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審決分類 |
審判 全部申し立て 出願日、優先日、請求日 A41B 審判 全部申し立て 2項進歩性 A41B |
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管理番号 | 1008885 |
異議申立番号 | 異議1999-72216 |
総通号数 | 8 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1992-10-14 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-06-07 |
確定日 | 1999-12-22 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第2833720号「使い捨てブリーフ」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2833720号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 |
理由 |
I.手続の経緯 本件特許2833720号の請求項1〜4に係る発明は、平成3年3月19日に出願され、拒絶理由通知に対して、平成10年4月13日に手続補正書が提出され、平成10年10月2日に設定登録がなされたもので、特許明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定されるとおりのものである。 II.申立の理由の概要 申立人河村伸一は、 甲第1号証:特開平4-289201号公報 甲第2号証:実願平5-24190号(実開平6-81519)のCD-ROM 甲第3号証:実用新案登録第2586288号公報(平成10年12月2日発行) 甲第4号証:特開平8-112309号公報を提出し、 平成10年4月13日付けの手続補正書(以下、「手続補正書」という)による補正は、明細書の要旨を変更するものであるにもかかわらず、これが看過されて特許査定がなされたものであるから、特許法第40条の規定により、本件特許出願は平成10年4月13日にしたものとみなされる。 したがって、本件特許の請求項1〜4の発明は、上記みなされた出願日前に頒布された刊行物である甲第1〜4号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない旨、主張する。 III.登録前の要旨変更についての検討 III-1.異議申立人の主張 異議申立人は、手続補正書で補正された本件明細書において、 補正▲1▼ 「複数本の前記第3の弾性部材のうちの一部が、前記コアを横切って前記バックシート側から前記トップシート側へ押圧している」(実用新案登録請求の範囲【請求項1】)、 補正▲2▼ 「複数本の前記第3の弾性部材のうちの一部が、前記コアを横切って前記バックシート側から前記トップシート側へその収縮によって押圧している」(欄【0012】)、 補正▲3▼ 「複数本の下部弾性部材のうちの一部は、吸水性コアの領域を横切ってバックシート側からトップシート側へ押圧していることで、ブリーフの着用中にコアの長さ方向端部近傍が着用者の身体から外方へ離れて浮き出ることがなく、その点でも、コアの前記排泄液吸収の低下を未然に防ぐことができるとともに、着用体裁を良好に保つことができる。」(欄【0018】)、 は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されてなく、自明とも言えないから、この補正は、明細書の要旨を変更するものである、と主張する。 III-2.当審の判断 III-2-1.願書に最初に添付した明細書又は図面の記載 本件特許の願書に最初に添付した明細書又は図面には、次のとおりの記載がある。 記載a. 「前記胴回り開口部における前記弾性部材が伸長下にトップシート及び/またはバックシートに接合してある複数本の弾性リボンからなり、該弾性リボンが前記開口部端縁から股下区域にかけて幅広く配置してあるとともに、該弾性リボンの伸長応力と伸長倍率とが前記胴回り開口部近傍において最も大きく、前記股下区域よりで相対的に小さくしてあることを特徴とする前記使い捨てブリーフ。」(【請求項1】)、 記載b. 「弾性リボンの伸長応力と伸長倍率とを胴回り開口部近傍から股下区域にかけて小さくすることにより胴回りから腰回りにかけて圧迫感を次第に和らげることができる。腰回りで弾性部材が収縮すればそこにギャザーを形成することができる。」(欄【0009】) 記載c. 「図2は、ブリーフ1の分解斜視図で…(バックシート内面の)プラスチックシート12の上面にはそれが伸縮可能なように吸水性コア9を接着剤または融着手段で間欠的に接合してある。… いずれの弾性部材も好ましくはリボン状であって、それが伸長下に、間欠的にトップシート8及び/またはバックシート9に接着剤で接合してある。こうして構成した積層体は、その中央部で縦方向に二つ折りに重ねてその両側縁をヒートシール手段で接合することで図1に示すブリーフ1に構成してある。」(欄【0013】) 記載d. 