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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B41J
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  B41J
管理番号 1009067
異議申立番号 異議1999-70125  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1990-03-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-01-18 
確定日 1999-10-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2775767号「印字装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2775767号の特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2775767号は、平成63年9月19日に出願され、平成10年5月1日に特許権の設定の登録があり、特許掲載公報が平成10年7月16日に発行され、その後、平成11年1月18日付けで木名瀬 光より、特許異議の申立てがあり、取消理由を通知したところ、その指定期間内である平成11年7月16日に特許異議意見書の提出と共に訂正請求がされたものである。
2.訂正の適否
(1)訂正の内容
当該訂正は、
a.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載、
「外部機器から受信された印字データを一時記憶する受信バッファと、該受信バッファに入力した印字データを印字すべきイメージデータに展開する展開手段と、展開されたイメージデータを格納記憶するイメージメモリと、該イメージメモリに記憶されたデータに基づき給紙手段により用紙貯留部から搬出された用紙に印字出力を行う印字手段を備える印字装置において、
前記用紙貯留部に貯留された用紙の先端よりも用紙搬送経路内において所定距離だけ下流に配設され用紙の後端が通過したことを検知する用紙後端検知手段と、
前記受信バッファ、前記イメージメモリ及び両者間のデータ処理過程の何れかに印字すべきデータを認識し、且つ、前記後端検知センサが該センサ上に用紙の存在を検知しないと、前記給紙手段による給紙動作の開始制御を行う給紙開始制御手段とを具備し、
連続印刷時先行紙の後端と後続紙の先端との間隔が略前記所定距離を維持して連続的に給紙処理されることを特徴とする印字装置」を、
「外部機器から受信された印字データを一時記憶する受信バッファと、該受信バッファに入力した印字データを印字すべきイメージデータに展開する展開手段と、展開されたイメージデータを格納記憶するイメージメモリと、該イメージメモリに記憶されたデータに基づき給紙手段により用紙貯留部から搬出された用紙に印字出力を行う印字手段を備える印字装置において、
前記用紙貯留部に貯留された用紙の先端よりも用紙搬送経路内において所定距離だけ下流に配設され用紙の後端が通過したことを検知する用紙後端検知手段と、
前記受信バッファにおける印刷すべきデータの認識に応じて給紙開始信号を発生し、前記受信バッファに入力した印字データに基づいて展開されたイメージデータが前記イメージメモリを介して前記印字部へ転送し終わるまで、前記給紙開示信号を維持し続ける給紙信号発生手段と、
前記給紙開始信号の維持期間中、前記後端検知センサが該センサ上に用紙の存在を検知しないと、前記給紙手段による給紙動作の開始制御を行う給紙開始制御手段とを具備し、
連続印刷時先行紙の後端と後続紙の先端との間隔が略前記所定距離を維持して連続的に給紙処理されることを特徴とする印字装置」
とする。
b.訂正事項b
▲1▼明細書4頁12行〜5頁2行目[発明の要点]の
記載中、
「前記受信バッファ、前記イメージメモリ及び両者間のデータ処理過程の何れかに印字すべきデータを認識し、且つ、前記後端検知センサが該センサ上に用紙の存在を検知しないと、前記給紙手段による給紙動作の開始制御を行う給紙開始制御手段とを具備し、」の記載を、
