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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F25D
管理番号 1007289
異議申立番号 異議1998-75887  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-12-17 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-12-04 
確定日 1999-10-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2760773号「冷却貯蔵庫」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2760773号の特許を維持する。 
理由 (1)手続の経緯
特許第2760773号の請求項1に係る発明は、平成4年7月20日に出願された特願平4-192337号の出願の一部を平成8年4月9日に新たに出願し、平成10年3月20日にその特許の設定登録がなされ、その後、ホシザキ電機株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年7月15日に訂正請求がなされたものである。
(2)訂正について
i.訂正の内容
上記訂正請求は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載を、
▲1▼「【請求項1】冷却貯蔵庫本体1上に設けられ、前面に吸込口15が形成された機械室16と、該機械室16内に設けられた圧縮機19と、凝縮器17と、該凝縮器17を冷却するための送風機18と、前記機械室16の前面にある前面グリル10の上端縁の後方へ前記本体1の上側板3と平行に延びて前記機械室16の天面をなす天板26と、前記天板26の凝縮器17より後部に形成された開口14と、前記機械室16を流れる空気を前記開口14を通過して前記前面グリル10上方から前方に排熱するため、前記天板26との間にダクト状の間隙62を形成するよう前記開口14と前記天板26の上方に亘って板23が設けられ、前記板23よりも前記前面グリル10が前方に張り出して位置してなることを特徴とする冷却貯蔵庫。」
と訂正するものであり、
また、それに、合わせて特許明細書の発明の詳細な説明の記載を、
▲2▼「【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段として、請求項1の発明では、冷却貯蔵庫本体1上に設けられ、前面に空気の吸込口15が形成された機械室16と、該機械室16内に設けられた圧縮機19と、凝縮器17と、該凝縮器17を冷却するための送風機18と、前記機械室16の前面にある前面グリル10の上端縁の後方へ前記本体1の上側板3と平行に延びて前記機械室16の天面をなす天板26と、前記天板の凝縮器より後部に形成された開口と、前記機械室を流れる空気を前記開口を通過して前記前面グリル上方から排熱するため、前記天板との間にダクト状の間隙を形成するよう前記開口と前記天板の上方に亘って板23が設けられ、前記板よりも前記前面グリルが前方に張り出して位置してなる冷却貯蔵庫を提供する。このため、冷却貯蔵庫の直上に天井が位置し、若しくは物品を載置したとしても、ダクト状の間隙から前方に排熱することができる。」と訂正し、また、特許明細書の【発明の実施の形態】の項の記載において、その一部を
▲3▼「即ち、請求項1の発明によると、冷却貯蔵庫本体1上に設けられ、前面に空気の吸込口15が形成された機械室16と、該機械室16内に設けられた圧縮機19と、凝縮器17と、該凝縮器17を冷却するための送風機18と、前記機械室16の前面にある前面グリル10の上端縁の後方へ前記本体1の上側板3と平行に延びて前記機械室16の天面をなす天板26と、前記天板26の凝縮器17より後部に形成された開口14と、前記機械室16を流れる空気を前記開口14を通過して前記前面グリル10上方から前方に排熱するため、前記天板26との間にダクト状の間隙62が形成するよう前記開口14と前記天板26の上方に亘って板23が設けられ、前記板23よりも前記前面10が前方に張り出して位置してなる冷却貯蔵庫を提供する。このため、冷却貯蔵庫の天井部において、庫内側にエバポレータとその送風機を、庫外側に前記圧縮機、凝縮器、及びこの凝縮器を冷却するための送風機を配置する冷却貯蔵庫にあっては、冷却貯蔵庫の周囲を壁にて塞がれても、前方に排熱することができ、冷却貯蔵庫の冷却効率を良好に保つことができる。」と訂正し、また、特許明細書の【発明の効果】の項を、
▲4▼「【発明の効果】
