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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 E04F |
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管理番号 | 1008946 |
異議申立番号 | 異議1996-70416 |
総通号数 | 8 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1995-01-10 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1996-12-10 |
確定日 | 1999-11-05 |
異議申立件数 | 12 |
事件の表示 | 特許第2509079号「基本パネル板ユニットおよび基本パネル板ユニットを用いた床面構成方法」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2509079号の特許請求の範囲第1項ないし第2項に記載された発明についての特許を取り消す。 |
理由 |
第一 手続の経緯 特許第2509079号の特許請求の範囲第1項及び同第3項に記載された発明は、昭和58年5月13日に出願された特願昭58-83619号の出願を昭和62年5月29日に特許法44条1項の規定により分割して新たな出願とした特願昭62-133786号出願を、さらに平成2年8月10日に同法の規定により分割して新たな出願とした特願平2-210521号出願を、さらに平成5年12月17日に同法の規定により分割して新たな出願とした特願平5-317599号出願に係るものであって、平成8年4月16日にその特許の設定登録がなされたものである。 その後、安川勤、日立機材株式会社、ニチアス株式会社、小川忠雄、株式会社アーレスティ、板根直文、松下電工株式会社、コクヨ株式会社、古屋雅儀、株式会社ナカ技術研究所及び日本板硝子株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である、平成9年11月4日に訂正請求がされた後、訂正拒絶理由が通知され、それに対して、平成10年12月1日に手続補正書が提出されたものである。 第二 訂正請求の内容 特許権者が求めている訂正請求の内容は、以下のとおりである。 一 特許請求の範囲 特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的として、特許請求の範囲を以下のとおりに訂正する。 1 訂正A:特許請求の範囲第1項の「係止部を備えた切込み部」を「係止部を前記パネル板自体に備えた切込み部」と訂正する。 2 訂正B:特許請求の範囲第3項の「係止部を備えた切込み部」を「係止部を前記パネル板自体に備えた切込み部」と訂正する。 3 訂正C:特許請求の範囲第4項の「上面に」を「上面を」と訂正する。 二 発明の詳細な説明 誤記の訂正を目的として、発明の詳細な説明を以下(訂正D〜U)のとおりに訂正する。 1 訂正D:明細書段落番号【0004】(本件特許公報3欄47行)の「布設」を「敷設」と訂正する。 2 訂正E:明細書段落番号【0024】(同7欄42行)の「布設」を「敷設」と訂正する。 3 訂正F:明細書段落番号【0025】(同7欄46行)の「布設」を「敷設」と訂正する。 4 訂正G:明細書段落番号【0035】(同9欄18行)の「布設」を「敷設」と訂正する。 5 訂正H:明細書段落番号【0035】(同9欄19行)の「布設」を「敷設」と訂正する。 6 訂正I:明細書段落番号【0040】(同9欄47行)の「布設」を「敷設」と訂正する。 7 訂正J:明細書段落番号【0040】(同9欄49行)の「布設」を「敷設」と訂正する。 8 訂正K:明細書段落番号【0040】(同10欄1,2行)の「布設」を「敷設」と訂正する。 9 訂正L:明細書段落番号【0047】(同11欄9行)の「布設」を「敷設」と訂正する。 10 訂正M:明細書段落番号【0060】(同13欄22行)の「布設」を「敷設」と訂正する。 11 訂正N:明細書段落番号【0032】(同8欄46行)の「付けた」を「付けられた」と訂正する。 12 訂正O:明細書段落番号【0034】(同9欄13行)の「手を」を「手」と訂正する。 13 訂正P:明細書段落番号【0035】(同9欄19行)の「満」を「満た」と訂正する。 14 訂正Q:明細書段落番号【0050】(同11欄35行)の「当節」を「当接」と訂正する。 15 訂正R:明細書段落番号【0051】(同11欄47行)の「透穴」を「透孔」と訂正する。 16 訂正S:明細書段落番号【0053】(同12欄13行)の「付設」を「敷設」と訂正する。 17 訂正T:明細書段落番号【0054】(同12欄25行)の「構造」を「構造と」と訂正する。 18 訂正U:明細書段落番号【0060】(同13欄19,20行)の「可変可能」を「可変」と訂正する。 第三 平成10年12月1日付け手続補正書の内容 平成10年12月1日付け手続補正書は、平成9年11月4日付け訂正請求書及び訂正明細書を、以下のとおりに補正するというものである。 