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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効としない B29C
管理番号 1012020
審判番号 審判1999-35110  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-03-07 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-03-12 
確定日 2000-01-14 
事件の表示 上記当事者聞の特許第2678133号発明「管ライニング工法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 (1)本件特許第2678133号は、平成5年8月31日に出願され、平成9年7月25日に設定登録(請求項の数2)されたものであって、その請求項1、2に係る発明は、特許異議の申立てに基いて訂正された特許明細書の特許請求の範囲請求項1、2に記載された次のとおりのものと認める。
「請求項1 外表面が機密性の高いプラスチックフィルムで被覆された管状不織布に熱硬化性樹脂を含浸せしめて成る管ライニング材を流体圧によって管路内に反転挿入した後、該管ライニング材を管路内壁に押し付けたまま、これを熱媒によって加熱して該管ライニング材に含浸された熱硬化性樹脂を硬化させるようにした管ライニング工法において、前記管ライニング材を空気圧によって管路内に反転挿入することによって該管ライニング材の先端に取り付けられた温水ホースを管路内に引き込み、管ライニング材の内部に空気圧を作用させたまま水槽内の温水を前記温水ホースを通して管ライニング材の先端に送り、該温水を管ライニング材の先端から流出させるとともに、流出した温水を管ライニング材の後端から温水排出ホースを通して排出して前記水槽に戻し、該温水を再度加熱した後に前記温水ホースを通して管ライニング材の先端に再度送る作業を繰り返すことによって管ライニング材内の底部に先端から後端に向かう温水の循環的な流れを形成し、この温水の循環的な流れによって管ライニング材を加熱してこれに含浸された熱硬化性樹脂を硬化させるようにしたことを特徴とする管ライニング工法。
請求項2 空気圧が作用する前記管ライニング材の内部に複数の浮子を螺旋状に巻き付けて構成される浮子付きホースを挿入し、該浮子付きホースから水又は温水をシャワリングして管ライニング材の硬化発熱を制御することを特徴とする請求項1記載の管ライニング工法。」
(2)請求人は、本件特許の請求項1、2に係る発明(以下、本件発明という。)は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は無効とすべきであると主張して、甲第1号証(特開昭63-286324号公報)、甲第2号証(特開昭64-47528号公報)、甲第3号証(特公昭55-43890号公報)、甲第4号証(特開平4-336229号公報)、甲第5号証(特開昭62-87757号公報)、甲第6号証(特開昭64-58525号公報)、甲第7号証(特開平1-110125号公報)及び甲第8号証(特開昭63-254026号公報)を提出しており、被請求人は、請求人の主張は理由がないものである旨答弁している。
(3)甲第1号証には、両面を気密的にフィルムコーティングした可撓性の樹脂吸収材より成るチューブ状のライナーを管路内に挿入するとともに、管路内周面に流体圧で押圧し、この状態を保ったまま該ライナーの前記樹脂吸収材に熱硬化性樹脂を含浸せしめ、その後該硬化性樹脂を硬化させることによって管路内周面に剛性内張管を形成するよにしたことを特徴とする管路補修工法(特許請求の範囲第1項)が記載され、第1、3図とともに、「第1図では注がれた流体の圧力に押されてライナー3は、反転ガイドパイプ4のガイド口より反転しつつ押し出され、老朽管1内に図示矢印方向に順次挿入されている。」(第2頁左下欄第4〜7行)、「ライナー3の該密閉末端には、温水ホースライナー14の先端が結合されており、従って温水ホース14は、ライナー3の反転終了時には、老朽管1をほぼ貫通した状態になる。