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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 F23N |
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管理番号 | 1012383 |
異議申立番号 | 異議1998-73906 |
総通号数 | 10 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1991-09-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-07-30 |
確定日 | 2000-01-17 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2748630号「燃焼機の制御回路」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2748630号の特許を維持する。 |
理由 |
【1】手続の経緯 本件特許第2748630号は平成2年1月24日に出願され、平成10年2月20日に設定登録されたものである。 これに対して、平成10年7月30日に特許異議申立人 株式会社 コロナより特許異議の申立てがなされ、平成11年5月13日付で当審より取消理由を通知したところ、平成11年8月3日付で訂正請求がなされた。これに対して、平成11年8月26日付で当審より訂正拒絶理由を通知したところ、平成11年11月15日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。 【2】訂正及び補正の適否 ア.訂正の内容 前記平成11年8月3日付訂正請求の請求の趣旨は本件特許明細書を請求書に添付した訂正明細書のとおり次のように訂正することを求めるものである。 (1)訂正事項a 特許請求の範囲の「この異常カウンタのカウンタ値が、所定回数を越えると、手動リセットができないよう構成」を特許請求の範囲の減縮を目的として「この異常カウンタのカウンタ値が、所定回数を越えると、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないように」と訂正する。 前記訂正事項に合わせて特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載の整合性を図るため、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のように訂正する。 (イ)願書に添付された明細書第3頁第18行〜第19行の「異常停止〜できないようにすることで、」を「異常停止の連続回数をカウントし、所定回数以上は、異常停止状態のままでリセットできないようにすることで、」に訂正する。 (ロ)同第4頁第12行の「所定回数を越えると、手動リセット」を「所定回数を越えると、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰」に訂正する。 (ハ)同第5頁第1行〜第2行の「安全な制御が実現できる。」を「安全な制御が実現できる。また、所定回数繰り返してリセットしたときは、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないようにしているため、異常事態を一目瞭然に確認することができ、適正なメンテナンスを実施することができる。」に訂正する。 (2)訂正事項b (イ)願書に添付された明細書第9頁第4行「簡単に手動リセットできる。」を下記の通り訂正する。「簡単に手動リセットできる。 (3)所定回数繰り返してリセットしたときは、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないようにしているため、異常事態を一目瞭然に確認するようにすることもでき、適正なメンテナンスを実施することができる。」 イ.補正の内容 (1)補正事項a(訂正明細書に対する補正) 前記平成11年11月15日付手続補正書による補正は、前記訂正請求の請求書を補正するものであり、その内容は前記訂正請求の請求書に添付した訂正明細書を次のように補正するものである。 (イ)訂正明細書における特許請求の範囲の「この異常カウンタのカウンタ値が、所定回数を越えると、異常停止状態を保持したまま、手動リセットによる復帰ができないようにした」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、「この異常カウンタのカウンタ値が、所定回数を越えると、リセット機能を停止し、それ以降、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないようにした」と補正する。 (ロ)訂正明細書第2頁第22行の「異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないよう」を、特許請求の範囲を減縮する補正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との間に生じる不整合を解消する目的として、「リセット機能を停止し、それ以降、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないよう」と補正する。 (ハ)訂正明細書第2頁第29行〜第3頁第1行の「また、所定回数繰り返してリセットしたときは、異常停止状態を保持したまま、」を特許請求の範囲を減縮する補正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との間に生じる不整合を解消する目的として、「また、所定回数繰り返してリセットしたときは、リセット機能を停止し、それ以降、異常停止を保持したまま、」と補正する。 (2)補正事項b(訂正事項に対する補正) 訂正請求書中の訂正事項に対する補正は次の通りである。 (イ)訂正事項aに対する補正 特許請求の範囲の「この異常カウンタのカウンタ値が、所定回数を越えると、異常停止状態を保持したまま、手動リセットによる復帰ができないよう構成」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、「この異常カウンタのカウンタ値が、所定回数を越えると、リセット機能を停止し、それ以降、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないようにした」と補正する。 (ロ)訂正事項a(ロ)に対する補正 願書に添付された明細書第4頁第12行の「所定回数を越えると、手動リセット」を「所定回数を越えると、リセット機能を停止し、それ以降、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰」に補正する。 (ハ)訂正事項a(ハ)に対する補正 同第5頁第1行〜第2行の「安全な制御ができる。」を「安全な制御が実現できる。また、所定回数繰り返してリセットしたときは、リセット機能を停止し、それ以降、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないようにしているため、異常事態を一目瞭然に確認する事ができ、適正なメンテナンスを実施することができる。」に補正する。 (ニ)訂正事項b(イ)に対する補正 同第9頁第4行「簡単に手動リセットできる。」を下記の通り補正する。 「簡単に手動リセットできる。 (3)所定回数繰り返してリセットしたときは、リセット機能を停止し、それ以降、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないようにしているため、異常事態を一目瞭然に確認するようにすることもでき、適正なメンテナンスを実施することができる。」 ウ.補正の適否についての判断 補正事項a(イ)は、特許請求の範囲の減縮に該当するものと認められる。 補正事項a(ロ)、(ハ)は、補正事項a(イ)の補正に伴う補正で、明瞭でない記載の釈明であると認められる。 そして、これらの補正事項は、いずれも新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。 補正事項b(イ)、(ロ)は、補正事項a(イ)の補正に伴う補正で、明瞭でない記載の釈明であると認められる。 補正事項b(ハ)、(ニ)は、「異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないようにし」たことによってただちに予測し得る効果を記載したに過ぎず、前記補正事項a(イ)、b(イ)に合わせて特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載の整合性を図るための、明瞭でない記載の釈明を目的とした訂正である。 そして、前記補正事項b(イ)〜(ニ)は新規事項の追加に該当せず、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 したがって、補正事項a、bは請求書の要旨を変更するものとは認められない。 エ.訂正の適否についての判断 (1)訂正事項aについて 本件特許に係る発明において、異常カウンタのカウンタ値が、所定回数を越えると、「異常停止状態を保持したまま、」手動リセット手段による復帰ができない構成となっていることは、明細書及び図面の記載から明らかである。そして、前記訂正事項aは、特許明細書の特許請求の範囲に記載された「この異常カウンタのカウンタ値が、所定回数を越えると、手動リセットができないよう構成」をより限定するように「この異常カウンタのカウンタ値が、所定回数を越えると、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないように」と減縮するものである。 したがって前記訂正aは、特許請求の範囲の減縮に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 また、(イ)、(ロ)はいずれも前記訂正事項aに合わせて特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載の整合性を図るための、明瞭でない記載の釈明を目的とした訂正であり、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (ハ)は、「異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないようにし」たことによってただちに予測し得る効果を記載したに過ぎず、前記訂正事項aに合わせて特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載の整合性を図るための、明瞭でない記載の釈明を目的とした訂正であり、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (2)訂正事項bについて (イ)に対する判断は前記訂正事項a(ハ)に対するそれと同様である。 オ.独立特許要件の判断 (訂正明細書の請求項1に係る発明) 訂正明細書の請求項1に係る発明は、平成11年11月15日付手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されている次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 バーナと、このバーナの燃焼を制御する燃焼制御部と、前記バーナの燃焼状態を検出する燃焼センサと、前記バーナの点火動作開始から、一定時間経過して、前記燃焼センサが燃焼を検出しなかったら、点火動作を停止する異常停止回路と、この異常停止状態をリセットし、再度点火動作に移る手動リセット手段と、異常停止の連続発生回数をカウントする異常カウンタを備え、この異常カウンタのカウンタ値が、所定回数を越えると、リセット機能を停止し、それ以降、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないようにした燃焼機の制御回路。」