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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61B
管理番号 1012325
異議申立番号 異議1998-74840  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1989-10-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-09-28 
確定日 2000-01-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2736651号「眼底カメラ」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2736651号の特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2736651号の発明は、昭和63年4月22日の出願であって、平成10年1月16日にその設定登録がなされ、その後、申立人 株式会社 トプコンより特許異議申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年2月19日に訂正請求がなされた後、訂正拒絶理由が通知され、訂正拒絶理由通知に対して平成11年9月27日付けで手続補正書が提出されたものである。
2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正請求に対する補正
特許権者は、訂正請求書に添付された訂正明細書について、以下の(1)及び(2)の補正を求めるものである。
(1)全文訂正明細書第1頁の特許請求の範囲に記載された、「撮影用の対物レンズを有する眼底カメラにおいて、被検眼の角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に複数の位置合わせ用光束を前記対物レンズを通して点に集光するための投影系と、記位置合わせ用光束による角膜反射像を眼底像と共に観察可能とした観察系とを備え、該観察系において、前記角膜反射像が1個に集中して観察された場合は作動距離が適切であり、複数個に分離して観察された場合は作動距離が不適切であるとすることを特徴とする眼底カメラ。」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、「撮影用の対物レンズを有する眼底カメラにおいて、被検眼の角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に複数の光束が一点に集中するように位置合わせ用光束を前記対物レンズを通して点に集光するための投影系と、前記位置合わせ用光束による角膜反射像を眼底像と共に観察可能とした観察系とを備え、該観察系において、前記角膜反射像が1個に集中して観察された場合は作動距離が適切であり、複数個に分離して観察された場合は作動距離が不適切であるとすることを特徴とする眼底カメラ。」と補正する。
(2)全文訂正明細書第2頁第3行〜第9行目の「上述の日的を達成するために、…ことを特徴とする眼底カメラである。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「上述の目的を達成するための本発明の要旨は、撮影用の対物レンズを有する眼底カメラにおいて、被検眼の角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に複数の光束が一点に集中するように位置合わせ用光束を前記対物レンズを通して点に集光するための投影系と、前記位置合わせ用光束による角膜反射像を眼底像と共に観察可能とした観察系とを備え、該観察系において.前記角膜反射像が1個に集中して観察された場合は作動距離が適切であり、複数個に分離して観察された場合は作動距離が不適切であるとすることを特徴とする眼底カメラである。」と補正する。
上記(1)及び(2)の補正は、補正前の全文訂正明細書からみて、それぞれ特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明に該当し、訂正明細書に記載した事項の範囲内での補正であり、訂正請求書により訂正を求める範囲内のものである。
2-2.訂正の適否についての判断
2-2-1訂正後の発明
訂正後の請求項1に係る発明は、補正された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項によって特定されるものである。
「撮影用の対物レンズを有する眼底カメラにおいて、被検眼の角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に複数の光束が一点に集中するように位置合わせ用光束を前記対物レンズを通して点に集光するための投影系と、前記位置合わせ用光束による角膜反射像を眼底像と共に観察可能とした観察系とを備え、該観察系において、前記角膜反射像が1個に集中して観察された場合は作動距離が適切であり、複数個に分離して観察された場合は作動距離が不適切であるとすることを特徴とする眼底カメラ。」(以下「本件発明」という。)
2-2-2訂正の要旨
特許権者が求めている訂正の内容は以下の(1)及び(2)のとおりである。
訂正事項(1)
