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審決分類 |
審判 全部申し立て 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 B66C 審判 全部申し立て 2項進歩性 B66C 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 B66C |
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管理番号 | 1009093 |
異議申立番号 | 異議1999-70803 |
総通号数 | 8 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1992-01-17 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-03-03 |
確定日 | 1999-11-27 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2797136号「自走式クレーンにおけるジブブームの基台支承装置」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2797136号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
[1]手続きの経緯 本件特許第2797136号発明は、平成2年5月2日に特許出願され、平成10年7月3日にその特許の設定登録がなされ、その後、同11年3月3日付で株式会社神戸製鋼所及び同年3月16日付で酒井慎吾より、特許異議の申立てがなされ、同11年8月10日に取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年10月12日に訂正請求がなされたものである。 [2]訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 特許権者は、訂正請求書において、本件特許明細書を下記の通りに訂正しようとするものである。 請求項1について、 (あ)明細書第1頁第14行、特許公報第1頁第1欄第9行の「係脱可能に取付けた」を「係脱可能に取付け、さらに、前記ジブブームを基部ブームの側部に格納した状態において、当該ジブブームの基端に頂部一側を取付けた前記基台を、同ジブブーム側へ屈折可能にした」 請求項2について (い)明細書第1頁第19行、特許公報第1欄第14行の「中央部に」を「中央下部に」 発明の詳細な説明について (う)明細書第8頁第9行(特許公報第4欄第49〜50行)の「係脱可能に取付けた」を、「係脱可能に取付け、さらに、前記ジブブームを基部ブームの側部に格納した状態において、当該ジブブームの基端に頂部一側を取付けた基台を同ジブブーム側へ屈折可能にした」 (え)明細書第15頁第20行〜第16頁第1行(特許公報第7欄第30行)の「走行方向変更時にお刑ける」を「走行方向変更時における」 (お)明細書第16頁第3〜4行(同公報第7欄第33行)の「頂部ジブーム5B」を「頂部ジブブーム6B」 (か)明細書第16頁第19〜20行(同公報第7欄第48行)の「自走式クレーンをの走行方向」を「自走式クレーンの走行方向」 (き)明細書第18頁第8行(同公報第8欄第23行)「シリンダを伸縦する」を「シリンダを伸縮する」 (く)図面の第3図中におけるジブブーム6を取付ピン8まわりの反時計方向に小角度回動させた状態の輪郭を示す一点鎖線に付した符号「7」及び同図中における伸縮シリンダ10のシリンダ部分に付された符号「10B」を符号「6A」及び符号「10C」 (2)訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無及び拡張・変更の存否 a.上記訂正事項(あ)は、基台のジブブームに対する取り付け構造を「係脱可能に取付け、さらに、前記ジブブームを前記基部ブームの側部に格納した状態において、当該ジブブームの基端に頂部一側を取付けた前記基台を、同ジブブーム側へ屈折可能にした」と付加し限定するものである。そして、この構成については、特許明細書の第8頁第19行〜第9頁第8行(同公報第5欄第7〜15行)の「ジブブームを基部ブームの側部に格納した状態において、当該ジブブームの基端に、頂部一側を取付け基台を、同ジブブームの側部へ屈折させることにより…当該自走式クレーンの最小旋回スペースを相応量小さくする。」及び第1、2図に記載されている。したがって、訂正事項(あ)は、特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。そして、訂正事項(あ)は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 b.上記訂正事項(い)は、伸縮シリンダのジブブームヘのピン付け位置を「中央部」から「中央下部」と限定するものである。そして、この構成については、特許明細書の第11頁第8〜14行(同公報第6欄第1〜6行)の「10は伸縮シリンダ10で、この伸縮シリンダ10の…そのシリンダロッドの端部(第2図では右端)は取付ピン80により基部ジブブーム6Aの中央下部(第2図)に連結される。」