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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H01J
管理番号 1012149
異議申立番号 異議1999-72261  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-10-01 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-06-11 
確定日 1999-12-02 
異議申立件数
事件の表示 特許第2835430号「プラズマディスプレイパネル障壁の製造方法」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2835430号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
特許第2835430号に係る発明についての出願は、昭和63年12月19日にした特許出願(特願昭63-321590号)の一部を平成7年10月30日に新たな特許出願としたものであり、平成10年10月9日にその発明について特許権の設定の登録がされたものである。
その後、その請求項1及び請求項2に係る特許について、特許異議申立人松本公成から特許異議の申立てがされた。
II.本件発明
特許第2835430号の請求項1及び請求項2に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載されたとおりのものである。
III.特許異議の申立ての概要
特許異議申立人松本公成は、下記証拠(甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証)を提示し、請求項1及び請求項2に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1及び請求項2に係る特許は取り消すべきものである旨主張している。
記(証拠)
甲第1号証:米国特許明細書第4613560号
甲第2号証:工業調査会発行「電子材料」(1980年5月号)第31頁から第34頁まで「プラズマデイスプレイ用厚膜ペースト材料」
甲第3号証:特開昭61-227344号公報、
甲第4号証:特開昭59-198792号公報、
IV.特許異議の申立てについて
1.甲各号証の記載
特許異議申立人が提示した甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証(以下、総称して「甲各号証」という)には、それぞれ、請求項1及び請求項2に係る発明の構成に関連する事項として、下記の記載がある。
(甲第1号証)
米国特許明細書第4613560号(甲第1号証)には、「感光性セラミックコーティング組成物」(発明の名称)に関し、下記の事項が記載されている。
(ア)「(1)感光性媒体中に分散させることにより、基板に絶縁材料の層を塗布し、(2)活性線をその層に照射し、(3)層の非露光部分を除去すべくパターン現像し、(4)全ての残存した有機材料を除去すべくパターンの残存した露光部分を燃やし、無機材料を焼成する。」(第1欄35行から42行まで)
(イ)「最も好ましく使用されるガラスフリットは、ホウ珪酸ガラスフリット、例えば、鉛ホウ珪酸フリツト、ビスマス、カドミウム、バリウム、カルシウム若しくは他のアルカリ土類ホウ珪酸フリットがある。」(第3欄40行から43行まで)
(ウ)「光開始剤または光開始剤システムは、乾状感光樹脂中に、その総重量に対し0.05〜10重量%存在する。」(第7欄2行から4行まで)
(エ)「Barkley-Askor vacuum printer若しくは集光HTVUV露光器で一部を露光する。」(第14欄7行から8行まで)
(オ)「25μm厚の絶縁層の1層の焼成とその工程の繰り返し、もしくは2層の絶縁フィルムの共焼成により、50μm厚の焼成された絶縁体が得られる。」(第14欄65行から68行まで)
(カ)「二者択一的に、第1絶縁層上に第2層を積層する前に、第1層を露光し、現像はしないでおく。その後、第2層が積層され露光された後に、両者を同時に現像する。」(第15欄4行から8行まで)
(キ)可燃性な感光性セラミックコーテイング組成物」(第23欄2行から3行まで)
(ク)「セラミック固体の微粒」(第23欄5行)
(ケ)「無機バインダの微粒」(第23欄9行)
(コ)「(c)ベースに総無機物を5-25重量%含むバインダ、と、(e)乾状感光性樹脂層の5-45重量%含む光硬化性樹脂の中に溶解した(d)光開始剤システム、と」(第24欄1行から6行まで)
(甲第2号証)
