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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A47L
管理番号 1009076
異議申立番号 異議1999-71050  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-03-18 
確定日 1999-11-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2800489号「電気掃除機」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2800489号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 〔1〕手続の経緯
本件特許2800489号は、平成3年8月20日に特許出願されたものであって、平成10年7月10日に設定登録がされ、同年9月21日に特許公報に掲載されたものであり、これに対して、特許異議申立人三洋電機株式会社より、本件の請求項1及び請求項2(全請求項)に係る発明の特許に対して、平成11年3月18日付けで特許異議の申立てがされ、その後、当審の取消理由通知に対して、平成11年10月14日付け訂正請求書により訂正請求がされたものである。
〔2〕訂正事項と訂正の適否についての判断
本件訂正請求は、明細書の「特許請求の範囲」及び「発明の詳細な説明」の項中の、「外郭後方」を、「外郭後端部」と訂正するものである。
そして訂正事項は、発明の詳細な説明及び図面全体の記載からみて、特許法第120条の4第2項第3号に規定された「明りょうでない記載の釈明」に当たるものと認められ、さらに、本件訂正事項は、全体として願書に最初に添付した明細書及び図面の範囲においてされたものであると認められるので、同条第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定にも適合するものである。
したがって、本件訂正はこれを認めることとする。
〔3〕特許異議申立てについての判断
本件請求項1及び請求項2に係る発明は、訂正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された以下のものにある。
「請求項1
電気掃除機本体のモーター室上方に回動自在に設けた、略コの字状の把手を有し、電気掃除機本体のモーター室上方の外郭後端部には隙間ノズル等の付属品を横方向に取着自在に収納する上方を開口した凹部を設け、前記把手で前記凹部の上方開口部を覆ってなる電気掃除機。
請求項2
電気掃除機本体のモーター室上方に回動自在に設けた、略コの字状の把手を有し、電気掃除機本体のモーター室上方の外郭後端部には隙間ノズル等の付属品を縦方向に取着自在に収納する上方を開口した凹部を設け、前記把手で前記凹部の上方開口部を覆ってなる電気掃除機。」
これに対して、特許異議申立人の申立ての理由は、「本件特許発明の請求項1の発明は、その出願前公知の甲第1号証に基づいて当業者が容易に発明できたものである。また、本件特許発明の請求項2の発明は、甲第1号証に甲第4号証乃至甲第6号証に示される周知の技術を採用するすることにより、当業者が容易に発明できたものである。従って、本件特許発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。」というにある。
証拠方法:
甲第1号証:実願昭61-64607号(実開昭62-177481号)のマイクロフィルム
甲第2号証:実願昭62-180388号(実開平1-82857号)のマイクロフィルム
甲第3号証:特開昭56-43924号公報
甲第4号証:実願昭61-20746号(実開昭62-134537号)のマイクロフイルム
甲第5号証:実開昭63-36448号公報
甲第6号証:実開昭63-147163号公報
そこで、甲号各証について検討すると、甲第1号証には電気掃除機に関して第1〜5図とともに記載されており、隙間ノズルなどの付属品を収納する上部を開口した凹部を電気掃除機本体に形成した電気掃除機であるされた点では、本件発明と共通するものであると認められるが、本件各発明が、電気掃除機本体のモーター室上方の外郭後端部に付属品を収納する凹部を設け略コの字状の把手で凹部の上方開口部を覆ったものであるのに対して、甲第1号証のものは、付属品収納凹部を電気掃除機本体の上方外郭の中心部よりに設けており、また、略コの字状の把手で凹部の上方開口部を覆うものでもない。
