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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F |
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管理番号 | 1008720 |
審判番号 | 審判1998-3188 |
総通号数 | 8 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1992-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-02-27 |
確定日 | 2000-01-12 |
事件の表示 | 平成2年特許願第126758号「パチンコ機」拒絶査定に対する審判事件(平成4年1月27日出願公開、特開平4-22379)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
〔出願の経緯及びこの出願の発明〕 この出願は、平成2年5月18日に出願されたものであって、その請求項1に係る発明は、平成10年3月5日付け手続補正によって補正された明細書の特許請求の範囲に記載されたとおりの、「パチンコ機の裏面に設けたスイッチによって、遊技盤面に設けた複数の表示面を介して成立される大当たりになる確率を、選択により1/200以下における少なくとも2段階以上(1/210,1/230)の確率に切り替え設定することができるようになしたことを特徴とするパチンコ機」にあるものと認められる。 〔引用例に記載された発明〕 これに対し、当審の拒絶理由において引用された、この出願の出願前に国内において頒布された刊行物である特開昭61-20573号公報(以下、引用例という)には、 特に、 ▲1▼「第2図は・・・裏面構造を説明するための図である」(第4頁左下欄第16,17行)、図面第2図(第14頁)及び図面第3B図(第14頁)の記載から、 ディジタル確率可変スイッチ54が、弾球遊技機1の裏面に設けられているものと認められること、 ▲2▼「ディジタル確率可変スイッチ54は、ディジタル表示部16b・・・の表示において、「7」の表示がされる確率を変更指示するためのスイッチである。ディジタル確率可変スイッチ54を任意の位置に回動停止することにより、「7」の出る確率を10分の1〜10分の10のいずれかに変更指示することができる」(第5頁右上欄第3ないし9行)の記載から、 ディジタル確率可変スイッチ54は、ディジタル表示部16bの「7」の出る確率を10分の1〜10分の10のいずれかに変更指示するものと認められること、 ▲3▼前記▲2▼及び「このように、ディジタル表示部16bが「7」を表示する確率を変えることは、次のような意義を有する。前述のように可変表示装置16の表示が所定の組合せ、たとえばディジタル表示部16bおよびスロットドラム16aの表示がすべて「7」になったとき、可変入賞装置・・・が開いて、パチンコ球が入賞する確率が高くなり、遊技者にとって有利な状態となる。言い換えれば、弾球遊技機1を、営業上どの程度の出玉率の台に設定するかは、可変表示装置16の表示が、所定の組合せになる確率を変えることで調整することができるのである」(第5頁右上欄第10行ないし左下欄第1行)の記載から、 ディジタル確率可変スイッチ54を任意の位置に回動停止してディジタル表示部16bの「7」の出る確率を変更指示し、これにより、遊技盤15面に設けたスロットドラム16a、ディジタル表示部16bを含む可変表示装置16の表示がすべて「7」になる確率を、変えることができるものと認められること、 ▲4▼前記▲2▼,▲3▼及び図面第3B図(第14頁)の記載から、 可変表示装置16の表示がすべて「7」になる確率を、10段階変えられるものと認められること、からみて、 「弾球遊技機1の裏面に設けたディジタル確率可変スイッチ54によって、ディジタル表示部16bの「7」の出る確率を10分の1〜10分の10のいずれかに変更指示し、遊技盤15面に設けたスロットドラム16a、ディジタル表示部16bを含む可変表示装置16の表示がすべて「7」になる確率を、ディジタル確率可変スイッチ54を任意の位置に回動停止することにより10段階変えることができるようになした弾球遊技機1」を構成とする発明が記載されているものと認められる。 〔この出願の請求項1に係る発明と引用例に記載された発明との対比〕 そこで、この出願の請求項1に係る発明(前者)と引用例に記載された発明(後者)とを対比すると、 後者の 「弾球遊技機1」、「ディジタル確率可変スイッチ54」、「スロットドラム16a、ディジタル表示部16bを含む可変表示装置16の表示がすべて「7」になる確率」、「任意の位置に回動停止することにより」及び「変える」 がそれぞれの機能に照らし、それぞれ 前者の 「パチンコ機」、「スイッチ」、「複数の表示面を介して成立される大当たりになる確率」、「選択により」及び「切り替え設定する」 に相当するものと認められるから、 両者は、 「パチンコ機の裏面に設けたスイッチによって、遊技盤面に設けた複数の表示面を介して成立される大当たりになる確率を、選択により切り替え設定することができるようになしたパチンコ機」である、 点において一致し、 (1)確率の切り替え設定の仕方が、 前者は、スイッチによって行う以外、特定されていない、 のに対し、 後者は、スイッチによって、複数の表示面の内の1つの表示面の「7」が出る確率を10分の1〜10分の10のいずれかに変更指示するものである、 (2)確率の切り替え設定が、 前者は、1/200以下における少なくとも2段階以上(1/210,1/230)である、 のに対し、 後者は、10段階である、 点において相違しているものと認められる。 〔相違点についての当審の判断〕 しかし、相違点(1)についてみるに、 複数の表示面の内の1つの表示面の「7」が出る確率を変更指示すれば、複数の表示面を介して「7」の出る確率(大当たりになる確率)を切り替え設定できることは、自明の技術的事項にすぎない。即ち、複数の表示面の内の他方の表示面の「7」の出る確率が例えば200分の1に固定されているとして、複数の表示面の内の一方の表示面の「7」の出る確率を10分の1〜10分の10に変更指示するものとすれば、複数の表示面を介して「7」の出る確率(大当たりになる確率)が両表示面のそれぞれの確率を掛け合わせたものである2000分の1〜200分の1となることは、自明の技術的事項である。このように、後者が複数の表示面の内の1つの表示面の確率を変更指示することで、複数の表示面を介して大当たりになる確率を切り替え設定できる以上、前者が確率の切り替え設定の仕方を特定していないからといって、この点に関し、両者間に相違があるということはできない。 次いで、相違点(2)についてみるに、 確率を1/200以下にすること自体は、複数の表示面を介して大当たりになる遊技機、すなわち、図柄の組み合わせにより連続役物を作動させる遊技機、においては、国家公安委員会規則によって定められている事項であって、当然そうしなければならない事項、すなわち、当業者が容易になし得る事項、というべく、又、1/210,1/230に定めることは、当業者が適宜選択し得る設計事項であるというべきである。 そして、効果に関し、両者間に、格別の相違があるものとは認められない。 (なお、平成11年10月20日付け意見書において、引用例に記載された発明のディジタル確率可変スイッチ54は、4個の表示部の内の一つのディジタル表示部16bのみの確率を変えるためのものであり、4個の表示部が全て同じ図柄に揃う確率を変更するものではない旨主張しているところ、相違点(1)についての判断のところで述べたように、一つの表示部のみの確率を変えることによって、全ての表示部の図柄が揃う確率を変え得ることは、自明の技術的事項にすぎない。又、同書において、この出願の請求項1に係る発明は、複数の表示部の図柄が揃う確率を、直接変更するものである旨主張しているところ、「直接」がどのような構成を意味するのかは措くとしても、この出願の出願当初の明細書及び図面を子細に検討しても、「直接」という記載は認められない。) 〔まとめ〕 したがって、この出願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-11-10 |
結審通知日 | 1999-11-26 |
審決日 | 1999-12-01 |
出願番号 | 特願平2-126758 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 斎藤 利久 |
特許庁審判長 |
馬場 清 |
特許庁審判官 |
平瀬 博通 吉村 尚 |
発明の名称 | パチンコ機 |
代理人 | 杉山 一夫 |