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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B65G |
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管理番号 | 1007348 |
異議申立番号 | 異議1998-75442 |
総通号数 | 7 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1993-08-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-11-09 |
確定日 | 1999-09-06 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2751708号「棚設備」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2751708号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
【1】手続きの経緯 本件特許第2751708号発明は、平成4年2月3日に特許出願され、平成10年2月27日にその特許の設定登録がなされ、その後、金剛株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年7月21日に訂正請求がなされたものである。 【2】訂正の適否についての判断 ア.訂正の内容 a.特許請求の範囲に関する訂正 明細書の特許請求の範囲の請求項1を、 「【請求項1】 固定棚と、この固定棚に接近離間する前後方向で往復移動自在な移動棚とを設け、各棚は上下方向ならびに左右方向に複数の区画収納空間を有し、各棚の前面前方に作業スペースを形成可能にするとともに、棚群の左右方向の外方に荷捌き場を形成した棚設備において、前記作業スペース内で左右方向にかつ前記荷捌き場内で前後方向に移動自在な出し入れ装置を設け、少なくとも一方の固定棚は、作業スペース形成面側とは反対側の面から荷を入出庫自在として、出庫用荷群のストレージ棚に使用自在に構成し、少なくとも一方の固定棚に対する出し入れ装置による出庫用荷の移し替えは、各棚と荷捌き場の荷受台との間で荷の受け渡しを行っていないときに行うように構成したことを特徴とする棚設備。」 と訂正するものである。 b.発明の詳細な説明に関する訂正 b1.発明の詳細な説明に関する訂正は、平成10年2月27日発行特許第2751708号公報に記載の特許明細書(以下、「特許明細書」という)第2頁第4欄第9行及び同欄第10行の「入出庫自在に構成している」を、 「入出庫自在として、出庫用荷群のストレージ棚に使用自在に構成し、少なくとも一方の固定棚に対する出し入れ装置による出庫用荷の移し替えは、各棚と荷捌き場の荷受台との間で荷の受け渡しを行っていないときに行うように構成している」と訂正するものである。 b2.特許明細書第5頁第10欄第2行の「料方向」を、「両方向」と訂正する。 イ.訂正の目的の適否及び拡張・変更の存否 a.について、 訂正事項aについては、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された「少なくとも一方の固定柵は、作業スペース形成面側とは反対側の面から荷を入出庫自在に構成し、」を、より下位概念の具体構成である「少なくとも一方の固定棚は、作業スペース形成面側とは反対側の面から荷を入出庫自在として、出庫用荷群のストレージ柵に使用自在に構成し、」に減縮しようするものである。当該「出庫用荷群のストレージ棚に使用自在に構成し、」は、特許明細書第2頁第4欄〜第3頁第5欄の段落番号【0012】や、第4頁第8欄の段落番号【0029】、【0031】に記載されていたものである。 また、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に、新たに「少なくとも一方の固定棚に対する出し入れ装置による出庫用荷の移し替えは、各棚と作業スペースの荷受台との間で荷の受け渡しを行っていないときに行うように構成した」を加えて減縮しようとするものである。