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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65H |
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管理番号 | 1008567 |
審判番号 | 審判1998-20154 |
総通号数 | 8 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-05-21 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-12-24 |
確定日 | 1999-12-27 |
事件の表示 | 平成3年特許願第261103号「画像形成装置および画像形成装置の用紙整合装置」拒絶査定に対する審判事件(平成5年5月21日出願公開、特開平5-124752)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I.本願発明 本願は、平成3年9月12日の出願であって、その請求項4に係る発明は、平成4年10月16日付及び平成10年9月16日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、上記平成10年9月16日付手続補正書の請求項4に記載された次のとおりのものと認める。 「画像転写部の上流部に配置され、一旦停止させられた用紙を当該画像転写部に向けて送り出すレジストローラと、 前記レジストローラを用紙搬送方向に対して横方向に駆動するための横方向駆動手段と、 前記レジストローラの上流部に設けられ、停止させられた用紙に対してループを形成させるプリレジストローラとを具備し、 前記プリレジストローラは用紙搬送方向に対して横方向への移動を許容するように支持され、前記レジストローラにニップされて前記横方向駆動手段により横移動される用紙の腰の強さにより当該プリレジストローラが追従して横移動されるように構成してなることを特徴とする画像形成装置の用紙整合装置。」 II.引用例の記載 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、特開平3-94275号公報(以下、「引用文献1」という。)には下記の事項が記載されている。 ▲1▼「本発明は、電子複写機やレーザプリンター等のカット紙を用いて、感光ドラムに形成されたトナー画像を転写し、記録紙を作成する装置に関し、特に、画像の転写位置の直前部分に配置したレジストレーション装置により、用紙の先端部と側面とを規制しながら、送り出すようにする装置に関する。」(第2頁左上欄第12〜18行) ▲2▼「図示された例に従って、本発明の用紙のレジストレーション装置の構成を説明する。 第1図および第1a図に示される実施例は、用紙搬送路の側部に検知手段23を配置し、用紙のエッジを検知させるようにした場合を示している。この実施例においては、ゲート装置10の下流部に近接してレジローラ装置1を配置しており、該レジローラ装置1を駆動ローラ2とピンチローラ3とから構成する。」(第4頁左上欄第16行〜同頁右上欄第5行) ▲3▼「前記軸3aの一方の端部には、ラック8が設けられており、他方の端部にはアクチュエータ21が設けられる。前記ラック8には、ローラ軸駆動装置5のモータ6により駆動される駆動ギア7が噛合い、該モータを正逆方向に駆動することによって、ラック8を介して軸3aを矢印x、y方向に移動させ得るようになっている。」(第4頁右上欄第11〜17行) ▲4▼「前述したように構成される本発明の装置において、上ガイド板16と下ガイド板17とを所定の間隔をおいて対向させて用紙搬送路を構成し、その用紙搬送路15内を搬送される用紙に対して、感光体ドラム等からの画像転写位置の直前部分で、一旦停止させるようにする。その用紙をゲート装置10により停止させる際に、用紙の先端部がゲート装置に突き当たってから、一定の時間搬送ローラ装置12を駆動して、その用紙PにループPaを形成させるようにする。」(第4頁左下欄第13行〜同頁右下欄第2行) また、原査定の拒絶の理由に引用された実願昭62-91343号(実開昭63-200545号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という。)には、下記の事項が記載されている。 ▲5▼「また、本考案の用紙のレジストレーション装置は、第6図に示されているように構成することも可能である。この実施例においては、送りローラ4を軸13に対してスプリングを介して摺動可能に設けるとともに、斜めローラ38,39を用紙搬送路の同一線上に設け、該斜めローラ38,39を連動させるように構成している。」