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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B41J
管理番号 1009060
異議申立番号 異議1998-74643  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1988-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-09-24 
確定日 1999-11-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2730907号「インクジェット・プリント方法」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2730907号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 [手続の経緯]
本件特許第2730907号の特許請求の範囲の請求項1,2に係る発明は、昭和63年12月22日に特許出願(特願昭63-315249号;優先権主張番号057130,優先日1987年6月1日,優先権主張国米国(US))され、平成9年12月19日にその特許の設定登録がなされ、その後、その特許について小見山清美より特許異議の申立がなされ、当審において取消理由通知がなされたところ、その指定期間内である平成11年7月29日に訂正請求がなされたものである。
[訂正の適否]
【1】訂正の内容
〈1〉訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1において、「少なくとも第1の色彩の行と第2の色彩の行を重ねてプリントすることにより所定の領域を順次プリントするインクジェット・プリント方法において、」の前に、「プリント媒体上でのプリント・ヘッドの同一のパスの間に前記プリント媒体上の実質的に同一位置または隣接位置に複数の色彩のインクを与えることができるインクジェット・プリンタを使用し、」を付加する。
〈2〉訂正事項b
特許請求の範囲の請求項1において、「ことを特徴とするインクジェット・プリント方法。」を「ことによって前記プリント・ヘッドの前記パスの間の進行方向に平行なすじ状色むらを防止もしくは低減するインクジェット・プリント方法。」と訂正する。
〈3〉訂正事項c
特許請求の範囲の請求項2において、「以下のステップ(a)ないし(f)を設け、」の前に、「プリント媒体上でのプリント・ヘッドの同一のパスの間に前記プリント媒体上の実質的に同一位置または隣接位置に複数の色彩のインクを与えることができるインクジェット・プリンタを使用し、」を付加する。
〈4〉訂正事項d
特許請求の範囲の請求項2において、「重ねてプリントすることにより所定の領域を順次プリントするインクジェット・プリント方法:」を「重ねてプリントして所定の領域を順次プリントすることによって、前記プリント・ヘッドの前記パスの間の進行方向に平行なすじ状色むらを防止もしくは低減するインクジェット・プリント方法:」と訂正する。
【2】訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
〈1〉訂正事項a,cについて
これらの訂正は、明細書13頁8行〜14頁19行(特許掲載公報4頁7欄8行〜8欄2行)の記載の範囲内で、使用するプリンタを特定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
尚、当該訂正事項において、「プリント・ヘッドの同一のパスの間に前記プリント媒体上の実質的に同一位置または隣接位置に複数の色彩のインクを与える」の内、「同一位置または隣接位置」については、明細書の上記箇所に、「プリント媒体に対してプリント・ヘッド(単数あるいは複数)が1回横切る間に第1及び第2の色彩の両方をプリントすることの利点、は領域塗りつぶし部分をプリントするのに必要な時間が約半分となることである。しかし、オフセット構造を用いた場合には、プリント品質は1パス方式よりも2パス方式でプリントする方が優れている。」,「オフセットの程度は変えることできる。」等の記載があり、これらの記載からみて、オフセット構造を用いた1パス方式の場合に第1及び第2の色彩の両方をプリントする際、そのプリント・ヘッドが1回横切る間(同一のパスの間)に複数の色彩のインクが「同一位置」や「隣接位置」の必要とする位置に与えられることが必然と認められるから、「同一位置または隣接位置」なる表現の意味は、「同一位置」や「隣接位置」の必要とする位置であると理解でき、また、文言上もそのように理解して差し支えないものである。
〈2〉訂正事項b,dについて
これらの訂正は、明細書3頁14〜17行(特許掲載公報2頁3欄35〜38行),10頁14〜19行(特許掲載公報3頁6欄11〜15行),15頁10〜15行(特許掲載公報4頁8欄12〜17行)の記載の範囲内で、発明の特徴を明確にするものであり、特許請求の範囲の減縮、或いは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
【3】独立特許要件
〈1〉特許請求の範囲の請求項1,2に係る発明
