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審決分類 |
審判 全部申し立て 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 A63F 審判 全部申し立て 2項進歩性 A63F |
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管理番号 | 1009087 |
異議申立番号 | 異議1998-76174 |
総通号数 | 8 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1997-07-15 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-12-24 |
確定日 | 1999-11-22 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2770015号「テレビゲーム装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2770015号の特許を維持する。 |
理由 |
(1)手続の経緯 特許第2770015号の請求項1及び請求項2に係る発明は、昭和62年6月24日に特許出願された特願昭62-155332号の一部を平成8年10月18日に新たな特許出願としたものであって、平成10年4月17日にその特許の設定登録がなされたところ、小林数夫より特許異議の申立てがなされ、平成11年5月25日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年8月12日に訂正請求がなされたものである。 (2)訂正の適否についての判断 ア.訂正の内容 ▲1▼訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1を、次のとおり訂正する。 「【請求項1】ゲームプログラムを実行することによりディスプレイ上にゲームを映出するテレビゲーム装置において、 時間経過を計測する時間計測手段と、 該時間計測手段によって計測された時間情報に従ってプレー時間およびプレー回数の少なくとも一つに変化を与えるデータ変化付与手段と、 前記変化が与えられたデータに関連させてゲーム内容の進行具合を決定するゲーム進行決定手段とを具備したことを特徴とするテレビゲーム装置。」 ▲2▼訂正事項b 【発明の詳細な説明】の段落【0013】を次のとおり訂正する。 「【0013】 【課題を解決するための手段】 前記した目的を達成するために、この発明は、ゲームプログラムを実行することによりディスプレイ上にゲームを映出するテレビゲーム装置において、時間経過を計測する時間計測手段と、該時間計測手段によって計測された時間情報に従ってプレー時間およびプレー回数の少なくとも一つに変化を与えるデータ変化付与手段と、前記変化が与えられたデータに関連させてゲーム内容の進行具合を決定するゲーム進行決定手段とを具備した点に特徴がある。」 ▲3▼訂正事項c 特許請求の範囲の請求項2を、削除する。 イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正aは、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明に該当し、上記訂正bは、特許請求の範囲の記載に整合させるためのものであって、明りょうでない記載の釈明に該当し、上記訂正cは、特許請求の範囲の減縮に該当し、これらの訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 ウ.独立特許要件の判断 (引用刊行物) 訂正明細書の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)に対して、当審が平成11年5月25日付けの取消理由で引用した刊行物1〜7には、それぞれ以下のとおり記載されている。 刊行物1 特開昭54-120037号公報(甲第1号証) 「風向、風速等、環境条件を設定し、該環境条件は、設定した時刻に設定した時間だけ変化し、環境条件が自動的に変化する訓練用シミュレータ」 刊行物2 特開昭57-8478号公報(甲第2号証) 「1ゲーム間における得点数に応じてセグメント列の可視表示速度を可変にすること、即ち得点数に応じてゲームの難易度を変化させるゲーム機能付電子時計」 刊行物3 実願昭57-36263号(実開昭58-141271号)のマイクロフィルム(甲第3号証) 「24時間タイマの出力信号に対応した輝度信号レベルを、快晴や曇天の明るさに変化させる模擬視界発生装置」 刊行物4 特開昭58-200276号公報(甲第4号証) 