請求項1の発明によると、冷却貯蔵庫本体1上に設けられ、前面に空気の吸込口15が形成された機械室16と、該機械室16内に設けられた圧縮機19と、凝縮器17と、該凝縮器17を冷却するための送風機18と、前記機械室16の前面にある前面グリル10の上端縁の後方へ前記本体1の上側板3と平行に延びて前記機械室16の天面をなす天板26と、前記天板の凝縮器より後部に形成された開口と、前記機械室を流れる空気を前記開口を通過して前記前面グリル上方から前方に排熱するため、前記天板との間にダクト状の間隙を形成するよう前記開口と前記天板の上方に亘って板23が設けられ、前記板23よりも前記前面グリル10が前方に張り出して位置してなる冷却貯蔵庫を提供する。このため、冷却貯蔵庫の天井部において、庫内側にエバポレータとその送風機を、庫外側に前記圧縮機、凝縮器、及びこの凝縮器を冷却するための送風機を配置する冷却貯蔵庫にあっては、冷却貯蔵庫の周囲を壁にて塞がれても、前方に排熱することができ、冷却貯蔵庫の冷却効率を良好に保つことができる。更に、冷却貯蔵庫の直上に天井が位置し、若しくは物品を載置したとしても、ダクト状の間隙から前方に排熱することができる。従って、冷却貯蔵庫の天面及び周囲が塞がれても、前方に排熱することにより冷却効率を良好に保つことができる。」と訂正するものであり、
さらに、特許明細書の【発明の実施の形態】の項の一部を、
▲5▼「次いで、本発明による冷却貯蔵庫の他の実施の形態を図5に基づき説明する。図5の機械室16を取り囲む前面グリル10、左右側板4、4の延長部12、12、後側板5の延長部13、天板26の内面に吸音材74を貼着すると共に、板23の内面にも吸音材74を貼着している。その他の構成については、図2の実施の形態と同様であるので説明は省略する。板23は上述したような構成であるため、機械室16内の凝縮器空冷用送風機18及び電動圧縮機19から発生する音がダクト状の間隙62を通過して前面に達する際、前記吸音材74に吸収されてノイズレベルが小さくなる。その他の冷却空気の経路等については、図2の実施の形態と同様であるので説明は省略する。」
と訂正するものである。
ii.訂正の適否の判断
a.訂正の目的、新規事項の有無及び拡張・変更の適否
(上記▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼について)
特許明細書の【発明の実施の形態】の項には、「天板26は前面グリル10の上端縁と接合すると共に、前記上側板3と平行に左右側板4、4及び後側板5と接合され、」と記載されていること、また、同じく、「外気F1は前面グリル10の吸込口15から機械室16に導入され、凝縮器17を通過して冷却し、更に凝縮器空冷用送風機18で付勢されて電動圧縮機19を冷却した空気F3は、上方の開口14を通過して、天板26と板23とのダクト状の間隙62を前方へ通過してF4として外へ排出される。」と記載されていること、更に、特許明細書の図面において、図2乃至図5から、機械室16の前面にある前面グリル10の前面グリル10の上端縁の後方へ前記本体1の上側板3と平行に延びて前記機械室16の天面をなす天板26が示され、また、前面グリル10が板23の端よりも前方に張り出して位置していることが記載されている。
してみると、上記▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼の訂正は、特許明細書の天板26と板23の構成を限定するものということができるので、特許明細書の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項を追加するものでもなく、しかも、上記訂正は、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
(上記▲5▼について)
この訂正事項は、発明の実施の形態を図面をもって説明するに際して、図番と実施例の対応関係の誤記を正したものであり、特許明細書の誤記の訂正と認められる。
b.独立特許要件の判断について
(訂正明細書の請求項1に係る発明)
平成11年7月15日付けで提出された訂正明細書の請求項1に係る発明は、その請求項1に記載された次のとおりのものである。
「冷却貯蔵庫本体1上に設けられ、前面に空気の吸込口15が形成された機械室16と、該機械室16内に設けられた圧縮機19と、凝縮器17と、該凝縮器17を冷却するための送風機18と、前記機械室16の前面にある前面グリル10の上端縁の後方へ前記本体1の上側板3と平行に延びて前記機械室16の天面をなす天板26と、前記天板26の凝縮器17より後部に形成された開口14と、前記機械室16を流れる空気を前記開口14を通過して前記前面グリル10上方から前方に排熱するため、前記天板との間にダクト状の間隙62を形成するよう前記開口14と前記天板26の上方に亘って板23が設けられ、前記板23よりも前記前面グリル10が前方に張り出して位置してなることを特徴とする冷却貯蔵庫。」(以下、「本件発明」という。)
(引用刊行物)
