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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効としない H01R
管理番号 1012024
審判番号 審判1999-35320  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-10-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-06-28 
確定日 2000-01-14 
事件の表示 上記当事者間の特許第2140193号発明「装飾用電灯」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 〔1〕手続の経緯
本件特許第2140193号(以下「本件特許」という。)は、平成2年実用新案登録出願第73415号(平成2年7月11日出願)の特許法第46条第1項の規定に基づく変更出願として特許出願され、特許権の設定の登録がされたものであり、手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
本件特許の出願日:平成2年7月11日
出願公告:平成7年8月23日(特公平7-79032号)
特許法第64条第1項の規定に基づく明細書の補正:平成8年7月22日付け
特許権の設定の登録:平成11年2月12日
特許無効審判の請求:平成11年6月25日
答弁書:平成11年10月12日付け
弁駁書(請求人):平成11年11月11日付け
口頭審理:平成11年11月11日
〔2〕当事者の主張
1.請求人は、「特許第2140193号の特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」(請求の趣旨)ものであって、請求の理由は、「本件特許発明は、甲第1〜3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、平成5年改正前特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第1号に該当し、無効とすべきである。」というにある。
そして、請求人は以下の証拠方法を提出している。
甲第1号証の1:中華民国専利公報第15巻第12期第394〜395頁記載の実用新案出願公告第100521号
甲第1号証の2:上記実用新案出願公告第100521号の全文明細書および図面
甲第1号証の3:上記全文明細書の日本語による翻訳文
甲第2号証:実開昭54-106086号公報
甲第3号証:実公昭43-16382号公報
ほかに、参考資料として、平成11年11月11日付け弁駁書に添付して実公昭46-24080号公報を提出している。
2.一方、被請求人は、「本件審判請求は棄却する、審判の費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」(答弁の趣旨)ものである。
〔3〕本件特許に係る発明
本件特許に係る発明は、明細書及び図面からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のものにある。
「電球と、該電球を組み付ける笠本体と、軸方向一端に前記笠本体を装着する解放部を有するソケット本体とを備え、前記解放部の奥には前記電球のリード線に導電する一対の端子板が組み付けられた装飾用電灯において、前記笠本体は前記電球を囲む笠部と、該笠部の基端側に突出して前記解放部に嵌合する突部とから構成され、前記笠部の奥面には前記電球を該笠部内に支持する凹部が形成され、前記突部には、該突部の先端と前記凹部の奥面とを連通するとともに、前記電球の一対のリード線を一緒に挿入させる貫通孔が形成され、該貫通孔の先端開口には、該先端開口を2分して形成され、前記貫通孔内の各リード線を2分する縦板状の隔壁が形成され、かつ該隔壁の両側面は前記先端開口へ向かうに従い前記両側面相互の間隔が広がるテーパ面とされるとともに、前記突部の先端面の両端部にはそれぞれ面取り部が形成され、各面取り部には前記貫通孔から突出する電球のリード線を突部の側面側に折り曲げて案内し、かつ、前記電球のリード線の大さよりも深い深さを有し、かつ前記ソケット本体に設けられた端子板より幅が狭い幅寸法を有する案内溝が形成されていることを特徴とする装飾用電灯。」
〔4〕請求人の主張する理由
請求人は、本件発明を下記1.のように分説するとともに、甲号各証には、下記2.〜4.の事項が記載されているとし、これを前提として、5.のように主張する。
1.A:電球と、該電球を組み付ける笠本体と、軸方向一端に前記笠本体を装着する解放部を有するソケット本体とを備え、前記解放部の奥には前記電球のリード線に導電する一対の端子板が組み付けられた装飾用電灯において、
B:前記笠本体は前記電球を囲む笠部と、該笠部の基端側に突出して前記解放部に嵌合する突部とから構成され、
C:前記笠部の奥面には前記電球を該笠部内に支持する凹部が形成され、
D:前記突部には、該突部の先端と前記凹部の奥面とを連通するとともに、前記電球の一対のリード線を一緒に挿入させる貫通孔が形成され、
E:該貫通孔の先端開口には、該先端開口を2分して形成され、前記貫通孔内の各リード線を2分する縦板状の隔壁が形成され、かつ該隔壁の両側面は前記先端開口へ向かうに従い前記両側面相互の間隔が広がるテーパ面とされるとともに、