「24時間タイマの時刻及び航空機の緯度、経度信号により、航空機の飛行位置に見合った1日24時間の時間帯における明るさを制御できるようにした航空機用模擬視界発生装置」 刊行物5 特開昭58-213281号公報(甲第5号証) 「ブロックの積み上げ段数が増える毎に、受け部と落下物発生地点との距離が近くなると共に、受け部の幅はピラミットの頂点に向かって次第に狭くなるので、難しくなり、また、パターン回数が進行する毎に、ブロックの落下速度、落下密度が大となるので、難しくなるゲーム機能付電子時計」 刊行物6 特開昭59-34285号公報(甲第6号証) 「ビーム砲のエネルギー量が時間に比例して減少し、エネルギー量がゼロになるとゲーム終了となるゲーム機能付電子機器」 刊行物7 特開昭60-29170号公報(甲第7号証) 「時間経過に応じて背景シーンが変化するようになっているビデオゲーム機における情報処理方法」 (対比・判断) 本件発明と、上記刊行物1〜7に記載された発明とを対比すると、これらの刊行物に記載の発明は、本件発明を特定する事項である「該時間計測手段によって計測された時間情報に従ってプレー時間およびプレー回数の少なくとも一つに変化を与えるデータ変化付与手段と、前記変化が与えられたデータに関連させてゲーム内容の進行具合を決定するゲーム進行決定手段」を備えておらず、また、これを示唆する記載も認められない。本件発明は、上記事項を備えることにより、「ゲーム中の主人公のパワー、ゲームの難易度がプレー時間、傾向をパラメータとして計算で求められるので、主人公のパワー、難易度はプレーする日あるいは時間によって変化する。このため、同じゲームを反復して行っても、常に意外性が生じ、プレーヤを飽きさせない。主人公のパワーは、プレーヤ個人の力量を加味して決定される。したがって、プレーヤはゲーム中の主人公に親近感を持つことができ、プレーの楽しみが増加する。」という顕著な効果を奏するものであるから、本件発明が、上記刊行物1〜7に記載された発明でないことは明らかであり、かつこれらの刊行物記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 したがって、本件発明は、特許出願の際、独立して特許を受けることができないとすることはできない。 エ.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項の規定に適合し、同条第3項で準用する第126条第2-4項の規定に適合するので、上記訂正を認める。 (3)特許異議申立てについての判断 ア.本件発明 本件発明は、平成11年8月12日付け訂正請求書により訂正された訂正明細書の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである((2)ア.▲1▼を参照。)。 イ.申立ての理由の概要 申立人は、▲1▼本件請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証(特開昭54-120037号公報)、甲第2号証(特開昭57-8478号公報)、甲第3号証(実願昭57-36263号(実開昭58-141271号)のマイクロフィルム)、甲第4号証(特開昭58-200276号公報)、甲第5号証(特開昭58-213281号公報)、甲第6号証(特開昭59-34285号公報)、甲第7号証(特開昭60-29170号公報)に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、▲2▼本件請求項1に係る発明において、「環境データの意義、環境データに変化を与える意義、環境データに関連させてゲーム内容の進行具合を決定する意義について、不明瞭であり、広範な解釈が成立し得るものであるから、特許法第36条第4項の規定に該当し、特許法第113条第1項の規定により特許を取り消されるべきと主張している。 ウ.判断 上記主張▲1▼について 上記甲1〜7号証(当審で引用した刊行物1〜7)に記載された発明は「該時間計測手段によって計測された時間情報に従ってプレー時間およびプレー回数の少なくとも一つに変化を与えるデータ変化付与手段と、前記変化が与えられたデータに関連させてゲーム内容の進行具合を決定するゲーム進行決定手段」を備えていないことは、上記(2)ウで述べたとおりであって、本件発明は、これら甲各号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 上記主張▲2▼について 本件請求項1に係る発明は、「環境データ」を「プレー時間およびプレー回数の少なくとも一つ」と限定したので、本件特許請求の範囲の請求項1の記載は明りょうとなり、特許法第36条第4項の規定を満たしているものと認める。 エ.