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審決分類 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  B41J
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  B41J
審判 全部申し立て 2項進歩性  B41J
管理番号 1008893
異議申立番号 異議1999-73698  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-05-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-09-28 
確定日 1999-12-22 
異議申立件数
事件の表示 特許第2878534号「プリンタの用紙送り装置」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2878534号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 I.本件発明
本件特許第2878534号の請求項1及び2に係る発明(平成4年11月12日出願、平成11年1月22日設定登録。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された以下のとおりのものと認められる。
【請求項1】印字用紙(100)を用紙送りするための用紙送り手段(1)と、上記用紙送り手段(1)によって送られる上記印字用紙(100)を検出するための用紙検出センサ(10)と、上記用紙送り手段(1)が用紙送り動作をするのに連動して上記用紙検出センサ(10)を連続的に動作させ、上記用紙送り手段(1)が動作していないときには上記用紙検出センサ(10)を間欠的に動作させるセンサ制御手段(13)とを設けたことを特徴とするプリンタの用紙送り装置。
【請求項2】上記用紙送り手段(1)によって用紙送りされる用紙が単票用紙であるか連続帳票用紙であるかを選択するための選択手段(11)が設けられており、上記センサ制御手段(13)は、上記選択手段(11)が単票用紙を選択している場合にのみ上記用紙検査センサ(10)の動作を上記のとおり制御する請求項1記載のプリンタの用紙送り装置。
II.申立ての理由の概要
申立人 岡部健一は証拠として下記の甲第1〜4号証を提出し、本件の請求項1及び2に係る発明に対する特許は以下の取り消し理由を有していると主張している。
(1)本件特許発明は記載が不明りょうであるから特許法第36条の規定に違反して特許されたものである。
(2)請求項1に係る発明は甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。
(3)請求項2に係る発明は甲第1号証及び甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。
III.申立人が提出した甲第1〜4号証記載の発明
甲第1〜4号証には以下の点が記載されている。
(1)甲第1号証・・・特開昭63-185756号公報
a)「第6A図および第6B図は従来のこの種被搬送体検知装置が組込まれた紙幣識別機の一例を示す。ここで1は紙幣識別機、2は識別対象の紙幣であり、3は識別機1の紙幣挿入口近傍に配設され紙幣2が挿入されたことを検知するセンサである。挿入検知センサ3によって検知されると紙幣2の搬送が開始され、ローラ4とローラ4の対向位置に配設された例えば磁気センサ5との間を通過するときにセンサ5によって紙幣2上の磁性部が検知され、紙幣2の真偽に関する情報が求められた後更に搬送路6に沿って所定の位置に搬送される。」(2頁左上欄8〜19行)
b)「被搬送体が導入されるまでは間欠駆動によって被搬送体の有無が検知されているので長寿命化が図れ」(2頁右下欄20行〜3頁左上欄2行)
c)「挿入検知センサ3によって紙幣の挿入が検出されるまでの間、間欠タイマ12を介して第2A図に示すように間欠駆動信号KQを発生させ、これをトランジスタ10に供給して発光素子3Aを間欠点灯させる。その間欠のタイミングについては例えば第7図で示したような形態であってよい。次に、このように間欠駆動信号KQを供給している段階で、いま紙幣が挿入されると、センサ3からの検出信号Vsが第2B図に示すようにハイレベルとなる。そこで、本例ではこの時点で紙幣が挿入されたと判断し、その検出信号Vsの立上がりにより、タイマ12による間欠駆動を停止させ、発光ダイオード3Aを連続点灯させる」(3頁右上欄3〜15行)
(2)甲第2号証・・・特開昭62-200494号公報
