ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01J |
---|---|
管理番号 | 1008530 |
審判番号 | 審判1999-5683 |
総通号数 | 8 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-06-10 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-04-09 |
確定日 | 1999-12-20 |
事件の表示 | 平成5年特許願第157733号「希ガス放電灯装置」拒絶査定に対する審判事件(平成6年6月10日出願公開、特開平6-163005)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 この出願は、昭和61年8月29日の出願(特願昭61-203348号)の一部を平成5年6月28日に新たな特許出願としたものである。 その発明の要旨は、平成7年10月2日付け手続補正書、平成9年6月16日付け手続補正書、平成10年11月20日付け手続補正書及び平成11年4月9日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に請求項1として記載された次のとおりのものと認める。 「透光性にして気密性のある管状のバルブと; このバルブの内部に封入されたキセノンを主体とする放電媒体と; バルブの軸方向に沿って形成されたスリット状の光導出部と; バルブ内面に形成された蛍光体被膜と; バルブ内に放電を生起させるようにバルブの軸方向に沿ってバルブ外面に配設された外面電極を含んでなる放電生起手段と; 放電生起手段に接続されるようにバルブの軸方向の一端側に設けられたリード線を含んでなる給電部と; この給電部に接続され、放電生起手段に高周波電圧を印加する点灯手段と; を具備していることを特徴とする希ガス放電灯装置。」 2.引用刊行物の記載 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、「実願昭59-148221号(実開昭61-63760号)のマイクロフィルム」(以下、「刊行物1」という)及び「実願昭48-125618号(実開昭50-69880号)のマイクロフィルム」(以下、「刊行物2」という))には、それぞれ、次の事項が記載されている。 (刊行物1) ア、この考案は、一方の電極をガラス管体の外壁に沿わせ、低圧希ガスを封入して高周波放電により点灯するように構成した冷陰極放電管に関する。 (第1頁15行から17行まで) イ、第1図において、(1)は透明なガラス管体である。(2)は内部電極であって、前記ガラス管体(1)の一端に内装し、他端は気密室を構成するよう密封する。(3)は外部電極であって、前記内部電極(2)と一対となって作用する。(中略)外部電極として該ガラス管体(1)の外表面に密着させており、 (第3頁14行から20行まで、第1図) ウ、また、ガラス管体(1)内には5Torr〜100Torrの低圧希ガスが封入されている。(4)はガラス管体(1)内の表面に被着した蛍光体、(5)は口金であって、内部電極(2)と電気的に接続する。(5’)は同じく口金であって、外部電極(3)と電気的に接続するものである。(6)は高周波発生回路であって、通電して点灯しうるよう電極に接続されている。 (第4頁5行から11行まで、第1図) エ、次にこの考案の実施態様を第3図について説明すると、同一符号は第1図と同様、同一個所を示すもので基本的な構造は同一である。ただ、異なるところはガラス管体(1)の一方のみに口金を取りつけ、内部電極と外部電極とを電気的に接続し、この口金を介して高周波発生回路(6)に接続している点である。 (第5頁4行から10行まで、第3図) オ、殊に、この装置を(中略)複写機用光源(中略)に応用するときはその実益が大なるの特異性がある。 (第6頁20行から第7頁2行まで) カ、第1図、第3図及び第4図において、内部電極(2)に関連する構成は「内部電極(2)」とこれに続く「幅狭の部分」とからなり、「幅狭の部分」はガラス管(1)の内部から外部に導出されている、ことがみてとれる。 (第1図、第3図、第4図) キ、第4図において、高周波発生回路(6)からの給電を示す幾何学的線は、「幅狭の部分」に直接引かれており、ガラス管体(1)の内部電極(2)側の端部には第1図又は第3図に記載された「口金(5)」に相当するものは記載されていない、ことがみてとれる。 (第4図) (刊行物2) ク、バルブの内面に蛍光体の被着されない開口部を有する開口型の放電灯。 (第1頁10行から11行まで) 3.対比 この出願の発明と刊行物1に記載された発明とを対比する。 (刊行物1に記載された発明) まず、刊行物1のリード線について検討する。 第4図において、上記事項カ及びキから、「幅狭の部分」は内部電極に接続されて内部電極への給電を行う「リード線」を構成する、ことは明らかである。 また、第1図及び第3図において、給電は「口金5」、「幅狭の部分」、「内部電極」の経路で行われていることから、口金を介して給電を行うこれらの場合であっても「幅狭の部分」も給電に関与し、結果「リード線」を構成する、ことも明らかである。 