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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B08B
管理番号 1008617
審判番号 審判1998-15631  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-06-04 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-10-08 
確定日 2000-01-14 
事件の表示 平成7年特許願第61885号「回転式基板洗浄装置」拒絶査定に対する審判事件(平成8年6月4日出願公開、特開平8-141519)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願発明
本願は、平成7年2月23日の出願であって、その請求項1に係る発明は、補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の通りのものと認める。
「【請求項1】基板を鉛直方向の軸芯周りで回転可能に保持する基板保持手段と、
基板表面に対する洗浄作用面の最大長さ部分が、前記基板の回転中心とそれに最も近い基板外周端縁部分との距離より短い長さを有し、前記洗浄作用面により基板表面を洗浄する洗浄具と、
前記洗浄具を鉛直方向の軸芯周りで回転させる洗浄具回転手段と、
前記洗浄具を基板表面に沿って水平方向に変位する洗浄具移動手段と、
基板表面の前記洗浄具による洗浄箇所に洗浄液を供給する洗浄液供給手段とを備えた回転式基板洗浄装置において、
前記洗浄具を前記基板に対して昇降可能に支持する昇降支持手段と、
前記洗浄具の前記基板に対する押圧力を付与する押圧手段と、
前記基板に対する前記洗浄具の押圧力を感知する押圧力感知手段と、
その押圧力感知手段によって感知した圧力が一の基板の表面全面に渡って設定範囲内に維持されるように前記押圧手段を自動的に作動して前記洗浄具を前記基板に対して昇降する押圧力制御機構と、
を備えたことを特徴とする回転式基板洗浄装置。」
2.引用刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である平成3年3月6日に頒布された「特開平3-52228号公報」(以下「引用刊行物1」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
A.「この洗浄装置は、第4図に概略的に示すように、半導体ウエハ10がスピンチャック12上に、例えば真空吸着あるいはベルヌイチャック方式等によって固定可能となっていて、このスピンチャック12の回転により上記半導体ウエハ10を比較的低速にて回転可能である。」(公報第2頁右下欄第11行〜第16行)
B.「半導体ウエハ10を洗浄するためのスクライビングブラシ22は、アーム16の一端側に固着され、かつ、そのアーム16の他端側はスキャナ18に支持されている。そして、このスキャナ18の駆動によりアーム16を介して上記スクライビングブラシ22を、第4図に示す揺動範囲にわたって揺動(公転駆動)可能としている。」(同第2頁右下欄第20行〜第3頁左上欄第6行)
C.「また、上記の洗浄効果をさらに高めるために、スクライビングブラシ22を第4図の矢印C方向に時点駆動可能としている」(同第3頁左上欄第13行〜第16行)
D.「半導体ウエハ洗浄時には、上記の洗浄液供給経路を介して、スクライビングブラシ22の中央部より洗浄液を吐出可能となっている。」(同第3頁左下欄第1行〜第4行)
E.「この垂直固定ブロック52は、前記アーム支持ブロック42との間にリニアベアリング54を有し、このリニアベアリング54により前記アーム16をアーム支持ブロックに対して上下動可能としている。」(同第3頁右下欄第6行〜第10行)
F.「また、CPU80は、シリンダ60の駆動によって得られるスクライビングブラシ22のコンタクト圧を計算し、このコンタクト圧を表示駆動部86を介してディジタル表示部88に数値表示するようにしている。また、オペレータにより所望のコンタクト圧を設定するために操作入力部90が設けられ、CPUは操作入力部90を介して情報の入力があった場合には、その情報に基づきシリンダ60のストローク制御を行うようになっている。」(同第4頁右上欄第17行〜左下欄第6行)
これらの記載事項及び図面に示された事項によると、引用刊行物1には「基板(「半導体ウエハ10」が相当)を鉛直方向の軸芯周りで回転可能に保持する基板保持手段(「スピンチャック12」が相当)と、
基板表面に対する洗浄作用面の最大長さ部分が、前記基板の回転中心とそれに最も近い基板外周端縁部分との距離より短い長さを有し(図面より明らか)、前記洗浄作用面により基板表面を洗浄する洗浄具(「スクライビングブラシ22」が相当)と、
前記洗浄具を鉛直方向の軸芯周りで回転させる洗浄具回転手段と(上記記載(C)より明らか)、
前記洗浄具を基板表面に沿って水平方向に変位する洗浄具移動手段(「アーム16」が相当)と、
基板表面の前記洗浄具による洗浄箇所に洗浄液を供給する洗浄液供給手段とを備え(上記記載(D)より明らか)た回転式基板洗浄装置において、
前記洗浄具を前記基板に対して昇降可能に支持する昇降支持手段(前記記載(E)より明らか)と、
前記洗浄具の前記基板に対する押圧力を付与する押圧手段(前記記載(F)より明らか)と、
を備えたことを特徴とする回転式基板洗浄装置」の発明が記載されているものと認められる。
また、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である昭和59年11月1日に頒布された「特開昭59-193029号公報」(以下「引用刊行物2」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