当該「少なくとも一方の固定棚に対する出し入れ装置による出庫用荷の移し替えは、各棚と荷捌き場の荷受台との間で荷の受け渡しを行っていないときに行うようにした構成した」は、特許明細書第4頁第8欄の段落番号【0030】に記載されていたものである。 したがって、前記訂正事項aは、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、前記訂正事項aは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲の請求項1を拡張し又は変更するものでもない。 b.について、 前記訂正事項b1.は、前記特許請求の範囲の訂正に合わせて発明の詳細な説明の対応箇所を訂正するものであるから、特許法第120条の4第2項但し書き第3号に規定する不明瞭な記載の釈明に相当するものである。 前記訂正事項b2.は誤記を訂正するものであり特許法第120条の4第2項但し書き第2号に規定する誤記の訂正に相当するものである。 ウ.独立特許要件の判断 (引用刊行物) 特許明細書の請求項1〜2に係る発明に対して、当審が通知した取消理由で引用した刊行物(特開平2-144309号公報、以下、「刊行物1」という。)には、 「固定棚(移動棚30。最も端部にある移動棚は固定棚としてもよい旨の記載があるので、端部にある移動棚30は固定棚と解する。)と、この固定棚に接近離間する前後方向(各棚間に形成される間口面に直交する方向)で往復移動自在な移動棚(移動棚31)とを設け、各棚は上下方向ならびに左右方向(各棚間に形成される間口面に平行な方向)に複数の区画収納空間を有し、各棚の相対向面間に作業スペース(作業通路)を形成可能とするとともに、棚群の左右方向の外方に荷捌き場(トラバーサ44を走行させるガイドレール43が設けられた場)を形成した棚設備(自動移動棚装置)において、前記荷捌き場内で左右方向に移動自在な出し入れ装置(走行基台41)を設けた棚設備。」(図面第8、9図参照)、及び 「棚群(移動棚50,51)の端部外方に一対のレール(ガイドレール57、57)を配設し、これらレールに支持させて走行自在なガーダー(ガーダー52)を設け、出し入れ装置(走行台54)は、前記ガーダーに支持案内されて前記棚群の側方で前後方向(各移動棚の走行方向)に移動自在でありかつガーダーの走行により前記作業スペース内(作業通路位置)で左右方向(各移動棚50,51の真口面に平行な方向)に移動自在である棚設備。」(図面第12図参照)が記載されている。 同じく当審が通知した取消理由で引用した刊行物(実願昭55-83289号(実開昭57-7341号)のマイクロフィルム、以下、「刊行物2」という。)には、 「固定棚(固定棚1)と、この固定棚に接近離間する前後方向(左右方向)で往復移動自在な移動棚(移動棚2)とを設け、各棚は上下方向ならびに左右方向に複数の区画収納空間を有し、隣接する各棚の相対向面に作業スペースを形成可能にするとともに、棚群の左右方向の外方に荷捌き場(横移動台車用レール7、7が設けられた場)を形成した棚設備において、前記作業スペース内で左右方向にかつ前記荷捌き場内で(横移動台車8により)前後方向に移動自在な出し入れ装置(スタッカークレーン13)設けた棚設備。」 が記載されている。 (対比・判断) ・請求項1に係る発明について、 そこで、本件請求項1に係る発明と前記刊行物1記載の発明、及び前記刊行物2に記載の発明とを比較すると、前記刊行物1、2におけるいずれの棚設備においても、本件請求項1に係る発明の構成要件である、「少なくとも一方の固定棚は、作業スペース形成面側とは反対側の面から荷を入出庫自在として、出庫用荷群のストレージ棚に使用自在に構成し」、かつ、「固定棚に対する出し入れ装置による出庫用荷の移し替えは、各棚と荷捌き場の荷受台との間で荷の受け渡しを行っていないときに行うように構成した」点について、記載されていない。 確かに、棚の両面から荷の出し入れを行い得る構造を備えた固定棚は周知である(例えば、「JIS Z 0620-1989 パレットトラック」平成元年9月30日発行参照)が、そのことから直ちに、固定棚を「作業スペース形成面側とは反対側の面から荷を入出庫自在として、出庫用荷群のストレージ棚に使用自在に構成」することを想到し得るものではない。 そして、前記構成によって、本件請求項1に係る発明は、「柵群外での荷捌きは、1台の出し入れ装置を使用した簡単な構造ならびに制御により迅速に正確に行うことができ、しかも常に円滑に、かつ安全に入出庫できるとともに、別な柵を設置することなく大量の荷のストレージと、このストレージした荷群の迅速な出庫を行うことができる。」