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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 H04Q |
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管理番号 | 1008837 |
異議申立番号 | 異議1999-73758 |
総通号数 | 8 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1984-08-10 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-10-04 |
確定日 | 2000-01-13 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第2879056号「移動無線局用制御チャネル選択方法及び装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2879056号の特許請求の範囲第1項に記載された発明についての特許を維持する。 |
理由 |
(手続きの経緯) 特許第2879056号に係る発明についての出願は、昭和58年12月16日(優先権主張1982年12月17日米国)になされ、その出願は、平成7年8月24日付けで拒絶審決が出されたが平成10年4月14日付け判決(平成8年(行ケ)26号)によって、取り消された後、平成11年1月29日にその発明について特許の設定登録がなされた後、その請求項1に係る発明について特許異議申立人中村吉孝より特許異議申立てがなされたものである。 (特許異議申立てについて、) ア、本件発明 特許第2879056号の請求項1に係る発明(以下、本件発明という)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「各無線ゾーンにそれぞれ1つづつ位置する基地無線局を複数有する無線通信方式の任意の無線ゾーンにおける移動無線局(MS)にて制御チャネルを選択する方法であって、移動無線局(MS)といずれかの基地無線局との間の通信が、各基地無線局に割当てられる少なくとも1つの制御チャネルを含む複数の通信チャネルの内のいずれかを介して行われ;各基地無線局(BS)が自局(BS)に割当てられる各制御チャネルにて、他の複数の基地無線局に割当てられている制御チャネル(CCH)をそれぞれ識別する他局リファレンス(RF)をそれぞれ可変の時間間隔で送信し;このような各リファレンス(RF)の内容を、少なくともそれによって識別される制御チャネル(CCH)のチャネル番号(cnr)とし;移動無線局(MS)が前記各リファレンスのリストを作製し、現在使用している制御チャネル(CCH)の品質が予定した品質レベル以下となる場合に、移動無線局(MS)が前記リストに基づいて他の制御チャネルの走査動作を開始し;移動無線局が前記リストから最良有効制御チャネルの選択を試みることを特徴とする移動無線局用制御チャネル選択方法。」 イ,申立ての理由の概要 特許異議申立人中村吉孝は、 甲第1号証:特開昭53-131703号公報 甲第2号証:特開昭51-120102号公報を挙げて、本件特許は a:各無線ゾーンにそれぞれ1つずつ位置する基地無線局を複数有する無線通信方式の任意の無線ゾーンにおける移動無線局(MS)にて制御チャネルを選択する方法であって、 b:移動無線局(MS)といずれかの基地無線局との間の通信が、各基地無線局に割当てられる少なくとも1つの制御チャネルを含む複数の通信チャネルの内のいずれかを介して行われ; c:各基地無線局(BS)が自局(BS)に割当てられる各制御チャネルにて、他の複数の基地無線局に割当てられている制御チャネル(CCH)をそれぞれ識別する他局リファレンス(RF)をそれぞれ可変の時間間隔で送信し; d:このような各リファレンス(RF)の内容を、少なくともそれによって識別される制御チャネル(CCH)のチャネル番号(cnr)とし; e:移動無線局(MS)が前記各リファレンスのリストを作製し、現在使用している制御チャネル(CCH)の品質が予定した品質レベル以下となる場合に、移動無線局(MS)が前記リストに基づいて他の制御チャネルの走査動作を開始し; f:移動無線局が前記リストから最良有効制御チャネルの選択を試みることを特徴とする移動無線局用制御チャネル選択方法。(なお、a〜fは説明のために付加)であるのに対して、 上記甲第1号証には、 「それぞれの通信区域を管轄する複数の基地局と、それら複数の区域内を移動しながら前記基地局の1個と通信を行う移動体とで構成される移動通信方式において、移動体に複数の基地局から送信される制御信号の受信強度を比較する手段を備え、最大強度で受信される制御信号に基づいてその制御信号を送信する基地局の通話チャネルを選択するように切り替え制御されることを特徴とする通話中チャンネル切り替え方式。」(第1頁左下欄6行〜同欄15行) 「第3図は、本発明実施例方式に使用される移動体1の装置構成図である。第3図で空中線Aに、受信機RX及び送信機TXが結合されている。・・・・・・・受信機RXの制御信号出力は信号受信蓄積部RGの読出出力には、エリア識別部DTに受信されている複数の基地局から最大の基地のエリア識別信号のみが送出されるように構成されている。