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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04L
管理番号 1007442
異議申立番号 異議1997-73420  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-10-11 
種別 異議の決定 
異議申立日 1997-07-22 
確定日 1999-06-25 
異議申立件数
事件の表示 特許第2574669号「ファクシミリ装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2574669号の特許を取り消す。 
理由 I.手続きの経緯
本件特許第2574669号の発明は、昭和60年10月23日に出願した特願昭60-236675号の一部を平成4年5月28日に新たな特許出願とし、さらにその一部を平成8年3月25日に新たな特許出願としたものであって、平成8年10月24日にその特許の設定登録がなされ、その後、特許異議申立人・渡辺利政から特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成9年12月22日に訂正請求がなされ、この訂正請求について訂正拒絶理由通知がなされたものである。
II.訂正の適否についての検討
(1)訂正請求の内容
本件訂正請求の内容は、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的として、特許請求の範囲の請求項1を訂正するとともに、当該訂正に合わせて明細書中の発明の詳細な説明の記載を訂正するものであって、当該訂正はその目的のとおりになされたものと認められる。
(2)独立特許要件についての検討
▲1▼訂正明細書の請求項1に係る発明
訂正明細書の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるものである。
「画情報を指定の宛先端末に送信するとともに、前記宛先端末への送信が不可能であったとき複数回の再送信処理を行う送信処理部(8)と、再送信処理の回数に応じて各回数毎に発呼間隔を予め登録した記憶手段(11)と、送信が不可能であった宛先端末と同一端末への再送信処理の回数を判別し、この回数毎に前記記憶手段より対応する発呼間隔を読出して、この読出された発呼間隔に基づいて前記宛先端末への再送信処理を行う制御手段(12)とを具備したことを特徴とするファクシミリ装置」
▲2▼引用刊行物記載の発明
訂正明細書の請求項1に係る発明に対して、当審が通知した訂正拒絶理由で引用した刊行物1(特開昭58-14653号公報)の第1頁左下欄第3行〜同頁右下欄第4行、第2頁左上欄第15〜20行、第2頁左下欄第3行〜同頁右下欄第17行、第3頁右上欄第17行〜同頁左上欄第14行及び図面には、宛先端末への再呼回数、再呼間隔を指定できる再送信処理手段を有するファクシミリ装置が記載されている。
同じく引用した刊行物2(「新版 ファクシミリの基礎と応用」第243〜265頁、昭和58年8月、財団法人電子通信学会発行)には、ファクシミリ通信網とその通信処理装置が記載されており、第260頁下から第7〜2行には、「着信側STOCが相手ファクシミリ端末を無鳴動呼出しする瞬間に、相手加入者線が電話呼に保留されており、ビジーに遭遇する可能性は残っている。このようなときは通信文をそのままにしておき、5分後にSTOCがTS-FXに対して再び相手を呼出すことを依頼する。これを再呼というが、5分ごとに3回相手を呼出し、それでもビジーのときは10分の間隔をとり、再び5分ごとに3回の再呼を行う。こうして、30分間に計6回の呼出しを試みる。」という再送信処理の制御手段が記載されている。
▲3▼対比・判断
訂正明細書の請求項1に係る発明と上記刊行物1記載の発明とを比較すると、両者は、画情報を指定の宛先端末に送信するとともに、前記宛先端末への送信が不可能であったとき複数回の再送信処理を行う送信処理部を具備するファクシミリ装置である点、で一致し、
訂正明細書の請求項1に係る発明にあっては、各回数毎に発呼間隔を予め登録した記憶手段(11)を具備し、送信が不可能であった宛先端末と同一端末への再送信処理の回数を判別し、この回数毎に前記記憶手段より対応する発呼間隔を読出して前記宛先端末への再送信処置を行う制御手段を有するのに対し、上記刊行物1記載の発明にあっては、予め設定された一定の再呼間隔で予め設定された再呼回数だけ再送信処理を行う制御手段を有するものである点、
で相違する。
しかしながら、この相違点について、上記刊行物2には、5分ごとに3回相手を呼出し、それでもビジーのときは10分の間隔をとって、次の再呼を行い、その後は5分ごとに再呼を行うことが記載されており、再送信処理の回数に対応して設定された発呼間隔に基づいて再送信処理を行う制御手段が記載されていると認められ、また再呼を行うために、メモリ(記憶手段)を用いてその回数や間隔時間などを予め記憶・登録しておくことは技術常識(例えば、特開昭58-18235号公報、特開昭58-18236号公報[メインメモリ12、再送時間tsは「各回とも同一である必要はない」旨の記載など]参照)である。
そして、上記刊行物2の再送信処理を行う制御手段において、各再呼の発呼間隔が、ファクシミリ通信網のサービス機能として適当な範囲内で任意に設定されるものであることは、当業者にとって自明であること、また上記刊行物2の制御手段による4回目の再呼は、それまでの再呼の発呼間隔とは異なる10分の間隔をとることになるので、4回目の再呼であることを判別した上で再送信するものであることから、この発呼間隔をメモリ(記憶手段)に予め登録などした各回数毎の発呼間隔として読みとることは通常なされることであり、上記刊行物2の制御手段においても再送信処理の回数を判別して各回数毎に読出した間隔で再送信するようになすことは、当業者が容易になし得ることと認められる。
さらに、訂正明細書の請求項1に係る発明の上記相違点は、上記刊行物1及び2に記載されたファクシミリ装置の再送信処理という同一の技術課題を解決するものであるから、上記刊行物1記載の発明に技術常識に基づいて上記刊行物2記載の再送信処理の制御手段を組み合わせることに格別の困難性は認められない。また、この組合せにより格別の作用効果を奏するものとも認められない。