当審が通知した取消理由で引用した刊行物1(実願昭58-108914号(実開昭60-18479号)のマイクロフイルム。)には、「凝縮器及び圧縮機等を冷蔵庫箱体の上部に配設し、覆いをつけたものにおいて、覆い上面の中央部に通気口を設けたことを特徴とする冷蔵庫。」(実用新案登録請求の範囲の記載事項)に関して、「覆い4の中央部はよどみ点となり覆い4の中央部の空気温度が最も高くなつてしまうという欠点がある。」(第2頁第5行〜同第7行)こと、「本考案の目的は、冷蔵庫箱体1の上部2に凝縮器及び圧縮機等の冷凍サイクル機器を配設した場合に、そのまわりの通風状態を改善して放熱の良い冷蔵庫を提供することにある。」(第2頁第9行〜同第12行)こと、「第2図は、覆い4の上面板4cの中央部に水平形通気口10を設け、さらに、4cの上部に覆い板11を設けて、上面板4cと覆い板11との間に空間12を構成して覆い4の中から出てきた空気を大気中へ放出できるようにしたものである。この場合の凝縮器3のまわりの空気の流れは図の中に矢印で示したようになる。即ち、覆い4の中にある凝縮器3は、どの部分においてもほぼ均一な流れが得られると共に覆い4外からの空気の供給が得られる。良好な冷却効果が得られる。なお、この構造によれば、冷蔵庫の上に物を置いても冷却効果を阻害されることがない。」(第3頁第4行〜同第15行)こと、「第7図は、冷蔵庫箱体1の上面2上に圧縮機14と凝縮器3を設置した場合の他の実施例を示したものである。」(第4頁第19行〜第5頁第1行)こと、が記載されている。そして、図面の第2図には、冷蔵庫箱体1の上面2と覆い4の上面板4cとの間に凝縮器3を配設し、この上面板4cの上部に覆い板11を設けたものが、また、第7図には、冷蔵庫箱体1の上面2上に凝縮器3と圧縮機14とを配設したものが、示されてている。そして、通気口が、覆い4の上面板4cの端縁位置とほぼ等しいところで開口し、覆い板11の端縁が覆い4の上面板4cの端縁とを揃えて配置してあることも窺える。
同じく、刊行物2(特開平2-118387号公報)には、図面の第1図と共に、冷蔵庫本体1上に、上面を開口すると共に、両側壁及び前面に吸込口5を有する前面グリル6にて区画された機械室8を形成し、この機械室8に、冷凍系の電動圧縮機9、凝縮器10、凝縮器空冷用送風機11とを設置して成る冷却貯蔵庫が記載されている。
同じく、刊行物3(実願昭60-155294号(実開昭62-63686号)のマイクロフィルム)には、冷蔵庫に関して、「冷蔵庫の本体20は、前面に大きな扉21を有している。扉21は、本体20の庫内を開閉可能にして取り付けられている。本体20の側面近傍には、機械室23が設けられている。機械室23は、その前面に吸入口25と吹出口27とを有している。機械室23の内部には、吸入口25と吹出口27とを仕切るように、水平方向にのびた仕切板28が設けられている。仕切板28は機械室23を上部室29と下部室30とに分け、かつこれらの上部室29と下部室30とを互いに連通させる通風口31を残すように機械室23の背面の近傍にまでのびている。」(第4頁第8行〜同第19行)こと、「今、送風機35が運転された際には、外部から吸入口25を通して機械室23の下部室30の内部に冷却空気が取り入れられる。さらに冷却空気は仕切板28の後方の通風口31を通して上部室29へ入る。そして上部室29で凝縮器33及び圧縮機32を冷却した後、吹出口27から外部へ冷却後の空気が吐出される。」(第5頁第6行〜同第12行)こと、「なお、第4図に示すように、下部室30に圧縮機32、凝縮器33、及び送風機35を配してもよい。」(第6頁第14行〜同第16行)こと、が記載されている。そして、図面の第4図には、下部室30に圧縮機32,凝縮器33、送風機35を設け、下部室30のルーバ40から空気を取入れ、仕切板28の後部の通風口31、上部室29を通して冷却使用後の空気を吐出するものが示されている。
同じく、刊行物4(実願昭57-46536号(実開昭58-148592号)のマイクロフィルム)には、図面の第2図と共に、冷蔵庫に関して、「機械室(2)底部には冷凍サイクルに含まれる圧縮機(9)及び凝縮器(10)が収納設置せられ又、機械室(2)上部には図示しない冷却器を収納する冷却器室(11)が形成される。圧縮機(9)は機械室(2)内奥部に、凝縮器(10)はそれより吸込口(7)側に設置され凝縮器(10)の後方には機械室送風機(12)が設けられ又、凝縮器(10)の吸込口(7)側の一面には網目構造の塵挨除去用のフィルタ(13)が設けられる。(14)は凝縮器(10)上方において機械室(2)内を区画し吸込口(7)と吐出口(8)のショートサーキットを防止する風向板で送風機(12)によって吸込口(7)から外気を吸込んで凝縮器(10)で熱交換するとともに圧縮機(9)を冷却して機械室背壁(2a)に沿って上方に昇り、風向板(14)に沿って前方にUターンして吐出口(8)に向う案内板(15)と風向板(14)によって導かれ吐出口(8)より排気される。(16)は凝縮器(10)と機械室両側壁(2b)、(2b)との間隙を塞ぐ閉塞板でこれによって吸込口(7)から吸込まれた空気は総て凝縮器(10)内を通過する事になる。而して例えば機械室(2)の背壁(2a)及び両側壁(2b)、(2b)の内面にはグラスウール或いは軟質ポリウレタン等の材料からなる吸音材(17)が貼り巡らされている。ここで機械室(2)内では圧縮機(9)の回転音、振動音、又は冷媒の循環音、或いは送風機(12)の回転音、風切り音等が発生している。これらの騒音は機械室(2)内の循環空気に乗って機械室(2)外へ伝わろうするが本案では循環空気は前面より吸込んで機械室(2)内でUターンし再び前面吐出口(8)より吹き出される為空気の速度は落るそれと共に騒音も減衰する。更に機械室(2)の内壁の吸音材(11)によって吸収され壁面との反射或いはそこから直接外部へ伝わる騒音は非常に小さくなる。」(第2頁第7行〜第3頁第19行)こと、が記載されている。