「前記受信バッファにおける印刷すべきデータの認識に応じて給紙開始信号を発生し、前記受信バッファに入力した印字データに基づいて展開されたイメージデータが前記イメージメモリを介して前記印字部へ転送し終わるまで、前記給紙開示信号を維持し続ける給紙信号発生手段と、
前記給紙開始信号の維持期間中、」とする。
▲2▼明細書9頁11行目の「フィードスタート(PFS)出力」を、「フィードスタート(給紙開始信号:PFS)出力」とする。
ことを内容とするものである。
(2)訂正の目的の適否及び新規事項の追加、拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、給紙開始制御手段に関し、印字すべきデータの認識が、「受信バッファ、イメージメモリ及び両者間のデータ処理過程の何れか」であったものを、「受信バッファ」のみに限定するものであり、特許請求の範囲の減縮に該当する。
また、上記訂正事項bの▲1▼は、aの訂正に伴うものであり、同bの▲2▼は、PFSを明確にしたものであって、いずれも、明りょうでない記載の釈明に該当する。
そして、訂正事項aおよびbは、いずれも、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内の事項であり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張するものでも、変更するものでもないと認められる。
(3)独立特許要件の判断
(A)訂正明細書に係る発明
訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、「訂正発明」という。)は、訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認める。(その記載事項は、前記(2)の訂正事項aの欄に示されたとおりである。)
(B)引用刊行物
当審が通知した取消理由で引用した刊行物1ないし刊行物3には、次の記載があることが認められる。
・刊行物1(特開昭60-257262号公報):
「第1図はレーザーを光源とした電子写真記録方式によりページ単位で印刷を行うページプリンタの印刷機構部を示すもので本発明に用いられる。1はページ単位の印刷用紙を供給する用紙カセット、...(中略)...、15は前記用紙カセット1から用紙が繰出されたかあるいは1枚が繰出され次の用紙の繰出しが可能か否かを検出するセンサ、...(中略)...である。」(2頁上右欄5行〜下左欄6行)
「上位装置から送られるデータをインタフェース部20で受信し、受信したデータをマイクロコンピュータシステム21で編集し、順次ページメモリ23aへ格納する。」(2頁下右欄6〜10行)
「印刷機構部27は印刷機構部28のセンサ15により1ページ目の用紙が有りから無しを検出すると、2ページ面の用紙繰り出しが可能なことをインタフェースコントロール部25に対して送出する。この時2ページ目の用紙を繰り出す様制御する。」(3頁上左欄19行〜右欄6行)
および図面第1〜4図。
・刊行物2(特開昭62-244675号公報):
「第3図において、記録装置の制御部20はインターフェース部21を介してコンピューター等のホスト機22に接続され、各種のコマンド信号および印字データ信号が記録装置へ入力される。」(3頁上右欄13〜16行)
「バッファメモリー内が印字データ等で満杯の状態か否かを判別する。
印字命令が出力されバッファフルの状態であればステップ204へ進んで記録動作が実行され、そうでなければステップ205へ進んで印字データをバッファ内に格納した後再びステップ203へ戻される。
記録動作を実行した後、ステップ206でシートエンドセンサー26におけるシートの有無を判定し、YESであればステップ203に戻る。」(3頁下右欄1〜l1行)
および図面第1〜4図。
・刊行物3(特開昭57-146267号公報):
「裁断された記録紙で記録を行う記録装置では、連続記録を行う場合、記録紙同士の間隔をできるだけ短く設定して記録部に給送することが効率的な記録を行ううえで必要な条件となる。」(1頁下左欄18行〜右欄1行)
「第2図に示すようにその時刻t1においてフィードローラ4が駆動を開始される(第2図c)。フィードローラ4が駆動されると給紙トレイ5内でこれと接触している積層された最上部の記録紙が矢印6方向に送り出される。
