は、上記第2の目的を達成するため、請求項2に記載の通り、室外側の金属製形材と室内側の樹脂製または木材製形材とを組み合わせて両形材間にガラスパネルを装着し、前記室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されており、ガラスパネルを囲んだ4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の金属製形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具を取付けた建具の防火構造であって、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にあることを特徴とする。」
訂正事項e:明細書の段落【0008】の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のように訂正する。
「【作用】本発明は、上述のように、請求項1によれば、室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されると共に、ガラスパネルを囲む4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の形材に、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にある落下防止金具を取付けたので、室外の形材自体が落下しにくく、かつ、ブリッジ材により室内外の形材が結合された障子のブリッジ材が軟化あるいは焼失することによって室内の形材が離脱しても、ガラスパネルを囲む少なくとも上下2辺の室外側の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具のパネル係止片によって係止されるので、ガラスパネルの屋外側への落下が防止される。また、落下防止金具はボルトの場合と異なり、接着、嵌合、係止等によって室外側または室内側から見えない取付け構造が採用でき、外観を損なうことがない。また、ボルトによって室内外の形材をボルトによって結合する場合に比較して部品点数が減少する上、組立工程数が減少する。請求項2によれば、室外側の金属製形材に組合わされた室内側の樹脂製あるいは木製の形材が焼失しても、金属製形材に取付けられた落下防止金具のパネル係止片によりガラスパネルを囲む少なくとも上下2辺の室外側の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具のパネル係止片によって係止されるので、パネルの屋外側への落下が防止できる。」
訂正事項f:明細書の段落【0015】の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のように訂正する。
「このように、建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されたガラスパネル9を囲む4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の金属製形材7a、8aに、下辺の室外の形材8aに取付けた落下防止金具10のガラスパネル係止片10cの上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナ11の上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材7aに取付けた落下防止金具10の係止片10cの突出長Cは、ガラスパネル9の上端と落下防止金具10の水平部10aとの間隔Dと、ガラスライナ11の厚みEとが、C>D+Eの関係にある落下防止金具10を設けることにより、図3に屋外側障子3について代表させて示すように、前記ブリッジ材7c、8cが焼失して室内側形材7b、8bが脱離しても、上枠1,下枠2に支持された障子の室外側形材7a、8aに固定された落下防止金具10によってパネル9が落下することが防止される。従って、火炎の吹き込み、吹き出しによる延焼が防止される。落下防止金具10は前記室内側垂直部d、hの存在によって取付け部12,13から離脱することはない。また、落下防止金具10は室内側形材7b、8bに接触しないため、断熱効果を損なわない。」
訂正事項g:明細書の段落【0028】の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のように訂正する。
「【発明の効果】請求項1によれば、室外の形材は建物の躯体に取付けられた建具の枠に支持されると共に、ガラスパネルを囲む4辺のうちの少なくとも上下2辺の前記室外の形材に、下辺の室外の形材に取付けた落下防止金具のガラスパネル係止片の上端は、ガラスパネルを囲む4辺のうちの下辺に設けた厚みEのガラスライナの上面よりも上位にあると共に、上辺の室外の形材に取付けた落下防止金具の係止片の突出長Cは、ガラスパネルの上端と落下防止金具の水平部との間隔Dと、ガラスライナの厚みEとが、C>D+Eの関係にある落下防止金具を取付けたので、室外の形材自体が落下しにくく、かつ、ブリッジ材により室内外の形材が結合された障子のブリッジ材が軟化あるいは焼失することによって室内の形材が離脱しても、ガラスパネルを囲む少なくとも上下2辺の室外側の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具のパネル係止片によって係止されるので、パネルの屋外側への落下が防止される。また、落下防止金具はボルトの場合と異なり、接着、嵌合、係止等によって室外側または室内側から見えない取付け構造が採用でき、外観を損なうことがない。また、ボルトによって室内外の形材をボルトによって結合する場合に比較して部品点数が減少する上、組立工程数が減少する。」
訂正事項h:明細書の段落【0029】の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のように訂正する。
「請求項2によれば、室外側の金属製形材に組合わされた室内側の樹脂製あるいは木製の形材が焼失しても、金属製形材に取付けられた落下防止金具のパネル係止片によりパネルを囲む少なくとも上下2辺の室外側の形材に、水平部と室内側にガラスパネルの落下を防止するガラスパネル係止片とを有する落下防止金具のパネル係止片によって係止されるので、パネルの屋外側への落下が防止できる。」
異議決定日 1999-10-08 
出願番号 特願平5-254961
審決分類 P 1 651・ 121- YA (E04B)
P 1 651・ 113- YA (E04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 西村 綾子住田 秀弘  
特許庁審判長 佐田 洋一郎
特許庁審判官 鈴木 憲子
富田 哲雄
登録日 1998-07-31 
登録番号 特許第2807957号(P2807957)
権利者 トステム株式会社
発明の名称 建具の防火構造  
代理人 秋吉 達夫  
代理人 秋吉 達夫  
代理人 土井 育郎  
代理人 根本 恵司  

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