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 テレビゲーム装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ゲームプログラムを実行することによりディスプレイ上にゲームを映出するテレビゲーム装置において、 時間経過を計測する時間計測手段と、 該時間計測手段によって計測された時間情報に従ってプレー時間およびプレー回数の少なくとも一つに変化を与えるデータ変化付与手段と、 前記変化が与えられたデータに関連させてゲーム内容の進行具合を決定するゲーム進行決定手段とを具備したことを特徴とするテレビゲーム装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 この発明はテレビゲーム装置に関し、特にプレイヤ(操作者)がゲーム中の主人公と一体感を持ってプレイすることが出来るようにしたテレビゲーム装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来のこの種の装置の概略を図9を参照して説明する。図は、テレビゲーム装置にゲームが記憶されたカセット、ディスクあるいはICカード等(以下、ゲーム記憶媒体と略す)がセットされ、電源がオンされると、該テレビゲーム装置が持つことになる機能をブロック図で表したものである。プログラム制御部31はゲームプログラムの大きな流れを制御する機能を有している。 【0003】 難易度制御部32は乱数を用いてゲームの難易度をシーンごとに決定するものである。背景画面制御部33はゲームのシーンに対応する背景画面を選択する機能をもっている。表示制御部34は入力されて来たゲームに関するプログラムをデコードしたり、ディスプレイ35を駆動する信号を作成したりして前記入力されて来たゲームに関するプログラムをディスプレイ35に適合する信号に変換するものである。 【0004】 また、ディスプレイ35は表示制御部34から送られてきた電気信号を光の画像に変換して、ゲームの内容が目で見えるようにするものである。36は操作部であり、プレーヤによって直接操作される装置である。 【0005】 一方、プログラム群37は1ゲーム分のプログラムであり、該ゲームを構成するシーン1〜nのプログラムを含んでいる。背景画面データ群38は各シーンの背景画面を示すデータ群から構成されている。さらに、データ保持部39には、前回のゲーム終了場面のデータ例えば前記シーンの何番目で前回のゲームが終了したかを示す場面データ、得点、パワー等が記憶されている。なお、これらのデータはゲームが終わった時にそのゲーム記憶媒体に記録されるので、次のゲーム開始時に該データを該ゲーム記憶媒体から読み出して前記データ保持部39に転送するようになされている。 【0006】 次に、上記の構成を有する従来装置の動作を説明する。プレーヤによってゲーム記憶媒体が選択され、該ゲーム記憶媒体がテレビゲーム装置にセットされると、前回のゲーム終了場面のデータ、得点、パワー等のデータがデータ保持部39に転送される。プログラム制御部31は該データ保持部39からこれらのデータを読み出し、該データに基づいてプログラム群37をアクセスする。これにより、ゲームのシーン1〜Nの中の所定のシーンが選択される。また、得点、パワー等のデータも該プログラム群37に送られ、所定の空き領域に保持される。なお、データ保持部39が設けられていない装置では、常にシーン1から始まるようになっている。 【0007】 難易度制御部32は乱数により難易度のパラメータを求め、該パラメータから難易度を求めて前記プログラム群37に送る。該プログラム群37は該難易度を所定の空き領域に保持する。該難易度は、該プログラムの実行中にキャラクタの数、動きの速さ等に反映される。背景画面制御部33はプログラム制御部31から情報を得て、現在実行中のプログラムのシーンに合った背景画面のデータを背景画面データ群38の中から選択し、表示制御部34に出力する。 【0008】 このようにして、前記難易度が反映されたゲームプログラムのシーンのデータと、そのシーンに対応する背景画面のデータとが表示制御部34に次々と送られる。表示制御部34はこれらの送られて来たデータをデコードし、ディスプレイ35に適合する信号を作って該ディスプレイ35に送出する。ディスプレイ35は例えば陰極線管から構成されており、ゲームの内容を映出する。なお、プレーヤが操作する操作部36から入力された信号はプログラム群37に印加され、ゲームの主人公の動きの一部を制御する。 【0009】 以上のようにしてゲームが進行し、プレーヤがゲームを終了すると、終了時点のシーンの番号、得点、パワー等のデータが前記ゲーム記録媒体に書込まれる。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】 従来のゲームは上記のようにして進行していくので、ゲームのストーリはプログラムされた通りに進行する。また、ゲーム中の変化(難易度)は主として乱数により決定される。