したがって、訂正明細書の請求項1に係る発明は、上記刊行物1及び2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
▲4▼まとめ
以上のとおりであるから、訂正明細書の請求項1に係る発明は、上記刊行物1及び2に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するので、本件訂正は認められない。
III.特許異議の申立てについて
(1)特許異議の申立ての理由の概要
本件特許異議申立人・渡辺利政は、甲第1号証(特開昭58-14653号公報)、甲第2号証(「新版 ファクシミリの基礎と応用」昭和58年8月25日、財団法人電子通信学会発行)を提出し、本件請求項1に係る特許発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第113条第2号の規定により取り消すべきである、としている。
(2)本件発明
本件請求項1に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項によって特定されるものである。
「画情報を指定の宛先端末に送信するとともに、前記宛先端末への送信が不可能であったとき複数回の再送信処理を行う送信処理部と、再送信処理の回数に応じて発呼間隔を予め登録した記憶手段と、送信が不可能であった宛先端末と同一端末への再送信処理の回数を判別し、前記記憶手段より対応する発呼間隔を読出して、この読出された発呼間隔に基づいて前記宛先端末への再送信処理を行う制御手段とを具備したことを特徴とするファクシミリ装置」
(3)取消理由通知の概要
本件請求項1に記載された発明は、甲第1号証(特開昭58-14653号公報)及び甲第2号証(「新版 ファクシミリの基礎と応用」昭和58年8月25日、財団法人電子通信学会発行)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである、との本件特許異議の申立ての理由及び証拠に基づいてなされたものである。
(4)引用刊行物記載の発明
取消理由に引用した刊行物1及び2は、前記訂正拒絶理由に引用した刊行物1及び2と同一であり、各刊行物には、上記II(2)▲2▼項において示したとおりの発明が記載されている。
(5)対比・判断
本件請求項1に係る発明と上記刊行物1記載の発明とを比較すると、両者は、画情報を指定の宛先端末に送信するとともに、前記宛先端末への送信が不可能であったとき複数回の再送信処理を行う送信処理部を具備するファクシミリ装置である点、で一致し、
本件請求項1に係る発明は、発呼間隔を予め登録した記憶手段(11)を具備し、送信が不可能であった宛先端末と同一端末への再送信処理の回数を判別し、前記記憶手段より対応する発呼間隔を読出して前記宛先端末への再送信処置を行う制御手段を有するのに対し、上記刊行物1記載の発明は、予め設定された一定の再呼間隔で予め設定された再呼回数だけ再送信処理を行う制御手段を有するである点、
で相違する。
しかしながら、この相違点について、上記刊行物2には、5分ごとに3回相手を呼出し、それでもビジーのときは10分の間隔をとって、次の再呼を行い、その後は5分ごとに再呼を行うことが記載されており、再送信処理の回数に対応して設定された発呼間隔に基づいて再送信処理を行う制御手段が記載されていると認められ、また再呼を行うために、メモリ(記憶手段)を用いてその回数や間隔時間などを予め記憶・登録しておくことは技術常識(例えば、特開昭58-18235号公報、特開昭58-18236号公報[メインメモリ12、再送時間tsは「各回とも同一である必要はない」旨の記載など]参照)である。
そして、上記刊行物2の再送信処理を行う制御手段において、各再呼の発呼間隔が、ファクシミリ通信網のサービス機能として適当な範囲内で任意に設定されるものであることは、当業者にとって自明であること、また上記刊行物2の制御手段による4回目の再呼は、それまでの再呼の発呼間隔とは異なる10分の間隔をとることになるので、4回目の再呼であることを判別した上で再送信するものであることから、この発呼間隔をメモリ(記憶手段)に予め登録などした発呼間隔として読みとることは通常なされることであり、上記刊行物2の制御手段においても再送信処理の回数を判別して読出した間隔で再送信するようになすことは、当業者が容易になし得ることと認められる。
さらに、本件請求項1に係る発明の上記相違点は、上記刊行物1及び2に記載されたファクシミリ装置の再送信処理という同一の技術課題を解決するものであるから、上記刊行物1記載の発明に技術常識に基づいて上記刊行物2記載の再送信処理の制御手段を組み合わせることに格別の困難性は認められない。また、この組合せにより格別の作用効果を奏するものとも認められない。
したがって、本件請求項1に記載された発明は、上記刊行物1及び2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6)まとめ
したがって、本件特許請求の範囲の請求項1に記載された発明は、特許異議申立の理由及び証拠に基づいてなされた取消理由通知により引用された上記刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
IV.むすび
以上のとおりであるから、本件特許請求の範囲の請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから同法第113条第2号に該当するので、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 1999-04-27 
出願番号 特願平8-67744
審決分類 P 1 651・ 121- ZB (H04L)
最終処分 取消  
前審関与審査官 立川 功渡辺 努谷川 洋  
特許庁審判長 吉村 宅衛
特許庁審判官 武井 袈裟彦
田中 庸介
登録日 1996-10-24 
登録番号 特許第2574669号(P2574669)
権利者 松下電送システム株式会社
発明の名称 ファクシミリ装置  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 滝本 智之  

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