訂正後の特許請求の範囲の請求項1,2に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1,2」という)は、その特許請求の範囲の請求項1,2に記載された事項により特定される以下のとおりである。
「(1)プリント媒体上でのプリント・ヘッドの同一のパスの間に前記プリント媒体上の実質的に同一位置または隣接位置に複数の色彩のインクを与えることができるインクジェット・プリンタを使用し、少なくとも第1の色彩の行と第2の色彩の行を重ねてプリントすることにより所定の領域を順次プリントするインクジェット・プリント方法において、前記第1の色彩の行をプリントした上に前記第2の色彩の行をプリントするとともに、前記領域の端を除いては、前記第2の行をプリントするに当って、まだ前記第1の色彩と前記第2の色彩の何れもプリントされていない未プリント部分と前記プリントされる第2の色彩の行の間に前記第1の色彩がプリントされた既プリント部分が必ず存在するように前記第1の色彩の行及び第2の色彩の行のプリントを制御することによって前記プリント・ヘッドの前記パスの間の進行方向に平行なすじ状色むらを防止もしくは低減するインクジェット・プリント方法。
(2)プリント媒体上でのプリント・ヘッドの同一のパスの間に前記プリント媒体上の実質的に同一位置または隣接位置に複数の色彩のインクを与えることができるインクジェット・プリンタを使用し、以下のステップ(a)ないし(f)を設け、少なくとも第1の色彩の行と第2の色彩の行を重ねてプリントして所定の領域を順次プリントすることによって、前記プリント・ヘッドの前記パスの間の進行方向に平行なすじ状色むらを防止もしくは低減するインクジェット・プリント方法:
(a)前記第1の色彩の第1の行をプリントする;
(b)前記第1の行の上に、前記第2の色彩の第2の行を前記第1の行よりも狭い幅でプリントする;
(c)最も端にある前記第1の色彩の行にその第1の縁が隣接するとともに第2の縁を有する新たな前記第1の色彩の行をプリントする;
(d)最も端にある前記第2の色彩の行にその第1の縁が隣接する新たな前記第2の色彩の行をプリントするとともに、前記新たな前記第2の色彩の行の第2の縁は前記新たな前記第1の色彩の行の前記第1の縁と前記第2の縁の間になるようにする;
(e)前記ステップ(c)と前記ステップ(d)を交互に繰り返す。
(f)最も端にある前記第1の色彩の行のうちで最も端にある前記第2の色彩の行が重ねてプリントされていない部分に前記第2の色彩の行を重ねてプリントする。」
〈2〉取消理由(特許法第29条第2項違反)
1.この取消理由は、請求項1,2に係る発明は、何れも、刊行物1に記載された発明と刊行物2に記載された技術等の周知技術とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1,2に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるというものである。
2.本件発明1,2に対して、当審が通知した取消理由に引用した各刊行物には、それぞれ次のような発明(技術)が記載されている。
▲1▼刊行物1:特開昭59-57762号公報(異議申立人が甲第1号証として提出した刊行物)
この刊行物1には、多色印字を行うことができるインクリボンを用いたプリンタ装置に関する発明が記載され、
その構成に関して、「帯状にn色のインクを塗布されて成るインクリボンと、該インクリボンの各色の帯に対して設けられ、夫々は複数のドットから成り、かつ、夫々の長さは前記インクリボンの各色の帯幅より短いブロックを等間隔にn個有するヘッドと、前記各ブロックに対応する印字データを格納するn個のバッファを有するバッファ部と、n色分の印字データを供給されると、各色毎の印字データに分けて夫々対応する前記n個のバッファに格納した後、夫々のバッファに格納した印字データに基づいて前記各ブロックのドットを同時に動作させる制御部を有することを特徴とするプリンタ装置。」(特許請求の範囲)と記載され、また、「第3図は、本実施例装置の構成図である。図中11は、インクリボンである。インクリボン11は、帯状の桃色部14,青色部15,黄色部16から構成され、両端を回転軸21に巻かれている。13はプラテンである。プラテン13とインクリボン11との間を用紙20が移動するようになっている。12は印字ヘッドである。この印字ヘッド12は、インクリボン11の移動方向に対し、直角に設けられ、又、用紙20に対し左右に移動するように設けられている。又、印字ヘッド12はインクリボン11の3色の帯夫々に対し、押圧するように設けられた複数個のドットから成る3個のブロックを有している。」(2頁右上欄14行〜左下欄6行,第3図)と記載され、
