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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する C03B
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する C03B
管理番号 1012034
審判番号 審判1999-39012  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1982-08-21 
種別 訂正の審決 
審判請求日 1999-02-12 
確定日 1999-07-05 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第1940224号発明「ガラス板の数値制御切断機」に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第1940224号発明の明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 1.手続きの経緯・請求の要旨
本件審判請求は、特許第1940224号(昭和56年2月10日出願、平成7年6月9日設定登録)の明細書(以下、「特許明細書」という。)を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであり、その訂正の要旨は、次のとおりである。
(ア)特許請求の範囲の中、「前記作業ヘッド支持台に装着された作業ヘッドと、前記ガラス板を切断すべく前記作業ヘッドに取付けられた切断ホイールと、この切断ホイールを前記第1の方向及び第2の方向を含む一の面に於いて回動させるべく前記作業ヘッドに装着された回動装置と、前記作業ヘッド支持台の相対的移動及び切断ホイールの回動夫々を数値制御すべく前記駆動装置及び回動装置に連結された数値制御装置と、前記切断ホイールに前記ガラス板に対する切断圧力を付与すべく前記作業ヘッドと切断ホイールとの間に設けられたシリンダ装置とからなる」を「前記ガラス板を切断すべく切断ホイールを有していると共に、この切断ホイールを前記第1の方向及び第2の方向を含む一の面に於いて回動させるべく回動装置を有しており、更に、前記切断ホイールに前記ガラス板に対する切断圧力を付与すべく切断ホイールに連結された空気圧シリンダ装置を有して、前記作業ヘッド支持台に装着された作業ヘッドと、この作業ヘッドを移動させながら切断ホイールを切断線の形状に沿って方向倣いさせるように、前記作業ヘッド支持台の相対的移動及び切断ホイールの回動夫々を数値制御すべく前記駆動装置及び回動装置に連結された数値制御装置とからなる」と訂正する。
(イ)明細書(昭和63年10月7日付け提出の手続補正書によって全文補正された明細書、以下、訂正前の明細書という)第4頁第15行目から第5頁第9行目「前記作業ヘッド支持台に装着された作業ヘッドと、前記ガラス板を切断すべく前記作業ヘッドに取付けられた切断ホイールと、この切断ホイールを前記第1の方向及び第2の方向を含む一の面に於いて回動させるべく前記作業ヘッドに装着された回動装置と、前記作業ヘッド支持台の相対的移動及び切断ホイールの回動夫々を数値制御すべく前記駆動装置及び回動装置に連結された数値制御装置と、前記切断ホイールに前記ガラス板に対する切断圧力を付与すべく前記作業ヘッドと切断ホイールとの間に設けられたシリンダ装置とからなる」を「前記ガラス板を切断すべく切断ホイールを有していると共に、この切断ホイールを前記第1の方向及び第2の方向を含む一の面に於いて回動させるべく回動装置を有しており、更に、前記前記切断ホイールに前記ガラス板に対する切断圧力を付与すべく切断ホイールに連結された空気圧シリンダ装置を有して、前記作業ヘッド支持台に装着された作業ヘッドと、この作業ヘッドを移動させながら切断ホイールを切断線の形状に沿って方向倣いさせるように、前記作業ヘッド支持台の相対的移動及び切断ホイールの回動夫々を数値制御すべく前記駆動装置及び回動装置に連結された数値制御装置とからなる」と訂正する。
(ウ)訂正前の明細書第8頁第16行目から第9頁第1行目「前述の架台3、支柱台、スライドレール装置5、第1直動台6、スライドレール装置14及び第2直動台15夫々により」を「前述の第2直動台15により」と訂正する。