という、明細書に記載の効果を奏するものと認められる。 したがって、本件請求項1に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とすることはできない。 ・請求項2に係る発明について、 本件請求項2に係る発明についての判断も請求項1に係る発明に対する判断と同様である。 エ.むすび 以上のとおりであるから、前記訂正請求は、特許法第120条の4第2項、及び同条第3項で準用する同法第126条第2項から第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 【3】特許異議の申立てについての判断 ア.申立ての理由の概要 申立人 金剛株式会社は、請求項1〜2に係る発明は、甲第1号証(実願昭55-83289号(実開昭57-7341号)のマイクロフィルム)、甲第2号証(特開平2-144309号公報)、甲第3号証(「JIS Z 0620-1989 パレットトラック」平成元年9月30日発行)、甲第4号証(「JIS S 1039-1989 鋼製書架」 平成元年9月30日発行)に記載された発明をもとに容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、特許を取り消すべきであると主張している。 イ.判断 本件請求項1〜2に係る発明と甲第1号証〜甲第3号証との比較、判断については、前記【2】ウ.で示したとおりである。 また、甲第4号証は甲第3号証と同様の趣旨で提出されたものであり、その内容を見ても、本件請求項1に係る発明の構成要件である、「少なくとも一方の固定棚は、作業スペース形成面側とは反対側の面から荷を入出庫自在として、出庫用荷群のストレージ棚に使用自在に構成し」、かつ、「固定棚に対する出し入れ装置による出庫用荷の移し替えは、各棚と荷捌き場の荷受台との間で荷の受け渡しを行っていないときに行うように構成した」点について、記載されていない。 したがって、本件請求項1〜2に係る発明が甲第1号証〜第4号証のものから容易に発明をすることができたものとすることができない。 ウ.むすび 以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件請求項1〜2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1〜2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 棚設備 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 固定棚と、この固定棚に接近離間する前後方向で往復移動自在な移動棚とを設け、各棚は上下方向ならびに左右方向に複数の区画収納空間を有し、各棚の前面前方に作業スペースを形成可能にするとともに、棚群の左右方向の外方に荷捌き場を形成した棚設備において、前記作業スペース内で左右方向にかつ前記荷捌き場内で前後方向に移動自在な出し入れ装置を設け、少なくとも一方の固定棚は、作業スペース形成面側とは反対側の面から荷を入出庫自在として、出庫用荷群のストレージ棚に使用自在に構成し、少なくとも一方の固定棚に対する出し入れ装置による出庫用荷の移し替えは、各棚と荷捌き場の荷受台との間で荷の受け渡しを行っていないときに行うように構成したことを特徴とする棚設備。 【請求項2】 棚群の端部外方に一対のレールを配設し、これらレールに支持されて走行自在なガーダーを設け、出し入れ装置は、前記ガーダーに支持案内されて前記荷捌き場内で前後方向に移動自在でありかつガーダーの走行により前記作業スペース内で左右方向に移動自在であることを特徴とする請求項1記載の棚設備。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、上下方向ならびに左右方向に複数の区画収納空間を有する棚間に作業スペースを形成可能とした棚設備に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来、この種の棚設備としては、たとえば実公昭54-40621号公報に見られる自動倉庫設備が提供されている。