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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H04N
審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1009116
異議申立番号 異議1998-76111  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1989-09-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-12-18 
確定日 1999-09-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2767800号「ビデオカメラ装置」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2767800号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 (1)手続の経緯
本件特許第2767800号の請求項1、2に係る発明の手続の経緯は以下の通りである。
出願:昭和63年3月14日
設定登録:平成10年4月10日
異議の申立:平成10年12月18日
取消理由通知:平成11年4月27日
訂正請求書提出:平成11年7月13日
訂正拒絶理由:平成11年8月19日
訂正請求書の手続補正:平成11年8月23日
(2)訂正の適否について
A.訂正の内容
補正された訂正請求書に於いて特許権者が求めている訂正の内容は以下の通りである。
A1.特許請求の範囲に関して
a.ビデオカメラを撮像手段と記録手段を有するビデオカメラと限定する。
b.ビデオカメラが、撮像手段に関する種々のモードが選択されるカメラモードと、上記記録手段に関する種々のモードが選択される記録手段モードとを切換えるスイッチを有することを限定する。
c.回転式ダイヤル手段に関して、「上記複数の機能について共通に使用され、選択された機能についてのパラメータを調節又は切換えるための」を「上記カメラモードにおいては選択された機能についてのパラメータを調節又は切換え、上記記録手段モードにおいては機能を切り換える」とする。
A2.詳細な説明に関して
「E.課題を解決するための手段」につき、「上述の課題を達成し上記目的を達成するため、本発明に係るビデオカメラ装置は、撮像手段と記録手段とを有してなるビデオカメラ装置において、上記撮像手段に関する種々のモードが選択されるカメラモードと、上記記録手段に関する種々のモードが選択される記録手段モードとを切換えるスイッチと、上記ビデオカメラ装置の複数の機能から機能を選択するためのモード選択スイッチと、上記力メラモードにおいては選択された機能についてのパラメータを調節又は切換え、上記記録手段モードにおいては機能を切り換える回転式ダイヤル手段と、上記選択された機能と上記回転式ダイヤル手段により調節又は切換えられたパラメータとを表示する表示部とを備えてなることを特徴とする」と訂正する。
B.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記Aの訂正事項に関連する記載として、願書に添付した明細書(以下特許明細書という)の詳細な説明には、
「本発明に係るビデオカメラ装置は、第1図に示すように、撮像手段1,記録手段2及び操作手段3とを有してなる。」(特許公報第4欄第14行〜第15行)
「すなわち、上記電源スイッチ3bは、切(OFF)位置、カメラモード位置(CAM)及びVTRモード位置(VTR)の3つの位置を採り得るようになされており、上記切位置においてはこのビデオカメラ装置の全ての電源が遮断されている。そして、上記電源スイッチ3bを操作して(第2図中の(A))、上記カメラモード位置とすると、このビデオカメラ装置の電源が投入されるとともにカメラモードとなされ、また、上記VTR位置とすると、上記電源が投入されるとともにVTRモードとなされる。」(特許公報第5欄第20行〜第28行)
「そして、所望のモードが選択された状態において、上記回転式ダイヤル手段3aを操作すると(第2図中の(C))、それぞれのモードに対応する機能についてのパラメータが上記回転式ダイヤル手段3aの操作に応じて変化し、上記表示部3gにより表示される。」(特許公報第5欄第39行〜第43行)
と記載されていることから、上記訂正事項A1は特許明細書に記載されているものといえる。