(エ)訂正前の明細書第10頁第8行目から同頁第9行目「空気圧、油圧等の流体圧により作動するシリンダ装置25」を「空気圧により作動する空気圧シリンダ装置25」と訂正する。
(オ)訂正前の明細書第13頁第14行目から同頁第16行目「架台3、支柱台、スライドレール装置5、第1直動台6、スライドレール装置14及び第2直動台15により」を「第2直動台15により」と訂正する。
(カ)訂正前の明細書第14頁第5行目から第15頁第1行目「前記作業ヘッド支持台に装着されたカッターヘッド24と、ガラス板4を切断すべくカッターヘッド24に取付けられたカッターホイール28と、このカッターホイール28を前記X軸の方向及びY軸の方向を含む一の面に於いて回動させるべくカッターヘッド24に装着された、スプライン装置31及びZ軸サーボモータ30により構成された回動装置と、前記作業ヘッド支持台の相対的移動及びカッターホイール28の回動夫々を数値制御すべく前記駆動装置及び回動装置に連結された数値制御装置(図示せず)と、カッターホイール28に前記ガラス板4に対する切断圧力を付与すべく前記作業ヘッドとカッターホイール28との間に設けられたシリンダ装置25と」を「ガラス板4を切断すべくカッターホイール28を有していると共に、このカッターホイール28を前記X軸の方向及びY軸の方向を含む一の面に於いて回動させるべくスプライン装置31及びZ軸サーボモータ30により構成された回動装置有しており、更に、カッターホイール28に前記ガラス板4に対する切断圧力を付与すべくカッターホイール28に連結された空気圧シリンダ装置25を有して、前記作業ヘッド支持台に装着されたカッターヘッド24と、カッターヘッド24を移動させながらカッターホイール28を切断線の形状に沿って方向倣いさせるように、前記作業ヘッド支持台の相対的移動及びカッターホイール28の回動夫々を数値制御すべく前記駆動装置及び回動装置に連結された数値制御装置(図示せず)と」と訂正する。
2.当審の判断
そこで、これらの訂正事項について検討する。
(1)訂正事項(ア)
訂正事項(ア)は、「ガラス板の数値制御切断機」が「作業ヘッド支持台」と「数値制御装置」を構成として含むこと及びそれらに関連して更に次のような構成を具えることを明らかにするものである。
▲1▼「作業ヘッド」が「作業ヘッド支持台」に装着されていること。
▲2▼「作業ヘッド」が、次のものを有していること。
a.ガラス板を切断するための「切断ホイール」
b.切断ホイールを第1の方向及び第2の方向を含む一の面に於いて回動させるための「回動装置」
c.切断ホイールにガラス板に対する切断圧力を付与するための切断ホイールに連結された「空気圧シリンダ装置」
▲3▼「数値制御装置」が、作業ヘッドを移動させながら切断ホイールを切断線の形状に添って方向倣いさせるように、作業ヘッド支持台の相対的移動及び切断ホイールの回動を夫々を数値制御するために、駆動装置及び回動装置に連結されていること。
そして、この訂正事項(ア)の対象となっている訂正前の特許請求の範囲には、前記「1.(ア)」で摘示したとおり記載があり、この記載を便宜上項分けして示すと、次のようになる。
ア.「前記作業ヘッド支持台に装着された作業ヘッドと、」
イ.「前記ガラス板を切断すべく前記作業ヘッドに取付けられた切断ホイールと、」
ウ.「この切断ホイールを前記第1の方向及び第2の方向を含む一の面に於いて回動させるべく前記作業ヘッドに装着された回動装置と、」
エ.「前記作業ヘッド支持台の相対的移動及び切断ホイールの回動夫々を数値制御すべく前記駆動装置及び回動装置に連結された数値制御装置と、」
オ.「前記切断ホイールに前記ガラス板に対する切断圧力を付与すべく前記作業ヘッドと切断ホイールとの間に設けられたシリンダ装置とからなる」
上記「▲1▼」は上記「ア」と、上記「▲2▼a」は上記「イ」と、上記「▲2▼b」は上記「ウ」とそれぞれ対応しており、それぞれ同一の構成を記述するものである。
また、上記「▲2▼c」は上記「オ」に対応するものであるが、「オ」には、「シリンダ装置」が「空気圧シリンダー」である点については記載がない。しかしながら、これについては訂正前の明細書第10頁第7〜9行(特許公報第5欄第18〜20行)に、「カッターヘッド24は、空気圧、油圧等の流体圧により動作するシリンダ装置25を具えている。」との記載があることから、上記「▲2▼c」の構成の点は訂正前の明細書に記載されていたものである。