一 特許請求の範囲の減縮(補正1〜7) 1 補正1:特許請求の範囲第1項の「支持されたパネル板」を「支持されたほぼ正方形のパネル板」と補正する。 2 補正2 特許請求の範囲第1項の「コンセント類とからなる」を「コンセント類と、前記パネル板を覆う表面材とからなる」と補正する。 3 補正3 特許請求の範囲第1項の「構成したこと」を「構成し、前記パネル板単位で任意の位置から前記ケーブル類の取り出しを可能とすること」と補正する。 4 補正4 特許請求の範囲第3項の「支持されたパネル板」を「支持されたほぼ正方形のパネル板」と補正する。 5 補正5 特許請求の範囲第3項の「盲目板とからなる」を「盲目板と、前記パネル板を覆う表面材とからなる」と補正する。 6 補正6 特許請求の範囲第3項の「構成したこと」を「構成し、前記パネル板単位で任意の位置から前記ケーブル類の取り出しを可能とすること」と補正する。 7 補正7 特許請求の範囲第2項及び第4項を削除する。 二 誤記の訂正(補正16及び17) 1 補正16:明細書段落番号【0041】(本件特許公報10欄11行)の「前体」を「全体」と補正する。 2 補正17:明細書段落番号【0044】(同10欄34行)の「狭持」を「挟持」と補正する。 三 明りょうでない記載の釈明(補正8〜15及び18〜21) 1 補正8:明細書段落番号【0011】(本件特許公報4欄46行)の「支持されたパネル板」を「支持されたほぼ正方形のパネル板」と補正する。 2 補正9:明細書段落番号【0011】(同5欄3行)の「コンセント類とからなる」を「コンセント類と、前記パネル板を覆う表面材とからなる」と補正する。 3 補正10:明細書段落番号【0011】(同5欄13、14行)の「構成したことを特徴とする基本パネル板ユニットを提供することにある。」を、「構成し、前記パネル板単位で任意の位置から前記ケーブル類の取り出しを可能とすることを特徴とする基本パネル板ユニットを提供するものである。」と補正する。 4 補正11:明細書段落番号【0011】(同5欄14〜16行)の「また、前記パネル板上面には、さらに表面材が備えられている基本パネル板ユニットを提供することにある。」を削除する。 5 補正12:明細書段落番号【0012】(同5欄19行)の「支持されたパネル板」を、「支持されたほぼ正方形のパネル板」と補正する。 6 補正13:明細書段落番号【0012】(同5欄24行)の「盲目板とからなる」を、「盲目板と、前記パネル板を覆う表面材とからなる」と補正する。 7 補正14:明細書段落番号【0012】(同5欄32、33行)の「構成したことを特徴とする基本パネル板ユニットを用いた床面構成方法を提供することにある。」を、「構成し、前記パネル板単位で任意の位置から前記ケーブル類の取り出しを可能とすることを特徴とする基本パネル板ユニットを用いた床面構成方法を提供するものである。」と補正する。 8 補正15:明細書段落番号【0012】(同5欄33〜36行)の「また、前記パネル板上面にさらに表面材により覆う基本パネル板ユニットを用いた床面構成方法を提供することにある。」を削除する。 9 補正18:【図面の簡単な説明】【図4】の「挿通部」を「連通部」と補正する。 10 補正19:【図面の簡単な説明】【図5】の「挿通部」を「連通部」と補正する。 11 補正20:【図面の簡単な説明】【図6】の「挿通部」を「連通部」と補正する。 12 補正21:【図面の簡単な説明】【図7】の「挿通部」を「連通部」と補正する。 第四 訂正請求に対する補正の適否について 特許権者が行った、訂正請求に対する補正1〜7は、訂正請求書に添付した明細書又は図面を基準とし、特許請求の範囲の減縮に該当するものであり、又、訂正請求書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内の補正であり、しかも、訂正請求書に添付した明細書又は図面における特許請求の範囲を実質上拡張し、又は変更するものではない。 又、同補正16及び17は、訂正請求書に添付された訂正明細書の明らかな誤記を補正するものであって、訂正請求書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内の補正であり、しかも、訂正請求書に添付した明細書又は図面における特許請求の範囲を実質上拡張し、又は変更するものではない。 さらに、同補正8〜15は、上記の特許請求の範囲の補正に対応してなされたものであり、同補正18〜21は明確でない語句を訂正するものであり、何れも、訂正請求書に添付した明細書又は図面を基準とし、明りょうでない記載の釈明に該当するものであって、訂正請求書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内の補正であり、しかも、訂正請求書に添付した明細書又は図面における特許請求の範囲を実質上拡張し、又は変更するものではない。 以上、補正1〜21は何れも、訂正請求の要旨を変更するものではなく、特許法120条の4第3項において準用する同法131条2項の規定に適合するものであり、これらの補正を認める。 