そして、図面の第2図には、冷蔵庫本体1の下部に機械室(2)を配置し、この機械室(2)に凝縮器(10)、送風機(12)、圧縮機(9)を配設し、さらに、空気通路を形成したものが示されている。
(本件発明と上記刊行物記載の発明との対比・判断)
そこで、本件発明と上記刊行物1に記載されたものとを対比し、検討する。
上記刊行物1に記載された「冷蔵庫」は、「冷却貯蔵庫」ともいえるので、両者は、冷却貯蔵庫本体自体に冷却用の空気の排熱通路を形成し、冷却貯蔵庫の上に物を載置しても冷却効率が落ちないようにした冷却貯蔵庫であることで共通するものである。
そして、上記刊行物1に記載された第2図の構成は、冷蔵庫箱体1の上部に凝縮器3のみが設けられているが、第7図の構成では、圧縮機14も設置した場合も示されているので、上記した刊行物1の記載事項から、上記刊行物1には、「冷蔵庫箱体1の上部2に、凝縮器3及び圧縮機14等の冷凍サイクル機器を配設したスペースを有し、このスペースを形成する冷蔵庫箱体1の上部2と覆い4の上面板4cとの間の前面及び壁8側の背面の開口から空気の流れが生し、スペース内に入った空気は凝縮器4を冷却した後、覆い4の上面板4cの中央部の通気口10から該上面板4cと覆い板11との間の空間12を通って、冷蔵庫箱体1の前面及び壁8側の背面から大気中に放出するようにした冷蔵庫。」が記載されている。
そして、前記「空間12」は、凝縮器を冷却した後の空気を放出するのであるから排熱のための「ダクト状の間隙」ということできるし、前記「スペース」は、冷凍サイクル機器を設置しているから「機械室」といえるので、上記刊行物1に記載された「冷蔵庫箱体1」、「凝縮器3及び圧縮機14等の冷凍サイクル機器を配設したスペース」、「圧縮機14」、「凝縮器3」、「上面板4c」、「空間12」、「覆い板11」は、それぞれ本件発明の「冷却貯蔵庫本体」、「機械室」、「圧縮機」、「凝縮器」、「天板」、「ダクト状の間隙」、「板」に相当し、両者は、
「冷却貯蔵庫本体上に設けられ、前面に空気吸入口が形成された機械室と、該機械室内に設けられた圧縮機と、凝縮器と、前記機械室の天面をなす天板と、排熱するため、前記機械室の上部にダクト状の間隙を形成する板とよりなることを特徴とする冷却貯蔵庫。」であることでは一致している。
しかし、上記刊行物1には、「覆い4の中央部はよどみ点となり覆い4の中央部9の空気温度が最も高くなってしまう」との記載があること、凝縮器、圧縮機が配置された機械室に相当するところには送風機が設置されていないことから、この冷却貯蔵庫の排熱方式は、本件発明のように送風機を用いた強制排熱方式というよりは、自然排熱方式であると推考されるが、冷却貯蔵庫本体の上部に送風機を設け、それによって排熱するようにすることは、上記刊行物2に記載されているように公知の構成であるし、冷却貯蔵庫本体の前面に冷却空気が流れる排熱通路の吸込口と排気口とを設けることも上記刊行物3、4により周知の技術ということができるので、冷却貯蔵庫本体の上部に送風機を設けて冷却空気を吸排気して、強制的に排熱するように構成することは、当業者が容易になし得るものであるとしても、本件発明の構成要件は、冷却貯蔵庫本体の上部に、送風機、圧縮機、凝縮器を備えた機械室を設けて、その排熱をするためのダクト状の間隙を形成したものにおいて、さらに、「前記板23よりも前記前面グリル10が前方に張り出して位置してなること」の構成を備えたものであり、このような構成が、上記刊行物1乃至4に記載されているということはできない。
そして、本件発明は、特許明細書の【発明の効果】の項に記載されたように「冷却貯蔵庫の天面及び周囲が塞がれても、前方に排熱することにより冷却効率を良好に保つことができる。」という作用効果を奏するものである。
したがって、本件発明は、上記刊行物1乃至4に記載されたものから容易に発明をすることができたものとすることはできず、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
c.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2乃至4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
(3)特許異議の申立てについての判断
i.特許異議申立ての理由の概要
特許異議申立人 ホシザキ電機株式会社は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開平2-118387号公報)、甲第2号証(実願昭60-155294号(実開昭62-63686号)のマイクロフィルム)、甲第3号証(実願昭57-46536号(実開昭58-148592号)のマイクロフィルム)及び甲第4号証(実願昭58-108914号(実開昭60-18479号)のマイクロフィルム)をもとに容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、特許を取り消すべきと主張している。
ii.判断
