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審決分類 審判 査定不服 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1008334
審判番号 審判1997-12339  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1988-09-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-07-24 
確定日 1999-12-22 
事件の表示 昭和62年特許願第54964号「エンドユーザ言語内部処理論理出力処理方式」拒絶査定に対する審判事件(昭和63年9月13日出願公開、特開昭63-220323)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 〔A〕手続の経緯・本願発明の要旨
本願は、昭和62年3月10日の出願であって、その発明の要旨は、平成7年12月7日付け,平成9年8月19日付けおよび平成11年8月23日付け手続補正書によって補正された明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載されたとおりの、
「複数のカラムから構成されるテーブルに基づくデータベースを操作するエンドユーザ言語の入力に対し,その実行に関するコスト評価を行い,最適な処理論理を選択する最適化処理機能を有するデータ処理システムにおいて,
上記最適化処理におけるコスト評価によって選択された処理論理に関する情報を収集する内部処理論理情報収集手段(19)と,
該内部処理論理情報収集手段(19)によって収集された処理論理に関する情報について,その処理論理における内部の各処理単位毎に,処理単位の入力情報として,テーブルのスキャン方法と,参照するテーブル名と,そのテーブルにおいて参照するカラム数と,カラム名と,そのカラムのサイズの情報,および処理単位の出力情報として,少なくともその処理の結果が格納されたテーブル名と,そのテーブルにおいて結果が格納されたカラム数と,カラム名と,そのカラムのサイズの情報の組み合わせをアプリケーション開発者向けに出力する内部処理論理情報出力手段(20)と,
内部処理論理に応じた所定の性能見積り式により,上記内部処理論理情報収集手段(19)が収集した情報をもとに性能見積り情報を算出しアプリケーション開発者向けに出力する性能見積り情報出力手段(22)と
を備えたことを特徴とするエンドユーザ言語内部処理論理出力処理方式。」
にあるものと認める。
〔B〕当審の拒絶理由
これに対して、当審で平成11年6月24日付けで通知した拒絶理由の概要は、
「 理 由 (I)
本件出願の発明は、その出願前に日本国内において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.特開昭61-296426号公報
2.情報処理学会第33回(昭和61年後期)全国大会講演論文集(1986-10-3)P.891-892,6H-2石井卓二外著「リレーショナルDBMS(AIM/RDB)の性能見積り手法について」
(以下略)
理由(II)
本件出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項及び第5項に規定する要件を満たしていない。

特許請求の範囲の記載において、「入力するテーブルおよびカラムの情報と、出力するテーブルおよびカラムの情報とをアプリケーション開発者向けに出力する」の記載では、「テーブル」および「カラム」のそれぞれの情報の中身が不明瞭であり、それらの情報が本願発明に対してどのような意味を有しているのかが不明瞭であり、また、「入力するテーブルおよびカラムの情報」を出力することの意味も不明瞭である。」
というものである。
〔C〕理由(I)について
(a)引用例
上記特開昭61-296426号公報(以下、「引用例1」と言う)には、リレーショナルデータベース管理システム(以下、「DBMS」と言う)についての発明が記載されており、
特にその第1図およびその説明の欄には、
DBMSは、システム全体の管理・制御に加えて入出力の管理を行うシステム制御部と、問合せを解析して適切な内部処理手順コードを生成するデータベース論理処理部と、生成された処理手順コードに従ってデータベースヘのアクセスその他を実行するデータベース物理処理部を含み、問合せの入力とそれに対する回答(処理結果)の出力は、入出力部を介して行われるものが記載されており、