第五 訂正の適否について 一 訂正明細書に記載された発明 訂正A及びBによって、並びに補正1〜7により補正された訂正請求によって、訂正された明細書の特許請求の範囲第1項及び第2項の記載は下記のとおりとなる。 「(1)基体との間にケーブル類による配線を可能とする空間を形成するように、所定の高さで支持されたほぼ正方形のパネル板と、このパネル板の少なくとも1辺に形成され、前記パネル板上面に対して所定の段差を有する係止部を前記パネル板自体に備えた切込み部と、この切込み部の前記係止部に取り付けられ、その取り付けられた状態で前記段差によって前記パネル板上面とほぼ同じ高さとなるように前記切込み部を閉塞する盲目板または前記パネル板上面に露出するように前記切込み部に取着されたコンセント類と、前記パネル板を覆う表面材とからなる基本パネル板ユニットであって、前記基本パネル板ユニットを前記基体に沿って敷き詰めることによって床面を形成し、このようにして形成された床面上の任意の位置において前記ケーブル類を引き出す場合には、その引き出し位置に配置された前記基本パネル板ユニットの前記切込み部から前記盲目板を取り外し、前記切込み部から直接またはコンセント類を介して前記ケーブル類を引き出せるようにするとともに、前記ケーブル類を引き出す必要のない位置に配置された前記基本パネル板ユニットの前記切込み部は前記盲目板により閉塞するように構成し、前記パネル板単位で任意の位置から前記ケーブル類の取り出しを可能とすることを特徴とする基本パネル板ユニット。」(以下、「第1訂正発明」と言う。) 「(2)基体との間にケーブル類による配線を可能とする空間を形成するように、所定の高さで支持されたほぼ正方形のパネル板と、このパネル板の少なくとも1辺に形成され、前記パネル板上面に対して所定の段差を有する係止部を前記パネル板自体に備えた切込み部と、この切込み部の前記係止部に取り付けられ、その取り付けられた状態で前記段差によって前記パネル板上面とほぼ同じ高さとなるように前記切込み部を閉塞する盲目板と、前記パネル板を覆う表面材とからなる基本パネル板ユニットを用いた床面構成方法であって、前記基本パネル板ユニットを前記基体に沿って敷き詰めることによって床面を形成し、このようにして形成された床面上の任意の位置において前記ケーブル類を引き出す場合には、その引き出し位置に配置された前記基本パネル板ユニットの前記切込み部から前記盲目板を取り外し、その切込み部から直接またはコンセント類を介して前記ケーブル類を引き出せるように構成し、前記パネル板単位で任意の位置から前記ケーブル類の取り出しを可能とすることを特徴とする基本パネル板ユニットを用いた床面構成方法。」(以下、「第2訂正発明」と言う。) 二 引用刊行物記載の発明 当審で通知した訂正拒絶理由通知において、下記の刊行物1及び2が引用されている。 1 刊行物1:西独国公開特許第3039257号公報 刊行物1の明細書及び図面の記載によると、同刊行物1には、 「床下面との間にケーブル類による配線を可能とする空間を形成するように、所定の高さで支持された床板と、この床板の少なくとも1辺に形成されたダクト開口と、このダクト開口に取り付けられ、その取り付けられた状態で前記床板上面とほぼ同じ高さとなるように前記ダクト開口を閉塞する閉鎖栓または前記床板上面に露出するように前記ダクト開口に取着されたダクトソケットとからなる床板であって、前記床板を前記床下面に沿って敷き詰めることによって床面を形成し、このようにして形成された床面上の位置において前記ケーブル類を引き出す場合には、その引き出し位置に配置された前記床板の前記ダクト開口から前記閉鎖栓を取り外し、前記ダクト開口から直接前記ケーブル類を引き出せるようにするとともに、前記ケーブル類を引き出す必要のない位置に配置された前記床板の前記ダクト開口は前記閉鎖栓により閉塞するように構成した床板。」(以下、「刊行物1記載の発明1」と言う。) 及び、 「床下面との間にケーブル類による配線を可能とする空間を形成するように、所定の高さで支持された床板と、この床板の少なくとも1辺に形成されたダクト開口と、このダクト開口に取り付けられ、その取り付けられた状態で前記床板上面とほぼ同じ高さとなるように前記ダクト開口を閉塞する閉鎖栓とからなる床板を用いた床面構成方法であって、前記床板を前記床下面に沿って敷き詰めることによって床面を形成し、このようにして形成された床面上の位置において前記ケーブル類を引き出す場合には、その引き出し位置に配置された前記床板の前記ダクト開口から前記閉鎖栓を取り外し、そのダクト開口から直接前記ケーブル類を引き出せるように構成した床板を用いた床面構成方法。」(以下、「刊行物1記載の発明2」と言う。) が記載されているものと認める。 2 刊行物2:実願昭56-127528号(実開昭58-34530号)の願書に添付した明細書又は図面の内容を撮影したマイクロフィルム 刊行物2の明細書及び図面の記載によると、同刊行物2には、 「溝部底面との間に電線類による配線を可能とする空間を形成するように、所定の高さで支持された踏板と、この踏板の少なくとも1辺に形成され、前記踏板上面に対して所定の段差を有する係止部を備えた通線口と、この通線口の前記係止部に取り付けられ、その取り付けられた状態で前記段差によって前記踏板上面とほぼ同じ高さとなるように前記通線口を閉塞する、通線孔穿設用凹部を有する蓋体とからなる配線装置であって、前記踏板を溝部に沿って敷き詰めることによって床面の一部を形成し、このようにして形成された床面上の位置において前記電線類を引き出す場合には、その引き出し位置に配置された踏板の前記通線口から蓋体の通線孔を介して前記電線類を引き出せるようにするとともに、前記電線類を引き出す必要のない位置に配置された踏板の前記通線口は前記蓋体により閉塞するように構成した配線装置。」