更に、上記「▲3▼」は、上記「エ」に対応するものであるが、上記「エ」には、「数値制御装置」が、「作業ヘッドを移動させながら切断ホイールを切断線の形状に添って方向倣いさせる」ように制御する構成の点については記載がない。
しかるに、訂正前の明細書第5頁第17行〜第6頁第7行には、「本発明による数値制御切断機は、ガラス板4を保持装置としてのテーブル1上に固定し、互いに直交する二方向、即ち、X軸の方向及びY軸の方向の直線的な移動により作業ヘッドとしてのカッターヘッド24を移動させながら、前記X軸の方向及びY軸の方向夫々に直交する残りのZ軸方向に配置された制御軸により切断ホイールとしてのカッターホイル28を常に切断線の形状に添って方向倣いさせるようにした切断機である。」との記載があることから、「作業ヘッドを移動させながら切断ホイールを切断線の形状に添って方向倣いさせる」という構成の点も訂正前の明細書に記載されていたものとすることができる。
従って、上記▲1▼〜▲3▼を含む訂正事項(ア)は、願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内において訂正前の発明の構成を減縮するものであり、実質的に特許請求の範囲を拡張し又変更するものではない。
(2)訂正事項(イ)
訂正事項(イ)は訂正事項(ア)により、特許明細書の特許請求の範囲が減縮されたことに応じて、発明の詳細な説明の対応する記載を訂正して、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
(3)訂正事項(ウ)
訂正事項(ウ)は作業ヘッド支持台をX軸の方向及びそれと直交するY軸の方向へ相対的に移動可能とする機構を「架台3、支柱台、スライドレール装置5、第1直動台6、スライドレール装置14及び第2直動台15」より「第2直動台15」に訂正するものであるが、特許明細書第6頁第13行〜第7頁第9行に「このテーブル上方に於いて、機台2により架台3が支柱台を介して架設されている。この架台3の下部に、2組のスライドレール装置5及び5が左右に分けられて配置され、互いに平行に装置されている。これら2組のスライドレール装置5及び5へ第1直動台6が装置されている。この第1直動台6が、テーブル1に対してY軸の方向に移動、即ち運動する。なお、上記スライドレール装置5は、レール本体7とこのレール本体7の上を移動するスライド8とにより構成されている。レール本体7は架台3に固定され、左右の各々のスライド8へは第1直動台6が装着されている。」、第8頁第6〜8行に「Y軸方向に運動する第1直動台6の前面には、当該Y軸方向の運動と直交するX軸の方向に沿ってスライドレース装置14が装置されている」と記載されているように、架台3、支柱台、スライドレール装置5、第1直動台6及びスライドレール装置14は、X軸の方向及びそれと直交するY軸の方向へ相対的に移動可能なものとなっておらず、「作業ヘッド支持台」を「Y軸の方向及び当該X軸の方向と直交するY軸の方向にテーブル1に対して移動可能な」ものとしているのは、「第2直動台15」であるといえるから、この点を明らかにするために、前記訂正前の記載を「第2直動台15」とする訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
(4)訂正事項(エ)
訂正事項(エ)は訂正事項(ア)により、特許明細書の特許請求の範囲が減縮されて、「シリンダ装置」が「空気圧シリンダ装置」とされたことに応じて、発明の詳細な説明の対応する記載を訂正して、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから、明りょうでない事項の釈明を目的とするものである。
(5)訂正事項(オ)
訂正事項(オ)は、訂正事項(ウ)と同じ理由により、「作業ヘッド」を直接的に支持しているのは「第2直動台」であることを明確にするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
(6)訂正事項(カ)