F:前記突部の先端面の両端部にはそれぞれ面取り部が形成され、
G:各面取り部には前記貫通孔から突出する電球のリード線を突部の側面側に折り曲げて案内し、かつ、前記電球のリード線の大さよりも深い深さを有し、かつ前記ソケット本体に設けられた端子板より幅が狭い幅寸法を有する案内溝が形成されている
ことを特徴とする装飾用電灯。
2.甲第1号証:
「電球2と、該電球2を組み付けるプラグ(笠本体)1と、軸方向一端に前記プラグ(笠本体)1を装着する解放部(51)を有するソケット(ソケット本体)3とを備え、前記解放部(51)の奥には前記電球2のリード線20に導電する一対の端子板(53)が組み付けられた装飾用電灯において(本件特許発明の構成要件Aに対応)、前記プラグ(笠本体)1は、その基端側に突出して前記解放部(51)に嵌合するリード線挿入端(突部)10を備え(本件特許発明の構成要件Bに対応)、前記プラグ(笠本体)1には、前記電球2を支持する凹部(図示されていないが、第3図と第4図との関係、ならびに、プラグ1が電球2を支持する構成となっていることを勘案すれば、前記プラグ1に電球支持用の凹部が形成されていることは明白である)が形成され(本件特許発明の構成要件cに対応)、前記リード線挿入端(突部)10には、該リード線挿入端(突部)10と前記凹部の奥面とを蓮適するとともに、前記電球2の一対のリード線20を一緒に挿入させる貫通孔(54)が形成され(本件特許発明の構成要件Dに対応)前記リード線挿入端(突部)10の先端面の両端部にはそれぞれ面取り部(55)が形成され(本件特許発明の構成要件Fに対応)、各面取り部(55)には前記貫通孔(54)から突出する電球2のリード線20をリード線挿入端(突部)10の側面10a側に折り曲げて案内し、かつ、前記電球2のリード線20の大さよりも深い深さを有し、かつ前記ソケット(ソケット本体)3に設けられた端子板(53)より幅が狭い幅寸法を有するV形溝(案内溝)13が形成された(本件特許発明の構成要件Gに対応)装飾電球(装飾用電灯)。」(文中カッコ付きの符号は、請求人が図中に付記したもの)
3.甲第2号証:
「電球1と、該電球1を組み付ける笠付き支持部材(笠本体)3と、軸方向一端に前記笠付き支持部材(笠本体)3を装着する挿入孔(解放部)9を有するソケット本体8とを備え、前記挿入孔(解放部)9の奥には前記電球1の導線(リード線)2に導電する一対の端子板16が組み付けられた装飾用電灯器具(装飾用電灯)において、(本件特許発明の構成要件Aに対応)前記笠付き支持部材(笠本体)3は前記電球1を囲む装飾笠(笠部)4と、該装飾笠(笠部)4の基端側に突出して前記貫通孔(解放部)9に酸合する主柱挿入部(突部)5とから構成され(本件特許発明の構成要件Bに対応)、前記装飾笠(笠部)4の奥面には前記電球1を該装飾笠(笠部)4内に支持する凹部(60)が形成され、(本件特許発明の構成要件Cに対応)前記主柱挿入部(突部)5の先端面の両端部にはそれぞれ面取り部(61)が形成された(本件特許発明の構成要件Fに対応)装飾用電灯器具(装飾用電灯)。」(文中カッコ付きの符号は、請求人が図中に付記したもの)
4.甲第3号証:
「電球1と、該電球1を組み付ける電球受け(笠本体)2と、軸方向一端に前記電球受け(笠本体)2を装着する解放部(70)を有する筒状本体(ソケット本体)3とを備え、前記解放部(70)の奥には前記電球1のリード線1aに導電する一対の電導金具(端子板)5が組み付けられたプッシュインタイプ電球ホルダー(装節用電灯)において(本件特許発明の構成要件Aに対応)、前記電球受け(笠本体)2は、その基端側に突出して前記解放部(70)に嵌合する突部(71)を備え、(本件特許発明の構成要件Bに対応)前記電球受け(笠本体)2には前記電球1を支持する凹部(72)が形成され(本件特許発明の構成要件Cに対応)、前記突部(71)は、該突部(71)の先端と前記凹部(72)の奥面とを連通するとともに、前記電球1の一対のリード線1aを一緒に挿入させる穴(貫通孔)2aが形成され(本件特許発明の構成要件Dに対応)、該穴(貫通孔)2aの先端開口には、該先端開口を2分して形成され、前記穴(貫通孔)2a内の各リード線1aを2分する縦板状のリード線案内部(隔壁)2eが形成され、かつ該リード線案内部(隔壁)2eの両側面は前記先端開口へ向かうに従い前記両側面相互の間隔が広がるテーパ面とされた(本件特許発明の構成要件Eに対応)プッシュインタイプ電球ホルダー(装飾用電灯)。」(文中カッコ付きの符号は、請求人が図中に付記したもの)
5.請求人はこれらを前提として、以下のように主張する(審判請求書第6頁第16行〜同頁末行)。
「本件特許発明と甲第1号証の2に記載された発明とを対比すると、両者は、(イ)笠本体について、前者では笠部および突部から構成されているのに対し、後者では笠部が欠如している(突部のみから構成されている)点、(ロ)両側面をテーパ面とした縦板状の隔壁が、前者では存在するのに対し、後者では存在しない点で相違し、その他の点で一致する。しかし、(イ)の点についてみると、突部のみならず笠部をも備えた笠本体が甲第2号証に開示されており、他方、(ロ)の点については、電球の一対のリード線を分離しやすくすることを目的として、両側面をテーパ面とした縦板状の隔壁が形成された装飾用電灯が甲第3号証に開示されている。すなわち、(イ)、(ロ)いずれの点についても本件特許発明の出願時において周知の技術にすぎず、甲第1号証の2に記載された発明に甲第2号証および甲第3号証に開示された技術内容を加味して本件特許発明を構成することは、当業者にとって容易なことである。また、本件特許発明の効果についても、甲第1号証の2、甲第2号証および甲第3号証に記載のものから予測できる効果を越えるものはない。」