この従来構成は、一対の固定ラックと、これら固定ラック間において床上に敷設されたレール上に移動可能に設置した複数の移動ラックと、床上に敷設されたレール上に移動可能に設置されラック群を跨ぐ門型クレーンとを有する。前記門型クレーンは、移動ラックの移動方向に沿って移動自在な横行台車を有し、この横行台車の下面の回転盤から垂下したマストには、このマストに沿って昇降する昇降台が装備され、この昇降台に左右突出可能なフォーク機構が設置される。そしてラック群の端部外方にマストなどの横行や回転を許す作業空間が形成され、この作業空間を中にして前記ラック群とは反対側にローラコンベアからなるローデイングステーションを配置している。 【0003】 この従来構成によると、移動ラック群の移動により目的とするラックの前面前方にクレーン通路を形成し得、そして門型クレーンの移動によりマストなどをクレーン通路内で移動させたのちフォーク機構を作用させることで、目的とするラックとの間で荷物の搬入出を行える。また作業空間において、回転盤を介してマストなどを回転させたのちフォーク機構を作用させることで、ローデイングステーションとの間で荷物の受け渡しを行える。 【0004】 このような棚設備において、棚群から大量の荷物を出庫したのちトラック輸送する場合、棚群からローデイングステーションに荷物を取り出したのち、このローデイングステーション上の荷物をフォークリフトなどによりトラックに積み込むか、あるいはローデイングステーション上に取り出された荷物をフォークリフトなどにより別の棚装置に順次ストレージしておき、そして別の棚装置の荷物をフォークリフトなどによりトラックに積み込むことで行っていた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 上記した従来の構成によると、ローデイングステーションとの間で荷物の受け渡しを行うに、マストなどの回転動とフォーク動とを行うことから、その受け渡し作業は迅速に行えない。さらに吊下げ状のマストなどを回転させることから、特にフォーク機構が荷物を支持していたときには、回転時の遠心力により荷物がずれたり落下することになる。 【0006】 そしてトラック輸送する場合で、棚群からローデイングステーションに取り出した荷物をフォークリフトなどによりトラックに積み込む形式では、ローデイングステーション上でのストレージ量が少ないことから、順次門型クレーンにより荷物を出庫しなければならず、その際に複雑かつ緩慢な動作を行う門型クレーンの出庫時間がトラックへの積み込み時間になることから、全体として非常に時間がかかることになる。また別の棚装置にストレージしておく形式では、この別の棚装置と、その専用スペースが必要になる。 【0007】 本発明の目的とするところは、棚群外での荷捌きを迅速に正確に行え、しかも常に円滑に、かつ安全に入出庫し得るとともに、構造ならびに制御を簡単にして大量の出庫に迅速に対処し得る棚設備を提供する点にある。 【0008】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために本第1発明の棚設備は、固定棚と、この固定棚に接近離間する前後方向で往復移動自在な移動棚とを設け、各棚は上下方向ならびに左右方向に複数の区画収納空間を有し、各棚の前面前方に作業スペースを形成可能にするとともに、棚群の左右方向の外方に荷捌き場を形成した棚設備において、前記荷捌き場内で前後方向に移動自在な出し入れ装置を設け、少なくとも一方の固定棚は、作業スペース形成面側とは反対側の面から荷を入出庫自在として、出庫用荷群のストレージ棚に使用自在に構成し、少なくとも一方の固定棚に対する出し入れ装置による出庫用荷の移し替えは、各棚と荷捌き場の荷受台との間で荷の受け渡しを行っていないときに行うように構成している。 そして本第2発明の棚設備は、第1発明の構成において、棚群の端部外方に一対のレールを配設し、これらレールに支持されて走行自在なガーダーを設け、出し入れ装置は、前記ガーダーに支持案内されて前記荷捌き場内で前後方向に移動自在でありかつガーダーの走行により前記作業スペース内で左右方向に移動自在としている。 【0009】 【作用】 かかる本第1発明の構成において、荷を入庫するに、まず荷受台などを介して荷捌き場内の出し入れ装置に荷を渡す。この作業の前後において、目的とする区画収納空間の前方に作業スペースが生じるように移動棚を移動させる。次いで荷を支持している出し入れ装置を荷捌き場内で移動させ、作業スペースの端部外方に位置させる。