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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01C
管理番号 1008726
審判番号 審判1998-18970  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-12-07 
確定日 2000-01-04 
事件の表示 平成2年特許願第43679号「施肥装置を備えた移植機」拒絶査定に対する審判事件(平成3年10月31日出願公開、特開平3-244307)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯・本願発明
本願は、平成2年2月22日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成10年8月3日付け手続補正書で補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲に記載されたとおりの、
「前側が高く後側が低く傾斜した苗載せ台(15)と該苗載せ台(15)の後端部側に設けた苗植付け体(17)とを備えた移植部(12)を乗用走行車体(1)の後部に設けた昇降リンク(11)を介して昇降可能に装着し、該乗用走行車体(1)の昇降リンク(11)の基部側上方に施肥装置(13)の繰り出し部(19)を装着し、該繰り出し部(19)側から移植部(12)側の施肥位置へ施肥管(24)で肥料を導き該施肥管(24)内に導入した圧力風で肥料を移送する構成とした施肥装置付き乗用型移植機において、
前記施肥管(24)を、機体側面視で、繰り出し部(19)側から前記昇降リンク(11)の上方を通り前記苗載せ台(15)の前側に沿って苗載せ台(15)の後端側下方の施肥位置に向かうよう配置するとともに、機体側面視で昇降リンク(11)の上方を通る部分の施肥管(24)を、機体側面視で昇降リンク(11)の上方に位置する状態で移植部(12)側に支持させる支持手段を設けたことを特徴とする施肥装置付き乗用型移植機。」
にある。
II.引用例記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された、特開昭60-126008号公報(以下、「引用例1」という)及び実願昭57-147599号(実開昭59-50221号)のマイクロフイルム(以下、「引用例2」という)には、次の事項が記載されている。
引用例1
「走行機体(1)に、肥料を収容するホッパー(26)と、このホッパー(26)から肥料を少量ずつ繰出す繰出装置(27)と、その繰出口(イ)に連接して土壌面側へその繰出された肥料を移送案内するホース(28)と、このホース(28)下端に連接されて土壌面を作溝する作溝器(29)とからなる施肥装置(25)を複数個設け、この施肥装置(25)の前記各ホース(28)(28)…を走行車体(1)の適所に設けられる送風機(31)で風を吹込んで空気搬送するに、前記走行車体(1)のフレームの少なくても一部を鋼製のパイプとなし、このパイプに送風機(31)から空気を吹込み、このパイプの適所に空気溜り機能を有するタンク(3)を連結し、このタンク(3)と前記各ホース(28)(28)…の基端側とを連結してなる施肥機。」(特許請求の範囲)
「(17)は田植装置で、植付ミッションケース(18)に左右に往復横移動する苗タンク(19)と、上下に罷動する苗植付具(20)と・・・
(23)は昇降リンクで、前記走行車体(1)に田植装置(17)を上下動可能に取付けるものである。・・・
(25)は施肥装置で、肥料を収容するホッパー(26)とその下部に取付けられる繰出装置(27)と、この繰出口に連通されて下方へ向けてたしたホース(28)と、このホース(28)下端に止着される作溝器(29)とからなり、この繰出装置(27)のフレームが前記走行車体(1)側の支柱(16)にブラケット(30)によって支架されている。」(2頁左下欄4〜18行)
図面を参考にし上記記載をみると、引用例1には、前側が高く後側が低く傾斜した苗タンク(19)と該苗タンク(19)の後端部側に設けた苗植付け具(20)とを備えた田植装置(17)を乗用走行車体(1)の後部に設けた昇降リンク(23)を介して昇降可能に装着し、該乗用走行車体(1)の昇降リンク(23)の基部側上方に施肥装置(25)の繰出装置(27)を装着し、該繰出装置(27)側から田植装置(17)側の施肥位置ヘホース(28)で肥料を導き該ホース(28)内に導入した圧力風で肥料を移送する構成とした施肥装置付き乗用型移植機において、前記ホース(28)を、機体側面視で、繰出装置(27)側から前記昇降リンク(23)の上方を通り前記苗タンク(19)の前側に沿って苗タンク(19)の後端側下方の施肥位置に向かうよう配置した施肥装置付き乗用型移植機が記載されていると認められる。