特許第2736651号明細書(以下、「原明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1の記載「撮影用の対物レンズを有する眼底カメラにおいて、被検眼の角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に複数の位置合わせ用光束を前記対物レンズを通して点に集光するための投影系と、前記位置合わせ用光束による角膜反射像を眼底像と共に観察可能とした観察系とを備えたことを特徴とする眼底カメラ。」を特許請求の範囲の減縮を目的として「撮影用の対物レンズを有する眼底カメラにおいて、被検眼の角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に複数の光束が一点に集中するように位置合わせ用光束を前記対物レンズを通して点に集光するための投影系と、前記位置合わせ用光束による角膜反射像を眼底像と共に観察可能とした観察系とを備え、該観察系において、前記角膜反射像が1個に集中して観察された場合は作動距離が適切であり、複数個に分離して観察された場合は作動距離が不適切であるとすることを特徴とする眼底カメラ。」と訂正する。
訂正事項(2)
特許請求の範囲の訂正に伴い、明りょうでない記載の釈明を目的として、原明細書の第2頁第1行〜第5行の「上述の目的を達成するための本発明の要旨は、撮影用の対物レンズを有する眼底カメラにおいて、被検眼の角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に複数の位置合わせ用光束を前記対物レンズを通して点に集光するための投影系と、前記位置合わせ用光束による角膜反射像を眼底像と共に観察可能とした観察系とを備えたことを特徴とする眼底カメラである。」(補正した訂正請求書において「上記の」とあるのは「上述の」の誤記と認める。)を、「上述の目的を達成するための本発明の要旨は、撮影用の対物レンズを有する眼底カメラにおいて、被検眼の角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に複数の光束が一点に集中するように位置合わせ用光束を前記対物レンズを通して点に集光するための投影系と、前記位置合わせ用光束による角膜反射像を眼底像と共に観察可能とした観察系とを備え、該観察系において、前記角膜反射像が1個に集中して観察された場合は作動距離が適切であり、複数個に分離して観察された場合は作動距離が不適切であるとすることを特徴とする眼底カメラである。」(補正した訂正請求書において「上記の」とあるのは「上述の」の誤記と認める。)と訂正する。
2-2-3訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項(1)は、原明細書第3頁第1行〜第4行(特許公報第3欄第40行〜第44行)に記載された「指標光源21からの光束はレンズ20、4穴絞り19、レンズ18、中心開口絞り17及びハーフミラー16を通過して第1の光分割部材2で反射され、対物レンズ1によって被検眼Eの角膜頂点と角膜曲率中心との中間点に4個の像から成る指標光源像を結像する。また、角膜Ecで反射した光束は平行光束となり、同じ光路を逆行してハーフミラー16で反射した後に、リレーレンズ22、23によりフィールドレンス24上に指標光源像を結像する。この光束は第2の光分割部材11によって眼底観察光路に結合され、フィールドレンズ10上に形成された眼底像と共にテレビカメラ14に映出される。従って、テレビモニタ15上には眼底像Aと共に例えば4個の指標の角膜反射像Bが観察され、装置全体を前後に動かしてこれらの反射像Bが1個に合致したとき作動距離が適正となる。」及び第1図の記載事項の範囲内であり、位置合わせ用光束の形態を限定したものであるから特許請求の範囲の減縮に該当する。これは願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
上記訂正事項(2)は、訂正事項(1)による特許請求の範囲の訂正に伴って生じる記載の不整合を解消させるためのものであり、明りょうでない記載の釈明に相当する。
従って、これら訂正事項(1)及び(2)は、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明に相当するものである。また、これらは、願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
2-2-4.独立特許要件の判断
2-2-4-1.刊行物
当審が発した取消理由通知書、訂正拒絶理由通知において引用した刊行物は以下のとおりであり、異議申立人が提示した甲第1号証が刊行物1に対応する。
刊行物1: 特公昭60-62820号公報(甲第1号証)
刊行物2: 特開昭58-157448号公報
[刊行物1](特公昭60-52820号公報)
刊行物1は、、被検眼眼底を撮影するための眼底カメラに関するものであり、その第2頁左欄第16行目〜第22行目には、「眼底部Efからの撮影用の光束は光路L2に示す如く、対物レンズ5によって第一の眼底共役面6上に結像した後、孔あきミラー4の孔部、絞り7を順次通過し、撮影レンズ8により第2の眼底共役面9上に結像する。この面9にフィルム面を設ければ眼底写真像が得られる。」と記載されている。
また,第2頁左欄第29行目〜第44行目、第3頁左欄第4行目〜第9行目、及び第2頁右欄第18行目〜第20行目には、それぞれ、「視標光源R(注:Pの誤り)からの光束は対物レンズ5を経て被検眼の角膜面Ecで正反射した後再度対物レンズにより視標光源Pの像P´を形成する。……作動距離が適正でなければ、視標光源の線はぼやけて見えるので上記視標光源の像が鮮明に見えるように眼底カメラ全体を移動させて上記作動距離を適正に調整する」、「角膜面がほぼ球面状であるとした場合、被検眼の角膜面で正反射される光束がほぼアフオーカルな光束となるためには、ワーキングディスタンスが適正な時、視標光源からの光束が角膜曲率中心と角膜面との中間点に向かって入射するように視標光源を設けるものである。」、「第1図では視標光源が1個しか示されていないが、視標光源を光軸の周辺にほぼ対称に複数個配設することで、」と記載されている。