そして、該乱数により決定されるゲームの変化は、キャラクタの動きの変化や攻撃力の変化に限定されるものであった。 【0011】 したがって、ゲームを反復して行うことによるプレーヤの習熟の結果、興味の根源である意外性が薄れるという問題があった。また、ゲーム中の主人公はプレーヤの力量と無関係に動くため、該主人公はプレーヤの分身となりえない。したがって、プレーヤが主人公になりきってプレイすることができず、プレーの楽しみの深さに限界があるという問題があった。 【0012】 本発明は、前記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、プレーヤに常に意外性を与え、かつより深い楽しみを与えるテレビゲーム装置を提供するにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】 前記した目的を達成するために、この発明は、ゲームプログラムを実行することによりディスプレイ上にゲームを映出するテレビゲーム装置において、時間経過を計測する時間計測手段と、該時間計測手段によって計測された時間情報に従ってプレー時間およびプレー回数の少なくとも一つに変化を与えるデータ変化付与手段と、前記変化が与えられたデータに関連させてゲームの進行具合を決定するゲーム進行決定手段とを具備した点に特徴がある。 【0014】 この発明によればゲーム中の主人公のパワー、ゲームの難易度は、プレーする日あるいは時間によって変化するので、同じゲームを反復して行っても、常に意外性が生じ、プレーヤを飽きさせないようにすることができる。 【0015】 【発明の実施の形態】 以下に、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図2は本発明が適用されるテレビゲーム装置のハード構成図の一例を示す。 【0016】 図において、1はプレーヤが手や足で操作する操作部(ジョイスティック等)、2はコンピュータの入力ポート、3はCPU、4はROMを示す。また、5はRAM、6は図示されていない電池によりバックアップされたカレンダタイマ、7はCPU3が動作中に各種の演算処理を行う時に使用するワークメモリ、8は出力ポートである。さらに、9は表示制御部、10はメニューやゲーム等を表示するディスプレイである。 【0017】 ここに、前記ROM4およびRAM5はゲームプログラムや制御用の各種プログラムを格納しているゲーム記録媒体(ICカードまたはICメモリカード)の中に含まれている。また、場合によっては、前記カレンダタイマ6、さらに場合によっては前記CPU3をも、該記録媒体に含ませることができる。 【0018】 次に、前記ROM4およびRAM5に格納されているデータの一例を、図3および図4、ならびに図10を参照して説明する。RAM5には図3に示されている環境データ群Aが格納され、ROM4には図3、図4に示されているプログラム群B、スペシャルプログラム群Cおよび制御用プログラム群Dが格納されている。 【0019】 環境データ群Aとしては、図10に詳しく記されているように、(1)季節データ、(2)祭日・特別の日のデータ、(3)プレーヤに関するデータ(2名分)が記憶されている。なお、このデータは2名分に限定されず、1名分、あるいは3名分以上であってもよい。 【0020】 前記「季節データ」には四季の始まる月/日を記憶させる。これは、沖縄、東京、北海道等では四季の始まりがかなり異なるので、プレーヤが居る土地に対応した四季の始まりのデータを記憶させる。前記「祭日・特別の日のデータ」は子供の日、敬老の日、体育の日、雛祭り、クリスマス、父や母の誕生日等の月/日を記憶させる。さらに、前記「プレーヤに関するデータ(2名分)」としては、前回のゲーム終了シーン、前回の得点、イニシャル、誕生日、血液型、本日の月/日、本日のプレー回数、本日のプレー時間、過去10回分の得点および過去の最高得点等を記憶させる。 【0021】 次に、プログラム群Bとしては、一つのゲームのシーン1〜nのプログラムと各シーンの四季の背景画面のデータが記憶されている。また、スペシャルプログラム群Cとしては、(1)誕生日用に作られた特別のゲームのプログラム、(2)祭日用に作られた特別のゲームのプログラム、(3)特別の日用に作られた特別のゲームのプログラム等と、これらのスペシャルプログラム群に対する背景画面のデータを記憶させている。 【0022】 該「誕生日用のプログラム」はプレーヤ本人が誕生日の時に選択されるプログラムである。前記「祭日用のプログラム」はプレーされている日が、例えば子供の日、敬老の日、体育の日、…等であった場合に選択されるプログラムである。さらに、「特別の日用のプログラム」はひな祭り、クリスマス、父母の誕生日等に選択されるプログラムである。 