そして出し入れ装置を作業スペース内で移動させ、目的とする区画収納空間の前方に対向させ停止させたのち、出し入れ装置を動作させることにより、目的とする区画収納空間に対して荷の入庫を行える。 【0010】 また荷の出庫は、前述と同様にして作業スペースの端部外方に位置させた空の出し入れ装置を、この作業スペース内で移動させて目的とする区画収納空間の前方に対向させ停止させたのち、出し入れ装置を動作させることにより、目的とする区画収納空間から荷を取り出し得る。次いで荷を支持した出し入れ装置を、作業スペース内で移動させて荷捌き場内に位置させることで行える。 【0011】 そして大量の荷を出庫させてトラック輸送を行う場合は、出庫しようとする荷群を一方の固定棚に集める。すなわち、この固定棚の前面側に作業スペースを形成したときには、対向している移動棚から取り出した荷を一方の固定棚の目的とする区画収納空間に渡せばよく、また、上述以外の作業スペースを利用して固定棚または移動棚から荷を取り出した出し入れ装置は、一旦荷捌き場に出され、一方の固定棚の前面側に形成した作業スペース内に入ったのち、固定棚の目的とする区画収納空間に渡される。 【0012】 このようにして、出庫しようとする荷群を一方の固定棚に集めてストレージし得るのであるが、このストレージ作業は、たとえば翌日出庫のリストを集中制御装置にセットしておくことで、夜間において無人化により能率よく行える。また到着したトラックへの荷の積み込みは、この固定棚の作業スペース形成面とは反対側の面からフォークリフトを作用させ、目的とする区画収納空間の荷を取り出してトラックへ積み込むことで、出し入れ装置により所期の入出庫作業に影響されることなく迅速に行える。 そして本第2発明の構成によると、出し入れ装置を、レールの支持によりガーダーを走行させることで作業スペース内で移動させ得、さらにガーダーの支持案内により荷捌き場内で移動させ得る。 【0013】 【実施例】 以下に本発明における棚設備の第一の実施例を、図1〜図4に基づいて説明する。 【0014】 1A,1Bは前後一対の固定棚で、これら固定棚1A,1B間に、固定棚間方向である前後方向で往復移動自在な複数の移動棚2を配設している。各棚1A,1B,2は、上下方向ならびに左右方向に複数の区画収納空間3を有する。そして各移動棚2は、左右両端の側下部フレーム4にそれぞれ前後方向で二個のつば付き車輪5を有し、また内側に位置する左右一対の中間下部フレーム6は前後方向で二分割され、各分割フレームにそれぞれ前後一対のつぼ無し車輪7を有する。前記移動棚2は、床側に敷設したレール8,9上に車輪5,7を介して載置するとともに、それぞれ搭載したモータ(走行駆動装置)10をつば無し車輪7に連動連結することで、前後方向である一定経路11上において各別に往復移動自在となる。 【0015】 ここで固定棚1A,1Bの設置間隔は、前記区画収納空間3の奥行寸法(前後寸法)よりも少し長い寸法の作業スペースSを形成すべく設定してある。前記中間下部フレーム6は門型レール状であって、その前後端部には、移動制御信号を伝達するための送受信器の一例である光電スイッチ12や、この光電スイッチ12の投受光のための反射板13が取り付けられる。なお固定棚1の対応位置にも、光電スイッチ12または反射板13が取り付けられている。 【0016】 前記固定棚1A,1Bのうち、一方の固定棚1Aは、作業スペース形成面とは反対側の面1aから荷21を入出庫し得るように構成してある。すなわち面1a側は、作業スペース形成面側と同様にブレースなど用いることなく解放されており、したがって面1aの外方から目的とする区画収納空間3に対して、フォークリフト15により荷21を入出庫し得る。 【0017】 前記棚1A,1B,2群の左右方向の一方の外方には荷捌き場20が形成される。そして前記固定棚1A,1Bの一端部外方でかつ荷捌き場20に対向する位置に、出し入れ装置(後述する。)との間で荷21を受け渡し自在な荷受台22が、床上に固定することで配設されている。 【0018】 両固定棚1A,1Bの上部には、それぞれ左右方向のクレーンレール30が固定部材31を介して配設され、これらクレーンレール30の長さ方向における一端側は前記荷捌き場20の上方へ延び、また他端側は前記固定棚1A,1Bの他端面より設定距離Lだけ外方へ延びている。