したがって、第3図において、「幅狭の部分」は「リード線」を構成し、このリード線たる「幅狭の部分」と「口金」とが給電部を構成する。 次に、上記事項エの「次にこの考案の実施態様を第3図について説明すると、同一符号は第1図と同様、同一個所を示すもので基本的な構造は同一である」との記載を考慮して、上記事項アからエまで及び第3図を参照すると、刊行物1には、 「透光性にして気密性のあるガラス管体(1)と、 このガラス管体の内部に封入された希ガスと、 ガラス管体内面に被着された蛍光体(4)と、ガラス管体内に放電を生起させるようにガラス管体の軸方向に沿ってガラス管体外面に配設された外部電極(3)と内部電極(2)と、 外部電極と内部電極に接続されるようにガラス管体の軸方向の一端側に設けられた「幅狭の部分」と口金(5)と、 「幅狭の部分」と口金に接続され、外部電極と内部電極に高周波電圧を印加する高周波発生回路(6)と、 を具備している低圧希ガスを封入して高周波放電により点灯するように構成した冷陰極放電管」 が記載されている。 ここで、刊行物1に記載された、「ガラス管体(1)」、「希ガス」、「被着された蛍光体(4)」、「外部電極(3)と内部電極(2)」、「「幅狭の部分」と口金(5)」、「高周波発生回路(6)」、「低圧希ガスを封入して高周波放電により点灯するように構成した冷陰極放電管」が、それぞれ、この出願の発明の「管状のバルブ」、「放電媒体」、「蛍光体被膜」、「外面電極を含んでなる放電生起手段」、「リード線を含んでなる給電部」、「点灯装置」、「希ガス放電灯装置」に相当することは、明らかである。 (一致点・相違点) したがって、この出願の発明と引用刊行物に記載された発明とは、下記1の一致点において一致し、下記2の相違点において相違する。 記1(一致点) 透光性にして気密性のある管状のバルブと、 このバルブの内部に封入された放電媒体と、 バルブ内面に形成された蛍光体被膜と、 バルブ内に放電を生起させるようにバルブの軸方向に沿ってバルブ外面に配設された外面電極を含んでなる放電生起手段と、 放電生起手段に接続されるようにバルブの軸方向の一端側に設けられたリード線を含んでなる給電部と、 この給電部に接続され、放電生起手段に高周波電圧を印加する点灯手段と、 を具備していることを特徴とする希ガス放電灯装置。 記2(相違点) a.放電媒体について、この出願の発明は「キセノンを主体とする」のに対して、刊行物1には、「希ガス」と記載されているだけで希ガスの具体的な種類および成分については記載がない。 b.この出願の発明は、「バルブの軸方向に沿って形成されたスリット状の光導出部」を備えるのに対して、刊行物1にはそのような記載はない。 4.当審の判断 上記相違点について検討する。 (相違点a) 冷陰極放電管に封入される希ガスについては、例えば、「実願昭59-179672号(実開昭61-95052号)のマイクロフィルム」中の「このバルブ1内には、アルゴン、キセノン、クリプトン、ネオンなどの少なくとも1種の希ガスが封入されている」との記載、又は同じく「このバルブ内にキセノンを100Torr封入した」との記載に示されるように、その種類にはアルゴン、キセノン、クリプトン、ネオンなどがあり、それらの中から任意に選択をすることができることは周知である。 したがって、「キセノンを主体とする」ことは、周知である上記任意の選択において、当業者が必要に応じて設定すべき単なる設計的事項に過ぎない。 (相違点b) 上記事項オによれば、刊行物1に記載された上記冷陰極放電管は「複写機用光源」に有用である旨記載されている。 ところで、複写機用光源において、線状の光を放射するために「バルブの軸方向に沿ってスリット状の光導出部を形成する」ことは周知であり(例えば、「実願昭58-21402号(実開昭59-128164号)のマィクロフイルム」を参照)、そして、スリット状の光導出部として「バルブの内面に蛍光体の被着されない開口部を形成する」ことも周知である(刊行物2の上記事項クを参照)。 したがって、「バルブの軸方向に沿ってスリット状の光導出部を形成する」ことは、刊行物1に記載された上記冷陰極放電管を「複写機用光源」に応用する場合(上記事項オ)において、刊行物2に記載された発明及び上記周知の技術を参照して、当業者が容易になしうることに過ぎない。 (効果等) また、この出願の発明の効果についても、刊行物1及び刊行物2に記載されたもの並びに周知技術から、当業者が容易に予測することができる程度のものである。 5.むすび 以上のとおりであるから、この出願の発明は、上記刊行物1及び刊行物2に記載された発明並びに周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-09-13 |
結審通知日 | 1999-09-21 |
審決日 | 1999-09-29 |
出願番号 | 特願平5-157733 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01J)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小川 浩史、須原 宏光、北村 明弘 |
特許庁審判長 |
新宮 佳典 |
特許庁審判官 |
渡邊 聡 森 雅之 |
発明の名称 | 希ガス放電灯装置 |