給紙トレイ5の前方にはこれとわずかの距離を隔ててぺ一パセンサ7が配置されており」(2頁上右欄8〜14行)
「1枚目の記録紙の後端がぺーパセンサ7により検知されると。これと同時刻あるいはわずかに後の時刻t5においてフィードローラ4が駆動される(第2図c)。」(2頁下右欄14〜18行)
およ図面第1〜2図。
(C)対比・判断
刊行物1の上記摘記記載によれば、引用例1のページプリンタの印刷方式においては、次の頁のぺ一ジメモリヘの編集が終了していると次のページ用の用紙を繰り出す様制御するものであるが、インタフェース部20(訂正発明の受信バッファに相当)から用紙繰出しの信号は送られておらず、受信バッファ内のデータ認識により給紙開始信号を生成しているものとは認められない(第3図参照)。また、刊行物1のその他の記載を検討しても、「印字すべきデータが受信バッファに存在することが認識されると、給紙開始信号を生成する」という点の技術的思想を示唆しているものとも解されない。
訂正発明においては、その点の構成を採用してはじめて、明細書記載の作用、効果を奏することができるものと認められ、その開示のない刊行物1の記載から、訂正発明を容易に発明することができたものとすることはできない。
さらに、刊行物2および刊行物3の記載を検討しても、上記の点の技術的思想までは記載されておらず、示唆する記載も見当たらない。
したがって、刊行物1ないし刊行物3をもってしては、訂正発明をその記載から容易に発明をすることができたものとはいえず、特許出願の際、独立して特許を受けることができない発明とすることができない。
また、他に、訂正発明について特許を受けることができない発明とする理由は見い出せない。
(4)結論
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する第126条第2項ないし第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについて
(1)申立ての理由の概要
異議申立人 木名瀬 光は、証拠として、
甲第1号証:特開昭60-257262号公報、
甲第2号証:特開昭62-244675号公報、
甲第3号証:特開昭57-146267号公報、
を提出し、本件の発明は甲第1号証〜甲第3号証の存在により特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである旨、また、本件明細書には記載不備があるから特許法第36条の要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである旨主張している。
(2)第29条違反との主張について
本件の請求項1に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのもの(上記訂正発明)と認める。
本件請求項1に係る発明と甲号各証とを対比検討するに、甲第1号証〜甲第3号証は前記刊行物1〜刊行物3と同じものであり、その検討結果は、前記2(3)に示したとおりである。
したがって、本件請求項1に係る発明が甲第1号証〜甲第3号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
(3)記載不備があるとの主張について
本件明細書の記載に不備があるとする異議申立人の主張の概要は、請求項1には「前記後端検知センサ」の記載があるが、「後端検知センサ」が先行して存在しておらず、「前記」が何を指すか不明瞭である、というものである。
しかしながら、「後端検知センサ」が先行して記載された「後端検知手段」を指すことは明らかであり、そのことによって不明瞭となるものとはいえない。
したがって、その点をもって、明細書の記載に不備があるとはいえず、特許法第36条に規定される要件を満足していないとすることはできない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
印字装置
(57)【特許請求の範囲】
外部機器から受信された印字データを一時記憶する受信バッファと、該受信バッファに入力した印字データを印字すべきイメージデータに展開する展開手段と、展開されたイメージデータを格納記憶するイメージメモリと、該イメージメモリに記憶されたデータに基づき給紙手段により用紙貯留部から搬出された用紙に印字出力を行う印字手段を備える印字装置において、