そして、本件各発明は、その構成により、請求項1に係る発明では、付属品を覆う格納蓋と、格納蓋をダスト蓋に開閉自在にできるラッチをなくすことができ、部品点数の削減、軽量化、コストダウンが図れるとともに、把手を回動することにより簡単に付属品の取着が行え、請求項2に係る発明では、これらに加えて、付属品を収納するスペースが小さくでき、電気掃除機本体を大きくする必要がなくなるという、甲第1号証記載の電気掃除機に比して有利な効果を奏するものと認められる。
また、甲第2号証及び甲第3号証には「電機掃除機」について、甲第4号証には「掃除機における隙間用ノズルの収納構造」について、甲第5号証にも「電機掃除機」について、それぞれ図面とともに記載されているが、本件請求項1及び請求項2に係る発明の上記、▲1▼電気掃除機本体のモーター室上方の外郭後端部に付属品を収納する凹部を設け、▲2▼略コの字状の把手で凹部の上方開口部を覆う構成とする点に関しては何らの記載も示唆もない。
そうすると、その余について検討するまでもなく、本件請求項1及び請求項2に係る発明が、甲第1号証乃至甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。
〔4〕まとめ
以上のとおりであるから、本件請求項1及び請求項2に係る発明が特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとする特許異議申立人の主張は、これを採用することができない。
ほかに、本件請求項1及び請求項2に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電気掃除機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気掃除機本体のモーター室上方に回動自在に設けた、略コの字状の把手を有し、電気掃除機本体のモーター室上方の外郭後端部には隙間ノズル等の付属品を横方向に取着自在に収納する上方を開口した凹部を設け、前記把手で前記凹部の上方開口部を覆ってなる電気掃除機。
【請求項2】 電気掃除機本体のモーター室上方に回動自在に設けた、略コの字状の把手を有し、電気掃除機本体のモーター室上方の外郭後端部には隙間ノズル等の付属品を縦方向に取着自在に収納する上方を開口した凹部を設け、前記把手で前記凹部の上方開口部を覆ってなる電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電気掃除機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電気掃除機は、実開平1-82853号に示されているように、電気掃除機本体上方後部に隙間ノズルを収納したり、図3に示すように集塵室上方に隙間ノズルを収納したものが一般的であった。
【0003】
以下、図3に従ってその構成について説明する。
電気掃除機本体1(以下、本体という)に回転自在なローラー2を設け、この本体1の内部は、電動送風機3、コード巻取装置(図示せず)を内蔵するモーター室4と、集塵袋5を内蔵する集塵室6を有している。
【0004】
フロントカバー7は本体1とビス等により固定され、ホース(図示せず)を着脱自在に装着できる接続口8を配設している。
【0005】
ダスト蓋9は、本体1に回動自在に取付けられ、集塵袋5の着脱時に開閉するもので、その上面には、隙間ノズルなどの付属品10を収納する凹部11が集塵室6の、上方に形成されている。
【0006】
また、前記凹部11の上方には、付属品10を覆う格納蓋12が、本体1に回動自在に係合されている。
【0007】
前記格納蓋12の先端部には、格納蓋12をダスト蓋9に開閉自在にできるラッチ13が取り付けられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の構成では、付属品10を上方より覆う格納蓋12が必要であり、部品点数が多くなり、コストアップになるとともに、軽量化を阻害するものであった。
【0009】
また、付属品10を収納するための凹部11が、集塵室6上方のダスト蓋9に形成されているため、集塵室の容量が少なくなるという問題を有していた。
【0010】
本発明は、このような課題を解消し、部品点数を削減しコストダウンとともに軽量化を図ることを目的としたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解消するための第1の発明による手段は、電気掃除機本体のモーター室上方に回動自在に設けた、略コの字状の把手を有し、電気掃除機本体のモーター室世L方の外郭後端部には隙間ノズル等の付属品を横方向に取着自在に収納する上方を開口した凹部を設け、前記把手で前記凹部の上方開口部を覆うものである。
【0012】
第2の発明による手段は、電気掃除機本体のモーター室上方に回動自在に設けた、略コの字状の把手を有し、電気掃除機本体のモーター室上方の外郭後端部には隙間ノズル等の付属品を縦方向に取着自在に収納する上方を開口した凹部を設け、前記把手で前記凹部の上方開口部を覆うものである。