に記載されている。したがって、訂正事項(い)は、特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。そして、訂正事項(い)は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 c.上記訂正事項(う)は、特許請求の範囲の訂正事項(あ)及び(い)の訂正に伴って発明の詳細な説明の記載を整合させるものであり、明瞭でない記載の釈明に相当し、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 d.上記訂正事項(え)〜(く)は、誤記の訂正を目的としたものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の関連から、それぞれの部分の記載が明瞭になる外は、当該明細書の記載内容の実態には何等影響がない。 したがって、上記訂正事項(え)〜(く)は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (3)独立特許要件の判断 (訂正明細書の請求項1及び2に係る発明) 訂正明細書の請求項1及び請求項2に係る発明(以下「本件発明1及び本件発明2」という。)は、訂正明細書の請求項1及び請求項2に記載されたとおりの次のものと認める。 請求項1 「ジブブームの基部一側に、基台の頂部一側を回動可能に取付けると共に、前記基台の頂部他側と前記ジブブームの中央部とに伸縮シリンダの両端部を取付け、前記基台の基端一側を自走式クレーンの旋回フレームに起伏可能に設けた伸縮ブームのブームヘッドの一側部に、該ブームヘッドの側面と平行する取付ピンにより回動及び着脱可能に取付け、かつ、前記基台の基端他側を前記ブームヘッドの他側に係脱可能に取付け、さらに、前記ジブブームを基部ブームの側部に格納した状態において、当該ジブブームの基端に頂部一側を取付けた前記基台を同ジブブーム側へ屈折可能にしたことを特徴とする自走式クレーンにおけるジブブームの基台支承装置。」 請求項2 「前記伸縮シリンダのシリンダヘッドを前記基台の頂部一側にピン付けし、該伸縮シリンダのシリンダロッド端部をジブブームの中央下部にピン付けしたことを特徴とする請求項(1)記載の自走式クレーンにおけるジブブームの基台支承装置」 (引用刊行物及び甲第1号証) これに対して、当審が通知した取消理由で引用した刊行物1(特開昭55-119693号公報)には、下記の発明が記載されていると認める。 刊行物1 伸縮自在の補助ブーム(1)の基部を合板(2)の上面に立設したブラケット(3)(3’)にピン(4)で枢着し、該ブラケット(3)(3’)の前部下方に内装したピンに下端を枢着した押上げシリンダー(5)のロッド(5’)の上端を補助ブーム(1)の下面に付設したブラケット(6)にピンで枢着し、台板(2)の両側前後位置より下方ヘメタル(8)(8)とメタル(8)(8’)とを突設し、トラッククレーン(9)等の主ブーム(10)の上端に固定したシーブフレーム(11)の両側上端寄り位置にメタル(12)(12)とにメタル(12’)(12’)とを突設し、合板(2)の1方側のメタル(8)(8)とシーブフレーム(11)の1方側のメタル(12)(12)とに長ボルト(13)を貫通して合板(2)をシーブフレーム(11)に枢着すると共に合板(2)の他方側のメタル(8’)(8’)とシーブフレーム(11)の他方側のメタル(12’)(12’)とに長ボルト(13)で着脱自在に貫通させ、合板(2)の背面にシーブ(14)(14’)を軸支すると共にブラケット(3)(3’)の背面並びに補助ブーム(1)の上面と先端にシーブ(15)(15)(15’)等を軸支してトラッククレーン(9)等のウインチより延長した補助吊込ワイヤー(16)を各シーブ(14)(14’)、シーブ(15)(15’)(15’)に掛着すべくなして成るものである。尚、図中(17)は補助吊込ワイヤ-の先端フック、(18)は主ブームの吊込ワイヤーを示す。 つぎに、実施例図により本発明の作用効果を説明する。 補助ブーム(1)は不使用時には長ボルト(13)をメタル(8’)(8’)とメタル(12’)(12’)より引抜きして、合板(2)を他方の長ボルト(13)を中心としてしてシーブフレーム(11)の他方側へ回動させ、補助ブーム(1)を主ブ-ム(10)の1方側に平行に収納しおくもので、補助ブーム(1)を使用する場合には、合板(2)を長ボルト(13)を中心としてシーブフレーム(11)の上面へ回動し、シーブフレ-ム(11)の上面のメタル(12’)(12’)と合板(2)の側面のメタル(8’)(8’)とに長ボルト(13’)を貫通して合板(2)をシーブフレーム(11)の上面に定着させた後に主ブーム(10)を所望の角度と長さに伸長、傾斜させ、その後補助ブーム(1)の押上げシンリンダー(5)により補助ブーム(1)を主ブ-ム(10)に対して適角度に折曲させると共に、補助ブーム(1)に内装した油圧シリンダー等により先端を伸縮させながら補助吊込ワイヤー(16)の先端フック(17)に所望の部材等を吊下して荷役するものである。(第1頁右欄下段第7行〜第2頁右欄上段第8行) また、申立人株式会社神戸製鋼所が提出した甲第1号証(特開昭63-27396号公報)には、下記の発明が記載されていると認める。 