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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H04N
審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
審判 全部申し立て 発明同一  H04N
管理番号 1010319
異議申立番号 異議1997-73149  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-07-04 
種別 異議の決定 
異議申立日 1997-07-08 
確定日 2000-01-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2569450号「電子スチルカメラ」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2569450号の特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
本件における手続きの経緯は次のとおりである。
特許出願 昭和57年10月19日
特許権設定登録 平成 8年10月24日
特許異議の申立(申立人金子和弘) 平成 9年 7月 8日
特許異議の申立(申立人溝呂木寛) 平成 9年 7月 8日
取消理由通知 平成 9年11月 6日
訂正請求 平成10年 1月20日
訂正拒絶理由通知 平成11年 2月 3日
手続補正 平成11年 4月26日
2.訂正の適否についての判断
ア.訂正請求の趣旨
訂正請求(手続補正)は、特許請求の範囲の請求項第1項の減縮、第2項第3項の削除、それに伴い第4項を第2項に繰り上げ、そして特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明瞭でない記載の釈明を目的として明細書の段落【0002】を訂正したものである。
訂正明細書(手続補正)の請求項1、2に係る発明は、その特許請求の範囲に記載された次の事項により特定されるとおりのものであるものと認める。
「【請求項1】撮影光学系と、前記撮影光学系により形成された被写体像を電気的映像信号に変換する光電変換手段とを含む撮像系とを有する電子カメラにおいて、前記電子スチルカメラの露光に関する制御のため駆動を行う電気的駆動手段と、前記光電変換手段により光電変換された前記電気的映像信号を撮像系から読み出し出力する出力手段と、前記出力手段の出力と露出終了後の撮影動作シーケンスにおける前記電気的駆動とが同時に行われることを禁止するように、前記出力手段の出力が完了するまで、前記電気的駆動手段の駆動を禁止するよう制御し、前記電気的駆動手段の駆動が停止するまで、前記出力手段の出力を禁止するよう制御する制御手段とを有することを特徴とする電子スチルカメラ。
【請求項2】前記制御手段は、前記出力手段の出力の完了後に発生する同期信号に同期して、前記電気的駆動手段を駆動するように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子スチルカメラ。」
イ.訂正の目的の適否、明細書記載事項からの逸脱及び拡張・変更の存否
上記訂正事項は、請求項1を減縮し、請求項2及び請求項3を削除し、それに伴い請求項4を請求項2に繰り上げ、そして、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため【課題を解決するための手段】の欄を訂正したものであるから、特許請求の範囲の減縮、不明瞭な記載の釈明を目的とする訂正に該当する。また、これら訂正は、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のもので、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものでもないことが認められる。
ウ.独立特許要件の判断
(1)訂正後の請求項1に係る発明について
《先願明細書》
訂正拒絶理由通知で引用した先願明細書1(特許異議申立人金子和弘が提出した特願昭56-215333号(特開昭58-116878号公報))には、「第2図示の撮像素子はフレーム転送型CCDの例で、Iは受光部、Sは非受光部としての蓄積部、HRは水平シフトレジスタ、ABBはアンチグルーミングバリア、OFDはオーバーフロードレイン、AMPは出力アンプである。φ1は受光部内の電荷を蓄積部に転送する為のパルス、φ2は蓄積部内の電荷を水平シフトレジスタHRにシフトする為のパルス、φ3は水平転送クロックパルスである。」(第2頁右下欄第12行目〜同頁同欄第19行目)「このパルスによりカウンタCNTはリセットされ(時刻t3)、測光回路LMの出力によりプリセットされた露出時間Tpだけクロックをカウントすると(時刻t4)C端子に1パルスを出力し、ワンショット回路OS4が立上がりに同期して期間VだけマグネットMgを作動させ、この間シャッタを閉じる。尚、この閉成はスミア防止の為少なくともシャッタが閉じた後最初のシフトパルスが撮像素子IDに供給された直後まで継続されるのが望ましい。本実施例ではシャッタの応答性を考慮して閉成期間をVとしている。
尚、フリップフロップFFは連続モードスイッチSW1のONによりセットされた後、カウンタのリセット(時刻t3)に伴ってリセットされ、シャッタ閉成後に得られたシフト信号に対応する同期信号により再びセットされるので、撮像素子IDへ供給されるべき駆動パルスφ1〜φ3はフリップフロップFFがリセットされている間だけはカットされる。即ちシャッタ閉成後最初のシフトパルスのタイミングが来る迄は撮像素子の駆動は停止されている。これは第3図(b)の如く露出時間Tp’>Vの場合も同様である。従ってシャッタ閉成によって露出時間が制御された受光部での電荷はシャッタ閉成後の同期信号に同期して読み出されるので読み出しのタイミングは常に一定(V)又は、Vの整数倍となり装置全体の同期がとり易い。」(第3頁右上欄第2行目〜同頁左下欄第8行目)と記載されている。
また、訂正拒絶理由通知で引用した先願明細書2(特許異議申立人金子和弘及び溝呂木寛の提出した特願昭57-119064号(特開昭59-10081号公報))には、「この偶数フィールドの読み出し終了に伴ってワンショット29が働き、ヘッドシフト信号が第1図ステッピングモーター駆動回路13に供給されモーター12が所定量だけ回転し、ピニオン11,ラックを介してヘッドは1トラックピッチ分シフトし、次のトラックに対向する。
モーター12が所定量回転するとモーター駆動回路13よりシフト完了信号が出力され、アンドゲート32,33に入力する。この時前記ワンショット29の出力によりフリップフロップ31はセットされているから、ゲート33のみが次の垂直同期信号に同期して開く。
尚、シフト完了信号はこの実施例ではモーター駆動回路13に於てステッピングモーター12への給電が為されている間はローレベル、給電停止中はハイレベルとなる様設定されているものとする。
さて、本発明ではアンドゲート33からのハイレベル信号によりODDタイマーが作動する事により後述の如く、受光部1の電荷情報の内奇数ラインの情報が順次読み出され、奇数フィールド信号として出力されると共に記録ヘッドを介してディスクに記録される。
この様に本発明では、ヘッドシフト完了信号と垂直同期信号とが同期した時に、次の画像の読み出しが開始される点に1つの特徴がある。」(第3頁左下欄第2行目〜同頁右下欄第8行目)と記載されている。
《対比・判断》
本件訂正後の請求項1に係る発明と上記先願明細書1記載の発明とを対比すると、訂正後の請求項1記載のものが「光電変換手段により光電変換された電気的映像信号を撮像系から読み出し出力する出力手段の出力と露出終了後の撮影動作シーケンスにおける電気的駆動とが同時に行われることを禁止するように、前記出力手段の出力が完了するまで、電気的駆動手段の駆動を禁止するよう制御し、前記電気的駆動手段の駆動が停止するまで、前記出力手段の出力を禁止するよう制御する制御手段を有する」のに対して、上記先願明細書1記載のものは、その第3図に示すようにシャッタを閉成するためにマグネットに通電する期間と、撮像素子からの出力パルスφ3’の発生している期間とは重複している。すなわち、先願明細書は露光に関する制御の電気的駆動と出力とが同時に行われている。
したがって、本件請求項1記載の発明は先願明細書1記載の発明と同一とは認められない。
次に、本件訂正後の請求項1に係る発明と上記先願明細書2記載の発明とを対比すると、上記先願明細書2には、撮像手段の受光面の情報を偶数フィールドの信号と奇数フィールドの信号とに分けて、各々別トラックに記録し得る記録システムにおいて記録媒体の記録ヘッドの駆動中は画像情報の出力を禁止し、画像情報の出力中は記録ヘッドの駆動を禁止するシステムが記載されているのに対し、本件請求項1記載の発明は電子スチルカメラの露光に関する制御のための駆動を行う電気的駆動手段の制御を対象としており、両者は明らかに相違している。
したがって、本件請求項1記載の発明は先願明細書2記載の発明と同一とは認められない。