前記用紙貯留部に貯留された用紙の先端よりも用紙搬送経路内において所定距離だけ下流に配設され用紙の後端が通過したことを検知する用紙後端検知手段と、
前記受信バッファにおける印刷すべきデータの認識に応じて給紙開始信号を発生し、前記受信バッファに入力した印字データに基づいて展開されたイメージデータが前記イメージメモリを介して前記印字部へ転送し終わるまで、前記給紙開始信号を維持し続ける給紙開始信号発生手段と、
前記給紙開始信号の維持期間中、前記後端検知センサが該センサ上に用紙の存在を検知しないと、前記給紙手段による給紙動作の開始制御を行う給紙開始制御手段とを具備し、
連続印刷時先行紙の後端と後続紙の先端との間隔が略前記所定距離を維持して連続的に給紙処理されることを特徴とする印字装置。
【発明の詳細な説明】
〔発明の技術分野〕
本発明は、液晶プリンタ、LEDプリンタ、レーザビームプリンタ等の印字装置に関する。
〔従来の技術〕
液晶プリンタ、LEDプリンタ等の外部機器から出力される印字データに従って用紙に印字を行う印字装置では、以下のようにして用紙に画像作成を行っている。
イ)まず、ホストコンピュータ等の外部機器から印字データが出力されると、印字装置はこの印字データを一旦受信バッファ内に書込み、その後順次受信バッファ内の印字データを読み出し印字データに対応したパターンデータに変換してイメージメモリに記憶する。
ロ)イメージメモリ内に用紙1頁分のパターンデータが記憶されると用紙カセットに収納されている用紙の搬出を指示し、印字装置内へ用紙を搬入する。
ハ)その後、印字装置内に搬入された用紙が待機ロールで一旦停止すると同時にイメージメモリよりパターンデータが印字ヘッドに送出され
感光体ドラム上に画像の形成が開始される。
ニ)待機ロールで一旦停止した用紙は、感光体ドラム上の画像(静電潜像)を用紙の所定位置へ印字するタイミングで再給送され用紙上に画像形成を行う。
ホ)さらに、同一画像を複数枚の用紙に印字する(以下複写印字処理で示す)場合には、用紙カセットから次の用紙を搬出し、上述と同様にイメージメモリに記憶されているパターンデータを次の用紙に印字する処理を行う。
〔従来技術の問題点〕
しかしながら上述のような印字装置では、(イ)に示す処理、すなわち印字データを一旦受信バッファに書込み、その後パターンデータに変換してイメージメモリに1頁分のパターンデータを書込む処理を完了した後、初めて(ロ)の処理、すなわち用紙カセットへ用紙の搬出指示を行い印字装置内へ用紙を搬入する処理を実行する。従って、印字装置内へ用紙を搬入するまでに時間を要し、最初の用紙への印字処理を高速に行うことができない。
また、複写印字処理を行う場合には、上述の(ホ)の処理で説明した如く、前の用紙(先行用紙)への印字処理が終了した後、次の用紙(後続用紙)を印字装置内へ搬入する。従って、次の用紙への印字処理の開始が遅れ、上述と同様後続用紙への印字処理にも長い時間を要し、印字処理を高速に行うことができない。
〔発明の目的〕
本発明は上記従来の欠点に鑑み、印字処理を高速に行うことを可能とした印字装置を提供することを目的とする。
〔発明の要点〕
本発明は上記目的を達成するために、外部機器から受信された印字データを一時記憶する受信バッファと、該受信バッファに入力した印字データを印字すべきイメージデータに展開する展開手段と、展開されたイメージデータを格納記憶するイメージメモリと、該イメージメモリに記憶されたデータに基づき給紙手段により用紙貯留部から搬出された用紙に印字出力を行う印字手段を備える印字装置において、前記用紙貯留部に貯留された用紙の先端よりも用紙搬送経路内において所定距離だけ下流に配設され用紙の後端が通過したことを検知する用紙後端検知手段と、前記受信バッファにおける印刷すべきデータの認識に応じて給紙開始信号を発生し、前記受信バッファに入力した印字データに基づいて展開されたイメージデータが前記イメージメモリを介して前記印字部へ転送し終わるまで、前記給紙開始信号を維持し続ける給紙開始信号発生手段と、前記給紙開始信号の維持期間中、前記後端検知センサが該センサ上に用紙の存在を検知しないと、前記給紙手段による給紙動作の開始制御を行う給紙開始制御手段とを具備し、連続印刷時先行紙の後端と後続紙の先端との間隔が略前記所定距離を維持して連続的に給紙処理されることを特徴とする。