そうすると、上記訂正A1は特許請求の範囲の減縮、明瞭でない記載の釈明に該当するものであり、新規事項の追加に該当しない。
また、上記訂正事項A2は、訂正事項A1の訂正に伴う訂正に過ぎないのであるから、明瞭でない記載の釈明に相当し、新規事項の追加に該当しない。
そして、上記の訂正はいずれも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
C.独立要件について
C1.本件発明
平成11年7月13日付けで提出された訂正明細書の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次の通りのものである。
【請求項1】撮像手段と記録手段とを有してなるビデオカメラ装置において、
上記撮像手段に関する種々のモードが選択されるカメラモードと、上記記録手段に関する種々のモードが選択される記録手段モードとを切換えるスイッチと、
上記ビデオカメラ装置の複数の機能から機能を選択するためのモード選択スイッチと、
上記カメラモードにおいては選択された機能についてのパラメータを調節又は切換え、上記記録手段モードにおいては機能を切り換える回転式ダイヤル手段と、
上記選択された機能と上記回転式ダイヤル手段により調節又は切換えられたパラメータとを表示する表示部とを備えてなるビデオカメラ装置。
C2.引用刊行物記載の発明
訂正明細書の請求項1に係る発明に対し、当審が取消理由通知において示した引用刊行物(特開昭60-168124号公報)には、複数の機能から機能を選択するためのモード選択スイッチ(引用刊行物におけるスイッチ4がこれに相当する)と、上記複数の機能について共通に使用され、選択された機能についてのパラメータを調節又は切り換えるための回転式ダイヤル手段(ダイヤル手段については引用公報第5頁右下欄第11行〜第14行に記載されている)と、上記選択された機能と上記回転式ダイヤル手段により調節又は切り換えられたパラメータとを表示する表示部とを有するカメラが記載されている。
C3.対比・判断
訂正明細書の請求項1に係る発明と引用刊行物に記載されたものとを対比すると、ビデオカメラ装置に関し前者が撮像手段と記録手段を有し、カメラモードと記録手段モードを切り換えるスイッチを有しているのに対し、引用刊行物に記載されたものは撮像手段とフィルム記録手段を有するもので、切換のスイッチを設けていない点で両者は相違する。この相違点については引用例から示唆されるものでもない。
そして、この相違により、請求項1に係る発明では、複数の機能について回転ダイヤル手段を共通に使用することが出来、多くの機能について少ないボタンスイッチ及び回転ダイヤル手段により調節又切り換えることができるという作用効果がもたらされ、また、釦スイッチ及び回転ダイヤル手段の個数が少ないことから、これらを片手で操作できる範囲内に配設することが容易であるという効果がもたらされる。
それ故、訂正明細書の請求項1にかかる発明は引用刊行物から容易に発明されたとすることはできない。また、後記のとおり、異議申立書の理由は採用できない。
したがって、訂正明細書の請求項1にかかる発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
D.結び
以上の通りであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項に於いて準用する第126条第2ー4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
(3)特許異議申立について
A.本件発明
平成11年7月13日付けで提出された訂正明細書の請求項1に係る発明は、以下の通り、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるものである。
【請求項1】撮像手段と記録手段とを有してなるビデオカメラ装置において、
上記撮像手段に関する種々のモードが選択されるカメラモードと、上記記録手段に関する種々のモードが選択される記録手段モードとを切換えるスイッチと、
上記ビデオカメラ装置の複数の機能から機能を選択するためのモード選択スイッチと、
上記カメラモードにおいては選択された機能についてのパラメータを調節又は切換え、上記記録手段モードにおいては機能を切り換える回転式ダイヤル手段と、
上記選択された機能と上記回転式ダイヤル手段により調節又は切換えられたパラメータとを表示する表示部とを備えてなるビデオカメラ装置。