【0023】 制御用プログラム群Dとしては、図4に示されているように、環境データ制御用プログラム(1)、(2)、プログラム制御用プログラム、難易度制御用プログラムおよび背景画面制御用プログラムから構成されている。 【0024】 上記のようなプログラムやデータを保持するROM4(ICカード)がテレビゲーム装置の本体にセットされると、該テレビゲーム装置は下記のような機能を付与される。 【0025】 該テレビゲーム装置の機能を図1の機能ブロック図を参照して説明する。環境データ制御部(1)11は前記環境データ制御用プログラム(1)によって実行される機能を示す。該環境データ制御部(1)11は概略次のような作用をする。まず、プレーヤがテレビゲーム装置の電源をオンにしてゲームが記録されたICカードを該テレビゲーム装置にセットすると、メニュー画面をディスプレイ10上に表示することを要求する信号をプログラム制御部12に出力する。また、該ICカードが初めて使用される時には、イニシャル、誕生日、血液型、父母の誕生日等の環境データをインプットするようにプレーヤに要求する信号を出力する。これらの環境データがインプットされると、該環境データを環境データ群21の所定のエリアに記憶させる。 【0026】 次いで、カレンダタイマ6から現在の月/日のデータを読み出し、環境データ群21内のデータを参照して、季節が何であるか、祭日とか特別の日ではないかどうか、のチェックを行う。さらに必要に応じて、環境データ群21から必要なデータ(パラメータ)を読み出し、プログラム制御部12に転送する作用をする。 【0027】 プログラム制御部12は前記プログラム制御用プログラムによって実行される機能を示す。該プログラム制御部12はゲームプログラムの大きな流れを制御する。前記環境データ制御部(1)11からメニュー画面の表示の要求があると、該メニューに関するデータを表示制御部9に送る作用をする。また、プレイの日が、プレーヤの誕生日であったり、父母の誕生日であると判断された時には、ディスプレイ10に「誕生日おめでとう」の表示を行わせる。また、プレーヤの誕生日、祭日・特別の日等の場合には、スペシャルプログラム群22の中からその日に合ったプログラムを選択する作用をする。また、難易度制御部13を起動し、前記環境データ制御部(1)11から転送されて来たデータの内該難易度制御部13が必要とするデータを該難易度制御部13に転送する。さらに、背景画面制御部14を起動し、前記環境データ制御部(1)11から転送されて来た季節のデータを該背景画面制御部14に転送する。なお、普通の日には、プログラム群23の中から実行すべき必要なプログラムを決定して、前記難易度制御部13および背景画面制御部14を起動する。 【0028】 難易度制御部13はゲームの難易度および主人公のパワーをシーンごとに決定する作用をする。例えば、パワーP、難易度Dはそれぞれ次の式から計算して求める。 P=(p1+p+a1+t)×st D={(i+s+(3-a1)}×f ここに、p1は「本日のプレー時間」を表し、例えば1時間未満なら10点、1〜2時間なら5点、2〜3時間なら3点、3時間以上なら1点とする。pは「バイオリズムのp曲線」、すなわち体調を表す。該バイオリズムのp曲線を例えば良い、普通、悪いの3段階に分け、それぞれに3点、2点、1点を割当てる。a1は「プレーヤの年齢」を表し、例えば8歳未満に対しては3点、8〜16歳に対しては2点、16〜46歳に対しては1点および46歳以上に対しては3点とする。tは「傾向」を表し、過去n回の得点データから求める。例えば、n≦3の時は3点を与える。n≧4の時で、該n回の得点のうち2割以上が過去の最高点の2割以下の時には1点、2〜6割の時は2点、6割以上の時には3点を与える。また、stはゲームの開始時間を表し、該開始時間が例えば朝5時〜夜8時の時は2点、夜8時〜朝5時の時は1点を与える。 【0029】 また、前記難易度Dの式の中のi及びsは「バイオリズムのiおよびs曲線」から求める。該iおよびsはそれぞれ創造力および感情を表す。該バイオリズムのiおよびs曲線を例えば良い、普通、悪いの3段階に分け、それぞれに3点、2点、1点を割当てる。fは運勢を表し、プレーヤの生年月日、血液型から1〜3の値を決定する。 【0030】 上記の例によれば、パワーPは4〜38点になり、難易度Dは2〜24点になる。パワーPは点数が大きい程強くなり、難易度Dは点数が小さい程易しく、逆に点数が大きい程難しくなる。 【0031】 上記のようにして求められたパワーPおよび難易度Dはスペシャルプログラム群22またはプログラム群23に送られ、図3に示す所定のエリアに記憶される。そして、ゲームのプログラムの進行中に逐次参照され、ゲームの主人公のパワー、キャラクタの数、動きの速さ等が該パワーPおよび難易度Dに応じて変えられる。 