第3図に示されているように、前記温水ホース14は、ボイラー15からの温水を通す温水吐出ホース14aと、適切な位置にて前記反転ガイドパイプ4内に開口し、且つ温水ポンプ16を途中に有して前記ボイラー15に連通し、以て反転ガイドパイプ4内の流体をボイラー15に戻す温水吸入ホース14bとから成っている。前記ライナー3の末端に結合されている温水ホース14(14a)はライナー3との結合部近辺にて温水を吐出するための開口(図示せず)を有している。尚、第3図中の複数の曲線矢印は、複数の開口より吐出される温水の流れを示している。」(第2頁右下欄第14行〜第3頁左上欄第9行)、「上記流体として圧縮空気を用いてもよい。」(第3頁右上欄第5〜6行)、「第3図において、ボイラー15で加熱された流体は、温水吐水ホース14a内を通って先端に達し、先端近傍に設けられた開口から吐出する。このため、反転ガイドパイプ4内の水位は上昇し温水吸入ホース14bの開口位置に達すると、該面付近の流体は、温水ポンプ16により吸引され、ボイラー15内に送られ、加熱され、温水ホース14a内に送られ、その先端付近にて吐出される。液体のこの循環がくり返されるにつれ、ライナー3を老朽管1内壁面に押しつけている流体の温度は上昇し、前記熱硬化性樹脂の硬化が進む。」(第3頁左下欄第6〜16行)、との記載がなされ、
甲第2号証には、可撓性の樹脂吸収材に硬化性樹脂を含浸せしめて成るライナーを流体圧によって管路内に反転させながら挿入し、その後、該ライナーに含浸された前記硬化性樹脂を硬化させて管路内周面にライニングを施す管路補修工法における前記ライナーの反転方法であって、反転済みのライナーを含んで密閉空間を形成し、該密閉空間内に所定圧力のエアーを供給するとともに、反転すべきライナーを気密を保って前記密閉空間内に送り込むようにしたことを特徴とする管路補修工法におけるライナー反転方法(特許請求の範囲第4項)、前記密閉空間の底部に水を封入し、該水に前記ライナーの一部を浮かべるようにしたことを特徴とする特許請求の範囲第4項記載の管路補修工法におけるライナー反転方法(特許請求の範囲第5項)が記載され、
甲第3号証には、硬化性樹脂で含浸され、かっ流体に不透過性の膜で囲続された可擁性の樹脂吸収材質よりなる管を使用して一つの通路の内側に剛性内張り管を形成する方法において、(A)・・・、(B)・・・、ガスおよび液体、又は液体により生ぜしめられる流体圧差により押しこむことにより、該管及び膜が通路内で裏返えしにされつつ前進せしめられるようになし、(C)かくして管状に裏返えしにされた部分の内部で、さらに通路内に向って進行する未だ裏返えしにならない平坦な帯状の管及び膜を液体中に浮遊しうる如く支持し、ついで(D)該裏返えしにされた管状部分が前記流体圧により通路内壁に対して押つけられつつある間に、前記硬化性樹脂を通路壁と同形になるように硬化させる、ことを特徴とする前記通路内に剛性内張り管を形成する方法(特許請求の範囲)が記載され、「複合積層管を反転あるいはローリングするに利用する流体の圧力差は、通常、水又は水及び空気を用いて発生させる。概して管路の直径が小さいときには水のみを用い大きいときには水及び空気を用いる。」(第3欄第14〜18行)、「内張をパイプライン20内に導くのは簡単なことである。第5図に示すように、管30内に液体たとえば水を注入するのである。水は所望に応じ冷却あるいは加温する。冷却するか加温するかは使用する樹脂材料の種類による。」(第4欄第44行〜第5欄第4行)、「第4図には、パイプライン20の出口端を示す。積層管10の裏返しが終了した状態の端部を示す。この図からつぎのことが判る。すなわち、外被管16はその端末の遊動端は閉じていてここに、引き出し用のロープあるいはケーブル44を固着している。ロープ44はまた環流用管46を支える。環流管46はこれを使用して外被管16内に収容中の水の温度を調節し得る。・・・。積層管10内に供給すべき水の量は極めて少なくてよい。しかも、そのためには加圧空気が水面上に圧入されるので,管路20内にあった空気を全部管路に沿い管路端部から確実に排出でき、これにより管路内周面とさや管14の外面間の間隙内に空気がたまりとなって残らないようにすることができる利点を有する。」(第3欄第20〜42行)との記載がなされ、