〔5〕当審の判断
1.そこで、請求人の上記請求人の主張について検討する。
甲第1号証には、図面も参酌すれば、「電球2と、該電球2を組み付けるプラグ(笠本体)1と、軸方向一端に前記プラグ(笠本体)1を装着する解放部(51)を有するソケット(ソケット本体)3とを備え、前記解放部(51)の奥には前記電球2のリード線20に導電する一対の端子板(53)が組み付けられた装飾用電灯」の点の記載は認められるが、
▲1▼突部に、該突部の先端と凹部の奥面とを連通するとともに、前記電球の一対のリード線を一緒に挿入させる貫通孔が形成される点、
▲2▼貫通孔の先端開口に、該先端開口を2分して形成され、前記貫通孔内の各リード線を2分する縦板状の隔壁が形成され、かつ該隔壁の両側面は先端開口へ向かうに従い両側面相互の間隔が広がるテーパ面とされる点、
▲3▼突部の先端面の両端部にはそれぞれ面取り部が形成される点、
に関して記載されているものとは認められない。
その他、「笠部」「笠本体」についても明示されていない。
また、甲第2号証には、電球を囲む笠部とこの笠部の基端側に突出した突部とからなる笠本体が開示されている点は認められるが、上記▲1▼〜▲3▼の構成に関しては記載も示唆もない。
さらに、甲第3号証には、隔壁を笠本体内に設けた電球ホルダーが開示されている点は認められるが、上記▲1▼〜▲3▼の構成に関しては記載がない。
なお、請求人は、実公昭46-24080号公報(参考資料)の第1図と第3図には、電球本体2の底面と電線挟接支柱4の頂面との間に、分岐用テーパー溝孔5、5につながる隙間が形成されていて、この隙間は構成要件Dで特定されている事項をすべて具備しているから、「貫通孔」に相当する旨主張する(平成11年11月11日期日の口頭審理における陳述)。
しかしながら、参考資料の第1図には、電球本体2の底面と電線挟接支柱4の頂面との間に僅少な隙間が図示されているようにもみられるが、第4図をみると、甲第3号証の第3図bに示されたものと同様に、隙間が形成されていないものが図示されており(電線挟接支柱4の頂面は電球を嵌合し得る溝3に達している)、甲第3号証及び参考資料には、それら刊行物全体を通じて隙間を設けること、さらに本件発明のような貫通孔を形成した点に関しては何らの言及もない。
2.本件発明は、その構成に基づいて、「笠本体をソケット本体の解放部内に挿入したときに、ソケット本体の内面や端子板とは面取り部の案内溝の両側に位置する面取り部とが接触するのみで、面取り部に折曲げられたリード線とソケット本体の内面及び端子板と接触することがなく、したがって、笠本体をソケット本体内に挿入する際に面取り部に位置するリード線に荷重(リード線を電球から抜き取る方向の引張荷重)が作用することを未然に防止することができ、これによりリード線特に電球への植え付け部の断線を著しく低減することができる。このことは、本発明の装飾用電灯がクリスマスツリー等に使用され、数万個単位で製造されるものであることを考慮すれば、非常に生産性を向させることとなり、非常に有益である。また、本発明の場合、貫通孔の先端側に該先端開口付近のみを2分する縦板状の隔壁が形成され、しかも該隔壁の両側面は先端開口へ向かうに従い前記両側面相互の間隔が広がるテーパ面とされているため、貫通孔に挿入されたリード線は、挿入後期において隔壁のテーパ面に沿って確実に2分される。その結果、本発明によれば、電球の一対のリード線をある程度平行あるいは若干開き加減にしておき、1個の貫通孔に電球の各リード線の先端を挿入するという迅速かつ容易な操作により、リード線を、隔壁にて2分された先端開口からそれぞれ突出させることができる。このことは、前記したのと同じく、装飾用電灯が数万個単位で製造されるものであることを考慮すれば、非常に生産性を向上させることとなり、非常に有益である。」(「発明の効果」の項)という、甲号各証に記載された発明に対して有利な効果を奏するものであると認められる。
3.そうすると、その余について検討するまでもなく、参考資料を考慮しても、本件発明が甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることは到底できない。
〔6〕以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件発明の特許を無効とすることはできない。
また、審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-11-11 
結審通知日 1999-11-11 
審決日 1999-11-18 
出願番号 特願平3-115546
審決分類 P 1 112・ 121- Y (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須原 宏光  
特許庁審判長 青山 紘一
特許庁審判官 長崎 洋一
熊倉 強
登録日 1999-02-12 
登録番号 特許第2140193号(P2140193)
発明の名称 装飾用電灯  
代理人 志賀 正武  
代理人 尾股 行雄  
代理人 鈴木 三義  
代理人 高橋 詔男  
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