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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A47K 審判 全部申し立て 2項進歩性 A47K |
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管理番号 | 1009086 |
異議申立番号 | 異議1998-74779 |
総通号数 | 8 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-09-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-09-29 |
確定日 | 1999-12-11 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2733648号「浴湯循環器の取付装置」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2733648号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
〔I〕手続きの経緯 本件特許第2733648号発明は、平成7年3月7日に特許出願され、平成10年1月9日に特許権の設定の登録がなされた後、桜井小夜子より特許異議の申立てがなされ、次いで取消理由通知がなされ、その指定期間内に平成11年7月19日付けで訂正請求がなされたものである。 〔II〕訂正請求について 1.訂正請求の趣旨及び訂正の内容 訂正請求の趣旨は、特許第2733648号の明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものである。 そして、その訂正の内容は、以下のとおりである。 ▲1▼訂正事項a 明細書の特許請求の範囲の請求項1の「方形状の浴槽」(本件特許公報の請求項1の1行)を、「対向する縁A及び縁C並びに対向する縁B及び縁Dの4つの縁を有する方形状の浴槽」と訂正する。 ▲2▼訂正事項b 明細書の特許請求の範囲の請求項1の「三角形状」(本件特許公報の請求項1の2行)を、「浴槽の縁A及び縁Bに載置される三角形状」と訂正する。 ▲3▼訂正事項c 明細書の特許請求の範囲の請求項1の「縁に」(本件特許公報の請求項1の2行)を、「縁B及び縁Cに」と訂正する。 ▲4▼訂正事項d 明細書の特許請求の範囲の請求項1の「少なくとも一側に浴槽の縁に」(本件特許公報の請求項1の5〜6行)を、「対向二縁が浴槽の対向二縁A及び縁Cにのみ」と訂正する。 ▲5▼訂正事項e 明細書の特許請求の範囲の請求項1の「連設した」(本件特許公報の請求項1の6行)を、「となる」と訂正する。 ▲6▼訂正事項f 明細書の特許請求の範囲の請求項1の「から成る」(本件特許公報の請求項1の6行)を、「で構成されたことを特徴とする」と訂正する。 ▲7▼訂正事項g 明細書の段落【0008】の「方形状の」(本件特許公報の【0008】の1行)を、「対向する縁A及び縁C並びに対向する縁B及び縁Dの4つの縁1aを有する方形状の」と訂正する。 ▲8▼訂正事項h 明細書の段落【0008】の「三角形」(本件特許公報の【0008】の2行)を、「浴槽の縁A及び縁Bに載置される三角形」と訂正する。 ▲9▼訂正事項i 明細書の段落【0008】の「縁1a」(本件特許公報の【0008】の3行)を、「縁B及び縁C」と訂正する。 ▲10▼訂正事項j 明細書の段落【0008】の「少なくとも一側に浴槽1の縁1a」(本件特許公報の【0008】の5〜6行)を、「対向二縁が浴槽1の対向二縁A及び縁Cにのみ」と訂正する。 ▲11▼訂正事項k 明細書の段落【0008】の「を連設した」(本件特許公報の【0008】の7行)を、「となる」と訂正する。 ▲12▼訂正事項1 明細書の段落【0008】の「から成る」(本件特許公報の【0008】の7行)を、「で構成されたことを特徴とする」と訂正する。 2.