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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 C23C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C23C
管理番号 1009643
審判番号 審判1998-18324  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-11-19 
確定日 2000-02-14 
事件の表示 平成1年特許願第202006号「複合材料の製造方法」拒絶査定に対する審判事件(平成3年3月25日出願公開、特開平3-68754)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯・本願発明
本願は、平成1年8月3日の出願であって、その請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
なお、平成10年8月17日付け手続補正及び平成10年12月21日付け手続補正は、平成11年7月27日付け補正の却下の決定によりそれぞれ却下された。
「プラスチック基材表面に、希ガスを励起したイオンビームを照射した後、又は照射と同時に金属又は金属化合物を蒸着することを特徴とする複合材料の製造方法。」
II.引用例
これに対して、原審の拒絶の理由に引用された特開昭63-111167号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項についての記載がある。
▲1▼「プラスチック基材の表面に、イオンビームを照射しながら、すくなくとも初期において低い成膜速度で無機質の膜を被覆させることを特徴とする無機質薄膜で被覆されたプラスチック物品の製法。」(第1頁特許請求の範囲第1項)
▲2▼「前記無機質の膜を被覆する前のプラスチック基材の表面にあらかじめイオンビームを照射する特許請求の範囲第1項記載のプラスチック物品の製法。」(第2頁特許請求の範囲第11項)
▲3▼「本発明において、上記の真空蒸着による無機薄膜の形成と同時にその薄膜にイオンビームを照射させる。照射したイオンビームは真空蒸着の源から蒸発した蒸着無機物質の分子をイオン化させ、これにより基板に付着する蒸着物質の充填密度が高められ、その結果無機物質薄膜と基材との付着強度が増大する。」(第3頁左上欄第19行〜右上欄第5行)
▲4▼「イオンビーム照射に使用するイオンの種類は、窒素、酸素、アルゴンなど、通常用いられる気体を使用できるが、最も有効なのはアルゴンである。」(第3頁右上欄第6〜8行)
▲5▼「本発明に於ける無機質薄膜とは、…低屈折率層には通常SiO2が使用される。高屈折率層にはTiO2,ZrO2,Ta2O5など、あるいはこれらの混合物、これらにイットリウムやプラセオジミウムを添加したものが使用される。また、中屈折率層にはAl2O3,Si2O3,Yb2O3などが使用される」(第3頁左下欄第20行〜右下欄第12行)
III.対比・判断
本願特許請求の範囲の請求項1に記載された択一的な事項のうち、「イオンビームを照射した後」を選択した場合の発明は、「プラスチック基材表面に、希ガスを励起したイオンビームを照射した後、金属又は金属化合物を蒸着することを特徴とする複合材料の製造方法。」(以下、「本願発明」という。)であるから、本願発明と引用例の特許請求の範囲第11項に記載された発明(以下、「引用例発明」という。)とを対比すると、引用例発明の膜を構成する「無機質」は「II.▲5▼」に摘記した事項よりみて、本願発明の「金属又は金属化合物」に相当する。
また、引用例発明の「膜を被覆する前のプラスチック基材の表面にあらかじめイオンビームを照射する」構成は、本願発明の「プラスチック基材表面に、…イオンビームを照射した後、…蒸着する」構成に相当する。
さらに、引用例発明においても、イオンの種類はアルゴンが最も有効であるとしている(「II.▲4▼」参照)から、引用例発明の「イオンビーム」は、本願発明の「希ガスを励起したイオンビーム」に相当することは明らかである。
してみれば、本願発明と引用例発明は、いずれも「プラスチック基材表面に、希ガスを励起したイオンビームを照射した後、金属又は金属化合物を蒸着することを特徴とする複合材料の製造方法。」の点で一致し、相違点はない。
したがって、本願発明は引用例に記載された発明であると言える。
IV.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の発明に該当し、特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-11-17 
結審通知日 1999-12-03 
審決日 1999-11-25 
出願番号 特願平1-202006
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C23C)
P 1 8・ 161- Z (C23C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 板谷 一弘  
特許庁審判長 沼澤 幸雄
特許庁審判官 新居田 知生
唐戸 光雄
発明の名称 複合材料の製造方法  

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