【0032】 本実施例によれば、主人公のパワーやゲームの難易度が、プレー時間、プレーヤの年齢、バイオリズム、運勢、傾向等のパラメータやサブルーチン等の選択により決定されるので、プレーヤが主人公と一体感をもってプレーすることができ、ゲームの楽しみをより大きくすることができる。 【0033】 次に、背景画面制御部14は前記環境データ制御部(1)11からプログラム制御部12を介して四季のデータを受取ると、背景画面データ群24の中から実行されるシーンの季節に応じた背景画面の選択を行い、表示制御部9に送る作用をする。前記したようにプログラム群の各シーンの中には春夏秋冬に応じた背景画面のデータが記憶されている。例えば、春であれば野原に花が咲いたり、蝶が舞うシーンが背景画面に盛込まれている。また、冬であれば雪が降ったり積もったりしているシーンが背景画面に盛込まれている。このように、各シーンの背景画面を季節に応じて変えることにより、ゲームに変化をもたせると共に、プレーヤがゲームに対してより親近感を持つようにすることができる。 【0034】 環境データ制御部(2)15は、ゲーム実行中の得点を計算し表示制御部9に送ってディスプレイ10に表示させる作用をする。また、ゲーム終了時に、その時のシーン、得点、本日の月/日、本日のプレー回数、本日のプレー時間等のデータを、前記環境データ群21に転送する。また、今回の得点が過去の最高得点以上であれば、該環境データ群21に記録されている過去の最高得点を今回の得点に書き換える。 【0035】 表示制御部9はプログラム制御部12から転送されて来たメニュー等のデータ、スペシャルプログラム群22、プログラム群23から読み出されたゲームのストーリ(story)に関するデータ、背景画面データ群24から読み出されたゲームの各シーンの四季に応じたデータおよび環境データ制御部(2)15から送られて来る得点等に関するデータをディスプレイ10に合った電気信号に変換する作用をする。最後にディスプレイ10は該表示制御部9から伝えられた電気信号を可視画像に変換する作用をする。 【0036】 次に、上記の機能ブロック図の動作を図5〜図7のフローチャートを参照して説明する。テレビゲーム装置の電源がオンされると、環境データ制御部(1)11はカレンダタイマ6から月/日、時刻を読込む(ステップS1)。次に、該テレビゲーム装置にセットされたゲーム記録媒体が初めて使用されたものかどうかの判断をする(ステップS2)。初めての時には、ステップS3に進み、環境データ制御部(1)11は初期メニューの表示の指示をプログラム制御部12に送る。該プログラム制御部12は該初期メニューのデータを表示制御部9に送り、ディスプレイ10に該初期メニューの表示が行われる。次に、環境データ制御部(1)11はプレーヤによって操作部1から、四季の月/日のデータ、イニシャル、誕生日、血液型、父母の誕生日等の環境データが登録されたか否かの判断をする(ステップS4、S4´)。該登録が終わると、ステップS5に進む。なお、前記環境データのうち子供の日、敬老の日等の決まっている月/日のデータは予め登録されている。前記ゲーム記録媒体の使用が初めてでない時には、ステップS5に進んでそれ用のメニューがディスプレイ10に表示される。 【0037】 次に、プレーヤが該メニューを見ながら操作部1によりイニシャル、誕生日および血液型を入力すると、環境データ制御部(1)はプレーヤの選択を行い(ステップS6)、ゲームの開始が前回の続きか、それとも最初からかの選択を行う(ステップS7)。次いで、前記ステップS1で読み取った月/日のデータと、プレーヤ、母および父の誕生日の月/日とを比較し(ステップS8、S9、S10)、いずれかのステップがイエスであれば、「誕生日おめでとう」の表示をディスプレイ10上に行う(ステップS11)。一方、前記ステップS8、S9、S10の全てがノウであれば、操作部1からゲームのスタートキーがオンにされたかどうかの判断をする(ステップS12)。イエスになると、次に月/日が前回プレイされた月/日と比べて変わったかどうかの判断がなされる(ステップS13)。すなわち、前回プレイされた日が今回のプレーの日と同じかどうかの判断がなされる。そして、同じ日でなければ、プログラム制御部12はある記憶エリアに記憶されていたプレー回数、プレー時間をクリアする(ステップS14)。その後、前記ステップS8に戻り、再びステップS8〜S13の処理がおこなわれる。なお、本日の月/日は前記ステップS14で更新されるので、次のステップS13の判断はノウとなる。 【0038】 同じ日に2回以上のプレーをした時、あるいは前記の操作によりステップS13がノウになった時には、ステップS15に進む。ステップS15では、該プレー回数を1加算する(ステップS15)。次いで、該プログラム制御部12はゲームの開始時間をセットし(ステップS16)、さらに年齢とバイオリズム(i、s、p)を計算で求める(ステップS17)。年齢は誕生日と前記カレンダタイマから読込んだ月/日のデータにより求める。