よって、本件請求項1記載の発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とすることはできない。
(2)訂正後の請求項2に係る発明について
訂正後の請求項2は訂正後の請求項1の従属項であるから、同請求項2に係る発明は、上記(1)の理由により、先願明細書1,2と同一であるとはいえず、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とすることはできない。
エ.以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2-4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについての判断
(1)申立人金子和弘は、訂正前の請求項1乃至4に係る発明について、これら発明は、甲第1号証(特開昭57-41083号公報)と実質的に同一と認められるから、特許法第29条第1項第3号乃至は同第2項の規定により特許を受けることができないものであるとの理由により、訂正前の請求項1乃至4に係る特許を取り消すべきであると主張し、訂正前の請求項1乃至3に係る発明についてこれら発明は甲第2号証(特願昭56-215333号(特開昭58-116878号公報)の願書に最初に添付した明細書及び図面)と実質的に同一と認められるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるとの理由により、訂正前の請求項1乃至3に係る特許を取り消すべきであると主張し、さらに、訂正前の請求項1乃至4に係る発明について、これら発明は、甲第3号証(特願昭57-119064号(特開昭59-10081号公報)の願書に最初に添付した明細書及び図面)と実質的に同一と認められるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるとの理由により、訂正前の請求項1乃至4に係る特許を取り消すべきであると主張している。
《甲各号証記載の発明》
▲1▼甲第1号証(特開昭57-41083号公報)には次のような記載がある。
「パルス信号出力回路1のパルス信号が立下がったときレンズ3は一段目の繰出しが終了し、かつこの信号の立下がりでコントローラ7は再びCCD素子8の読出し動作を行い、・・・・。上述計算の間にレンズ3の2段目の繰出しが行われ、その終了によってコントローラ7は再びCCD素子8の出力を読出し、・・・・。」(第4頁左上欄第4行目〜同頁右上欄第1行目)
▲2▼甲第2号証(特願昭56-215333号(特開昭58-116878号公報)の願書に最初に添付した明細書及び図面)には、前記2.ウにおいて先願明細書1として記載した事項が記載されている。
▲3▼甲第3号証(特願昭57-119064号(特開昭59-10081号公報)の願書に最初に添付した明細書及び図面)には、前記2.ウにおいて先願明細書2として記載した事項が記載されている。
《対比・判断》
▲1▼甲第1号証と本件訂正後の請求項1記載の発明とを対比すると、甲第1号証記載のものが、レンズの繰出しが終了するとCCD素子8の出力を読み出しているが、CCD素子8の出力を読み出している時、レンズの繰出しを禁止している記載はないのに対して、本件訂正後の請求項1記載の発明は、光電変換手段により光電変換された電気的映像信号を撮像系から読み出し出力する出力手段の出力と露出終了後の撮影動作シーケンスにおける電気的駆動とが同時に行われることを禁止するように、前記出力手段の出力が完了するまで、前記電気的駆動手段の駆動を禁止するよう制御し、前記電気的駆動手段の駆動が停止するまで、前記出力手段の出力を禁止するよう制御している点で両者は相違しているから、本件訂正後の請求項1記載の発明が甲第1号証と同一であるとも、また、甲第1号証記載のものから容易に発明をすることができたものとも認められない。
▲2▼甲第2号証と本件訂正後の請求項1記載の発明との対比・判断は、前記2.ウにおいて記載したように、同一であるものとは認められない。
▲3▼甲第3号証と本件訂正後の請求項1記載の発明との対比・判断は、前記2.ウにおいて記載したように、同一であるものとは認められない。
なお、訂正後の請求項2に係る発明について、それは訂正後の請求項1の従属項であるから、同請求項2に係る発明は上記請求項1と同様の理由により、同一あるいは当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(2)申立人溝呂木寛は、訂正前の請求項1乃至3に係る発明について、これら発明は甲第1号証(特開昭49-52912号公報)から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨、また、訂正前の請求項1乃至3に係る発明について、これら発明は甲第2号証(特願昭57-119064号(特開昭59-10081号公報)の願書に最初に添付した明細書及び図面))と実質的に同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない旨、さらに、訂正前の請求項1及び3に係る発明について、これら発明は甲第3号証(特願昭57-20994号(特開昭58-138182号公報)の願書に最初に添付した明細書及び図面)と実質的に同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるとの理由により、訂正前の請求項1乃至3に係る特許を取り消すべきであると主張している。
《甲各号証記載の発明》
▲4▼甲第1号証(特開昭49-52912号公報)には次のような記載がある。
「図示されているように、シャッタ52は画像の露出を開始するように駆動されるスイッチ54に応答して作動する。スイッチ54はANDゲート56のような論理制御に接続されており、それはターゲットの走査回路58とレコーダー駆動モータアセンブリ60とに接続されている。・・・
ANDゲート56の出力はシャッタ52を駆動するためにシャッタ52に接続されており、また記録ヘッド65に各々の色彩信号と同期信号を供給する論理回路64にも接続されている。・・・走査回路58は変換器49の読出しを制御する。図示されているように走査回路はモータアセンブリ60に結合されている。ANDゲート56の出力は論理回路64に結合されていてそれが記録ヘッド65に信号を供給するのを可能にする。したがってカセット62のテープギャップ66が変換器49からのデータの読出しに同期している、」(第5頁左下欄第14行目〜同頁右下欄第19行目)「次に信号は論理回路64に供給され、ついで記録ヘッド65によってカセット62のテープに記録される。走査回路58とモータアセンブリ60は結合されているのでテープヘッドの1回転の間に(ギャップ66を除いて)走査回路58は変換器49を完全に走査できる。したがって情報の1フレーム即ち1画像が磁気テープに記録される。・・・ANDゲート56は前の信号がテープに記録されるまでシャッタの作動を排除する。」(第6頁左上欄第12行目〜同頁右上欄第2行目)
▲5▼甲第2号証(特願昭57-119064(特開昭59-10081号公報)の願書に最初に添付した明細書及び図面)には、前記2.ウにおいて先願明細書2として記載した事項が記載されている。
▲6▼甲第3号証(特願昭57-20994号(特開昭58-138182号公報)の願書に最初に添付した明細書及び図面)には次のような記載がある。
「次いで、時刻t4にて、シャッターボタンSHBを更に押下して第2ストローク操作を行うとスイッチSW2がオンとなり、コンパレーターCPへの給電が行われる。一方、第2ストローク操作により、不図示の絞りプリセット機構が作動し、絞りの規制動作が開始されると共にプリセット機構により規制される絞り値が抵抗VR2の抵抗値として調定され、抵抗VR2の抵抗値が増幅器OPの出力に相応した値となった時コンパレータCPハイレベル信号を出力してマグネットMg1を不作動となし、絞りを増幅器OPの出力に相応した値に設定する。又この時ミラーQMもアップする。
今、時刻t5にてコンパレーターCPの出力がハイレベルとなったとするとアンドゲートANは固体撮像素子SMによる画像信号蓄積動作開始と同期してハイレベルを出力しシャッター先幕を走行させ露光動作を開始させる。
即ち、ワンショット回路ONはパルス制御回路PUKからの画像信号蓄積開始信号に同期してトリガーされるため、第3図の如く上述の画像信号蓄積開始周期Tごとにワンショットパルスを送出している。よって時刻t5以後に送出されるワンショットパルス(時刻t6-)に応答してアンドゲートANはハイレベル信号を出力してトランジスタTr3をオンとなし、コンデンサーC1に充電されていた電荷をマグネットMg2に放電しシャッター先幕を走行させ露光を開始する。この様にして露光が開始されると、シャッタ先幕に連動するスイッチSW3がオフとなり、コンデンサC2にはシャッター秒時情報がプリセットされている抵抗VR3を介して充電がなされ、上記シャッター秒時後スイッチング回路STKが反転しマグネットMg3への通電を遮断してシャッター後幕を走行させ露光を終了させる。
一方上述の如く時刻t6にて固体撮像素子SMによる画像信号蓄積動作が開始され、該蓄積動作を一定時間T1(t6〜t8)実行するため、上記シャッター秒時の間(時刻t6〜t7)固体撮像素子上に画像が結像され、画像信号蓄積レベルは、倍シャッター秒時にて調定されることとなる。
