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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06F
管理番号 1008839
異議申立番号 異議1998-70431  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1988-12-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-01-30 
確定日 2000-01-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第2634596号「かな漢字変換装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2634596号の特許請求の範囲第1項ないし第2項に記載された発明についての特許を取り消す。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第2634596号の発明は、昭和62年6月23日に特許出願され、平成9年4月25日にその特許の設定登録がなされ、その後、平成10年1月30日に相原光政より特許異議の申立てがなされた。
同10年4月3日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同10年6月29日に訂正請求がなされた。
これに対して、同11年3月9日付けで訂正拒絶理由を通知したところ、指定期間内である同11年6月7日に手続補正がなされたものである。
2.訂正請求の補正の適否
補正明細書の特許請求の範囲の「この再変換に際し、部分確立するテキスト文字列が接頭語または接頭語を伴わない自立語の場合は独立の文節として、部分確立するテキスト文字列が接頭語を伴う自立語,接頭語,付属語の場合は前文節の一部として新しい文節を作成し、」という事項はその技術的意味及びその具体的手段が訂正明細書のいずれの箇所にも記載されていない。即ち、訂正明細書には「第28図において、ステップ1705では、確立するテキスト文字列が前文節の一部であるかを調べる。確立するテキスト文字列が接頭語または接頭語を伴わない自立語の場合は、独立の文節として、文節情報エリアに「0」をセットし、確立するテキスト文字列が接頭語を伴う自立語,接頭語,付属語の場合は、前文節の一部として、文節情報エリアに「1」をセットする。ここでいう接頭語を伴う自立語とは、確立するテキスト文字列が自立語で、その直前のテキスト文字列が接頭語である場合をいう。」(訂正明細書第26頁第9行〜同第17行目)とは記載されているが、この記載及び図面第28図の記載を参照しても、再変換に際して、部分確立するテキスト文字列が接頭語または接頭語を伴わない自立語の場合は独立の文節とする点、及び部分確立するテキスト文字列が接頭語を伴う自立語,接頭語,付属語の場合は前文節の一部として新しい文節を作成する点の技術的意味及びその具体的手段が明りょうでない。
したがって、この手続補正は、平成10年6月29日付けの訂正明細書に記載された特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明の何れにも該当しないので、当該補正は特許法第131条第2項の規定により採用できない。
3.訂正の適否
(1)訂正明細書の特許請求の範囲に記載された発明(以下、「本件訂正発明」という。)は、その特許請求の範囲に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「かな漢字変換の対象となる読みを入力する入力部と、かな漢字変換の指示なくしてかな漢字変換をおこなう手段と、そのかな漢字変換結果を文節単位に分ける手段と、入力した文字列やかな漢字変換処理により生成されたかな漢字変換候補を記憶する記憶部と、単語の読みを索引手段として、単語の表記,品詞などの情報を格納する辞書と、前記入力文字列から部分文字列を切り出して、辞書内における対応読みを有する語を検索する辞書検索手段と、前記辞書検索手段によって検索された語を元に、前後の語との接続検定手段を含むかな漢字変換処理部と、前記入力部より入力した文字やかな漢字変換結果を表示する表示部と、かな漢字変換対象文字列を表示選択しながら確立して行く手段とを具備するかな漢字変換装置において、