甲第1号証 第1図および第5図において、1は、走行車輌上に旋回自在に搭載した旋回台(図示せず)へ起伏駆動自在に取り付けた伸縮ブームである。2はジブであって、当該はジブ2は、ジブ取付用枠体4、ジブ本体7および油圧シリンダ9で構成されている。前記ジブ取付用枠体4は、伸縮ブーム1の先端前面の前面位置(第8図の位置)とこの前面位置から180°回動した反転位置(第1図、第2図および第4図の位置)との間で横方向に回動できるようなその基部の一側を伸縮ブ-ム1の先端部一側へ回動連結装置8を介して着脱自在に取り付けられるようになっており、且つその基部の他側と伸縮ブーム1の先端部他側との間に前記回動連結装置8と共同してジブ取付用枠体4を前記前面位置に固定する解除可能な固定装置5を備えている。 回動連結装置8は、第5図から理解できるように、ジブ取付用枠体4の基部の一側の上下位置に夫々突設したブラケット10と11、伸縮ブ-ム1の先端部一側の上下位置に夫々突設したブラケット12と13、および、ブラケット10とブラケット12およびブラケット11とブラケット13を連結するピン14やおよび15を備えており、ピン14および15により各ブラケットを連結した状態では、ピン14をおよび15によって面定される回動軸心8Cを中心に、ジブ取付用枠体4が前記前面位置と前記反転位置との間で回動可能となり、ピン14およびピン15を抜き取り前記各ブラケットの連結を解除した状態では回動連結装置8が解除され、ジブ取付用枠体4が伸縮ブーム1先端部から離脱できるようになっている。尚本実施例においては、後述するようにジブ取付用枠体4における上記ブラケット10上に、回動連結装置8の回動軸心と軸心を一にする水平シープ用支軸16を突設してある関係上、前記ピン14は下方から、ピン15は上方から挿入して夫々突設するブラケットを連結するようになっている。 前記固定装置5は、ジブ取付用枠体4の基部の他側の上下位置に夫々突設したブラケット17と18、伸縮ブーム1の先端部他側の上下位置に夫々突設したブラケット19と20、および、ブラケット17とブラケット19およびブラケット18とブラケット20を夫々連結するピン21および22を備えている。 前記ジブ本体7は、その基端部を前記ジブ取付用枠体4の下側前後に水平支軸6を介して上下方向に回動できるように、取り付けられている。前記油圧シリンダ9は、ジブ本体7とジブ取付用枠体4との間に介装され、ジブ本体7がジブ取付用枠体4の前面へ張り出された伸展位置(第1図、第8図および第4図に図示された位置)と、ジブ本体7がジブ取村用枠体4の前記回動連結装置8の回動軸線と略平行となる折曲げ位置(第2図々示の位置)との間で、ジブ本体を前記水平支軸6まわりで回動駆動するものである。本実施例の場合油圧シリンダ9は、ジブ取付用枠体4の上側左右位置とジブ本体7の基端部上側左右位置との間に夫々介装されている。(第3頁右欄上段第17行〜第4頁左欄上段第12行) (対比・判断) 本件発明1と刊行物1に記載の発明とを対比すると、刊行物1に記載の発明は、本件発明1を特定する事項である「ジブブームを基部ブームの側部に格納した状態において、当該ジブブームの基端に頂部一側を取付けた基台を同ジブブーム側へ屈折可能にした」という事項を備えておらず、また、当該事項により本件発明1は、「(1)伸縮ブームの基部ブーム側部にジブブームを格納した際、そのジブブーム基端の基台を、ジブブーム下面側へ屈折させることにより、同基部ジブブーム下部の車巾方向の巾が縮小するから、当該自走式クレーンの旋回フレーム上に伸縮ブームを倒伏させると共に、その基部ブーム側部にジブブームを格納した状態において、当該自走式クレーンの走行方向を変更させる場合の最小旋回半径が、前記基台を基部ジブブーム下面側へ屈折させる構成を具備しない従来例に比べて縮小し、自走式クレーンの走行方向変更時の旋回性が向上する。 (2)基部ブーム側部にジブブームを格納した状態において、ジブブーム基端に頭部をピン付けした基台を基部ジブーム側へ屈折させ、また、ジブブームのブームヘッド上への張出しに先立って、ジブブームの下面側に屈折した基台をジブブームの端部に張出させる外は、従来の同種自走式クレーンと略々同様な操作により各種荷役作業を行なえ、したがって、既存のこの種自走式クレーンに対しても、そのジブブームの基部へ基台を回動可能にピン付けするだけの比較的簡易な改造により、この考案を実施することができる。 (3)自走式クレーンの走行方向変更時の最小旋回半径が縮小し、その旋回性が向上するから自走式クレーンの車中等の規制に基づく設計自由度の低下要因が軽減する。 (4)ジブブームを伸縮ブームの側部に格納可能すると共に、そのブームヘッド側部まわりにジブブームを旋回して、その頂部上に張出させるもので、ジブブーム及びその取付部分が伸縮ブームの上側又は下側へ突出しないから、このジブブームを伸縮ブーム側部に格納して走行する際、格納されたジブブームにより自走式クレーンの運転視界を阻害させる恐れがない。 (5)クレーン作業時、シリンダを伸縮することにより、ジブブームの連続的な起伏操作が従来通り可能となる。 (6)前記伸縮シリンダのシリンダヘッドを基台の頂部一側に取付ピンで取付け、該伸縮シリンダのシリンダロッドの端部を基部ジブブームの側部にピン付けすれば、このシブブームによる荷役作業時に作用する伸縮シリンダヘの庄油が、そのシリンダヘッド側に作用することになるから、そのシリンダロッド側に圧油を作用させるものより、当該シリンダロッドの断面相応量その受圧面積が大きくなり、したがって、同一支承力を備える同一構造の伸縮シリンダの油圧を、相応量低く設定でき、ひいては、伸縮シリンダまわりのシール構成等を、従来例より簡易にできる。」