「工業調査会発行「電子材料」(1980年5月号)第31頁から第34頁まで「プラズマデイスプレイ用厚膜ペースト材料」」(甲第2号証)には、「プラズマデイスプレイ用厚膜ペースト材料」に関し、下記の事項が記載されている。
(サ)「ファインラインACプラズマデイスプレイ電極用写真感光性厚膜材料」(第32頁右欄30行から31行まで)
(シ)「この材料はネガテイブホトレジストを有機ビヒクルに入れたものである。図6に(中略)
(1)感光性ペースト(中略)
(2)感光(中略)
(3)デベロップ(中略)
(4)焼成(中略)10分間保つ」(第33頁左欄13行から45行まで)
(セ)図6には「ホトプリンテイングプロセス」が記載されている。(図6)
(甲第3号証)
特開昭61-227344号公報(甲第3号証)には、「放電表示装置の製法」(発明の名称)に関し、下記の事項が記載されている。
(ソ)「スクリーン印刷法により電極又はバリアリブを形成する」(第1頁右下欄14行から15行まで)
(タ)「バリアリブ60は(中略)黒色のガラスペーストを用いる。(中略)所望の高さになるまで数層の重ね印刷を行う。(中略)バリアリブを同時に焼成して面板20ができあがる。」(第2頁右下欄7行から19行まで)
(甲第4号証)
特開昭59-198792号公報(甲第4号証)には、「厚膜ファインパターン回路の製造方法」(発明の名称)に関し、下記の事項が記載されている。
(チ)「(1)ベース材料上に感光性樹脂被膜を積層する工程と、(中略)(6)所定の厚みが形成され、パターン露光された感光性樹脂被覆層を現像処理する工程と、(中略)厚膜ファインパターン回路の製造方法」(第1頁左下欄7行から右下欄13行まで)
(ツ)「導体間の間隔に比して導体厚が大幅に厚いような厚膜のファインパターン回路を製造することのできる新規な方法を提供する」(第2頁右上欄9行から11行まで)
(テ)「T1020(厚さ50μm)(中略)液状の感光性樹脂も使用できる。」(第3頁左上欄3行から7行まで)
(ト)「このような、(中略)繰り返し実施する。」(第3頁右上欄19行から左下欄2行まで)
2.対比・判断
2-1.請求項1に係る発明
請求項1に係る発明と甲各号証に記載された発明とを対比すると、請求項1に係る発明の下記の構成(以下「構成A」という)は、甲各号証のいずれにも記載されておらず、また、甲各号証に記載された事項を組み合わせることにより導き出すこともできない。
記(構成A)
「ガラス基板上にコーテイングしたコーテイング層の非障壁部をマスクして露光処理を行い、コーテイング層を現像処理して露光処理によって硬化した障壁をパターニングしてプラズマデイスプレイパネルの障壁を形成すること」
そして、請求項1に係る発明は、上記構成Aにより、特許明細書に記載された「細い幅のパターニングおよび(中略)高アスペクト比のパターニングが可能となった。(中略)フォトリソグラフィー法を用いるため印刷法のようなメッシュ原版の制約を受けず大画面化対応も可能となった」(特許明細書[0010]欄、特許掲載公報第3頁左欄7行から12行まで)との効果を得るものである。
したがって、請求項1に係る発明は上記甲各号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、とすることはできない。
(甲各号証の記載及び組合せ)
請求項1に係る発明は、「本発明の目的は、上記従来技術(厚膜印刷法による障壁の形成方法)の問題点を解決することであって、即ち、細幅の障壁が確実に形成可能でかつ、今後の大画面化にも対応できるプラズマデイスプレイパネル障壁の製造方法を提供することにある」(特許明細書[0004]欄、特許掲載公報第2頁左欄27行から31行まで)ことを目的とし、上記構成Aを採用したものである。
これに対して、甲第1号証には「感光性媒体中にセラミックを分散した感光性塗布組成物を用い、これを基板に塗布し、露光し現像し焼成する工程」は記載されているものの、この工程は「多層厚膜回路(multilayer thick film circuit)の製造」に適用されるもので、この工程を「プラズマデイスプレイパネルの障壁の製造に適用すること」は記載されていない。
甲第2号証には、「導電フェース、無機バインダ及び感光性ビヒクルからなる感光性ペーストをガラス基板に印刷乾燥し、ホトマスクを透して紫外線を照射して感光させ、感光していない部分を除去し、焼成する工程」は記載されているものの、この工程は「ファインラインACプラズマデイスプレイの電極の製造」に適用されるもので、この工程を「プラズマデイスプレイパネルの障壁の製造に適用すること」は記載されていない。
甲第3号証には、放電表示装置のバリアリブを製造する方法が記載されてはいるものの、その方法は「黒色のガラスペーストを用い所望の高さになるまで数層の重ね印刷を行い、バリアリブを焼成する」ものであってあくまでもスクリーン印刷法を基本としスクリーン印刷法を改良したものにすぎない。また、スクリーン印刷法に代わる方法に関する記載や示唆はない。