本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、訂正請求により上記したように訂正された。
そして、特許異議申立人の提出した、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証は、それぞれ当審が取消理由通知で引用した、刊行物2、刊行物3、刊行物4、刊行物1に対応するものであり、これらの甲各号証には、上記(2)bの項で指摘した事項が記載されている。
しかし、上記(2)bで検討したように、これらの甲各号証には、本件発明の構成要件である、冷却貯蔵庫本体の上部に、送風機、圧縮機、凝縮器を備えた機械室を設置して、その排熱するためのダクト状の間隙を形成したものにおいて、さらに、「前記板23よりも前記前面グリル10が前方に張り出して位置してなること」の構成が記載も示唆もされていない。
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
冷却貯蔵庫
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】冷却貯蔵庫本体1上に設けられ、前面に空気の吸込口15が形成された機械室16と、該機械室16内に設けられた圧縮機19と、凝縮器17と、該凝縮器17を冷却するための送風機18と、前記機械室16の前面にある前面グリル10の上端縁の後方へ前記本体1の上側板3と平行に延びて前記機械室16の天面をなす天板26と、前記天板26の凝縮器17より後部に形成された開口14と、前記機械室16を流れる空気を前記開口14を通過して前記前面グリル10上方から前方に排熱するため、前記天板26との間にダクト状の間隙62を形成するよう前記開口14と前記天板26の上方に亘って板23が設けられ、前記板23よりも前記前面グリル10が前方に張り出して位置してなることを特徴とする冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍系のコンデンシングユニットを冷却貯蔵庫本体上に画成された機械室に設置してなる冷却貯蔵庫の構造に関するものである。
【従来の技術】
図7は従来の冷却貯蔵庫aの要部の断面図を示すものである。図7において、冷却貯蔵庫aの本体bの上側板b1と、前面に吸込口c1を有する前面グリルcの上端縁に連設された後端縁d1が形成された物品載置板dと、該物品載置板dの左右端縁に、本体bの左右側板b2、b2が上方に延長されて接合されて機械室eが区画されている。前記本体bの上側板b1の一部は段違いに若干持ち上げられて台部b1’が形成されると共に、該台部b1’上に凝縮器m1、凝縮器用送風機m2、圧縮機m3が配設されている。尚、符号fは前面のドアを示し、hは物品載置板d上に載置された物品を示し、iは天井を示している。
【発明が解決しようとする課題】
従来の冷却貯蔵庫aは上記のように構成されているので、図示の如く、物品hを天井i近くまで置かれると、前面グリルcの吸込口c1から取り入れられ、凝縮器m1及び圧縮機3mを冷却した冷却空気jの出口が閉塞されて、冷却貯蔵庫aの冷却効率が落ちる欠点があった。本発明はこの様な問題点に鑑みてなされたもので、冷却貯蔵庫の天面が塞がれても、前方に排熱することにより冷却効率を良好に保つことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段として、請求項1の発明では、冷却貯蔵庫本体1上に設けられ、前面に空気の吸込口15が形成された機械室16と、該機械室16内に設けられた圧縮機19と、凝縮器17と、該凝縮器17を冷却するための送風機18と、前記機械室16の前面にある前面グリル10の上端縁の後方へ前記本体1の上側板3と平行に延びて前記機械室16の天面をなす天板26と、前記天板の凝縮器より後部に形成された開口と、前記機械室を流れる空気を前記開口を通過して前記前面グリル上方から前方に排熱するため、前記天板との間にダクト状の間隙を形成するよう前記開口と前記天板の上方に亘って板23が設けられ、前記板23よりも前記前面グリル10が前方に張り出して位置してなる冷却貯蔵庫を提供する。このため、冷却貯蔵庫の直上に天井が位置し、若しくは物品を載置したとしても、ダクト状の間隙から前方に排熱することができる。
【発明の実施の形態】
本発明による冷却貯蔵庫を図1及び図2に基づいて説明すると、前面開口にドア2が装着された冷却貯蔵庫本体1は、左右側板4、4、後側板5、上側板3及び下面の四隅に脚9が立設された底板8からなる箱体で構成され、前面開口には十字状の仕切体50が設けられ、この仕切体50の端部は夫々上側板3及び底板8に、又左右側板4、4に連設されている。天板26は前面グリル10の上端縁と接合すると共に、前記上側板3と平行に左右側板4、4及び後側板5と接合され、この天板26の後部には一部に開口14が形成され、上方に解放されている。前記天板26と上側板3とにより区画されて機械室16が設けられ、この機械室16の底板たる上側板3の後部には、一部段違いに持ち上げられて台部11が設けられ、この台部11の前面に立設された隔壁20には凝縮器17が設けられ、この凝縮器17の後部には凝縮器空冷用送風機18及び電動圧縮機19が夫々配設されている。