この様にして画像信号蓄積動作が終了した後時刻t8〜t9の一定時間T2にて記録制御系RCK内のシフトレジスタに時刻t6〜t8にて蓄積された画像信号(画像信号蓄積レベルはシャッター秒時により調定されている。)が転送され、次の新たな画像信号蓄積動作時点t9〜t12にて記録媒体に記録される。」(第4頁右上欄第15行目〜第5頁左上欄第14行目)
《対比・判断》
▲4▼本件訂正後の請求項1に係る発明と上記甲第1号証記載の発明とを対比すると、上記甲第1号証記載のものは、変換器49から読み出された信号がテープに記録されるまでシャッタの作動を排除しているが、シャッタの作動中に変換器49から信号を読み出すことを禁止する記載はないのに対して、本件訂正後の請求項1に係る発明は、光電変換手段により光電変換された電気的映像信号を撮像系から読み出し出力する出力手段の出力と露終了後の撮影動作シーケンスにおける電気的駆動とが同時に行われることを禁止するように、前記出力手段の出力が完了するまで、前記電気的駆動手段の駆動を禁止するよう制御し、前記電気的駆動手段の駆動が停止するまで、前記出力手段の出力を禁止するよう制御している点で両者は相違しており、それにより、本件訂正後の請求項1に係る発明が電気的映像信号に電気的駆動手段によるノイズが乗ってしまうことがないという効果を奏するものであるから、本件訂正後の請求項1に係る発明は甲第1号証記載のものから当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
▲5▼甲第2号証と本件訂正後の請求項1記載の発明との対比・判断は、前記2.ウにおいて記載したように同一であるものとは認められない。
▲6▼本件訂正後の請求項1に係る発明と甲第3号証記載のものとを対比すると、甲第3号証記載のものは、時刻t4にてシャッターボタンSHBの押下により、絞りの動作およびミラーQMのアップ動作を行い、時刻t6〜t8にてシャッターにより画像信号蓄積動作を行った後、時刻t8〜t9にて蓄積された画像信号を読み出すことが記載されるのみで、本件請求項1に係る発明のように、光電変換手段により光電変換された電気的映像信号を撮像系から読み出し出力する出力手段の出力と露出終了後の撮影動作シーケンスにおける電気的駆動とが同時に行われることを禁止するように、前記出力手段の出力が完了するまで、前記電気的駆動手段の駆動を禁止するよう制御し、前記電気的駆動手段の駆動が停止するまで、前記出力手段の出力を禁止するよう制御していないので、本件訂正後の請求項1に係る発明は甲第3号証と同一であるものとは認められない。
なお、訂正後の請求項2に係る発明について、それは訂正後の請求項1の従属項であるから、同請求項2に係る発明は、上記請求項1と同様の理由により、同一あるいは当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
4.むすび
以上のとおり、本件において請求する訂正は適法であり、また同請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1、2に係る発明の特許について、これを取り消すべき理由は見出せない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電子スチルカメラ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系と、前記撮影光学系により形成された被写体像を電気的映像信号に変換する光電変換手段とを含む撮像系とを有する電子スチルカメラにおいて、
前記電子スチルカメラの露光に関する制御のため駆動を行う電気的駆動手段と、
前記光電変換手段により光電変換された前記電気的映像信号を撮像系から読み出し出力する出力手段と、
前記出力手段の出力と露出終了後の撮影動作シーケンスにおける前記電気的駆動とが同時に行われることを禁止するように、前記出力手段の出力が完了するまで、前記電気的駆動手段の駆動を禁止するよう制御し、前記電気的駆動手段の駆動が停止するまで、前記出力手段の出力を禁止するよう制御する制御手段とを有することを特徴とする電子スチルカメラ。
【請求項2】
前記制御手段は、前記出力手段の出力の完了後に発生する同期信号に同期して、前記電気的駆動手段を駆動するように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子スチルカメラ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を記録する電子スチルカメラに関するものである。
【0002】
本発明は、記録媒体に画像信号を記録するカメラにおいて、高画質の画像記録を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、撮影光学系と、前記撮影光学系により形成された被写体像を電気的映像信号に変換する光電変換手段とを含む撮像系とを有する電子スチルカメラにおいて、前記電子スチルカメラの露光に関する制御のため駆動を行う電気的駆動手段(M2)と、前記光電変換手段により光電変換された前記電気的映像信号を撮像系から読み出し出力する出力手段(110,117)と、前記出力手段の出力と露出終了後の撮影動作シーケンスにおける前記電気的駆動とが同時に行われることを禁止するように、前記出力手段の出力が完了するまで、前記電気的駆動手段の駆動を禁止するよう制御し、前記電気的駆動手段の駆動が停止するまで、前記出力手段の出力を禁止するよう制御する制御手段(119,123)とを有するように電子スチルカメラを構成した。
【実施例】
以下本発明の実施例について添付の図面を参照して説明する。図1a、図1bは本発明に係る電子式写真機(以後カメラと略称する)の外観を示す前方斜視図と上面図である。図においてCaはカメラ本体を示す。1は通常の交換レンズであり、距離調節環、絞り調節環等の通常の写真撮影に必要な調節部が設けられている。3はレンズマウントで交換レンズ1の後端と係合可能に形成されている。レンズマウント開口内に設けられている自動絞り連動レバー4は、交換レンズ側に設けられた絞りレバー2と係合して公知の自動絞り機能を構成するものである。5はファインダー光取り出し用のクイックリターンミラー(以下ミラーと称す)である。カメラ上面のレリーズ釦6と共軸に配された7は、モード切換えリングで、一駒撮り(Sモード)と連続駒撮り(Cモード)の切換えと、レリーズ釦のロックおよび長時間撮影を行なわない場合(後述)のための位置(OFF)へとの切り換えを行なうようになっている。8は例えば液晶のデジタル表示器で構成された、撮影駒数を示す表示器で、磁気ディスクヘ記録を行なうヘッドのトラック位置を示すものである。9はカメラ動作時に磁気ディスクヘの記録を通常どおり行なう場合と、記録を行なわないでヘッドを次の撮影駒へ移す場合とのための記録・非記録切換えスイッチである。すなわち、この切換えスイッチ9を非記録位置(NR)に設定して、レリーズ釦を操作することにより、通常の撮影動作のうちディスクヘの記録だけが行なわれず動作するので任意の駒数に記録ヘッドの位置の移動が可能となるものである。10はシャッター速度設定ダイヤル、11はストロボ装置のシューであり信号授受のための接点11aが設けられている。12は接眼アイピースである。
【0003】
図2、図3は本発明に係るカメラの断面図でそれぞれ水平横断面と垂直縦断面であり、図2は図1aのI-I断面図、図3は図1bのII-II断面視図である。図2では磁気記録ディスク・カセット20(以下単にカセットと略称する)の挿入或いは取出しを行なう状態を示し、図3ではカセット20が挿入され、カメラ本体Caに装着されている状態を示す。図2、bに於いて23は、カセット20を挿入するカセットホルダーでリンク部材22とピン22aによって回動可能に結合されている。リンク部材22は、カメラ本体に軸22bで回動可能に取付けられている。したがってカセットホルダー23は、裏蓋21に配設されたピン21cとの係合によって、裏蓋21の開閉動作に連動して、カメラ本体のカセット収納部24ヘの出し入れが行なわれる。またカセットホルダー23の内側にはカセット20の位置決めばね23aが配設されている。図2の状態からカセットの挿入を行なう場合には、カセットホルダー23内にカセットを挿入し裏蓋21を閉じると、リンク部材22によりカセット20およびカセットホルダー23はディスク駆動軸25の回転軸と平行な方向に移動し、カセット内の磁気記録ディスク20a中央の回転ハブ20bの中心孔がディスク駆動軸25の中心軸25aに嵌合する。このとき、ディスク駆動軸25に設けられた駆動ピン26bは不図示のばねに抗して軸方向に回転ハブによって押し込まれた状態となっている。その後ディスク回転用モーターM1の回転がベノレト26を介して駆動軸25に伝えられたピン25bが移動して回転ハブ20bの小孔の位置にくると前述のばね(不図示)の力によりピンが小孔にはまり込みモーターM1の回転力がディスク20aに伝えられるようになる。