その制御に関して、「こうして、各色のイメージデータバッファ35P、35B、35Yがイメージデータで満たされた後、制御部31は、ヘッドキャリッジ機構部37を制御し、キャリッジ19すなわちヘッド12を‥‥移動させ、かつソレノイド22を駆動させて印字を行なう。この時、制御部31は、各色のイメージデータバッファ35P、35B、35Yに格納されているデータを読み出し、夫々のデータに応じてヘッド12の各ドットを駆動する。‥‥このようにしてヘッド12が‥‥移動すると、桃、青、黄、各色のa幅印字が同時に完了する。例えば、第6図に示すように、用紙20における領域40Pには桃色、領域40Bには青色、領域40Yには黄色の印字が同時に行なわれる。次に制御部31は、用紙送り機構部38を動作させて、用紙20をヘッド12に対し上方へ距離aだけ移動させる。そして、制御部31は、印字要求部30から新たな印字データを供給されると、前述した動作を印字ヘッド12に行なわせると、領域41Pには桃色、領域41Bには青色、領域41Yには黄色の印字が同時に行なわれる。以後、同様にして制御部31は、用紙20を上方へ距離aだけ移動させた後、ヘッド12を動作させて印字を行なわせることを繰り返す。この様にして、例えば、領域40P→41P→42Pには桃色印字がすきまなく行なわれる。青色、黄色についても同様である。」(3頁左上欄11行〜左下欄3行,第3,4,6図)と記載され、
その効果に関して、「本発明によれば、n色の印字を一度に行なうので、多色印字を高速に行なうことができる。又、本発明によれば、ヘッドにおける各ブロック間には幅が有るので、インクリボンの各色の帯幅に多少の誤差が有っても良い。更に、本発明によれば、色を重ねて印字できるので、混合色も出すことができる。」(3頁左下欄10〜16行)と記載されており、
これらの記載によれば、刊行物1からは、用紙20上での印字ヘッド12の同一のパスの間に前記用紙20上の実質的に隣接位置に複数の色彩のインクを与えることができるインクリボン・プリンタを使用すること、少なくとも2色の色彩を重ねて印字して混合色を得ること、領域の端を除いては第2の行をプリントするに当ってまだ第1の色彩と第2の色彩の何れもプリントされていない未プリント部分とプリントされる第2の色彩の行の間に第1の色彩がプリントされた既プリント部分が必ず存在するように第1の色彩の行及び第2の色彩の行のプリントを制御すること、等が把握されるから、
結局、刊行物1には、
「用紙20上での印字ヘッド12の同一のパスの間に前記用紙20上の実質的に隣接位置に複数の色彩のインクを与えることができるインクリボン・プリンタを使用し、少なくとも第1の色彩の行と第2の色彩の行を重ねてプリントすることにより所定の領域を順次プリントするインクリボン・プリンタ方法において、前記第1の色彩の行をプリントした上に前記第2の色彩の行をプリントするとともに、前記領域の端を除いては、前記第2の行をプリントするに当って、まだ前記第1の色彩と前記第2の色彩の何れもプリントされていない未プリント部分と前記プリントされる第2の色彩の行の間に前記第1の色彩がプリントされた既プリント部分が必ず存在するように前記第1の色彩の行及び第2の色彩の行のプリントを制御するインクリボン・プリント方法。」(本件発明1に対応)、及び、
「用紙20上での印字ヘッド12の同一のパスの間に前記用紙20上の実質的に隣接位置に複数の色彩のインクを与えることができるインクリボン・プリンタを使用し、以下のステップ(a)ないし(f)を設け、少なくとも第1の色彩の行と第2の色彩の行を重ねてプリントして所定の領域を順次プリントするインクリボン・プリント方法:
(a)前記第1の色彩の第1の行をプリントする;
(b)前記第1の行の上に、前記第2の色彩の第2の行をプリントする;
(c)最も端にある前記第1の色彩の行にその第1の縁が隣接するとともに第2の縁を有する新たな前記第1の色彩の行をプリントする;
(d)最も端にある前記第2の色彩の行にその第1の縁が隣接する新たな前記第2の色彩の行をプリントするとともに、前記新たな前記第2の色彩の行の第2の縁は前記新たな前記第1の色彩の行の前記第1の縁と前記第2の縁の間になるようにする;
(e)前記ステップ(c)と前記ステップ(d)を交互に繰り返す。
(f)最も端にある前記第1の色彩の行の上に前記第2の色彩の行をプリントする。」(本件発明2に対応)が記載されている。
▲2▼刊行物2:特開昭58-140260号公報(異議申立人が甲第2号証として提出した刊行物)
この刊行物2には、「本発明は、印字ヘッドを行方向に移動しながら該印字ヘッド上のドット印字素子を選択的に駆動することにより、印字媒体にドットマトリクス印字する印字装置に関する。更に詳細には、ワイヤドット式、感熱式、またはインクジェット式などのシリアル印字装置において、多色印字の高速化を達成するための改良に関する。」(2頁左上欄11〜17行)と記載され、また、「しかして本発明によれば、印字ヘッドを行方向に移動させながら、該印字ヘッド上のドット印字素子を選択的に駆動することにより、印字媒体に文字や図形をドットマトリクス印字する印字装置において、1行幅相当数のドット印字素子の列を複数行にまたがるように複数組並べて該印字ヘッド上に設ける。そして、これら複数組のドット印字素子列を用い、各ドット印字素子列毎に特定の色種で同時に複数行を印字させる。ドット印字素子としては、具体的には、インクジェット式印字装置で用いられている公知のノズル、ワイヤドット式印字装置で用いられている公知のワイヤ、あるいは感熱式印字装置で用いられている公知の発熱部材などである。」(3頁右上欄3〜16行)と記載され、更に、「なお、印字ヘッド上の個々のドット印字素子列内ぬおけるドット印字素子の配列は、前述したものに限らない。例えば、インクジェット形印字ヘッドのノズルをワイヤマトリクス形印字ヘッドの例として示したワイヤ配列と同じように配列することも許されるし、その逆も同様である。」(5頁右下欄15〜20行)と記載されており、