また、バイオリズム(i、s、p)は所定の計算式により求める。 【0039】 次に、季節を決定し(ステップS18)、本日の運勢を計算する(ステップS19)。さらに、過去の得点から傾向を計算する(ステップS20)。該傾向の結果に基づいて、ゲームに飽きているかいないかの判断をする(ステップS21)。過去の得点が低下していれば飽きていると判断し、プログラム制御部12は激励の表示および技のヒントを教える表示をディスプレイ10に行わせる(ステップS22)。次いで、実行すべきプログラムを決定する(ステップS23)。 【0040】 前記ステップS14からS23までの処理は主にプログラム制御部12がその処理を行う。ここで、前記実行すべきプログラムを決定する処理(ステップS23)について、図8のフローチャートにより、詳細に説明する。 【0041】 プログラム制御部12はまず実行すべきシーンの番号を選択する(ステップR1)。次いで、該シーンの境界に設けられているボーナスステージにゲームが進行したかどうかの判断が行われる(ステップR2)。該ボーナスステージになると、プログラム制御部12は、環境データ群21中の「祭日・特別の日のデータ」を参照して、本日が誕生日、子供の日、敬老の日、体育の日、クリスマスあるいは雛祭りに該当しているか否かの判断を行い(ステップR3〜R8)、該当する日があればスペシャルプログラム群22の中からボーナスステージとして、その日に応じたプログラムの選択を行う(ステップR9〜R14。)一方、該当する日がない時には、プログラム群23の中から通常のボーナスステージのプログラムを選択する(ステップR15)。ボーナスステージでない時にはステップR1で選択されたシーン番号に決定する。以上のようにして、実行すべきプログラムが決定される。 【0042】 再び図7に戻って説明を続ける。上記のようにして実行すべきプログラムが決定されると、ステップS24に進んで、難易度制御部13は主人公のパワーP、難易度Dの計算を前記式に基づいて行い、該パワーPおよび難易度Dを決定する。該パワーPおよび難易度Dは、前記の計算式から明らかなように、前記ステップS15、S16等にて求められる、プレー回数、プレー時間などをパラメータとして決定される。 【0043】 次に、背景画面制御部14は前記ステップS23によって決定されたシーン番号、および前記ステップS18で決定された季節に基づいて、背景画面データ群24の中から背景画面を決定する(ステップS25)。次に、プログラム群23またはスペシャルプログラム群22からゲームのプログラムが読み出され、ゲームの実行に入る(ステップS26)。この時、プレーヤの体調が表示され、また前記のようにして決定された背景画面は背景画面データ群24から表示制御部9に送られ、ディスプレイ10上に表示される。また、ゲームのストーリが画面に表示され、さらにプレーヤが操作部1から操作を行うと、該操作に応じた動きが映出される。 【0044】 次いで、環境データ制御部(2)15は、得点、ゲームの主人公のパワー等を更新し、そのデータを表示制御部9に送ってディスプレイに表示する(ステップS27)。また、環境データ群21中のデータを現在実行中のゲーム場面のデータで更新する(ステップS28)。次に、ゲームが終了か否かの判断を行い(ステップS29)、ノウであればステップS23に戻る。一方、イエスであれば、ゲームを終了する。 【0045】 以上のように、本実施例によれば、次のような今までのゲームにはない楽しみを付加することができる。 (1)季節が変わると、背景やキャラクタが一変する。また、ゲームを終了した時点からの時間の経過により、たとえば月日が変わったりすると、ゲームを終了した時のゲームの難易度等が変化するので、プレーヤは意外性を持ち、かつより深い楽しみを持つようになる。 【0046】 (2)子供の日、クリスマス、誕生日等ではボーナスステージが変化する。 (3)プレーのスタート時点で主人公の大体の体調がわかる。 (4)飽きてきたりしてひどい得点が続くと、技のヒントが教えられたり、ボーナスステージを見れる楽しみがある。 (5)自分の父親、母親の誕生日の画面があるので、家族で楽しめる。 【0047】 上記の実施例では、環境データ制御部(1)11、プログラム制御部12、難易度制御部13、背景画面制御部14および環境データ制御部(2)15のそれぞれに、前記した各ステップの処理を受け持たせたが、本発明はこれに限定されず、該処理の分担を変えてもよい。また、本実施例の図5〜図7の各ステップの流れは一例を示したにとどまり、当業者であればこれを容易に変更できることは明かである。したがって、本発明は該流れを変更した処理もその範囲に含むことは勿論である。 【0048】 さらに、前記実施例は、ゲーム記録媒体として、ICカードを用いた例で説明したが、本発明はこれに限定されず、カセット、ディスク等であってもよい。