という明細書記載の顕著な効果を奏するものである。以上の理由により、本件発明1が刊行物1に記載された発明であるとも、刊行物1記載のものから容易に発明をすることができたともいえない。 また、本件発明1と甲第1号証に記載の発明とを対比すると、甲第1号証に記載の発明もまた、本件発明1を特定する前記事項を備えていない。よって、前記理由により、本件発明1が甲第1号証に記載された発明であるとも、甲第1号証に記載のものから容易に発明をすることができたともいえない。 さらに、本件発明1と甲第1号証及び刊行物1に記載の発明とを対比すると、同様に、本件発明1を特定する前記事項を備えていない。よって、前記理由により、本件発明1が甲第1号証及び刊行物1に記載された発明を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたとすることもできない。 したがって、本件発明1は特許出願の際、独立して特許を受けることができるものである。 次に、本件発明2は、本件発明1を更に限定したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、甲第1号証または刊行物1に記載された発明と同一であるとはいえないし、甲第1号証及び刊行物1に記載された発明を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたとすることもできない。 したがって、本件発明2は特許出願の際、独立して特許を受けることができるものである。 (4)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する同法第126条第2から第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 [3]特許異議の申立てについての判断 (1)各申立ての理由の概要 申立人株式会社神戸製鋼所は、特許請求の範囲の請求項1乃至2に係る発明は、甲第1号証(特開昭63-27396号公報)に記載された発明と同一であり、また、甲第2号証(特開昭55-119693号公報)に記載された発明とも同一であり、また、少なくとも、甲第1号証及び甲第2号証に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第1項第3号または同条第2項の規定に違反してなされたものである。また、申立人酒井慎吾は、特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証(特開昭63-27396号公報)に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、また、特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した項に区分して記載されていなく、すなわち、「基台を基部ジブブーム下面側へ屈曲させる」構成が、請求項1または2に係る発明に記載されていないので、特許法第36条第4項第2号の規定に違反してなされたものであり、特許を受けることができないものであるから、特許を取り消すべきであると主張している。 (2)判断 申立人株式会社神戸製鋼所が提出した甲第2号証及び申立人酒井慎吾取が提出した甲第1号証は取消理由通知で示した刊行物1であるから、本件発明1及び本件発明2は、前記[2](3)で示した理由により、甲第2号証に記載された発明と、同一であるとはいえない。 また、申立人株式会社神戸製鋼所が提出した甲第1号証も、上記と同様に、前記[2](3)で示した理由により、甲第1号証に記載された発明と、同一であるとはいえない。 したがって、本件発明1及び本件発明2は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるとはいえない。 さらに、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明とを組み合わせることにより、本件発明1及び本件発明2とすることも、前記[2](3)で示した理由により、それらに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。 したがって、本件発明1及び本件発明2は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 次に、特許請求の範囲の請求項1乃至2に係る発明は、上記[2](1)(あ)、(い)の訂正により明確となったから、本件発明1及び本件発明2は、特許法第36条第4項第2号に規定する要件を満たす特許出願に対してされたものである また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 自走式クレ-ンにおけるジブブ-ムの基台支承装置 (57)【特許請求の範囲】 (請求項 1) ジブブ-ムの基部一側に、基台の頂部一側を回動可能に取付けると共に、前記基台の頂部他側と前記ジブブ-ムの中央部とに伸縮シリンダの両端部を取付け、前記基台の基端一側を自走式クレ-ンの旋回フレ-ムに起伏可能に設けた伸縮ブ-ムのブ-ムヘッドの一側部に、該ブ-ムヘッドの側面と平行する取付ピンにより回動及び着脱可能に取付け、かつ、前記基台の基端他側を前記ブ-ムヘッドの他側に係脱可能に取付け、さらに、前記ジブブ-ムを基部ブ-ムの側部に格納した状態において、当該ジブブ-ムの基端に頂部一側を取付けた前記基台を同ジブブ-ム側へ屈折可能にしたことを特徴とする自走式クレ-ンにおけるジブブ-ムの基台支承装置。 (請求項 2) 前記伸縮シリンダのシリンダヘッドを前記基台の頂部一側にピン付けし、該伸縮シリンダのシリンダロッド端部をジブブ-ムの中央下部にピン付けしたことを特徴とする請求項(1)記載の自走式クレ-ンにおけるジブブ-ムの基台支承装置。 【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、自走式クレ-ンにおけるジブブ-ムの基台支承装置、殊に、自走式クレ-ンの旋回フレ-ムに起伏可能に設けた伸縮ブ-ムのブ-ムヘッドに、ジブブ-ムを、当該ジブブ-ムの基端に、一側頂部を回動可能にピン付けした基台を介して着脱可能に取付けると共に、該ジブブ-ムを伸縮ブ-ムの基部ブ-ム側部の格納位置へ格納可能にした、自走式クレ-ンにおけるジブブ-ムの基台支承装置に関するものである。 (従来の技術) 従来の自走式クレ-ンにおけるジブブ-ムの基台支承装置としては、例えば、特開昭55-119693号公報に記載されたものがある。 このものは、自走式クレ-ンの旋回フレ-ムに起伏可能に設けた伸縮ブ-ムのブ-ムヘッドに、ジブブ-ム基部の取付用枠体を回動可能に軸着すると共に、前記取付用枠体とジブブ-ムの側部とを伸縮シリンダにより連結し、このジブブ-ムを前記ブ-ムヘッドにピン付けした取付枠体と共に、前記伸縮ブ-ムの基部ブ-ム側部の格納位置へ格納し、また、この格納位置からそのブ-ムヘッド上の荷役操作業位置へ張出させ、さらに、前記伸縮シリンダにより前記取付用枠体に対するジブブ-ムの張出角度を調整すると共に、ウインチ装置の併用により、伸縮ブ-ム及びジブブ-ムによる各種荷役作業をするものである。 また、自走式クレ-ンにおけるジブブ-ムの基台(取付枠体)支承装置の他の従来例としては、例えば、特開昭63-27396号公報記載のものがある。 このものは自走式クレ-ンの起伏可能な伸縮ブ-ムのブ-ムヘッドの一側に、ジブブ-ムの取付枠体の一側を回動連結装置を介して取付けると共に、該取付枠体の他側を前記ブ-ムヘッド他側に係脱可能に取付け、かつ、前記取付枠体上の巾方向の軸にジブブ-ムの基部を軸着し、前記ジブブ-ムの端部と前記ジブブ-ムの取付枠体とを、伸縮シリンダにより連結することにより、ジブブ-ムを伸縮ブ-ム側部の格納位置に格納し、又は、格納位置に格納されたジブブ-ムをブ-ムヘッド上の張出位置に張出させ、かつ、この張出状態のジブブ-ムを伸縮シリンダより起伏させ、ウインチ装置の併用により、伸縮ブ-ム及びジブブ-ムによる各種の荷役作業するものである。 (発明が解決しようとする課題) しかしながら、前記特開昭55-119693号公報に記載された自走式クレ-ンにおけるジブブ-ムの基台支承装置にあっては、伸縮ブ-ムのブ-ムヘッドに取付けたジブブ-ムの張出角度を、ジブブ-ムの下面とその基台間に設けた伸縮シリンダの伸縮により、伸縮ブ-ムの伸縮及び又は起伏角度調整に併せて調整し、ウインチ装置の併用により各種の荷役件業を行なえるものの、伸縮ブ-ムの基部ブ-ム側部にジブブ-ムを格納した際、ジブブ-ム基台の脚端部が前記ブ-ムヘッドの側部から側方へ張出するため、基部ブ-ム側部にジブブ-ムを格納した状態で当該自走式クレ-ンを旋回させる際、このブ-ムヘッドの側方へ張出すジブブ-ムの基台脚端部が、当該自走式クレ-ンの走行方向変更時の旋回中心からの最大離間点となり、この最大離間点の最小旋回半径が相応量増大し、ひいては、当該自走式クレ-ンの旋回性が低下するという課題があった。 また、前記特開昭63-27396号公報に記載された自走式クレ-ンにおけるジブブ-ムの基台支承装置にあっては、起伏可能な伸縮ブ-ムのブ-ムヘッドの一側に、回動連結装置を介して回動可能に取付けたジブブ-ムの取付枠体の他側を、係止具によりブ-ムヘッドに係止させて同ジブブ-ムをブ-ムヘッド上に張出させた後、伸縮シリンダにより同ジブブ-ムを起伏させ、ウインチ装置の併用によりジブブ-ムによる各種荷役作業をする外、前記ブ-ムヘッド他側とジブブ-ム基台との係止具による係合を解除すると共に、ジブブ-ムをブ-ムヘッド一側の回動連結装置まわりに回動させ、該ジブブ-ムを前記起伏ブ-ムの基部ブ-ム側部に格納することができるものの、このものにあっては、基部ブ-ムの側部にジブブ-ムを格納した状態において、当該ジブブ-ム下部の取付枠体の脚部が伸縮ブ-ムのブ-ムヘッドの側方に位置し(張出し)、両者が共に自走式クレ-ンの車体フレ-ム(本考案の実施例を示す第1図の符号「K」参照)の前端よりさらに前方へ突出するため、この突出部における横(当該自走式クレ-ンの車巾方同)巾が増大し、当該自走式クレ-ンの旋回スペ-スが、本考案の実施例を示す第1図の取付ピンの穴7F部外縁の旋回軌跡円r2のように、同図に示すブ-ムヘッド1Dの旋回軌跡円r1よりかなり増大し、自走式クレ-ンの走行方同変更時の旋回性が低下し、ひいては、道路交通法に基づく車巾、車長、車高等の規制を受ける自走式クレ-ンの設計自由度が低下するという課題があった。 