これらの記載によれば、刊行物2からは、記録ヘッドを用紙に対して相対的に移動させながらドット印字を行なう多色のプリント方法において、インクジエット・プリンタもインクリボン・プリンタも共に周知であり、相互に置換適用可能であることが把握される。
3.本件発明1と刊行物1に記載された発明とを対比して検討すると、
刊行物1に記載された発明における「用紙20」,「印字ヘッド12」は、本件発明1における「プリント媒体」,「プリント・ヘッド」にそれぞれ相当するから、
両者は、第1の色彩の行と第2の色彩の行を重ねてプリントする際の制御方式の点で一致し、次の点で相違する。
〔相違点1〕本件発明1が、インクジェット・プリント方法であって、それに使用するインクジェット・プリンタは、「プリント媒体上でのプリント・ヘッドの同一のパスの間に前記プリント媒体上の実質的に同一位置または隣接位置に複数の色彩のインクを与えることができるインクジェット・プリンタ」であるのに対し、刊行物1に記載された発明が、インクリボン・プリント方法であって、それに使用するインクリボン・プリンタは、「プリント媒体上でのプリント・ヘッドの同一のパスの間に前記プリント媒体上の実質的に隣接位置に複数の色彩のインクを与えることができるインクリボン・プリンタ」である点。
〔相違点2〕本件発明1が、第1の色彩の行及び第2の色彩の行のプリントを所定方式で制御することによってプリント・ヘッドのパスの間の進行方向に平行なすじ状色むらを防止もしくは低減するものであるのに対し、刊行物1に記載された発明が、n色の印字を一度に行なって多色印字の高速化を図るものである点。
次に、上記相違点1,2について検討すると、
刊行物1に記載された発明が、インクリボン・プリント方法であることによる特別な構成、即ち、各パスにおいてプリントされる複数の帯状領域の間に所定間隔(b)のプリントされない領域が形成されるという構成を有するものであって、上記相違点2であげたように、n色の印字を一度に行なって多色印字の高速化を図るものでしかないものであり、
また、刊行物2には、インクジェット式印字装置で用いられるノズルからなるドット印字素子を使用してドット印字を行なう多色のプリント方法において、1行幅相当数のドット印字素子の列を複数行にまたがるように複数組並べて該印字ヘッド上に設けて、各ドット印字素子列毎に特定の色種で同時に複数行を印字させるという技術しか記載されていないから、
たとえ、記録ヘッドを用紙に対して相対的に移動させながらドット印字を行なう多色のプリント方法においてインクジェット・プリンタを使用することもインクリボン・プリンタを使用することも共に周知であり相互に置換適用可能な技術であるとしても、刊行物1に記載された発明に刊行物2に記載された技術を適用することからは、インクジェットプリント・ヘッドに1行幅相当数のノズルの列を複数行にまたがるように複数組並べて設けn色の印字を一度に行なって多色印字の高速化を図るようにした程度の発明のみが想起されるのみであり、本件発明1における上記相違点1,2に係る構成は想起することはできない。
結局、刊行物1に記載された発明における、各色に対応するブロックを縦列に間隔を設けて配置してなる印字ヘッドを使用したインクリボン・プリント方法に、通常のインクジェット・プリント方法の技術を適用して本件発明1の如くのものが得られると云う必然性も動機もないものと云わざるをえない。
そして、本件発明1は、上記構成の相違点1,2を本件発明1を特定する事項とするものであり、当該事項は技術的意義を具備するものであるから、本件発明1が刊行物1,2に記載された発明であるとも、刊行物1に記載された発明と刊行物2に記載された技術等の周知技術とに基づいて当業者が容易に発明することができたものとも認めることができない。
4.本件発明2について
本件発明2と刊行物1に記載された発明とを対比して検討すると、
両者は、第1の色彩の行と第2の色彩の行を重ねてプリントする際の制御方式の点で概略的には一致するが、次の点で相違する。
〔相違点1〕本件発明1と刊行物1に記載された発明との相違点1と同様。
〔相違点2〕本件発明1と刊行物1に記載された発明との相違点2と同様。
〔相違点3〕本件発明2が開始部分及び終了部分のステップについて言及している(即ち、第1の行の上に第2の色彩の第2の行を第1の行よりも狭い幅でプリントする点、最も端にある第1の色彩の行のうちで最も端にある第2の色彩の行が重ねてプリントされていない部分に第2の色彩の行を重ねてプリントする点が記載されている)のに対し、刊行物1に記載された発明がそれらについて言及していない点。
次に、上記相違点1,2,3について検討すると、
本件発明2は、本件発明1と刊行物1に記載された発明との相違点1,2に加えて、更に相違点3を有するものであるから、
本件発明2も、本件発明1と同様、刊行物1,2に記載された発明であるとも、刊行物1に記載された発明と刊行物2に記載された技術等の周知技術とに基づいて当業者が容易に発明することができたものとも認めることができない。
5.取消理由についての結論