。 (引用刊行物) 訂正明細書の請求項1に係る発明に対し、当審が訂正拒絶理由通知において示した刊行物1(特開昭63ー118525号公報)は、燃焼部に燃料を供給し、その燃料に対して点火器により点火動作を行って燃焼動作を開始する燃焼器に関するものであり、燃焼部がバーナを有することは通例であることを考慮すると、前記刊行物1には、 バーナと、バーナの燃焼を制御するマイクロコンピュータMCと、バーナの温度を検出するサーモスタットTMと、バーナの点火動作開始から一定時間TをカウントしてもサーモスタットTMがオンのままのとき、すなわち不着火のとき、リレーRL1、RL2がOFF、パルス信号の出力が停止されて燃焼開始動作を異常停止する手段、この異常停止状態をリセットし、再度点火動作に移る手動の運転スイッチSWと、異常停止の連続発生回数をカウントする不着火カウンタCTRとを備え、この不着火カウンタのカウンタ値が所定回数を越えると、制御回路への電源供給を遮断した燃焼器の不着火安全回路、 が記載されている。 同じく当審が訂正拒絶理由通知において示した刊行物2(特開昭59ー231325号公報)は、刊行物1と同様、燃焼部に燃料を供給し、その燃料に対して点火器により点火動作を行って燃焼動作を開始する燃焼器に関するものであり、失火記憶回路17が失火を所定回数カウントすると、制御回路には通電したままで、メイン電磁弁4、パイロット電磁弁5、及び点火器6への通電を阻止することにより、炎検知回路12、第1トランジスタ14、リレーR2、点火器6による再点火動作が出来ないようにした点火制御回路が記載されている。 (対比・判断) そこで、訂正明細書の請求項1に係る発明と刊行物1及び2の発明とを対比すると、刊行物1の発明には、請求項1に係る発明の構成要件である「異常カウンタのカウンタ値が、所定回数を越えると、リセット機能を停止し、それ以降、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないように」する構成について、記載されていない。 すなわち刊行物1のものは、不着火カウンタのカウンタ値が所定回数を越えると、制御回路への電源供給を遮断する構成のものであるから、そもそも「異常停止状態を保持」することを意図したものではない。 また、刊行物2のものは、制御回路に電源を供給した状態を保ったまま、再点火動作が出来ないようにする構成を一応備えているとは言えるが、制御回路の電源供給回路中に直列に、湯沸かし器の通水時にオンされる通水スイッチ(21)を有しているから、該通水スイッチ(21)をオフすることにより、制御回路への電源供給を遮断でき、簡単に制御回路をリセットし得るものである以上、刊行物2のものは、「異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないように」することを意図したものではない。 そして、訂正明細書の請求項1に係る発明は、前記構成により、手動リセット手段の操作に関わらず異常停止状態を保持し得、適正なメンテナンスを行い得る効果を奏するものと認められる。 したがって、訂正明細書の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明と同一ではなく、かつ、刊行物1、2に記載のものから当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 したがって、訂正明細書の請求項1に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とすることはできない。 カ.むすび 以上のとおりであるから、前記訂正請求は、特許法第120条の4第2項、及び同条第3項で準用する同法第126条第2項から第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 【3】特許異議申立てについての判断 ア.申立ての理由の概要 申立人 株式会社 コロナは、請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開昭63ー118525号公報)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、また、甲第1号証、甲第2号証(特開昭59ー231325号公報)、甲第3号証(実願昭58ー201292号(実開昭60ー111854号)のマイクロフィルム)に記載された発明をもとに容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、特許を取り消すべきであると主張している。 イ.判断 本件請求項1に係る発明は、前記【2】オ.で示したように、甲第1号証のものと同一ではなく、かつ、甲第1号証、甲第2号証に記載された発明から容易に発明をすることができたものとすることはできない。 なお、甲第3号証のものは、運転スイッチのOFFによりカウンタ(5)がリセットされる構造であって、「異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないように」する構成を有しない以上、甲第3号証を考慮しても、本件請求項1に係る発明が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 ウ.