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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02G
管理番号 1009708
審判番号 審判1998-2659  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1990-12-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-02-19 
確定日 2000-02-14 
事件の表示 平成1年特許願第127572号「配線器具用プレート枠」拒絶査定に対する審判事件(平成2年12月20日出願公開、特開平2-307314)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明の要旨
本願は、平成1年5月20日の出願であって、その請求項1に係る発明は、補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「前面に化粧プレートが装着され、中央部に配線器具を露出させる開口部を有し埋込穴の開口面がわを覆うプレート枠本体を形成し、プレート枠本体の一方の側片に横方向に可撓性を有する撓み片を該側片と平行に一体に形成し、該撓み片に配線器具の両側より突設した一方の係止片を挿入係止する第1の段部を形成し、配線器具の他方の係止片が当接して沿うことにより一方の係止片により上記撓み片を外方向に撓ませる傾斜面をプレート枠本体の他方の側片に形成して成ることを特徴とする配線器具用プレート枠。」
2.引用文献
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用した実願昭62-163821号(実開平1-69310号公報)のマイクロフィルム(以下、「引用文献」という。)には、下記の事項が記載されている。
「前記連結部7のうちの一方には、その長手方向に、略全長にわたって延びるスリット9が設けられ、このスリット9の外側片が器具押さえばね10とせられると共に適当箇所の上部のみ押さえばね保持片11が残されており、さらに器具押さえばね10の下端部内側には、スリット9の直下に位置して内方に向かって突出する器具引掛部12が形成されている。したがって、押さえばね10は、下部が外方に向かって撓み拡がり易くなっており、器具引掛部12への配線器具付係止片13の引掛係合及び離脱が容易にしかもドライバー等の工具を要することなく行うことができる。
前記連結部7のうちの他方には、下端部内側に器具引掛け部14が、前記対向側連結部7の器具引掛部12と対称位置に設けられている。」(第5頁第20行〜第6頁第14行)
「配線器具を取付枠1に装着する場合、まず、配線器具Cを器具挿入窓8に下側から挿入し、一方の器具付係合片13を器具押さえばね10に設けた器具引掛部12に引掛けた後、配線器具Cを器具押さえばね10が外方に拡がるように押しながら、さらに上方に押し込むと、他方の器具付係止片13が器具引掛部14に係合して、両器具付係止片13は器具引掛部12,14に引掛けられ固定される。」(第7頁欄第2行〜第10行)
3.対比・判断
本願の請求項1に係る発明(以下、「前者」という。)と上記引用文献記載の発明(以下、「後者」という。)を比較すると、両者は、いずれもスイッチやコンセント等の配線器具を装着する枠であって、後者の「器具挿入窓8」、「取付枠1」、「連結部7のうちの一方」、「器具押さえばね10」、「配線器具C」、「一方の器具付係合片13」、「器具引掛部12」、「他方の器具付係止片13」、「連結部7のうちの他方」は、それぞれ前者の「開口部」、「プレート枠本体」、「一方の側片」、「撓み片」、「配線器具」、「一方の係止片」、「第1の段部」、「他方の係止片」、「他方の側片」に相当するので、
両者は、「前面に化粧プレートが装着され、中央部に配線器具を露出させる開口部を有し埋込穴の開口面がわを覆うプレート枠本体を形成し、プレート枠本体の一方の側片に横方向に可撓性を有する撓み片を該側片と平行に一体に形成し、該撓み片に配線器具の両側より突設した一方の係止片を挿入係止する第1の段部を形成し、配線器具の一方の係止片により上記撓み片を外方向に撓ませることを特徴とする配線器具用プレート枠。」である点で一致し、前者が「配線器具の他方の係止片が当接して沿うことにより一方の係止片により上記撓み片を外方向に撓ませる傾斜面をプレート枠本体の他方の側片に形成する」構成を有するのに対して、後者はそのような構成を有していない点で相違している。
上記相違点について検討する。
プレート枠本体の撓み片の内面を上部が内方に突出するような傾斜面として形成して、配器具の係止片をその傾斜面に当接して沿わせて撓み片を擁ませることにより、プレート枠本体の段部に挿入係止することは、本願出願前に周知な技術手段(例えば、引用文献の第6図及びその説明部、実願昭55-75853号(実開昭57-1019号公報)のマイクロフィルム)であるから、配線器具の係止片をプレート枠本体の段部に係止し易くするためには、撓片に傾斜面を設ければ可能なことはよく知られた技術的手段である。
したがって、後者の配線器具用プレート枠に配線器具の係止片を挿入係止し易くするためには、傾斜面を用いればよいこと、そして、引用文献には一方の係止片により撓み片を外方に擁ませられることが記載されていること、これらのことを勘案すれば、他方の係止片が係止する撓み片は可撓性を有していても有していなくてもよいことは、当業者に容易に想到できることであるから、前者の構成とした点には、格別の困難性は認められない。
そして、前者の効果は、上記引用文献と周知な技術手段から予測できる程度のものである。
4.むすび
したがって、本願の請求項1の発明は、上記引用文献に記載された発明及び周知な技術手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-11-29 
結審通知日 1999-12-10 
審決日 1999-12-17 
出願番号 特願平1-127572
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H02G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新川 圭二  
特許庁審判長 佐藤 荘助
特許庁審判官 飯田 清司
鈴野 幹夫
発明の名称 配線器具用プレート枠  
代理人 森 厚夫  
代理人 西川 惠清  

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