訂正の適否 (1)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否について ▲1▼訂正事項aについて この訂正は、「方形状の浴槽」が、四つの縁を有することを明りょうにするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものでありまた、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、しかも実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 ▲2▼訂正事項bについて この訂正は、「方形状の浴槽の角部を閉塞」する三角形状の基部が、浴槽の縁に載置されることを明りょうにするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、しかも実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 ▲3▼訂正事項cについて この訂正は、載置板の載置部が浴槽の縁B及び縁Cに、すなわち浴槽の角部を挟む二つの縁に載置されるものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、この訂正は、図1の記載に基づくものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、しかも実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 ▲4▼訂正事項dについて この訂正は、組み合わせ板の載置部を、対向二縁が浴槽の対向二縁A及び縁Cにのみ載置されるものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、この訂正は、明細書の段落【0016】の記載及び図1の記載に基づくものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、しかも実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 ▲5▼訂正事項e及びfについて これらの訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、しかも実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 ▲6▼訂正事項g〜lについて これらの訂正は、特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために行う訂正であり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、これらの訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、しかも実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 (2)独立特許要件について ▲1▼訂正明細書の請求項1及び2に係る発明 訂正明細書の請求項1及び2に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】対向する縁A及び縁C並びに対向する縁B及び縁Dの4つの縁を有する方形状の浴槽の角部を閉塞し浴湯循環器を載置するものであって、浴槽の縁A及び縁Bに載置される三角形状の基部に浴槽の縁B及び縁Cに載置される載置部を連設した載置板と、この載置板に組み合わされるものであって、該載置板と組み合わせた際平面視において方形状となり対向二縁が浴槽の対向二縁A及び縁Cにのみ載置される載置部となる組み合わせ板とで構成されたことを特徴とする浴湯循環器の取付装置。 【請求項2】請求項1記載の浴湯循環器の取付装置において、載置板と浴槽の縁との固定手段として吸着手段を採用したことを特徴とする浴湯循環器の取付装置。」 ▲2▼刊行物の記載事項 当審で通知した取消理由において引用した刊行物1である、登録意匠第881466号公報(異議申立人が提出した甲第1号証)、刊行物2である、実願平3-107463号(実開平5-53589号)のCD-ROM(同甲第2号証)に記載されている事項は、以下のとおりである。 刊行物1には、「意匠に係る物品 浴槽用蓋」の記載があり、「説明」の項に「本物品は浴槽上面における湯水クリーナの設置側を部分的に覆う用途に供される。本物品は右側に左右広幅の1枚の芯板を、左側に左右小幅の7枚の芯板を配して、これらの芯板の外周を合成樹脂シートなどで密着状にカバーしてあり、右側の傾斜辺が湯水クリーナを避けてこれに沿うよう浴槽の上面に載せ置くことができ、左側を浴槽の上面から外側下方に垂れ下がり可能とすることで浴槽の大小に対応できる。」の記載があり、「使用状態を示す参考図」には、湯水クリーナの下部に位置する略三角形状の板状体を、方形状の浴槽の角部を閉塞して浴槽の縁に載置し、板状体に組み合わせて本物品(浴槽用蓋)を浴槽の三方の縁に載置し、湯水クリーナ下部の板状体と本物品(浴槽用蓋)を組み合わせたものが平面視方形状をなし、浴槽の残りの部分に本来の浴槽用蓋を載置した状態が記載されている。 