台部11の下部には、エバポレータ21及びエバポレータ用送風機22が配設されている。前面開口にドア2、左右側板4、4、後側板5、上側板3及び底板8から区画された収容室Aには棚57を支持する支持柱59が設けられ、棚57の後端は後側板5の内面に支え金58で支持されると共に、この収容室Aの外周のドア2、左右側板4、4、後側板5、上側板3及び底板8は断熱材Dで積層されている。上側板3の前縁には前記ドア2と同一垂直面の前面に吸込口15を有する前面グリル10が立設されると共に、左右側板4、4及び後側板5は前記天板26より突出するよう形成し、その上端部に天板26と平行に、且つ天板26とは所定広さの間隙62を形成するように板23が設けられている。次に、図3を参照して空気の流れを説明する。図3は本発明による冷却貯蔵庫の冷却貯蔵庫本体1を壁54の凹部55に埋設して設置した要部の縦断面図である。外気F1は前面グリル10の吸込口15から機械室16に導入され、凝縮器17を通過して冷却し、更に凝縮器空冷用送風機18で付勢されて電動圧縮機19を冷却した空気F3は、上方の開口14を通過して、天板26と板23とのダクト状の間隙62を前方へ通過してF4として外へ排出される。即ち、冷却貯蔵庫本体1自体冷却した空気の排出経路を保持しているので、壁54の凹部55に埋設されても冷却効率が落ちることは無い。図4は本発明による冷却貯蔵庫本体1の後面を壁54に沿わせて設置すると共に、板23に物60を天井56まで載置した状態の冷却貯蔵庫要部の縦断面図である。板23に物を天井56まで載置した以外の冷却空気の流れ等については、図3と同様であるので説明は省略する。即ち、冷却貯蔵庫本体1自体冷却した空気の排出経路を保持しているので、板23の全面に物60を天井56まで載置しても冷却効率が落ちることは無い。次いで、本発明による冷却貯蔵庫の他の実施の形態を図5に基づき説明する。図5の機械室16を取り囲む前面グリル10、左右側板4、4の延長部12、12、後側板5の延長部13、天板26の内面に吸音材74を貼着すると共に、板23の内面にも吸音材74を貼着している。その他の構成については、図2の実施の形態と同様であるので説明は省略する。板23は上述したような構成であるため、機械室16内の凝縮器空冷用送風機18及び電動圧縮機19から発生する音がダクト状の間隙62を通過して前面に達する際、前記吸音材74に吸収されてノイズレベルが小さくなる。その他の冷却空気の経路等については、図2の実施の形態と同様であるので説明は省略する。即ち、請求項1の発明によると、冷却貯蔵庫本体1上に設けられ、前面に空気の吸込口15が形成された機械室16と、該機械室16内に設けられた圧縮機19と、凝縮器17と、該凝縮器17を冷却するための送風機18と、前記機械室16の前面にある前面グリル10の上端縁の後方へ前記本体1の上側板3と平行に延びて前記機械室16の天面をなす天板26と、前記天板26の凝縮器17より後部に形成された開口14と、前記機械室16を流れる空気を前記開口14を通過して前記前面グリル10上方から前方に排熱するため、前記天板26との間にダクト状の間隙62を形成するよう前記開口14と前記天板26の上方に亘って板23が設けられ、前記板23よりも前記前面グリル10が前方に張り出して位置してなる冷却貯蔵庫を提供する。このため、冷却貯蔵庫の天井部において、庫内側にエバポレータとその送風機を、庫外側に前記圧縮機、凝縮器、及びこの凝縮器を冷却するための送風機を配置する冷却貯蔵庫にあっては、冷却貯蔵庫の周囲を壁にて塞がれても、前方に排熱することができ、冷却貯蔵庫の冷却効率を良好に保つことができる。更に、冷却貯蔵庫1の直上に天井が位置し、若しくは物品を載置したとしても、ダクト状の間隙62から前方に排熱することができる。従って、冷却貯蔵庫1の天面及び周囲が塞がれても、前方に排熱することにより冷却効率を良好に保つことができる。
【発明の効果】
請求項1の発明によると、冷却貯蔵庫本体1上に設けられ、前面に空気の吸込口15が形成された機械室16と、該機械室16内に設けられた圧縮機19と、凝縮器17と、該凝縮器17を冷却するための送風機18と、前記機械室16の前面にある前面グリル10の上端縁の後方へ前記本体1の上側板3と平行に延びて前記機械室16の天面をなす天板26と、前記天板の凝縮器より後部に形成された開口と、前記機械室を流れる空気を前記開口を通過して前記前面グリル上方から前方に排熱するため、前記天板との間にダクト状の間隙を形成するよう前記開口と前記天板の上方に亘って板23が設けられ、前記板23よりも前記前面グリル10が前方に張り出して位置してなる冷却貯蔵庫を提供する。このため、冷却貯蔵庫の天井部において、庫内側にエバポレータとその送風機を、庫外側に前記圧縮機、凝縮器、及びこの凝縮器を冷却するための送風機を配置する冷却貯蔵庫にあっては、冷却貯蔵庫の周囲を壁にて塞がれても、前方に排熱することができ、冷却貯蔵庫の冷却効率を良好に保つことができる。更に、冷却貯蔵庫の直上に天井が位置し、若しくは物品を載置したとしても、ダクト状の間隙から前方に排熱することができる。従って、冷却貯蔵庫の天面及び周囲が塞がれても、前方に排熱することにより冷却効率を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具備する冷却貯蔵庫の正面図である。