この発明は、このような従来例における課題に着目してなされたもので、ジブブ-ムの基部一側に、基台の頂部一側を回動可能に取付けると共に、前記基台の頂部他側と前記ジブブ-ムの中央部とに伸縮シリンダの両端部を取付け、前記基台の基端一側を自走式クレ-ンの旋回フレ-ムに起伏可能に設けた伸縮ブ-ムのブ-ムヘッドの一側部に、該ブ-ムヘッドの側面と平行する取付ピンにより回動及び着脱可能に取付け、かつ、前記基台の基端他側を前記ブ-ムヘッドの他側に係脱可能に取付けることにより、ジブブ-ムを伸縮ブ-ムの基部ブ-ム側部に格納した状態において、当該ジブブ-ムの基端に頂部をピン着した基台を、その側部に屈折させ、当該基台の端部を前記基部ブ-ムの端部よりその中央部側へ移動させ、これにより、当該自走式クレ-ンの走行方向変更時の旋回中心からの最大離間点までの距離を短縮させ、自走式クレ-ンの最小旋回スペ-スをそれだけ小さくし、その旋回性の優れた自走式クレ-ンにおけるジブブ-ムの基台支承装置を提供しようとするものである。 (課題を解決するための手段) この発明は、前記のような従来例の課題を解決するため、ジブブ-ムの基部一側に、基台の頂部一側を回動可能に取付けると共に、前記基台の頂部他側と前記ジブブ-ムの中央部とに伸縮シリンダの両端部を取付け、前記基台の基端一側を自走式クレ-ンの旋回フレ-ムに起伏可能に設けた伸縮ブ-ムのブ-ムヘッドの一側部に、該ブ-ムヘッドの側面と平行する取付ピンにより回動及び着脱応能に取付け、かつ、前記基台の基端他側を前記ブ-ムヘッドの他側に係脱可能に取付け、さらに、前記ジブブ-ムを基部ブ-ムの側部に格納した状態において、当該ジブブ-ムの基端に頂部一側を取付けた基台を同ジブブ-ム側へ屈折可能にしたものである。 (作用) この発明は、前記のよう構成を有するから、ジブブ-ムを伸縮ブ-ムの基部ブ-ム側部の格納位置と、伸縮ブ-ムのブ-ムヘッド上の張出位置とへの切換装着が可能であり、また、ジブブ-ムをブ-ムヘッド上へ張出した状態において、伸縮ブ-ム及びジブブ-ムと、これらに付設されるウインチ装置等との協同により、各種荷役作業を従来の同種自走式クレ-ンと同様に行なえる外、ジブブ-ムを基部ブ-ムの健部に格納した状態において、当該ジブブ-ムの基端に、頂部一側を取付けた基台を、同ジブブ-ムの側部へ屈折させることにより、前記伸縮ブ-ムのブ-ムヘッド近傍における車巾方向の巾、したがって、当該自走式クレ-ンの走行方向変更時の旋回中心からの最離間点までの距離を、前記ブ-ムヘッドの端部近傍まで縮小させ、当該自式クレ-ンの最小旋回スペ-スを相応量小さくする。 (実施例) 以下、この発明に係る自走式クレ-ンにおけるジブブ-ムの基台支承装置の実施例を、図面を参照して説明する。 第1図はこの発明に係る自走式クレ-ンにおけるジブブ-ムの基台支承装置の一実施例を、そのジブブ-ムを伸縮ブ-ムの基部ブ-ム側部に格納した状態の平面説明図で、該第1図にはそのジブブ-ムを伸縮ブ-ムの基部ブ-ム側部へ格納した状態における、当該自走式クレ-ンの走行方向変更時の旋回中心(その概略旋回中心を一点鎖線で示す)からの最大離間点が、前記旋回中心まわりに画く軌跡円(当該自走式クレ-ンの最小旋底スペ-スの平面図)を同時に示す。第2図はその側面説明図、第3図はそのジブブ-ムを張出した状態における要部の側面説明図、第4図及び第5図は第2図のIV-IV線及びV-V線に沿う縦断説明図である。 第1図ないし第5図において、1は伸縮ブ-ムで、該伸縮ブ-ム1はその基部が自走式クレ-ンCの車体フレ-ムK上の旋回フレ-ムKKに、起伏可能に軸着される。1A、1B及び1Cは伸縮ブ-ム1の基部ブ-ム、中間ブ-ム及び頂部ブ-ム、1Dは頂部ブ-ム1C頂部のブ-ムヘッド、2はブ-ムヘッド1D上との支軸、2Bは支軸2の両側部に設けた穴、2Cは支軸2上の主シ-ブ、2Dはブ-ムヘッド1Dまわりに設けた補助シ-ブ、3、4は基部ブ-ム1Aの側部に設けたブラケット、6はジブブ-ム、6Aはジブブ-ム6の基部ジブブ-ム、6Bは基部ジブブ-ム6A内側に伸縦可能に設けた頂部ジブブ-ム、7は基部ジブブ-ム6Aの基端にピン付けした基台で、該基台7はその一側頂部(第1図では右側)を、基部ジブブ-ム6Aの下部一側(第2図ではその左端上側部)に、第2図において紙面に鉛直方向に延びる取付ピン8により回動可能に装着される。 9は基部ジブブ-ム6Aの中央側部に設けたジブ保持ブラケット、9aはブラケット9上のピンで、該ピン9aは前記ブラケット3に設けられた穴3aに遊挿される。10は伸縮シリンダで、この伸縮シリンダ10のシリンダヘッド(第2図では左端部)は、基台7の頂部他側(第2図では下部、右側)に取付ピン8Bにより取付けられ、そのシリンダロッドの端部(第2図では右端)は取付ピン8Cにより基部ジブブ-ム6Aの中央下部(第2図)に連結される。 11は前記ブラケット4から側方へ突出するガイドレ-ル、12は基部ジブブ-ム6Aの頂部側に設けた取付具、12aは取付具12の下部に設けたシュ-で、このシュ-12aは前記ガイドレ-ル11に摺動自在に載置される。 