(以下、「刊行物2記載の発明1」と言う。) 及び、 「溝部底面との間に電線類による配線を可能とする空間を形成するように、所定の高さで支持された踏板と、この踏板の少なくとも1辺に形成され、前記踏板上面に対して所定の段差を有する係止部を備えた通線口と、この通線口の前記係止部に取り付けられ、その取り付けられた状態で前記段差によって前記踏板上面とほぼ同じ高さとなるように前記通線口を閉塞する、通線孔穿設用凹部を有する蓋体とからなる踏板を用いた配線方法であって、前記踏板を溝部に沿って敷き詰めることによって床面の一部を形成し、このようにして形成された床面上の位置において前記電線類を引き出す場合には、その引き出し位置に配置された踏板の前記通線口から蓋体の通線孔を介して前記電線類を引き出せるように構成した踏板を用いた配線方法。」(以下、「刊行物2記載の発明2」と言う。) が記載されているものと認める。 三 対比・判断 1 本件第1訂正発明に対して (1)本件第1訂正発明と刊行物1記載の発明1との対比 本件第1訂正発明と上記刊行物1記載の発明1とを対比すると、両者は、下記の相違点1〜6を除いて、その余の点で一致している。 相違点1 本件第1訂正発明では、その「パネル板」を、「ほぼ正方形」としているのに対し、刊行物1記載の発明1の「床板」(パネル板)は、このような構成を備えていない点。 相違点2 本件第1訂正発明では、その「切込み部」を、「パネル板上面に対して所定の段差を有する係止部をパネル板自体に備えた切込み部」とし、切込み部の係止部に取り付けられる盲目板が、その段差によってパネル板上面とほぼ同じ高さとなるよう構成されているのに対し、刊行物1記載の発明1の「ダクト開口」(切込み部)は、このような構成を備えていない点。 相違点3 本件第1訂正発明では、「パネル板を覆う表面材」を有するとしているのに対し、刊行物1記載の発明1の「床板」(パネル板)は、このような構成を備えていない点。 相違点4 本件第1訂正発明では、「基本パネル板ユニット」としているのに対し、刊行物1記載の発明1の「床板」に、特に、「基本ユニット」との限定がない点。 相違点5 本件第1訂正発明では、切込み部からケーブル類を引き出すのに、直接引き出すだけでなく、「またはコンセント類を介して」引き出すとしているのに対し、刊行物1記載の発明1では、直接引き出す構成だけが記載されている点。 相違点6 本件第1訂正発明では、「パネル板単位で任意の位置からケーブル類の取り出しを可能とする」としているのに対し、刊行物1記載の発明1では、このような構成を有していない点。 (2)相違点に対する判断 ▲1▼相違点1について この種の、いわゆる「OAフロア」、あるいは「フリーアクセスフロア」において、その構成床板をほぼ正方形とするようなことは、広く行われている周知、慣用の技術手段(必要ならば、さきの平成9年7月24日付け取消理由通知書での引用例3-1である実開昭57-181842号公報のマイクロフィルム、又は実開昭57-181840号公報のマイクロフィルム、実開昭57-181841号公報のマイクロフィルム等を参照のこと。)である。 してみると、刊行物1記載の発明1の「床板」(パネル板)を、特に、ほぼ正方形とするようなことは、上記の周知、慣用の技術手段に基いて、当業者が容易になし得た程度の設計的事項にすぎない。 ▲2▼相違点2について 前記の刊行物2記載の発明1は、「溝部底面との間に電線類による配線を可能とする空間を形成するように、所定の高さで支持された踏板と、この踏板の少なくとも1辺に形成され、前記踏板上面に対して所定の段差を有する係止部を備えた通線口と、この通線口の前記係止部に取り付けられ、その取り付けられた状態で前記段差によって前記踏板上面とほぼ同じ高さとなるように前記通線口を閉塞する、通線孔穿設用凹部を有する蓋体とからなる配線装置」の構成を備えている。しかし、この刊行物2記載の発明1における、「通線口」(切込み部)の「所定の段差を有する係止部」は、「枠体11」として、「踏板」(パネル板)自体には設けられてなく、別体として形成されている。 この点について検討すると、一般に、「蓋体」(盲目板)等を「踏板」(パネル板)等の上面とほぼ同じ高さとなるように取り付けるための、「所定の段差を有する係止部」を、「踏板」(パネル板)自体に設けるようなことは、従来、広く行われている周知、慣用の技術手段(必要ならば、特開昭54-107131号公報等を参照のこと。)であり、「踏板」(パネル板)自体に設けるか、それとも別体として形成するかは、適宜に選択し得る設計的事項に過ぎないものと認められる。 