入力した文字列とかな漢字変換結果の文字列とを文節単位に対応付けて記憶するメモリと、前記かな漢字変換結果を修正指示する手段と、前記修正指示手段により前記メモリに記憶した該文節の前の文節情報を付加し、かな漢字自動変換後、かな漢字変換候補の全てを確立させる全部確立以前の状態では、修正したい個所にカーソルを移動させて任意の文節を再変換するとともに、その再変換に際し、文節区切りの変更の場合と、同音異義語の変更の場合とを、共に同一の操作で変更し、文節の長さの異なる変換候補を同時に表示部に表示する手段と、前記表示部に表示された変換候補を選択する手段と、新たにかな漢字変換された修正文字列を出力する手段と、前記の修正操作により修正された新たな文節の変換結果に対応するよう、前記メモリを書き換える手段とを付加したことを特徴とするかな漢字変換装置」
(2)刊行物記載の発明
本件訂正発明に対して訂正拒絶理由通知書において示した刊行物(特開昭62-11964号公報)には、「入力文字列を複数の分割変換単位に分割し各分割変換単位毎に漢字仮名混じり文字列に変換する仮名漢字変換部と入力文字列に対する漢字仮名混じり文字列候補を出力する漢字仮名混じり文字列候補を出力する漢字仮名混じり文字列出力部とを備えた仮名漢字変換装置において、前記各分割変換単位毎の漢字仮名混じり文字列を入力文字列に従って直並列に従属配列したネットワークの形で保持するネットワーク記憶部と、変換し出力した結果を修正する指示入力に対して修正を施す分割変換単位同音異義語のように同じ分割変換単位をもつ別候補と、異なる分割変換単位を持つ候補を前記ネットワーク記憶部より取り出し出力する候補修正処理部と、出力した候補群のうち選択キーにより選ばれた候補に後続する候補列を前記ネットワーク記憶部より取り出し出力する最適候補作成処理部と、更に前記候補修正処理部と最適候補作成処理部と、更に前記候補修正処理部と最適候補作成処理部を制御する処理選択判定処理部とを設けたことを特徴とする仮名漢字変換装置。」(特許請求の範囲の欄)と記載されている。また、「表示部60で第12図に示すように画面右下にマトリックスを表示する。」(公報第6頁右上欄第20行〜同頁左下欄第1行目)と記載され、また、「第14図に示す候補とオペレータの意図する候補は、「いせき」の部分が「遺跡」と「移籍」で異なる。そこで、「解析」を「科」に修正した時と同じ操作を行うことにより修正することができる。」(公報第6頁左下欄第19行〜同頁右下欄第3行目)と記載されている。そして、上記刊行物に記載されている発明におけるネットワーク記憶部も、入力した文字列と仮名漢字変換結果の文字列とを文節単位に対応付けて記憶する役割を持ち、また、該ネットワーク記憶部に記憶する際には、辞書検索手段によって検索された語を元に、前後の語との接続検定を当然行っているものと認められる。
以上のことから、上記刊行物には、かな漢字変換の対象となる読みを入力する入力部と、そのかな漢字変換結果を文節単位に分ける手段と、入力した文字列やかな漢字変換処理により生成されたかな漢字変換候補を記憶する記憶部と、単語の読みを索引手段として、単語の表記,品詞などの情報を格納する辞書と、前記入力文字列から部分文字列を切り出して、辞書内における対応読みを有する語を検索する辞書検索手段と、前記辞書検索手段によって検索された語を元に、前後の語との接続検定手段を含むかな漢字変換処理部と、前記入力部より入力した文字やかな漢字変換結果を表示する表示部と、かな漢字変換対象文字列を表示選択しながら確立して行く手段とを具備するかな漢字変換装置において、
入力した文字列とかな漢字変換結果の文字列とを文節単位に対応付けて記憶するメモリと、前記かな漢字変換結果を修正指示する手段と、かな漢字自動変換後、かな漢字変換候補の全てを確立させる全部確立以前の状態では、修正したい個所にカーソルを移動させて任意の文節を再変換するとともに、その再変換に際し、文節区切りの変更の場合と、同音異義語の変更の場合とを、共に同一の操作で変更し、文節の長さの異なる変換候補を同時に表示部に表示する手段と、前記表示部に表示された変換候補を選択する手段と、新たにかな漢字変換された修正文字列を出力する手段と、前記の修正操作により修正された新たな文節の変換結果に対応するよう、前記メモリを書き換える手段とを付加したかな漢字変換装置、に関する発明が記載されている。
(3)対比・判断
本件訂正発明と刊行物に記載された発明とを対比すると、両者は共に、