以上の記載からみて、刊行物1には、 「方形状の浴槽の角部を閉塞し湯水クリーナの下部に位置するものであって、浴槽の角部の二つの縁に載置される三角形状の板状体と、この板状体に組み合わされるものであって、該板状体と組み合わせた際平面視において方形状となり三つの縁が浴槽の三つの縁に載置される載置部となる浴槽用蓋とからなる湯水クリーナの取付装置」 が記載されているものと認める。 刊行物2には、「【請求項1】浴槽(5)内の温水を浄化、加熱等する温水循環処理装置の吸水管(2)及び排水管(3)が挿通される風呂蓋において、風呂蓋(7)の裏面に浴槽(5)に対して吸着する吸盤(11)を設けたことを特徴とする温水循環処理装置の・・・吸、排水管取付け用風呂蓋。」(実用新案登録請求の範囲)と記載されており、図1及び図5には、長方形の風呂蓋7が記載されている。 また、異議申立人が提出した甲第3号証である、実公平-42665号公報(以下、「刊行物3」という。)には、風呂用の循環浄化装置に関して、「第1図において、1は風呂用の循環浄化装置で、装置本体2と取付ベース3とから成り、浴槽4のコーナー部5とこのコーナー部5を挟む二つの側壁6とに跨がってその平面視L字状部7の上面に設置されている。」(4欄7〜11行)と記載されており、第1図には、循環浄化装置本体2が略三角形状の取付ベース3に載置されることが記載されている。 ▲3▼対比・判断 《訂正明細書の請求項1に係る発明について》 訂正明細書の請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明の、「方形状の浴槽」、「湯水クリーナ」、「浴槽の角部の二つの縁」及び「浴槽用蓋」は、それぞれその機能に照らし、訂正明細書の請求項1に係る発明の「対向する縁A及び縁C並びに対向する縁B及び縁Dの4つの縁を有する方形状の浴槽」、「浴湯循環器」、「浴槽の縁A及び縁B」及び「組み合わせ板」に相当し、訂正明細書の請求項1に係る発明の「載置板」は、「板状体」といえるから、両者は次の点で相違し、その余の点で一致している。 相違点1 板状体が、訂正明細書の請求項1に係る発明では、浴湯循環器を載置するものであって、三角形状の基部に浴槽の縁B及び縁Cに載置される載置部を連接した載置板であるのに対し、刊行物1に記載された発明では、浴湯循環器の下部に位置する三角形状のものであり、浴湯循環器と一体に形成されているのか、別体に形成されて浴湯循環器を載置しているのか不明であり、さらに浴槽の縁B及び縁Cに載置される載置部を連接していない点。 相違点2 訂正明細書の請求項1に係る発明は、相違点1の構成に関連して、組み合わせ板の対向二縁が浴槽の対向二縁A及び縁Cにのみ載置される載置部となるのに対し、刊行物1に記載された発明は、組み合わせ板の三つの縁が浴槽の三つの縁に載置される載置部となる点。 上記相違点について検討すると、刊行物2には、浄化、加熱等する温水循環処理装置の吸水管(2)及び排水管(3)が挿通される長方形の風呂蓋が記載されているにすぎず、また刊行物3には、浴槽4のコーナー部5とこのコーナー部5を挟む二つの側壁6とに跨がって取り付けた略三角形状の取付ベース3に循環浄化装置本体2を載置することが記載されているにすぎす、刊行物2及び3には、訂正明細書の請求項1に係る発明が備える、相違点1で挙げたところの「浴湯循環器を載置するものであって、三角形状の基部に浴槽の縁B及び縁Cに載置される載置部を連接した載置板」の構成(以下、「構成A」という。)、及びこれに関連する相違点2で挙げたところの「対向二縁が浴槽の対向二縁A及び縁Cにのみ載置される載置部となる」組み合わせ板の構成が記載されておらず、示唆もされていない。 そして、訂正明細書の請求項1に係る発明は、上記構成Aを備えることにより、「浴湯循環器をデットスペースである角部のみの利用により入浴面積を最大限に確保し且つ入浴者に不快感を与えることなく容易に取り付けることができ、」(訂正明細書の段落【0022】)、「載置板に浴湯循環器を載置した際には、浴湯循環器を極めて安定的に設置することができ」(平成11年7月19日付意見書2頁21〜22頁)という格別の効果を奏するものと認められる。 したがって、訂正明細書の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明とすることができないばかりでなく、刊行物1〜3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。 