また、このカセットの挿入動作時に、裏蓋21に設けられたホルダー押えばね21aはカセットホルダー23の位置決めを、同様に、ハブ押え21bがディスクの回転ハブ20bに係合し駆動軸25に回転ハブを軽く押しつけるようそれぞれ動作し、図3の装着状態となる。なお27はカセット収納部分24へのほこり等の進入を防ぐカバー板で、カメラ本体に回動可能に取付けられており、カセットホルダー23の移動によりカセット挿入時には退避位置へ回動される。以上のようにしてカセットが挿入されると磁気ヘッド30がカセットホルダー23、ディスクカセット20にそれぞれあけられているヘッド挿入孔を通して磁気ディスク20aに接触し磁気記録が可能な状態となる。また逆にカセットの取出しを行なう場合には公知の裏蓋ロック機構(不図示)を解除して裏蓋を開くことによりカセットホルダーが図2に示す状態となり、カセットの取出しが行なえる。図2において28は裏蓋開閉検知ピンであり裏蓋の開閉に連動して電気接点S1を開閉して検知し、たとえば裏蓋の開いた状態では、レリーズ釦を押してもカメラが作動しないようにするなどの動作を行なうためのものである。29は電源電池34収納のための電池収納蓋である。31は固体撮像素子を含む回路基板で、カメラ本体の支持基板19に調整ビス32にて位置調整可能な状態で取付けられている。前記回路基板31に設けられる映像素子はその前面に図示しない色分離フィルターおよび素子の分光感度の補償のための赤外光カットフィルターが配設されている。35は周知の機械駆動電子制御式のフォーカルプレンシャッターで、その前面には、オプチカル・ロウパスフィルタ18が配設されている。オプチカル・ロウパスフィルター18をシャッター前面に配設したのは、フィルター厚によるシャッター効率の低下を防ぐためである、33a、33bは画像信号処理のための電子回路プリント基板である。図2に示す、ミラーボックスの左右に配せられたD1、D2はそれぞれクイックリターンミラー5の動作および自動絞りレバー4の駆動機構部D1とシャッターシャージ機構および磁気ヘッド移動機構の駆動機構部D2の各ブロック(詳細について後述)である。
【0004】
撮影動作前後のファインダー像観察時には、図3に示す様にクイックリターンミラー5(半透鏡およびハーフ・プリズムにても可能である)によって反射された光線は、図3に示す様に周知の如く、スクリーン17に結像し、コンデンサーレンズ16、ペンタプリズム15を介して接眼レンズ13に導かれる。ペンタプリズムと接眼レンズの間には、ファインダーのアイポイントを短かくなるのを防ぐためにファインダー光路ガラス・ブロック14が配せられている。100は被写体の明るさを測定するための公知の受光素子で、たとえばシリコンフォトダイオードなどからなっている。ミラーボックス底部に配置されているモーターM2は、ミラー及び自動絞りを駆動する駆動機構部D1およびシャッターチャージ及び磁気ヘッド移動の駆動をする駆動機構部D2の動力源となるモーターである。D3は磁気ディスク回転機構部である。図4は本発明に係るカメラの主要機構部の斜視図で、ミラー機構、自動絞り機構、シャッターチャージ機構及び磁気ヘッド移動機構の駆動部が含まれる。
【0005】
図4は、撮影動作完了後新たな撮影動作が開始される前の状態を示す。ミラー5を保持するミラー保持板36は左右に付設された回転軸37a、37bで回転自在に支持されており、軸37b側にはガタ取りと姿勢保持のための弱いばね38が掛けられている。39はミラー駆動レバーで、ミラー保持板36に植設されたピン36aと係合する。ミラー駆動レバー39は、前述の自動絞りレバー4と軸40で同軸にそれぞれ回動可能に支持されており、両者の間には、ピン4aとピン39aを介して絞りレバーばね41が掛けられているので、通常の動作では周知の如く軸40を回転中心として両者一体に回動するものである。また、レバー39の一端にはミラースタートの検出用のミラースイッチS2を作動せしめる信号ピン39bが植設され、さらに他端には、ミラー駆動カム45に連動するローラー42が回転自在に設けられている。ミラー駆動レバー39上のピン39cに掛けられているばね43はミラー駆動ばねであり、44a、44bは摺動ブラシ接点で位相検出スイッチ4を構成する。ミラー駆動カム45と一体の歯車46には回転制限爪47が固定されており、回転ストッパー48により時計、反時計両方向の回転共に1回転弱の回転角となるよう設定されている。ミラーの上昇と下降はモーターM2の回転方向によって制限されるもので、図4に示した状態から、モーターM2が反時計(矢印A)方向に回転すると歯車51、歯車50、歯車49を介して歯車46およびミラー駆動カム45も反時計(矢印B)方向に回転する。それに応じて、ミラー駆動ばね43の付勢力によりローラー42がミラー駆動カム45に追従して、ミラー駆動レバー39と自動絞りレバー4は軸40を回転中心にして時計(矢印C)方向に回動する。したがって、自動絞りレバー4の移動に伴って、レンズ1の絞りが所定の絞り径に絞り込まれ、同時にピン36aでミラー駆動レバー39と連動するミラー保持板36が反時計(矢印D)方向に回転しミラー5は像観察位置から撮影位置へと上昇する。ミラー駆動レバー39が時計(矢印C)方向へ回転をスタートすると、ピン39bがミラースイッチS2を押圧する位置からはなれるため、ミラースイッチS2はON状態からただちにOFF状態に切換わる。また、位相検出スイッチ44はミラー5が下降して像観察位置(図4に示す)にある状態ではOFF状態に、ミラー駆動レバー39が時計(矢印C)方向にわずかに回転するとただちにON状態となる。さらにモーターM2が回転をつづけて回転制限爪47がストッパー48に当接する直前、すなわち、ミラー駆動レバー39が回転してミラー5を撮影位置への上昇を完了するわずかに手前で位相検出スイッチ44はON状態から再びOFF状態へと切換わり、回転制限爪47がストッパー48に当接して歯車46の反時計(矢印B)方向への回転が停止するミラー5の上昇完了位置がOFF状態となっている。次に、撮影記録動作が終了後、ミラー5が撮影位置から下降して像観察位置へもどる場合には、モーターM2が時計(矢印Aと反対)方向に、歯車46およびミラー駆動カム45も時計(矢印Bと反対)方向に回転する。カム45の回転は、ローラー42を介してミラー駆動レバー39にミラー駆動ばね43の不勢力に抗して反時計(矢印Cと反対)方向の回転力を与えるので、ミラー上昇の場合とは逆に、ミラー保持板36およびミラー5を時計(矢印Dと反対)方向に回転しミラーを像観察位置に下降する。自動絞りレバー4も像観察位置へと反時計(矢印Cと反対)方向に回転しレンズ1の絞り径は開放状態にもどされる。この時、位相検出スイッチ44は、ミラー上昇の際の動作を逆にたどり、ミラー下降開始直後にOFFからONヘミラー下降完了直前で再びONからOFFへと接続状態を変化する。また、ミラー上昇動作時にONからOFFへと切換ったミラースイッチ接点S2は、ミラー下降が完了する位置で再びOFFからON状態にもどされる。
【0006】
一方モーターM2は、上述のクイックリターンミラー機構および自動絞り機構を駆動する歯車51が取付けられている軸と反対側には同一の回転軸が出されており、ネジ歯車52が固定されている。ネジ歯車52とかみ合うネジ歯車53とでモーターM2の回転は直角方向に変換され54、55、56の歯車と伝わってラック部材57の往復直線運動として伝達される。ラック部材57の一端には、シャッター35のチャージレバー35aに付設されているシャッターチャージピン35bと係合するスライドレバーピン57aが植設されている。図4に示す状態はスライドレバーピン57aがシャッターチャージピン35bを押圧してシャッターチャージが完了したところである。また、歯車53の回転は、歯車55と1体の歯車58により歯車59aに伝えられる。歯車59aの内側にはカム盤59bとコロ60およびクラッチばね61とが組込まれており、一方向回転クラッチを形成している。さらにカム盤59bと同一軸に固定されている歯車62には、これに圧接摺動ずる摩擦ばね63により回転する逆転防止64が対向して設けられており歯車62の回転(矢印J)を阻止するよう設定されている。歯車62と反対側の軸には歯車65が一体に結合されており、この回転は歯車66、軸67を経てネジ歯車68に伝えられる。ネジ歯車68は、磁気ヘッドの移動機構の駆動を行なうよう配せられたもので、上述の一方向回転逆転防止機構によって、一画面の撮影ごとに一方向所定回転角の回転を伝えるよう構成されている。本実施例に示すシャッター35は公知のフォーカルブレーンシャッター機構で先幕と後幕のうち少なくとも先幕の走行開始を電気信号にてトリガーされるタイプのものである。またシャッター35には、後幕走行完了直前でON状態になり、シャッターチャージにより後幕が走行準備位置に移動するとOFF状態となる周知の後幕走行検出スイッチ(以下、後幕スイッチと略す。不図示)が設けられている。
【0007】