(第16頁第3〜9行) ▲6▼「したがって、この実施例の場合には、第7a図に示されるように、用紙が送りローラ4と斜めローラ38,39によってニップされた状態にある場合には、それぞれのスプリングの力のバランスする状態で用紙の搬送が行われることになる。」(第17頁第3〜7行) III.対比・判断 ここで、本願請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)と上記引用文献1に記載された発明(以下、「引用発明1」という。)とを対比する。 上記記載▲1▼によれば、引用発明1のレジストレーション装置は画像転写部の上流部(直前部分)に配置されて用紙を当該転写部に向けて送り出すものであり、上記記載▲2▼から該レジストレーション装置はレジローラ装置とその上流のゲート装置を備えているものであり、また上記記載▲4▼から用紙は(レジローラ装置の上流の)ゲート装置により一旦停止されるから、引用発明1の「レジローラ装置」は「画像転写部の上流部に配置され、一旦停止させられた用紙を当該画像転写部に向けて送り出す」ものであって本願発明の「レジストローラ」に相当する。 上記記載▲3▼から、レジローラ装置の軸3aは、ローラ軸駆動装置5により矢印x、y方向、すなわち用紙搬送方向に対して横方向に駆動されるものであるから、「ローラ軸駆動装置5」は本願発明の「横方向駆動手段」に相当する。 上記記載▲4▼から、引用発明1の「搬送ローラ装置12」は、ゲート装置に突き当たって停止させられた用紙をさらに送ろうとして用紙にループを形成するものであるから、本願発明の「プリレジストローラ」に相当する。 よって、本願発明と引用発明1は、 「画像転写部の上流部に配置され、一旦停止させられた用紙を当該画像転写部に向けて送り出すレジストローラと、 前記レジストローラを用紙搬送方向に対して横方向に駆動するための横方向駆動手段と、 前記レジストローラの上流部に設けられ、停止させられた用紙に対してループを形成させるプリレジストローラとを具備し」ている点で一致し、次の点でのみ相違する。 すなわち、本願発明においては「プリレジストローラ」は「用紙搬送方向に対して横方向への移動を許容するように支持され、レジストローラにニップされて横方向駆動手段により横移動される用紙の腰の強さにより当該プリレジストローラが追従して横移動されるように構成」されているのに対して、引用発明1においては、本願発明のプリレジストローラに相当する「搬送ローラ装置12」は用紙搬送方向に対して横方向へ移動を許容するように支持されておらず、「レジストローラ(レジローラ装置)にニップされて横方向駆動手段により横移動される用紙の腰の強さにより当該プリレジストローラ(搬送ローラ装置)が追従して横移動されるように構成」されていない点で、本願発明と引用発明1とは相違している。 上記相違点について検討する。上記引用文献2の上記記載▲5▼には、送りローラ4(プリレジストローラに相当)を軸方向、すなわち、用紙搬送方向に対して横方向に摺動可能に設けることが記載されており、上記相違点の「搬送ローラを用紙搬送方向に対して横方向へ移動を許容するように支持」する点は、上記引用文献2に記載されている。また、記載▲6▼の「スプリングの力のバランスする状態で用紙の搬送が行われる」より引用文献2に記載のものにおいても、「横移動される用紙の腰の強さにより用紙送りローラが追従して横移動される」という作用効果を有することは明らかであるから、上記相違点に関する構成は公知の技術である。そして、上記引用文献2の送りローラ4はレジストレーション装置の上流側に配置されているものである点で引用発明1の搬送ローラ装置12と共通するものであることに鑑みれば、上記引用文献2に記載の上記公知技術を、引用発明1に適用し、本願発明の構成とすることに格別の困難性は認められない。 また、本願発明の効果も、引用文献1および2に記載の発明から当業者であれば予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 IV.むすび したがって、この出願の請求項4に係る発明は、引用文献1および2に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論の通り審決する。 |
審理終結日 | 1999-10-07 |
結審通知日 | 1999-11-02 |
審決日 | 1999-11-05 |
出願番号 | 特願平3-261103 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65H)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 永安 真 |
特許庁審判長 |
村本 佳史 |
特許庁審判官 |
杉原 進 森林 克郎 |
発明の名称 | 画像形成装置および画像形成装置の用紙整合装置 |
代理人 | 高橋 紘 |