両クレーンレール30に輪体32を介して支持案内されるガーダー33は、搭載した走行駆動装置34の正逆駆動により、棚1A,1B,2群と荷捌き場20との上方間に亘って左右方向に走行自在となる。 【0019】 前記ガーダー33のガイド部33aに吊下げ状に支持案内されて前後方向に移動自在な出し入れ装置35が設けられる。この出し入れ装置35の本体は、ガイド部33aに輪体36を介して支持案内される上部フレーム37と、この上部フレーム37の左右両端部からそれぞれ垂設したポスト38と、これらポスト38の下部間を連結する下部フレーム39とにより、前後面が開放の枠組み状に形成されている。そして前後方向での長さは前記作業スペースSの長さよりも少し短く設定してあり、以て出し入れ装置35は作業スペースS内で左右方向に移動自在となる。 【0020】 前記出し入れ装置35の上部フレーム37には、前記輪体32に連動する横行動装置40が搭載されている。両ポスト38間には、前記上部フレーム37に配置された昇降動装置41の作動により昇降自在なキャリッジ42が設けられ、そしてキャリッジ42には、出退動装置143の作動により前後方向(横方向)に出退自在な出し入れ具44が設けられる。 【0021】 前記クレーンレール30に支持案内されるガーダー33が一端側へ走行することにより、出し入れ装置35の全部を荷捌き場20に位置させて荷受台22との間で荷21の受け渡しを可能とし、またガーダー33が他端側へ走行することにより、上部フレーム37の一部や他方のポスト38などを設置空間45に突入させ、以て左右方向においてガーダー33よりも短尺の出し入れ具44を、棚1A,1B,2の他端に位置する区画収納空間3に対向し得る。 【0022】 前記クレーンレール30の長さ方向における他端側が設定距離Lだけ外方へ延びることにより前記棚1A,1B,2の他端面の外方にデッドスペースが形成され、このデッドスペースを設置空間45として床面側に、各移動棚2の制御装置46がそれぞれ配設してある。ここで制御装置46は、対応する移動棚2に分岐ケーブル47を介して接続しており、その際に制御装置46ならびに分岐ケーブル47は、移動棚2がどちらの位置に移動したときも移動範囲内に納まるように配置かつ形成してある。さらに隣接した制御装置46間は床側に配設した副ケーブル48により相互に接続されている。そして設置空間45内には、一方の固定棚1Aに対向して集中制御装置49が配設され、この集中制御装置49は隣接した制御装置46に主ケーブル50を介して接続されている。なお各ケーブル47,48,50は、信号の授受や給電などを行うものである。 【0023】 前記ガーダー33の走行と出し入れ装置35の移動とは従来の天井クレーン制御方式により、前記キャリッジ42の昇降動と出し入れ具44の出退動とは従来の自動倉庫のクレーン制御方式により、それぞれ好適に制御される。 【0024】 次に上記実施例の作用を説明する。 荷21を入庫するに、まず空の荷受台22に対してフォークリフトなどにより荷21を渡す。この前後に、クレーンレール30の一端側の支持案内によりガーダー33を荷捌き場20の上方に走行させ、空の出し入れ装置35を荷捌き場20内に位置させる。次いで横行動装置40の作動により空の出し入れ装置35を、ガイド部33aの支持案内により前後方向に移動させ、荷受台22に接近した位置で停止させる。この状態で、前記キャリッジ42の昇降動と出し入れ具44の出退動との組み合わせ動作を行い、以て荷受台22上の荷21を出し入れ装置35が受け取る。 【0025】 この作業の前後において、目的とする区画収納空間3の前方に作業スペースSが生じるように移動棚2群を移動させる。この移動棚2群の移動は、集中制御装置49からの指示信号を、主ケーブル50や副ケーブル48を介して目的とする制御装置46に与え、この制御装置46からの指示信号を、分岐ケーブル47を介して移動棚2側に与えることで行える。すなわち指示信号に基づいて、モータ10によりつば無し車輪7を強制回転させることになり、移動は、車輪5,7を介してレール8,9に支持されて一定経路11上で行われる。その際に光電スイッチ12からの投光が反射板13で反射されるなどして移動制御信号の授受が行われ、以て移動棚2は衝突などすることなく移動制御される。 【0026】 このように作業スペースSを形成した状態で、横行動装置40の作動により実の出し入れ装置35を、ガイド部33aの支持案内により前後方向に移動させて作業スペースSの端部外方に位置させる。