【請求項2】上記表示部は、上記パラメータを上記回転式ダイヤル手段の操作に応じて変化させて表示することを特徴とする請求項1記載のビデオカメラ装置
B.異議申立の理由の概要
特許異議申立人株式会社ニコンは、甲第1号証として特開昭62-144147号公報を提出し、請求項1、2に係る発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は特許法第113条第1項第2号の規定により取り消すべきものであると主張する。
C.異議申立人の提出した甲第1号証について甲第1号証はカメラの情報設定装置に関するものであり、甲第1号証には
『5はマイコン2からデータバスDBUSを介して送られてくるデータに基づいてLCD(液晶)表示器6を駆動し、該LCD表示器6にシャツタ秒時、撮影モード等の撮影者によって設定される撮影情報を表示させる駆動回路』(第2頁左下段第7行目〜第11行目、及び第3図には)が記載されており、これは機能、パラメータを表示する表示部の存在を開示しているものと言える。
更に、『28はAEモード設定スイッチ、29は測光モード設定スイッチ、30はフィルム感度設定スイッチ』(第3頁第9行目〜第11行目)と記載されているが、これは本願発明のモード選択スイッチに相当する。
また、同号証には『22は撮影情報のシフト量をマイコン2へ伝達するためのアップダウンカウンタで、不図示のダイヤル操作に運動してオンオフするスイッチ23,24よりの信号によりカウント内容がアップあるいはダウンする。』(第2頁右下段第16行目〜第20行目)
『カメラがスタンバイモードにあり、LCD表示器6の表示状態が第3図(1)である時(シャツタ速度は1/125秒)、前記不図示のダイヤルが左方向に1クリック分だけ回転させられたとすると、アップダウンカウンタ22はダウンカウント動作を行い、カウント内容を「-1」とする。マイコン2はアップダウンカウンタ22の内容が変化したことを検出し、且つこの時他のスイッチが変化していないことを検出すると、シャツタ速度設定の動作を行う。つまりマイコン2はまずアップダウンカウンタ22のカウント内容「-1」を読み取り、記憶する。次いでスイッチ38の状態を検出し、該スイッチ38がオフであれば前記カウント内容を8倍し、この時の1/125秒に対応するRAM7の内容「88」(第4図参照)にその値「ー8」を加算し、その結果を再びRAM7へ格納する。従ってこの場合のシャツタ速度は「1/60秒」となり、LCD表示器6での表示は第3図(9)の如き状態となる。』(第5頁左上段第2行目〜右上段第1行目、及び第3図には)と記載されていることが認められる。これによると、選択された機能についてパラメータを調節又は切り換えるダイヤル手段の存在が開示されている。
D.対比・判断
しかし、訂正明細書の請求項1に係る発明と引用刊行物に記載されたものとを対比すると、ビデオカメラ装置に関し前者が撮像手段と記録手段を有し、カメラモードと記録手段モードを切り換えるスイッチを有しているのに対し、引用刊行物に記載されたものはカメラに関するもので、撮像手段しか有しておらず、記録手段はフィルムに記録するものであり、切換のスイッチも設けていない点で両者は相違する。従って、訂正請求で訂正された特許請求の範囲の請求項1、2で特定される発明は、上記甲第1号証のものと同一であるとすることはできない。
E.むすび
以上の通りであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。また、ほかに本件請求項1に係る発明の特許を取り消す理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ビデオカメラ装置
(57)【特許請求の範囲】
(1)撮像手段と記録手段とを有してなるビデオカメラ装置において、
上記撮像手段に関する種々のモードが選択されるカメラモードと、上記記録手段に関する種々のモードが選択される記録手段モードとを切換えるスイッチと、
上記ビデオカメラ装置の複数の機能から機能を選択するためのモード選択スイッチと、
上記カメラモードにおいては選択された機能についてのパラメータを調節又は切換え、上記記録手段モードにおいては機能を切り換える回転式ダイヤル手段と、
上記選択された機能と上記回転式ダイヤル手段により調節又は切換えられたパラメータとを表示する表示部と
を備えてなるビデオカメラ装置。
(2)上記表示部は、上記パラメータを上記回転式ダイヤル手段の操作に応じて変化させて表示することを特徴とする請求項1記載のビデオカメラ装置。
