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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H04Q |
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管理番号 | 1007516 |
異議申立番号 | 異議1999-70593 |
総通号数 | 7 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1998-01-06 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-02-22 |
確定日 | 1999-10-08 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第2788898号「PHS情報転送種別通知方式」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2788898号の請求項1に係る特許を取り消す。 同請求項2ないし5に係る特許を維持する。 |
理由 |
(1)請求項1乃至5に係る各発明 特許第2788898号(平成8年6月18日出願、平成10年6月5日設定登録。)の請求項1乃至5に係る各発明は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1乃至5に記載された事項によって特定される以下のとおりである。 「(1)発信時に伝送する情報転送種別として着サブアドレス情報をPHS基本インタフェースに規定されている呼設定メッセージに付加して送信する手段を備えることを特徴とするPHS情報転送種別通知方式。 (2)受信時に前記着サブアドレス情報から前記伝送する情報転送種別を識別してユーザに呼接続を促す手段を備えることを特徴とする請求項1記載のPHS情報転送種別通知方式。 (3)前記情報転送種別に対応する通信制御装置がマッピングされたサブアドレスをあらかじめ格納した記憶装置と、発信時には前記呼設定メッセージ中の前記着サブアドレスに実施したい通信種別に対応する通信制御装置の番号を設定して送出する発信制御装置と、前記呼設定メッセージの受信時に該当する通信制御装置を起動する着信識別装置と、ユーザの操作により前記情報転送種別を入力する情報転送種別入力装置と、前記呼設定メッセージの受信時には前記情報転送種別を前記ユーザに通知して接続を促す情報転送種別出力装置と、前記記憶装置,前記発信制御装置および前記情報転送種別出力装置を制御するプログラムを実行する中央処理装置とを備えることを特徴とする請求項1または2記載のPHS情報転送種別通知方式。 (4)前記情報転送種別に対応する通信制御装置は音声通信制御装置と、データ通信制御装置と、画像通信制御装置とを含むことを特徴とする請求項3記載のPHS情報転送種別通知方式。 (5)前記着信識別装置が受信時に識別した情報転送種別を通知された前記中央処理装置は、前記記憶装置から読み出した情報転送種別情報との照合を行いPHS呼制御装置を通して受信した前記呼設定メッセージ中の着サブアドレス情報に前記ユーザによってあらかじめ設定された情報転送種別が存在していればその情報転送種別に対応する前記画像通信制御装置,前記データ通信制御装置および前記音声通信制御装置のいずれかを起動し、存在していなければ前記音声通信制御装置を起動し、これらの起動された通信制御装置が通信規制中であれば呼の接続を拒否して切断し、通信規制中で無いときは前記情報転送種別出力装置に呼の接続可能の旨を出力して前記ユーザに呼の接続を促すことを特徴とする請求項3または4記載のPHS情報転送種別通知方式。」 (2)申立て理由の概要 申立人門田洋次は、証拠として甲第1号証(特開昭64-22196号公報)、甲第2号証(第二世代コードレス電話システム標準規格書(平成5年12月発行)P.313,P.330)、及び甲第3号証(特開平6-133072号公報)を提出し、請求項1に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載されたものから当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2乃至請求項4に係る各発明は、甲第1号証に記載されたものから当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項5に係る発明は、甲第1号証及び甲第3号証に記載されたものから当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1乃至請求項5に係る各発明は、いずれも特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、したがって、その特許はいずれも同法第113条第2号に該当し取り消されるべき旨主張している。 (3)請求項1に係る発明について これに対し、当審において通知した取消理由で引用した刊行物1(上記甲第1号証と同じ)には、「発信時に伝送する情報転送種別として着サブアドレス情報を呼設定メッセージに付加して、例えば電話機かファクシミリなどの通信手段を区別するために送信し、受信時は、検出された着サブアドレス情報と一致するサブアドレスが予め登録された登録手段を検索し、登録されていた場合には対応する通信手段にのみ着呼信号を伝送する手段を備える情報転送種別通知方式」 が記載されている。 請求項1に係る発明と対比すると、刊行物1に記載の発明の情報転送種別通知方式がPHS情報転送種別通知方式でない点で相違する。 しかしながら、PHS情報転送種別通知方式は、当審において通知した取消理由で引用した刊行物2(上記甲第2号証と同じ)等により周知であり、刊行物2記載の周知技術に刊行物1記載の技術を用いることは、当業者であれば容易に推考しえたものである。 (4)請求項2に係る発明について 当審が通知した取消理由において引用した刊行物1に、請求項2に記載された「受信時に着サブアドレス情報から伝送する情報転送種別を識別してユーザに呼接続を促す手段を備えること」が記載されていないことから、請求項2に係る発明は、当該引用刊行物1に記載されたものから容易に発明をすることができたものではない。 (5)請求項3に係る発明について 当審が通知した取消理由において引用した刊行物1に、請求項3に記載された「呼設定メッセージの受信時には情報転送種別をユーザに通知して接続を促すこと」が記載されていないことから、請求項3に係る発明は、当該引用刊行物1に記載されたものから容易に発明をすることができたものではない。 (6)請求項4に係る発明について 請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明を引用し、該請求項3に係る発明が、引用刊行物1に記載されたものから容易に発明をすることができたものではないから、請求項4に係る発明も、引用刊行物1に記載されたものから容易に発明をすることができたものではない。 (7)請求項5に係る発明について 申立人の提出した甲第3号証には、 「不必要な送信者からの通信を確実に制限でき、しかも送信者数の制限されないファクシミリ装置を得るために、サブアドレスの付加情報内に送信者確認用識別部分を設け、該識別部分の確認結果に応じて所定の受信動作を実行または制限し、該制限時には受信不可である旨の応答を相手側に返したり、該識別部分の解析の有無を選択可能にしたりすること」が記載されているに過ぎない。すなわち、甲第3号証に記載されたものは、親展通信を行うのであって、その「制限時」とは、「意図しない者に通信を行わない」ものであり、本件の請求項5に係る発明で意図する「通信規制中」とは、いわゆる「使用中」という意味であるから、甲第3号証に記載されたものは、本件の請求項5に係る発明の一部の技術を開示するものと認めることはできない。これらを総合判断して、請求項5に係る発明は、甲第1号証及び甲第3号証に記載されたものから容易に発明をすることができたものとはいえない。 (8)むすび 以上のとおり、請求項1に係る発明は、上記刊行物1及び刊行物2記載の発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものであり、請求項2乃至4に係る各発明は、上記刊行物1記載の発明から、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項5に係る発明は、甲第1号証及び甲第3号証に記載されたものから容易に発明をすることができたものではないから、請求項2乃至5に係る各発明の特許は、申立人の理由、証拠によっては取り消すことはできない。 また、請求項2乃至5に係る各発明の特許については、他に取消理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1999-08-26 |
出願番号 | 特願平8-156708 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZC
(H04Q)
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最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 望月 章俊 |
特許庁審判長 |
内藤 照雄 |
特許庁審判官 |
大橋 隆夫 磯崎 洋子 |
登録日 | 1998-06-05 |
登録番号 | 特許第2788898号(P2788898) |
権利者 | 日本電気テレコムシステム株式会社 |
発明の名称 | PHS情報転送種別通知方式 |
代理人 | 福田 修一 |
代理人 | 河合 信明 |
代理人 | 京本 直樹 |