甲第4号証には、熱硬化性樹脂を含浸し、且つ内面が機密性の高いフィルムで被覆された管状ライニング材を空気圧によって老朽管内で膨張させて老朽管内周面に押圧し、この状態を保ったまま、管状ライニング材にこれの内側から温水をシャワリングして該管状ライニング材に含浸された熱硬化性樹脂を硬化させるようにしたことを特徴とする管路補修工法(特許請求の範囲請求項1)が記載され、
甲第5号証には、名称を「老朽化した管路等の蘇生用ライナー加熱のための温水供給用ボイラー車とその使用方法」とする発明が記載され、第1〜5図とともに、「ライナー内に注水した水を現場の状況により、空気圧縮機、温水ポンプ等の加圧機或いは、圧縮機により圧力水、或いは高圧水のいずれかの力を利用しボイラーを通し加熱水を循環させ、その結果ライナー内に注水した水を更に加熱する」(第2頁右上欄第6〜11行)との記載がなされ、
甲第6、7号証には、管路補修工法における温水の循環系に、水槽に相当する圧力容器21又は温水タンク16を用いることが記載され(甲第6号証の第3頁右下欄第14行〜第4頁左上欄第12行、第4頁右上欄第1〜9行及び第7図、甲第7号証の第3頁左上欄第10〜13行参照)、
甲第8号証には、管路補修工法に関する発明(特許請求の範囲参照)が記載され、第4図とともに「27は浮子を示し、この浮子27は上流側バイパスホース6に取り付けられ、該上流側バイパスホースがさや管2内に浮いた状態を保持し」(第3頁右上欄第18〜20行)との記載がなされていることが認められる。
(4)本件発明と甲第1〜8号証記載のものとを対比すると、同甲号証には、本件発明の構成要件である「管ライニング材内の底部に先端から後端に向かう温水の循環的な流れを形成し、この温水の循環的な流れによって管ライニング材を加熱してこれに含浸された熱硬化性樹脂を硬化させる」ことの記載又はこれを示唆する記載はなされていないものと認められる。
請求人は、本件発明の前記構成事項について、
(イ)甲第1号証記載のものに甲第2号証又は甲第3号証の記載を適用することにより容易になし得る旨主張し、また、(ロ)温水をライニング材内に満たすか否かは反転に用いた流体、熱硬化性樹脂の種類、及び管路経などに関係して決定される事項にすぎないとも主張している。
しかし、甲第1号証記載の熱可塑性樹脂の硬化方法は、温水を管ライニング材内に満たした状態で循環させるものと認められ、甲第2、3号証記載の管ライニング材内の水は、管ライニング材を反転するためのものであって管ライニング材に含浸された熱硬化性樹脂を硬化させる熱媒体として用いるものでないことは明らかであるから、前者に後者を適用して本件発明の前記構成を得ることは、当業者が容易になし得るとはいうことができないものであり、したがって(イ)の主張は採用することができない。また、(ロ)の主張は、証拠に基いてなされていないのでやはり採用することができない。
そして、本件発明は、前記事項を構成要件とすることにより明細書に記載されたとおりの効果を奏し得たものと認められる。
したがって、本件発明は甲第1〜8号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
(5)以上のとおりであるから、請求人が主張する理由及び提出した証拠によっては、本件特許を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-11-15 
結審通知日 1999-11-15 
審決日 1999-11-30 
出願番号 特願平5-216431
審決分類 P 1 112・ 121- Y (B29C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 細井 龍史  
特許庁審判長 小林 正巳
特許庁審判官 喜納 稔
仁木 由美子
登録日 1997-07-25 
登録番号 特許第2678133号(P2678133)
発明の名称 管ライニング工法  
代理人 羽鳥 亘  
代理人 山下 亮一  
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