よって、訂正明細書の請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 《訂正明細書の請求項2に係る発明について》 訂正明細書の請求項2に係る発明は、請求項1に記載された発明を引用し、さらに他の構成を加えたものであるから、訂正明細書の請求項2に係る発明についても、刊行物1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 よって、訂正明細書の請求項2に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 (3)まとめ 以上のとおりであるから、訂正事項a〜1の訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則6条1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法120条の4第2項ただし書1号又は3号に掲げる事項を目的とし、同条3項で準用する126条2〜4項の規定に適合するので、本件訂正請求を認める。 〔III〕特許異議の申立てについて 1.特許異議の申立ての理由の概要 異議申立人は、甲第1〜第3号証を提出して、請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し特許を受けることができないものであり、また請求項2に係る発明は、甲第1及び第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、それらの特許は取り消されるべきである旨主張している。 2.本件請求項1及び2に係る発明 本件請求項1及び2に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものと認める。(〔II〕2.(2)▲1▼参照。) 3.特許異議の申立ての理由についての判断 上記〔II〕2.(2)で述べたように、本件請求項1に係る発明は、刊行物1(異議申立人が提出した甲第1号証)に記載された発明とすることができないばかりでなく、刊行物1、刊行物2(同甲第2号証)及び刊行物3(同甲第3号証)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。 また、本件請求項2に係る発明も、刊行物1〜3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 〔IV〕むすび 以上のとおりであるから、異議申立人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件請求項1及び2に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1及び2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 浴湯循環器の取付装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 対向する縁A及び縁C並びに対向する縁B及び縁Dの4つの縁を有する方形状の浴槽の角部を閉塞し浴湯循環器を載置するものであって、浴槽の縁A及び縁Bに載置される三角形状の基部に浴槽の縁B及び縁Cに載置される載置部を連設した載置板と、この載置板に組み合わされるものであって、該載置板と組み合わせた際平面視において方形状となり対向二縁が浴槽の対向二縁A及び縁Cにのみ載置される載置部となる組み合わせ板とで構成されたことを特徴とする浴湯循環器の取付装置。 【請求項2】 請求項1記載の浴湯循環器の取付装置において、載置板と浴槽の縁との固定手段として吸着手段を採用したことを特徴とする浴湯循環器の取付装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、浴湯循環器の取付装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】 最近、浴槽に併設することで浴湯を浄化するコンパクトな浴湯循環器が市販されている。 【0003】 この浴湯循環器として、例えば、浴室の洗い場に取り付けるタイプがある。しかし、浴室の洗い場に取り付けるタイプは該浴湯循環器の浴湯吸入管、浄化湯噴出管が露出してしまい見た目が悪いという欠点や、該浴湯吸入管等を適宜壁面等に止着する付属品が必要になるという欠点、浴湯循環器と浴湯との距離が大きくなり、浄化機能力が劣化する欠点、浴湯吸入管が浴槽の縁を介して浴槽中に導入される為、入浴後に浴湯保温の為に使用する標準的な閉塞保温板を使用できないという欠点等がある。 