これは一例として、複数の基地局からの制御信号をそれぞれのメモリエリアに、その信号強度を示すデータとともに格納しておき、その信号強度を示すデータが最強の信号強度となるものを選択して出力するよう構成される。」(第2頁右上欄7行〜同頁左下欄3行) 「次に、この移動体1が通話中のまま基地局2の管轄区域5内の点P1から基地局3の管轄区域6内の例えばP2に移動した場合を説明する。移動体1は基地局2と基地局3の双方からのエリア識別信号を受信し、この信号は前述のように信号受信蓄積部RGを経由して、エリア識別部DTに送られる。エリア識別部DTでは前述のように、エリア識別信号のうち信号強度の最も強いものを識別子出力する。点P2ではこれが基地局3のエリア識別信号であったとする。これとエリア記憶部Mの内容を照合部CPにて照合比較すると、エリア記憶部Mの内容は基地局2のものであるがために不一致となり、チャンネル切替要と判定され、制御部CTが起動され基地局3の空通話チャンネルを捕捉するよう制御される。」(第2頁右下欄12行〜第3頁上欄6行) 「以上説明したように、通話中チャンネルの切替に際して周辺基地局の信号測定を省略できるため、監視局における処理が簡略化され、また信号強度の強い基地局との間に制御信号を送受することができるので、制御信号の送受信に誤りが少なくなり、通話中のチャンネル切替がより確実におこなわれる。」(第3頁右上欄4〜10行) なる記載がなされており、また、甲第2号証には、 「第3図は本発明の実施例において、(a)は第1図のゾーンAの基地局からの選択呼出回線で接続制御回線の回線番号を移動局に報知する信号(以下報知信号という)を示している。 また、図中6,7はそれぞれCHAA1、CHAAHの回線番号を内容とした報知信号の系列であり、各々は一定時間T秒ずつ連続して送信される。8は選択呼出信号であり、選択呼出が発生したときには、第3図(b)のように報知信号の系列に割り込んで送信される。第3図(c)、(d)は2つの移動局(以下1,2で区別する)がゾーンAの選択呼出回線(CHAP)を、電源ONまたはゾーン移行により新しく捕捉した時点である。」旨の記載がなされているので、本件発明は、上記甲第1号証及び甲第2号証に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたもので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本発明の特許は特許法第113条第2項に該当すると認められるので、取り消されるべきである旨主張している。 ウ,当審の判断 特許異議申立人は、構成要件e及びfに対して、甲第1号証には、「移動体1で受信された基地局2及び基地局3の双方からのエリア識別信号を受信し、この信号は前述のうように信号受信蓄積部RGを経由して、エリア識別部DTに送られる。エリア識別部DTでは前述のように、エリア識別信号のうち信号強度の最も高いものを識別し出力する。点Pではこれが基地局3のエリア識別信号であったとする。これとエリア記憶部Mの内容を照合部CPにて照合比較すると、エリア記憶部Mの内容は基地局2のものであるために不一致となり、チャンネル切替要と判定され、制御部CTが起動され基地局3の空通話チャンネルを捕捉するよう制御される。」と記載されているので、本件発明の構成要件のe及びfに相当するものが開示されている旨主張しているが、甲第1号証に開示されているのは、エリア識別信号のうち信号強度の最も高いものとエリア記憶部Mの内容(現在使用中)を照合部CPにて照合比較するものであるために、現在使用中のものよりも高い信号強度のものが存在した時点で切替るものであるのに対して、本件発明では、制御チャネルの品質が予定した品質レベル以下となった場合にリストに基づいて他の制御チャネルの走査動作を開始し、リストから最良有効制御チャネルの選択を試みるものであって、両者は切替の判定を行う時点が(現在使用中の信号強度よりも高いものが現れた時点か、品質が予定品質レベルより以下となった時点)かで相違しているとともに、切替に際しても自動的に高い方に切替るか、最良有効な制御チャンネルの選択をみる)かで相違している。そしてこのことによって、本件発明では、制御チャンネルのよりスムーズな切替ができるものである。 また、甲第2号証にも、本件発明の上記特徴点に関しては開示されていない。 したがって、本件発明発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (むしび) 以上のとおりであるから、特許異議申立も理由及び証拠によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1999-12-10 |
出願番号 | 特願昭58-236508 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
Y
(H04Q)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 池田 敏行、宮島 郁美 |
特許庁審判長 |
内藤 照雄 |
特許庁審判官 |
吉見 信明 橋本 正弘 |
登録日 | 1999-01-29 |
登録番号 | 特許第2879056号(P2879056) |
権利者 | コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ |
発明の名称 | 移動無線局用制御チャンネル選択方法及び装置 |
代理人 | 津軽 進 |