そのデータベース論理処理部は、問合せの解析を行なう問合せ解析部と、解析結果に所定のルールを適用して最適処理手順を決定する最適化部と、決定された最適処理手順を実現するための処理コードを作成するとともに、関連する所要の処理を行なうコード生成・論理処理実行部とからなり、該最適化部で適用されるルールは、データベースシステムに関する各種統計情報(システム特性,データベース特性,処理方式特性など)を用いて、実行する単一の処理手順を指定し、また、該最適化部は、コスト評価最適化部と接続され、コスト評価最適化部は、該最適化部と並行して、問合せの主要部について、コスト評価による最適化を行ない、その結果と、該最適化部で作成された処理手順のコストを比較し、必要に応じて、該最適化部のルールベースを改修し、また、該コスト評価最適化部は、問合せの等価変換や解析を行なう問合せ解析部、解析結果からいくつかの処理手順候補を選定する処理手順候補生成部、及び処理手順候補のコスト評価を外部記憶アクセス回数,CPU使用時間等に関して行なうコスト評価部並びにこれらに必要な情報を提供する処理方式管理部,システム特性管理部,データベース特性管理部,及びルールベース管理部を有しており、コスト評価部は、最適化部により決定された処理手順を、前処理部を介して受取って、そのコスト評価を行ない、最適手順選択部は、コスト評価部での評価結果から最小コストの処理手順を決定し、レポート出力部が、処理手順候補生成部、コスト評価部、及び最適手順選択部の処理を、必要に応じて出力することが記載されている。
つぎに、「情報処理学会第33回(昭和61年後期)全国大会講演論文集(1986-10-3)P.891-892,6H-2石井卓二外著「リレーショナルDBMS(AIM/RDB)の性能見積り手法について」」(以下、「引用例2」と言う。)には、リレーショナルデータベース管理システムの性能見積りについて記載されており、
その手順は、▲1▼データベースのリレーション定義、▲2▼統計情報をリレーショナルデータベース管理システムに設定、▲3▼測定対象コマンドの最適化処理実行、▲4▼最適スケジュールとレスポンス見積りを出力、することによって行なわれ、そのうち、▲2▼の統計情報の設定は、静的に決定されている最適化情報の他に、データベースに格納されている統計情報から、レコード件数、データ値の分布情報、割当ページ数のような最適化情報を設定し、また、▲4▼の最適スケジュールとレスポンス見積りの出力については、最適化処理で決定したスケジュールを性能見積りに適した形式に変換して出力することが記載されている。
(b)対比
本願発明と上記引用例1の発明とを対比すると、上記引用例1の発明においても、リレーショナルデータベースに対する問合せを解析して、適用可能な処理手順候補を選定し、それら選定された処理手順候補のコストをコスト評価部が算出し、コストが最小の処理手順を決定しており、また、そのレポート出力部は、処理手順候補生成部、コスト評価部、及び最適手順選択部の処理を、必要に応じて出力しており、また、リレーショナルデータベースというのは、複数のカラムから構成されるテーブルに基づくデータベースであり、また、引用例1の発明においても、レポート出力のための情報収集手段が備えられていることは、当業者にとって自明の事項であり、上記引用例1のものにおける「レポート出力部」は、本願発明における「内部処理論理情報出力手段」に相当する。従って、両者は共に、複数のカラムから構成されるデーブルに基づくデータベースを操作するエンドユーザ言語の入力に対し、その実行に関するコスト評価を行い、最適な処理論理を選択する最適化処理機能を有するデータ処理システムにおいて、上記最適化処理におけるコスト評価によって選択された処理論理に関する情報を収集する内部処理論理情報収集手段と、内部処理論理情報出力手段とを備えたことを特徴とする内部処理論理出力処理方式である点では同じである。
ただ、▲1▼本願発明は、出力情報がアプリケーション開発者向けであるのに対して、引用例1には、そのようなことが記載されていない点、▲2▼本願発明は、内部処理論理情報出力手段によって出力されているのは、内部処理論理情報収集手段によって収集された処理論理に関する情報について、その処理論理における内部の各処理単位毎に、処理単位の入力情報として、テーブルのスキャン方法と、参照するテーブル名と、そのテーブルにおいて参照するカラム数と、カラム名と、そのカラムのサイズの情報、および処理単位の出力情報として、少なくともその処理の結果が格納されたテーブル名と、そのテーブルにおいて結果が格納されたカラム数と、カラム名と、そのカラムのサイズの情報の組み合わせであるのに対して、引用例1の発明においては、そのようなことが記載されておらず、また、▲3▼本願発明は、内部処理論理に応じた所定の性能見積り式により,上記内部処理論理情報収集手段が収集した情報をもとに性能見積り情報を算出し出力する性能見積り情報出力手段を備えているのに対して、引用例1の発明は、そのような手段を備えていない点で、相違が認められる。
(c)容易性の判断
上記相違点▲1▼〜▲3▼について検討する。
相違点▲1▼について、
出力情報をどのような開発者向けのものとするかは、当業者が必要に応じて適宜になし得ることであって、本願発明をアプリケーション開発者向けに限定したところには何ら格別の意味が認められない(なお、下記〔D〕を参照)。
相違点▲2▼について、