さらに、第1頁右欄第22行目〜第2頁左欄第1行目には、「実施例の概要を更に記述すると、上記視標光源を設ける位置は、被検眼と対物光学系との間の作動距離が適正である場合、上記視標からの光束で被検眼の角膜面で反射され対物光学系により結像される視標の位置が・被検眼の眼底像が対物光学系によって結像される像面の位置と合致するような位置に視標光源が設けられている。」と記載されている。また、第2頁左欄第29行目〜第44行目にも、第二の眼底共役面9に指標光源の像が結像される旨が開示されている。
また、「第1図では視標光源が1個しか示されていないが、光軸の周辺にほぼ対称に複数個配設する…」(第4欄第18行目〜同欄第19行目)、「視標光源からの光束が角膜の曲率半径の中心と角膜面との中間点に向かって入射するように視標光源を設けるものである。これは球面反射面の中間点、いわゆる凸面鏡の焦点へ向かう光線束は反射後、アフォーカル光束に成ると言う幾何光学の法則を利用したもので、反射の結果、視標光源の像は実質上無限遠に形成されたことになる。」(第5欄第3行目〜同欄第13行目)と記載されている。
[刊行物2](特開昭58-157448号公報)
刊行物2には、光軸合わせ調整と作動距離調整を行う際、作動距離が適切となった場合に、観察される角膜反射像の個数が単一となる眼科装置における適正位置検出装置の光学配置が記載されている。
2-2-4-2.対比・判断
本件発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、
「撮影用の対物レンズを有する眼底カメラにおいて、被検眼の角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に複数の位置合わせ用光束を前記対物レンズを通して点に集光するための投影系と、前記位置合わせ用光束による角膜反射像を眼底像と共に観察可能とした観察系とを備えることを特徴とする眼底カメラ。」の点で一致し、本件発明は「該観察系において、前記角膜反射像が1個に集中して観察された場合は作動距離が適切であり、複数個に分離して観察された場合は作動距離が不適切であるとする」のに対して、刊行物1に記載された発明では、視標光源が光軸の回りに複数ある場合に、適正な作動距離において反射像が1個に集中するように構成されていない点で相違する。
そこで前記相違について検討するに、観察系において、前記角膜反射像が1個に集中して観察された場合は作動距離が適切であり、複数個に分離して観察された場合は作動距離が不適切であるとする眼科機械の位置合わせ装置は刊行物2において公知である。しかし刊行物2に記載された位置合わせ装置は、被検眼の角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に複数の位置合わせ用光束を前記対物レンズを通して点に集光していないため角膜からの反射光束がアフォーカルな光束とならない。
そして本件発明は、被検眼の角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に複数の位置合わせ用光束を前記対物レンズを通して点に集光するように構成し、角膜反射像が1個に集中して観察された場合は作動距離が適切であり、複数個に分離して観察された場合は作動距離が不適切であるとしたことにより明細書記載の効果を奏するものである。
従って、本件発明は刊行物1、2に記載された発明と認められないばかりでなく、刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとも認められない。
2-3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で規定する訂正について、平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる改正前の特許法第126条第1項ただし書き、同条第2項及び同条第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについての判断
3-1.申立ての理由の概要
異議申立人 株式会社 トプコンは、特許第2736651号の発明は、甲第1号証の刊行物(前記刊行物1に対応)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項の規定により、特許を受けることができないものであり、取り消されるべきものである旨主張している。
3-2.判断
本件発明は、上記2-2-4.独立特許要件の判断で示したように、異議申立人の提示した甲第1号証刊行物に記載された発明であるとは認められない。
4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠方法によっては、本件発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
眼底カメラ
(57)【特許請求の範囲】