訂正事項(カ)は訂正事項(ア)により、特許明細書の特許請求の範囲が減縮されたことに応じて、発明の詳細な説明の対応する記載を訂正して、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記各訂正事項(イ)〜(カ)も、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてなされたものであって、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。
また、訂正後の特許請求の範囲に記載された事項により構成される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明でもない。
3.むすび
したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第2乃至4項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ガラス板の数値制御切断機
(57)【特許請求の範囲】
切断すべきガラス板を保持するための保持装置と、この保持装置に対して第1の方向及び当該第1の方向と直交する第2の方向に相対的に移動可能な作業ヘッド支持台と、前記保持装置に対する前記作業ヘッド支持台の相対的移動を行なわせるために当該作業ヘッド支持台と保持装置との間に設けられた駆動装置と、前記ガラス板を切断すべく切断ホイールを有していると共に、この切断ホイールを前記第1の方向及び第2の方向を含む一の面に於いて回動させるべく回動装置を有しており、更に、前記切断ホイールに前記ガラス板に対する切断圧力を付与すべく切断ホイールに連結された空気圧シリンダ装置を有して、前記作業ヘッド支持台に装着された作業ヘッドと、この作業ヘッドを移動させながら切断ホイールを切断線の形状に沿って方向倣いさせるように、前記作業ヘッド支持台の相対的移動及び切断ホイールの回動夫々を数値制御すべく前記駆動装置及び回動装置に連結された数値制御装置とからなるガラス板の数値制御切断機。
【発明の詳細な説明】
本発明は、切断ホイールを数値制御により移動してガラス板を切断する数値制御切断機に関する。
円形切断や異形切断を行なうための従来の切断機は、一般的に作業ヘッドとしてのカッターヘッドに装着された切断ホイールとしてのカッターホイールが当該カッターヘッドの移動方向に応じて自由に方向倣いする偏心取付け構造を有している。
このような偏心取付け構造による従来の切断機のカッターホイールの自由な方向倣い方式に於いては、当該カッターホイールの移動速度、即ち切断スピードが速いと、当該カッターホイールに加わる遠心力の作用及びカッターホイールの切断圧力の作用等により、予定する所望の切断線よりカッターホイールが外れてしまい、精確な切断が困難になるという欠点がある。また、前述の従来のカッターホイールは非常に小さい径の円形部分に沿って行なわれる円形切断及び円弧切断において、カッターホイールの方向追従をスムースに行なうことが困難であるという欠点がある。
本発明はこれら従来の切断機の欠点を除去する数値制御切断機の提供を図るものである。
本発明は前記諸点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、切断スピードが速くても或いは曲率の大きい部分の円形切断、円弧切断及びその他の曲線切断を行なう場合でも、カッターホイールが予定する切断線から外れることなく精確にガラス板の切断を行なうことができる数値制御切断機を提供することにある。
また、本発明の目的は、非常に小さい寸法の円形切断、円弧切断及びその他の曲線切断をスムースに、かつ速いスピードで行なうことができる数値制御切断機を提供することにある。もちろん、直角切断、その他自由な角度の交差切断にも効果的な数値切断機を提供することにある。
前記目的は、本発明によれば、切断すべきガラス板を保持するための保持装置と、この保持装置に対して第1の方向及び当該第1の方向と直交する第2の方向に相対的に移動可能な作業ヘッド支持台と、前記保持装置に対する前記作業ヘッド支持台の相対的移動を行なわせるために当該作業ヘッド支持台と保持装置との間に設けられた駆動装置と、前記ガラス板を切断すべく切断ホイールを有していると共に、この切断ホイールを前記第1の方向及び第2の方向を含む一の面に於いて回動させるべく回動装置を有しており、更に、前記切断ホイールに前記ガラス板に対する切断圧力を付与すべく切断ホイールに連結された空気圧シリンダ装置を有して、前記作業ヘッド支持台に装着された作業ヘッドと、この作業ヘッドを移動させながら切断ホイールを切断線の形状に沿って方向倣いさせるように、前記作業ヘッド支持台の相対的移動及び切断ホイールの回動夫々を数値制御すべく前記駆動装置及び回動装置に連結された数値制御装置とからなるガラス板の数値制御切断機によって達成される。