内部出力処理方式において、その出力情報(データ)としてどのような情報を出力するかは、その処理装置の使用者がその処理の出力情報として必要とする情報を出力するように構成するのが当然であって、本願発明において、内部処理論理情報出力手段の出力として、内部処理論理情報収集手段によって収集された処理論理に関する情報について,その処理論理における内部の各処理単位毎に,処理単位の入力情報として,テーブルのスキャン方法と,参照するテーブル名と,そのテーブルにおいて参照するカラム数と,カラム名と,そのカラムのサイズの情報,および処理単位の出力情報として,少なくともその処理の結果が格納されたテーブル名と,そのテーブルにおいて結果が格納されたカラム数と,カラム名と,そのカラムのサイズの情報の組み合わせを出力するようにすることは、当業者がその必要に応じて適宜選択実施できた程度の設計事項にすぎないものと認められる。
従って、その処理装置の使用者がその処理の出力情報として必要とする情報を出力するように構成して本願発明のようにすることは、当業者が何ら困難性なくなし得たことにすぎないものと認められる。
相違点▲3▼について、
引用例2の「(2)中間テキストからのレスポンス見積り機構」の欄には、レスポンス情報の計算式が記載され、内部処理論理に応じた所定の性能見積り式により,性能見積り情報を算出し、出力する性能見積り情報出力手段を備えることが記載されているので、上記引用例1に記載された発明に上記引用例2に記載された発明を適用して本願発明のようにすることは、当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(d)まとめ
以上のとおりであるので、本願発明は、上記引用例1に記載された発明に基づき引用例2に記載された発明を適用することによって、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
〔D〕理由(II)について
審判請求人は、平成11年8月23日付け手続補正書によって、その出力される情報としての、処理単位の入力情報および出力情報の中身を具体的に記載しているものの、この記載では、本願発明においては、何故それらの情報がアプリケーション開発者にとって特に有益であるのか、その理由が依然として不明瞭である。
従って、本願明細書の発明の詳細な説明の欄および特許請求の範囲の記載は不備であって、本願発明は、特許法第36条第4項および第5項の要件を満たしていない。
〔E〕審判請求人の主張
審判請求人は、平成11年8月23日付け提出の意見書中において、引用例1には、何の情報を何の目的でどのように出力するかについての説明はなく、引用例1の発明の目的に鑑みると、引用例1のレポート出力は、データベース管理システム開発者に対するデバッグ等のためのレポート情報と推量され、レポート出力は単なる参考情報にすぎないと考えられること、また、引用例2には、詳細な内部処理情報を収集し、出力する手段についての開示はないこと、および、そのような詳細な内部処理論理情報がわかれば、アプリケーション開発者は、大規模なデータベースに対しても、容易に最適チューニングを行なうことが可能となる旨主張している。
しかし、上記〔D〕に記載したように、本願発明においても、何故それらの情報がアプリケーション開発者にとって特に有益であるのか不明瞭であり、また、上記〔C〕(c)で述べたように、内部出力処理方式において、その出力情報(データ)としてどのような情報を出力するかは、その処理装置の使用者がその処理の出力情報として必要とする情報を出力するように構成するのが通常であって、アプリケーション開発者が容易に最適チューニングを行なおうと思うときには、それに必要且つ十分な内部処理論理情報の出力が得られるように構成することが当然であるものと認められるので、審判請求人の係る主張には根拠が認められず、採用することはできない。
〔F〕むすび
以上のとおりであるので、本願発明は、上記引用例1に記載された発明に基づき上記引用例2に記載されたを適用することによって、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、また、本願は、明細書の記載が不備であり、特許法第36条第4項および第5項の要件を満たしていないので、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-10-05 
結審通知日 1999-10-22 
審決日 1999-11-02 
出願番号 特願昭62-54964
審決分類 P 1 8・ 531- WZ (G06F)
P 1 8・ 121- WZ (G06F)
P 1 8・ 532- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川崎 優  
特許庁審判長 丸山 光信
特許庁審判官 橋本 正弘
大橋 隆夫
発明の名称 エンドユーザ言語内部処理論理出力処理方式  
代理人 小笠原 吉義  
代理人 森田 寛  
代理人 長谷川 文廣  

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