甲第4号証には、「ベース材料上に感光性樹脂被膜を積層し、この被膜をパターン露光し、この積層とパターン露光を繰返し、所定の厚みに形成されたパターン露光された被覆層を現像処理する工程」は記載されてはいるものの、この工程は「厚膜ファインパターン回路の製造」に適用されるもので、この工程を「プラズマデイスプレイパネルの障壁の製造に適用すること」は記載されていない。
ここで、甲第1号証及び甲第4号証には、「プラズマデイスプレイパネルの障壁に適用すること」が記載されていないことから、これらと他の甲各号証と組み合わせても上記構成Aを導き出すことはできない。
また、甲第2号証にはバリアリブの製造に関する認識がないことと、甲第3号証にはスクリーン印刷法に代わる他の製造方法についての認識はないこととを併せ考えると、これらを組み合わせても上記構成Aを導き出すことはできない。なお、上記構成Aを導き出すことができたとしても、さらに、スリップが「セラミック粉末100重量部に対して紫外線硬化樹脂を20〜100重量部含む」ことまで導き出すことはできない。
以上のように、甲各号証に記載された事項を組み合わせることにより上記構成Aを導き出すことはできない。
2-2.請求項2に係る発明
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明を引用してさらに限定したものであり、そして、請求項1に係る発明についての判断は上記のとおりである。
したがって、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明についての上記判断の理由と同じ理由により、上記甲各号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、とすることはできない。
2-3.まとめ
以上のとおり、請求項1及び請求項2に係る発明は、いずれも、特許異議申立人が提出した甲各号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、とすることはできない。
3.申立人の主張
なお、特許異議申立人は、
「しかしながら、甲第2号証から明らかなとおり、プラズマデイスプレイパネルを製造するにおいて、無機バインダを含んだ感光性ペーストを用いてフォトリソグラフィ工程を施すことは、従来から行われていたことである。
さらに、甲第3号証から明らかなとおり、プラズマデイスプレイパネルの障壁を製造するにおいて、所定高さにするために、積層工程を繰り返して行うことも従来から行われてきたことである」(特許異議申立書第6枚目の用紙第18行から第23行まで)
と主張する。
しかし、上記「IV.特許異議の申立てについて
2.対比・判断2-1.請求項1に係る発明
(甲各号証の記載及び組合わせ)」の欄において述べたとおり、「障壁の製造においてフォトリソグラフィ工程を施すこと」は、従来から行われてきたことであるとは言えない。
また、
「本願発明での(中略)配合比は、あまりに広く、(中略)当たり前な量であるので、何ら特定したことにならない。(中略)進歩性を有するものでない」(特許異議申立書第6枚目の用紙第39行から第7枚目の用紙第7行まで)
と主張する。
しかし、請求項1に係る発明の配合比は単なる組成物としての配合比ではなく、プラズマディスプレイの障壁の材料としての配合比を限定したことに意義があるから、何ら特定したことにならないとの趣旨の主張は当たらない。
これらから、特許異議申立人の上記主張は採用することができない。
IV.むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1及び請求項2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1及び請求項2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定をする。
 
異議決定日 1999-10-29 
出願番号 特願平7-306741
審決分類 P 1 652・ 121- Y (H01J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 向後 晋一張谷 雅人  
特許庁審判長 新宮 佳典
特許庁審判官 渡邊 聡
島田 信一
登録日 1998-10-09 
登録番号 特許第2835430号(P2835430)
権利者 株式会社住友金属エレクトロデバイス
発明の名称 プラズマディスプレイパネル障壁の製造方法  
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