むすび したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 燃焼機の制御回路 (57)【特許請求の範囲】 バーナと、このバーナの燃焼を制御する燃焼制御部と、前記バーナの燃焼状態を検出する燃焼センサと、前記バーナの点火動作開始から、一定時間経過して、前記燃焼センサが燃焼を検出しなかったら、点火動作を停止する異常停止回路と、この異常停止状態をリセットし、再度点火動作に移る手動リセット手段と、異常停止の連続発生回数をカウントする異常カウンタを備え、この異常カウンタのカウンタ値が、所定回数を越えると、リセット機能を停止し、それ以降、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないようにした燃焼機の制御回路。 【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は燃焼センサによって、燃焼制御を行う燃焼機の制御回路に関するものである。 従来の技術 従来の燃焼機の制御システム図を第2図に示す。 図において、1は熱交換器、2はバーナ、3はバーナ2の燃焼を検出するためのフレームロッド等の燃焼センサである。また、4は燃焼センサ3等の信号を受けて、燃焼を制御する燃焼制御部で、バーナ2に油を送るパルスポンプ5、同じく燃焼用空気を送る送風モータ6、及び点火を行うための点火装置7に接続されている。 一方、8は、バーナ2への点火時に燃焼センサが一定時間燃焼を検出できなければ、燃焼を停止する異常停止回路、9は、異常停止状態をリセットして再度燃焼をスタートするリセット回路で、リセットスイッチ10にて手動リセットする構成となっている。 この構成により、点火時、何らかの異常で、燃焼がスムーズに行われなかった場合、異常停止回路8が働いて、燃焼を停止し、以降ユーザやサービスマンが、意識的にリセットスイッチ10を操作しなければ、再び燃焼を開始しないようになっていた。 発明が解決しようとする課題 しかしながら上記のような構成では、リセットスイッチ10を繰り返し操作すると、その度に点火動作が行われるため、所定時間、パルスポンプ5が動作して、油がバーナ内に供給される。これが進行すると、バーナ2内に油が溜まり、また、その油が機体外に流れ出すような事態も考えられる。さらに、気化式バーナの場合には、供給された油が気化されて、非常に濃度の高い気化ガスが充満し、この状態の時にたまたま点火に成功すると、爆発的な着火が行われる可能性もある。 また、一般的に、点火時、燃焼を検出しない状況として、油タンクの油切れといった日常起こり得る場合もあり、従って、ただ安全性のために手動リセットできない構成とするわけにもいかない、といった課題があった。 本発明はかかる従来の課題を解消するもので、異常停止の連続回数をカウントし、所定回数以上は、リセットできないようにすることで、使い勝手も良く、また安全性も高い制御システムを実現することを目的とする。 課題を解決するための手段 上記課題を解決するために本発明の燃焼機の制御回路は、バーナと、バーナの燃焼を制御する燃焼制御部と、バーナの燃焼状態を検出する燃焼センサと、バーナの点火動作開始から、一定時間経過して、燃焼センサが燃焼を検出しなかったら、点火動作を停止する異常停止回路と、この異常停止状態をリセットし、再度点火動作に移る手動リセット手段と、異常停止の連続発生回数をカウントする異常カウンタとを備え、この異常カウンタのカウンタ値が、所定回数を越えると、リセット機能停止し、それ以降、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないようにしたものである。 作用 本発明は上記構成によって、燃料切れ等の、日常起こり得るトラブルの場合は、その原因を取り除いた後、手動リセットでき、また、それ以外の燃焼系統の異常の場合は、所定回数繰り返してリセットされるとそれ以降、手動リセットできないようにするため、危険な状態に至るほど、燃料がバーナ中に溜まることがなく、安全な制御が実現できる。また、所定回数繰り返してリセットしたときは、リセット機能を停止し、それ以降、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないようにしているため、異常事態を一目瞭然に確認することができ、適正なメンテナンスを実施することができる。 実施例 以下、本発明の一実施例の燃焼機の制御回路を添付図面に基づいて説明する。 第1図は本発明の一実施例の燃焼機の制御システム図である。図において1は熱交換器、2はバーナ、3はバーナ2の燃焼を検出するためのフレームロッド(燃焼センサ)、4は、フレームロッド3の信号を受けて燃焼を制御する燃焼制御部で、バーナ2に油を送るパルスポンプ5、同じく燃焼用空気を送る送風モータ6、及び点火を行うための点火装置7に接続されている。 一方、8はバーナ2への点火時に、フレームロッド3が一定時間、燃焼を検出できなければ、燃焼を停止する異常停止回路、9は異常停止状態をリセットして、再度燃焼をスタートするリセット回路で、リセットスイッチ(手動リセット手段)10にて手動リセットする構成となっている。そして、11は異常停止回路8に接続され、異常停止の回数をカウントする異常カウンタで、その出力はリセット回路9に結ばれている。 上記構成において、次に動作を説明する。正常時は、燃焼制御部4がパルスポンプ5、送風モータ6、点火装置7を制御して、バーナ2に点火を行いフレームロッド3が着火を検出して点火装置7を停止し、そのまま燃焼状態を維持する。一方、燃焼系統に何らかの異常があった場合は、点火動作を行うものの、フレームロッド3が着火信号を検出しない。この状態がある一定時間続くと、異常停止回路8が動作して、燃焼制御部4に信号を出力し、パルスポンプ5を停止して、異常停止状態に入る。 そして同時に、異常カウンタ11にこの信号が伝えられて、カウンタが「1」となる。ここで、異常カウンタ11のオーバーフローを、例えば2回と設定しておくと、また、カウンタはオーバーフローしない。