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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  G06K
管理番号 1007551
異議申立番号 異議1999-71493  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-11-01 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-04-21 
確定日 2000-01-12 
異議申立件数
事件の表示 特許第2814477号「非接触式ICカード及びその製造方法」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2814477号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続きの経緯
本件特許第2814477号は、その発明について、平成7年4月13日に特許出願され、平成10年8月14日に特許権の設定の登録がされたものであって、その後、本件の請求項1ないし6項に係る特許のうち、請求項1ないし2に係る特許について、平成11年4月21日に半谷仁より特許異議の申立てがされたものである。
第2 特許異議の申立てについての判断
1 本願発明
本件の請求項1ないし2に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明2」という。)は、願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、それぞれ、明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載されたとおりの次の事項により構成されるものである。
(1)請求項1
「誘導電磁界を伝送媒体として情報伝達をする非接触式ICカードであって、基板と、その上に配設された少なくともICチップとエッチング法により形成されたアンテナコイルとを含む非接触式ICカードにおいて、該アンテナコイルの接続用端子とICチップの接続用バンプとが、アンテナコイルを跨ぐように異方性導電接着剤層を介してフェイスダウン式に直接接続されていることを特徴とする非接触式ICカード」
(2)請求項2
「アンテナコイルの内周側の接続用端子と外周側の接続用端子との間隔が、それらと接続するためのICチップの接続用バンプの間隔と略同一となるように、アンテナコイルの少なくとも一部の幅が狭められている請求項1記載の非接触式ICカード」
2 特許異議の申立ての概要
特許異議申立人は、理由として、本願発明1ないし2は、いずれも、本件出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、取り消されるべきである旨主張し、証拠として、甲第1号証ないし3号証を提示している。
3 証拠の内容
(1)甲第1号証
ア 甲第1号証である実願平1-37189号(実開平2-127060号)のマイクロフィルム(平成2年10月19日特許庁発行)には、配線基板が記載されており、これについて、次の各事項が図面と共に記載されている。
▲1▼「情報カードの情報を読み取る情報カード読取装置として、第4図に示すように、例えば2.45(GHz)のマイクロ波を搬送波とする応答要求信号W1を情報読取装置1の応答要求信号発生回路2において発生して送信アンテナ3から情報カードに放出し、この情報カードから返送されて来る応答情報信号W2を情報読取装置1の受信アンテナ5を介して応答信号処理回路6に取り込むことにより、情報カード4を例えば入出門証として所持する入出門者や、情報カード4をタグとして付着されている貨物をチェックする等の情報カード読取システムを構築することが考えられている。」(2頁12行〜3頁4行)
▲2▼「情報カード読取システムに適用し得る情報カード4としては、基板4A上に配線パターンの一部を形成するように付着されたダイポールアンテナ4Bと、情報信号発生回路を形成する集積回路(IC)構成の情報信号発生回路4Cと、電源電池4Dとを配線パターン4Eによって接続し、ダイポールアンテナ4Bの給電点におけるインピーダンスを情報信号発生回路4Cにおいて発生される情報信号に応じて変更することにより、情報読取装置1から応答要求信号W1として放出された搬送波に対する反射率を変更することにより当該反射波を応答情報信号W2として返送するようにしたものが提案されている(特願昭63-6292号)。」(3頁5行〜17行)
▲3▼「第4図及び第6図との対応部分に同一の符号を付して示す第1図において、20は情報カードの配線基板を示し、ガラスエポキシ基材でなる基板4A上に、厚さ10〜20(μm)程度の絶縁性部材でなる平面方形状の台座21がスクリーン印刷等の手法を用いて設けられている。」(8頁17行〜9頁2行)