【0004】 また、他に方形状の浴槽の一側に該浴槽の一側を所定巾で方形状に閉塞する形状の取付板を架設し、該取付板に該浴湯循環器を取り付けるタイプがある。しかし、このタイプは浴槽の入浴面積を減少させてしまうという欠点がある。 【0005】 その他、浴槽の縁に該浴湯循環器を取り付けるタイプがある。しかし、このタイプは浴槽の縁が巾細なこともあり、取り付けが不安定であるという欠点がある。 【0006】 本発明は、上記従来の浴湯循環器の取付手段の欠点を解決した浴湯循環器の取付装置を提供するものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】 添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。 【0008】 対向する縁A及び縁C並びに対向する縁B及び縁Dの4つの縁1aを有する方形状の浴槽1の角部を閉塞し浴湯循環器3を載置するものであって、浴槽の縁A及び縁Bに載置される三角形状の基部2aに浴槽1の縁B及び縁Cに載置される載置部2bを連設した載置板2と、この載置板2に組み合わされるものであって、該載置板2と組み合わせた際平面視において方形状となり対向二縁が浴槽1の対向二縁A及び縁Cにのみ載置される載置部4bとなる組み合わせ板4とで構成されたことを特徴とする浴湯循環器の取付装置に係るものである。 【0009】 請求項1記載の浴湯循環器の取付装置において、載置板2と浴槽1の縁1aとの固定手段として吸着手段を採用したことを特徴とする浴湯循環器の取付装置に係るものである。 【0010】 【作用】 入浴する場合には、三角形状の基部2aに浴湯循環器3を取り付け、浴槽1の縁1aに載置部2bを載置し三角形状の基部2aで浴槽1の角部を閉塞する状態とする。入浴しない場合には載置板2に組み合わせ板4を併設して両者で方形状とし、この両者で閉塞されている部分以外の残余開口部を方形状の閉塞保温板5で閉塞する。 【0011】 【実施例】 図面は本発明の一実施例を図示したもので、以下に説明する。 【0012】 載置板2,組み合わせ板4は適宜な合成樹脂で図示した形状に夫々一体成形している。 【0013】 載置板2は浴槽1の角部を閉塞する三角形状の基部2aに浴槽1の縁1aに載置される載置部2bを連設したもので、該基部2aに浴湯循環器3が取り付けられる。この基部2aには浴湯循環器3(図面の浴湯循環器3は浴湯を吸入し、本体内部で浄化後、浴槽1に浄化湯を噴出する公知の浴湯循環器3である。)に垂下された浴湯吸入管3a,浄化湯噴出管3bを貫挿する為の窓孔2cが穿設されている。 【0014】 符号2dは浴湯循環器3を螺着固定する為の螺子孔、2eは吸盤体6(複数の吸盤を並設したゴム板)を付設する凹部である。 【0015】 尚、載置板2を浴槽1の縁1aに止着する手段としては図示した吸盤体6の他、例えば貼着テープ等の適宜な手段を採用し得るものである。 【0016】 組み合わせ板4は前記載置板2と組み合わせた際、平面視において方形状となり、対向二縁が浴槽1の縁1aに載置される載置部4bとなる構造である。 【0017】 本実施例は上述のように構成したから、入浴時には浴湯循環器3を止着した載置板2を吸盤体6を利用して浴槽1の角部を閉塞する状態で配設する。もともと入浴の際にそれほど必要としない角部(デットスペース)のみの閉塞であるから入浴に支障を来すことはない。載置板2が方形状であり、浴槽1の一側を所定巾で全て閉塞すると、入浴面積が減少するとともに入浴者に圧迫感を与えることになるが、本実施例に係る載置板2ではこのような問題は生じない。 【0018】 入浴後においては、組み合わせ板4を載置部4bを利用して浴槽1の縁1aに載置し、載置板2に該組み合わせ板4を当接せしめると、両者は平面視方形状の閉塞体となり、該両者で閉塞されている以外の残余開口部は公知の方形状の閉塞保温板5で閉塞でき、よって、浴槽1内の湯は確実に保温される。載置板2のみでは該載置板2が三角形状である為、載置板2で閉塞される以外の残余開口部は方形状にならず、公知の方形状の閉塞保温板5で該残余開口部を完全に閉塞することはできないが、該載置板2に組み合わせ板4を組み合わせれば残余開口部が方形状となる為、残余開口部を該閉塞保温板5で完全に閉塞できることになり、よって、浴槽1内の湯の保温は確実に行われることになる。 【0019】 よって、本実施例によれば、入浴面積を最大限に確保して浴湯循環器3を取り付けることが可能となるとともに入浴しない場合の浴槽1内の湯の保温が確実に行えることになる。 