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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 B60T |
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管理番号 | 1012380 |
異議申立番号 | 異議1998-72673 |
総通号数 | 10 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1989-09-21 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-05-26 |
確定日 | 2000-01-17 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2689465号「車輪用軸受ユニット」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2689465号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
(1)手続の経緯 特許第2689465号の請求項1に係る発明は、昭和63年3月17日に特許出願され、平成9年8月29日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人住友電気工業株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年4月15日に訂正請求がなされ、訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年9月6日に手続補正書が提出されたものである。 (2)訂正の適否についての判断 ア.訂正請求に対する補正の適否について 特許権者は、訂正請求書に添付した訂正明細書の ▲1▼特許請求の範囲の請求項1の「多数の凹凸が」とあるのを『外周面に多数の凹凸が』と、同じく「前記センサロータに対向して、」とあるのを『前記センサロータの外周面にこのセンサロータの径方向で対向して、』と、 ▲2▼特許請求の範囲の請求項5及び6を削除する、 ▲3▼第8頁第20〜21行目(特許公報第2頁第4欄第16〜17行目)における「多数の凹凸が」とあるのを『外周面に多数の凹凸が』と、同頁第21〜22行目(同頁同欄第18行目)における「前記センサロータに対向して」とあるのを『前記センサロータの外周面にこのセンサロータの径方向で対向して』と、 それぞれ補正をするものである。 上記補正▲1▼▲2▼は特許請求の範囲の減縮に、上記補正▲3▼は明瞭でない記載の釈明に、それぞれ該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 したがって、当該訂正請求に対する補正は、訂正請求書の要旨を変更するものでなく、特許法第120条の4第3項において準用する同法第131条第2項の規定に適合する。 イ.訂正の内容 ▲1▼訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1の「前記外側部材には」とあるのを『前記外側部材の外周には』と、同じく「多数の凹凸が」とあるのを『外周面に多数の凹凸が』と、同じく「前記センサロータに対向して、」とあるのを『前記センサロータの外周面にこのセンサロータの径方向で対向して、』と、それぞれ訂正する。 ▲2▼訂正事項b 特許請求の範囲の請求項5及び6を削除する。 ▲3▼訂正事項c 特許公報第2頁第4欄第16行目における「前記外側部材には」とあるのを『前記外側部材の外周には』と、同頁同欄第16〜17行目における「多数の凹凸が」とあるのを『外周面に多数の凹凸が』と、同頁同欄第18行目における「前記センサロータに対向して」とあるのを『前記センサロータの外周面にこのセンサロータの径方向で対向して』と、それぞれ訂正する。 ウ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正事項a及びbは特許請求の範囲の減縮に、上記訂正事項cは明瞭でない記載の釈明に、それぞれ該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 エ.独立特許要件の判断 (訂正明細書の請求項1に係る発明) 平成11年9月6日付け手続補正書により補正された訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「車体側への係合部を有して非回転側となる内側部材と、車輪と係合する係合部を有して回転側となり前記内側部材に対して転動体を介して相対回転可能とされた外側部材と、該外側部材と前記内側部材との間に介装され該両部材間をシールするシール部材を有する車輪用軸受ユニットにおいて、 前記外側部材の外周には、磁性材料から成り外周面に多数の凹凸が周方向に隔設されたセンサロータが配置され、一方前記内側部材には、前記センサロータの外周面にこのセンサロータの径方向で対向して、スピードセンサが固定されていることを特徴とする車輪用軸受ユニット。」 (引用刊行物) 本件発明に対し、当審が通知した訂正拒絶理由で引用した刊行物1(特開昭62-249069号公報)には、第3図記載の実施例を参照すると、「非回転側となる内輪13(本件発明の「内側部材」に相当;以下同じ)と、車輪と係合する係合部を有して回転側となり前記内輪13に対してボール14,14(転動体)を介して相対回転可能とされた外輪11(外側部材)と、該外輪11と前記内輪13との間に介装され該両部材間をシールするシール部材19を有する車輪用軸受装置において、 前記外輪11の内周には、磁性材料から成り内周面に多数の凹凸が周方向に隔設されたパルス発生器16(センサロータ)が配置され、一方前記内輪13には、前記パルス発生器16の内周面にこのパルス発生器16の径方向で対向して、パルス検出器17(スピードセンサ)が固定されている車輪用軸受装置。」 が記載されている。 同刊行物2(特開昭48-4850号公報)には、第2,3図記載の実施例を参照すると、 「車体側への係合部を有して非回転側となる非回転外方リング21(本件発明の「外側部材」に相当;以下同じ)と、車輪と係合する係合部を有して回転側となり前記非回転外方リング21に対して球23,23(転動体)を介して相対回転可能とされた回転内方リング22(内側部材)と、該回転内方リング22と前記非回転外方リング21との間に介装され該両部材間をシールする封鎖体25,25(シール部材)を有する車輪用軸受ユニットにおいて、 前記回転内方リング22の外周には、磁性材料から成り外周面に多数の凹凸が周方向に隔設されたリング29(センサロータ)が配置され、一方前記封鎖体26には、前記リング29に対向して、装置28(スピードセンサ)が固定されている車輪用軸受ユニット。」 が記載されている。 同刊行物3(実願昭59-137931号(実開昭61-54272号)のマイクロフィルム)には、第5図記載の従来技術を参照すると、 「非回転側となる内輪20a,21a(本件発明の「内側部材」に相当;以下同じ)と、車輪と係合する係合部を有して回転側となり前記内輪20a,21aに対して玉30a,30a(転動体)を介して相対回転可能とされた外輪1a(外側部材)と、該外輪1aと前記内輪20a,21aとの間に介装され該両部材間をシールするシール部材を有する車輪用軸受において、 前記外輪1aの外周には、磁性材料から成り外周面に多数の凹凸が周方向に隔設されたパルスギヤーg(センサロータ)が配置されている車輪用軸受。」 が記載されおり、 一方非回転側には、前記パルスギヤーgに対向して、センサーS(スピードセンサ)が固定されている。 (対比・判断) 本件発明と刊行物1乃至3に記載された発明とを対比する。 本件発明は、センサロータが車輪と係合する係合部を有して回転側となる外側部材の外周に配置されるものにおいて、「車体側への係合部を有して非回転側となる内側部材には、センサロータの外周面にこのセンサロータの径方向で対向して、スピードセンサが固定されている」事項を備えており、当該事項により本件発明は、「凹凸の数を少なくする事なくピッチを大きくする事を可能にすると同時に、センサロータとスピードセンサとの距離を短くする事を可能にして、スピードセンサによる回転速度の検出能力を高くする為の設計の容易化を可能にする。」という顕著な効果を奏するものである。 これに対して、刊行物1乃至3に記載された発明は、本件発明を特定する前記事項、すなわち、センサロータが車輪と係合する係合部を有して回転側となる外側部材の外周に配置されるものにおいて、「車体側への係合部を有して非回転側となる内側部材には、センサロータの外周面にこのセンサロータの径方向で対向して、スピードセンサが固定されている」事項を備えておらず、また、刊行物1乃至3に記載された発明を寄せ集めて当該事項を想到することが、容易になし得ることとも認められない。 したがって、本件発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とすることはできない。 オ.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2-4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 (3)特許異議の申立てについての判断 ア.申立ての理由の概要 特許異議申立人住友電気工業株式会社は、請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開昭62-249069号公報)に記載された発明であり、若しくは、甲第1号証及び甲第2号証(特開昭48-4850号公報)をもとに容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第1項第3号、若しくは同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許を取り消すべき旨主張している。 イ.判断 本件発明は、上記2.(2)エで示したように申立人住友電気工業株式会社提示の甲第1号証、甲第2号証に記載された発明であるとも、それらから容易に発明をすることができたものともすることはできない。 ウ.