〔実施例〕
以下本発明の実施例について図面を参照しながら詳述する。
第2図は一実施例の印字装置の構成図である。図において、印字装置は用紙にトナー像を形成する画像形成部1と、用紙Pを用紙カセット2から搬出し印字装置内に搬送する搬送機構3で構成されている。
画像形成部1は感光体ドラム4と、感光体ドラム4の周面近傍に順次配設された帯電器5、印字ヘッド6、現像器7、転写器8で構成されている。帯電器5は矢印A方向に回動する感光体ドラム4の感光面に初期帯電電圧を付与するものであり、印字ヘッド6は印字データに基づく露光を感光面に行う装置であり、現象器7は上述の露光により感光面に形成された静電潜像をトナー像化し、転写器8はこのトナー像を矢印B方向に搬送される用紙Pに転写する装置である。
搬送機構3は給紙コロ9の回転により用紙カセット2から搬出された用紙を搬送するための待機ロール10、定着ロール11及び図示しない搬送ロール、用紙搬送路12を形成するための図示しない搬送ガイド板等で構成されている。
待機ロール10は用紙の先端を当接させることにより用紙の搬送を一時停止させ、後述する所定のタイミングで回転を行い、用紙Pを感光体ドラム4と転写器8間に搬送するロールである。定着ロール11は転写器8で用紙P上に転写された未定着トナーを用紙Pに定着すると共に用紙排出部13へ用紙Pを搬送するロールである。また、用紙カセット2と待機ロール10との間の用紙搬送路12には用紙の後端の通過を検知する用紙後端検知センサ14が設けられ、また待機ロール10に用紙先端が当接したことを検知する待機スイッチ15か待機ロール10下方に設けられている。
以上の機構構成の印字装置内には図示しない基板上に第1図に示すブロック構成の制御回路が設けられている。但し、同図に示すホストコンピュータ17は印字装置へ印字データを出力する外部機器である。印字装置内の回路はインターフェイスコントロール部18とプリント部19で構成されている。
インターフェイスコントロール部18はホストコンピュータ17から出力された文字コードをパターンデータ(画像データ)に変換制御を行う回路であり、CPU(中央処理部)20、ホストインターフェイス(以下ホスト1/Fで示す)21、ROM22、RAM23、受信バッファ24、イヌージデータ発生部25、イメージメモリ26で構成されている。
また、プリント部19は実際に用紙に印字を行う際のパターンデータの出力制御や用紙Pの搬送、上述の画像形成部1を構成する各部の動作制御を行う回路であり、上述の印字ヘッド6、プリンタコントローラ27で構成されている。また、このプリント部19と上述のインターフェイスコントロール部18はPRインターフェイス28で接続されている。ホストコンピュータ17は文字コードや印字制御データをホスト1/F21へ出力する回路である。
CPU20は、ROM22内に格納されているプログラムに従って各部の制御を行う。
イメージデータ発生部25は文字コードに対応する文字のパターンデータを記憶しており、受信バッファ24に一旦記憶された文字コードがCPU20の制御によりイメージデータ発生部25へ読み出されると対応する文字のパターンデータをイメージメモリ26へ出力する回路である。イメージメモリ26は用紙1頁または複数頁分のパターンデータを記憶するメモリである。印字ヘッド6はパターンデータに従って図示しない液晶シャッタやLED等の印字素子を駆動し前述の如く感光面へ露光を行うものである。
また、プリンタコントローラ27は上述のCPU20と制御データの授受を行い前述の給紙コロ9や待機ロール10の回転制御、帯電器5、現像器7、転写器8、定着ロール11等の駆動制御を行う回路である。
以上の構成の印字装置において、用紙への印字処理動作を第3図(a),(b)のフローチャートに従って説明する。
第3図(a)のフローチャートはインターフェイスコントロール部18側の処理を示し、同図(b)のフローチャートはプリント部19側の処理を示す。
まず、インターフェイスコントロール部18内のCPU20は文字コード等のデータが受信バッファ24内に入力されたか監視しており、受信バッファ24にデータが入力していない時はペーパーフィードスタート(給紙開始信号:PFS)出力をリセット状態にしておく(ステップ(以下Sで示す)1がN、S2)。この状態で文字コード等のデータがホストコンピュータ17から出力されるのを待ち、文字コード等のデータがホストコンピュータ17から出力されるとこのデータはホストI/F21を介して受信バッファ24へ入力する。