以下、本発明によるガラス板の数値制御切断機の一実施例を図面に基き説明する。
本発明の切断機は、3軸、即ちX軸、Y軸及びZ軸を同時に制御することができる数値制御装置が接続された切断機である。
即ち、本発明による数値制御切断機は、ガラス板4を保持装置としてのテーブル1上に固定し、互いに直交する二方向、即ち、X軸の方向及びY軸の方向の直線的な移動により作業ヘッドとしてのカッターヘッド24を移動させながら、前記X軸の方向及びY軸の方向夫々に直交する残りのZ軸の方向に配置された制御軸により切断ホイールとしてのカッターホイール28を常に切断線の形状に沿って方向倣いさせるようにした切断機である。さて、ガラス板4を置いて保持するためのテーブル1の上で、当該ガラス板4は切断される。このテーブル1は、機台2に水平に装置されている。また、このテーブル1には、ガラス板4の出入時に移動し易いようにエアーフロート装置を装置してもよいのは勿論である。
このテーブル1の上方に於いて、機台2により架台3が支柱台を介して架設されている。この架台3の下部に、2組のスライドレール装置5及び5が左右に分けられて配置され、互いに平行に装置されている。
これら2組のスライドレール装置5及び5へ第1直動台6が装置されている。この第1直動台6が、テーブル1に対してY軸の方向に移動、即ち運動する。
なお、上記スライドレール装置5は、レール本体7とこのレール本体7の上を移動するスライド8とにより構成されている。レール本体7は架台3に固定され、左右の各々のスライド8へは第1直動台6が装着されている。
(1) Y軸運動のサーボ機構
2組のスライドレール装置5及び5の間に、これらスライドレール装置5及び5に沿って、送りネジ装置9が配置されている。この送りネジ装置9にY軸サーボモータ10が接続されている。この送りネジ装置9はボールスクリュウ11とナット12とより構成されている。ボールスクリュウ11は軸受13を介して架台3に固定され、ナット12は第1直動台6に固定されている。もちろんY軸サーボモータ10は架台3に固定され、一般的には、歯車等を介して上記ボールスクリュウ11に接続されている。
(2) X軸運動する構造
Y軸方向に運動する第1直動台6の前面には、当該Y軸方向の運動と直交するX軸の方向に沿ってスライドレール装置14が装置されている。そして、このスライドレール装置14へ第2直動台15が取付けられて、当該第2直動台15はX軸方向に運動する。即ち、この第2直動台15がY軸方向の運動に対して直交するX軸の方向の運動を行なう。
上記のスライドレール装置14は、レール本体16が第1直動台6へ固定され、スライド17へ第2直動台15が装着されている。
尚、前述の第2直動台15によりX軸の方向及び当該X軸の方向と直交するY軸の方向にテーブル1に対して相対的に移動可能な作業ヘッド支持台を構成している。
(3) X軸運動のサーボ機構
第1直動台6の第1図に於ける前方の面には、上記スライドレール装置14に沿って送りネジ装置18が装着されている。この送りネジ装置18は、ボールスクリュウ19とナット20とより構成されている。ナット20は第2直動台15に連結されている。ボールスクリュウ19は軸受21を介して第1直動台6に固定されている。この送りネジ装置18は、特にそのボールスクリュウ19の一端においてX軸サーボモータ22と接続されている。
尚、送りネジ装置9、Y軸サーボモータ10、送りネジ装置18及びX軸サーボモータ22夫々により前記作業ヘッド支持台の前記相対的な移動を行なわせるための駆動装置を構成している。
(4) カッターヘッド
第1図及び第3図に示すように第2直動台15には、作業ヘッドとしてのカッターヘッド24が装置されている。このカッターヘッド24は、本実施例では1個だけ装置されているが、もちろん必要に応じて複数個装置してもよい。カッターヘッド24は、空気圧により動作する空気圧シリンダ装置25を備えている。このシリンダ装置25としては、前述のZ軸の方向に配置された制御軸を構成するピストンロッド26が第3図に於ける上下方向に関する端部から(両端)突出した両ロッドリシンダを使用する。