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 車輪用軸受ユニット (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 車体側への係合部を有して非回転側となる内側部材と、車輪と係合する係合部を有して回転側となり前記内側部材に対して転動体を介して相対回転可能とされた外側部材と、該外側部材と前記内側部材との間に介装され該両部材間をシールするシール部材を有する車輪用軸受ユニットにおいて、 前記外側部材の外周には、磁性材料から成り外周面に多数の凹凸が周方向に隔設されたセンサロータが配置され、一方前記内側部材には、前記センサロータの外周面にこのセンサロータの径方向で対向して、スピードセンサが固定されていることを特徴とする車輪用軸受ユニット。 【請求項2】 前記スピードセンサは、前記内側部材に直接固定されている請求項1に記載の車輪用軸受ユニット。 【請求項3】 前記スピードセンサは、前記内側部材に対し、スピードセンサ用支持部材を介して固定されている請求項1に記載の車輪用軸受ユニット。 【請求項4】 前記スピードセンサ用支持部材は、前記内側部材を車体に固定するためのボルトを介して前記内側部材に保持されている請求項3に記載の車輪用軸受ユニット。 【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、自動車の車輪(特に従動輪)を車体に回転可能に支持する軸受ユニット、特にアンチロックブレーキ装置のスピードセンサを備えた車輪用軸受ユニットに関する。ここに、アンチロックブレーキ装置とは、急ブレーキ時に車輪がロックすることを防止することを防止する装置である。 (従来技術及び解決すべき課題) 自動車が雨でぬれた路面、凍結した路面等のように滑り易い路面を走行しているとき急ブレーキをかけると、車輪がロックされてコーナリングフォースがなくなり、外乱により車両が偏向する、アンチロックブレーキ装置はこのような状態を未然に防ぐものであり、車輪の回転状態を常に監視し、自動的にブレーキ油圧のコントロールを行なう。これにより車輪のロックを防止しながら最大限のブレーキ力を確保して車両の方向安定性、操縦性を維持すると共に、停止距離の短縮を図ることが可能になる。 このアンチロックブレーキ装置は、回転される歯車状のセンサロータと、それに近接配置した電磁ピックアップで車輪回転数に比例した周波数のパルスを発生させるスピードセンサと、スピードセンサからのパルス信号を演算処理して車輪の状態を検出し、所定の指令を与えるコンピュータと、コンヒュータからの指令をうけてブレーキ油圧を増減して車輪の回転状態を制御するアクチュエータとで構成される。 ブレーキが制御を開始すると、コンピュータはスピードセンサからの信号により車輪速度と加速度とを算出し、その値に変化から車輪がロックしそうか否かを判断する。そして、ロックしそうになると、減圧の指令を、速度が回復されてくると増圧の指令をアクチュエータに送り、アクチュエータはこの指令に応答してソレノイドバルブを作動させてブレーキ油圧を増減するのである。 従来から知られている車輪用軸受ユニットの一例が第8図に示されている。同図において、一対の内輪200は車体202から延びた軸204上にナット206により締付、固定されており、ボール208を介して外輪210が相対回転可能に装着されている。外輪210は車輪(図示せず)に連結されるフランジ部212を有する。 外輪210の一端縁の外周面には隔設された凹凸が円周方向にセンサロータ213が嵌合され、スピードセンサ214は車体から延びた支持部材216により支持され、上記センタロ一夕213に対向するように配置されている。 しかし、この従来例の場合、センタロータ213はリング部材の外周面に凹凸を交互に形成したものであるため、その製作が面倒である。 また、スピードセンサ214は、軸受ユニットが組み付けられている相手部材(軸体側)に取り付けられており、軸受ユニットと一体的に取り扱いできないため、その取付け及びメインテナンスが面倒となる。しかも、前記支持構造との関係からセンサロータ213とスピードセンサ214との相対位置及び距離(間隔)を所定量に設定することに難しさがあった。 本発明は上記不具合を解決すること、即ちメインテナンス時にゴミ等が付着することが少なく、製作が容易で低コストであり、かつ車輪の回転数の測定が正確に行えるユニット化された車輪用軸受装置(軸受ユニット)を提供することを目的としてなされたものである。 (課題を解決するための手段、作用) 上記問題点を解決するために、本発明においては、車体側への係合部を有して非回転側となる内側部材と、車輪と係合する係合部を有して回転側となり前記内側部材に対して転動体を介して相対回転可能とされた外側部材と、該外側部材と前記内側部材との間に介装され該両部材間をシールするシール部材等を有する車輪用軸受ユニットにおいて、前記外側部材の外周には、磁性材料から成り外周面に多数の凹凸が周方向に隔設されたセンサロータを配置し、前記内側部材には、前記センタロータの外周面にこのセンサロータの径方向で対向して、スピードセンサを固定したのである。本発明は、特に、内側部材と外側部材とを一体的に(ユニットとして)扱うようにしたことを特徴とするものである。 (実施例) 以下、本発明の各実施例につき順次説明する。