【0013】
【作用】
上記構成における作用は、把手が凹部上方の開口部を覆うことにより、把手自体が格納蓋の役目をし、従来のように、隙間ノズル等の付属品を収納した時、付属品を覆う格納蓋と、ダスト蓋と格納蓋とを開閉自在できるラッチが不必要になり、部品点数の削減、軽量化、コストダウンが図れるものである。
【0014】
また、凹部をモーター室上方に配設するため、ダスト蓋の内面の凸部が削除され、集塵室の容量を多く確保でき、また、把手を回動すれば簡単に付属品の取着が行えるものである。
【0015】
第2の発明による作用は、第1の発明の作用に加え、外郭後端部に設けた凹部に、隙間ノズル等の付属品を縦方向に取着自在に収納することにより、付属品を収納するスペースが小さくでき、電気掃除機本体を大きくする必要がなくなるものである。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を添付図面にもとづいて説明する。
【0017】
図1において、電気掃除機本体21(以下、本体という)は、電動送風機22、コード巻取装置(図示せず)などを内蔵するモーター室23と、前記電動送風機22の吸引側に吸い込んだ塵埃を集積する集塵袋24を取着する集塵室25を有している。
【0018】
フロントカバー26は、ビス等により本体21前方に固定され、ホース(図示せず)を装着する接続口27を配設している。
【0019】
ダスト蓋28は、本体21に回動自在に取り付けられ、集塵袋24の着脱時に開閉するものである。
【0020】
本体上29は、前記電動送風機22、コード巻取装置などを格納する蓋を構成するもので、回動自在なコの字状の把手30を係合している。
【0021】
上方を開口した凹部31は、本体21のモーター室23上方の外郭後端部に形成され、部屋の隅を掃除する際に使用する隙間ノズル等の付属品32を横方向に取着自在に収納している。
【0022】
前記把手30は、凹部31上方の開口部を覆うように配設され、本体21のモーター室23上方に回動自在に構成されている。
【0023】
第2の発明の一実施例としては、前記把手30で、その両コーナー部33を、握り部34より幅を広く形成し、本体21のモーター室23上方の外郭後端部の凹部31に、隙間ノズル等の付属品32を縦方向に取着自在に収納している。このように、把手の両コーナー部を、握り部より幅を広く形成し、隙間ノズル等の付属品を縦方向に取着自在に構成することにより、把手の強度が向上し、また、隙間ノズル等の付属品を収納する凹部をモーター室上方に設けることにより、ダスト蓋内面の凸部がなくなり、集塵室の容量が増加するものである。
【0024】
【発明の効果】
第1の発明では、コの字状の把手で隙間ノズル等の付属品を収納した凹部上方を覆う構成なので、付属品を覆う格納蓋と、前記格納蓋をダスト蓋に開閉自在にできるラッチをなくすことができ、部品点数の削減、軽量化、コストダウンが図れるものであり、また把手を回動ずることにより簡単に付属品の取着が行える。
【0025】
第2の発明では、第1の発明の効果に加え、外郭後端部に設けた凹部に、隙間ノズル等の付属品を縦方向に取着自在に収納することにより、付属品を収納するスペースが小さくでき、電気掃除機本体を大きくする必要がなくなるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施例を示した電気掃除機の一部断面図
【図2】
本発明の一実施例を示した電気掃除機の平面図
【図3】
従来例を示した電気掃除機の一部断面図
【符号の説明】
28 ダスト蓋
30 把手
31 凹部
32 付属品
33 コーナー部
34 握り部
 
訂正の要旨 本件訂正請求は、明細書の「特許請求の範囲」及び「発明の詳細な説明」の項中の、「外郭後方」を、「外郭後端部」と訂正するものである。
異議決定日 1999-11-11 
出願番号 特願平3-207855
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A47L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 新海 岳  
特許庁審判長 青山 紘一
特許庁審判官 長崎 洋一
和泉 等
登録日 1993-02-23 
登録番号 特許第2800489号(P2800489)
権利者 松下電器産業株式会社
発明の名称 電気掃除機  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 坂口 智康  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 坂口 智康  
代理人 内藤 浩樹  

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