【発明の詳細な説明】
A.産業上の利用分野
本発明は、少なくとも撮像手段を有してなる多機能のビデオカメラ装置に関する。
B.発明の概要
本発明は、少なくとも撮像手段を有してなるビデオカメラ装置において、複数の機能から順次所定の順序に従って機能を選択するためのモード選択スイッチと、このモード選択スイッチにより選択された機能についてのパラメータを調節又は切換えるための回転式ダイヤル手段とを備えることにより、多くの機能についての調節又は切換えが少ないスイッチにより行うことができ、装置構成が簡素化されたビデオカメラ装置を提供するものである。
C.従来の技術
従来、撮影レンズと撮像素子等からなる撮像手段を備えてなり、上記撮影レンズにより得られる像を映像信号に変換して出力するように構成されたビデオカメラ装置が知られている。また、上記撮像手段に加え、上記撮像手段から出力される映像信号を記録する記録手段をも備えてなるビデオカメラ装置が提案されている。
このようなビデオカメラ装置は、複数の調節機能及び切換え機能を備え、これらに対応した複数の釦スイッチ又は回転式ダイヤル手段を備えることにより、種々の状況に対して常に良好な映像信号が得られるように構成されている。すなわち、上記調節機能には、上記撮影レンズに関するものとして、焦点調節機能(いわゆるフォーカス機能)、露出調節機能(いわゆる絞り機能)、焦点距離調節機能(いわゆるズーム機能)等がある。また、上記撮影レンズを除く上記撮像手段に関するものとして、いわゆるホワイトバランス調整機能、いわゆるフェーダ機能、いわゆるスーパーインポーズ機能、シャッタ速度調節機能、さらに露光量補正機能や日付写し込みのための日付入力機能等がある。
そして、上記記録手段をも備えてなるビデオカメラ装置においては、記録媒体となる例えば磁気テープの走行及びこの磁気テープに対して映像信号の記録(あるいは記録及び再生)を行う回転磁気ヘッド装置等の信号記録装置を制御するための複数の切換え機能が設けられる。そして、この切換え機能に対応した操作釦、すなわち、記録釦 (Rec)、正転早送り釦(FF)、逆転早送り釦(Rew)、再生釦(Play)、断続再生釦(いわゆるコマ送り)、一時停止釦(Pause)、停止釦(Stop)及び磁気テープ取出し釦(Eject)等が設けられる。
D.発明が解決しようとする課題
ところで、上述のようなビデオカメラ装置においては、上述のように撮像手段及び記録手段に関して種々の調節機能及び切換え機能を備え、また、これら各機能に対応して釦スイッチや回転式ダイヤル手段を設けているため、この釦スイッチや回転式ダイヤル手段の数が多くなり、構成が複雑化するという問題がある。
また、このビデオカメラ装置を操作する場合にも、上記釦スイッチ及び回転式ダイヤル手段が多くなると、操作が煩雑になるという問題がある。
そこで、本発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、撮像手段や記録手段に関する複数の調節機能及び切換え機能について、少ない釦スイッチや回転式ダイヤル手段により調節できるようにして、構成が簡素化され、また、操作が容易化されたビデオカメラ装置を提供することを目的とする。
E.課題を解決するための手段
上述の課題を解決し上記目的を達成するため、本発明に係るビデオカメラ装置は、撮像手段と記録手段とを有してなるビデオカメラ装置において、上記撮像手段に関する種々のモードが選択されるカメラモードと、上記記録手段に関する種々のモードが選択される記録手段モードとを切換えるスイッチと、上記ビデオカメラ装置の複数の機能から機能を選択するためのモード選択スイッチと、
上記カメラモードにおいては選択された機能についてのパラメータを調節又は切換え、上記記録手段モードにおいては機能を切り換える回転式ダイヤル手段と、上記選択された機能と上記回転式ダイヤル手段により調節又は切換えられたパラメータとを表示する表示部とを備えてなることを特徴とする。
F.作用
本発明に係るビデオカメラ装置においては、複数の機能からモード選択スイッチにより選択された機能についてのパラメータが、回転式ダイヤル手段により調節又は切換えられるので、複数の機能について回転式ダイヤル手段は共通に使用され、多くの機能について少ない釦スイッチ及び回転式ダイヤル手段により調節又は切換えることができる。
G.実施例
以下、本発明の具体的な実施例を図面を参照しながら説明する。
本発明に係るビデオカメラ装置は、第1図に示すように、撮像手段1、記録手段2及び操作手段3とを有してなる。