図4に示す状態から前述のようにモーターM2がミラー5を上昇するよう反時計(矢印A)方向に回転すると、歯車51の回転が歯車50以下に伝えられるのと同時に、ネジ歯車52によりネジ歯車53が時計(矢印E)方向に回動される。この回転が歯車54、55を経て歯車56の反時計(矢印F)方向の回転として伝えられ、歯車56とかみ合うラック部材57は矢印G方向に移動する。モーターM2のA方向の回転が前述の回転制限爪47とストッパー48で規制される所定の回転角だけ回転すると、ラック部材57の移動に伴ってスライドレバーピン57aはシャッター35が作動可能な退避位置まで移動される。またこの時、歯車58とかみ合う歯車59aも時計(矢印I)方向に回動されるが、前述の一方向回転クラッチの作用によりカム盤59bとの間で摺動され、歯車62に逆転防止爪64がくい込んで歯車65の回転は行なわれない。次に、シャッター35が動作して撮影記録動作が終了してモーターM2が時計(矢印Aと反対)方向に起動され、前記クイックリターンミラー5の下降動作および自動絞り機構の復帰が行なわれると、ネジ歯車53および歯車54は反時計(矢印Eと反対)方向に、歯車55、56、58は時計(矢印Fと反対)方向にそれぞれ回動する。この時、シャッターチャージレバー35aは、シャッター幕の走行終了によってH方向に回動した位置にあるので、歯車56の時計(矢印Fと反対)方向の回転を受けて、ラック部材57が矢印Gと反対方向に移動されると再びスライドレバーピン57aとシャッターチャージピン35bが当接し、シャッターの走行力がチャージされ、図4に示す状態へと復帰される。同時にモーターM2の時計(矢印Aと判定)方向の回転は、歯車58を経て歯車59aにJ方向の回転として伝えられる。この場合には歯車59a、カム盤59b、コロ60、クラッチばね61で構成されるクラッチ機構はくさび効果により一体となって回転し、逆転防止爪64も摩擦ばね63の摩擦力によりピン64aに当接するまで時計(矢印K)方向に回転して歯車62の回転阻止を行なわない。それによって軸67は、クイックリターンミラーが下降動作を行なうようモーターM2が回転する時にのみ一定角度だけ時計((矢印L)方向に回転され、後述の構成によって磁気ヘッドが一画面の記録トラック分だけ送られる。
【0008】
以上図4に示した実施例では、シャッターレリーズが行なわれるとシャッターが動作して撮影、記録が行なわれた後に、クイックリターンミラーの下降時にシャッターチャージと併行して磁気ヘッドの移動が行なわれるよう構成されているが、磁気ヘッドの移動については、ミラー上昇時に行なうようにしてもよい。この場合モーターの回転が逆故、歯車59a、カム盤59b、コロ60、クラッチばね61の一方向回転クラッチ機構および歯車62、摩擦ばね63、逆転防止爪64の逆転防止機構の動作効果が逆回転方向となるよう構成することにより達成できる。さらに軸67の回転方向が矢印Lと逆方向になるが、これもネジ歯車68と、これとかみ合うネジ歯車71のねじれ角を変えることにより以下の構成が同じもので達成可能となる。図5aは図4に示す主要機構部中ヘッド移動機構の駆動部の他の実施例を示す斜視図であり、図5bはその要部断面図である。図4に示す実施例では、レリスー後モーターM2が回転して一画面分の撮影動作が行なわれるごとに、磁気ヘッド移動のための駆動機構(58〜68)が必ず動作するよう設定されているが、図5a、bで示す本実施例では撮影・記録動作がうまく行なえなかった場合に、カメラ本体内の検知機構からの信号や、カメラ本体外からの信号を受けてヘッド移動を行なわないで、再び同一のトラックに再度記録を行なうことを可能にしたヘッド移動機構の駆動部を示す。本実施例と図4に示した実施例との相違点は、図4の実施例ではカム盤59bと歯車65が軸に一体に固定されていたものを、本実施例では係脱可能にしたことにある。図5aに示すように、カム盤59bの反時計(矢印J)方向の回転ピン65bと歯車65aとのかみ合いによって伝えるもので、通常は、ばね70の付勢力によってこの係合が保持されている。歯車65aは、その断面を図5bに示すようにカム盤59bの軸に対して、円周方向、軸方向共に摺動可能に構成されており、プランジャーPLに信号が入力されると可動鉄芯が駆動されて、歯車65aに回転可能にはめ込まれているプランジャー連動レバー69がばね70の付勢力に抗して矢印M方向に動作して、歯車65aとピン65bの係合が解除される。したがって、カメラ本体外部からの操作やカメラ本体内の検知による信号をうけて、プランジャーPLが動作すると、モーターM2の回転が行なわれても軸67は歯車66aに逆転防止爪64の係合をはずすに十分な回転力が与えられないため回転されない。プランジャーPLへの信号は、モーターM2が歯車59aを矢印J方向に回転させるよう回転するスタート時のわずかな時間だけ与えられるよう設定されているので、歯車59aおよびカム盤59bが所定角度だけ回転すると、ばね70の不勢力により歯車65aとピン65bとが再び係合する。本実施例では、歯車59aおよびカム盤59bは、一画面の撮影で360°回転するよう設定されており、歯車65aのピン65bとの係合溝も1箇所となっている。また、上述のようにプランジャーPLが動作して、磁気ヘッドの移動が行なわれない場合には、後述の撮影駒数を示すカウンターへの入力は停止され、表示器8の表示する数値は変化しない。
【0009】
図6は、図1bのIII-III断面視図であって本発明の実施例のカメラの背面から見た断面図であり、図2に示した磁気記録ディスクと平行な平面を示すものである。
図7は、図6に示すヘッド移動機構の一部を部分的に示した斜視図、図8はヘッド移動機構の歯車の動作を示す図である。
【0010】
前述のディスク回転用モーターM1は、カメラの小型化のためにペンタプリズム15の側部で電池34の上部の位置に配されている、尚、円盤形磁気ディスクに同心円状に記録される映像信号を記録または再生する装置においては、装置の互換性も考慮すると、一定の回転周波数(たとえば1800rpmまたは3600rpm)で等速度回転で磁気シート(または磁気ヘッド)が回転することが望ましい。磁気シートを回転する装置において、磁気シートの回転の等速性を乱す要素としては、シートの回転駆動手段(モーター)に加わる負荷の変動と、装置に外部から加わる振動や外力とが考えられ、これらの影響を小さくすることが等速性を高めることにつながる。一方、本発明に係る装置においては、磁気ヘッドの移動による記録トラックの切換え機構、シャッター機構、クイックリターンミラー機構および自動絞り機構等の直接または間接的な駆動をモーターで行なうことにより、速写性やシーケンス動作の確実性が向上することになる。この磁気シートの回転動作とカメラの各機構の駆動動作の2つを1個のモーターで行なおうとすると、モーターが大型化してカメラの様に比較的小型性が要求される装置においては、他の機構や回路部材の配置に制約を与えるばかりでなく、前者の等速回転性に対して後者の負荷変動が悪影響を与えるなどの不都合が生じる。したがって本発明の実施例においては、恒速、高速応答が要求される磁気シート回転用モーターM1と、駆動トルクが主に要求されるカメラ各機構部の駆動用モーターM2とをそれぞれ備えている。また、モーターM1とモーターM2の動作態様も、モーターM2の被駆動部材が撮影シーケンスの進行に応じて起動、停止をくり返すのに対して、モーターM1にて回転される磁気シートは撮影動作中だけでなく、撮影準備動作中にも連続して回転していることが速写性を高めるのに望ましく、両者をそれぞれ別個のモーターで駆動することが得策である。モーターM1にベルト26によって結合されたディスク駆動軸25は定速回転を維持するためのフライホイールの機能を兼ねるための慣性モーメントの大きな材質・形状にて形成されている。89は、ディスク駆動軸25の回転速度と位相を検出して制御するためのセンサーで、たとえば発光ダイオードと光電変換素子からなるフォトカプラーかまたは磁点変化を検知するホール素子などからなっている。したがってディスク駆動軸25の外周には、速度検出パルス発生のために、少なくとも1つ以上の光反射部または磁極が形成されている。図4で示した様に駆動モーターM2の回転は、ネジ歯車68の反時計(矢印L)方向の回転(図4では時計方向回転)として、ネジ歯車71に伝達される。ネジ歯車71と同軸に一体固定された歯車72は、図7および図8に示すような歯先の一部を切欠いた歯車で、歯車73とかみ合う。歯車73は歯車74、ラチェット車78と共にリードネジ77の軸に一体固定されている。このリードネジ77は、その矢印N方向への回転により磁気記録ヘッド30が付設されている支持部材86をガイド軸87に沿って平行移動するためのものである。歯車74にかみ合う歯車75には、リードネジ77のスタート位置から順時撮影を進める場合に回転する方向に抗して逆方向の回転力を与えるばね76がかけられている。ラチェット車78に対しては図7でその斜視図を示すような係止爪79が、軸81に回動可能に支持されており、係止ばね80の力によってラチェット車78の時計方向(矢印Nと反対)の回転を阻止できるよう配設されている。さらに係止爪79のラチェット車と反対側の1端と係合可能な係止解除レバー82が軸85に回動可能に支持されており、係止解除ばね84の力により時計(矢印O)方向に付勢されている。ここで係止解除ばね84の回動力は、係止ばね80の回動力よりも大きく設定されているので、係止解除レバー82が時計(矢印O)方向に回動する場合には一端82aが係止爪79の一端79aを押し係止爪79とラチェット車78の係合をつねに解除する位置に保持される。