1.撮影用の対物レンズを有する眼底カメラにおいて、被検眼の角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に複数の光束が一点に集中するように位置合わせ用光束を前記対物レンズを通して点に集光するための投影系と、前記位置合わせ用光束による角膜反射像を眼底像と共に観察可能とした観察系とを備え、該観察系において、前記角膜反射像が1個に集中して観察された場合は作動距離が適切であり、複数個に分離して観察された場合は作動距離が不適切てあるとすることを特徴とする眼底カメラ。
【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明は、角膜反射光束を利用した位置確認手段を有する無散瞳型の眼底カメラに関するものである。
[従来の技術]
従来の無散瞳型眼底カメラにおいて、角膜反射を利用した作動距離合わせ方式が広く用いられている。この方式は角膜曲率半径の差異による誤差が小さく、かなり高い精度が得られるという優れた長所を有している。しかしその反面において、位置合わせ用の光束が装置と被検眼との作動距離がずれてぼけが大きくなった場合に、認識し難いという問題がある。一方、分離した光束により角膜中心に向けて視標を投影する方式が、特開昭58-157448号公報に開示されているが、この方式では角膜曲率半径の個人差による誤差が大きいという難点がある。
[発明の目的]
本発明の目的は、このような従来例の問題を改善するため、角膜反射を用いた位置合わせ方式の長所を活かし、かつ角膜曲率の個人差の影響を受け難く、また装置と被検眼の作動距離方向や光軸垂直方向のずれが生じても角膜反射像が眼底像と共に適正に観察でき、常に良好な位置合わせを可能とした眼底カメラを提供することにある。
[発明の概要]
上述の目的を達成するための本発明の要旨は、撮影用の対物レンズを有する眼底カメラにおいて、被検眼の角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に複数の光束が一点に集中するように位置合わせ用光束を前記対物レンズを通して点に集光するための投影系と、前記位置合わせ用光束による角膜反射像を眼底像と共に観察可能とした観察系とを備え、該観察系において、前記角膜反射像が1個に集中して観察された場合は作動距離が適切であり、複数個に分離して観察された場合は作動距離が不適切であるとすることを特徴とする眼底カメラである。
[発明の実施例]
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
第1図は本発明に係る眼底カメラの一実施例を示し、Eは被検眼である。この第1図において、被検眼Eに対向して対物レンズ1が設けられ、対物レンズ1の後方には斜設された第1の光分割部材2、穴あきミラー3、変倍レンズ或いは単焦点レンズから成る撮影レンズ4、跳ね上げミラー5、シャッタ6、撮影フィルム7が順次に配置されている。穴あきミラー3の入射方向には照明レンズ8、照明光源9が配置され、跳ね上げミラー5の反射方向にはフィールドレンズ10、斜設された第2の光分割部材11、ミラー12が配置され、ミラー12の反射方向にはテレビレンズ13、テレビカメラ14が設けられ、テレビカメラ14の出力はテレビモニタ15に接続されている。更に、第1の光分割部材2の入反射方向にはハーフミラー16、中心開口絞り17、レンズ18、第2図に示す例えば4個の小孔19aを有する4穴絞り19、レンズ20、指標光源21が順次に配置されている。また、ハーフミラー16の反射側には、リレーレンズ22、23、フィールドレンズ24が設けられ、第2の光分割部材11に至っている。
照明光源9からの光束は照明レンズ8、穴あきミラー3、対物レンズ1を経て被検眼Eの眼底Erを照明し、眼底Erからの光束は対物レンズ1で一旦結像してから、穴あきミラー3、撮影レンズ4を通り、観察時には跳ね上げミラー5で反射して眼底観察光路上のフィールドレンズ10上に再び結像し、この像をテレビレンズ13によりテレビカメラ14上に結像し、テレビモニタ15で観察するようになっている。また、撮影時には跳ね上げミラー5が跳ね上がり、撮影レンズ4を通ってきた撮影光束は、開放されたシャッタ6を介して撮影フィルム7上に導かれる。
指標光源21からの光束はレンズ20、4穴絞り19、レンズ18、中心開口絞り17及びハーフミラー16を通過して第1の光分割部材2で反射され、対物レンズ1によって被検眼Eの角膜頂点と角膜曲率中心との中間点に4個の像から成る指標光源像を結像する。また、角膜Ecで反射した光束は平行光束となり、同じ光路を逆行してハーフミラー16で反射した後に、リレーレンズ22、23によりフィールドレンズ24上に指標光源像を結像する。この光束は第2の光分割部材11によって眼底観察光路に結合され、フィールドレンズ10上に形成された眼底像と共にテレビカメラ14に映出される。
従って、テレビモニタ15上には眼底像Aと共に例えば4個の指標の角膜反射像Bが観察され、装置全体を前後に動かしてこれらの反射像Bが1個に合致したとき作動距離が適正となる。本実施例では、4穴絞り19の小孔19aが4個の場合を示したが、これは複数個であればよい。これらの小孔19aを小さくすれば深度は更に深くできるし、しかも対物レンズ17の開口一杯の光束を使用できるので、高い精度での作動距離を調整できる。また、拡大撮影のために撮影レンズ4を変倍してもそれに影響されることがなく、角膜反射像Bの大きさ・位置・明るさ等は不変である。
なお、実施例では指標光源21が1個である場合を示したが、これを2個にして画面の両端部に角膜反射像Bを映出するようにしてもよい。この場合には、中心開口絞り17の開口は2つ必要となる。
第1の光分割部材2は指標光源21の波長帯を部分的に反射し、観察や撮影に使用する波長帯透過するような分光持性を持つものが好ましい。また、第2の光分割部材11は角膜反射光束を全反射し、他の光束は透過する特性のものが用いられている。
