• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A01G
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A01G
管理番号 1008925
異議申立番号 異議1999-70764  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-08-13 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-03-03 
確定日 1999-11-22 
異議申立件数
事件の表示 特許第2793161号「ベンチ式植物栽培装置」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2793161号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 (1)手続の経緯
特許第2793161号の発明についての出願は、平成3年12月28日に特許出願された特願平3-358581号の一部を特許法第44条第1項の規定により、平成7年10月9日に特許出願されたものであって、平成10年6月19日にその特許の設定登録がなされ、その後、異議申立人井関農機株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年8月10日に特許異議意見書が提出されたものである。
(2)本件発明
本件請求項1ないし3に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「 【請求項1】
骨組み材(1)を組立てて作業し易い高さにした栽培用ベンチ(2)の上に、栽培用具(3)をのせることができるようにした植物栽培装置において、前記栽培用ベンチ(2)に暖房用媒体又は冷房用媒体を流すパイプ状の媒体通路(4)を設け、その上に土壌を収容して植物を栽培可能とした二以上の栽培用具(3)をのせるための金網(11)を張ってなることを特徴とするベンチ式植物栽培装置。
【請求項2】
請求項1記載のベンチ式植物栽培装置において、金網(11)の上に栽培用具(3)を走行させるレール(5)を設け、そのレール(5)の上に、底面(21)にレール(5)の上を移動可能な回転ローラ(23、24)が取付けられた台車(6)をのせ、同台車(6)は上方から栽培用具(3)を出し入れ可能であり且つ栽培用具(3)を収納可能な上方開口の収容部(25)が形成されてなることを特徴とするベンチ式植物栽培装置。
【請求項3】
媒体通路(4)が栽培用ベンチ(2)の骨組み材(1)と兼用であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のベンチ式植物栽培装置。」
(3)申立ての理由の概要
申立人井関農機株式会社は、証拠として甲第1号証(特開平3-254612号公報)、甲第2号証(特開平1-157321号公報)、甲第3号証(特開平1-247016号公報)を提出し、本件請求項1ないし3に係る発明の特許は特許法第29条第1項第3号、第2項の規定に違反してなされたものであり、本件発明についての特許は取り消されるべき旨主張している。
(4)引用刊行物記載の発明
本件請求項1ないし3に係る発明に対して当審が通知した取消理由で引用した刊行物1(特開平3-254612号公報(甲第1号証))、刊行物2(特開平1-157321号公報(甲第2号証))、刊行物3(特開平1-247016号公報(甲第3号証))には、以下の事項が記載されている。
(刊行物1)
「台枠(7)・脚(9)を組立てて作業し易い高さにしたベンチ(3)の上に、鉢物(16)をのせることができるようにした植物栽培装置において、前記ベンチ(3)の下部に暖房用媒体又は冷房用流体を放出するチューブ状空調ダクト(4)を設け、台枠(7)上に土壌を収容して植物を栽培可能とした二以上の鉢物(16)をのせるための金網(8)を張ってなるベンチ式植物栽培装置。」(第2頁右下欄第11行〜第3頁左上欄第4行、第3頁左上欄第14行〜右上欄行第1行、第3頁右上欄行第6〜18行、第2,3図)
(刊行物2)
「作業し易い高さに立設した支柱15上に栽培ベット3を走行させるレール1を設け、そのレール1の上に、底面にレール1の上を移動可能な車輪23、24が取付けられた台車2をのせ、同台車2は上方から栽培ベット3を出し入れ可能であり且つ栽培ベット3を収納可能な上方開口の収容部が形成されてなる植物栽培装置。」(第3頁左下欄第3〜15行、第3頁右下欄第4〜20行、第1〜4図)
(刊行物3)
「作業し易い高さに構成された作業台5の上に、培土容器15をのせることができるようにし、前記作業台5の下面に暖房用媒体又は冷房用媒体を流すパイプ13を設けてなる植物栽培装置。」(第3頁左下欄第9〜15行、第3頁右下欄第3〜10行、第2図)
(5)判断
刊行物1、刊行物2、刊行物3には、本件請求項1に記載された「栽培用ベンチ(2)に暖房用媒体又は冷房用媒体を流すパイプ状の媒体通路(4)を設け、その上に土壌を収容して植物を栽培可能とした二以上の栽培用具(3)をのせるための金網(11)を張って」いる事項が記載されていない。すなわち、刊行物1に記載された発明において、金網(8)は台枠(7)に張られ、空調ダクト(4)の上方に設けられているが、空調ダクト(4)上には張られていない。そして、上記記載事項により、本件請求項1に係る発明は、「媒体通路4内を流れる媒体の熱気や冷気は金網11の網目を抜けて直接栽培用具3に伝達されると共に熱伝導性のよい金属性の金網11を通しても伝達されるので冷暖効率が低下することがない」(【発明の効果】)という本件明細書記載の格別な効果を奏するものである。したがって、請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明ではなく、上記各刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
なお、異議申立人は参考資料1ないし参考資料3を提出しているが、これらにも上記事項は記載されていない。
また、本件請求項2に係る発明、請求項3に係る発明は、本件請求項1に係る発明を引用し、さらに限定するものであるから、いずれも本件請求項1に係る発明と同様に上記各刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(6)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし3に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし3に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 1999-10-21 
出願番号 特願平7-288009
審決分類 P 1 651・ 113- Y (A01G)
P 1 651・ 121- Y (A01G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 坂田 誠番場 得造  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 佐藤 昭喜
新井 重雄
登録日 1998-06-19 
登録番号 特許第2793161号(P2793161)
権利者 株式会社みかど育種農場
発明の名称 ベンチ式植物栽培装置  
代理人 小林 正治  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