「かな漢字変換の対象となる読みを入力する入力部と、そのかな漢字変換結果を文節単位に分ける手段と、入力した文字列やかな漢字変換処理により生成されたかな漢字変換候補を記憶する記憶部と、単語の読みを索引手段として、単語の表記,品詞などの情報を格納する辞書と、前記入力文字列から部分文字列を切り出して、辞書内における対応読みを有する語を検索する辞書検索手段と、前記辞書検索手段によって検索された語を元に、前後の語との接続検定手段を含むかな漢字変換処理部と、前記入力部より入力した文字やかな漢字変換結果を表示する表示部と、かな漢字変換対象文字列を表示選択しながら確立して行く手段とを具備するかな漢字変換装置において、
入力した文字列とかな漢字変換結果の文字列とを文節単位に対応付けて記憶するメモリと、前記かな漢字変換結果を修正指示する手段と、かな漢字自動変換後、かな漢字変換候補の全てを確立させる全部確立以前の状態では、修正したい個所にカーソルを移動させて任意の文節を再変換するとともに、その再変換に際し、文節区切りの変更の場合と、同音異義語の変更の場合とを、共に同一の操作で変更し、文節の長さの異なる変換候補を同時に表示部に表示する手段と、前記表示部に表示された変換候補を選択する手段と、新たにかな漢字変換された修正文字列を出力する手段と、前記の修正操作により修正された新たな文節の変換結果に対応するよう、前記メモリを書き換える手段とを付加したかな漢字変換装置」である点で一致し、以下の点で両者の発明は相違しているものと認められる。
<相違点>
▲1▼本件訂正発明では、かな漢字変換の指示なくしてかな漢字変換をおこなう手段を有しているのに対して、上記刊行物に記載されている発明には、このような手段を設けることが明記されていない点。
▲2▼本件訂正発明では、修正指示手段によりメモリに記憶した該文節の前の文節情報を付加するように構成しているのに対して、上記刊行物には、このような構成について記載されていない点。
そこで、上記相違点▲1▼について検討すると、かな漢字変換装置において、かな漢字変換の指示なくしてかな漢字変換をおこなうように構成することは、例えば、特開昭61-145676号公報あるいは特開昭61-190657号公報に示されるように従来周知の技術事項であり、刊行物に記載されているかな漢字変換装置に、かな漢字変換の指示なくしてかな漢字変換をおこなう手段を付加して本件訂正発明のように構成することは当業者が容易に想到し得る程度のものと認められる。
次に、上記相違点▲2▼について検討すると、かな漢字変換装置において、変換結果を修正変更する際に、前単語との接続関係を含めた再解析・再変換を行って候補列を生成し、それについて最尤評価を行うことは、例えば、特開昭61-145676号公報に記載されるように従来周知の技術事項であるから、刊行物に記載されている発明に、変換結果を修正変更する際に、修正指示手段によりメモリに記憶した該文節の前の文節情報を付加するようにして本件訂正発明のように構成することは当業者が容易に想到し得る程度のものと認められる。
以上のとおりであるから、本件訂正発明は、刊行物に記載された発明から当業者が容易に想到し得る程度のものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(4)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する同法第126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
4.特許異議申立てについての判断
(1)本件第1特許発明
以上のとおり訂正請求は認められないので、本件第1特許発明はその特許明細書の特許請求の範囲の第1項に記載された以下のとおりのものと認められる。
「かな漢字変換の対象となる読みを入力する入力部と、かな漢字変換の指示なくしてかな漢字変換をおこなう手段と、そのかな漢字変換結果を文節単位に分ける手段と、入力した文字列やかな漢字変換処理により生成されたかな漢字変換候補を記憶する記憶部と、単語の読みを索引手段として、単語の表記、品詞などの情報を格納する辞書と、前記入力文字列から部分文字列を切り出して、辞書内における対応読みを有する語を検索する辞書検索手段と、前記辞書検索手段によって検索された語を元に、前後の語との接続検定手段を含むかな漢字変換処理部と、前記入力部より入力した文字やかな漢字変換結果を表示する表示部と、かな漢字変換対象文字列を表示選択しながら確立して行く手段とを具備するかな漢字変換装置において、