【図2】図1の縦側断面図である。
【図3】嵌め込み状態で冷却貯蔵庫を設置した状態図である。
【図4】板上に物品を載置した状態図である。
【図5】第2発明の要部拡大図である。
【図6】第1発明を示す冷却貯蔵庫の断面図である。
【図7】従来技術の冷却貯蔵庫を示す断面図である。
【符号の説明】
1 冷却貯蔵庫
14 開口
15 吸込口
16 機械室
17 凝縮器
18 送風機
19 圧縮機
26 天板
54 壁
62 間隙
 
訂正の要旨 平成10年6月4日発行の特許公報に掲載された明細書(以下、「特許明細書」という)の特許請求の範囲に係る記載、即ち、
「【請求項1】冷却貯蔵庫本体1上に設けられ、前面に空気の吸込口15が形成された機械室16と、該機械室16内に設けられた圧縮機19と、凝縮器17と、該凝縮器17を冷却するための送風機18と、前記機械室16の天面をなす天板26と、該天板26の凝縮器17より後部に形成された開口14と、該開口14から前方に排熱するため、前記機械室16の上部にダクト状の間隙62を形成する板23とよりなることを特徴とする冷却貯蔵庫。」

「【請求項1】冷却貯蔵庫本体1上に設けられ、前面に空気の吸込口15が形成された機械室16と、該機械室16内に設けられた圧縮機19と、凝縮器17と、該凝縮器17を冷却するための送風機18と、前記機械室16の前面にある前面グリル10の上端縁の後方へ前記本体1の上側板3と平行に延びて前記機械室16の天面をなす天板26と、前記天板26の凝縮器17より後部に形成された開口14と、前記機械室16を流れる空気を前記開口14を通過して前記前面グリル10上方から前方に排熱するため、前記天板26との間にダクト状の間隙62を形成するよう前記開口14と前記天板26の上方に亘って板23が設けられ、前記板23よりも前記前面グリル10が前方に張り出して位置してなることを特徴とする冷却貯蔵庫。」
と訂正します。なお、訂正部分には下線を付しました。
▲2▼ 訂正事項b
特許明細書の
「【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段として、請求項1の発明では、冷却貯蔵庫本体上部に設けられ、前面に空気の吸込口が形成された機械室と、この機械室内に設けられた圧縮機と、凝縮器と、この凝縮器を冷却するための送風機と、前記機械室の天面をなす天板と、この天板の凝縮器より後部に形成された開口と、この開口から前方に排熱するため、前記機械室の上部にダクト状の間隙を形成する板とよりなる冷却貯蔵庫を提供する。このため、冷却貯蔵庫の直上に天井が位置し、若しくは物品を載置したとしても、ダクト状の間隙から前方に排熱することができる。」

「【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段として、請求項1の発明では、冷却貯蔵庫本体1上に設けられ、前面に空気の吸込口15が形成された機械室16と、該機械室16内に設けられた圧縮機19と、凝縮器17と、該凝縮器17を冷却するための送風機18と、前記機械室16の前面にある前面グリル10の上端縁の後方へ前記本体1の上側板3と平行に延びて前記機械室16の天面をなす天板26と、前記天板の凝縮器より後部に形成された開口と、前記機械室を流れる空気を前記開口を通過して前記前面グリル上方から前方に排熱するため、前記天板との間にダクト状の間隙を形成するよう前記開口と前記天板の上方に亘って板23が設けられ、前記板よりも前記前面グリルが前方に張り出して位置してなる冷却貯蔵庫を提供する。このため、冷却貯蔵庫の直上に天井が位置し、若しくは物品を載置したとしても、ダクト状の間隙から前方に排熱することができる。」と訂正します。なお、訂正部分には下線を付しました。
▲3▼ 訂正事項c
特許明細書の【発明の実施の形態】の項(特許公報の第2頁の第4欄第27行乃至同欄第38行)の
「即ち、請求項1の発明によると、冷却貯蔵庫本体1上部に設けられ、前面に空気の吸込口15が形成された機械室16と、該機械室16内に設けられた圧縮機19と、凝縮器17と、該凝縮器17を冷却するための送風機18と、前記機械室16の天面をなす天板26と、該天板26の凝縮器17より後部に形成された開口14と、該開口14から前方に排熱するため、前記機械室16の上部にダクト状の間隙62を形成する板23とよりなる冷却貯蔵庫1を提供する。このため、冷却貯蔵庫1の周囲を壁54にて塞がれても、前方に排熱することができ、冷却貯蔵庫1の冷却効率を良好に保つことができる。」

「即ち、請求項1の発明によると、冷却貯蔵庫本体1上に設けられ、前面に空気の吸込口15が形成された機械室16と、該機械室16内に設けられた圧縮機19と、凝縮器17と、該凝縮器17を冷却するための送風機18と、前記機械室16の前面にある前面グリル10の上端縁の後方へ前記本体1の上側板3と平行に延びて前記機械室16の天面をなす天板26と、前記天板26の凝縮器17より後部に形成された開口14と、前記機械室16を流れる空気を前記開口14を通過して前記前面グリル10上方から前方に排熱するため、前記天板26との間にダクト状の間隙62を形成するよう前記開口14と前記天板26の上方に亘って板23が設けられ、前記板23よりも前記前面グリル10が前方に張り出して位置してなる冷却貯蔵庫を提供する。このため、冷却貯蔵庫の天井部において、庫内側にエバポレータとその送風機を、庫外側に前記圧縮機、凝縮器、及びこの凝縮器を冷却するための送風機を配置する冷却貯蔵庫にあっては、冷却貯蔵庫の周囲を壁にて塞がれても、前方に排熱することができ、冷却貯蔵庫の冷却効率を良好に保つことができる。」