ここに開示されたのは何れも、いわゆる外輪回転タイプの軸受が自動車の従動輪に使用されたものである。 第1図に示すように、図示しない車体の一部に適当な方法によって固定される固定軸10は三つの直径の異なる部分12、14及び16を有し、部分14の外周面にはボール転動溝18が形成され、部分12の外周面にはその外周面にボール転動溝20が形成された内輪22が嵌合されている。内輪22はねじ部24に螺合するナット26及びロックナット28により固定されている。固定軸10には外輪30がボール(鋼球)44及び46を介して相対回転可能に嵌合されている。外輪30は円筒部34と、これから半径方向外向きに延びるフランジ部36とから成り、外輪30はフランジ部36において図示しない車輪に取り付けられる。円筒部34の内周面には一対のボール転動溝38及び40が形成されており、ボール転動溝18と38との間にはボール44が、ボール転動溝20と40との間にはボール46が各々介装され、各々保持器48又は50により保持されている。また、固定軸10の部分52と外輪円筒部34のこれに対向する部分との間、及び内輪22の外周面と外輪本体部34のこれに対向する部分との間には各々シール部材54又は56が介装されている。 センサロータ60は断面矩形状の環状部材の外周面に凹所と凸部とを円周方向において交互に形成してなり、圧入等により外輪円筒部34の一端側の外周面に固定されている。 一方、スピードセンサ68は固定軸10と一体化されたフランジ部62に形成された貫通穴64を利用して圧入、ねじ止め等により固定され、その検知部66は上記センタロータ60の凹凸の直上方に位置している。 しかして、自動車の走行時に車輪が固定すると、フランジ部36において車輪に一体化された外輪30がこれに連れ回り、外輪30に固定されたセンサロータ60が回転する。その際、スピードセンサ68により、これとセンサロ一夕60との間で発生するパルス信号を図示しないコンピュータに送るのである。 本実施例によれば、メインテナンス時には、固定軸10及びフランジ部62、内輪22、ボール38及び40、外輪30等がユニットとして一体的に取り扱えるので、メインテナンスが容易になる。また、センサロータ60及びスピードセンサ68の構成が何れも通常のものとされ、特別な構成の部品を使用していないので、全体的に構造が簡単であり、しかも製造コストが安価にできる。 第2図に示した第2実施例では、センタロータ70は断面が扁平な矩形状を有する環状部材に複数の貫通穴72を隔設して成る。貫通孔72はセンサロータ70の幅方向において中間部よりも一方に偏って形成されており、センサロータ70はこの部分において外輪円筒部34の一端縁の外周面に嵌合されている。センサロータ70の一端部76はフランジ部62近傍まで延びており、両者間にラビリンスシール80が形成されている。 一方、スピードセンサ82は、固定軸10と一体化されたフランジ部62に軸方向に固定され、鈎状に屈曲した検知部84が上記センサロータ70に近接するようにされている。また、外輪30のフランジ部36の根本部には、メンテナス時のギャップ確認用の貫通穴88が設けられている。 本実施例によれば、センサロータ70の構成が簡単になるほか、ラビリンスシール80を設けたことにより、軸受内部に泥水、ゴミ等が侵入することがより有効に防止される。また、ロードホイール、ブレーキ部品さえ除けば、軸受を分解しなくても、ギャップの大きさを確認できる。 第3図に示した第3実施例では、センサロータ90は断面L字形の環状部材から成り、筒状部92又はフランジ部94には各々貫通孔96又は98が形成されている。センサロータ90は、外輪30を車輪に固定するハブホルト100を上記貫通孔98に挿通することにより、このハブボルト100によってフランジ部36に固定されている。センタロータ90の貫通孔96はフランジ部36の根本部近傍に位置している。 従って、スピードセンサ104はこれに対応して、固定軸10の部分106に固定された中空円板状の支持部材108により軸方向に支持され、その検知部110が長く軸方向に延びて貫通孔96の近傍に達している。 本実施例によれば、センサロータ90及びフランジ部36の加工精度及び取付け精度をそれほど高くする必要がなくなる。 第4図に示した第4実施例では、センサロータ120は断面コ字形の環状部材から成る。即ち、内側筒状部114、半径方向部116及び外側円筒部118から成り、筒状部114には複数の貫通孔122が円周方向に隔設され、この筒状部114において開口側が外輪30の一端側となるように外輪30に固定されている。 一方、スピードセンサ126は固定軸10と一体化されたフランジ部128に軸方向に保持され、その検知部132は上記センサロータ120の空所内に延びている。検知部132はセンサロータ120の内側円筒部114、半径方向部116及び外側円筒部118により周囲から保護されるようになっている。 従って、センサロータ126の検知部132が飛散する石により変形したり、周辺の部材との干渉により損傷することが防止される。 第5図に示した第5実施例では固定軸10がフランジ部136において圧力ボルト134により車体に固定され、センサロータ140は扁平な矩形断面の環状部材から成っている。 一方、スピードセンサ146は、断面L字形の支持部材148を利用して、車体の一部に上記圧力ボルト136により固定されている。