CPU20は受信バッファ24へ文字コード等のデータが入力し始めると直ちに上述のPFS信号を作成し、RRインターフェイス28を介してこのPFS信号をプリンタ部19側のプリンタコントローラ27へ送信する(S1がY,S3)。その後CPU20はイメージメモリ26内にパターンデータの書込みのための空エリアがあるか判断し(S4)、書込みエリアがあれば受信バッファ24内の文字コードを順次イメージデータ発生部27へ出力し、対応するパターンデータに変換した後イメージメモリ26へ書込んでいく(S4がY,S5)。
一方、プリンタコントローラ27はCPU20から出力された上述のPFS信により、インターフェイスコントロール部18側で上述のパターンデータ作成作業を行っている間に給紙動作を実行する(ST1がY,ST2(ここでSTはステップの意味であり、上述のインターフェイスコントロール部18側の処理Sと区別するためSTの文字を用いる))。プリンタコントローラ27はPFS信号が入力すると給紙コロ9へ回転指示信号を送り給紙コロ9を回転駆動させ用紙カセット2から用紙Pを搬出する。印字装置内に搬入された用紙Pは用紙搬送路12を通って待機ロール10まで達すると待機センサ15をオンする。プリンタコントローラ27は後述する再給紙フラグが“1”でないことを判断した後、この待機センサ15のオンを確認すると給紙ロール9の回転を停止させる(ST3〜ST5)。このようにプリント部19側ではインターフェイスコントロール部18側で前述の如くイメージメモリ26内にパターンデータを書込んでいる間に用紙Pを用紙カセット2から搬出し、待機ロール10の位置まで給送し一旦停止させておく。以上の用紙Pの給送タイミングを示すタイムチャートが第4図(a)〜(c)の前半部である。
その後、インターフェイスコントロール部18側ではイメージメモリ26への上述のパターンデータの書込みが全て終了とすると(S6がY)、CPU20は書込み完了信号(IDR信号)をプリンタコントローラ27へ送信する(S7)。プリンタコントローラ27はIDR信号(立ち上り)を受信した時上述の用紙Pの給紙処理が完了していればこの確認としてデータ送出許可信号(VSYN)をCPU20へ送信する(ST6がY,ST7)。CPU20ではVSYN信号を受信すると、イメージメモリ26内に書込まれたパターンデータをバリッド信号(VAL)と共にプリント部19側に送信し(S8〜S10)、印字ヘッド6によりパターンデータに従った露光を行わせる(ST8がY,ST9)。以上の各信号出力タイミングを示すタイムチャートが第4図(d)〜(g)の前半部である。
その後、インターフェイスコントロール部18型枠ではパターンデータの送信が完了するとCPU20はバリッド信号の出力及びパターンデータの送信を停止し、枚数カウンタを-1し、CPU20は例えばRAM23内に設けられた枚数カウンタが“0”か否か判断する(S11〜S14)。この枚数カウンタのカウント値の判断は2枚以上の複写印字処理において行われるものであり、上述の如く1枚目の用紙への印字処理が終了しても“0”とはならず(“1”以上であり第4図の(k))、CPU20は上述の処理(S7)に戻る。
一方、プリント部19側では印字部6で上述の如く露光動作開始後例えばプリンタコントローラ27内に設けられたタイマをスタートさせる(ST10)。このタイマは感光面上に形成された画像と用紙Pの先端とを一致させるためのもので、タイマがタイムアップする間(ST11がN)、前述の印字ヘッド6、現像器7等の画像形成プロセス処理を実行し、感光面への画像の形成、画像の現像処理等を行う(ST12)。その後、タイマがタイムアップすると、タイマをリセットし、待機ロール10を駆動すると共に再給紙フラグを“1”にセットする(ST11がY、ST13,ST14,ST15)。この処理により用紙Pは転写器8側へ搬送され、用紙P上にトナー像が転写され、さらに定着器11でトナー像が用紙Pに定着される。その後、プリンタコントローラ27は、用紙搬送を続行すると共に上述の画像形成プロセス処理を実行し続ける(ST12)。そしてその間、用紙Pの後端が用紙後端検知センサ14により検知されるか判断する(ST16)。用紙Pの後端が用紙後端検知センサ14により検知される前は(ST16がN)、処理(ST3)を実行し再給紙フラグ“1”及び待機スイッチのオフを判断し(ST3がY、ST17がN)、上述の処理(ST6→ST7→・・・)を繰り返している。