しかしながら、通常の撮影時には図3に示した様に解除レバー82の先端に付設したカセット検知ピン83がカセット20の外側部と当接して解除レバー82の時計(矢印O)方向への回動が阻止されるので、先端部82aと79aの間には隙間が生じ係止爪79がラチェット車78を係止可能な状態となっている。次に図6と図7で示した磁気記録ヘッド30の記録トラック切換えのためのヘッド移動機構の動作を以下で説明する。前述の如く、カメラの撮影動作シーケンスの所定の動作時(本発明の実施例ではミラー下降およびシャッターチャージ時)にネジ歯車68が一定方向(矢印L方向)に回転しその結果、歯車72は矢印M方向に一定角度(120°)だけ回転する。ここで歯車72はたとえば図8に示す如く歯数総数9歯の歯車を3歯ごとに1歯ずつ等間かくに残した形に、歯車73は歯数10の平歯車で構成されている。歯車72は、ネジ歯車68からの回転力を受けない状態では、図8iの▲1▼の位置にあり歯車73とはかみ合わない状態にある。この時、歯車73は、カメラにカセットが挿入されていない場合には、ばね76によりリードネジ77に送り方向(矢印N方向)と逆の回転力が加えられているのでスタート位置になっている。カセットが挿入されている場合にはラチェット車78と係止爪79の係合が行なわれるので、スタート位置からラチェット車78のある歯数分送られた位置(カセット挿入直後はスタート位置)で係止されている。いま歯車73とラチェット車78の歯数は同一(10歯)に設定されているので、歯車73の位置は、カセットが挿入されているいないにかかわらず、すなわち、スタート位置から送られたラチェット車の歯数にかかわらず図8iの▲1▼の位置にある。次に前述のモーターM2の動作により、ネジ歯車68からの回転を受けると、歯車72は矢印M方向に回転を開始し、図8iの▲2▼の位置で歯車73とかみ合い、さらにiiの▲3▼の位置をへて回転をつづけ所定角度だけの回転を行なう。本発明の実施例では一画面の撮影動作により、歯車72が120°すなわち残された歯で一歯分回転するようモーターM2からのネジ歯車68および71までの歯車の歯数が設定されている。したがって歯72は図8iiiの▲4▼の位置をへて▲1▼’の位置まで回転するが、途中▲4▼の位置で歯車73とのかみ合いがはずれる。歯73は▲4▼の状態では▲1▼の位置から矢印N方向に約45°回転しているが歯車72とのかみ合いが外れると、ばね76の力により矢印Nとは逆の方向に回転する。このときカメラにカセットが挿入されていれば、ラチェット車78が1歯分(36°)をこえて少し回転した位置から逆回転して係止爪79と、ばね80の力により係合して、歯車73およびラチェット車78の歯数1個分だけ回転した位置▲1▼’で停止する。これで一画面分の送り動作が完了し再び▲1▼の状態となる。したがって撮影一駒についてリードネジ77が1/10回転(36°)だけ回転され、磁気記録ヘッドは、リードネジ77のリードピッチの1/10(たとえばリードピッチが1mmの場合には100μ)ずつ移動され、これが記録トラックのピッチ間かくとなる。また上記動作時にカセットが挿入されていない場合や、所定画面駒数撮影後カセットを取り出した場合には、前述のとおりラチェット車78と係止爪79の係合が解除された状態になるので、ばね76のカにより磁気記録ヘッド30の支持部材86はスタート位置へもどされる。88は支持部材がスタート位置にもどった際に当接して、スタート位置を規制するための制限ピンでカメラ本体の支持基板19に調整可能に取付けられている。S3は解除レバー82の一端に当接してカセット挿入の有無による検知ピン83の動作に連動する電気接点で、カセットが挿入されていない場合には解除レバー82の時計(矢印0)方向への回動に応じて、前述の駒数カウンター表示の数値を0にもどすためのものである。このように構成されているので、撮影駒数の如何にかかわりなくカセットの取出しにより磁気記録ヘッドはスタート位置へ復帰しカウンター表示も0となる。本発明装置のように、円盤形磁気記録媒体の複数の記録トラックに順次映像信号を記録していく電子記録式スチルカメラにおいては、磁気ヘッドを移動して記録トラックを切換える機構は、単に、1画面の撮影ごとにトラック位置を所定量(たとえば1トラック)ずつ移動させるだけでなく、複数の磁気シートカセットの交換使用にも対応できるようにすることにより、より有用なものとなる。
【0011】
したがって磁気ヘッドの移動機構は、一画面の撮影動作ごとに、1トラックずつヘッド送りを行なうと同時に、カセットの交換に応じて全記録トラックのうちスタート位置にもどしてそこから再び記録を行なうよう構成することが有効である。
一方、モーター駆動にて磁気ヘッドの移動を行ない、かつ同一のモーターにてカメラの露光に関する諸機構(クイックリターンミラー機構、自動絞り機構、シャッターチャージ機構、オートフォーカス機構等)を駆動する場合には、従来のスチルカメラにモーターを内容した形式に単に周知の磁気ディスク装置のヘッド移動機構を同一のモーターで行なうようにつけ加えただけでは、上記のカセット交換の際のヘッドのスタート位置への復帰を行なうには、カメラの各機構の駆動部との連動もあり非常に複雑なものとなってしまう。またモーターにてヘッド移動機構を逆に動作させるのであるとヘッドの復帰にも時間を要し速写性を損なう欠点を有する。そこで本発明においては、磁気ヘッドの移動機構を、カメラの各機構の駆動用モーターによる駆動を、順方向のみの送りとすると同時に、一画面分の移動が完了するごとに、モーターとヘッド移動機構の係合を断つよう構成したので任意の駒数のトラック位置からヘッドをスタート位置に復帰できるようになった。さらに、ヘッド支持部材をスタート位置方向へ付勢するばねによって復帰させるので、カッセット交換のヘッドの復帰も迅速に行なえる利点も有する。このばねはヘッド移動機構のガタによる位置のばらつきを押えて精度の高いヘッド送りを達成する効果も有するものである。以上本発明に示すようなヘッド移動機構を用いることにより、カメラの各機構部とヘッド移動機構の両者を単一のモーターにて移動することが可能となり、電子記録式スチルカメラを小型に、かつ低コストで製作することができる。
【0012】
次に、レリーズ釦およびモード切換リング部について図9及び図6によって説明する。
図9は図6におけるモード切換リングとレリーズ釦との関係を詳細に示す斜視図である。
図9において、95はモード切換リング7のクリックバネであり、リング7にはモード切換スイッチを構成する摺動ブラシ94aが固定されている。図9に示す状態ではモード切換リング7は一駒撮影モードに設定されておりモード切換リング7を反時計方向に回すとブラシ94aは切換スイッチ基板94b上を摺動し連続駒撮影モードに切換えられる。逆に、図の状態からモード切換リング7を時計方向に回動して(OFF)位置にすると、リングの下側突起7aが軸92に回動可能に支持されている切換レバー91の一端91aと係合し、前記切換レバー91を反時計方向に回動する。それによって、切換レバーの他の一端の91bが、レリーズ釦6の下側切欠部6aに進入しレリーズ釦6の所定ストロークの押下げを阻止する。さらに切換レバーのもう1つの端部に付設されたピン90が図3に示す位置からカセットホルダ23をごくわずか、磁気ディスク20と記録ヘッド30の接触を離す方向に移動する。したがってモード切換リング7を(OFF)位置に設定することにより、レリーズ釦の押下げをロックして不用意なレリーズ釦6の押込みによる撮影の失敗や電力の消費を防ぐだけでなく、カメラ内に円盤形磁気記録媒体を挿入したまま長期間使用しないで放置する場合などに、磁気記録ヘッドと磁気ディスクの吸着及び特に記録媒体が可撓性のシートである場合に該シートの変形をなくして記録の劣化や失敗を防ぐことができる。
【0013】
尚この時、ピン90がカセットホルダ23を押してカセット20を移動させる量は、僅かなものでカセットの有無を判別する検知ピン83および係止解除レバー82とスイッチS3に対して、影響が出ないよう設定されている。93はレバー91の復帰のためのばねでありSモード、Cモードに設定時に切換レバー91を非作動位置に保持する。モード切換リング7をS(一駒撮影)モードおよびC(連続駒撮影)モードに設定して通常の撮影を行なう場合には、図6に示すようにレリーズ釦6の押し下げに連動してスライドレバー96がばね97に抗して下方向に移動する。このとき、所定のレリーズストロークの半ばでレバー96に付設されたピン96aがまず、レディスイッチS4を閉成し、さらにレリーズ釦6を押し込むことによりピン96bがレリーズスイッチS5を閉成する。レディスイッチS4は、撮影動作に入る前に、カメラの露出計回路およびファインダー内表示回路を動作させ、さらにモーターM1による磁気ディスクの予備回転を行なうためのものであり、レリーズスイッチS5の閉成によって、カメラの撮影シーナンスがスタートさせられモーターM2の電源の投入などが行なわれる。
【0014】
S6は、前述の記録・非記録切換スイッチ9に連動する接点であり、S6が開成されると磁気ヘッド30から磁気ディスク20への記録回路が不作動となる。98は切換スイッチ9のクリックばねである。
さて、それでは次に、以上に説明した構成に適用されるシーケンス制御系について以下の図を参照して説明する。