結局、本件発明1,2に係る特許が特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるということができない。
〈3〉独立特許要件についてのまとめ
以上のとおりであり、また、他に本件発明1,2の特許を取り消すべき理由を発見しないから、本件発明1,2は特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
【4】訂正の適否のまとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項の規定、及び同法第120条の4第3項で準用する同法第126条第2項,第3項,第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
[異議申立]
【1】異議申立人の主張
〈1〉異議申立人は証拠方法として、甲第1号証〔特開昭59-57762号公報・・・刊行物1〕、及び、
甲第2号証〔特開昭58-140260号公報・・・刊行物2〕を提出し、本件発明1,2は、甲第1号証の刊行物に記載された発明と甲第2号証の刊行物に記載された技術等の周知技術とに基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである旨主張している。
〈2〉異議申立人の主張についての検討
異議申立人が証拠方法として提出した甲第1,2号証は、それぞれ、取消理由で引用した刊行物1,2である。
そして、本件発明1,2と甲第1,2号証の刊行物に記載された発明(技術)との対比・判断も、前記【3】〈2〉の「取消理由(特許法第29条第2項違反)」の項で既に述べた内容と同様である。
従って、本件発明1,2が、甲第1,2号証の刊行物に記載された発明であるとも、甲第1号証の刊行物に記載された発明と甲第2号証の刊行物に記載された技術等の周知技術とに基づいて当業者が容易に発明することができたものとも認められないから、本件発明1,2が、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるという、異議申立人の主張は採用できない。
[むすび]
以上のとおりであるから、異議申立ての理由及び証拠方法によっては、本件発明1,2の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1,2の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
インクジェット・プリント方法
(57)【特許請求の範囲】
(1)プリント媒体上でのプリント・ヘッドの同一のパスの間に前記プリント媒体上の実質的に同一位置または隣接位置に複数の色彩のインクを与えることができるインクジェット・プリンタを使用し、少なくとも第1の色彩の行と第2の色彩の行を重ねてプリントすることにより所定の領域を順次プリントするインクジェット・プリント方法において、
前記第1の色彩の行をプリントした上に前記第2の色彩の行をプリントするとともに、
前記領域の端を除いては、前記第2の行をプリントするに当って、まだ前記第1の色彩と前記第2の色彩の何れもプリントされていない未プリント部分と前記プリントされる第2の色彩の行の間に前記第1の色彩がプリントされた既プリント部分が必ず存在するように前記第1の色彩の行及び第2の色彩の行のプリントを制御する
ことによって前記プリント・ヘッドの前記パスの間の進行方向に平行なすじ状色むらを防止もしくは低減するインクジェット・プリント方法。
(2)プリント媒体上でのプリント・ヘッドの同一のパスの間に前記プリント媒体上の実質的に同一位置または隣接位置に複数の色彩のインクを与えることができるインクジェット・プリンタを使用し、以下のステップ(a)ないし(f)を設け、少なくとも第1の色彩の行と第2の色彩の行を重ねてプリントして所定の領域を順次プリントすることによって、前記プリント・ヘッドの前記パスの間の進行方向に平行なすじ状色むらを防止もしくは低減するインクジェット・プリント方法:
(a)前記第1の色彩の第1の行をプリントする;
(b)前記第1の行の上に、前記第2の色彩の第2の行を前記第1の行よりも狭い幅でプリントする;
(c)最も端にある前記第1の色彩の行にその第1の縁が隣接するとともに第2の縁を有する新たな前記第1の色彩の行をプリントする;
(d)最も端にある前記第2の色彩の行にその第1の縁が隣接する新たな前記第2の色彩の行をプリントするとともに、前記新たな前記第2の色彩の行の第2の縁は前記新たな前記第1の色彩の行の前記第1の縁と前記第2の縁の間になるようにする;
(e)前記ステップ(c)と前記ステップ(d)を交互に繰り返す。
(f)最も端にある前記第1の色彩の行のうちで最も端にある前記第2の色彩の行が重ねてプリントされていない部分に前記第2の色彩の行を重ねてプリントする。
【発明の詳細な説明】
〔発明の技術分野〕
本発明はプリント媒体に色彩をプリントするインクジェット装置に関し、とくにプリントされるカラー図形の視覚的品質を向上させる方法に関する。
〔従来技術およびその問題点〕