r1は伸縮ブ-ム1を旋回フレ-ムKK上に倒伏させて、この自走式クレ-ンCを走行変更(右折)させる場合における、当該伸縮ブ-ム1のブ-ムヘッド1Dの端部(第1図ではその左端下部)が、その旋風中心Oまわりに画く半径R1の軌跡円、r2はジブブ-ム6を基部ブ-ム1Aの側部に格納した状態において、基部ジブブ-ム6Aの下部に取付けた基台7の端部(第1図の左側下端部)が、その旋回中心Oまわりに画く半径R2の軌跡円、r3は補助シ-ブ2Dをブ-ムヘッド1Dの側部(第1図では下側)に倒伏させた状態における、その端部(第1図では左側下端部)が、その旋回中心Oまわりに画く半径R3の軌跡円、r4は基部ブ-ム1Aの側部にジブブ-ム6Aを伸縮ブ-ム1の格納した状態において、ジブブ-ム6A下部の基台7を、伸縮シリンダ10を収縮させて、取付ピン8まわりの反時計方向に回動させた状態(第1図の一点鎖状態の基台7)における、その外側端部(第1図の左側下端部)が、その旋回中心Oまわりに画く、半径R4の軌跡円である。 (実施例の作用) 車体フレ-ムK上の旋回フレ-ムKKに、基部を軸着した伸縮ブ-ム1を倒伏させ、ブ-ムヘッド1Dの支軸2端部の穴2Bから取付けピンを穴7Fから抜き、ジブブ-ム6を取付ピン7Eまわりの反時計方面(第1図)にまわして、基部ブ-ム1Aの側部とし、伸縮ブ-ム1の伸縮を利用して該基部ブ-ム1A側部のブラケット3の穴3aに、基部ジブ-ム6A側部に設けた取付具9のピン9aを係合させる一方、基部ブ-ム1A側部のブラケット4から側方へ突出するガイドレ-ル11に、基部ジブブ-ム6A側部の取付具12下部のシュ-12aを載せて支承し、しかる後、取付ピン7Eを抜いて基台7の端部と支軸2端部の穴との係合を解除する。 さらに、ブラケット4上のガイドレ-ル11にシュ-12a、取付具12を介して基部ジブブ-ム6Aを載せ、基部ブ-ム1の側面側へさらに回動させ、ジブブ-ム6を伸縮ブ-ム1の基部ブ-ム1Aの側部へ格納、固定する。しかる後、この自走式クレ-ンCを目的地へ移動させ、図示しないアウトリガ装置により地上に安定的に支承させ、しかる後、旋回フレ-ムKKの旋回、伸縮ブ-ム1の起伏及び又は伸縮、ジブブ-ム6の前記ブ-ムヘッド1Dへの取付け、伸縮及び又は起伏等と、図示しないウインチ装置によるワイヤロ-プの巻取り、巻戻し等により、各種の荷役作業をする点では、従来の同種の自走式クレ-ンにおけるジブブ-ムの基台支承装置と略々同様の作用をする。 しかし、この実施例では、伸縮ブ-ム1の基部ブ-ム1A側部にジブブ-ム6の基部ジブブ-ム6Aを、従来の同種自走式クレ-ンと略々同要領により格納した後、基部ジブブ-ム6Aの端部一側(第2図では左端上側)に、頂部一側(同図では右端上側)を取付ピン8により回動可能に取付けた基台7の頂部他側(第2図ではその下部右側)と、基部ジブブ-ム6Aの中央部下側(第2図)とに取付ピン8B、8Cにより、シリンダヘッド部及びシリンダロッドの端部を連結した伸縮シリンダ10を、第2図の縮小位置10Cへ縮小させることにより、前記基台7を同図の実線位置から、その取付ピン8まわりの反時計方向(第2図)に回動して、基部ジブブ-ム6Aの側部の一点鎖線位置7Cへ屈折させ、基台7の端部外側(第1図では左端下側のピン穴7F部分)を、基部ジブブ-ム6Aの端部からその上側(第1、2図では右側)へ移動させる。 これにより、この自走式クレ-ンCの走行方向の変更時における、その旋回中心Oから最大離間点までの距離、したがって、当該自走式クレ-ンCの最小旋回スペ-スの半径Rが、基台7が基部ジブブ-ム6Aの基端に延びている状態(第1、2図の実線状態)における、その端部外側(取付けピンの穴部7F)の、前記旋回中心Oまわりの最小軌跡円r2の半径R2に比べて、同基台7がこの一点鎖線位置7Cにある場合の最小軌跡円r4の半径R4が、 「R2-R4」 だけ縮小し、この半径差だけ自走式クレ-ンCの最小旋回スペ-スが減り、走行方向変更時における旋回性が向上する。 なお、以上の説明では、ジブブ-ム6を基部ジブブ-ム6Aとそれに伸縮可能に設けた頂部ジブブ-ム6Bにより構成する例を示したが、このジブブ-ム6は図示しないが、基部ジブブ-ムのみにより構成してもよく、また、基部ジブブ-ム6Aの内側に複数のジブブ-ムを伸縮可能に設けても差支えなく、何れの場合にも前記と略々同様な作用をする。 (発明の効果) この発明は、前記のような構成を有し、作用をするから次のような効果が得られる。 (1) 伸縮ブ-ムの基部ブ-ム側部にジブブ-ムを格納した際、そのジブブ-ム基端の基台を、ジブブ-ム下面側へ屈折させることにより、同基部ジブブ-ム下部の車巾方同の巾が縮小するから、当該自走式クレ-ンの旋回フレ-ム上に伸縮ブ-ムを倒伏させると共に、その基部ブ-ム側部にジブブ-ムを格納した状態において、当該自走式クレ-ンの走行方向を変更させる場合の最小旋回半径が、前記基台を基部ジブブ-ム下面側へ屈折させる構成を具備しない従来例に比べて縮小し、自走式クレ-ンの走行方向変更時の旋回性が向上する。 (2) 基部ブ-ム側部にジブブ-ムを格納した状態において、ジブブ-ム基端に頂部をピン付けした基台を基部ジブ-ム側へ屈折させ、また、ジブブ-ムのブ-ムヘッド上への張出しに先立って、ジブブ-ムの下面側に屈折した基台をジブブ-ムの端部に張出させる外は、従来の同種自走式クレ-ンと略々同様な操作により各種荷役作業を行なえ、したがって、既存のこの種自走式クレ-ンに対しても、そのジブブ-ムの基部へ基台を回動可能にピン付けするだけの比較的簡易な改造により、この考案を実施することができる。 (3) 自走式クレ-ンの走行方向変更時の最小旋回半径が縮小し、その旋回性が向上するから自走式クレ-ンの車巾等の規制に基づく設計自由度の低下要因が軽減する。 (4) ジブブ-ムを伸縮ブ-ムの側部に格納可能すると共に、そのブ-ムヘッド側部まわりにジブブ-ムを旋回して、その頂部上に張出させるもので、ジブブ-ム及びその取付部分が伸縮ブ-ムの上側又は下側へ突出しないから、このジブブ-ムを伸縮ブ-ム側部に格納して走行する際、格納されたジブブ-ムにより自走式クレ-ンの運転視界を阻害させる恐れがない。 (5) クレ-ン作業時、シリンダを伸縮することにより、ジブブ-ムの連続的な起伏操作が従来通り可能となる。 (6) 前記伸縮シリンダのシリンダヘッドを基台の頂部一側に取付ピンで取付け、該伸縮シリンダのシリンダロッドの端部を基部ジブブ-ムの側部にピン付けすれば、このシブブ-ムによる荷役作業時に作用する伸縮シリンダヘの圧油が、そのシリンダヘッド側に作用することになるから、そのシリンダロッド側に圧油を作用させるものより、当該シリンダロッドの断面相応量その受圧面積が大きくなり、したがって、同一支承力を備える同一構造の伸縮シリンダの油圧を、相応量低く設定でき、ひいては、伸縮シリンダまわりのシ-ル構成等を、従来例より簡易にできる。 【図面の簡単な説明】 図面はこの発明に係る自走式クレ-ンにおけるジブブ-ムの基台支承装置の一実施例を示すもので、第1図はそのジブブ-ムを伸縮ブ-ム側部に格納した状態、及びこの格納状態における当該自走式クレ-ンの旋回中心から最離間点の画く軌跡円の平面説明図、第2図はその側面説明図図、第3図はジブブ-ムを張出した状態における要部の側面説明図、第4図及び第5図は第2図のIV-IV線及びV-V線に沿う縦断説明図である。 1……伸縮ブ-ム 1A……基部ブ-ム 1D……ブ-ムヘッド 3……ブラケット 3A……穴 4……ブラケット 6……ジブブ-ム 6A……基部ジブブ-ム 7……基台 7B、7F、8、8B、8C……取付ピン 9……ブラケット 9a……ピン 10……伸縮シリンダ 11……ガイドレ-ル 12……取付具 12a……シュ- C……自走式クレ-ン K……車体フレ-ム KK……旋回フレ-ム 【図面】 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
訂正の要旨 |
本件特許第2797136号発明の明細書を、下記(あ)〜(く)のとおり訂正する。 (あ)特許請求の範囲の請求項1の記載を、特許請求の範囲の減縮を目的として、下記のとおり訂正する。 明細書第1頁第14行、特許公報第1頁第1欄第9行の「係脱可能に取付けた」を「係脱可能に取付け、さらに、前記ジブブームを基部ブームの側部に格納した状態において、当該ジブブームの基端に頂部一側を取付けた前記基台を、同ジブブーム側へ屈折可能にした」 (い)特許請求の範囲の請求項2の記載を、特許請求の範囲の減縮を目的として、下記のとおり訂正する。 明細書第1頁第19行、特許公報第1欄第14行の「中央部に」を「中央下部に」 (う)明細書第8頁第9行(特許公報第4欄第49〜50行)の「係脱可能に取付けた」を、明瞭でない記載の釈明を目的として、下記のとおり訂正する。 「係脱可能に取付け、さらに、前記ジブブームを基部ブームの側部に格納した状態において、当該ジブブームの基端に頂部一側を取付けた基台を同ジブブーム側へ屈折可能にした」 (え)明細書第15頁第20行〜第16頁第1行(特許公報第7欄第30行)の「走行方向変更時にお刑ける」を、誤記の訂正を目的として、下記のとおり訂正する。 「走行方向変更時における」 (お)明細書第16頁第3〜4行(同公報第7欄第33行)の「頂部ジブーム5B」を、誤記の訂正を目的として、下記のとおり訂正する。 「頂部ジブブーム6B」 (か)明細書第16頁第19〜20行(同公報第7欄第48行)の「自走式クレーンをの走行方向」を、誤記の訂正を目的として、下記のとおり訂正する。 「自走式クレーンの走行方向」 (き)明細書第18頁第8行(同公報第8欄第23行)「シリンダを伸縦する」を、誤記の訂正を目的として、下記のとおり訂正する。 「シリンダを伸縮する」 (く)図面の第3図中におけるジブブーム6を取付ピン8まわりの反時計方向に小角度回動させた状態の輪郭を示す一点鎖線に付した符号「7」及び同図中における伸縮シリンダ10のシリンダ部分に付された符号「10B」を、誤記の訂正を目的として、下記のとおり訂正する。 符号「6A」及び符号「10C」 |
異議決定日 | 1999-11-05 |
出願番号 | 特願平2-116145 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(B66C)
P 1 651・ 113- YA (B66C) P 1 651・ 532- YA (B66C) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 鈴木 久雄 |
特許庁審判長 |
西野 健二 |
特許庁審判官 |
清水 信行 林 晴男 |
登録日 | 1998-07-03 |
登録番号 | 特許第2797136号(P2797136) |
権利者 | 株式会社加藤製作所 |
発明の名称 | 自走式クレーンにおけるジブブームの基台支承装置 |
代理人 | 御園生 芳行 |
代理人 | 御園生 芳行 |
代理人 | 小谷 悦司 |
代理人 | 村松 敏郎 |
代理人 | 植木 久一 |