図10は本発明の実施例の動作タイムチャートで、図11は磁気ディスクの回転変動を検出する記録可否信号発生回路ブロックを、図12は主要機構のシーケンス制御回路ブロックをそれぞれ示すものである。本発明のように磁気ディスクを定速回転してトラックの1周に1フィールド分あるいは1フレーム分の画像信号を記録するような装置においては静止画像の撮影を行い撮像素子から磁気ディスクに記録する際記録用ディスクは常に安定回転をしていなくてはならない、それ故、携帯使用される本装置の様な場合にはシャッターレリーズ釦の半押しによりレディスイッチS4がONとなり電源投入された直後モーターM1により磁気ディスクが定速で回転するまでの間のみ記録不可能であるという信号を出していただけでは不充分であり、例えば流し撮りや走行中の車中等で撮影を行った場合には振動が大きな外乱となって仮令1画面記録という短い期間内においてもモーターM1による回転速度の変動が許容値を越える場合が起こり得る。図11に示したブロック図はその様な際にも回転の変動を検出する回路である。以下、図11に示されている2つのジッタ測定回路の役割りについて説明する。まず1フィールド毎ジッタ測定回路においては例えばモーターM1の始動時の如くディスク駆動軸25の回転が未だ定速に達する以前でジッタ量が1フィールド全体に渡って大きな位相誤差のある期間あるいは1フィールド内のある期間までジッタ量を計測し、それを積算していった結果位相誤差が許容値を越えた場合に記録不可信号を発生するもので、この回路を実現するには例えば、ディスクの回転用モーターM1の回転に基いて複数のパルスを発生するパルス発生器89の発生するFG(FrequencyGenerator)信号とカメラに内蔵された同期信号発生回路120から得られるFG信号と略々周波数の等しい周期信号202との位相を比較して、両者の位相差をクロックパルス発生器101から得られる充分周波数の高いクロックを用いてこのクロックの周波数の精度で、位相差をジッタ量として検出するもので、この検出されたクロックを1フィールド毎ジッタ測定回路によって1フィールドに渡って連続してカウントしていき、このカウント数が予じめ決められた数を越えたならジッタが大き過ぎるということで記録可否信号206をNOとして出力するという構成とし、さらにこの1フィールド毎ジッタ測定回路102は1フィールドの開始直後にリセットすることにより1フィールド毎のジッタの大きさを測定することが可能となる。
【0015】
次に、1フィールド内ジッタ測定回路103について説明する。前述した如く携帯使用される本装置の様な場合には仮令、ディスク回転用モーターM1が定速に達した後であっても瞬間的に大きな外乱が加わる可能性があり、その場合にはディスク駆動軸25の1回転内の極く短時間だけに大きな位相の飛びが表われ、この場合には再生時にAFC等では補正しきれず、再生画面が見苦しいものとなってしまう。それ故、1周内でのごく短時間での位相の飛びについてもモニタしてやる必要があり、それを実現する回路がこれであり、1周内での回転変動を検出する為に例えばFG出力を用いたとするとこのFGクロックの周期を毎回測定して、一周期前の周期との時間差をジッタ量として検出してこれが許容値を越えたなら警告信号として出力される構成にすれば良い。そして前記1フィールド毎のジッタ測定回路102の出力と1フィールド内ジッタ測定回路103の出力をOR回路104に入力して、二種類のジッタ測定回路からの警告信号のうち、何れか一つでも出力されたならば記録不可信号を出力する記録可否検出手段を構成する。また記録途中であったとしてもNOの記録可否信号が出力された場合にはトラックは移動することなく同一のトラック上を次の撮影時に再び記録させる様に構成する。なお、上述したジッタの許容値は再生装置のAFC特性によって最適値を決定すれば良い。【0016】
又、上述した二種類のジッタ測定回路は必ずしも両方必要なわけではなく、ジッタを生じる原因によって何れか一方のみの測定回路で充分な場合も考えられる。
次に図10と図12とを参照して本発明の実施例における動作シーケンスの概略を説明する。通常の撮影記録を行なう場合には記録・非記録切換スイッチ9は記録((Rec)位置に設定されS6はONとなる。まずレリーズ釦6に連動するレディスイッチ(SW)S4がONとなり、レリーズ、レディ信号発生回路116より磁気記録系(以下単に記録系と称す)にディスク回転スタート信号204が伝達されモーターM1によりディスクの回転が開始される。前述のようにディスクの回転が定速になり記録ができるようになるまで記録可否信号206がYesにならないのでレリーズ釦6を押してそれに連動するレリーズSW(S5)をONしてもレリーズレディ信号発生回路116よりレリーズ信号208は発生しない。記録可否信号206がYesを発生した後、レリーズSW(S5)をONすることにより、レリーズレディ信号発生回路116がレリーズ信号208を発生する。レリーズ信号208が発生するとモーター駆動タイミング制御回路119がモーター駆動回路121を指令してモーターM2を回転させる。モーター回転方向制御回路122はこの時モーターM2を反時計方向に回転するような信号を発生している。前述の如くモーターM2の駆動によってミラーが上昇を始め、ミラーSW(S2)がOFF、ミラー位相SW44がONする。ミラーSW(S2)はレンズ1から絞り値信号、受光素子100より輝度情報を受けた測光演算制御回路108の測定値をメモリーするための信号を発生する。また、ミラーSW(S2)のON、OFF信号は撮影駒数カウンタ111で計数され撮影駒数カウンター表示112も撮影駒数の表示が行なわれる。108は適正露出を演算してシャッターの後幕を制御する露出演算制御回路であるが、シャッタースピード設定回路113よりマニュアルシャッタータイムを発生することも可能である。シャッタースピード、あるいは絞り値は表示回路114によって、ファインダー内等に表示される。ミラーが上昇を完了するとミラー位相SW44がOFFとなる。この信号に同期して、モーター駆動タイミング制御回路119がモーターM2をストップする。これによってシャッター35をいつ走行させてもよい状態になった訳であるがイメージセンサー31aはこの時点までに不要電荷の排出をしてシャッターの始動に備えなければならない。それは以下に記すように行なわれる。レリーズ信号が発生した直後の垂直同期信号に同期してCCDならばオーバーフローコントロールゲートを制御して不要電荷を排出する,またMOS等の素子であればセンサーのクロック信号を発生して各素子をリセットしていく。それらは、センサータイミング制御回路117の出力信号に基いてイメージセンサー駆動回路110によって行なわれる。また、駆動パルスは駆動パルス発生回路118で発生し、基本となる同期信号は120の同期信号発生回路によって発生している。そしてこの不要電荷排出の状態はシャッター35が開く動作を開始する直前まで続けられる。さて、これでシャッター35はいつ開いてもよい状態になった訳である。この状態をシャッタータイミング制御回路115が検知すると垂直同期信号に同期してシャッターを開く信号をシャッター駆動回路109と露出演算制御回路108、センサータイミング制御回路117に伝える。イメージセンサーは不要電荷排出動作を停止し、シャッターが開き始める。露出演算制御回路108はシャッターの開信号によりシャッターの秒時をカウントし始める。そして、イメージセンサーは完全に露光状態となる。露出演算制御回路108が適正露出を与えるシャッタータイムを演算し、又はシャッタースピード設定回路で設定されたマニュアルシャッタータイムで後幕スタート信号をシャッター駆動回路109に伝達する。後幕がスタートし、走行が完了すると同時に後幕信号が出て露出終了をモーター回転方向制御回路122記録制御信号発生回路123の回路ブロックに伝える。モーターM2回転方向制御回路122は後幕信号発生直後の同期信号によってモーターM2を時計方向に駆動する様にモーター駆動回路121に信号を出力する。更に記録制御信号発生回路123は後幕信号を受け取ると次の同期信号に同期してイメージセンサー内の信号電荷を出力させるのであるが、シャッターの後幕の停止する時のエネルギーがカメラボディ本体に振動となって伝わり、記録系が乱れて記録不可能のような状態になった場合には記録可否信号206がNOを発生しているので信号電荷を発生せずイメージセンサー内に保持しておく。振動が影響を与えないような状態になると206がYesとなり次の同期信号に同期してセンサータイミング制御回路117、センサー駆動回路110を動作させ信号電荷を出力する。イメージセンサーを出た信号はプリアンプ105で増幅され、色信号分離回路106によってR、G、Bの色信号となり、プロセス回路170を通すと黒レベルランプ、波形整形などの処理を加えられて記録映像信号出力201となって記録系に入力される。記録制御信号発生回路123からの記録制御信号205が終了すると同時にモーターM2駆動タイミング制御回路119の出力とモーター回転方向制御回路122よりの回転方向信号とでモーターM2が時計方向に回転を始める。モーターM2はミラーの下降を開始させると同時にシャッターのチャージと磁気ヘッドのトラック移動を行なう。ミラーの下降に伴ってミラー位相SW44がONして、下降完了直前でOFFする。ミラーSW(S2)も今までOFFであったがミラーの下降によってONとなる。ミラーSW(S2)がONして、ミラー位相SWがONからOFFになることによってモーター駆動タイミング制御回路119がモーターの回転を停止させ、レリーズ、レディ信号発生回路116に信号を送りレリーズ信号208をリセットする。モーター回転方向制御回路122は後幕信号の終了とモーター回転終了の次の同期信号によって回転方向を反時計方向になるようにモーター駆動回路121に信号を出力する状態になっている。これによってシャッターシーケンスが終了となり、次のレリーズ信号に備えることとなる。