してみると、刊行物1記載の発明1における「ダクト開口(切込み部)」として、刊行物2記載の発明1における、「踏板(パネル板)上面に対して所定の段差を有する係止部を備えた通線口(切込み部)」の構成を採用し、その際、特に、その「係止部」を別体ではなく、「踏板」(パネル板)自体に形成し、「通線口(切込み部)の係止部に取り付けられ、その取り付けられた状態で段差によって踏板(パネル板)上面とほぼ同じ高さとなるように通線口(切込み部)を閉塞する蓋体(盲目板)」とするようなことは、刊行物2記載の発明1及び前記周知、慣用の技術手段に基いて、当業者が容易になし得た程度のことである。 ▲3▼相違点3について 上記相違点1におけると同様に、この種の、いわゆる「OAフロア」、あるいは「フリーアクセスフロア」において、その構成床板を覆う表面材を設けるようなことは、広く行われている周知、慣用の技術手段(必要ならば、さきの平成9年7月24日付け取消理由通知書での引用例3-1である実開昭57-181842号公報のマイクロフィルム、又は実開昭57-181840号公報のマイクロフィルム、実開昭57-181841号公報のマイクロフィルム等を参照のこと。)である。 してみると、刊行物1記載の発明1の「床板」(パネル板)に、特に、その床板を覆う表面材を設けるようなことは、上記の周知、慣用の技術手段に基いて、当業者が容易になし得た程度の設計的事項にすぎない。 ▲4▼相違点4について この相違点に関連して、特許権者による平成9年11月4日付けの特許異議意見書によると、「引用例1には本件特許発明のように1種類の『基本パネル板ユニット』を基体に沿って敷き詰めることによって床面全体を形成するという技術思想は開示されていない。」(同4頁1〜3行参照)、又、「本件特許発明のよれば、複数個の同一種類の『基本パネル板ユニット』を単純に敷き詰めることにより、フロアを構成することができ」(同4頁10、11行参照)との記載がされている。 しかしながら、上記相違点1及び3に関連して、同様に、この種の、いわゆる「OAフロア」、あるいは「フリーアクセスフロア」において、その床板を基本ユニットとして構成するようなことは、広く行われている周知、慣用の技術手段(必要ならば、さきの平成9年7月24日付け取消理由通知書での引用例3-1である実開昭57-181842号公報のマイクロフィルム、又は実開昭57-181840号公報のマイクロフィルム、実開昭57-181841号公報のマイクロフィルム等を参照のこと。)である。 してみると、刊行物1記載の発明1の「床板」(パネル板)を、特に、基本ユニットとして構成するようなことは、上記の周知、慣用の技術手段に基いて、当業者が容易になし得た程度の設計的事項にすぎない。 ▲5▼相違点5について 刊行物1記載の発明1は、「ダクトソケット」を介して、「切込み部(ダクト開口)から直接ケーブル類を引き出せるようにする」点を開示しているものと認められる。 いっぽう、一般に、この種の、いわゆる「OAフロア」、あるいは「フリーアクセスフロア」において、「コンセント類を介して」、ケーブル類を引き出すようなことは、従来、広く行われている周知慣用の技術手段(必要ならば、実公昭53-53912号公報、実公昭55-27299号公報等を参照のこと。)である。 してみると、「切込み部から直接またはコンセント類を介してケーブル類を引き出せるようにする」ようなことは、刊行物1記載の発明1及び上記周知、慣用の技術手段に基いて、当業者が容易になし得た程度のことである。 ▲6▼相違点6について 上記相違点2及び4に関連して、刊行物1記載の発明1における、「ダクト開口(切込み部)」として、刊行物2記載の発明1における、「踏板(パネル板)上面に対して所定の段差を有する係止部を備えた通線口(切込み部)」の構成を採用し、その際、特に、その「係止部」を別体ではなく、「踏板」(パネル板)自体に形成し、「通線口(切込み部)の係止部に取り付けられ、その取り付けられた状態で段差によって踏板(パネル板)上面とほぼ同じ高さとなるように通線口(切込み部)を閉塞する蓋体(盲目板)」とするとともに、相違点4について検討した際の周知、慣用の技術手段におけるように、その「床板」(パネル板)を基本ユニットとして敷き詰めることによって床面を形成すれば、当然の作用、効果として、「パネル板単位で任意の位置からケーブル類の取り出しを可能とする」ものとなる。 してみると、このようなことは、刊行物2記載の発明1及び前記周知、慣用の技術手段に基いて、当業者が容易になし得た程度のことである。 (3)まとめ 全体として、本件第1訂正発明によってもたらされる効果も、刊行物1記載の発明1及び刊行物2記載の発明1、そして前記の各周知、慣用の技術手段から、当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別、顕著なものとは言えない。 したがって、本件第1訂正発明は、刊行物1記載の発明1、刊行物2記載の発明1及び前記の各周知、慣用の技術手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 本件第2訂正発明に対して (1)本件第2訂正発明と刊行物1記載の発明2との対比 本件第2訂正発明は、「基本パネル板ユニットを用いた床面構成方法」に関するものであるのに対し、本件第1訂正発明は、「基本パネル板ユニット」に関するものであり、両者は、発明のカテゴリーを異にするものである。 