この場合には、アクセス速度を上げるために、カセット、ディスク等の中のプログラムは一旦RAM等のメモリに転送されて利用されることになる。 【0049】 【発明の効果】 本発明によれば、下記のような種々の優れた効果がある。 (1)ゲーム中の主人公のパワー、ゲームの難易度がプレー時間、年齢、バイオリズム、運勢、傾向等をパラメータとして計算で求められるので、該主人公のパワー、ゲームの難易度はプレーする日あるいは時間によって変化する。このため、同じゲームを反復して行っても、常に意外性が生じ、プレーヤを飽きさせない。 【0050】 (2)主人公のパワーは、上記のように、プレーヤ個人の力量を加味して決定される。したがって、プレーヤはゲーム中の主人公に親近感をもつことができ、プレーの楽しみが増加する。 【0051】 (3)季節が変わると、背景やキャラクタがその季節に合う様に一変し、子供の日、クリスマス、誕生日等の祭日や特別の日では、ボーナスステージが変化するので、プレーヤは同じゲームを一年中、新たな感覚で楽しむことができる。 【0052】 (4)自分および両親の誕生日の画面があるので、家族で楽しむことができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の一実施形態の機能ブロック図である。 【図2】 本発明が適用されるテレビゲーム装置のハード構成図である。 【図3】 本発明の一実施形態のゲーム記憶媒体に記憶されたデータの概念図である。 【図4】 図3の続きの概念図である。 【図5】 本発明の一実施形態の動作を説明するフローチャートである。 【図6】 図5の続きのフローチャートである。 【図7】 図6の続きのフローチャートである。 【図8】 図7中のステップS23の詳細を示すフローチャートである。 【図9】 従来装置の機能ブロック図である。 【図10】 ROMおよびRAMに格納されるデータの一例の概念図である。 【符号の説明】 1…操作部、6…カレンダタイマ、9…表示制御部、10…ディスプレイ、11…環境データ制御部(1)、12…プログラム制御部、13…難易度制御部、14…背景画面 制御部、15…環境データ制御部(2)、21…環境データ群、22…スペシャルプログラム群、23…プログラム群、24…背景画面データ群。 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 特許第2770015号発明の明細書を以下のとおり訂正する。 ▲1▼訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1を、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、次のとおり訂正する。 「【請求項1】ゲームプログラムを実行することによりディスプレイ上にゲームを映出するテレビゲーム装置において、 時間経過を計測する時間計測手段と、 該時間計測手段によって計測された時間情報に従ってプレー時間およびプレー回数の少なくとも一つに変化を与えるデータ変化付与手段と、 前記変化が与えられたデータに関連させてゲーム内容の進行具合を決定するゲーム進行決定手段とを具備したことを特徴とするテレビゲーム装置。」 ▲2▼訂正事項b 【発明の詳細な説明】の段落【0013】を、明りょうでない記載の釈明を目的として、次のとおり訂正する。 「【0013】 【課題を解決するための手段】 前記した目的を達成するために、この発明は、ゲームプログラムを実行することによりディスプレイ上にゲームを映出するテレビゲーム装置において、時間経過を計測する時間計測手段と、該時間計測手段によって計測された時間情報に従ってプレー時間およびプレー回数の少なくとも一つに変化を与えるデータ変化付与手段と、前記変化が与えられたデータに関連させてゲーム内容の進行具合を決定するゲーム進行決定手段とを具備した点に特徴がある。」 ▲3▼訂正事項c 特許請求の範囲の請求項2を、特許請求の範囲の減縮を目的として、削除する。 |
異議決定日 | 1999-11-05 |
出願番号 | 特願平8-297475 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(A63F)
P 1 651・ 532- YA (A63F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 植野 孝郎、渡部 利行、土屋 保光 |
特許庁審判長 |
馬場 清 |
特許庁審判官 |
新井 重雄 鈴木 寛治 |
登録日 | 1998-04-17 |
登録番号 | 特許第2770015号(P2770015) |
権利者 | 株式会社ハドソン |
発明の名称 | テレビゲーム装置 |
代理人 | 平木 道人 |
代理人 | 田中 香樹 |
代理人 | 田中 香樹 |
代理人 | 平木 道人 |