【0017】
又、上述の露光完了時点でシャッターの後幕走行のエネルギーが停止する時に、ボディに振動となって伝わり、あるいは他の振動が伝わり、記録系が乱れて記録不可能となった状態ではイメージセンサーより記録信号出力を出力せず、記録可能状態となってから出力すると述べたが記録系がすぐに復帰し例えば数WSから十数WS程度で復帰し記録可能となれば、イメージセンサー内の信号電荷は発生する暗電流に上って大きく、S/N比を落すことはないので記録開始信号を出力し記録を行う。しかし、記録系の復帰が遅れて、例えば2フィールド分以上となった場合には、イメージセンサー内に保持されている信号電荷は暗電流によって著しくS/N比が落ちてしまう、そのため後幕信号が発生後予め設定された時間が経過すると記録制御信号205は出力せずにモーター駆動タイミング回路119はモーターM2を駆動してミラーの下降、シャッターチャージをして、シャッターシーケンスを完了してしまう。(なおこの場合には記録をしないのであるから記録ヘッドは送る必要がないため、ヘッド送り禁止信号203が発生して前述の構成によって磁気ヘッドの移動は行なわれず、撮影駒数カウンター信号も発生しない。)この場合は撮影記録が行えなかったのであるから、撮影者に対して警告信号を表示する。なおディスク回転スタート信号204でディスクが始動しディスクの回転が一定になって記録可能となるまでの間も同様に警告信号を表示してレリーズできないことを示す。
【0018】
さて、これまで述べてきた動作シーケンスは通常の撮影記録を行なう場合についてのものであったが、任意の撮影駒数に相当する位置まで磁気記録ヘッドを移動して((すなわち空送りを行なって)その駒数にだけまたはその駒数目以降に記録を行ないたい場合には、記録・非記録切換スイチ9を非記録(N.R)位置に設定することにより可能となる。切換スイッチ9を非記録位置に設定してS6をOFFにすると、レリーズボタンの押圧後、記録可否信号206のいかんに拘わらず、直ちにレリーズ信号が116より発生するよう記録制御信号発生回路123が動作する。更に、ミラー上昇とシャッターの走行が行なわれると同様に記録可否信号206とは無関係に記録制御信号205が出され記録映像信号出力201は発生せずにモーターM2の回転が行なわれシャッターチャージ、ミラーダウン、ヘッドの移動、駒数のカウントが行なわれる。この動作をくり返し任意の駒数まで画像の記録を行なわずに磁気ヘッドを移動した後切換スイッチ9を記録位置Recにもどすことによりその時にカウンター8に表示されるから再び通常の撮影記録ができるようになる。
【0019】
以上本発明によれば、電気的映像信号に電気的駆動手段の駆動によって発生するノイズが乗ることなく、高画質の映像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
(a)本発明装置の一実施例を組込んだカメラ本体の外観を示す前方斜視図
(b)同装置の上面外観図
【図2】
図1aのI-I断面視図
【図3】
図1bのII-II断面視図
【図4】
主要機構部の斜視図
【図5】
(a)図4で示す主要機構部のうちのヘッド移動機構の駆動部の他の実施例を示す斜視図
(b)図5(a)の要部断面図
【図6】
図1bのIII-III断面視図
【図7】
図6図示の磁気ヘッド移動機構の主要部斜視図
【図8】
図6図示の機構の動作を図示した平面図
【図9】
図6図示のモード切換リングとレリーズ釦との関連機構を示す斜視図
【図10】
本発明装置の主要構成要素の動作と制御回路の出力の関係を示すタイミングチャート
【図11】
本発明装置に適用可能な円盤形磁気記録媒体の回転速度制御精度検出回路のブロック図
【図12】
本発明装置の動作シーケンス制御回路のブロック図
 
訂正の要旨 訂正の要旨
(1)明細書の特許請求の範囲を、特許請求の範囲の減縮を目的として下記の通り補正する、
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系と、前記撮影光学系により形成された被写体像を電気的映像信号に変換する光電変換手段とを含む撮像系とを有する電子スチルカメラにおいて、
前記電子スチルカメラの露光に関する制御のため駆動を行う電気的駆動手段と、
前記光電変換手段により光電変換された前記電気的映像信号を撮像系から読み出し出力する出力手段と、
前記出力手段の出力と露出終了後の撮影動作シーケンスにおける前記電気的駆動とが同時に行われることを禁止するように、前記出力手段の出力が完了するまで、前記電気的駆動手段の駆動を禁止するよう制御し、前記電気的駆動手段の駆動が停止するまで、前記出力手段の出力を禁止するよう制御する制御手段とを有することを特徴とする電子スチルカメラ。
【請求項2】
前記制御手段は、前記出力手段の出力の完了後に発生する同期信号に同期して、前記電気的駆動手段を駆動するように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子スチルカメラ。」
(2)明細書の段落【0002】を、特許請求の範囲の補正に伴い以下の通り補正する。
「 【0002】
本発明は、記録媒体に画像信号を記録するカメラにおいて、高画質の画像記録を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、撮影光学系と、前記撮影光学系により形成された被写体像を電気的映像信号に変換する光電変換手段とを含む撮像系とを有する電子スチルカメラにおいて、前記電子スチルカメラの露光に関する制御のため駆動を行う電気的駆動手段(M2)と、前記光電変換手段により光電変換された前記電気的映像信号を撮像系から読み出し出力する出力手段(110,117)と、前記出力手段の出力と露出終了後の撮影動作シーケンスにおける前記電気的駆動とが同時に行われることを禁止するように、前記出力手段の出力が完了するまで、前記電気的駆動手段の駆動を禁止するよう制御し、前記電気的駆動手段の駆動が停止するまで、前記出力手段の出力を禁止するよう制御する制御手段(119,123)とを有するように電子スチルカメラを構成した。
【実施例】
以下本発明の実施例について添付の図面を参照して説明する。図1a、図1bは本発明に係る電子式写真機(以後カメラと略称する)の外観を示す前方斜視図と上面図である。図においてCaはカメラ本体を示す。1は通常の交換レンズであり、距離調節環、絞り調節環等の通常の写真撮影に必要な調節部が設けられている、3はレンズマウントで交換レンズ1の後端と係合可能に形成されている。レンズマウント開口内に設けられている自動絞り連動レバー4は、交換レンズ側に設けられた絞りレバー2と係合して公知の自動絞り機能を構成するものである。5はファインダー光取り出し用のクイックリターンミラー(以下ミラーと称す)である。カメラ上面のレリーズ釦6と共軸に配された7は、モード切換えリングで、一駒撮り(Sモード)と連続駒撮り(Cモード)の切換えと、レリーズ釦のロックおよび長時間撮影を行なわない場合(後述)のための位置(OFF)へとの切り換えを行なうようになっている。8は例えば液晶のデジタル表示器で構成された、撮影駒数を示す表示器で、磁気ディスクヘ記録を行なうヘッドのトラック位置を示すものである。9はカメラ動作時に磁気ディスクヘの記録を通常どおり行なう場合と、記録を行なわないでヘッドを次の撮影駒へ移す場合とのための記録・非記録切換えスイッチである。すなわち、この切換えスイッチ9を非記録位置(NR)に設定して、レリーズ釦を操作することにより、通常の撮影動作のうちディスクヘの記録だけが行なわれず動作するので任意の駒数に記録ヘッドの位置の移動が可能となるものである。10はシャッター速度設定ダイヤル、11はストロボ装置のシューであり信号授受のための接点11aが設けられている。12は接眼アイピースである。
異議決定日 1999-12-15 
出願番号 特願平6-57303
審決分類 P 1 651・ 113- YA (H04N)
P 1 651・ 121- YA (H04N)
P 1 651・ 161- YA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤内 光武乾 雅浩下道 晶久  
特許庁審判長 小林 信雄
特許庁審判官 橋本 恵一
石川 伸一
登録日 1996-10-24 
登録番号 特許第2569450号(P2569450)
権利者 株式会社ニコン
発明の名称 電子スチルカメラ  
代理人 渡辺 隆男  
代理人 渡辺 隆男  

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