このピストンロッド26の第3図に於ける下部にはカッターホルダ27が装着されている。このカッターホルダ27の先端に切断ホイールとしてのダイヤモンドのカッターホイール28が回転自在に組付けられている。シリンダ装置25の第3図に於ける上部には、後述するZ軸サーボモータ30より駆動を受けてピストンロッド26を回動させるスプライン装置31が装置されている。
このスプライン装置31は、ピストンロッド26に直結されたスプライン32とスプライン軸受33とにより構成されている。このスプライン軸受33は、べアリング34及び34によりハウジング体35に回動自在に保持されている。さらにこのハウジング体35は、シリンダ装置25に固定されている。そしてスプライン軸受33には歯車36が取付けられている。
このスプライン装置31を駆動するためのZ軸サーボモータ30は、第2直動台15を構成するプレート台37に固定されている。サーボモータ30のシャフトには歯車38が取付けられている。この歯車38とスプライ32の歯車36とがかみ合わされている。
Z軸サーボモータ30により歯車36,38を介してスプライン装置31を回動し、このスプライン装置31を経て、ピストンロッド26及びカッターホルダ27及びカッターホイール28を前記X軸及びY軸の方向夫々を含む一の水平面に於いて回動させる。即ち、カッターホイール28はピストンロッド26を中心に水平回動する。この水平回動は、カッターホイール28を予定切断線に方向倣いさせる動作であるため、±360°範囲で回動するものである。
これらのスプライン装置31及びZ軸サーボモータ30夫々により、カッターホイール28をX軸及びY軸の方向を含む一の水平面に於いて回動させるべくカッターヘッド24に装着された回動装置を構成している。
(5) カッターヘッドの動作
シリンダ装置25を動作させて、ピストンロッド26をガラス板4に向って降下させ、カッターホイール28に切断圧力を与える。この状態でカッターヘッド24を移動させて当該ガラス板4を切断する。必要に応じて、即ち切断すべき線の形状に応じてピストンロッド26を回動させるべくかじ取りしながら前記切断を行なう。
次に、切断完了と同時にピストンロッド26は上昇される。このピストンロッド26の上昇時にもまたカッターホイール28を回動させて、必要な角度の姿勢を保つようにする。
以上から、本実施例によるガラス板4の数値制御切断機は、切断すべきガラス板4を保持するためのテーブル1と、このテーブル1に対してX軸の方向及び当該X軸の方向と直交するY軸の方向に相対的に移動可能な第2直動台15により構成された作業ヘッド支持台と、テーブル1に対する前記作業ヘッド支持台の相対的移動を行なわせるために当該作業ヘッド支持台とテーブル1との間に設けられており、送りネジ装置9、Y軸サーボモータ10、送りネジ装置18及びX軸サーボモータ22により構成された駆動装置と、ガラス板4を切断すべくカッターホイール28を有していると共に、このカッターホイール28を前記X軸の方向及びY軸の方向を含む一の面に於いて回動させるべくスプライン装置31及びZ軸サーボモータ30により構成された回動装置を有しており、更に、カッターホイール28に前記ガラス板4に対する切断圧力を付与すべくカッターホイール28に連結された空気圧シリンダ装置25を有して、前記作業ヘッド支持台に装着されたカッターヘッド24と、カッターヘッド24を移動させながらカッターホイール28を切断線の形状に沿って方向倣いさせるように、前記作業ヘッド支持台の相対的移動及びカッターホイール28の回動夫々を数値制御すべく前記駆動装置及び回動装置に連結された数値制御装置(図示せず)とからなる。
なお、シリンダ装置25は、ピストンロッド26の回動運動に耐える特殊構造、即ち、シール部が容易に損耗しない構造とするのが好ましい。
上記のように構成された本実施例によるガラス板の数値制御切断機は、第1直動台6のY軸方向の運動及び第2直動台15のX軸方向の運動により予定切断線に沿って移動するカッターヘッド24は、さらに、Z軸に関する運動である数値制御による回動を受けてカッターホイール28を強制的に上記予定切断線に方向倣いさせ得る。従って、切断のための進行方向に応じたカッターホイール28の方向倣いが常に確実に、精確に行われる。このため、スピードの速い円形切断、円弧切断、その他曲線切断のときにカッターホイール28に諸種の力が作用しても、精確に方向追従して精確な寸法切断ができる。