しかしながら、両者の特許請求の範囲のかなりの部分は同一の記載がされていることから、本件第2訂正発明と刊行物1記載の発明2とを対比した際の相違点の内容は、いずれもさきに検討した、本件第1訂正発明と刊行物1記載の発明1との対比での相違点1〜6の内容がそのまま準用できるものである。 すなわち、前記「三 対比・判断」の「1 本件第1訂正発明に対して」における「(1)本件第1訂正発明と刊行物1記載の発明1との対比」の「本件第1訂正発明」、「刊行物1記載の発明1」を、それぞれ、「本件第2訂正発明」、「刊行物1記載の発明2」と読み替えることにより、本件第2訂正発明と刊行物1記載の発明2との対比とし、その結果、相違点1〜6をそれぞれ相違点7〜12の内容とすることができる。 (2)相違点に対する判断 ▲1▼相違点7について さきの「▲1▼相違点1について」の項における、「刊行物1記載の発明1」を、「刊行物1記載の発明2」と読み替えれば、その「▲1▼相違点1について」の内容をそのまま適用できるものである。 ▲2▼相違点8について さきの「▲2▼相違点2について」の項における、「刊行物2記載の発明1」、「配線装置」、及び「刊行物1記載の発明1」を、「刊行物2記載の発明2」、「踏板を用いた配線方法」、及び「刊行物1記載の発明2」と読み替えれば、その「▲2▼相違点2について」の内容をそのまま適用できるものである。 ▲3▼相違点9について さきの「▲3▼相違点3について」の項における、「相違点1」及び「刊行物1記載の発明1」を、「相違点7」及び「刊行物1記載の発明2」と読み替えれば、その「▲3▼相違点3について」の内容をそのまま適用できるものである。 ▲4▼相違点10について さきの「▲4▼相違点4について」の項における、「相違点1及び3」、「基本ユニットして構成する」及び「刊行物1記載の発明1」を、「相違点7及び9」、「基本ユニットとして床面構成方法とする」及び「刊行物1記載の発明2」と読み替えれば、その「▲4▼相違点4について」の内容をそのまま適用できるものである。 ▲5▼相違点11について さきの「▲5▼相違点5について」の項における、「刊行物1記載の発明1」を、「刊行物1記載の発明2」と読み替えれば、その「▲5▼相違点5について」の内容をそのまま適用できるものである。 ▲6▼相違点12について さきの「▲6▼相違点6について」の項における、「相違点2及び4」、「刊行物1記載の発明1」及び「刊行物2記載の発明1」を、「相違点8及び10」、「刊行物1記載の発明2」及び「刊行物2記載の発明2」と読み替えれば、その「▲6▼相違点6について」の内容をそのまま適用できるものである。 (3)まとめ 全体として、本件第2訂正発明によってもたらされる効果も、刊行物1記載の発明2及び刊行物2記載の発明2、そして前記の各周知、慣用の技術手段から、当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別、顕著なものとは言えない。 したがって、本件第2訂正発明は、刊行物1記載の発明2、刊行物2記載の発明2及び前記の各周知、慣用の技術手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 四 訂正の適否 以上によると、補正された訂正明細書の特許請求の範囲第1項及び第2項に記載された各発明は、何れも、刊行物1及び2に記載された発明、並びに上記周知、慣用の技術手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、この訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則6条1項の規定により、なお従前の例によるとされる、特許法120条の4第3項で準用する同法126条4項の規定に適合しないので、この訂正は認められない。 第六 特許異議申立てについて 一 本件発明 本件発明の要旨は、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲第1項及び第3項に記載された、下記のとおりのものと認める。 1 第1項 「基体との間にケーブル類による配線を可能とする空間を形成するように、所定の高さで支持されたパネル板と、このパネル板の少なくとも1辺に形成され、前記パネル板上面に対して所定の段差を有する係止部を備えた切込み部と、この切込み部の前記係止部に取り付けられ、その取り付けられた状態で前記段差によって前記パネル板上面とほぼ同じ高さとなるように前記切込み部を閉塞する盲目板または前記パネル板上面に露出するように前記切込み部に取着されたコンセント類とからなる基本パネル板ユニットであって、前記基本パネル板ユニットを前記基体に沿って敷き詰めることによって床面を形成し、このようにして形成された床面上の任意の位置において前記ケーブル類を引き出す場合には、その引き出し位置に配置された前記基本パネル板ユニットの前記切込み部から前記盲目板を取り外し、前記切込み部から直接またはコンセント類を介して前記ケーブル類を引き出せるようにするとともに、前記ケーブル類を引き出す必要のない位置に配置された前記基本パネル板ユニットの前記切込み部は前記盲目板により閉塞するように構成したことを特徴とする基本パネル板ユニット。」