その後、用紙Pの後端が用紙後端検知センサ14により検知されると(ST16がY)、処理(ST1)に戻り、PFS信号の入力を判断し入力していれば、(ST1がY)、給紙コロ9を回転駆動し次の用紙P’の搬出処理を実行する(ST2)。すなわち、先行の用紙Pがまだ待機ロール10により転写器8側へ搬送され、用紙P上に画像形成処理が行われている間(ST3→ST17→ST6→ST7→・・・)に次の用紙P´を印字装置内へ搬入する。以上の処理タイミングを示す図が第4図(a),(b)の後半部、(h)〜(j)である。
その後、用紙Pが待機ロール10から全て転写器8側へ送られると待機スイッチ15がオフとなり(ST17がY)、プリンタコントローラ27は待機ロール10の回転を停止し、再給紙フラグを“0”をセットする(ST18,ST19)。この間、次の用紙P´は用紙搬送路12上を搬送されており、待機ロール10が回転を停止した直後に次の用紙P´は待機ロール10に当接し、待機スイッチ15をオンする。即ち、再給紙フラグが“0”にセットされると判断(ST3)はNとなり、用紙Pに例えば10mm程度の間隔をあけて搬送される用紙P´により待機スイッチ15は再度オンに設定される。従ってこの処理により用紙P´の給送は一旦停止される(ST3→ST5)。この時前述の如くIDR信号はCPU20からプリンタコントローラ27へ送信されおり、イメージメモリ26内に書込まれているパターンデータに従って上述と同様に印字を行う(ST6→ST7→・・・)。すなわち、先の用紙Pへの印字処理が終了した時点ですでに次の用紙P´が待機ロール10まで送られており、直ちに次の用紙P´への印字処理を実行できる。そして最後の用紙への印字が終了すると、枚数カウンタは“0”となるため、CPU20はIDR信号の出力を停止し、印字処理を終了する(S15)。
〔発明の効果〕
以上詳細に説明したように本発明によれば、イメージデータ作成中、最先の用紙を印字装置の所定位置まで搬入しておきイメージデータの作成完了と同時に印字処理を行え、しかも後続用紙についても、先の用紙の印字処理中印字装置内の所定位置まで搬入しておき直ちに処理ができるので高速に印字処理ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は一実施例の印字装置の回路ブロック図、
第2図は一実施例の印字装置の構成図、
第3図は一実施例の印字装置の動作を説明するフローチャート、
第4図は一実施例の印字装置の動作を説明するタイムチャートである。
9・・・給紙コロ、
10・・・待機ロール、
14・・・用紙後端検知センサ、
15・・・待機スイッチ、
20・・・CPU、
27・・・プリンタコントローラ。
 
訂正の要旨 1.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載、
「外部機器から受信された印字データを一時記憶する受信バッファと、該受信バッファに入力した印字データを印字すべきイメージデータに展開する展開手段と、展開されたイメージデータを格納記憶するイメージメモリと、該イメージメモリに記憶されたデータに基づき給紙手段により用紙貯留部から搬出された用紙に印字出力を行う印字手段を備える印字装置において、
前記用紙貯留部に貯留された用紙の先端よりも用紙搬送経路内において所定距離だけ下流に配設され用紙の後端が通過したことを検知する用紙後端検知手段と、
前記受信バッファ、前記イメージメモリ及び両者間のデータ処理過程の何れかに印字すべきデータを認識し、且つ、前記後端検知センサが該センサ上に用紙の存在を検知しないと、前記給紙手段による給紙動作の開始制御を行う給紙開始制御手段とを具備し、
連続印刷時先行紙の後端と後続紙の先端との間隔が略前記所定距離を維持して連続的に給紙処理されることを特徴とする印字装置」
を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「外部機器から受信された印字データを一時記憶する受信バッファと、該受信バッファに入力した印字データを印字すべきイメージデータに展開する展開手段と、展開されたイメージデータを格納記憶するイメージメモリと、該イメージメモリに記憶されたデータに基づき給紙手段により用紙貯留部から搬出された用紙に印字出力を行う印字手段を備える印字装置において、