また、非常に小さい径の円形切断、円弧切断、曲線切断の場合にも、カッターホイール28がスムースに方向倣いを行ない得、良好なる切断ができる。
特に高スピードで小径の円形切断をするのに適している。
以上に述べた構成から、本発明のガラス板の数値制御切断機は、前記作業ヘッドを数値制御装置からの数値データにより制御しながら移動させ前記ガラス板の切断加工を行なう作業に於いて、当該ガラス板に対する切断ホイールの接触圧力、即ち切断圧力を前記シリンダ装置により、当該切断加工作業に於ける最適な値に対応させることができる。換言すると、前記作業ヘッドの移動に於いて、切断すべきガラス板の面の状態が刻々と変化しても、前記切断加工作業に於ける切断ホイールの接触状態を最適に保つことができ、切断加工線に沿った所望の切断加工作業、即ち正確にムラの無い切断加工作業を安定して行い得る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明によるガラス板の数値制御切断機の正面図、第2図は第1図の切断機の平面図、第3図は第1図の切断機の要部の拡大断面図、第4図は本発明によるガラス板の数値制御切断機の動作説明図である。
1……テーブル、2……機台、3………架台、4……ガラス板、5……スライドレール装置、6……第1直動台、7……レール本体、8……スライド、9……送りネジ装置、10……Y軸サーボモータ、11……ボールスクリュウ、12……ナット、13……軸受、14……スライドレール装置、15……第2直動台、16……レール本体、17……スライド、18……送りネジ装置、19……ボールスクリュウ、20……ナット、21……軸受、22……X軸サーボモータ、24……カッターヘッド、25……シリンダ装置、26……ピストンロッド、27……カッターホルダ、28……カッターホイール、30……Z軸サーボモータ、31……スプライン装置、32……スプライン、33……ベアリング、34……ベアリング、35……ハウジング体、36……歯車、37……プレート台、38……歯車。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第1940224号発明の明細書を、平成11年2月12日付け審判請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正する。すなわち、
▲1▼特許請求の範囲の減縮を目的として、「前記作業ヘッド支持台に装着された作業ヘッドと、前記ガラス板を切断すべく前記作業ヘッドに取付けられた切断ホイールと、この切断ホイールを前記第1の方向及び第2の方向を含む一の面に於いて回動させるべく前記作業ヘッドに装着された回動装置と、前記作業ヘッド支持台の相対的移動及び切断ホイールの回動夫々を数値制御すべく前記駆動装置及び回動装置に連結された数値制御装置と、前記切断ホイールに前記ガラス板に対する切断圧力を付与すべく前記作業ヘッドと切断ホイールとの間に設けられたシリンダ装置とからなる」を「前記ガラス板を切断すべく切断ホイールを有していると共に、この切断ホイールを前記第1の方向及び第2の方向を含む一の面に於いて回動させるべく回動装置を有しており、更に、前記切断ホイールに前記ガラス板に対する切断圧力を付与すべく切断ホイールに連結された空気圧シリンダ装置を有して、前記作業ヘッド支持台に装着された作業ヘッドと、この作業ヘッドを移動させながら切断ホイールを切断線の形状に沿って方向倣いさせるように、前記作業ヘッド支持台の相対的移動及び切断ホイールの回動夫々を数値制御すべく前記駆動装置及び回動装置に連結された数値制御装置とからなる」と訂正する。
