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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1008340 |
審判番号 | 審判1997-19128 |
総通号数 | 8 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1989-09-20 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1997-11-20 |
確定日 | 2000-01-04 |
事件の表示 | 昭和63年特許願第60612号「情報処理サービスシステム」拒絶査定に対する審判事件(平成1年9月20日出願公開、特開平1-234960)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I.手続の経緯 本願は、昭和63年3月16日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成11年9月6日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「複数の人が共通して見ることができる位置に配置され電子的かつ視覚的に各種情報を表示するための比較的大きな表示部を有する掲示板と、この掲示板の前記表示部に表示する掲示情報をネットワークを介して受信する掲示情報受信手段と、前記掲示板の一部に配置され、掲示情報の入力内容ならびに前記表示部に表示された掲示情報に対して、ネットワークを介して応答するための返信情報を入力するための操作入力部と、前記返信情報をネットワークを介して該当するクライアントに送信する返信情報送信手段とを具備することを特徴とする電子掲示システム。」 II.引用例記載発明 これに対して、当審における拒絶理由通知で引用した特開昭60-206244号公報(以下、「引用例1」という。)には、「オフィスで扱われるメールのうち、受信者からの回答を必要とするメールの割合は極めて多く…、とくに多数の人との同報通信の場合には、多数の受信者の…回答内容が一括表示されない…欠点があった。…本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので…電子メールシステムを提供するものである。」(第1頁右下欄第6行〜第2頁7行)なる記載、及び、第1図の説明としての「端末3において、メール文書を作成し、宛先を付してメールを発信する。発信されたメールは文書ファイル2に投函される。受信者はもよりの端末を操作し、自分宛の着信一覧を呼出し、所要のメールを選択し、メール本文を読み出すと自動的にメールに対する返答メッセージ作成の手順となり、返答メッセージ作成終了時に、…発信者へ自動返信される。」(第2頁右上欄第12行〜同頁左下欄第1行)なる記載、並びに、第1図を参照すると、引用例1には、 「オフィス機器である端末3において、メール文書を作成し、宛名を付して、通信路1を介してメールを発信し、通信路1を介して受信したメール本文を読み出したならば、返答メッセージを作成し、通信路1を介して発信者の端末へ返信する電子メールシステム」 が記載されていると認められる。 また、同じく引用した特開昭62-216544号公報(以下、「引用例2」という。)には、「従来より、電子メール通信網の通信装置には電子掲示板が設けられており、特定の掲示板を読みたい加入者が、特定の要求信号を送信することにより、その掲示板の内容が読み出されて、メール通信により伝送されるようになっている。」(第1頁右下欄第12〜16行)が記載されており、上記電子掲示板の内容は、読みたい加入者が、要求信号を送信することにより、読むことができるものであるから、宛先の特定されない情報であると認められる。 III.本願発明と引用例記載発明との対比 本願発明(以下、「前者」という。)と引用例1記載発明(以下、「後者」という。)とを対比する。 (イ)後者の「オフィス機器である端末3」において、メール本文を読み出すのであるから、後者の「該端末3」は、前者の「掲示板」と同様に、電子的かつ視覚的に情報を表示する表示部を有し、後者の「メール本文」は、前者の「掲示情報」と同様に、表示部に表示される情報であり、 (ロ)後者の「通信路1」は、前者の「ネットワーク」に相当し、 (ハ)後者の「端末3」において、通信路1を介してメール本文を受信するのであるから、後者は、前者と同様に、表示部に表示する情報をネットワークを介して受信する情報受信手段を具備し、 (ニ)後者の「返答メッセージ」は前者の「返信情報」に相当し、 (ホ)後者の「オフィス機器である端末3」において、メール文書を作成し、また、返答メッセージを作成するのであるから、後者の「該端末3」は、メール文書に含まれるメール本文を入力し、また、返答メッセージを入力するために、操作入力部を具備しており、 (へ)後者の「発信者の端末」は、前者の「該当するクライアント」に相当し、 (ト)後者の「端末3」において、返答メッセージを作成し、通信路1を介して発信者の端末へ返信するのであるから、後者は、前者と同様に、返信情報をネットワークを介して該当するクライアントに送信する返信情報送信手段を具備すると認められる。 よって、両者の一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] 電子的かつ視覚的に情報を表示するための表示部を有するオフィス機器と、このオフィス機器の前記表示部に表示する情報をネットワークを介して受信する情報受信手段と、表示部に表示される情報の入力内容ならびに前記表示部に表示された情報に対して、ネットワークを介して応答するための返信情報を入力するための操作入力部と、前記返信情報をネットワークを介して該当するクライアントに送信する返信情報送信手段とを具備する電子ネットワークシステム である点。 [相違点] (1)前者が、複数の人が共通して見ることができる位置に配置され電子的にかつ視覚的に各種情報を表示するための比較的大きな表示部を有する掲示板を具備する電子掲示システムであるのに対して、後者は、宛先が特定されたメール本文を表示する端末3を具備する電子メールシステムであり、端末3を前者のような掲示板とすることは記載されていない。 (2)前者が、操作入力部が掲示板の一部に配置されているのに対して、後者は、操作入力部がオフィス機器である端末3の一部に配置されているかは不明である。 IV.当審の判断 相違点(1)について。 引用例2に、電子メール通信網の通信装置に電子掲示板を設け、掲示板を読みたい加入者が、要求信号を送信することにより、宛先の特定されない情報である掲示板の内容を読み出し、メール通信により伝送することが記載されており、また、宛先の特定されない情報を表示する端末を表示部が複数の人が共通して見ることができる位置に配置し、その表示部が比較的大きなものとすることは、利用者の人数に応じて適宜選択できる程度のことであるから、上記記載事項を後者の電子メールシステムに適用して、端末をメール本文にかえて宛名の特定されない掲示板の内容を作成し、表示するものとし、表示部が複数の人が共通して見ることができる位置に配置し、その表示部が比較的大きなものとして、後者の電子メールシステムを前者の電子掲示システムとすることは、当業者が容易になし得たことと認める。 相違点(2)について。 表示部を有するオフィス機器において、操作入力部をオフィス機器の一部に配置することが周知の技術手段(例えば、特開昭57-191738号公報、特に第1図及びその説明としての第2頁右上欄第12行〜同頁左下欄第1行の記載を参照。)であるから、後者において、この周知の技術手段を用いて本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことと認める。 そして、本願発明の効果は、上記引用例1、2に記載の効果から容易に予測できるものと認められる。 V.むすび 以上を総合して判断すると、本願発明は、上記引用例1、2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-10-18 |
結審通知日 | 1999-10-26 |
審決日 | 1999-11-11 |
出願番号 | 特願昭63-60612 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 江口 能弘、徳永 民雄 |
特許庁審判長 |
佐藤 荘助 |
特許庁審判官 |
鶴谷 裕二 山本 穂積 |
発明の名称 | 情報処理サービスシステム |
代理人 | 山内 梅雄 |