▲4▼「この状態で基板4A及び台座21上に銅箔22を熱圧着した後(第2図(A))、エッチング処理施すことによってダイポールアンテナ4B及び配線パターン4Eが基板4Aから台座21A上にかけて形成されると共に、圧力分散ランド24が台座21の表面21A上に形成される。」(9頁3行〜9行)
▲5▼「ここで台座21上に形成された、ダイポールアンテナ4B及び配線パターン4Eの一部は、台座21の厚み分だけ基板4Aの表面から突出して形成されていることにより、この部分が突起電極25A及び25Bとして突起電極部25を形成し、対向するチップ部品15の電極16A及び16Bに接合されるようになされている。」(9頁10行〜16行)
▲6▼「第3図に示すように、ダイポールアンテナ4Bの一部によって形成された突起電極25及び圧力分散ランド24上にスクリーン印刷等の手法を用いて異方性導電膜26を形成した後、当該異方性導電膜26上にチップ部品15の下側面15Aを接触させて、当該チップ部品15を熱圧着する。」(10頁2行〜8行)
▲7▼「異方性導電膜26を介して突起電極部25上にチップ部品15を圧着することにより、突起電極25A及び25Bと電極16A及び16B間がそれぞれ電気的に導通する。」(l0頁15行〜18行)
▲8▼「また、異方性導電膜26は熱処理することによって、接着性を呈することにより、突起電極25A、25B及び分散ランド24と電極16A、16B及びチップ部品15の下側面15Aとが機械的に接合される。」(10頁19行〜11頁3行)
イ また、前記▲6▼ないし▲8▼の内容から次の事項が読みとれる。
▲9▼ ダイポールアンテナ4Bの突起電極25A及び25Bとチップ部品15の電極16A及び16Bとは、所謂’フェイスダウン式に直接接続されること
ウ 以上▲1▼ないし▲9▼の事項を、本願発明の構成に準じて整理すると、甲第1号証には、次の事項により構成される発明が記載されているということができる。
マイクロ波により情報伝達をする情報カードであって、基板と、その上に配設された少なくともチップ部品とエッチング処理を施すことによって形成されたダイポールアンテナとを含む情報カードにおいて、該ダイポールアンテナの突起電極とチップ部品の電極とが、熱処理により接着性を呈する異方性導電膜を介してフェイスダウン式に直接接続されている情報カード
(2)甲第2号証
甲第2号証である特開平6-310324号公報(平成6年11月4日特許庁発行)には、平面コイルが記載されており、これについて、次の各事項が図面と共に記載されている。
▲10▼「平面コイルは、ICカードの電力誘導コイルとか、カードとカード処理装置との間の短距離通信用アンテナとして用いられる。」(1欄27行〜29行)
▲11▼「この種の平面コイルは、図4(a)に示すようなエナメル被覆導線を巻線にしたものとか、図4(b)に示すような硬質あるいはフレキシブルプリント基板2を用いて金属箔をフォト・リソグラフによりエッチングして胴体線輪を形成している。」(1欄34行〜38行)
(3)甲第3号証
甲第3号証である特開昭62-219933号公報(昭和62年9月28日特許庁発行)には、ICチップ実装用基板製造法が記載されており、これについて、次の各事項が図面と共に記載されている。
▲12▼「(b)図の如く3のフォトレジストを基板全面に塗布し、熱処理,露光,現像の工程を経て(c)図の如くフォトレジストによるマスクが出来上る。ここでマスキングされている部分は、リード上で4のバンプが形成される部分とICの下となる配線を除いた配線部分である。」(2頁右上欄2行〜7行)
▲13▼「第2図はこの基板の平面図であり、斜線で示した部分が5のハーフエッチングされた部分で、破線6はボンディングされるICチップの位置を示している。」(2頁右上欄16行〜19行)
4 対比・判断
(1)本願発明1について
ア 本願発明1と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、本願発明1の「誘導電磁界を伝送媒体として情報伝達する」ことと甲第1号証に記載された発明の「マイクロ波により情報伝達する」こと及び本願発明1の「アンテナコイル」と甲第1号証に記載された発明の「ダイポールアンテナ」とは、それぞれ、電磁界を伝送媒体として情報伝達すること及びアンテナである点で一致し、本願発明1の「基板」、「ICチップ」、「接続用端子」、「接続用バンプ」及び「異方性導電接着剤層」は、それぞれ、甲第1号証に記載された発明の「基板」、「チップ部品」、「突起電極」、「電極」及び「熱処理により接着性を呈する異方性導電膜」と完全にないし実質的に一致し、本願発明1の「エッチング法により形成」することと甲第1号証に記載された発明の「エッチング処理を施すことによって形成」することとは、単に、表現を異にするだけであり、甲第1号証に記載された発明の「情報カード」が、所謂’非接触式ICカードであることは明らかであるから、本願発明1と甲第1号証に記載された発明とは、
電磁界を伝送媒体として情報伝達する非接触式ICカードであって、基板と、その上に配設された少なくともICチップとエッチング法により形成されたアンテナとを含む非接触式ICカードにおいて、該アンテナの接続用端子とICチップの接続用バンプとが、異方性導電接着剤層を介してフェイスダウン式に直接接続されている非接触式ICカード