G.「被洗浄物を保持するステージと、被洗浄物に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、被洗浄物の洗浄面をこするブラシと、前記ブラシを被洗浄物の洗浄面に接近離反させる駆動部と、前記被洗浄物に接触するブラシの接触圧を検出する接触圧検出部と、この接触圧検出部の情報に基づいて設定圧となるように前記駆動部を制御する制御部と、を有することを特徴とする洗浄装置。」(特許請求の範囲第1項)
H.「前記ブラシは回動しかつステージも回動する」(特許請求の範囲第3項)
これらの記載事項及び図面に示された事項によると、引用刊行物2には「基板(「被洗浄物」が相当)を鉛直方向の軸芯周りで回転可能に保持する基板保持手段(「ステージ」が相当)と、
洗浄作用面により基板表面を洗浄する洗浄具(「ブラシ」が相当)と、
前記洗浄具を回転させる洗浄具回転手段(上記記載(H)から明らか)と、
基板表面の前記洗浄具による洗浄箇所に洗浄液を供給する洗浄液供給手段(「洗浄液供給機構」が相当)とを備えた回転式基板洗浄装置において、
前記洗浄具を前記基板に対して昇降可能に支持する昇降支持手段(「駆動部」が相当)と、
前記洗浄具の前記基板に対する押圧力を付与する押圧手段と、
前記基板に対する前記洗浄具の押圧力を感知する押圧力感知手段(「接触圧検出部」が相当)と、
その押圧力感知手段によって感知した圧力が一の基板の表面全面に渡って設定範囲内に維持されるように前記押圧手段を自動的に作動して前記洗浄具を前記基板に対して昇降する押圧力制御機構(「制御部」が相当)と、
を備えたことを特徴とする回転式基板洗浄装置」の発明が記載されているものと認められる。
3.対比
請求項1に係る発明と、引用刊行物1記載の発明を対比すると、両者は、「基板を鉛直方向の軸芯周りで回転可能に保持する基板保持手段と、
基板表面に対する洗浄作用面の最大長さ部分が、前記基板の回転中心とそれに最も近い基板外周端縁部分との距離より短い長さを有し、前記洗浄作用面により基板表面を洗浄する洗浄具と、
前記洗浄具を鉛直方向の軸芯周りで回転させる洗浄具回転手段と、
前記洗浄具を基板表面に沿って水平方向に変位する洗浄具移動手段と、
基板表面の前記洗浄具による洗浄箇所に洗浄液を供給する洗浄液供給手段とを備えた回転式基板洗浄装置において、
前記洗浄具を前記基板に対して昇降可能に支持する昇降支持手段と、
前記洗浄具の前記基板に対する押圧力を付与する押圧手段と、
を備えたことを特徴とする回転式基板洗浄装置」である点で一致しており、一方、
請求項1に係る発明は、「基板に対する前記洗浄具の押圧力を感知する押圧力感知手段」と、
「押圧力感知手段によって感知した圧力が一の基板の表面全面に渡って設定範囲内に維持されるように前記押圧手段を自動的に作動して前記洗浄具を前記基板に対して昇降する押圧力制御機構」とを備えているのに対し、引用刊行物1に記載された発明では備えていない点で相違する。
4.当審の判断
上記相違点について検討すると、引用刊行物2に、「基板に対する前記洗浄具の押圧力を感知する押圧力感知手段」及び「押圧力感知手段によって感知した圧力が一の基板の表面全面に渡って設定範囲内に維持されるように前記押圧手段を自動的に作動して前記洗浄具を前記基板に対して昇降する押圧力制御機構」が記載されており、請求項1に係る発明は、引用刊行物1に記載された発明に引用刊行物2に記載された発明を組み合わせたものに相当するが、何れも、請求項1に係る発明と同じ半導体ウエハ等の洗浄に関する技術分野に属するものであって、これらを組み合わせることに格別の困難性は認められない。
また、請求人は審判請求理由補充書において、「引用文献4(上記引用刊行物2)に開示された構成では、基板の回転中心から、基板外周縁部までを常に一定の押圧力(接触圧)で押圧するのであるから、基板に局所的な反りが生じていた場合には、その局所的な反りのある箇所のみ押圧力を調整することは不可能である」旨の主張をしているが、この点は、ブラシの接触面と基板の相対的位置によって効果の程度の差が現れる程度のものであって、引用刊行物2のものが局所的な反りに全く効果を奏しないとする根拠はなく、むしろ、引用刊行物2のものは押圧力を感知しながら能動的に押圧力を制御していることから、当業者であれば、基板の局所的な反り等にもある程度の効果を持つものであることは、容易に想像できるものと認められるから、引用刊行物1に記載の発明と引用刊行物2に記載の発明を組み合わせることによって得られる効果は、それぞれの発明の持つ効果の和以上の格別のものではない。
したがって、請求項1に係る発明は、引用刊行物1、2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとするのが相当であって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
5.むすび
以上のとおりであるから、本願は、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-10-28 
結審通知日 1999-11-16 
審決日 1999-11-22 
出願番号 特願平7-61885
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B08B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石田 宏之  
特許庁審判長 青山 紘一
特許庁審判官 長崎 洋一
藤本 信男
発明の名称 回転式基板洗浄装置  

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