インクジェット装置は紙やマイラ・フィルムのようなプリント媒体にインク小滴を噴射する。代表的なインクジェット・プリント・ヘッドはプリミティブ(primitive)といわれるノズル群を少なくとも一つ具備し、このプリミティブを介してインク小滴が噴射される。フル・カラー・プリントの場合は3つのプリミティブが用いられ、それぞれのノズルは異なる色彩のインク(シアン、イエロー、マゼンタ)のインク貯めに流体的に連結されている。インク小滴の噴射つまり推進は圧電デバイスや抵抗性加熱(熱式)等によって行なわれる。
緑、赤及び青のべた領域塗りつぶしの場合、これら色彩は第1の色彩のドットを第2の色彩の別のドットの上に置き、所望の第3の色彩を生成するとにより作成される(例えばシアンにイエローを重ねることにより緑を作る)。
通常のプリント・モードでは、複数のドットは、プリント・ヘッドが媒体を横切る同じパスにおいて互いに重なって書込まれる。領域塗りつぶしブロックをプリントする場合、カラー・インク・ジェット・プリント用に用いられる特殊被覆された紙その他の媒体上にプリントされる上述の第1の色彩(つまり、後から書込まれる色彩)がにじむため、プリント行の帯の問にすじ状色むらが生じる。このすじ状色むらはプリント出力の視覚的品質をそこなう恐れがある。
〔発明の目的〕
従って、目に見えるすじ状の色むらが現れないかあるいは少なくともすじ状の色むらが目立たないように実質的に均一な色彩のブロックを作成する方法を提供することが本発明の目的である。
〔発明の概要〕
本発明の一実施例によれば、目に見えるすじ状の色むらを上を少なくしたドット重ね式図形領域塗りつぶしブロックの形成方法が提案される。この方法で1つのプリント行の一部と別のプリント行の一部分が重ねられる。
より詳しくは、この方法は、
(A)第1の色彩の第1の行をプリントし、
(B)所定量だけ第1の行からオフセットして第2の色彩の第2の行をプリントし、
(C)以降の第1の色彩の行と第2の色彩の行を、領域全体が塗りつぶされるまで、先行する行から所定量だけオフセットをつけて交互にプリントする。
オフセット付きプリントはプリント媒体またはプリント・ヘッドを相互に移動させることにより行なうことができる。更に所望の効果を達成するため、プリント・ヘッド状の何組かのプリミティブを互い違いに(staggered)してもよい。
個々の色彩の帯を部分的に重ねる、つまいインターリーブすることにより、従来のプリント・モードで見られたすじ状の色むらは軽減される。その結果、グラフィック出力のプリント品質及び均質性が向上する。
〔発明の実施例〕
本発明の実施例を説明する前に先ず図面を参照して従来の問題点を具体的に説明する。なお、同じ参照番号が付されたものは、全図面を通して同様の要素を示す。
第2図の(a)〜(d)は互いに色の異なる行を2本プリントすることにより、領域を第3の色彩で塗りつぶす一連の事象を示している。以後の説明ではシアンの行とイエローの行を交互にプリントすることにより緑色が得られる。しかし、他の組合せでもこれから説明するものと同じ効果による問題が起り、またこのような他の組合せでも本発明の方法を用いて同一の利点があることが理解されよう。
第2図の(a)はプリント媒体12上に第1の色彩、この場合はシアンをべた塗りした第1の行10をプリントした状態を示す。インクジェット技術を用いて、行10及び接続の各行は、プリント・ヘッド上のプリミティブの全てのノズルから噴射を行なうことによって生成される。一例として、プリミティブは10個のノズルを含んでいるが、それ以下、又はそれ以上の数のノズルを用いてもよい。
第2図(b)では、第2の色彩、ここではイエロー、の行14が、プリント媒体12に対する第1の行のためのパスと同一のパスあるいは次のパスにおいて、第1の行10の上に直接重ね書きされる。しかし、プリント媒体12は第1の色彩のインクで飽和状態にあるので、第2の色彩のインクは第1の色彩の部分から外へはみ出る傾向があり、その結果、中央部16は第3の色彩でそのまわりに第2の色彩の境界部18ができる。
第2図(c)では、第1の色彩の次の行20がプリントされる。この行20の上縁は第1の色彩の第1の行10の下縁にほぼ隣接するように位置合せされる。境界部18のうち第2の行20が重なった部分22は第2図(a)との関連で述べた飽和作用を受けるが、それでも第3の色彩に変換される。しかし、同じ第3の色彩と言っても、中央部16では第1の色彩の上に第2の色彩が乗っており、他方境界部22では第2の色彩の上に第1の色彩が乗っている。この違いはすぐ後で説明する。
第2図(d)では、第2の色彩の別の行24が行20の上に直接重ねられる。この場合もプリント媒体12の飽和により、第3の色彩が中央部16′に生成され、第2図(b)と同様、その周辺に第2の色彩の境界部18′が形成される。
第1の色彩の後続の行がプリントされその上に第2の色彩の行重ねられることにより第3の色彩の2つの領域、すなわち中央部16(および16′等)および境界部22(および22′等)が生じることが理解されよう。双方とも同一の色彩であるものの、中央部16,16′は第1の色彩が勝った第3の色彩であり(第1の色彩が先に吸収されたことによる。)、他方境界部18,18′は第2の色彩が勝った第3の色彩である(第2の色彩が先に吸収されたことによる)。
従って、シアンの行10の上にイエローの行14、24を重ね塗りした部分では、中央部16,16′は青みがかかった緑であり、一方境界部22、22′は黄色がかった緑である。その結果生じた領域塗りつぶしブロックはある色調の緑色の狭いすじ状部で分離された別の色調の緑色の幅広い帯からなる。見てわかるすじ状部があるのは好ましくないものと考えられる。