「弾性リボン6,7をこのように構成することでブリーフ1は着用者に対して胴回り開口部3で最も強く密着し、股下区域へ向かうにつれて穏やかに密着するように作ることができる。… 図3のように弾性リボン6,7が互いに平行に配置してある場合には、弾性リボン6,7の伸長応力や伸長倍率を開口部3端縁から股下区域15にかけて、例えば1本毎に、順次変えることでブリーフ1の胴回りから股下区域15にかけての伸縮性を穏やかに変化させることが容易になる。」(欄【0016】) 記載e. 図3は、第2実施例であるブリーフ1の分解斜視図であり、 吸水コア10は、 バックシート9上とトップシート8との間に設けられており、 複数本の第3の弾性リボン7は、 バックシート9上に、胴回り開口部の端縁に沿う第1の弾性リボン6の下部から股下区域へ向かう胴回りの所要範囲にわたって設置され、 その股下側の1本づつが、吸水コア10の長さ方向両端部を横切って配置されている構成が、 記載されている。 そして、「弾性リボン」は「弾性部材」の一実施例であり、 「(股下側の)弾性リボン7」は補正後の「第3の弾性部材」「下部弾性部材」に、 「吸水コア」は「コア」「吸水性コア」に、 各々、相当する。 また、図1〜2の実施例と図3の実施例は、弾性リボン7の設置形状が一方はループで、他方は平行線である点で相違するが、それ以外の構成は同じであるから、第1実施例(図1〜2)について記載b〜dにおいて引用した構成等は、図3の実施例においても同じである。 III-2-2.要旨変更にりいての判断 願書に最初に添付した明細書又は図面における記載a〜fを勘案して検討する。 A.補正▲1▼▲2▼について A-1. まず、図3の分解斜視図(記載e)には、補正▲1▼▲2▼のうち、 「複数本の前記第3の弾性部材のうちの一部が、(両シートの間に介在する)コアを横切って」という構成が、記載されている。 A-2. さらに、図3の分解斜視図において、コア10は、トップシートと、第3の弾性部材が設置されたバックシートとの間に配置されており(記載e)、 記載cにあるように「いずれの弾性部材も…、それが伸長下に間欠的に、…バックシート9に接合してある」から、 この分解斜視図のものをブリーフに構成したものでは、記載bにあるように「弾性部材が収縮」しており、着用時の「圧迫感」(記載b);「密着」(記載d)という記載からも分かるように、 補正▲1▼▲2▼の 「複数本の第3の弾性部材が、バックシート側からトップシート側へ押圧している」構成であること、 さらに、その「押圧」が、[弾性部材の収縮により」(補正▲2▼)生じることは、当然理解できるから、自明である。 A-3. そうしてみると、上記A-1,A-2の検討結果から、 補正▲1▼「複数本の前記第3の弾性部材のうちの一部が、前記コアを横切ってバックシート側からトップシート側へ押圧している」構成、 補正▲2▼「複数本の前記第3の弾性部材のうちの一部が、前記コアを横切ってバックシート側からトップシート側へその収縮によって押圧している」構成、 は、各々、願書に最初に添付した明細書又は図画に記載した事項の範囲内であり、その要旨を変更するものとはいえない。 B.補正▲3▼について さらに、補正▲1▼▲2▼の構成により補正▲3▼「ブリーフの着用中にコアの長さ方向端部近傍が着用者の身体から外方へ離れて浮き出ることがなく、その点でも、コアの前記排泄液吸収の低下を未然に防ぐことができるとともに、着用体裁を良好に保つことができる」という効果を奏することは、記載 b、記載d、記載fを考慮するまでもなく、当業者であれば、当然予測し得るものであるから、自明である。 そうしてみると、補正▲3▼は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内であり、その要旨を変更するものとはいえない。 C.したがって、補正▲1▼▲2▼▲3▼は、願書に最初に添付した明細書または図面の要旨を変更するものとはいえないから、本件特許出願の出願日は、平成10年4月13日とみなされる、という異議申立人の主張は採用できない。 IV.特許法第29条第2項についての判断 以上、検討したように出願日は繰り下がらず、異議申立人の提出した甲第1〜4号証は、いずれも本件特許の出願前に頒布された刊行物ではないから、特許法第29条第2項を適用することはできない。 したがって、同条の規定により特許を受けることができない、という異議申立人の主張は、採用することができない。 V.むすび 以上のとおりであるから、特許以後申立の理由および証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論の通り決定する。 |
異議決定日 | 1999-12-02 |
出願番号 | 特願平3-81005 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(A41B)
P 1 651・ 03- Y (A41B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 松縄 正登 |
特許庁審判長 |
佐藤 雪枝 |
特許庁審判官 |
鈴木 美知子 西村 綾子 |
登録日 | 1998-10-02 |
登録番号 | 特許第2833720号(P2833720) |
権利者 | ユニ・チャーム株式会社 |
発明の名称 | 使い捨てブリーフ |
代理人 | 白浜 吉治 |