引用例2
「従来、上記田植機は、苗植付装置の上昇に起因した主タンクと補助タンクとの接近に伴ない可撓性ホースが不確定な方向に彎曲するために、苗植付装置の昇降に伴ない可撓性ホースが機体が苗植付装置の一部に不測にひっかかり、苗植装置の昇降を阻害したり、また、ホースが屈部的に屈曲されて肥料移送の円滑さを欠いたりする問題があり、・・・ホースの亀烈損傷を招く等の問題があった。
本考案の目的は、上述従来の実情に鑑みて、可撓性ホースの取付構造に単する簡単な改良により、苗植付装置の昇降に伴なうホースの機体や苗植付装置へのひっかかりを確実に防止する点にある。」(2頁11〜3頁6行)
「尚、苗植付装置(9)の上昇に伴いホース(15)を所定方向に彎曲させるに、第5図に示すように、先端部をホース(15)の長手方向中間部に遊嵌状態で係止させた板バネ(33)を、ホース(15)の長手方向に沿う状態で、かつ、板バネ(33)の弾性撓み反撥力によりホース(15)を上方向きに彎曲付勢する状態で、運転座席(5a)上方の主タンク(13)から連設し、苗植付装置(9)の上昇に伴いその板バネ(33)の付勢作用によりホース(15)を上方向きに彎曲させるように構成する等、バネによりホース(15)に所定方向への彎曲特性を付与するための具体的構造は各種の構成変更が可能である。」(10頁7〜18行)
III.対比・判断
本願発明と上記引用例1記載の発明とを比較すると、引用例1記載の「苗タンク(19)」、「苗植付け具(20)」、「田植装置(17)」、「繰出装置(27)」及び「ホース(28)」が本願発明の「苗載せ台(15)」、「苗植付け体(17)」、「移植部(12)」、「繰り出し部(19)」及び「施肥管(24)」にそれぞれ相当しているので、両者は、前側が高く後側が低く傾斜した苗載せ台(15)と該苗載せ台(15)の後端部側に設けた苗植付け体(17)とを備えた移植部(12)を乗用走行車体(1)の後部に設けた昇降リンク(11)を介して昇降可能に装着し、該乗用走行車体(1)の昇降リンク(11)の基部側上方に施肥装置(13)の繰り出し部(19)を装着し、該繰り出し部(19)側から移植部(12)側の施肥位置へ施肥管(24)で肥料を導き該施肥管(24)内に導入した圧力風で肥料を移送する構成とした施肥装置付き乗用型移植機において、前記施肥管(24)を、機体側面視で、繰り出し部(19)側から前記昇降リンク(11)の上方を通り前記苗載せ台(15)の前側に沿って苗載せ台(15)の後端側下方の施肥位置に向かうよう配置した施肥装置付き乗用型移植機で一致し、
本願発明が、機体側面視で昇降リンク(11)の上方を通る部分の施肥管(24)を、機体側面視で昇降リンク(11)の上方に位置する状態で移植部(12)側に支持させる支持手段を設けているのに対し、引用例記載の発明は、苗植装置(17)側にホース(28)を支持させる支持手段を設けていない点で相違する。
上記相違点について検討する。
上記引用例2の記載によると、引用例2には、主タンク(13)から苗植付装置(9)へ向って配置した可撓性ホース(15)の中間部を上方から支持し、苗植付装置の昇降に伴い可撓性ホースが機体が苗植付装置の一部に不測にひっかかり、苗植付装置の昇降を阻害したり、また、ホースが屈部的に屈曲されて肥料移送の円滑さを欠くことを防止する技術思想が開示されているといえる。
そうすると、引用例1記載の発明においても、繰出装置(27)側から前記昇降リンク(23)の上方を通り前記苗タンク(19)の前側に沿って苗タンク(19)の後端側下方の施肥位置に向かうよう配置したホース(28)は、田植装置(17)の昇降に伴い近傍の部材にひっかかる等の問題が生じるおそれがあることは明らかであるから、引用例1記載の発明において、繰出装置(27)側から施肥位置に向かうよう配置したホース(28)の中途部を上方に位置する部材、すなわち、苗植装置(17)で支持してホース(28)が近傍の部材に不測にひっかからないようにすることは、当業者なら容易に想到できることである。
そして、本願発明の効果は、引用例1及び2に記載された発明から予測できることであって格別のものではない。
IV.むすび
したがって、本願発明は、引用例1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-09-27 
結審通知日 1999-10-19 
審決日 1999-11-15 
出願番号 特願平2-43679
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 昭次  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 鈴木 寛治
新井 重雄
発明の名称 施肥装置を備えた移植機  

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