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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1010404
異議申立番号 異議1999-73836  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-06-20 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-10-12 
確定日 2000-01-27 
異議申立件数
事件の表示 特許第2881395号「資料提示装置」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2881395号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1.本件に係る発明
本件特許第2881395号(平成7年12月5日出願、平成11年2月5日設定登録、請求項の数2)に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1,2に記載された次の(1)(2)に掲げるとおりのものである。
(1)請求項1に記載された発明(以下「本件発明」という。)
「資料台に載せられた立体形状の資料に対して、資料の左右から外部照明の光を当て、外部照明の光により照らし出された資料を撮像カメラで撮像し、撮像カメラの映像信号を表示装置へ送り、資料の画像を画面表示する資料提示装置において、
一端は前記撮像カメラを支持し、他端は前記資料台の隅に取り付けられたアームを具備するとともに、
前記資料台は、平板状に形成されていて、
前記外部照明は、前記資料台の左端から右端にほぼまたがる長さになっていて、資料に対して左右から光を照射し、前記アームに取り付けられていることを特徴とする資料提示装置」
(2)請求項2に記載された発明
「前記外部照明は、前記アームに回動可能に取り付けられ、回動により外部照明はその長さ方向をアームの長さ方向と一致させた姿勢でアームに収納されることを特徴とする請求項1記載の資料提示装置」
2.特許異議申立の理由及び証拠の概要
これに対して、本件特許異議申立人は、次に掲げる証拠(1)(2)(3)を提出し、本件特許請求の範囲の請求項1に記載された発明は、下記(1)(2)に記載された発明から、請求項2に記載された発明は、下記(1)(2)(3)に記載された発明から、容易になされたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反するものである。したがって、本件特許請求の範囲の請求項1,2に記載された発明に係る特許を取り消すべき旨主張している。
(1)甲第1号証(特開平5-89232号公報)
(2)甲第2号証(特開平7-298103号公報)
(3)甲第3号証(実公平5-35656号公報)
3.甲第1,2,3号証に記載された発明
(1)甲第1号証に記載された発明
原稿台上に載せられた被写体を撮像してモニタ装置上に表示するための画像入力装置であって、
図1及び第2頁右欄段落【0008】の説明によれば、原稿台1に載せられた機体を撮像装置3で撮像し、その画像情報をモニタ装置Mで表示する構成で、アーム4は、一端は撮像装置3を支持しており、他端は原稿台1の隅に取り付けられ、
照明装置2は、左右から原稿台1を照明する構成となっており、右側の照明装置2は、アーム4に取り付けられ、さらに、原稿台1は平板状である画像入力装置
(2)甲第2号証に記載された発明
載置台上に載せられた被写体を撮像してビデオモニタ上に表示するための画像入力装置であって、
図10によれば、この画像入力装置は、載置台7とカメラヘッド9を有しており、載置台7の隅に一端を取り付けられた支柱12の他端には、支持ベース11、パンベース10、支持手段8を介してカメラヘッド9が取り付けられ、さらに、載置台7は平板上であり、また、画像入力装置にはビデオモニタ3が接続され、載置台7上の被写体をカメラヘッド9で撮像し、その画像情報をビデオモニタ3で表示し、
第11頁段落番号【0096】及び【0097】の記載よれば、照明装置67は、載置台の各側面に設けられた4つの固定穴68のいずれにも装着することができる画像入力装置
(3)甲第3号証に記載された発明
原稿載置面にセットされた原稿を撮像ヘッドで撮像してビデオ信号を出力する画像入力装置であって、
第2頁右欄第44行〜第3頁左欄第25行及び第1図によれば、アーム6の一端には、照明灯5が回動可能に取り付けられ、
第2図から明らかなように、照明灯5を回動させることにより、照明灯5はその長さ方向をアーム6の長さ方向と一致させた状態でアームに収納される画像入力装置
4.本件発明と甲第1,2,3号証に記載された発明との対比判断
そこで、本件発明と甲第1,2,3号証に記載された発明とをそれぞれ対比して、検討する。
(1)甲第1号証に記載された発明(以下「甲第1号証の発明」という。)と本件発明とを対比すると、
「外部照明」が、本件発明においては「資料台の左端から右端にほぼまたがる長さになっていて、資料に対して左右から光を照射し、アームに取り付けられている」のに対して、甲第1号証の発明においては「資料台の前端から後端にほぼまたがる長さになっていて、資料に対して前後から光を照射し、アームに取り付けられている」点で相違し、その他の点においては一致する。
そこで、上記相違点を検討すると、甲第2号証に記載された発明には、「外部照明」を「資料台の左端から右端にほぼまたがる長さになっていて、資料に対して左右から光を照射する」ことは記載されているが、この「外部照明」は「アーム」に取り付けられていないものである。
したがって、甲第1号証の発明における「アームに取り付けられた外部照明」を「資料台の左端から右端にほぼまたがる長さになっていて、資料に対して左右から光を照射する」ことは、甲第2号証には記載されてなく、甲第2号証に記載された「外部照明」を甲第1号証の発明に適用しても、本件発明をすることはできないと認められる。
(2)甲第2号証に記載された発明には、本件発明における「外部照明」を「アームに取り付けること」が記載されていない。
(3)甲第3号証に記載された発明は、上記(1)と同じことがいえる。
(4)そして、本件発明は、「外部照明は、資料台の左端から右端にほぼまたがる長さになっていて、資料に対して左右から光を照射し、アームに取り付けられていること」により、
「資料1の左右に外部照明3と4を配置しているため、資料1の左右にて作業、例えばペンで資料1に書き入れる作業をするときに外部照明3,4が作業の邪魔になる。」という問題点を解決し、
「資料の左右にて作業をするときに外部照明が邪魔をすることはない。」という効果を奏するものである。
したがって、本件発明は、甲第1,2,3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
5.本件特許請求の範囲の請求項2に記載された発明
本願請求項2に記載された発明は、本願請求項1に記載された発明を引用するものであるから、この発明についても上記4と同じ理由で、甲第1,2,3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
6.特許異議申立人の主張について
ところで、特許異議申立人は、本件発明は、甲第1号証に記載された画像入力装置における照明装置の位置を、甲第2号証の記載に基づいて単に変えたにすぎず、当業者であれば容易に発明できたものである旨主張している。
しかし、甲第2号証には、本件発明における「外部照明」を「アームに取り付けること」が記載されていないので、上記4で対比判断したとおりのことがいえる。
また、一般に「照明」は、前後左右のいずれかの一方向から行えるとしても、資料提示装置の画像入力手段であるカメラを支持するアームに照明を取り付け、さらに、この照明を左右から行うことは甲第1,2,3号証には記載されていないし、示唆もされていないといえる。
したがって、本件発明は、上記4で対比検討したように、甲第1,2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものとは認められない。
なお、本願請求項2に記載された発明については、上記5のとおりである。
7.むすび
以上のとおりであるから、本件特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件特許第2881395号の特許請求の範囲の請求項1,2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1,2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 1999-12-22 
出願番号 特願平7-316702
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 関谷 隆一  
特許庁審判長 谷川 洋
特許庁審判官 橋本 恵一
小池 正彦
登録日 1999-02-05 
登録番号 特許第2881395号(P2881395)
権利者 横河プレシジョン株式会社
発明の名称 資料提示装置  
代理人 渡辺 隆男  

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