上記撮像手段1は、複数のレンズが組合わされてなる撮影レンズ4を有する。そして、この撮影レンズ4により形成される像は、その結像位置に配設される撮像素子(CCD)5aにより受光される。この撮像素子5aの出力信号は、供給される信号に基づいて映像信号Vを生成する映像信号処理回路5bに送られる。そして、この映像信号処理回路5bは、信号処理装置(CPU)5cに制御されている。また、上記撮影レンズ4は、例えば複数のモータ等を有してなる駆動手段6により、種々の調節機能(例えば焦点調節機能、露出調節機能及び焦点距離調節機能等)について駆動制御されるようになっている。
上記映像信号処理回路5bから出力される上記映像信号Vは、上記記録手段2と、ファインダ用CRT7に送られる。このファインダ用CRT7により表示される映像は、接眼レンズ8を介して、このビデオカメラ装置を使用する人に視認されるようになっている。
そして、上記記録手段2は、送られる上記映像信号Vを、所定の磁気ヘッド装置等を有してなる信号記録装置9を介して、記録媒体となる磁気テープ10に記録する。また、この記録手段2には、上記磁気テープ10を送り操作するための駆動装置が設けられている。
上記操作手段3は、回転式ダイヤル手段3a、電源スイッチ3b及び複数の釦スイッチを有する。上記回転式ダイヤル手段3aは、回転摘子と、この回転摘子の回転の方向及び速度を検出する手段とからなる。上記釦スイッチとしては、モード選択釦3c、セット釦3d、記録釦3e及び停止釦3fがある。また、この操作手段3は、いわゆる液晶表示板(LCD)やCRTからなる表示部3gを備えている。
そして、この操作手段3は、上記駆動手段6、上記処理装置5c及び上記記録手段2のそれぞれに対応する所定の制御信号Scを生成し、供給する。すなわち、上記駆動手段6に対しては、上記撮影レンズ4についての、焦点調節(いわゆるフォーカス調節)、露出調節(いわゆる絞り調節)及び焦点距離調節(いわゆるズーム調節)等の各調節機能についてのパラメータに対応する制御信号Scを供給する。
上記信号処理装置5cに対しては、いわゆるホワイトバランス調整、いわゆるフェーダ機能、いわゆるスーパーインポーズ機能、シャッタ速度調節、さらに露光量補正や日付写し込みのための日付入力等の調節機能についてのパラメータに対応した制御信号Scを供給する。
そして、上記記録手段2に対しては、上記磁気テープ10に対して映像信号の記録及び再生を行うための切換え機能についてのパラメータ、すなわち記録(Rec)、正転早送り(FF)、逆転早送り(Rew)、再生(Play)、断続再生(いわゆるコマ送り)、一時停止(Pause)、停止(Stop)及び磁気テープ取出し(Eject)等に対応した制御信号Scを供給する。
上記操作手段3により、上述のような種々の制御信号Scを生成させるには、第2図に示すように、上記電源スイッチ3b及び上記モード選択釦3c又は上記回転式ダイヤル手段3aにより、所望のモードを選択し、上記回転式ダイヤル手段3a及び/又は上記セット釦3dを用いて所望の制御信号Scが生成されるようにする。
すなわち、上記電源スイッチ3bは、切(OFF)位置、カメラモード位置(CAM)及びVTRモード位置(VTR)の3つの位置を採り得るようになされており、上記切位置においてはこのビデオカメラ装置の全ての電源が遮断されている。そして、上記電源スイッチ3bを操作して(第2図中の(A))、上記カメラモード位置とすると、このビデオカメラ装置の電源が投入されるとともにカメラモードとなされ、また、上記VTR位置とすると、上記電源が投入されるとともにVTRモードとなされる。
上記カメラモードにおいては、上記モード選択釦3cを操作することにより(第2図中の(B))、上記撮像手段1に関する種々のモードが順次選択される。この種々のモードとは、前述した上記撮像手段1に関する複数の調節機能に対応したものであって、フォーカスモード、絞りモード、ズームモード、ホワイトバランスモード、フェーダモード、日付モード、シャッタ速度モード等がある。このとき、上記モード選択釦3cによりどのモードが選択されているかは、上記表示部3gにおいて、適宜略号等を用いて表示される。