「投入された紙幣を受入れ、真偽、金種などの鑑別を行ない、計数して紙幣スタッカに収納するとともに取引記録を示すレシートを印字発行する入金装置において、紙幣ジャムが発生した場合、ジャム紙幣の除却等の処理をした後、入金装置の復旧を指示し、この指示に基づきレシート印字発行部にてレシートを印字発行し、このレシートを入金紙幣搬送路に導入して入金紙幣搬送路中を走行させることを特徴とする入金エラー復旧方式。」(特許請求の範囲)
(3)甲第3号証・・・特開昭62-246760号公報
レーザプリンタに関するものであり、「受光素子3は、LED2の光を受けて、感材1の終端が通過したことを示す信号を出す。この信号がセンサ制御回路5から主制御回路4へ送られ、主制御回路4は感材送りモータ6を止め」(2頁左下欄2〜5行)との記載がある。
(4)甲第4号証・・・特開昭62-80072号公報
プリンタに関するものであり、「単票と連続帳票とのいずれか一方を印字媒体として指定する媒体指定手段」(特許請求の範囲)であるセットレバ23(3頁左上欄10〜12行)を有することが記載されている。
IV.申立人の主張に対する当審の判断
(1)特許法第36条違反との主張について
請求人は、本件明細書における「用紙送り動作をするのに連動して」なる記載はラインフィードモータがどのようにして(何をトリガーにして)回転を開始し、どのようにして回転を中止するのか、記載がなく、不明りょうであると主張する。
しかしながら、前記の点について具体的記載がなくても本件特許発明の属するプリンタの技術分野における当業者であるならば、プリンタに常識的に備わっているプリントの開始手段及び中止手段に同機する何らかの(用紙送り手段を回転させる)ラインフィードモータの回転開始手段及び中止手段を備えていることは容易に理解できることである。したがって、当該主張は採用できない。
(2)請求項1に係る発明に対する特許法第29条第2項違反との主張について
請求項1に係る発明と申立人が提出した甲第1号証記載の発明とを対比すると、後者には「用紙送り動作をするのに連動して用紙検出センサを連続的に動作させ」る点(以下「構成A」とう。)が記載されておらず、示唆もされていない。請求項1に係る発明は甲第1号証記載の発明にはない前記構成を有することにより、プリンタにおける用紙検出センサの動作時間が短かくなってその劣化が遅れ、寿命を長くすることができるという効果を奏するものである。
申立人は、甲第1号証記載の発明における「挿入検知センサ3」が請求項1に係る発明における「用紙検出センサ」に相当する旨主張する。しかしながら、甲第1号証記載の発明における「挿入検知センサ」は間欠駆動と連続駆動が可能な駆動手段を具えるものではあるが、検知センサの連続駆動と被搬送体の搬送が連動するものではなく、本件請求項1に係る発明における用紙検出センサとは、機構も機能も異なるものであり、この主張は採用できない。
申立人は甲第2号証及び甲第3号証を公知例として提示しているが甲第1号証記載の発明に前記構成Aが記載されていない以上、これらの適用性を検討するまでもないことである。
以上のとおりであるから、請求項1に係る発明が、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。
(3)請求項2に係る発明に対する特許法第29条第2項違反との主張について
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明に更に構成要件を付加するものであり、構成Aをその構成の主要部とするものである。したがって、請求項2に係る発明は、甲第4号証記載の発明の適用の容易性を検討するまでもなく、請求項1に係る発明と同様の理由により、甲第1号証及び甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。
V.むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1及び2に係る発明の特許を取り消すことはできない。また、他に本件請求項1及び2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 1999-12-09 
出願番号 特願平4-301453
審決分類 P 1 651・ 534- Y (B41J)
P 1 651・ 531- Y (B41J)
P 1 651・ 121- Y (B41J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 清水 康司  
特許庁審判長 佐藤 久容
特許庁審判官 鈴木 美知子
森林 克郎
登録日 1999-01-22 
登録番号 特許第2878534号(P2878534)
権利者 富士通株式会社 富士通アイソテック株式会社
発明の名称 プリンタの用紙送り装置  

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