次いで走行駆動装置34によりガーダー33を走行させ、出し入れ装置35を作業スペースS内で移動させる。そして出し入れ装置35を目的とする区画収納空間3の前方に対向させて停止させた状態で、前述したようにキャリッジ42の昇降動と出し入れ具44の出退動との組み合わせ動作を行い、以て目的とする区画収納空間3に対して荷21の入庫を行える。 【0027】 また荷受台22への荷21の出庫を行うに際しては、前述と同様にして作業スペースSの端部外方に位置させた空の出し入れ装置35を、この作業スペースS内で移動させて目的とする区画収納空間3の前方に対向させ停止させたのち、出し入れ装置35を作動させることにより荷21を取り出す。そして荷21を支持した出し入れ装置35を作業スペースS内で移動させて荷捌き場20に停止させる。このようにして荷捌き場20に出てきた出し入れ装置35は、この荷捌き場20内を前後方向に移動し、荷受台22に接近した位置で停止させる。この状態で、前記キャリッジ42の昇降動と出し入れ具44の出退動との組み合わせ動作を行い、以て出し入れ装置35上の荷21を荷受台22上に渡すことで出庫を行える。 【0028】 そして大量の荷21を出庫させてトラック輸送を行う場合は、出庫しようとする荷21群を一方の固定棚1Aに集める。すなわち、この固定棚1Aの前面側に作業スペースSを形成したときには、対向している移動棚2から取り出した荷21を固定棚1Aの目的とする区画収納空間3に渡せばよく、この場合に出し入れ装置35を荷捌き場20で移動させることはない。また、上述以外の作業スペースSを利用して固定棚1Bまたは移動棚2から荷21を取り出した出し入れ装置35は、一旦荷捌き場20に出され、この荷捌き場20内を移動して固定棚1Aの前面側に形成した作業スペースS内に入ったのち、固定棚1Aの目的とする区画収納空間3に渡される。 【0029】 このようにして、一方の固定棚1Aに出庫しようとする荷21群がストレージされる。そして到着したトラックへの荷21の積み込みは、この固定棚1Aの作業スペース形成面とは反対側の面1aからフォークリフト15を作用させ、目的とする区画収納空間3の荷21を取り出してトラックへ積み込むことで行える。 【0030】 なお一方の固定棚1Aに対するストレージ用の荷21の移し替えは、固定棚1A,1Bまたは移動棚2と荷受台22との間で荷21の受け渡しを行っていないときに行われる。この場合に、翌日出庫のリストを集中制御装置49にセットしておくことで、たとえば夜間において無人化により能率よくストレージ作業を行える。 【0031】 一方の固定棚1Aで、出庫用ストレージに使用しない区画収納空間3、ならびに大量出庫を行わないときの区画収納空間3は、通常の荷保管に使用される。なお他方の固定棚1Bも出庫用ストレージに使用し、両側からトラックへの積み込みを行えるようにしてもよい。 【0032】 図5は本発明の第二の実施例を示す。すなわちクレーンレール30を前記一定経路11に沿って配設しており、したがってガーダー33を一定経路11に沿って走行させることで、出し入れ装置35を荷捌き場20で移動し得、またガイド部33aの案内により出し入れ装置35を作業スペースSで移動し得る。 【0033】 図6は本発明の第三の実施例を示す。すなわち棚1A,1B,2群の一端部外方でかつ荷捌き場20内に、前記出し入れ装置35との間で荷21を受け渡し自在な荷受台22を移動自在に配設している。この荷受台22は自走形式であって、前後方向に沿って床側に敷設したレール23に車輪24を介して支持案内されて、左右方向に沿った移動経路25上で往復移動自在に構成してあり、また上部は、その四角から荷支持具26を立設している。そして荷受台22は、固定棚1A,1Bの外方の位置と出し入れ装置35に接近した位置との間で移動自在であり、その移動は従来の自走台車制御方式により行われる。 【0034】 上記実施例では天井クレーン形式を示しているが、これはガーダー33の部分を門型とした床クレーン形式であってもよい。また荷受台22は1台を配設した構成でもよい。さらに一対の固定棚1A,1Bを示したが、これは入出庫自在な面1aを有する一方の固定棚1Aのみであってもよい。そして移動棚2は1台でもよい。 【0035】 【発明の効果】 上記構成の本第1発明によると、作業スペース内で出し入れ装置を移動させることと、出し入れ装置を作動させることとにより、目的とする区画収納空間に対する荷の入出庫を自動的に行うことができる。