(以下、「第1発明」と言う。) 2 第3項 「基体との間にケーブル類による配線を可能とする空間を形成するように、所定の高さで支持されたパネル板と、このパネル板の少なくとも1辺に形成され、前記パネル板上面に対して所定の段差を有する係止部を備えた切込み部と、この切込み部の前記係止部に取り付けられ、その取り付けられた状態で前記段差によって前記パネル板上面とほぼ同じ高さとなるように前記切込み部を閉塞する盲目板とからなる基本パネル板ユニットを用いた床面構成方法であって、前記基本パネル板ユニットを前記基体に沿って敷き詰めることによって床面を形成し、このようにして形成された床面上の任意の位置において前記ケーブル類を引き出す場合には、その引き出し位置に配置された前記基本パネル板ユニットの前記切込み部から前記盲目板を取り外し、その切込み部から直接またはコンセント類を介して前記ケーブル類を引き出せるように構成したことを特徴とする基本パネル板ユニットを用いた床面構成方法。」(以下、「第2発明」と言う。) 二 引用刊行物記載の発明 当審で通知した平成9年7月24日付け取消理由通知書で引用した刊行物1及び2には、さきの「第五 訂正の適否について」の「二 引用刊行物記載の発明」において認定した、「刊行物1記載の発明1」、「刊行物1記載の発明2」、「刊行物2記載の発明1」及び「刊行物2記載の発明2」がそれぞれ記載されているものと認める。 三 対比・判断 1 本件第1発明に対して (1)本件第1発明と刊行物1記載の発明1との対比 本件第1発明と、刊行物1記載の発明1とを対比すると、両者は、下記の相違点1〜3を除いて、その余の点で一致している。 相違点1 本件第1発明では、その「切込み部」を、「パネル板上面に対して所定の段差を有する係止部を備えた切込み部」とし、切込み部の係止部に取り付けられる盲目板が、その段差によってパネル板上面とほぼ同じ高さとなるよう構成されているのに対し、刊行物1記載の発明1の「ダクト開口」(切込み部)は、このような構成を備えていない点。 相違点2 本件第1発明では、「基本パネル板ユニット」としているのに対し、刊行物1記載の発明1の「床板」に、特に、「基本ユニット」との限定がない点。 相違点3 本件第1発明では、切込み部からケーブル類を引き出すのに、直接引き出すだけでなく、「またはコンセント類を介して」引き出すとしているのに対し、刊行物1記載の発明1では、直接引き出す構成だけが記載されている点。 (2)相違点に対する判断 ▲1▼相違点1について 前記の刊行物2記載の発明1は、「溝部底面との間に電線類による配線を可能とする空間を形成するように、所定の高さで支持された踏板と、この踏板の少なくとも1辺に形成され、前記踏板上面に対して所定の段差を有する係止部を備えた通線口と、この通線口の前記係止部に取り付けられ、その取り付けられた状態で前記段差によって前記踏板上面とほぼ同じ高さとなるように前記通線口を閉塞する、通線孔穿設用凹部を有する蓋体とからなる配線装置」の構成を備えている。 してみると、刊行物1記載の発明1における「ダクト開口(切込み部)」として、刊行物2記載の発明1における、「踏板(パネル板)上面に対して所定の段差を有する係止部を備えた通線口(切込み部)」の構成を採用し、「通線口(切込み部)の係止部に取り付けられ、その取り付けられた状態で段差によって踏板(パネル板)上面とほぼ同じ高さとなるように通線口(切込み部)を閉塞する蓋体(盲目板)」とするようなことは、刊行物2記載の発明1に基いて、当業者が容易になし得た程度のことである。 ▲2▼相違点2について この相違点に関連して、特許権者による平成9年11月4日付けの特許異議意見書によると、「引用例1には本件特許発明のように1種類の『基本パネル板ユニット』を基体に沿って敷き詰めることによって床面全体を形成するという技術思想は開示されていない。」(同4頁1〜3行参照)、又、「本件特許発明のよれば、複数個の同一種類の『基本パネル板ユニット』を単純に敷き詰めることにより、フロアを構成することができ」(同4頁10、11行参照)との記載がされている。 しかしながら、この種の、いわゆる「OAフロア」、あるいは「フリーアクセスフロア」において、その床板を基本ユニットとして構成するようなことは、広く行われている周知、慣用の技術手段(必要ならば、さきの平成9年7月24日付け取消理由通知書での引用例3-1である実開昭57-181842号公報のマイクロフィルム、又は実開昭57-181840号公報のマイクロフィルム、実開昭57-181841号公報のマイクロフィルム等を参照のこと。)である。 してみると、刊行物1記載の発明1の「床板」(パネル板)を、特に、基本ユニットとして構成するようなことは、上記の周知、慣用の技術手段に基いて、当業者が容易になし得た程度の設計的事項にすぎない。 ▲3▼相違点3について 刊行物1記載の発明1は、「ダクトソケット」を介して、「切込み部(ダクト開口)から直接ケーブル類を引き出せるようにする」点を開示しているものと認められる。 