そして、所望のモードが選択された状態において、上記回転式ダイヤル手段3aを操作すると (第2図中の(C))、それぞれのモードに対応する機能についてのパラメータが上記回転式ダイヤル手段3aの操作に応じて変化し、上記表示部3gにより表示される。すなわち、絞りモードにおける上記撮影レンズ4の口径比(いわゆる絞り値)、ズームモードにおける上記撮影レンズ4の焦点距離、日付モードにおける日付等の表示が順次変化する。このとき、例えば上記ズームモード等の特定のモードにおいては、上記回転式ダイヤル手段3aの操作による上記各機能についてのパラメータの変化に応じて、直接的に上記各機能について駆動制御が行われる(第2図中の(D))。そして、他のモードにおいては、上記回転式ダイヤル手段3aの回転操作のみでは、上記パラメータに応じて表示が変化しても上記各機能についての駆動制御は行われず、上記セット釦3dを操作することにより(第2図中の(E))、そのときに表示されているパラメータに応じた駆動制御が行われる(第2図中の(D))。
また、上記カメラモードにおいて、上記記録釦3eを操作すると(第2図中の(F))、上記記録手段2が作動し(第2図中の(G))、上記撮像手段1により生成される映像信号Vを上記磁気テープ10に記録する。この記録手段2の動作は、上記停止釦3fを操作することにより(第2図中の(H))、停止する(第2図中の(I))。
そして、上記VTRモードにおいては、上記回転式ダイヤル手段3aを操作すると(第2図中の(J))、上記記録手段2に関する種々の切換え機能に対応したモードが選択される。すなわち、再生モード、一時停止モード、コマ送りモード、正転早送りモード及び逆転早送りモード等から所望のモードが選択できる。このとき、上記回転式ダイヤル手段3aによってどのモードが選択されているかは、上記表示部3gにおいて、適宜略号等を用いて表示される。そして、所望のモードが選択された状態において、上記セット釦3dを操作すると(第2図中の(K))、上記記録手段2に対して、そのときに選択されているモードに対応する制御信号Scが送られる。この制御信号Scに基づいて、上記記録手段2が所定の動作を行う(第2図中の(L))。そして、上記記録手段2は、上記停止釦3fを操作することにより(第2図中の(M))、停止する(第2図中の(N))。
上述のように構成された本発明に係るビデオカメラ装置においては、通常の撮影時にあっては、上記電源スイッチ3bによりカメラモードとし、上記記録釦3eを操作し、さらに、上記モード選択釦3c及び上記回転式ダイヤル手段3aにより、必要な操作の略全てを行うことができる。また、ホワイトバランスの調整や、日付の入力等の特殊な操作をする場合においては、上記モード選択釦3c、上記回転式ダイヤル手段3a及び上記セット釦3dにより、全ての操作を行うことができる。
そして、上記記録手段2により記録された映像の再生等を行う場合には、上記電源スイッチ3bによりVTRモードとし、上記回転式ダイヤル手段3a及び上記セット釦3dにより、必要な操作の全てを行うことができる。
また、本発明に係るビデオカメラ装置においては、上述のように、このビデオカメラ装置の操作のための釦スイッチ及び回転式ダイヤル手段の個数が少ないことから、これらの釦スイッチや回転式ダイヤル手段を、片手のみで操作できる範囲内に配設することができる。
例えば、第3図及び第4図に示すように、このビデオカメラ装置を用いる場合におけるこのビデオカメラ装置の筺体の右側面手前側には、上記回転式ダイヤル手段3aと上記電源スイッチ3bを設ける。この位置は、上記筺体の右側面にこのビデオカメラ装置を操作する人の右手11が添えられたときに、該右手11の拇指11aによりそれぞれが操作され得るような位置とする。そして、上記右側面には、上記モード選択釦3c、セット釦3d及び記録/停止釦3hを設ける。この記録/停止釦3hは、上記記録釦3eと上記停止釦3fの機能を一個の釦で兼用させている釦スイッチである。これらの釦スイッチの位置は、それぞれ上記右手11の人差指11b、中指11c及び薬師指11dにより操作され得るような位置とすればよい。なお、上記右手11を上記右側面に添えられた状態に保持するには、押さえ帯(いわゆるハンドストラップ)12を上記右側面に設ければよい。このように上記回転式ダイヤル手段3a及び各釦スイッチを配設することにより、このビデオカメラ装置に関する全ての操作を片手のみで行うことができる。
なお、上記表示部3gは、上記接眼レンズ8の近傍に設けるようにすれば、上記接眼レンズ8から眼を僅かに離すだけで視認することができ、便利である。また、上記表示部3gに表示される表示を、上記ファインダ用CRT7に表示するようにしてもよい。
H.発明の効果
上述のように、本発明に係るビデオカメラ装置においては、複数の調節機能及び切換え機能からモード選択スイッチにより選択した機能についてのパラメータを、回転式ダイヤル手段により調節又は切換えることができ、調節又は切換えられたパラメータを表示部に表示することができる。