本発明によれば、個々の色彩の帯域が部分的にかさなる、つまり互いにインターリーブされるようにプリントすることにより、領域塗りつぶしブロックの視覚上の品質を向上させる。インターリーブの好適な手順を第1図の(a)ないし(e)に示す。
第1図(a)はプリント媒体12上にプリントされた第1の色彩(この場合もシアン)の第1の行を示す。第1の行全体がプリントされる。領域「A」は第1の色彩である。
第1図(b)では特定の所定量だけ第1の行からもオフセットして、第2の色彩(例えばこの場合もイエロー)の第2の行32の一部だけがプリントされる。第2の色彩がプリントされない部分(領域「A′」)は重なりの度合つまりオフセットと関連するが、この場合は行幅の半分である。このように先ず行の半分だけがプリントされ、オフセットは行幅の半分であるので、第2の行32は第1の行30のプリント済部分の上半分を覆う。行32は第3の色彩(例えばこの場合も緑)となり、一方、行30の下半分は第1の色彩のままである。すなわち領域「B」は第3の色彩となり、一方、領域「A」のまだ重ねプリントされていない部分は「A′」で示される。
第1図(c)では、第1の色彩の第3の行34が、この場合も所定量だけ第2の行32からオフセットされ(ここでは行の半分)、行30に隣接してプリントされる。従って、行34の上縁は行30の下縁と接している。領域「B」はこの段階では作用を受けないので第3の色彩のままであり、これも作用を受けない領域「A′」は第1の色彩のままである。また、領域「A」は新たにプリントされた第1の色彩である。
第1図(d)では、第2の色彩の第4の行36が、所定量(この場合も行の半分)だけ第3の行34からオフセットされてプリントされる。この段階では領域「B」は作用を受けないので第3の色彩のままであり、第1図(c)における領域「A′」及び領域「A」の上部は「B」で示す第3の色彩となる。また重ねプリントされていない領域「A」の下部は「A′」で示される第1の色彩のままである。
この方法は所望の範囲が塗りつぶされるまで、第1の色彩の行と第2の色彩の行の交互のプリント所望の回数だけ継続できる。所望の範囲全体が単一の色になるようにこの範囲の最後の行の処理を終結するため、最後の行はその一部だけプリントし、またそのオフセットの量は第1図(e)に示すように行38の半分とする。
本発明の実施例では、常に一方の色彩(第1の色彩、ここではシアン)の上に他方の色彩(第2の色彩、ここではイエロー)が重ねられるので、これにより生じる第3の色彩は常に同じ色あいとなる。従って従来の方法による望ましくない色むらが避けられる。
一方の色彩のプリントに対して他方の色彩のプリントにオフセットをかけるには、いくつかの方法を用いることができる。第1に、各種の色彩プリント機能を設けた単一のプリント・ヘッド上の個々のプリミティブ同志を相互に物理的にオフセットさせることができる。第2に、各原色が夫々別個のペンに割振られている場合、これらのペン自体をオフセットさせることができる。第3に、オフセットされていないプリミティブを有するプリントヘッド、あるいは複数のペン同志にオフセットをつけないペン取付構造の場合は、各プリミティブあるいはペン中のノズルの全数よりも少ないノズルを使用することにより、残りのノズル群間に実効的にオフセットをかけるようにすることもできる。
第3の方法では、既存のペンあるいはペン取付構造に物理的な変更を加えずにオフセットをかけることが可能である(各色彩が別個のペン内にある場合)。
上述のいずれかの方法を用いて1つの色彩のノズルを別の色彩のノズルに対して物理的にオフセットすることによって、媒体に対してプリント・ヘッドを1回スキャンさせる間に2つの色をつけることができる。第1図の例でこれを行なうとすれば、第1図(a)及び(b)に示す行30と32を単一のパスの間にプリントし、また第2図(c)及び(d)に示す行34と36を単一のパスの間にプリントすることによりなされる。
2つ色のプリントの間にオフセットをつけるためには、上述した以外の2つの方法を用いることもできる。第4の方法としては、プリント媒体12をプリント・ヘッドに対して移動させてよい。第5の方法としては、プリント・ヘッドをプリント媒体12に対して移動させてよい。これらの方法では、プリント媒体とプリント・ヘッドのいずれが移動させるかによるが、どちらかが逆方向に(つまり、ページにプリントしていく向きとは逆方向に)動かされ、これにより第1の色彩のプリントに対して第2の色彩のプリントをオフセットさせることができるようにすることが必要である。次にプリント・ヘッドあるいはプリント媒体を順方向に移動させて、プリント媒体の末印刷部に再び第1の色彩をプリントし、次に逆方向移動して第2の色彩のプリントするという動作を、領域塗りつぶしブロックが完成するまで継続しなければならない。従って、これらの方法では、各原色をプリントするためにプリント・ヘッドがプリント媒体を各々一度横切ることが必要である。