【0020】 更に、本実施例に係る載置板2,組み合わせ板4は適宜な合成樹脂で一体成形されているから、軽量であるばかりではなく量産性に秀れ、コスト安となるとともに、浴湯循環器3とともに販売することで一層浴湯循環器3の商品価値を高めることができる。 【0021】 そして、載置板2,組み合わせ板4は浴槽1に対し簡易に着脱し得るから、浴槽1及び浴湯循環器3の洗浄を容易に行うことができ、また、組み合わせ板4のみを浴槽1の中央方向に移動させれば簡易なトレーとしての使用も可能となる。 【0022】 【発明の効果】 本発明は上述のように構成したから、浴湯循環器をデットスペースである角部のみの利用により入浴面積を最大限に確保し且つ入浴者に不快感を与えることなく容易に取り付けることができ、更に、入浴後において浴槽に閉塞保温板を設けても浴槽の開口部を完全に閉塞することができ、湯が冷めることを確実に防止し得る秀れた浴湯循環器の取付装置となる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本実施例の使用状態を示す斜視図である。 【図2】 本実施例の別使用状態を示す斜視図である。 【図3】 本実施例の載置板の裏面視斜視図である。 【図4】 本実施例の断面図である。 【符号の説明】 1 浴槽 1a 縁 2 載置板 2a 基部 2b 載置部 3 浴湯循環器 4 組み合わせ板 4b 載置部 |
訂正の要旨 |
〔訂正の要旨〕 特許第2733648号の明細書を、特許請求の範囲を目的として下記(c)、(d)のとおり、明りょうでない記載の釈明を目的として下記(a)、(b)、(e)〜(1)のとおり訂正する。 (a) 明細書の特許請求の範囲の請求項1の「方形状の浴槽」(本件特許公報の請求項1の1行)を、「対向する縁A及び縁C並びに対向する縁B及び縁Dの4つの縁を有する方形状の浴槽」と訂正する。 (b) 明細書の特許請求の範囲の請求項1の「三角形状」(本件特許公報の請求項1の2行)を、「浴槽の縁A及び縁Bに載置される三角形状」と訂正する。 (c) 明細書の特許請求の範囲の請求項1の「縁に」(本件特許公報の請求項1の2行)を、「縁B及び縁Cに」と訂正する。 (d) 明細書の特許請求の範囲の請求項1の「少なくとも一側に浴槽の縁に」(本件特、許公報の請求項1の5〜6行)を、「対向二縁が浴槽の対向二縁A及び縁Cにのみ」と訂正する。 (e) 明細書の特許請求の範囲の請求項1の「連設した」(本件特許公報の請求項1の6行)を、「となる」と訂正する。 (f) 明細書の特許請求の範囲の請求項1の「から成る」(本件特許公報の請求項1の6行)を、「で構成されたことを特徴とするjと訂正する。 (g) 明細書の段落【0008】の「方形状の」(本件特許公報の【0008】の1行)を、「対向する縁A及び縁C並びに対向する縁B及び縁Dの4つの縁1aを有する方形状の」と訂正する。 (h) 明細書の段落【0008】の「三角形」(本件特許公報の【0008】の2行)を、「浴槽の縁A及び縁Bに載置される三角形」と訂正する。 (i) 明細書の段落【0008】の「縁1a」(本件特許公報の【0008】の3行)を、「縁B及び縁C」と訂正する。 (j) 明細書の段落【0008】の「少なくとも一側に浴槽1の縁1a」(本件特許公報の【0008】の5〜6行)を、「対向二縁が浴槽1の対向二縁A及び縁Cにのみ」と訂正する。 (k) 明細書の段落【0008】の「を連設した」(本件特許公報の【0008】の7行)を、「となる」と訂正する。 (l)明細書の段落【0008】の「から成る」(本件特許公報の【0008】の7行)を、「で構成されたことを特徴とする」と訂正する。 |
異議決定日 | 1999-11-18 |
出願番号 | 特願平7-47600 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YA
(A47K)
P 1 651・ 121- YA (A47K) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 藤原 伸二 |
特許庁審判長 |
樋口 靖志 |
特許庁審判官 |
鈴木 公子 鈴木 憲子 |
登録日 | 1998-01-09 |
登録番号 | 特許第2733648号(P2733648) |
権利者 | 株式会社エムディケー |
発明の名称 | 浴場循環器の取付装置 |
代理人 | 吉井 剛 |
代理人 | 吉井 雅栄 |
代理人 | 吉井 剛 |
代理人 | 吉井 雅栄 |