そして荷捌き場内の出し入れ装置の作動により、たとえば荷受台との間での荷の受け渡しを自動的に行うことができ、したがって荷捌き場において出し入れ装置は回転動は行わないことから、棚群外での荷捌きは迅速に正確に行うことができ、常に円滑に入出庫できる。 【0036】 そして大量の荷を出庫させてトラック輸送を行う場合は、出庫しようとする荷群を一方の固定棚に集めてストレージできる。このようなストレージ作業は、たとえば翌日出庫のリストを集中制御装置にセットしておくことで、夜間において無人化により能率よく行うことができる。また到着したトラックへの荷の積み込みは、この固定棚の作業スペース形成面とは反対側の面からフォークリフトを作用させることで、目的とする区画収納空間の荷を取り出してトラックへ積み込むことができ、出し入れ装置による所期の入出庫作業に影響されることなく迅速に行うことができる。 【0037】 このように本第1発明によると、棚群外での荷捌きは、1台の出し入れ装置を使用した簡単な構造ならびに制御により迅速に正確に行うことができ、しかも常に円滑に、かつ安全に入出庫できるとともに、別な棚を設置することなく大量の荷のストレージと、このストレージした荷群の迅速な出庫を行うことができる。 そして本第2発明の構成によると、出し入れ装置は、レールの支持によりガーダーを走行させることで作業スペース内で移動できるとともに、ガーダーの支持案内により荷捌き場内で移動でき、両方向への移動を安定して行うことができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の第一の実施例を示し、棚設備の斜視図である。 【図2】 同棚設備の平面図である。 【図3】 同棚設備の側面図である。 【図4】 同棚設備要部の側面図である。 【図5】 本発明の第二の実施例を示し、棚設備の斜視図である。 【図6】 本発明の第三の実施例を示し、棚設備の平面図である。 【符号の説明】 1A1B 固定棚 1a 反対側の面 2 移動棚 3 区画収納空間 11 一定経路 15 フォークリフト 20 荷捌き場 21 荷 22 荷受台 25 移動経路 30 クレーンレール 33 ガーダー 33a ガイド部 35 出し入れ装置 42 キャリッジ 44 出し入れ具 S 作業スペース |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 明細書(特許第2751708号明細書、以下同じ)を本件訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち特許請求の範囲の減縮を目的として下記のとおり、また、明瞭でない記載の釈明及び誤記の訂正を目的として下記のとおり訂正する。 (1)明細書の特許請求の範囲の請求項1において、 「入出庫自在に構成した」を「入出庫自在として、出庫用荷群のストレージ棚に使用自在に構成し、少なくとも一方の固定棚に対する出し入れ装置による出庫用荷の移し替えは、各棚と荷捌き場の荷受台との間で荷の受け渡しを行っていないときに行うように構成した」と訂正する。 (2)明細書第2頁第4欄第9行及び同欄第10行の「入出庫自在に構成している」を、 「入出庫自在として、出庫用荷群のストレージ棚に使用自在に構成し、少なくとも一方の固定棚に対する出し入れ装置による出庫用荷の移し替えは、各棚と荷捌き場の荷受台との間で荷の受け渡しを行っていないときに行うように構成している」と訂正する。 (3)明細書第5頁第10欄第2行の「料方向」を、「両方向」と訂正する。 |
異議決定日 | 1999-08-12 |
出願番号 | 特願平4-17233 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(B65G)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 黒石 孝志 |
特許庁審判長 |
浜 勇 |
特許庁審判官 |
西野 健二 西川 一 |
登録日 | 1998-02-27 |
登録番号 | 特許第2751708号(P2751708) |
権利者 | 株式会社ダイフク |
発明の名称 | 棚設備 |
代理人 | 石橋 佳之夫 |
代理人 | 森本 義弘 |
代理人 | 森本 義弘 |