入力した文字列とかな漢字変換結果の文字列とを文節単位に対応付けて記憶するメモリと、前記かな漢字変換結果を修正指示する手段と、かな漢字自動変換後、かな漢字変換候補の全てを確立させる全部確立以前の状態では、修正したい箇所にカーソルを移動させて任意の文節を再変換するとともに、その再変換に際し、同音異義語を出力してかな漢字変換結果を修正する手段と、前記の修正操作により修正された文節の変換結果に対応するよう、前記メモリを書き換える手段とを付加したことを特徴とするかな漢字変換装置」
なお、「修正しない箇所」の記載は、「修正したい箇所」の明らかな誤記と認めて訂正した。
(2)本件第2特許発明
本件第2特許発明はその特許明細書の特許請求の範囲の第2項に記載された以下のとおりのものと認められる。
「かな漢字変換の対象となる読みを入力する入力部と、かな漢字変換の指示なくしてかな漢字変換をおこなう手段と、そのかな漢字変換結果を文節単位に分ける手段と、入力した文字列やかな漢字変換処理により生成されたかな漢字変換候補を記憶する記憶部と、単語の読みを索引手段として、単語の表記、品詞などの情報を格納する辞書と、前記入力文字列から部分文字列を切り出して、辞書内における対応読みを有する語を検索する辞書検索手段と、前記辞書検索手段によって検索された語を元に、前後の語との接続検定手段を含むかな漢字変換処理部と、前記入力部より入力した文字やかな漢字変換結果を表示する表示部と、かな漢字変換対象文字列を表示選択しながら確立して行く手段とを具備するかな漢字変換装置において、
入力した文字列とかな漢字変換結果の文字列とを文節単位に対応付けて記憶するメモリと、前記かな漢字変換結果を修正指示する手段と、前記修正指示手段により前記メモリに記憶した該文節の前の文節情報を付加しかな漢字自動変換後、かな漢字変換候補の全てを確立させる全部確立以前の状態では、修正したい個所にカーソルを移動させて任意の文節を再変換するとともに、その再変換に際し、文節区切りの変更の場合と、同音異義語の変更の場合とを、共に同一の操作で変更し、新たにかな漢字変換された修正文字列を出力する手段と、前記の修正操作により修正された新たな文節の変換結果に対応するよう、前記メモリを書き換える手段とを付加したことを特徴とするかな漢字変換装置」
(3)引用刊行物記載の発明
平成10年4月3日付けで通知した取消理由に引用した刊行物2(特開昭62-11964号公報)には、上記「3.(2)刊行物記載の発明」の項で示した発明が記載されている。
(4)対比・判断
(a)本件第1特許発明について
本件特許第1発明と刊行物2に記載されている発明を対比すると、両者は共に、「かな漢字変換の対象となる読みを入力する入力部と、そのかな漢字変換結果を文節単位に分ける手段と、入力した文字列やかな漢字変換処理により生成されたかな漢字変換候補を記憶する記憶部と、単語の読みを索引手段として、単語の表記、品詞などの情報を格納する辞書と、前記入力文字列から部分文字列を切り出して、辞書内における対応読みを有する語を検索する辞書検索手段と、前記辞書検索手段によって検索された語を元に、前後の語との接続検定手段を含むかな漢字変換処理部と、前記入力部より入力した文字やかな漢字変換結果を表示する表示部と、かな漢字変換対象文字列を表示選択しながら確立して行く手段とを具備するかな漢字変換装置において、
入力した文字列とかな漢字変換結果の文字列とを文節単位に対応付けて記憶するメモリと、前記かな漢字変換結果を修正指示する手段と、かな漢字自動変換後、かな漢字変換候補の全てを確立させる全部確立以前の状態では、修正したい箇所にカーソルを移動させて任意の文節を再変換するとともに、その再変換に際し、同音異義語を出力してかな漢字変換結果を修正する手段と、前記の修正操作により修正された文節の変換結果に対応するよう、前記メモリを書き換える手段とを付加したかな漢字変換装置」である点で一致し、以下の点で相違しているものと認められる。
<相違点>
本件特許第1発明では、かな漢字変換の指示なくしてかな漢字変換を行うように構成しているのに対して、刊行物2に記載されている発明には、このような手段を設けることが明記されていない点。
そこで、上記相違点について検討すると、かな漢字変換装置において、かな漢字変換の指示なくしてかな漢字変換をおこなうように構成することは、例えば、特開昭61-145676号公報あるいは特開昭61-190657号公報に示されるように従来周知の技術事項であり、刊行物2に記載されているかな漢字変換装置に、かな漢字変換の指示なくしてかな漢字変換をおこなう手段を付加して本件特許第1発明のように構成することは当業者が容易に想到し得る程度のものと認められる。