プリント媒体に対してプリント・ヘッド(単数あるいは複数)が1回横切る間に第1及び第2の色彩の両方をプリントすることの利点、は領域塗りつぶし部分をプリントするのに必要な時間が約半分となることである。しかし、オフセット構造を用いた場合には、プリント品質は1パス方式よりも2パス方式でプリントする方が優れている。その理由は、第3の色彩の一部分は同じパスの間に吐出された第1の色彩のインクと第2の色彩のインクが組合せることにより作られ、他の部分はプリント媒体に対してプリント・ヘッドが前回横切った間にプリントされた第1の色彩の上に第2の色彩を重ねることにより作られるからである。この相異により両部分の間に見てわかる色相の変化を生じる。
2パス方式では第2の色彩は第1の色彩の2つの部分にまたがってプリントされる。これら2つの部分の一方は前回のパスの間にプリントされたものであり、他方は今回の第2の色彩のパスの3回前のパスでプリントされたものである。第1の色彩でプリントされているこれら2つの部分は極めて均質である。なんとなれば双方とも乾燥する時間が十分にあるからである。その結果、第3の色彩領域は均質になる。
オフセットの程度は変えることできる。1パス方式では、100%のオフセットをかけることにより、最高のプリント品質が達成されるが、少なくとも約10%をわずかのオフセットでもわずかに品質が向上する。2パス方式でも、最高のプリント品質は100%のオフセットにより達成されるが、少なくとも約10%のわずかのオフセットで大幅な向上が達成される。
本発明に基づくオフセット付き部分行プリントはカラー・インクジェット・プリンタに用いることができるものと期待される。
これまでインクジェット装置を使用したところのより改善されたドット重ね式グラフィクス領域塗りつぶしの方法を説明してきた。当業者には多くの修正と変更が可能であることは明白であり、このような修正と変更は全て本願特許請求項の範囲に含まれるものである。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本願発明によれば、カラー・インクジェット・プリントにおいて広がりを持つ領域に対して、複数のカラー・インクの混色によって得られる色彩のプリントを行なう際、プリント方向に沿ったすじ状のむらの目立たない、より一様なプリントを行なうことが可能となる。
なお、第1図における実施例の説明では行の形状は長方形であるが、各行のプリント中にプリミティブ中の個々のノズルについてインクを噴射するか否かを動的に変化させることにより、行の輪郭を長方形状外の形状とすることができる。これにより任意の輪郭・大きさの領域の塗りつぶしに対して本発明を適用することもできる。
更に、完全に一様な塗りつぶしではなく、グラディエーション付きの塗りつぶしに対しても本発明は効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を説明するための図、第2図は従来技術における問題点を説明するための図である。
10、14、20、24、30、32、34、36、38:行
12:プリント媒体
16、16′:中央部
18、18′:境界部。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
▲1▼訂正事項a・・・特許請求の範囲の請求項1において、「少なくとも第1の色彩の行と第2の色彩の行を重ねてプリントすることにより所定の領域を順次プリントするインクジェット・プリント方法において、」の前に、「プリント媒体上でのプリント・ヘッドの同一のパスの間に前記プリント媒体上の実質的に同一位置または隣接位置に複数の色彩のインクを与えることができるインクジェット・プリンタを使用し、」を付加する。
▲2▼訂正事項b・・・特許請求の範囲の請求項1において、「ことを特徴とするインクジェット・プリント方法。」を「ことによって前記プリント・ヘッドの前記パスの間の進行方向に平行なすじ状色むらを防止もしくは低減するインクジェット・プリント方法。」と訂正する。
▲3▼訂正事項c・・・特許請求の範囲の請求項2において、「以下のステップ(a)ないし(f)を設け、」の前に、「プリント媒体上でのプリント・ヘッドの同一のパスの間に前記プリント媒体上の実質的に同一位置または隣接位置に複数の色彩のインクを与えることができるインクジェット・プリンタを使用し、」を付加する。
▲4▼訂正事項d・・・特許請求の範囲の請求項2において、「重ねプリントすることにより所定の領域を順次プリントするインクジェット・プリント方法:」を「重ねてプリントして所定の領域を順次プリントすることによって、前記プリント・ヘッドの前記パスの間の進行方向に平行なすじ状色むらを防止もしくは低減するインクジェット・プリント方法:」と訂正する。
異議決定日 1999-10-12 
出願番号 特願昭63-135388
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B41J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高島 喜一  
特許庁審判長 小澤 和英
特許庁審判官 伊波 猛
信田 昌男
登録日 1997-12-19 
登録番号 特許第2730907号(P2730907)
権利者 ヒューレット・パッカード・カンパニー
発明の名称 インクジェット・プリント方法  
代理人 上野 英夫  
代理人 上野 英夫  

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