そして、ユーザがこの異常停止状態に気づいて、点検した結果、油切れであることがわかり、油タンクに、油を補給して後、リセットスイッチ10をリセットすると、これを受けてリセット回路9が異常停止状態をリセットし、燃焼制御部4が再び点火シーケンスに入る。 今度は、油が供給されるので、点火がスムーズに行われ、正常燃焼に入ると共に、異常カウンタ11のカウンタ値が「1」から「0」にもどる。 次に、油切れ以外の原因であった場合、ユーザが点検してもその原因がつかめないまま、まずは再度リセットスイッチ10を操作するであろう。 そうして、同様に、異常状態から復帰して、再び点火シーケンスに入るが、異常の原因が取り除かれていないので、再び、一定時間後に、異常停止回路8が動作して、停止する。そして異常カウンタは「2」となる。 さらに、再度リセットスイッチを操作された場合、もう一度同じことを繰り返して、停止し、異常カウンタは「3」となる。そして、この時点で、カウンタ11の設定値(2回)を越えるため、オーバーフロー信号が発生して、リセット回路9に伝えられ、リセット機能を停止してしまう。従って、これ以降、リセットスイッチ10を操作しても、異常状態から復帰しない。 実際、火がつかない状態で、パルスポンプ5が「定時間動作することが、3回も連続して繰り返されたのだから、バーナ2内には相当の油が溜まっていることが予想でき、これ以上、リセットを続けると、油が機器の外へ漏れ出したり、あるいは、気化バーナの場合には、濃度の高い気化ガスがバーナ内に充満して、一旦火がつくと、爆発する恐れもある状態となることもありうる。 発明の効果 以上のように、本発明の燃焼機の制御回路によれば次の効果が得られる。 (1)異常停止の連続発生回数を一定の回数で制限するため、無制限に異常リセットが繰り返されることによる、機器外への油漏れや、バーナ内での濃い未燃ガスの充満といった、危険な状態を回避できる。 (2)少なくとも1〜2回のリセットは可能にしているため、燃料切れによる異常停止などの場合は、それを対処することで簡単に手動リセットできる。 また、試運転時等も、燃料が機器まで導かれるまで、1〜2回の異常停止が発生する場合もあり、そんな場合も、簡単に手動リセットできる。 (3)所定回数繰り返してリセットしたときは、リセット機能を停止し、それ以降、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないようにしているため、異常事態を一目瞭然に確認することができ、適正なメンテナンスを実施することができる。 【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の一実施例の燃焼機の制御回路の制御システムズ、第2図は従来の燃焼機の制御システムズである。 1・・熱交換器、2・・バーナ、3・・フレームロッド(燃焼センサ)、4・・燃焼制御部、8・・異常停止回路、10・・リセットスイッチ(手動リセット手段)、11・・異常カウンタ。 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 明細書(特許第2748630号明細書、以下同じ)を本件訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち特許請求の範囲の減縮を目的として下記のとおり、また、明瞭でない記載の釈明を目的として下記のとおり訂正する。 (1)明細書の特許請求の範囲の請求項1において、 「この異常カウンタのカウンタ値が、所定回数を越えると、手動リセットができないよう構成」を、「この異常カウンタのカウンタ値が、所定回数を越えると、リセット機能を停止し、それ以降、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないようにした」と訂正する。 (2)出願当初の明細書第3頁第18行〜第19行の「異常停止〜できないようにすることで、」を「異常停止の連続回数をカウントし、所定回数以上は、異常停止状態のままでリセットできないようにすることで、」に訂正する。 (3)同第4頁第12行の「所定回数を越えると、手動リセット」を「所定回数を越えると、リセット機能を停止し、それ以降、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰」に訂正する。 (4)同第5頁第1行〜第2行の「安全な制御が実現できる。」を「安全な制御が実現できる。また、所定回数繰り返してリセットしたときは、リセット機能を停止し、それ以降、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないようにしているため、異常事態を一目瞭然に確認することができ、適正なメンテナンスを実施することができる。」に訂正する。 (5)同第9頁第4行「簡単に手動リセットできる。」を下記の通り訂正する。 「簡単に手動リセットできる。 (3)所定回数繰り返してリセットしたときは、リセット機能を停止し、それ以降、異常停止状態を保持したまま、手動リセット手段による復帰ができないようにしているため、異常事態を一目瞭然に確認するようにすることもでき、適正なメンテナンスを実施することができる。」 |
異議決定日 | 1999-12-14 |
出願番号 | 特願平2-13802 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(F23N)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 豊原 邦雄 |
特許庁審判長 |
西野 健二 |
特許庁審判官 |
西川 一 粟津 憲一 |
登録日 | 1998-02-20 |
登録番号 | 特許第2748630号(P2748630) |
権利者 | 松下電器産業株式会社 |
発明の名称 | 燃焼機の制御回路 |
代理人 | 坂口 智康 |
代理人 | 坂口 智康 |
代理人 | 岩橋 文雄 |
代理人 | 内藤 浩樹 |
代理人 | 内藤 浩樹 |
代理人 | 岩橋 文雄 |