前記用紙貯留部に貯留された用紙の先端よりも用紙搬送経路内において所定距離だけ下流に配設され用紙の後端が通過したことを検知する用紙後端検知手段と、
前記受信バッファにおける印刷すべきデータの認識に応じて給紙開始信号を発生し、前記受信バッファに入力した印字データに基づいて展開されたイメージデータが前記イメージメモリを介して前記印字部へ転送し終わるまで、前記給紙開示信号を維持し続ける給紙信号発生手段と、
前記給紙開始信号の維持期間中、前記後端検知センサが該センサ上に用紙の存在を検知しないと、前記給紙手段による給紙動作の開始制御を行う給紙開始制御手段とを具備し、
連続印刷時先行紙の後端と後続紙の先端との間隔が略前記所定距離を維持して連続的に給紙処理されることを特徴とする印字装置」
とする。
2.訂正事項b
明細書の発明の詳細な説明の欄の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、次のとおりとする。
▲1▼明細書4頁12行〜5頁2行目の記載、
「本発明は上記目的を達成するために、外部機器から受信された印字データを一時記憶する受信バッファと、該受信バッファに入力した印字データを印字すべきイメージデータに展開する展開手段と、展開されたイメージデータを格納記憶するイメージメモリと、該イメージメモリに記憶されたデータに基づき給紙手段により用紙貯留部から搬出された用紙に印字出力を行う印字手段を備える印字装置において、前記用紙貯留部に貯留された用紙の先端よりも用紙搬送経路内において所定距離だけ下流に配設され用紙の後端が通過したことを検知する用紙後端検知手段と、前記受信バッファ、前記イメージメモリ及び両者間のデータ処理過程の何れかに印字すべきデータを認識し、且つ、前記後端検知センサが該センサ上に用紙の存在を検知しないと、前記給紙手段による給紙動作の開始制御を行う給紙開始制御手段とを具備し、連続印刷時先行紙の後端と後続紙の先端との間隔が略前記所定距離を維持して連続的に給紙処理されることを特徴とする。」
を、
「本発明は上記目的を達成するために、外部機器から受信された印字データを一時記憶する受信バッファと、該受信バッファに入力した印字データを印字すべきイメージデータに展開する展開手段と、展開されたイメージデータを格納記憶するイメージメモリと、該イメージメモリに記憶されたデータに基づき給紙手段により用紙貯留部から搬出された用紙に印字出力を行う印字手段を備える印字装置において、前記用紙貯留部に貯留された用紙の先端よりも用紙搬送経路内において所定距離だけ下流に配設され用紙の後端が通過したことを検知する用紙後端検知手段と、前記受信バッファにおける印刷すべきデータの認識に応じて給紙開始信号を発生し、前記受信バッファに入力した印字データに基づいて展開されたイメージデータが前記イメージメモリを介して前記印字部へ転送し終わるまで、前記給紙開示信号を維持し続ける給紙信号発生手段と、前記給紙開始信号の維持期間中、前記後端検知センサが該センサ上に用紙の存在を検知しないと、前記給紙手段による給紙動作の開始制御を行う給紙開始制御手段とを具備し、連続印刷時先行紙の後端と後続紙の先端との間隔が略前記所定距離を維持して連続的に給紙処理されることを特徴とする。」
とする。
▲2▼明細書9頁11行目に「フィードスタート(PFS)出力」とあるを、
「フィードスタート(給紙開始信号:PFS)出力」とする。
異議決定日 1999-09-28 
出願番号 特願昭63-234647
審決分類 P 1 651・ 531- YA (B41J)
P 1 651・ 121- YA (B41J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉村 尚中村 和夫  
特許庁審判長 佐藤 久容
特許庁審判官 森林 克郎
船越 巧子
登録日 1998-05-01 
登録番号 特許第2775767号(P2775767)
権利者 カシオ計算機株式会社 カシオ電子工業株式会社
発明の名称 印字装置  

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