(b)本件第2特許発明について
本件特許第2発明と刊行物2に記載されている発明を対比すると、両者は共に、
「かな漢字変換の対象となる読みを入力する入力部と、そのかな漢字変換結果を文節単位に分ける手段と、入力した文字列やかな漢字変換処理により生成されたかな漢字変換候補を記憶する記憶部と、単語の読みを索引手段として、単語の表記、品詞などの情報を格納する辞書と、前記入力文字列から部分文字列を切り出して、辞書内における対応読みを有する語を検索する辞書検索手段と、前記辞書検索手段によって検索された語を元に、前後の語との接続検定手段を含むかな漢字変換処理部と、前記入力部より入力した文字やかな漢字変換結果を表示する表示部と、かな漢字変換対象文字列を表示選択しながら確立して行く手段とを具備するかな漢字変換装置において、
入力した文字列とかな漢字変換結果の文字列とを文節単位に対応付けて記憶するメモリと、前記かな漢字変換結果を修正指示する手段と、かな漢字自動変換後、かな漢字変換候補の全てを確立させる全部確立以前の状態では、修正したい個所にカーソルを移動させて任意の文節を再変換するとともに、その再変換に際し、文節区切りの変更の場合と、同音異義語の変更の場合とを、共に同一の操作で変更し、新たにかな漢字変換された修正文字列を出力する手段と、前記の修正操作により修正された新たな文節の変換結果に対応するよう、前記メモリを書き換える手段とを付加したかな漢字変換装置」である点で一致し、以下の点で両者の発明は相違しているものと認められる。
<相違点>
▲1▼本件第2特許発明では、かな漢字変換の指示なくしてかな漢字変換をおこなう手段を有しているのに対して、上記刊行物2に記載されている発明には、このような手段を設けることが明記されていない点。
▲2▼本件第2特許発明では、修正指示手段によりメモリに記憶した該文節の前の文節情報を付加するように構成しているのに対して、上記刊行物2には、このような構成について記載されていない点。
そこで、上記相違点▲1▼について検討すると、から漢字変換装置において、かな漢字変換の指示なくしてかな漢字変換をおこなうように構成することは例えば、特開昭61-145676号公報あるいは特開昭61-190657号公報に示されるように従来周知の技術事項であり、刊行物2に記載されているかな漢字変換装置に、かな漢字変換の指示なくしてかな漢字変換をおこなう手段を付加して本件第2特許発明のように構成することは当業者が容易に想到し得る程度のものと認められる。
次に、上記相違点▲2▼について検討すると、かな漢字変換装置において、変換結果を修正変更する際に、前単語との接続関係を含めた再解析・再変換を行って候補列を生成し、それについて最尤評価を行うことは、例えば、特開昭61-145676号公報に記載されるように従来周知の技術事項であるから、刊行物2に記載されている発明に、変換結果を修正変更する際に、修正指示手段によりメモリに記憶した該文節の前の文節情報を付加するようにして、本件第2特許発明のように構成することは当業者が容易に想到し得る程度のものと認められる。
(5)むすび
以上のとおり、本件第1特許発明及び本件第2特許発明は、いずれも刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件第1特許発明及び本件第2特許発明は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、特許法第113条第1項第2号に該当し、取り消すべきものと認める。
よって結論のとおり決定する。
 
異議決定日 1999-11-19 
出願番号 特願昭62-154385
審決分類 P 1 651・ 121- ZB (G06F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 小川 謙阿波 進森 繁明  
特許庁審判長 森田 信一
特許庁審判官 久保田 健
齋藤 操
登録日 1997-04-25 
登録番号 特許第2634596号(P2634596)
権利者 株式会社日立製作所
発明の名称 かな漢字変換装置  
代理人 高橋 明夫  
代理人 田中 恭助  

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