これにより、複数の機能について回転式ダイヤル手段を共通に使用することができ、多くの機能について少ない釦スイッチ及び回転ダイヤル手段により調節又は切換えることができると共に、表示部により調節又は切換えられたパラメータを確認しながら回転式ダイヤル手段を操作することができ、良好な操作性を実現することができる。
また、回転式ダイヤル手段は、その回転摘子の回転方向のみならず、回転速度をも検出できるようになされているため、上記各機能についての調節又は切換えの速度を自在に変更することができる。
さらに、上記釦スイッチ及び上記回転式ダイヤル手段の個数が少ないことから、これらを片手のみで操作できる範囲内に配設することが容易である。このように上記釦スイッチ及び上記回転式ダイヤル手段を配設することにより、片手のみによる操作が可能な極めて操作性の良好なビデオカメラ装置を提供できる。
すなわち、本発明は、撮像手段や記録手段等に関する複数の機能について少ない釦スイッチや回転式ダイヤル手段により調節又は切換えられるようにして、構成が簡素化され、また、操作が容易化されたビデオカメラ装置を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係るビデオカメラ装置の構成を示す模式的断面図であり、第2図は上記ビデオカメラ装置における各モードの操作を説明するための図である。
第3図は上記ビデオカメラ装置において、操作手段の配設状態の一例を示す斜視図であり、第4図は上記第3図に示したビデオカメラ装置を使用している状態を示す斜視図である。
1‥‥‥‥撮像手段
2‥‥‥‥記録手段
3‥‥‥‥操作手段
3a‥‥‥回転式ダイヤル手段
3b‥‥‥電源スイッチ
6c‥‥‥モード選択釦
7d‥‥‥セット釦
3e‥‥‥記録釦
3f‥‥‥停止釦
 
訂正の要旨 (3)訂正の要旨
▲1▼訂正事項a
特許第2767800号明細書の特許請求の範囲の請求項1を特許請求の範囲の減縮を目的として、
「(1)撮像手段と記録手段とを有してなるビデオカメラ装置において、
上記撮像手段に関する種々のモードが選択されるカメラモードと、上記記録手段に関する種々のモードが選択される記録手段モードとを切換えるスイッチと、
上記ビデオカメラ装置の複数の機能から機能を選択するためのモード選択スイッチと、
上記カメラモードにおいては選択された機能についてのパラメータを調節又は切換え、上記記録手段モードにおいては機能を切り換える回転式ダイヤル手段と、
上記選択された機能と上記回転式ダイヤル手段により調節切換えられたパラメータとを表示する表示部と
を備えてなるビデオカメラ装置。」
と訂正する。
▲2▼訂正事項b
同書、第5頁第6行目から第13行目まで(特許公報、第3欄第44行目から第4欄第2行目まで)の、「上述の課題・・・F.作用」との記載を、次の通り補正する。
「上述の課題を達成し上記目的を達成するため、本発明に係るビデオカメラ装置は、撮像手段と記録手段とを有してなるビデオカメラ装置において、上記撮像手段に関する種々のモードが選択されるカメラモードと、上記記録手段に関する種々のモードが選択される記録手段モードとを切換えるスイッチと、上記ビデオカメラ装置の複数の機能から機能を選択するためのモード選択スイッチと、上記カメラモードにおいては選択された機能についてのパラメータを調節又は切換え、上記記録手段モードにおいては機能を切り換える回転式ダイヤル手段と、上記選択された機能と上記回転式ダイヤル手段により調節又は切換えられたパラメータとを表示する表示部とを備えてなることを特徴とする。
F.作用」
異議決定日 1999-09-14 
出願番号 特願昭63-60073
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H04N)
P 1 651・ 113- YA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 井上 健一  
特許庁審判長 水谷 好男
特許庁審判官 丹治 彰
村井 誠次
登録日 1998-04-10 
登録番号 特許第2767800号(P2767800)
権利者 ソニー株式会社
発明の名称 ビデオカメラ装置  
代理人 小池 晃  
代理人 小池 晃  
代理人 田村 栄一  
代理人 伊賀 誠司  
代理人 渡辺 隆男  
代理人 伊賀 誠司  
代理人 田村 榮一  

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