第3図は第2の実施例を示し、第1図と同じ符号は同一又は同等の機能を持つ部材を表している。指標光源21、レンズ20、4穴絞り19、レンズ18、中心開口絞り17を含む指標投影系は、第2の光分割部材11の背後に設けられ、第1図のハーフミラー16の代りに全反射ミラー16aが用いられている。
この第3図において、指標光源21からの光束はレンズ20、4穴絞り19、レンズ18、中心開口絞り17を経て第2の光分割部材11でフィールドレンズ10側に反射され、更に第1の光分割部材2を透過して被検眼Eに導かれる。一方、角膜反射光束は第1の実施例の場合と同様に、第1の光分割部材2及び全反射ミラー16aで反射され、第2の光分割部材11によって眼底観察光路に結合される。
なお、上述の各実施例において、第1の光分割部材2は撮影時には撮影光路から退避できる構成にしてもよい。
[発明の効果]
以上説明したように本発明に係る眼底カメラによれば、被検眼への複数の位置合わせ用投影光束を角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に点に集光し、これらの角膜反射像を眼底像と共に観察できるようにしているので、角膜曲率半径の個人差による作動距離合わせ誤差を軽減できる。また、作動距離がずれても複数光束の適切な視認により位置合わせが実施でき、装置と被検眼が光軸垂直方向にずれた場合も、複数光束による角膜反射光は発散しないため検出光学系から外れ難く、装置と被検眼の作動距離や光軸垂直方向のずれがあっても、良好に位置合わせを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明に係る眼底カメラの実施例を示し、第1図は第1の実施例の光学的配置図、第2図は4穴絞りの正面図、第3図は第2の実施例の光学的配置図である。
符号1は対物レンズ、2は第1の光分割部材、3は穴あきミラー、4は撮影レンズ、9は照明光源、11は第2の光分割部材、14はテレビカメラ、15はテレビモニタ、16はハーフミラー、16aは全反射ミラー、17は中心開口絞り、19は4穴絞り、21は指標光源である。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2736651号(昭和63年4月22日出願、平成10年1月16日設定登録)の願書に添付した明細書及び図面(以下、「原明細書」という。)を、それぞれ特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正請求書(平成11年2月19日請求、平成11年9月27日補正)に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、次の▲1▼及び▲2▼のとおり訂正する。
▲1▼原明細書第1頁の特許請求の範囲請求項1の記載「撮影用の対物レンズを有する眼底カメラにおいて、被検眼の角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に複数の位置合わせ用光束を前記対物レンズを通して点に集光するための投影系と、前記位置合わせ用光束による角膜反射像を眼底像と共に観察可能とした観察系とを備えたことを特徴とする眼底カメラ。」を、
「撮影用の対物レンズを有する眼底カメラにおいて、被検眼の角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に複数の光束が一点に集中するように位置合わせ用光束を前記対物レンズを通して点に集光するための投影系と、前記位置合わせ用光束による角膜反射像を眼底像と共に観察可能とした観察系とを備え、該観察系において、前記角膜反射像が1個に集中して観察された場合は作動距離が適切であり、複数個に分離して観察された場合は作動距離が不適切であるとすることを特徴とする眼底カメラ。」に訂正する。
▲2▼原明細書同第2頁第1行〜第5行目の「上述の目的を達成するため……のことを特徴とする眼底カメラである。」を、
「上述の目的を達成するための本発明の要旨は、撮影用の対物レンズを有する眼底カメラにおいて、被検眼の角膜頂点と角膜曲率中心との中間位置に複数の光束が一点に集中するように位置合わせ用光束を前記対物レンズを通して点に集光するための投影系と、前記位置合わせ用光束による角膜反射像を眼底像と共に観察可能とした観察系とを備え、該観察系において.前記角膜反射像が1個に集中して観察された場合は作動距離が適切であり、複数個に分離して観察された場合は作動距離が不適切であるとすることを特徴とする眼底カメラである。」に訂正する。
異議決定日 1999-11-30 
出願番号 特願昭63-101059
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A61B)
P 1 651・ 113- YA (A61B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山本 春樹  
特許庁審判長 森 正幸
特許庁審判官 住田 秀弘
新井 重雄
登録日 1998-01-16 
登録番号 特許第2736651号(P2736651)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 眼底カメラ  
代理人 日比谷 征彦  
代理人 田村 和彦  
代理人 日比谷 征彦  

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