即ち、支持部材148は軸方向部152と半径方向部154とから成り、上記圧力ボルト136が貫通孔158を貫通して延び、車体に螺合されている。スピードセンサ140は軸方向部152に形成された貫通孔に装着されており、その検知部162がセンサロータ140に近接している。 このようにすれば、スピードセンサ146の検知部162の向き、位置を自由に選択できることになり、検知の融通性が向上するとともに、センサロータ140及びスピードセンサ146が支持部材148により保護されることになる。 第6図に示した実施例は、ディスクブレーキが軸受ユニットの一部品として組み合わされて使用された自動車に本発明を適用したものである。 外輪30にはデイスクロータ170が結合されており、車輪の回転時には外輪30と一体的に回転する。デイスクロータ170は中間環状部172を介してその両側に形成された大径の環状部171と174とをもって一体成形されており、このデイスクロータ170の内周面に凹所及び凸所が交互に形成されてセンサロータ180となっている。 一方、スピードセンサ178は、内輪の一部を兼ね備えた固定軸10に固定されたデイスクロータ170を保護すべく半径方向外方に延びたバッキングプレート182に固定されている。 このようにすれば、車輪の回転数の検知のために要する部品点数を減少することができるのみならず、センサロータ180の直径を大きくできるので、回転数の検出をより正確に行うことが可能となる。 この実施例では、センサロータとしての凹凸をデイスクロータ174の環状部に直接形成したが、別個に形成したセンサロータを前記環状部に嵌合して実施することもできる。 第7図(a)及び(b)に示した実施例は、デイスクロータ170環状部171及び174を連結する中間環状部172の内周部に予め放熱のために形成されている凹凸をセンサロータ190として利用した例である。 なお、本発明はこのほかにも、その趣旨を損ねない範囲内において適宜変更、改良が可能であることは言うまでもない。 (発明の効果) 以上述べてきたように、本発明によれば、軸受自体及びその周辺部品を含む内側部材と外側部材とが軸受ユニットとして一体化されて一体的に取り扱われるので、メインテナンス時の取扱いが容易である。 第2図に示した実施例のようにラビリンスシール80を形成すれば、ゴミ等の侵入が有効に防止できる。第3図に示した実施例のようにしてセンサロータ90を固定すれば、センサロータの取付けにそれほど高い加工精度が要求されなくなる。第4図に示した実施例のようにセンサロータ120を断面コ字形状にしたり、断面L字形状の支持部材を使用すれば、センサロータ及び/又はスピードセンサ126がこれにより保護できることとなる。第6図及び第7図に示した実施例のようにセンサロータをデイスクロータ170の一部で形成すれば、軸受ユニット全体をよりコンパクトにできる。 【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の第1実施例を示す正面断面図、第2図は第2実施例を示す正面断面図(下半分省略)、第3図は第3実施例を示す正面断面図(下半分省略)、第4図は第4実施例を示す正面断面図(下半分省略)、第5図は第5実施例を示す正面断面図(下半分省略)、第6図は第6実施例を示す正面断面図(下半分省略)、第7図は第7実施例を示す正面断面図(下半分省略)、第8図は従来例の断面図である。 [主要部分の符号の説明] 10……固定軸 22……内輪 30……外輪 38、40……ボール 60……センサロータ 64……スピードセンサ |
訂正の要旨 |
▲1▼訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1の「前記外側部材には」とあるのを『前記外側部材の外周には』と、同じく「多数の凹凸が」とあるのを『外周面に多数の凹凸が』と、同じく「前記センサロータに対向して、」とあるのを『前記センサロータの外周面にこのセンサロータの径方向で対向して、』と、それぞれ訂正する。 ▲2▼訂正事項b 特許請求の範囲の請求項5及び6を削除する。 ▲3▼訂正事項c 特許公報第2頁第4欄第16行目における「前記外側部材には」とあるのを『前記外側部材の外周には』と、同頁同欄第16〜17行目における「多数の凹凸が」とあるのを『外周面に多数の凹凸が』と、同頁同欄第18行目における「前記センサロータに対向して」とあるのを『前記センサロータの外周面にこのセンサロータの径方向で対向して』と、それぞれ訂正する。 |
異議決定日 | 1999-12-14 |
出願番号 | 特願昭63-61949 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
YA
(B60T)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 奥 直也 |
特許庁審判長 |
西野 健二 |
特許庁審判官 |
蓑輪 安夫 清田 栄章 |
登録日 | 1997-08-29 |
登録番号 | 特許第2689465号(P2689465) |
権利者 | 日本精工株式会社 |
発明の名称 | 車輪用軸受ユニット |
代理人 | 中野 稔 |
代理人 | 佐野 健一郎 |
代理人 | 上代 哲司 |