▲2▼明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書第4頁第15行目から第5頁第9行目「前記作業ヘッド支持台に装着された作業ヘッドと、前記ガラス板を切断すべく前記作業ヘッドに取付けられた切断ホイールと、この切断ホイールを前記第1の方向及び第2の方向を含む一の面に於いて回動させるべく前記作業ヘッドに装着された回動装置と、前記作業ヘッド支持台の相対的移動及び切断ホイールの回動夫々を数値制御すべく前記駆動装置及び回動装置に連結された数値制御装置と、前記切断ホイールに前記ガラス板に対する切断圧力を付与すべく前記作業ヘッドと切断ホイールとの間に設けられたシリンダ装置とからなる」を「前記ガラス板を切断すべく切断ホイールを有していると共に、この切断ホイールを前記第1の方向及び第2の方向を含む一の面に於いて回動させるべく回動装置を有しており、更に、前記前記切断ホイールに前記ガラス板に対する切断圧力を付与すべく切断ホイールに連結された空気圧シリンダ装置を有して、前記作業ヘッド支持台に装着された作業ヘッドと、この作業ヘッドを移動させながら切断ホイールを切断線の形状に沿って方向倣いさせるように、前記作業ヘッド支持台の相対的移動及び切断ホイールの回動夫々を数値制御すべく前記駆動装置及び回動装置に連結された数値制御装置とからなる」と訂正する。
▲3▼明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書第8頁第16行目から第9頁第1行目「前述の架台3、支柱台、スライドレール装置5、第1直動台6、スライドレール装置14及び第2直動台15夫々により」を「前述の第2直動台15により」と訂正する。
▲4▼明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書第10頁第8行目から同頁第9行目「空気圧、油圧等の流体圧により作動するシリンダ装置25」を「空気圧により作動する空気圧シリンダ装置25」と訂正する。
▲5▼明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書第13頁第14行目から同頁第16行目「架台3、支柱台、スライドレール装置5、第1直動台6、スライドレール装置14及び第2直動台15により」を「第2直動台15により」と訂正する。
▲6▼明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書第14頁第5行目から第15頁第1行目「前記作業ヘッド支持台に装着されたカッターヘッド24と、ガラス板4を切断すべくカッターヘッド24に取付けられたカッターホイール28と、このカッターホイール28を前記X軸の方向及びY軸の方向を含む一の面に於いて回動させるべくカッターヘッド24に装着された、スプライン装置31及びZ軸サーボモータ30により構成された回動装置と、前記作業ヘッド支持台の相対的移動及びカッターホイール28の回動夫々を数値制御すべく前記駆動装置及び回動装置に連結された数値制御装置(図示せず)と、カッターホイール28に前記ガラス板4に対する切断圧力を付与すべく前記作業ヘッドとカッターホイール28との間に設けられたシリンダ装置25と」を「ガラス板4を切断すべくカッターホイール28を有していると共に、このカッターホイール28を前記X軸の方向及びY軸の方向を含む一の面に於いて回動させるべくスプライン装置31及びZ軸サーボモータ30により構成された回動装置有しており、更に、カッターホイール28に前記ガラス板4に対する切断圧力を付与すべくカッターホイール28に連結された空気圧シリンダ装置25を有して、前記作業ヘッド支持台に装着されたカッターヘッド24と、カッターヘッド24を移動させながらカッターホイール28を切断線の形状に沿って方向倣いさせるように、前記作業ヘッド支持台の相対的移動及びカッターホイール28の回動夫々を数値制御すべく前記駆動装置及び回動装置に連結された数値制御装置(図示せず)と」と訂正する。
審決日 1999-06-03 
出願番号 特願昭56-18821
審決分類 P 1 41・ 851- Y (C03B)
P 1 41・ 853- Y (C03B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 足立 法也吉田 敏明  
特許庁審判長 酒井 正己
特許庁審判官 野田 直人
新居田 知生
登録日 1995-06-09 
登録番号 特許第1940224号(P1940224)
発明の名称 ガラス板の数値制御切断機  
代理人 高田 武志  
代理人 高田 武志  

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