と訂正します。なお、訂正部分には下線を付しました。
▲4▼ 訂正事項d
特許明細書の
「【発明の効果】
請求項1の発明によると、冷却貯蔵庫本体上部に設けられ、前面に空気の吸込口が形成された機械室と、この機械室内に設けられた圧縮機と、凝縮器と、この凝縮器を冷却するための送風機と、前記機械室の天面をなす天板と、この天板の凝縮器より後部に形成された開口と、この開口から前方に排熱するため、前記機械室の上部にダクト状の間隙を形成した冷却貯蔵庫を提供する。このため、冷却貯蔵庫の周囲を壁にて塞がれても、前方に排熱することができ、冷却貯蔵庫の冷却効率を良好に保つことができる。更に、冷却貯蔵庫の直上に天井が位置し、若しくは物品を載置したとしても、ダクト状の間隙から前方に排熱することができる。従って、冷却貯蔵庫の天面及び周囲が塞がれても、前方に排熱することにより冷却効率を良好に保つことができる。

「【発明の効果】
請求項1の発明によると、冷却貯蔵庫本体1上に設けられ、前面に空気の吸込口15が形成された機械室16と、該機械室16内に設けられた圧縮機19と、凝縮器17と、該凝縮器17を冷却するための送風機18と、前記機械室16の前面にある前面グリル10の上端縁の後方へ前記本体1の上側板3と平行に延びて前記機械室16の天面をなす天板26と、前記天板の凝縮器より後部に形成された開口と、前記機械室を流れる空気を前記開口を通過して前記前面グリル上方から前方に排熱するため、前記天板との間にダクト状の間隙を形成するよう前記開口と前記天板の上方に亘って板23が設けられ、前記板23よりも前記前面グリル10が前方に張り出して位置してなる冷却貯蔵庫を提供する。このため、冷却貯蔵庫の天井部において、庫内側にエバポレータとその送風機を、庫外側に前記圧縮機、凝縮器、及びこの凝縮器を冷却するための送風機を配置する冷却貯蔵庫にあっては、冷却貯蔵庫の周囲を壁にて塞がれても、前方に排熱することができ、冷却貯蔵庫の冷却効率を良好に保つことができる。更に、冷却貯蔵庫の直上に天井が位置し、若しくは物品をて載置したとしても、ダクト状の間隙から前方に排熱することができる。従って、冷却貯蔵庫の天面及び周囲が塞がれても、前方に排熱することにより冷却効率を良好に保つことができる。」と訂正します。なお、訂正部分には下線を付けました。
▲5▼ 訂正事項e
特許明細書の【発明の実施の形態】の項(特許公報の第2頁の第4欄第14行乃至同欄第27行)の
「次いで、本発明による冷却貯蔵庫の他の実施の形態を図9に基づき説明する。図5の機械室16を取り囲む前面グリル10、左右側板4、4の延長部12、12、後側板5の延長部13、天板6の内面に吸音材74を貼着すると共に、板23の内面にも吸音材74を貼着している。その他の構成については、図2の実施の形態と同様であるので説明は省略する。板23は上述したような構成であるため、機械室16内の凝縮器空冷用送風機18及び電動圧縮機19から発生する音がダクト状の間隙62を通過して前面に達する際、前記吸音材74に吸収されてノイズレベルが小さくなる。その他の冷却空気の経路等については、図2の他の実施の形態と同様であるので説明は省略す。」

「次いで、本発明による冷却貯蔵庫の他の実施の形態を図5に基づき説明する。図5の機械室16を取り囲む前面グリル10、左右側板4、4の延長部12、12、後側板5の延長部13、天板26の内面に吸音材74を貼着すると共に、板23の内面にも吸音材74を貼着している。その他の構成については、図2の実施の形態と同様であるので説明は省略する。板23は上述したような構成であるため、機械室16内の凝縮器空冷用送風機18及び電動圧縮機19から発生する音がダクト状の間隙62を通過して前面に達する際・前記吸音材74に吸収されてノイズレベルが小さくなる。その他の冷却空気の経路等については、図2の実施の形態と同様であるので説明は省略する。」
と訂正します。なお、訂正部分には下線を付しました。
異議決定日 1999-09-28 
出願番号 特願平8-86548
審決分類 P 1 651・ 121- YA (F25D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小関 峰夫  
特許庁審判長 滝本 静雄
特許庁審判官 櫻井 康平
岡田 弘規
登録日 1998-03-20 
登録番号 特許第2760773号(P2760773)
権利者 三洋電機株式会社
発明の名称 冷却貯蔵庫  
代理人 芝野 正雅  
代理人 山本 喜幾  
代理人 稲村 悦男  
代理人 芝野 正雅  
代理人 稲村 悦男  

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