いっぽう、一般に、この種の、いわゆる「OAフロア」、あるいは「フリーアクセスフロア」において、「コンセント類を介して」、ケーブル類を引き出すようなことは、従来、広く行われている周知慣用の技術手段(必要ならば、実公昭53-53912号公報、実公昭55-27299号公報等を参照のこと。)である。 してみると、「切込み部から直接またはコンセント類を介してケーブル類を引き出せるようにする」ようなことは、刊行物1記載の発明1及び上記周知、慣用の技術手段に基いて、当業者が容易になし得た程度のことである。 (3)まとめ 全体として、本件第1発明によってもたらされる効果も、刊行物1記載の発明1及び刊行物2記載の発明1、そして前記の各周知、慣用の技術手段から、当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別、顕著なものとは言えない。 したがって、本件第1発明は、刊行物1記載の発明1、刊行物2記載の発明1及び前記の各周知、慣用の技術手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 2 本件第2発明に対して (1)本件第2発明と刊行物1記載の発明2との対比 本件第2発明は、「基本パネル板ユニットを用いた床面構成方法」に関するものであるのに対し、本件第1発明は、「基本パネル板ユニット」に関するものであり、両者は、発明のカテゴリーを異にするものである。 しかしながら、両者の特許請求の範囲のかなりの部分は同一の記載がされていることから、本件第2発明と刊行物1記載の発明2とを対比した際の相違点の内容は、いずれもさきに検討した、本件第1発明と刊行物1記載の発明1との対比での相違点1〜3の内容がそのまま準用できるものである。 すなわち、前記「三 対比・判断」の「1 本件第1発明に対して」における「(1)本件第1発明と刊行物1記載の発明1との対比」の「本件第1発明」、「刊行物1記載の発明1」を、それぞれ、「本件第2発明」、「刊行物1記載の発明2」と読み替えることにより、本件第2発明と刊行物1記載の発明2との対比とし、その結果、相違点1〜3をそれぞれ相違点4〜6の内容とすることができる。 (2)相違点に対する判断 ▲1▼相違点4について さきの「▲1▼相違点1について」の項における、「刊行物2記載の発明1」、「配線装置」、及び「刊行物1記載の発明1」を、「刊行物2記載の発明2」、「踏板を用いた配線方法」、及び「刊行物1記載の発明2」と読み替えれば、その「▲1▼相違点1について」の内容をそのまま適用できるものである。 ▲2▼相違点5について さきの「▲2▼相違点2について」の項における、「基本ユニットして構成する」及び「刊行物1記載の発明1」を、「基本ユニットとして床面構成方法とする」及び「刊行物1記載の発明2」と読み替えれば、その「▲2▼相違点2について」の内容をそのまま適用できるものである。 ▲3▼相違点6について さきの「▲3▼相違点3について」の項における、「刊行物1記載の発明1」を、「刊行物1記載の発明2」と読み替えれば、その「▲3▼相違点3について」の内容をそのまま適用できるものである。 (3)まとめ 全体として、本件第2発明によってもたらされる効果も、刊行物1記載の発明2及び刊行物2記載の発明2、そして前記の各周知、慣用の技術手段から、当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別、顕著なものとは言えない。 したがって、本件第2発明は、刊行物1記載の発明2、刊行物2記載の発明2及び前記の各周知、慣用の技術手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 第七 むすび 以上のとおりであるから、本件特許発明の明細書の特許請求の範囲第1項に記載された発明及び同第3項に記載された発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令205号)4条2項の規定により、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1999-09-16 |
出願番号 | 特願平5-317599 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZB
(E04F)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 山口 由木、鉄 豊郎、服部 秀男 |
特許庁審判長 |
幸長 保次郎 |
特許庁審判官 |
鈴木 公子 小野 忠悦 |
登録日 | 1996-04-16 |
登録番号 | 特許第2509079号(P2509079) |
権利者 | 株式会社東芝 |
発明の名称 | 基本パネル板ユニットおよび基本パネル板ユニットを用いた床面構成方法 |
代理人 | 赤澤 一博 |
代理人 | 長南 満輝男 |
代理人 | 今井 庄亮 |
代理人 | 福田 保夫 |
代理人 | 佐藤 成示 |
代理人 | 北村 修一郎 |
代理人 | 早川 政名 |
代理人 | 赤塚 賢次 |
代理人 | 竹花 喜久男 |
代理人 | 佐野 邦▲廣▼ |
代理人 | 川瀬 幹夫 |