である点で一致する。
イ 前記対比から、甲第1号証に記載された発明が、少なくとも、本願発明1を構成する事項である「アンテナコイルの接続用端子とICチップの接続用バンプとが、アンテナコイルを跨ぐように」接続される点を備えていないことは明らかであり、また、該点は、甲第2号証ないし3号証について摘記した前記3▲10▼〜▲13▼の内容を斟酌しても、当業者が容易に相当実施し得たものとすることはできない。
すなわち、前記3▲10▼〜▲13▼の内容を尠酌しても、甲第1号証に記載された発明において、アンテナコイルを採用することの容易性が認められるに過ぎないからである。
ウ そして、本願発明1は、前記点の事項を構成要件とすることにより、甲第1号証ないし3号証に記載された発明にはない特有の作用効果を奏するものである。
エ 前記点に関して、特許異議申立人は、「甲第1号証に記載した発明では、アンテナ線がコイル状をなしていないため、フェイスダウン式を採りながらも、アンテナ線を跨ぐ形態とはなっていない。しかしながら、甲第1号証に記載されたアンテナ線を、甲第2号証に記載された平面コイルのようにコイル状としたときには、結果的にICチップがアンテナ線を跨ぐ形態となることは、甲第3号証を示すまでもなく、明らかである。」(特許異議申立書7頁16行〜19行)と主張するけれども、甲第1号証に記載された発明が、フェイスダウン式を採るものであること、更には、該甲第1号証に記載された発明において、アンテナコイルを採用することの容易性が認められることは、それぞれ、前記3(1)イ及び前記イに認定したとおりであるところ、フェイスダウン式を採る場合であって、且つ、アンテナコイルを採用した場合に、アンテナコイルの接続用端子とICチップの接続用バンプとが、必ず、アンテナコイルを跨ぐように接続されることになるとは言えない(例えば、本件出願の当初明細書に記載されていた別の態様、或いは、本件出願後に出願された特願平8-227035号の明細書に記載された発明は、フェイスダウン式を採るものであるが、アンテナコイルの接続用端子とICチップの接続用バンプとが、アンテナコイルを跨ぐように接続されているものではない。)から、特許異議申立人の前記主張は採用できない。
(なお、特許異議申立人は、甲第3号証を、フェイスダウン式を採る場合であって、且つ、アンテナコイルを採用した場合に、アンテナコイルの接続用端子とICチップの接続用バンプとが、必ず、アンテナコイルを跨ぐように接続されることの証拠としているが、該甲第3号証には、配線の都合上、該配線の端部が一部ICチップの下になることがあることが記載されているに過ぎない。)
オ 以上総合判断すると、本願発明1は、甲第1号証ないし3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
(2)本願発明2について
ア 前記1(2)に認定のとおり、請求項2が、請求項1を引用するものであることは明らかである。
イ そして、請求項1に係る発明である本願発明1については、前記(1)に詳述したとおりである。
(なお、アンテナコイルの接続用端子の間隔とICチップの接続用バンプの間隔とを略同一となるようにすることの容易性は認められるとしても、該略同一とすれば、必ず、アンテナコイルの少なくとも一部の幅を狭めなければならないことになるとは言えないことを付言する。)
ウ したがって、本願発明2は、甲第1号証ないし3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第3 結び
以上のとおり、本件の請求項1ないし2に係る特許については、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたとすることはできず、また、他に、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたとする理由を発見しない。
そして、本件出願は、平成8年1月1日以前にされた特許出願であるから、本件については、平成6年法律第116号附則第14条の規定に基づく平成7年政令第205号第4条第1項及び第2項を適用し、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 1999-12-10 
出願番号 特願平7-113641
審決分類 P 1 652・ 121- Y (G06K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 梅沢 俊  
特許庁審判長 川名 幹夫
特許庁審判官 橋本 正弘
大橋 隆夫
登録日 1998-08-14 
登録番号 特許第2814477号(P2814477)
権利者 ソニーケミカル株式会社
発明の名称 非接触式ICカード及びその製造方法  
代理人 田治米 登  
代理人 田治米 惠子  

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